JP2013170970A - 検出装置および検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】蛍光を利用し、リアルタイムに、生物由来の粒子を、蛍光を発する埃から分離して検出することのできる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置100は、空気を加熱するための加熱部4と、発光素子および受光素子を含む検出部5と、検出部5に含まれる受光素子と接続される測定部72とを備える。検出部5は、発光素子で照射されることで空気中の粒子より発せられる蛍光を受光素子で受光すると共に、当該粒子による散乱光を他の受光素子で受光して、これらの受光量を示す信号を測定部72に対して入力する。測定部72は、加熱部4によって加熱された後の空気に対する検出部5での検出によって受光素子での蛍光受光量より得られる蛍光強度と、散乱光受光量より得られる粒子サイズとに基づいて、空気中の生物由来の粒子を、種類ごとに検出する。
【選択図】図1
【解決手段】検出装置100は、空気を加熱するための加熱部4と、発光素子および受光素子を含む検出部5と、検出部5に含まれる受光素子と接続される測定部72とを備える。検出部5は、発光素子で照射されることで空気中の粒子より発せられる蛍光を受光素子で受光すると共に、当該粒子による散乱光を他の受光素子で受光して、これらの受光量を示す信号を測定部72に対して入力する。測定部72は、加熱部4によって加熱された後の空気に対する検出部5での検出によって受光素子での蛍光受光量より得られる蛍光強度と、散乱光受光量より得られる粒子サイズとに基づいて、空気中の生物由来の粒子を、種類ごとに検出する。
【選択図】図1
Description
この発明は検出装置および検出方法に関し、特に、空気中の生物由来の粒子を検出するための検出装置および検出方法に関する。
空気中の微生物を検出する方法として、たとえば特表2010−513847号公報(以下、特許文献1)には、微粒子からの蛍光と粒子サイズとから、生物由来の粒子とそれ以外の粒子とを分離して検出する方法が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に開示されている方法では、粒子サイズごとに粒子を分類することは可能であっても、蛍光発光する埃と生物由来の粒子とが同じ粒子サイズであった場合にはこれらを正確に分離して検出できないという問題があった。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、蛍光を利用し、リアルタイムに、生物由来の粒子を、粒子の種類ごとに、蛍光を発する埃から分離して検出することのできる検出装置および検出方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、検出装置は空気中の生物由来の粒子を検出するための検出装置であって、空気を加熱するための加熱部と、発光素子および第1の受光素子を含む検出部と、検出部で検出対象とされた空気中の粒子のサイズを特定するための特定手段と、検出部に含まれる第1の受光素子および特定手段と接続される測定部とを備える。第1の受光素子は、発光素子で照射されることで空気中の粒子より発せられる蛍光を受光してその受光量を示す信号を測定部に対して入力し、測定部は、加熱部によって加熱された後の空気に対する検出部での検出によって第1の受光素子での受光量より得られる蛍光強度と、特定手段で特定された空気中の粒子のサイズとに基づいて、空気中の生物由来の粒子を、種類別に検出する。
好ましくは、測定部は、検出部に含まれる第1の受光素子での受光量より得られる蛍光強度が特定手段で特定された空気中の粒子のサイズから得られる境界蛍光強度より大なる場合に、空気中の粒子が生物由来の粒子であると判別する。
好ましくは、測定部は、粒子の種類ごとの粒子のサイズの範囲を予め記憶しておき、特定手段で特定された空気中の粒子のサイズに基づいて粒子の種類を特定する。
好ましくは、特定手段は第2の受光素子を含み、第2の受光素子で受光した、第1の受光素子が受光した蛍光を発した粒子による散乱光の強度または波形に基づいて粒子のサイズを特定する。
より好ましくは、第2の受光素子は、検出部に含まれる発光素子からの照射光のうちの粒子によって散乱された散乱光を受光する。
より好ましくは、第1の受光素子および第2の受光素子は、いずれも、発光素子による照射位置が受光位置となるような位置関係で設置され、第1の受光素子および第2の受光素子は、それぞれ、発光素子による照射位置を通過した空気中の粒子からの蛍光および散乱光を受光する。
好ましくは、特定手段は、第2の受光素子でのパルス波形のパルス幅を予め記憶している変換式を用いて変換することで粒子のサイズを特定する。
好ましくは、検出装置は通気管をさらに備え、第1の受光素子は、加熱部によって加熱された、通気管内の空気中の粒子より発せられる蛍光を受光し、特定手段はその粒子のサイズを特定し、測定部は通気管内の空気中の生物由来の粒子を検出する。
好ましくは、発光素子は青色光または紫外光の波長の光を照射する。
本発明の他の局面に従うと、検出方法は、空気を加熱するための加熱部と、発光素子および受光素子を有する検出部とを含んだ検出装置を用いて、空気中の生物由来の粒子を検出する方法であって、空気を加熱部にて加熱するステップと、検出部に含まれる発光素子で、加熱するステップにより加熱された空気中の粒子を照射するステップと、検出部に含まれる受光素子で、発光素子で照射されることで粒子より発せられる蛍光を受光し、その受光量から蛍光強度を算出するステップと、蛍光を発した粒子のサイズを特定し、サイズより予め規定された関係に基づいて境界蛍光強度を算出するステップと、受光素子での受光量より得られる蛍光強度と境界蛍光強度とを比較し、蛍光強度が境界蛍光強度より大なる場合にその粒子を生物由来の粒子として検出するステップと、生物由来の粒子として検出された粒子のサイズの属する粒子の種類を特定するステップとを備える。
本発明の他の局面に従うと、検出方法は、空気を加熱するための加熱部と、発光素子および受光素子を有する検出部とを含んだ検出装置を用いて、空気中の生物由来の粒子を検出する方法であって、空気を加熱部にて加熱するステップと、検出部に含まれる発光素子で、加熱するステップにより加熱された空気中の粒子を照射するステップと、検出部に含まれる受光素子で、発光素子で照射されることで粒子より発せられる蛍光を受光し、その受光量から蛍光強度を算出するステップと、蛍光を発した粒子のサイズを特定し、サイズより予め規定された関係に基づいて境界蛍光強度を算出するステップと、受光素子での受光量より得られる蛍光強度と境界蛍光強度とを比較し、蛍光強度が境界蛍光強度より大なる場合にその粒子を生物由来の粒子として検出するステップと、生物由来の粒子として検出された粒子のサイズの属する粒子の種類を特定するステップとを備える。
この発明によると、蛍光を利用して、リアルタイムに、かつ高精度に、空気中の生物由来の粒子を検出することができる。
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
<装置構成>
図1は、本実施の形態にかかる検出装置100の装置構成の具体例を示すブロック図である。
図1は、本実施の形態にかかる検出装置100の装置構成の具体例を示すブロック図である。
図1を参照して、検出装置100は、通気孔11A,11Bを有し、各装置が収められたシャーシ1と、上記各装置に接続された制御装置7とを含む。
シャーシ1の内部には、通気孔11A,11Bを両端とした通気管2が設けられている。通気管2を抜ける流路のいずれかの位置に、空気導入機構3が設けられている。空気導入機構3は、たとえばファンやポンプなどの上記流路で気流を発生させることで、通気管2内にシャーシ1外の空気を導入するために用いられる。
当該図1の例では、空気導入機構3はシャーシ1の外部であって、通気孔11B近傍に設けられる例が表わされている。空気導入機構3はシャーシ1内に設けられてもよい。
図1の例の場合、空気導入機構3は矢印Aで表わされる向きの気流を発生させる。これにより、通気管2に通気孔11Aから外部空気を導入し、通気孔11Bに向かう方向の流路を生じさせる。以降の説明では、通気管2内に図1に表わされた方向の気流が発生しているものとする。そして、以降の説明では、通気管2の通気孔11A側を上流側、通気孔11Bを下流側とも称する。
シャーシ1の形状は、一例として直方体が挙げられる。そのサイズとしては、各辺の長さが10mm〜500mm程度のものが挙げられる。もちろん、他の形状であってもよい。
通気管2の断面は、円形、長方形、正方形など、いかなる形状であってもよい。一例としてその断面が円形であるとすると、そのサイズとしては、直径が1mm〜50mm程度のものが挙げられる。
シャーシ1内には、通気管2内の空気を加熱するための機構である加熱部4が設けられる。その構成の具体例は後述する。
シャーシ1内には、さらに、加熱部4よりも下流側に通気管2内の空気中の粒子から生物由来の粒子を検出するための機構である検出部5が設けられる。その構成の具体例および検出原理については後述する。
なお、図1に表わされたように、加熱部4とその下流側に設けられた検出部5との間に、加熱部4で加熱された空気を冷却するための機構である冷却部6が設けられてもよい。
制御装置7は、その内部に、検出部5と電気的に接続されて検出部5からの検出信号を処理するための信号処理部と、検出信号に基づいて生物由来の粒子を検出する処理および各装置を制御する処理を行なうための測定部72とを含む。
また、検出結果などを出力するための表示パネル73と、操作指示を受け付けるためのスイッチ74と、記録媒体を装着したり、他の装置と通信したりするための通信部75とをさらに含む。表示パネル73に替えて、または加えて、音声出力用のスピーカやランプなどが設けられていてもよい。
(加熱部の構成)
加熱部4は、通気管2内の空気およびその空気中の粒子を加熱するための構成であればどのような構成であってもよい。図2は、加熱部4の構成の例を表わす概略図である。図2(A)および図2(B)は、いずれも、加熱部4を通気管2の断面を含む面で切断した状態を表わした図である。
加熱部4は、通気管2内の空気およびその空気中の粒子を加熱するための構成であればどのような構成であってもよい。図2は、加熱部4の構成の例を表わす概略図である。図2(A)および図2(B)は、いずれも、加熱部4を通気管2の断面を含む面で切断した状態を表わした図である。
図2(A)を参照して、第1の例として、加熱部4は、通気管2の周囲を覆うヒータ41と、ヒータ41の外周を覆う断熱材42と、ヒータ41と通気管2との間に設けられた、銅など熱伝導部材43とを含む。
図2(B)を参照して、第2の例として、加熱部4は、通気管2内に設置されたヒータ41と、通気管2の外周を覆う断熱材42とを含む。
なお、好ましくは、加熱部4において通気管2が、ヒータ41の面積を増加させるような構成であってよい。その一例として、加熱部4において、図3に表わされたように通気管2が蛇行した形状であってもよいし、他の例として螺旋形状等であってもよい。また、その断面が他の部位よりも大きい形状であってもよい。このような形状とすることで、ヒータ41での加熱効率を向上させることができる。
また、好ましくは、加熱部4は通気管2内に設置された温度センサをさらに含み、測定部72に含まれる後述する制御部で所定の温度範囲となるようヒータ41の加熱が制御されてもよい。
ヒータ41での加熱は、通気管2内の空気中の粒子が100℃〜350℃となるような熱量とする。好ましくは、150℃〜200℃となるよう加熱する。
(検出部の構成)
図4は、検出部5の構成の具体例を表わした図である。
図4は、検出部5の構成の具体例を表わした図である。
図4を参照して、検出部5は、半導体レーザや、LED(Light Emitting Diode)等で構成される発光素子51と、発光素子51からの照射光を平行光また所定幅の光とするためのレンズ群53と、通気管2内の粒子より発光素子51からの照射光に応じて発せられる光を検出するための第1検出系50Aおよび第2検出系50Bとを含む。
第1検出系50Aは、フォトディテクタ等の受光素子52Aと、受光素子52Aに集光するためのレンズ群54Aと、発光素子51からの照射光が受光素子52Aに入り込むのを防ぐための光学フィルタ(または光学フィルタ群)55Aとを含む。第2検出系50Bも、第1検出系50Aと同様の受光素子52B、レンズ群54B、および光学フィルタ(または光学フィルタ群)55Bを含む。
発光素子51は、その照射角度が通気管2に対して所定角度となるように設置され、レンズ群53が発光素子51と通気管2との間の、平行光または所定幅の光となった照射光が通気管2に達する位置に設置される。
発光素子51は、空気中の生物由来の粒子を励起して蛍光を発させる波長の光として、たとえば青色または紫外光を照射する。好ましくは、微生物中に含まれ、蛍光を発するトリプトファン、NaDH、リボフラビン等が効率よく励起される300nm〜450nmの光を照射する。
通気管2は、少なくとも検出部5の位置において透明またはそれに近い透過度の部材で構成されてもよい。これにより、発光素子51からの照射光の一部は通気管2の壁面で反射したり、通気管2を通過したりするものの、照射光の多くは通気管2内に達し、通気管2内の空気中の粒子に照射される。
他の例としては、通気管2の、発光素子51からの光が照射される部分を含む一部に、反射膜が設けられてもよい。この構成の場合、受光素子52およびレンズ群やフィルタを、発光素子51から照射されて反射膜により反射する光を取り込まず、かつ、空気中の粒子からの蛍光のうちの、通気管2の透明な部分を透過する蛍光および反射膜で反射した蛍光の両方を取り込む位置に配置することで、より多くの蛍光が受光できて、高い信号量が得られるという利点が生じる。
第1検出系50Aは、受光素子52Aが発光素子51の照射方向上にはならない位置となるように設置される。受光素子52Aと発光素子51の照射位置にある通気管2との間にはレンズ群54Aおよび光学フィルタ55Aが設置される。
第2検出系50Bもまた、受光素子52Bが発光素子51の照射方向上にはならない位置であって、第1検出系50Aとは一致しない位置となるように設置される。受光素子52Bと発光素子51の照射位置にある通気管2との間にはレンズ群54Bおよび光学フィルタ55Bが設置される。
好ましくは、第1検出系50Aと第2検出系50Bとは、通気管2の同じ位置を検出位置とするように設置される。すなわち、第1検出系50Aの受光素子52Aと第2検出系50Bの受光素子52Bとは、通気管2の同じ位置がそれぞれの受光位置となるよう設置されている。そのため、第1検出系50Aと第2検出系50Bとのそれぞれに含まれる受光素子52A,52Bは、いずれも、その検出位置を通過する空気中の同一の粒子からの光を受光することになる。
発光素子51からの青色または紫外の照射光が通気管2内で形成する照射領域に空気中の粒子が達すると、その粒子が花粉、ダニの死骸、細菌やカビ菌などの生物由来の粒子である場合には、緑色の蛍光を発光する。この蛍光は通気管2外に放出される。
第1検出系50Aは、空気中の粒子から発せられ、通気管2外に放出された蛍光を検出する。すなわち、受光素子52Aは、空気中の粒子から発せられ、通気管2外に放出された蛍光を受光し、受光量に応じた検出信号を信号処理部71に入力する。
光学フィルタ55Aは、この照射光の波長域の光を遮断して、当該波長より長波長側の光を透過させる。これにより、発光素子51からの照射光の一部が受光素子52Aに迷光として入り込むことが防がれる。
発光素子51からの青色または紫外の照射光が通気管2内で形成する照射領域に空気中の粒子が達すると、その粒子が照射光を散乱させる。この散乱光は通気管2外に放出される。
第2検出系50Bは、後述するように粒子サイズを検出するために用いられる。そのため、第2検出系50Bは、空気中の粒子による散乱光のうちの第2検出系50Bが設置された方向の散乱光を検出する。すなわち、受光素子52Bは、空気中の粒子によって散乱され、通気管2外に放出された光を受光し、受光量に応じた検出信号を信号処理部71に入力する。
光学フィルタ55Bは、蛍光を遮断して照射光の波長域の光を透過させる。つまり、青色または紫外の波長域の光を透過させる。これにより、空気中の粒子から発せられる蛍光が受光素子52Bに迷光として入り込むことが防がれる。
好ましくは、図4に表わされたように、通気管2の、発光素子51からの光が照射される部分は、その断面が他の部分の断面よりも小さく構成される。すなわち、断面が円形である場合には、その直径が他の部分の直径よりも小さく構成される。より好ましくは、照射領域に粒子が1個ずつ通過する程度の断面(直径)に構成される。また、この場合、そのように通過するような流量としてもよい。
なお、図4の例では、発光素子51からの照射光を第1検出系50Aおよび第2検出系50B双方が利用して、同一の粒子からの蛍光および散乱光を受光する例が示されている。
しかしながら、検出部5の構成は図4の構成に限定されるものではない。他の例として、第1検出系50Aおよび第2検出系50Bのそれぞれが発光素子を備え、同じ場所または異なる場所でそれぞれの検出を行なうように構成されてもよい。すなわち、この例の場合、第2検出系50Bがたとえば特開2003−38163号公報にも開示されているように、発光素子51とは別に、粒子サイズを求めるために赤色光または赤外光などの発光素子51の照射光とは異なる波長域の光を発光する半導体レーザやLED等の発光素子を備えて、受光素子52Bでこの発光素子からの照射光の散乱光を検出するようにしてもよい。
なお、異なる場所でそれぞれの検出を行なうように構成された場合、測定部72は、後述する構成に加えてクロック発生部を含み、第1検出系50Aでの蛍光の検出タイミングおよび第2検出系50Bでの散乱光の検出タイミングと両検出系での検出位置間の距離と通気管2内の流速とから、同一の粒子についての蛍光の検出結果と散乱光の検出結果とを特定する処理を行なう必要がある。
(冷却部の構成)
先述のように、冷却部6は検出装置100に必須の構成でなく、必要に応じて設けられてよい。図5は、冷却部6の構成の一例を表わした図である。図5(A)は冷却部6を通気管2の断面を含む面で切断した状態を表わした図であり、図5(B)は冷却部6を通気管2内の気流方向に切断した状態を表わした図である。
先述のように、冷却部6は検出装置100に必須の構成でなく、必要に応じて設けられてよい。図5は、冷却部6の構成の一例を表わした図である。図5(A)は冷却部6を通気管2の断面を含む面で切断した状態を表わした図であり、図5(B)は冷却部6を通気管2内の気流方向に切断した状態を表わした図である。
図5(A)および図5(B)を参照して、冷却部6は、通気管2を包含する冷却管61を含み、冷却管61の一端が空気導入機構3に接続されている。
図5(B)を参照して、冷却管61には複数の通気孔61Aが設けられており、空気導入機構3によって図5(B)に矢印で表わされたように通気孔61Aから外気が冷却管61内に流入し、冷却管61内を流れる。これにより、加熱部4で熱せられた通気管2内の空気が冷却される。
なお、冷却部6は図5の構成に限定されず、通気管2内の空気を冷却できるものであれば、たとえば、ペルチェ素子など従来提案されている冷却技術を用いてもよい。
<検出原理>
検出装置100では、加熱後の粒子からの蛍光強度に基づいて、当該粒子が生物由来の粒子であるか蛍光発光埃であるかを判別する(第1の判別)。さらに、生物由来の粒子と判別された粒子については、粒子サイズを検出し、予め粒子サイズの範囲に対応して規定された粒子種類のうちのいずれに該当するかを判別する(第2の判別)。そして、粒子種類ごとに生物由来の粒子の検出結果を出力する。
検出装置100では、加熱後の粒子からの蛍光強度に基づいて、当該粒子が生物由来の粒子であるか蛍光発光埃であるかを判別する(第1の判別)。さらに、生物由来の粒子と判別された粒子については、粒子サイズを検出し、予め粒子サイズの範囲に対応して規定された粒子種類のうちのいずれに該当するかを判別する(第2の判別)。そして、粒子種類ごとに生物由来の粒子の検出結果を出力する。
図6は、加熱温度ごとの、加熱前の生物由来の粒子からの蛍光強度に対する加熱後の蛍光強度の比率を表わした図である。
図6を参照して、加熱温度を150℃とすると、加熱後の生物由来の粒子からの蛍光強度は加熱前の蛍光強度の約20倍となる。加熱温度を200℃とすると、加熱後の生物由来の粒子からの蛍光強度は加熱前の蛍光強度の約50倍となる。つまり、粒子が生物由来のものである場合、加熱温度を150℃から200℃に増加させることで、加熱後の蛍光強度の増加率が約20倍から50倍に増加する。
他方、蛍光埃ではこのような増加は生じない。
このとき、加熱前の粒子からの蛍光強度は粒子サイズに依存する。そのため、生物由来の粒子と蛍光埃とは、加熱前においては粒子サイズが同程度であれば蛍光強度も同程度であると考えられる。
このとき、加熱前の粒子からの蛍光強度は粒子サイズに依存する。そのため、生物由来の粒子と蛍光埃とは、加熱前においては粒子サイズが同程度であれば蛍光強度も同程度であると考えられる。
検出装置100ではこの現象を利用して、空気中の粒子を加熱して、加熱後の粒子からの蛍光強度とその粒子サイズに対応して規定される蛍光強度とを比較し、加熱後の粒子からの蛍光強度が粒子サイズに対応して規定される蛍光強度よりも大きいものを生物由来の粒子と判別し、粒子サイズに対応して規定される蛍光強度よりも小さいものを蛍光埃等の生物由来でない粒子と判別する。
粒子サイズに対応して規定される蛍光強度は以降の説明において「境界蛍光強度」とも称される。境界蛍光強度は、上述の粒子サイズに依存した蛍光強度よりも高い蛍光強度であって、加熱後の生物由来の粒子からの蛍光強度よりも低い蛍光強度である。粒子サイズと境界蛍光強度との関係(変換式)は、予め実験等によって決定することができる。
図7(A)は、粒子サイズと境界蛍光強度との関係を表わし、さらに、その関係に基づいて生物由来の粒子か否かの判別方法を表わした図である。
図7(A)に示されるように、たとえば、バチルス菌等の1ミクロンサイズの細菌、アオカビ等の3ミクロンサイズのカビ菌、およびスギ花粉等の25ミクロンサイズの花粉のそれぞれについて当該検出装置100を用いて蛍光量を測定し、粒子サイズと蛍光量とのグラフを得る。図7中の丸印は各測定値を表わし、縦線は測定ばらつきを示す。このデータをもとに、測定ばらつきの最低蛍光量より低い値になるように粒子サイズと境界蛍光量との変換式、すなわち境界蛍光強度曲線を決定する。
検出装置100では、検出部5の第2検出系50Bで検出される粒子からの散乱光より粒子サイズD1が特定され、その粒子サイズD1から境界蛍光強度S1が特定される。そして、加熱後のその粒子について、第1検出系50Aで検出された蛍光強度と、図7(A)の境界蛍光強度曲線を用いて粒子サイズD1を変換することで得られた境界蛍光強度S1との比較により、検出部5の位置を通過した粒子が生物由来の粒子であるか否かが判別される。すなわち、検出装置100では、図7(A)に表わされたように、検出された蛍光強度が境界蛍光曲線よりも上方にあるもの、つまり境界蛍光強度よりも大なる場合には生物由来の粒子と判別される。
なお、検出装置100での粒子サイズの検出方法は、特定の方法に限定されない。たとえば、従来パーティクルカウンタや粒度分布計などで用いられているような、光線を横切る粒子による散乱光の強度に基づいて粒子サイズを検出する方法を採用してもよい。また、他の例として、散乱光の波形に基づいて粒子サイズを検出する方法を採用してもよい。
後者の方法を採用して空気中の粒子サイズを検出する方法について説明する。すなわち、ある流速で運ばれる空気中の粒子の速度は、空気の流速が大きくない場合、粒子サイズが大きくなれば遅くなることが知られている。この原理によると、粒子サイズが大きくなると速度が遅くなるために、粒子が照射光を横切る時間が長くなる。検出装置100の受光素子52Bは、ある流速で運ばれる浮遊粒子が発光素子51からの照射光を横切ることによって当該浮遊粒子が発生させた散乱光を受光する。そのため、第2検出系50Bの受光素子52Bが出力する電流信号はパルス状になり、そのパルス幅は当該粒子が照射光を横切る時間に関係する。したがって、出力される電流信号のパルス幅から粒子サイズが換算される。
さらに、生物由来の粒子についての粒子サイズの範囲ごとの代表的な粒子の種類が予め記憶されており、検出された粒子サイズに応じて粒子の種類が特定される。
図7(B)は、粒子サイズの範囲ごとの粒子の種類の関係を表わした図である。
一般的に、細菌は1ミクロン前後、カビ菌は3ミクロン前後、ダニの死骸は10ミクロン前後、花粉は30ミクロン前後であると言われている。そこで、一例として、図7(B)に示されたように、1ミクロンの前後所定範囲の粒子サイズの生物由来の粒子を細菌、3ミクロンの前後所定範囲の粒子サイズの生物由来の粒子をカビ菌、10ミクロンの前後所定範囲の粒子サイズの生物由来の粒子をダニの死骸、30ミクロンの前後所定範囲の粒子サイズの生物由来の粒子を花粉と、粒子サイズの範囲ごとに粒子の種類を規定しておく。そして、検出された粒子サイズからその粒子の種類を特定する。
一般的に、細菌は1ミクロン前後、カビ菌は3ミクロン前後、ダニの死骸は10ミクロン前後、花粉は30ミクロン前後であると言われている。そこで、一例として、図7(B)に示されたように、1ミクロンの前後所定範囲の粒子サイズの生物由来の粒子を細菌、3ミクロンの前後所定範囲の粒子サイズの生物由来の粒子をカビ菌、10ミクロンの前後所定範囲の粒子サイズの生物由来の粒子をダニの死骸、30ミクロンの前後所定範囲の粒子サイズの生物由来の粒子を花粉と、粒子サイズの範囲ごとに粒子の種類を規定しておく。そして、検出された粒子サイズからその粒子の種類を特定する。
検出装置100では、生物由来の粒子からの蛍光が検出されるとその旨を検出結果として出力するようにしてもよい。これは、たとえばランプを点灯させたり、電子音を発したりする出力が該当する。このとき、粒子の種類も併せて検出結果として出力する。これは、粒子の種類ごとに異なる色や発光パターンでランプを点灯させたり、異なる音やパターンの電子音を発したりする出力が該当する。
他の例として、予め規定された時間、生物由来の粒子の検出数をカウントし、そのカウント値を検出結果として出力するようにしてもよい。これは、ディスプレイなどの表示装置を含んで、または表示装置に対して、検出された個数を表示させるなどの出力が該当する。このとき、粒子の種類ごとに生物由来の粒子の検出数をカウントし、種類ごとに検出結果を出力する。
また、当該検出装置100に導入される空気量で除すことで生物由来の粒子の濃度を算出し、その結果を検出結果として出力するようにしてもよい。たとえばT秒間にN個の生物由来の粒子が検出された場合、通気管2を1秒当たりに流れる空気の流量をVm3とすると、T×Vm3当たりにN個の生物由来の粒子が検出されたことになり、空気中の生物由来の粒子濃度はN/(T×V)[個/m3]と計算される。このとき、粒子の種類ごとに粒子量が検出されることで、種類ごとに濃度を算出することができる。
<機能構成>
図8は、上記原理を利用して空気中の生物由来の粒子を検出するための検出装置100の機能構成の具体例を示すブロック図である。図8では、信号処理部71の機能が主に電気回路であるハードウェア構成で実現される例が示されている。しかしながら、これら機能のうちの少なくとも一部は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を備え、該CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される、ソフトウェア構成であってもよい。また、測定部72の構成がソフトウェア構成である例が示されている。しかしながら、これら機能のうちの少なくとも一部は、電気回路などのハードウェア構成で実現されてもよい。
図8は、上記原理を利用して空気中の生物由来の粒子を検出するための検出装置100の機能構成の具体例を示すブロック図である。図8では、信号処理部71の機能が主に電気回路であるハードウェア構成で実現される例が示されている。しかしながら、これら機能のうちの少なくとも一部は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を備え、該CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される、ソフトウェア構成であってもよい。また、測定部72の構成がソフトウェア構成である例が示されている。しかしながら、これら機能のうちの少なくとも一部は、電気回路などのハードウェア構成で実現されてもよい。
図8を参照して、信号処理部71は、第1検出系50Aの受光素子52Aに接続される電流−電圧変換回路13Aおよび電流−電圧変換回路13Aに接続される増幅回路12Aを含んだ第1処理系70Aと、第2検出系50Bの受光素子52Bに接続される電流−電圧変換回路13Bおよび電流−電圧変換回路13Bに接続される増幅回路12Bを含んだ第2処理系70Bとを含む。
測定部72は、制御部21および記憶部22を含む。さらに、測定部72は、スイッチ74の操作に伴ったスイッチ74からの入力信号を受け付けるための入力部24と、表示パネル73に検出結果等を表示させる処理を実行するための表示部25と、通信部75に接続された外部装置とのデータ等のやり取りに必要な処理を行なうための外部接続部26と、空気導入機構3および加熱部4を駆動させるための駆動部28とを含む。入力部24は入力信号を制御部21に対して出力する。
通気管2内の空気に対して発光素子51から照射されることで、照射領域にある生物由来の粒子からの蛍光が、受光素子52Aで受光される。受光素子52Aからの受光量に応じた電流信号は電流−電圧変換回路13Aに入力される。
電流−電圧変換回路13Aは、受光素子52Aから入力された電流信号より蛍光強度を表わすピーク電流値Haを検出し、電圧値Ehaに変換する。電圧値Ehaは増幅回路12Aで予め設定した増幅率に増幅され、測定部72に対して出力される。測定部72の制御部21は電圧値Ehaの入力を受け付けて、順次、記憶部22に記憶させる。
通気管2内の空気に対して発光素子51から照射されることで、照射領域を通過する生物由来の粒子によって照射光が散乱されて受光素子52Bで受光される。受光素子52Bからの受光量に応じた電流信号は電流−電圧変換回路13Bに入力される。
電流−電圧変換回路13Bは、受光素子52Bから入力された電流信号より散乱光強度を表わすピーク電流値Hbを検出し、電圧値Ehbに変換する。電圧値Ehbは増幅回路12Bで予め設定した増幅率に増幅され、測定部72に対して出力される。測定部72の制御部21は電圧値Ehbの入力を受け付けて、順次、記憶部22に記憶させる。
制御部21は発光素子51および受光素子52A,52Bと電気的に接続され、それらのON/OFFを制御する。
制御部21は入力部24からの入力信号に基づいて検出動作を開始し、駆動部28に対して制御信号を出力する。駆動部28はこの制御信号に従って空気導入機構3を駆動させる。これにより、通気管2内に外気が導入される。
また、駆動部28はこの制御信号に従って加熱部4での加熱を開始させる。なお、加熱部4に上記温度センサが含まれる場合、温度センサは制御部21に電気的に接続されて、センサ信号が制御部21に入力される。制御部21は、加熱部4が所定温度となるまで加熱する。そして、所定温度に達すると発光素子51および受光素子52A,52BをONする。これにより、通気管2内の空気が所定温度に加熱されることになった時点で、その加熱後の蛍光強度の測定および散乱光の測定が開始される。
図9は、制御部21の構成の具体例を表わしたブロック図である。図9を参照して、制御部21は、判別部211、計算部212、粒子サイズ特定部213、境界蛍光強度特定部214、および粒子種類特定部215を含む。判別部211は、増幅回路12Aからの電圧値Ehaを用いて検出部5を通過した粒子について生物由来のものであるか否かを判別する。または、記憶部22から電圧値Ehaを読み出して用いてもよい。計算部212は、その判別結果に基づいて所定時間の粒子量をカウントし、その濃度等の粒子量を算出する。
粒子サイズ特定部213は、予めパルス幅から粒子サイズに換算するための換算式を記憶しており、増幅回路12Bからの電圧値Ehbからパルス幅を特定し、そのパルス幅を上記換算式を用いて換算することで、検出部5を通過した粒子の粒子サイズを特定する。
境界蛍光強度特定部214は、予め図7(A)の境界蛍光強度曲線に相当する、粒子サイズから境界蛍光強度に換算するための換算式を記憶しており、粒子サイズ特定部213によって特定された粒子サイズを上記換算式を用いて換算することで、検出部5を通過した粒子についての境界蛍光強度を特定する。この境界蛍光強度は判別部211での判別に用いられる。
粒子種類特定部215は、予め図7(B)の粒子サイズの範囲ごとの粒子種類を記憶しており、判別部211で生物由来の粒子と判別された粒子について、粒子サイズ特定部213によって特定された粒子サイズより種類を特定する。
計算部212は、粒子の種類ごとに所定時間の粒子量をカウントし、その種類の粒子の濃度等、粒子の種類ごとの粒子量を算出する。
粒子の種類ごとの判別結果や粒子の種類ごとに算出された粒子量は、表示部25において表示パネル73で表示するための処理が行なわれる。また、外部接続部26で記録媒体や外部装置に送信するための処理がなされてもよい。
<動作フロー>
図10および図11は、検出装置100での動作の流れを表わすフローチャートである。図10および図11のフローチャートに表わされた動作は、スイッチ74に含まれる図示しない検出開始ボタンがONされ、その信号が制御部21に入力されることによって開始される。この動作は、測定部72の制御部21に含まれる図示しないCPUが図示しないメモリに記憶されるプログラムを読み出して実行し、図8および図9に示される機能を発揮させることで実現される。
図10および図11は、検出装置100での動作の流れを表わすフローチャートである。図10および図11のフローチャートに表わされた動作は、スイッチ74に含まれる図示しない検出開始ボタンがONされ、その信号が制御部21に入力されることによって開始される。この動作は、測定部72の制御部21に含まれる図示しないCPUが図示しないメモリに記憶されるプログラムを読み出して実行し、図8および図9に示される機能を発揮させることで実現される。
図10を参照して、検出動作が開始すると、ステップS101で制御部21は空気導入機構3の駆動を開始させる。これにより、通気管2内に外気の導入が開始される。
次に、ステップS103で制御部21は、加熱部4のヒータ41の動作を開始させ、加熱部4に温度センサが含まれる場合、ステップS105でさらにその作動を開始させる。これにより、通気管2内の空気への加熱が開始し、その温度が監視される。
加熱部4の温度が予め規定した所定温度に達したことが検出されると(ステップS107でYES)、ステップS109,S111で制御部21は第1検出系50Aおよび第2検出系50Bそれぞれの受光素子52A,52BをONする。これにより、加熱部4の温度が予め規定した所定温度に達した時点で、後述する蛍光強度の検出が開始される。
なお、加熱部4に温度センサが含まれていない場合には、制御部21は、上記ステップS105での加熱開始から予め規定した時間が経過した時点で発光素子51および受光素子52A,52BをONするようにしてよい。このようにすることでも、加熱部4の温度が規定された温度に達した時点で、後述する蛍光強度の検出を開始させることができる。
発光素子51および受光素子52A,52BがONされると、ステップS113で制御部21は第1検出系50Aでの蛍光検出値から蛍光強度F1を測定し、ステップS115でその測定値を記憶する。
また、ステップS117で制御部21は第2検出系50Bでの散乱光検出値から散乱光強度を測定する。図11を参照して、ステップS119で制御部21は、散乱光のパルス幅を予め記憶している換算式に代入することで、粒子サイズD1を特定する。さらに、ステップS121で制御部21は、粒子サイズD1を予め記憶している換算式に代入することで、境界蛍光強度S1を特定する。
境界蛍光強度S1が得られると、ステップS121で制御部21は、上記ステップS113で測定された蛍光強度F1を境界蛍光強度S1と比較する。
蛍光強度F1が境界蛍光強度S1よりも大なる場合(ステップS123でYES)、ステップS125で制御部21は、これら蛍光を発した粒子が生物由来の粒子であると判別する。この場合制御部21はステップS126で、上記ステップS119で特定された粒子サイズD1を図7(B)の粒子の種類ごとの粒子サイズの範囲と比較して粒子サイズD1が属する範囲を特定することで、その粒子の種類を特定する。そして、ステップS127で、特定された種類についての粒子数のカウントに1加算する。
一方、蛍光強度F1が境界蛍光強度S1を超えない場合には(ステップS123でNO)、ステップS129で制御部21は、これら蛍光を発した粒子が生物由来の粒子ではないと判別する。この場合、上記カウントを加算しない。
制御部21は、予め規定された時間、またはスイッチ74で指定された時間、導入された空気からの測定動作を継続する。そして、測定の開始から所定時間が経過したことが検出されると(ステップS131でYES)、ステップS133で制御部21は、上記ステップS127で得られた粒子の種類ごとのカウント数を上記所定時間に導入された空気量で除すことで生物由来の粒子の種類ごとの濃度を計算し、ステップS135でその結果を検出結果として表示パネル73に表示する。
なお、検出結果は生物由来の粒子の濃度でなく、上記ステップS126,S129での判別結果であってもよい。すなわち、この場合、上記ステップS131以降の動作を行なわず、上記ステップS126,S129の後に、その判別結果に応じた音を発する、または色のランプを点灯させる、などで検出結果を出力してもよい。
図12は、検出結果の出力例を表わした図である。
図12(A)は第1の出力例として、表示パネル73に生体由来の粒子の種類ごとに異なるランプが設けられており、生体由来の粒子が検出されるごとに、その種類に応じたランプを点滅させることで検出結果を出力する例が示されている。ここでは、色や形状の異なるランプとしてよい。このような出力によって、点滅の度合いにより、どの種類の生物由来の粒子が多いが少ないかがリアルタイムにユーザに提示される。
図12(A)は第1の出力例として、表示パネル73に生体由来の粒子の種類ごとに異なるランプが設けられており、生体由来の粒子が検出されるごとに、その種類に応じたランプを点滅させることで検出結果を出力する例が示されている。ここでは、色や形状の異なるランプとしてよい。このような出力によって、点滅の度合いにより、どの種類の生物由来の粒子が多いが少ないかがリアルタイムにユーザに提示される。
図12(B)は第2の出力例として、表示パネル73に、所定の時間内に検出された生物由来の粒子の種類ごとのカウント数を当該時間内に装置に取り込んだ空気容積で除して得られるその空気中に存在する生物由来の粒子の種類別の濃度を、棒グラフや連続するセグメントなど図形的に出力する例が示されている。このとうな出力によって、所定時間内に取り込まれた空気中にどの種類の生物由来の粒子が多いが少ないかが容易に把握できるようにユーザに提示される。
なお、図12(C)に第3の出力例として表わされたように、図形的な出力の他に実際の数字で表示するようにしてもよい。
また、これら図12(A)〜図12(C)に表わされた出力方法を組み合わせてもよい。
<実施の形態の効果>
検出装置100を用いることで、空気中の粒子をリアルタイムで生物由来の粒子か否かを判別することができ、蛍光を発する生物由来でない粒子から分離して検出することができる。さらに、粒子の種類ごとにリアルタイムで検出することができる。
検出装置100を用いることで、空気中の粒子をリアルタイムで生物由来の粒子か否かを判別することができ、蛍光を発する生物由来でない粒子から分離して検出することができる。さらに、粒子の種類ごとにリアルタイムで検出することができる。
また、検出装置100では、加熱後の蛍光強度に基づいて生物由来の粒子か否かを判別するため、高精度で生物由来の粒子を検出することができる。
従来の検出装置では、1つ目の問題として、微生物からの蛍光強度が小さいため、先述のように、検出系の電気的ノイズから微生物からの蛍光を分離することが難しいという問題があった。そのため、実験的にしきい値を規定して設定する方法が採用されているが、完全に分離することは難しいとされていた。さらに、2つ目の問題として、蛍光を発する生物由来でない粒子(蛍光埃)が生物由来の粒子と同等のサイズであれば、当該生物由来の粒子からの蛍光強度と同程度の強度で蛍光を発光する場合が多いため、このような生物由来でない粒子の発する蛍光から生物由来の粒子の発する蛍光を完全に分離して生物由来の粒子のみカウントすることが難しいという問題があった。
しかしながら、図6に示されたように、生物由来の粒子から発せられる蛍光強度の加熱前後の増加率は、150℃から200℃に加熱温度を変化させることで、加熱前の蛍光に比べて約20倍から約50倍に増加する。検出装置100では、このように加熱することで生物由来の粒子からの蛍光強度が増加させるため、上記の従来の検出装置の抱える1つ目の問題が解決でき、ノイズとの分離ができないことによるカウント間違いがなくなるという利点が生じる。
また、加熱により生物由来でない蛍光を発する粒子(蛍光埃)からの蛍光量は増加しないので、粒子サイズが特定されると、生物由来の粒子からの蛍光強度と生物由来でない粒子からの蛍光強度との間にしきい値を設けることができる。このとき、加熱による生物由来の粒子からの蛍光強度の増加量は上述のように大きいので、しきい値を高めに設定することで、たとえ両粒子の測定誤差があるとしても高い精度でこれらを分離することができる。上記の従来の検出装置の抱える2つ目の問題も解決できる。
このように、検出装置100では高精度で生物由来の粒子を分離して検出できるので、たとえば、バイオテロ対策や薬剤工場などで当該検出装置100を応用する場合、生物由来の粒子の濃度が所定の濃度を超えた場合に警報を出すようにしてもよいが、検出装置100では、感度が高く、かつ、生物由来の粒子と蛍光埃とをリアルタイムで分離可能であるため、所定の濃度付近や多量の蛍光埃が生じた場合であっても誤動作を防止でき、このような環境においても好適に用いることができる。
また、検出装置100では、生物由来粒子の中の、主にどの種類が増加したかが分かるので、特に細菌類が急激に増加した場合には、その菌種の特定など次のステップに迅速に移ることができるという利点もある。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 シャーシ、2 通気管、3 空気導入機構、4 加熱部、5 検出部、6 冷却部、7 制御装置、11A,11B,61A 通気孔、12A,12B 増幅回路、13A,13B 電流−電圧変換回路、21 制御部、22 記憶部、24 入力部、25 表示部、26 外部接続部、28 駆動部、41 ヒータ、42 断熱材、43 熱伝導部材、50A 第1検出系、50B 第2検出系、51 発光素子、52A,52B 受光素子、53,54A,54B レンズ群、55A,55B 光学フィルタ、61 冷却管、70A 第1処理系、70B 第2処理系、71 信号処理部、72 測定部、73 表示パネル、74 スイッチ、75 通信部、100 検出装置、211 判別部、212 計算部、213 粒子サイズ特定部、214 境界蛍光強度特定部、215 粒子種類特定部。
Claims (10)
- 空気中の生物由来の粒子を検出するための検出装置であって、
空気を加熱するための加熱部と、
発光素子および第1の受光素子を含む検出部と、
前記検出部で検出対象とされた空気中の粒子のサイズを特定するための特定手段と、
前記検出部に含まれる前記第1の受光素子および前記特定手段と接続される測定部とを備え、
前記第1の受光素子は、前記発光素子で照射されることで空気中の粒子より発せられる蛍光を受光してその受光量を示す信号を前記測定部に対して入力し、
前記測定部は、前記加熱部によって加熱された後の空気に対する前記検出部での検出によって前記第1の受光素子での受光量より得られる蛍光強度と、前記特定手段で特定された前記空気中の粒子のサイズとに基づいて、前記空気中の生物由来の粒子を、種類別に検出する、検出装置。 - 前記測定部は、前記検出部に含まれる第1の受光素子での受光量より得られる蛍光強度が前記特定手段で特定された前記空気中の粒子のサイズから得られる境界蛍光強度より大なる場合に、前記空気中の粒子が生物由来の粒子であると判別する、請求項1に記載の検出装置。
- 前記測定部は、粒子の種類ごとの粒子のサイズの範囲を予め記憶しておき、前記特定手段で特定された前記空気中の粒子のサイズに基づいて前記粒子の種類を特定する、請求項1または2に記載の検出装置。
- 前記特定手段は第2の受光素子を含み、前記第2の受光素子で受光した、前記第1の受光素子が受光した蛍光を発した粒子による散乱光の強度または波形に基づいて前記粒子のサイズを特定する、請求項1〜3のいずれかに記載の検出装置。
- 前記第2の受光素子は、前記検出部に含まれる前記発光素子からの照射光のうちの前記粒子によって散乱された散乱光を受光する、請求項4に記載の検出装置。
- 前記第1の受光素子および前記第2の受光素子は、いずれも、前記発光素子による照射位置が受光位置となるような位置関係で設置され、
前記第1の受光素子および前記第2の受光素子は、それぞれ、前記発光素子による照射位置を通過した空気中の粒子からの蛍光および散乱光を受光する、請求項5に記載の検出装置。 - 前記特定手段は、前記第2の受光素子でのパルス波形のパルス幅を予め記憶している変換式を用いて変換することで前記粒子のサイズを特定する、請求項4〜6のいずれかに記載の検出装置。
- 通気管をさらに備え、
前記第1の受光素子は、前記加熱部によって加熱された、前記通気管内の空気中の粒子より発せられる蛍光を受光し、
前記特定手段は前記粒子のサイズを特定し、
前記測定部は前記通気管内の空気中の生物由来の粒子を検出する、請求項1〜7のいずれかに記載の検出装置。 - 前記発光素子は青色光または紫外光の波長の光を照射する、請求項1〜8のいずれかに記載の検出装置。
- 空気を加熱するための加熱部と、発光素子および受光素子を有する検出部とを含んだ検出装置を用いて、空気中の生物由来の粒子を検出する方法であって、
空気を前記加熱部にて加熱するステップと、
前記検出部に含まれる前記発光素子で、前記加熱するステップにより加熱された空気中の粒子を照射するステップと、
前記検出部に含まれる前記受光素子で、前記発光素子で照射されることで前記粒子より発せられる蛍光を受光し、その受光量から蛍光強度を算出するステップと、
前記蛍光を発した前記粒子のサイズを特定し、前記サイズより予め規定された関係に基づいて境界蛍光強度を算出するステップと、
前記受光素子での受光量より得られる蛍光強度と前記境界蛍光強度とを比較し、前記蛍光強度が前記境界蛍光強度より大なる場合に前記粒子を生物由来の粒子として検出するステップと、
生物由来の粒子として検出された前記粒子のサイズの属する粒子の種類を特定するステップとを備える、検出方法。
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