JP2013170612A - ロータリジョイント - Google Patents
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Abstract
【課題】固定シール部を確実に安定して移動させることができ、動作不良やシール部材への衝撃を有効に防止して流体の外部への漏洩を抑えることができるロータリジョイントを提供することを目的とする。
【解決手段】回転流路4eが開口した第1のシール面5bを有する回転部1aと固定流路8bが開口した第2のシール面9bを有する固定部1bとを同軸配置したロータリジョイント1において、固定流路8bを上流側流路8b1および下流側流路8b2に隔てる隔壁部8cの上流側および下流側に上流側開口8f1、下流側開口8f2を設け、面シール部10が形成された状態で上流側開口8f1と下流側開口8f2とを流路隙間7dを介して連通させ、面シール部10が開放された状態で上流側開口8f1が流路隙間7dの形成範囲から外れて上流側開口8f1と下流側開口8f2との連通状態を遮断する。
【選択図】図3
【解決手段】回転流路4eが開口した第1のシール面5bを有する回転部1aと固定流路8bが開口した第2のシール面9bを有する固定部1bとを同軸配置したロータリジョイント1において、固定流路8bを上流側流路8b1および下流側流路8b2に隔てる隔壁部8cの上流側および下流側に上流側開口8f1、下流側開口8f2を設け、面シール部10が形成された状態で上流側開口8f1と下流側開口8f2とを流路隙間7dを介して連通させ、面シール部10が開放された状態で上流側開口8f1が流路隙間7dの形成範囲から外れて上流側開口8f1と下流側開口8f2との連通状態を遮断する。
【選択図】図3
Description
本発明は、回転部に流体を送給するために用いられるロータリジョイントに関するものである。
工作機械の主軸など作動時に回転状態にある回転部に冷却用のクーラントなどの流体を送給する流体送給機構において、固定された流体送給配管を回転部の流路と接続する流体継手としてロータリジョイントが用いられる。ロータリジョイントは、回転部に結合されて回転する回転軸と流体送給配管に接続される固定軸とを同軸に配置して軸方向に対向させ、それぞれの対向端面に装着されたシール部材のシール面を相互に密着させることにより流体の漏洩を防止する構成となっている。この構成により、流体送給配管から回転状態にある回転部へロータリジョイントを介して連続的に流体を給することができる。
このような構成のロータリジョイントで、工作機械などドローバーを進退させる必要がある用途に用いられるものでは、シール面を密着させるために固定軸側を軸方向に移動させる必要がある。この固定軸の軸方向への移動は、従来より供給される流体の流体力を固定軸の上流側端部に作用させることにより行われる。この固定軸の移動に際して、流体供給開始時においてはシール面が開いた状態からシール面を速やかに閉じさせるため、固定軸に対して下流側方向へ大きな流体力を作用させることが望ましく、またシール面を閉じる際にはシール部材に過度の衝撃を与えず、さらにシール面からの外部への流体の漏洩を極力抑えることが可能な構成であることが望ましい。このような機能条件を満たすため、従来より各種の機構を備えたロータリジョイントが知られている(例えば特許文献1,2参照)。
特許文献1に示す先行技術例では、固定軸の固定流路の上流端にチェック弁を組み込むことにより、流体供給開始時において閉じた状態にあるチェック弁に流体力を作用させ、これにより固定軸を下流側に移動させてシール面を閉じる。そしてこの後流体が継続して供給されて、固定流路の上流側において流体圧がチェック弁のクラッキング圧力を上回ることによりチェック弁が開いて、下流側への流体の流動を許容するようにしている。
また特許文献2に示す先行技術例では、ハウジング内でフローティングシートを軸方向にスライドさせる構成において、フローティングシートの上流端がハウジングに設けられた嵌合凹部に嵌合した状態で流体供給孔が塞がれるような構造とし、流体供給開始時には嵌合凹部に嵌合して流体供給孔を塞いだ状態にあるフローティングシートに流体力を作用させ、これによりフローティングシートを下流側に移動させてシール面を閉じるようにしている。そしてフローティングシートの上流端が嵌合凹部から離脱することにより、流体供給孔が開放されて流体はフローティングシート内に設けられた流路を介して下流側へ流動する。
しかしながら上述の先行技術においては、機構の構成に起因して、それぞれ以下のような難点があった。まず特許文献1に示す先行技術例では、軸方向に移動自在に設けられた固定軸にさらにチェック弁を組み込むことから構造が複雑になるという難点とともに、流体供給に際してチェック弁が流路に介在することによる圧力損失が避けられず、ロータリジョイントの流量特性が低下するという課題があった。
また特許文献2に示す先行技術例では、流体供給動作の都度フローティングシートの上端部を嵌合凹部に嵌脱させる必要があることに起因して、以下のような不具合が生じていた。すなわち、フローティングシートは軸方向にスライド自在に保持されることから、径方向の位置ずれを生じることなく円滑にスライドさせることが困難であり、フローティングシートの嵌合時に正しく嵌合せずにハウジングに衝突する不具合が生じやすい。そしてこの位置ずれによる衝突を避けるために嵌合凹部との填め合い精度を緩くすると、嵌合状態においてフローティングシートに作用する流体力が不十分となり、所期の作用効果が得られない結果となる。
このように上述の先行技術例を含め、従来技術のロータリジョイントには、回転シール部に対して固定シール部を軸方向に移動させる構成において、固定シール部を確実に安定して移動させて動作不良やシール部材への衝撃を有効に防止し、さらに流体の外部への漏洩を抑えることが困難であるという課題があった。
そこで本発明は、固定シール部を確実に安定して移動させて動作不良やシール部材への衝撃を有効に防止し、流体の外部への漏洩を抑えることができるロータリジョイントを提供することを目的とする。
本発明のロータリジョイントは、軸方向の回転流路が設けられ回転軸に装着される回転部および軸方向の固定流路が設けられ保持部材に固定装着される固定部を同軸配置して成り、流体供給源から供給される流体を軸心廻りに回転する前記回転部の回転流路へ前記固定流路を介して送給するロータリジョイントであって、前記回転部に設けられ側端面に前記回転流路が開口した第1のシール面を有する回転シール部と、前記固定流路が前記軸方向に形成され前記保持部材に設けられた嵌合孔に前記軸方向の移動が許容された状態で嵌合する固定軸部を有し、一方側の側端面に前記固定流路が開口した第2のシール面を有する固定シール部と、前記固定流路を上流側流路および下流側流路に隔てる液密の隔壁部と、前記隔壁部の上流側および下流側に位置して設けられそれぞれ前記固定軸部の外周面に開口して前記上流側流路および下流側流路とそれぞれ連通する上流側開口および下流側開口と、前記嵌合孔の内周面に凹状に形成され前記上流側開口および下流側開口と連通可能な流路隙間とを備え、前記流体供給源から前記嵌合孔内へ前記流体を供給して前記固定流路の隔壁部に軸方向下流側の流体力を作用させることにより、前記固定軸部を下流側に移動させて前記第1のシール面と第2のシール面とが相互に密着した面シール部が形成され、前記流路隙間は、前記面シール部が形成された状態において前記上流側開口と下流側開口とをこの流路隙間を介して連通させ、前記第1のシール面と第2のシール面とが相互に離隔して前記面シール部が開放された状態において前記上流側開口および下流側開口の少なくともいずれか1つがこの流路隙間の形成範囲から外れるように設けられている。
本発明によれば、側端面に回転流路が開口した第1のシール面を有する回転シール部と、保持部材に設けられた嵌合孔に軸方向の移動が許容された状態で嵌合する固定軸部を有し、一方側の側端面に固定流路が開口した第2のシール面を有する固定シール部とを備え、流体供給源から嵌合孔内へ流体を供給して固定流路に軸方向下流側への流体力を作用させることにより、固定軸部を下流側に移動させて第1のシール面と第2のシール面とを相互に密着させて面シール部を形成する構成のロータリジョイントにおいて、固定流路を上流側流路および下流側流路に隔てる液密の隔壁部と、隔壁部の上流側および下流側に位置して設けられそれぞれ前記固定軸部の外周面に開口して上流側流路および下流側流路とそれぞれ連通する上流側開口および下流側開口と、嵌合孔の内周面に凹状に形成され上流側開口および下流側開口と連通可能な流路隙間とを設け、面シール部が形成された状態において上流側開口と下流側開口とをこの流路隙間を介して連通させ、面シール部が開放された状態において上流側開口および下流側開口の少なくともいずれか1つがこの流路隙間の形成範囲から外れて連通状態を遮断する構成とすることにより、固定シール部を確実に安定して移動させることができ、動作不良やシール部材への衝撃を有効に防止して流体の外部への漏洩を抑えることができる。
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、ロータリジョイント1の全体構成を説明する。図1において、ロータリジョイント1は、工作機械のスピンドル軸などの回転軸へ冷却用の流体を送給する流体供給機構に用いられるものであり、軸方向の回転流路が設けられた回転部1aおよび軸方向の固定流路が設けられた固定部1bを同軸配置して構成される。
回転部1aは回転軸であるスピンドル軸2の流路孔2aに締結されており、スピンドル軸2は、スピンドルに内蔵されたモータによって回転駆動されて軸心A廻りに回転するとともに、クランプ/アンクランプシリンダによって軸方向の進退動作を行う。また固定部1bはケーシング3に流路孔3bと連通して設けられた装着孔3aに、保持部材であるハウジング部材7を介して固定装着されており、スピンドル軸2が挿通するフレーム(図示省略)にボルトなどの締結手段によってケーシング3を着脱自在に締結することにより、固定部1bは回転部1aと同軸に配置される。流路孔3bには、流体供給源(図示省略)より液体クーラントや冷却用のエアなどの流体が送給される(矢印a)。
次に各部の詳細構造を説明する。回転部1aはスピンドル軸2に装着されたロータ4を主体としており、ロータ4は回転軸部4aの一方側の端部に回転軸部4aよりも外径が大きいフランジ部4bを設け、さらに軸心部に回転流路4eを軸方向に設けた形状となっている。回転軸部4aの外面には雄ねじ部4dが設けられており、流路孔2aの内面には雌ねじ部2bが設けられている。雄ねじ部4dを雌ねじ部2bに螺合させることにより、ロータ4はスピンドル軸2にねじ締結され、Oリング6によってねじ締結部が密封される。これにより、回転流路4eはスピンドル軸2の流路孔2aと連通する。
ロータ4の右側(固定部1bと対向する側)の側端面には、回転流路4eの開孔面を囲む配置で円形状の凹部4cが形成されており、凹部4cには第1のシールリング5が固定されている。第1のシールリング5はセラミックなどの耐摩耗性に富む硬質材料を、中央部に開口部5aを有する円環形状に成形したものであり、平滑面に仕上げられた第1のシール面5bを外面側にした状態で凹部4cに固定される。そしてこの状態では、回転流路4eは開口部5aと連通して第1のシール面5bに開口する。上記構成において、第1のシールリング5が固定されたロータ4は、回転部1aに設けられ側端面に回転流路4eが開口した第1のシール面5bを有する回転シール部となっている。
次に、ケーシング3に装着される固定部1bの構造を説明する。固定部1bは、フローティングシート8をハウジング部材7に装着した構成となっている。ケーシング3の装着面3cには流路孔3bと連通して設けられた装着孔3aが開口しており、装着孔3aには固定部1bの本体を構成する円筒形状のハウジング部材7から延出して設けられた嵌合凸部7eが嵌合する。そしてハウジング部材7は、装着面3cに設けられたねじ孔にボルトによって(図示省略)締結され(ボルト軸線B参照)、Oリング12によって装着孔3aへの嵌合部が密封される。
フローティングシート8は、一方側(図において回転部1aと対向する側)に円板形状のフランジ部8dが設けられ、他方側に固定流路8bが軸方向に貫通して形成された固定軸部8aを有する形状となっている。ここで、本実施の形態においては、固定軸部8aには液密の隔壁部8cが設けられており、固定流路8bは隔壁部8cによって上流側流路8b1および下流側流路8b2に隔てられている。そして、隔壁部8cの上流側および下流側に位置して、それぞれ複数(ここでは4つ)の上流側開口8f1、下流側開口8f2が設けられている。
上流側開口8f1、下流側開口8f2は、固定軸部8aの外周面に90度等配の放射状に開口して設けられており、上流側流路8b1および下流側流路8b2とそれぞれ連通する。上流側開口8f1、下流側開口8f2は、後述する流路隙間7dとともに上流側流路8b1と下流側流路8b2との連通状態を選択的に切り替える機能を有している。上流側開口8f1、下流側開口8f2の径寸法および個数は、固定流路8bの流路径やロータリジョイント1に求められる定格流量に基づいて決定される。
フランジ部8dの左側端面(回転部1aと対向する端面)には、固定流路8bの開孔面を囲む配置で円形状の凹部8eが形成されており、凹部8eには第2のシールリング9が固定されている。第2のシールリング9は第1のシールリング5と同様の硬質材料を中央部に開口部9aを有する円環形状に成形したものであり、平滑面に仕上げられた第2のシール面9bを外面側にした状態でフランジ部8dに固定される。そしてこの状態では、固定流路8bの下流側流路8b2は開口部9aと連通して第2のシール面9bに開口する。
固定軸部8aは、ハウジング部材7の中心部に軸方向に貫通して設けられた嵌合孔7a(図2参照)に、軸方向の移動が許容された状態で嵌合する。すなわち、嵌合孔7a、固定軸部8aの形状・寸法設定により、嵌合孔7aの内周面7bと固定軸部8aの外周面との間に所定の隙間寸法の摺動隙間が確保されるようになっている。ハウジング部材7の嵌合孔7aには、内周面7bから突出して廻り止めガイド用のガイドピン13が植設されており、ガイドピン13は固定軸部8aにおいて隔壁部8cの上流側の外周面に軸方向に設けられたガイド溝8gに嵌合している。
嵌合孔7aの内周面7bにはシール溝7cが形成されており、シール溝7cにはOリング11が嵌合している。これにより、固定軸部8aの摺動隙間からの流体の漏洩がシールされる。また嵌合孔7aの内周面7bには、シール溝7cの上流側に位置して、内周面7bを凹状に削り込んだ形状の流路隙間7dが、上流側開口8f1、下流側開口8f2と連通可能に形成されている。流路隙間7dの形成範囲は、図1に示す状態において上流側開口8f1が流路隙間7dの形成範囲から外れて上流側開口8f1と下流側開口8f2との連通を遮断し、図2に示す状態において上流側開口8f1、下流側開口8f2が流路隙間7dを介して連通するように設定されている。
なお、流路隙間7dの形成形態としては、内周面7bの全周にわたって連続した環状溝形状としてもよく、また内周面7bにおいて上流側開口8f1、下流側開口8f2の形成位置に対応して軸方向に形成された線状溝形状としてもよい。さらに複数の環状溝と線状溝とを組み合わせて、流路隙間7dとして所望の流路パターンを内周面7bに形成するようにしてもよい。そしてこの流路パターンを上流側開口8f1、下流側開口8f2と組み合わせることにより、上流側開口8f1と下流側開口8f2との連通/連通遮断の切替をより望ましい形態で行うことができる。
上記構成において第2のシールリング9が固定されたフローティングシート8は、固定流路8bが軸方向に形成され保持部材であるハウジング部材7に設けられた嵌合孔7aに軸方向の移動が許容された状態で嵌合する固定軸部8aを有し、側端面に固定流路8bが開口した第2のシール面9bを有する固定シール部となっている。なお本実施の形態においては、フローティングシート8を保持部材としてのハウジング部材7を介してケーシング3に装着する例を示しているが、ケーシング3にフローティングシート8を直接装着するようにしてもよい。この場合には保持部材としてのケーシング3に設けられた嵌合孔に、固定軸部8aを軸方向の移動が許容された状態で嵌合させる。
次に図2、図3を参照して、ロータリジョイント1の動作を説明する。まず図3(a)に示すように、固定軸部8aが上流側に位置している状態において、流路孔3bを介して嵌合孔7a内に流体供給源から供給対象の流体が送給される。これにより、この流体圧は固定軸部8aにおいて上流側の側端面および隔壁部8cの上流面に作用する。
このとき、上流側開口8f1は流路隙間7dの形成範囲から外れて、内周面7bによって覆われた位置にあって流動が制約された状態にあるため、上流側流路8b1内の流体圧は供給圧力と同レベルに保持され、この流体圧に作用面積を乗じた大きさの流体力Fが固定軸部8aに作用する。そしてこの流体力Fにより、固定軸部8aは嵌合孔7a内で下流側(回転部1a側)への移動を開始する。
このフローティングシート8の軸方向の移動において、ハウジング部材7の嵌合孔7aに植設されて内周面7bから突出するガイドピン13がガイド溝8gに嵌合した状態でフローティングシート8がスライドすることにより、フローティングシート8の軸方向の移動がガイドされるとともに、軸廻りの廻り止めが行われる。この移動開始においては、固定軸部8aに対して極力大きな駆動力を作用させることが望ましいが、本実施の形態においては、流体圧が供給圧力に保持されているとともに、隔壁部8cの存在により作用面積を増大させており、固定軸部8aを移動開始させるために十分な大きさの流体力Fを確保することが可能となっている。
この構成により、特許文献1に示す先行技術例のように、軸方向に移動自在に設けられた固定軸にさらにチェック弁を組み込むことによって移動開始時の駆動力を増大させる構成において生じていた不具合、すなわち回転シール機構の構造が複雑になるという難点とともに、流体供給に際してチェック弁が流路に介在することによる圧力損失に起因して流量特性が低下し、さらにチェック弁のチャタリングによる振動が避けられないという不具合を完全に解消することが可能となっている。
この後、固定軸部8aが下流側へ徐々に移動して、上流側開口8f1が流路隙間7dと連通するようになると、この連通度合いに応じた流量の流体が上流側流路8b1から上流側開口8f1を介して流路隙間7dに流動し、さらに下流側開口8f2を介して下流側流路8b2に流れる。これにより、上流側流路8b1内の流体の圧力は徐々に低下し、固定軸部8aに作用する流体力Fも同様に低下する。そして固定軸部8aが上流側開口8f1の径寸法を超えて移動して上流側開口8f1が完全に流路隙間7dと連通することにより、上流側流路8b1から上流側開口8f1を介して流路隙間7dに流動する流体の流量は定格流量に対応した最大流量となる。これ以降、この状態における上流側流路8b1内の流体の圧力に対応した一定の流体力Fが固定軸部8aが継続して作用する。
このようにして、固定軸部8aを下流側へ移動させてフローティングシート8をロータ4に接近させることにより、図2に示すように、第2のシール面9bと第1のシール面5bとを相互に密着させて、固定流路8bから軸廻りに回転状態の回転流路4eへ送給される流体の漏洩を防止する面シール部10が形成される。ロータリジョイント1を連続して作動させる過程においては、送給される流体の圧力によるフローティングシート8の進出と、スピンドル軸2の進退動作によって、面シール部10のシール面の接離が行われる。
すなわちフローティングシート8が後退して第1のシール面5bと第2のシール面9bとが相互に離隔した状態において、流体が流路孔3bに送給されることにより、嵌合孔7aにおいて流体力Fが固定軸部8aの上流側の側端面に作用して軸方向に押圧する。これにより、フローティングシート8が前進(矢印b方向)し、第1のシール面5bと第2のシール面9bとが当接して相互に密着した面シール部10が形成される。これにより、固定流路8bから回転状態の回転流路4eへの流体の送給が行われる。
そしてスピンドル軸2が固定部1bに対して相対的に前進(矢印e方向)することにより、フローティングシート8は後退(矢印c方向)し、フランジ部8dがハウジング部材7に近接した位置に復帰する。そしてこの状態からスピンドル軸2を相対的に後退(矢印d方向)させることにより、第1のシール面5bと第2のシール面9bとが相互に離隔した状態に戻る。
上述のロータリジョイント1の作動における面シール部10の形成のための固定軸部8aの移動動作では、Oリング11の固着などによる摺動抵抗に打ち勝つ駆動力が必要とされるが、本実施の形態では前述のように移動開始時に十分な大きさの流体力Fを作用させることが可能となっており、安定した移動動作が確保される。またこの移動開始時に何らかの原因によって固定軸部8aが固着するスティックが生じても、図3(a)に示すように固定軸部8aが移動していない状態では上流側開口8f1は内周面7bで覆われた状態にあることから、上流側流路8b1からの流体の漏れは、固定軸部8aの摺動隙間を介しての漏れに起因する最小流量に抑制される。
さらに本実施の形態においては、固定軸部8aの移動に伴って流体力Fが低減するようになっていることから、第2のシール面9bと第1のシール面5bとが流体力Fによって加速された状態で衝突することがない。したがって面シール部10の形成に際してシール面相互の当接時の衝撃が緩和され、第2のシール面9bと第1のシール面5bの繰り返し衝撃に起因する破損を有効に抑制することが可能となっている。
図3(b)は、このようにして面シール部10が形成された状態における固定軸部8aおよび上流側開口8f1、下流側開口8f2を示している。この状態では上流側開口8f1、下流側開口8f2のいずれもが完全に流路隙間7dの形成範囲に位置して流路隙間7dと連通する。これにより、上流側流路8b1内に供給された流体は、上流側開口8f1、流路隙間7dおよび下流側開口8f2を順次介して下流側流路8b2内に流入し(矢印f)、下流側流路8b2内を下流側へ流動する(矢印g)。すなわち上記構成において流路隙間7dは、面シール部10が形成された状態において上流側開口8f1と下流側開口8f2とを、流路隙間7dを介して連通させる形態となっている。
そして第1のシール面5bと第2のシール面9bとが相互に離隔して面シール部10が開放された状態においては、図1、図3(a)に示すように、上流側開口8f1は流路隙間7dの形成範囲から外れて、内周面7bによって覆われた状態となっている。なお本実施の形態では、面シール部10が開放された状態において上流側開口8f1が流路隙間7dの形成範囲から外れる例を示したが、本発明はこれには限定されず、上流側開口8f1と下流側開口8f2との連通状態を遮断する形態であればよい。
例えば面シール部10が開放された状態において、下流側開口8f2のみが流路隙間7dの形成範囲から外れるように、上流側開口8f1、下流側開口8f2および流路隙間7dの位置、形状を設定してもよく、また上流側開口8f1、下流側開口8f2のいずれもが流路隙間7dの形成範囲から外れるように、上流側開口8f1、下流側開口8f2および流路隙間7dの位置、形状を設定してもよい。すなわち面シール部10が開放された状態において、上流側開口8f1、下流側開口8f2の少なくともいずれか1つが流路隙間7dの形成範囲から外れるようにする。
図4は、面シール部10が形成された状態におけるフローティングシート8の装着状態を示している。すなわち、本実施の形態に示すロータリジョイント1の構成によれば、固定軸部8aの上流側の端部は常にハウジング部材7の嵌合孔7aに嵌合した状態にあることから、固定軸部8aが嵌合孔7aに嵌合して内周面7bによって支持される支持長さL1を極力大きく確保することが可能となっている。このため、固定軸部8aがハウジング部材7から突出して片持ち状態となっているオーバハング長さL2との比率(L1/L2)が大きくなり、固定軸部8aが内周面7bに嵌合する摺動隙間に起因してフローティングシート8の先端部に生じる振れ変位を抑制して、面シール部10におけるシール面の密着安定性を向上させることができる。
これにより、特許文献2に示す先行技術例において生じていた以下のような不具合を有効に解消することが可能となっている。すなわち先行技術例では、流体供給動作の都度フローティングシートの上端部を嵌合凹部に嵌脱させる構成に起因して、上端部が嵌合凹部から離脱した状態ではフローティングシートの支持長さが制約され、フローティングシートが片持ち状態で突出するオーバハング長さとの比率が本実施の形態におけるものよりも必然的に小さくなる。したがってフローティングシートの先端部に生じる振れ変位を抑制することが困難で、シール面の密着安定性を確保することが困難であった。
上記説明したように本実施の形態に示すロータリジョイント1は、軸方向の回転流路4eが設けられたロータ4および軸方向の固定流路8bが設けられたフローティングシート8を同軸配置し、ロータ4の第1のシール面5bとフローティングシート8の第2のシール面9bとを密着させて面シール部10を形成する構成において、固定流路8bを上流側流路8b1および下流側流路8b2に隔てる液密の隔壁部8cと、隔壁部8cの上流側および下流側に位置して設けられそれぞれ固定軸部8aの外周面に開口して上流側流路8b1および下流側流路8b2とそれぞれ連通する上流側開口8f1および下流側開口8f2と、嵌合孔7aの内周面7bに凹状に形成され上流側開口8f1および下流側開口8f2と連通可能な流路隙間7dとを設け、面シール部10が形成された状態において上流側開口8f1と下流側開口8f2とを流路隙間7dを介して連通させ、面シール部10が開放された状態において上流側開口8f1および下流側開口8f2の少なくともいずれか1つが、流路隙間7dの形成範囲から外れて連通状態を遮断する構成としている。
これにより、ロータリジョイント1の動作時に固定シール部であるフローティングシート8を確実に安定して移動させることができ、前述のような先行技術例における課題や不具合、すなわち動作不良や面シール部10のシール部材への衝撃を有効に防止して流体の外部への漏洩を抑えることができる。
本発明のロータリジョイントは、固定シール部を確実に安定して移動させることができ、動作不良やシール部材への衝撃を有効に防止して流体の外部への漏洩を抑えることができるという特徴を有し、工作機械の主軸などの回転部に液体クーラントやエアなどの流体を送給する用途に有用である。
1 ロータリジョイント
1a 回転部
1b 固定部
2 スピンドル軸
3 ケーシング部材
4 ロータ
4e 回転流路
5 第1のシールリング
5b 第1のシール面
7 ハウジング部材
7a 嵌合孔
7b 内周面
7d 流路隙間
8 フローティングシート
8a 固定軸部
8b 固定流路
8b1 上流側流路
8b2 下流側流路
8c 隔壁部
8f1 上流側開口
8f2 下流側開口
9 第2のシールリング
9b 第2のシール面
10 面シール部
1a 回転部
1b 固定部
2 スピンドル軸
3 ケーシング部材
4 ロータ
4e 回転流路
5 第1のシールリング
5b 第1のシール面
7 ハウジング部材
7a 嵌合孔
7b 内周面
7d 流路隙間
8 フローティングシート
8a 固定軸部
8b 固定流路
8b1 上流側流路
8b2 下流側流路
8c 隔壁部
8f1 上流側開口
8f2 下流側開口
9 第2のシールリング
9b 第2のシール面
10 面シール部
Claims (1)
- 軸方向の回転流路が設けられ回転軸に装着される回転部および軸方向の固定流路が設けられ保持部材に固定装着される固定部を同軸配置して成り、流体供給源から供給される流体を軸心廻りに回転する前記回転部の回転流路へ前記固定流路を介して送給するロータリジョイントであって、
前記回転部に設けられ側端面に前記回転流路が開口した第1のシール面を有する回転シール部と、
前記固定流路が前記軸方向に形成され前記保持部材に設けられた嵌合孔に前記軸方向の移動が許容された状態で嵌合する固定軸部を有し、一方側の側端面に前記固定流路が開口した第2のシール面を有する固定シール部と、
前記固定流路を上流側流路および下流側流路に隔てる液密の隔壁部と、
前記隔壁部の上流側および下流側に位置して設けられそれぞれ前記固定軸部の外周面に開口して前記上流側流路および下流側流路とそれぞれ連通する上流側開口および下流側開口と、
前記嵌合孔の内周面に凹状に形成され前記上流側開口および下流側開口と連通可能な流路隙間とを備え、
前記流体供給源から前記嵌合孔内へ前記流体を供給して前記固定流路の隔壁部に軸方向下流側の流体力を作用させることにより、前記固定軸部を下流側に移動させて前記第1のシール面と第2のシール面とが相互に密着した面シール部が形成され、
前記流路隙間は、前記面シール部が形成された状態において前記上流側開口と下流側開口とをこの流路隙間を介して連通させ、前記第1のシール面と第2のシール面とが相互に離隔して前記面シール部が開放された状態において前記上流側開口および下流側開口の少なくともいずれか1つがこの流路隙間の形成範囲から外れるように設けられていることを特徴とするロータリジョイント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012034200A JP2013170612A (ja) | 2012-02-20 | 2012-02-20 | ロータリジョイント |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012034200A JP2013170612A (ja) | 2012-02-20 | 2012-02-20 | ロータリジョイント |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013170612A true JP2013170612A (ja) | 2013-09-02 |
Family
ID=49264692
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2012034200A Pending JP2013170612A (ja) | 2012-02-20 | 2012-02-20 | ロータリジョイント |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013170612A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3076061A4 (en) * | 2013-11-28 | 2017-08-23 | Rix Corporation | Rotary joint |
-
2012
- 2012-02-20 JP JP2012034200A patent/JP2013170612A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP3076061A4 (en) * | 2013-11-28 | 2017-08-23 | Rix Corporation | Rotary joint |
US10465826B2 (en) | 2013-11-28 | 2019-11-05 | Rix Corporation | Rotary joint |
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