JP2013170060A - 鉄線がい装ケーブルの送り出し装置 - Google Patents

Abstract

【課題】鉄線がい装ケーブル１に上下から無限軌道帯３を押し付け、無限軌道帯を周回移動させることにより鉄線がい装ケーブルを送り出す装置において、無限軌道帯３と鉄線がい装ケーブル１の接触長さを長くすることなく、無限軌道帯と鉄線がい装ケーブルの摩擦力を増大させる。
【解決手段】無限軌道帯３が鉄線がい装ケーブル１に接触する区間内の無限軌道帯３の内周側に、無限軌道帯３に沿って鉄製剛性部材１１を配置し、この剛性部材１１の無限軌道帯３と反対側の面に電磁石１２を取り付け、無限軌道帯３を鉄線がい装ケーブル１に機械的に押し付ける力に加え、電磁石１２の磁力により鉄線がい装ケーブル１の鉄線１ａを無限軌道帯３側に引き付ける力を発生させて、無限軌道帯３と鉄線がい装ケーブル１の摩擦力を増大させる。
【選択図】図１

Description

本発明は、海底ケーブルのような鉄線がい装を有するケーブルの送り出し装置に関するものである。

海底ケーブルを布設する場合には、布設船上に設置したケーブル送り出し装置により、ケーブルの張力を調整しながら海中に送り出す。ケーブル送り出し装置は通常、ケーブルを上下から挟み付ける二つの無限軌道ユニットで構成される。二つの無限軌道ユニットはそれぞれ、無限軌道帯と、それを周回移動させるスプロケットと、無限軌道帯をケーブルに押し付ける押し付け機構を備えている（特許文献１参照）。無限軌道帯をケーブルに押し付けると、ケーブルを引き抜こうとする力（張力）に対して両者間に強い摩擦力が発生するので、この摩擦力でケーブルに加わる張力に対抗する。無限軌道帯のケーブルと接触する面はケーブルとの摩擦を大きくするためゴムで構成されている。

実公平３−３８２０６号公報

従来のケーブル送り出し装置はケーブルと無限軌道帯の摩擦力でケーブルにかかる張力に対抗している。このため、例えば海が深くケーブルにかかる張力が高くなるときは、ケーブルと無限軌道帯の摩擦力を大きくする必要があり、そのためには無限軌道帯をケーブルに押し付ける押し付け圧力を高くする必要がある。

ところが、押し付け圧力を高くすると、ケーブルに加わる側圧が高くなり、許容側圧を超えてしまう（ケーブルが潰れる）おそれがある。この問題を解決するためには、無限軌道帯とケーブルの接触長さを長くすればよい。

しかし、無限軌道帯とケーブルの接触長さを長くすると、送り出し装置が大型化し、(1)送り出し装置の製造費用が高くなる、(2)送り出し装置の運搬が困難になり、運搬費用が高くなる、(3)布設船上の設置スペースが長くなり、布設船が大型化する、等の問題がある。

本発明の目的は、無限軌道帯とケーブルの接触長さを長くしなくても、無限軌道帯とケーブルの摩擦力を増大させることのできるケーブル送り出し装置を提供することにある。

海底ケーブルは一般に鉄線がい装を有している。本発明はこの鉄線がい装が磁性体であることに着目して摩擦力を増大させる手段を創出したものである。

すなわち、本発明は、鉄線がい装ケーブルに両側から無限軌道帯を押し付け、無限軌道帯を周回移動させることにより鉄線がい装ケーブルを送り出す装置において、
前記無限軌道帯が鉄線がい装ケーブルに接触する区間内の無限軌道帯の内周側に、無限軌道帯に沿って鉄製剛性部材を配置し、この剛性部材の無限軌道帯と反対側の面に電磁石を取り付け、
前記無限軌道帯を鉄線がい装ケーブルに機械的に押し付ける力に加え、前記電磁石の磁力により鉄線がい装ケーブルの鉄線を無限軌道帯側に引き付ける力を発生させて、無限軌道帯と鉄線がい装ケーブルの摩擦力を増大させたことを特徴とするものである。

また、本発明に係るケーブル送り出し装置は、無限軌道帯を鉄線がい装ケーブルに押し付けるレールが、無限軌道帯の幅方向中央部に間隔をあけて２本設けられ、この２本のレールの間に無限軌道帯に接近させて鉄製剛性部材が配置されているものであることが好ましい。

本発明によれば、無限軌道帯を鉄線がい装ケーブルに機械的に押し付けることにより従来と同様に無限軌道帯と鉄線がい装ケーブル間に摩擦力を発生させ、その上で、電磁石により鉄線がい装ケーブルの鉄線を無限軌道帯側に引き付けることにより無限軌道帯と鉄線がい装ケーブル間に摩擦力を発生させたので、無限軌道帯と鉄線がい装ケーブルの接触長さを従来と同じとすれば、従来より高いケーブル張力に対抗することができる。したがって送り出し装置の大型化を回避することができ、経済的メリットは大である。

また、無限軌道帯を鉄線がい装ケーブルに押し付けるレールを２本設け、この２本のレールの間に鉄製剛性部材が配置すれば、鉄製剛性部材を組み込むことによる装置の大型化を回避することができる。

本発明に係る鉄線がい装ケーブル送り出し装置の一実施例を示す全体構成図。 図１のＡ−Ａ線における断面図。

図１及び図２は本発明の一実施例を示す。ケーブル送り出し装置は、海底ケーブル布設船上に設置され、鉄線がい装ケーブル１を、その張力を調整しながら海中に送り出すものである。このケーブル送り出し装置は、ケーブル１を上下あるいは左右から挟み付ける二組の無限軌道ユニット２Ａ、２Ｂを備えている。二組の無限軌道ユニット２Ａ、２Ｂはそれぞれ、無限軌道帯３と、それを回転させるスプロケット４と、無限軌道帯３をケーブル１に押し付ける押し付け機構５を備えている。

無限軌道帯３は、無限軌道帯３の幅方向に間隔をあけて平行に配置された２本のループ状ローラーチェーン６を有しており、その２本のローラーチェーン６の外周面側に、２本のローラーチェーン６に跨って、多数のコマ７を取り付けたものである。コマ７はローラーチェーン６側が鉄製のコマ本体７ａで形成され、鉄線がい装ケーブル１に接する面が硬質ゴム層７ａで形成されている。ローラーチェーン６はループの内周面側に各コマ７毎に複数のローラー６ａを有している。

無限軌道帯３のローラーチェーン６はスプロケット４の歯８と噛み合っており、これによりスプロケット４をモーター（図示せず）で回転駆動すると、無限軌道帯３が周回移動するようになっている。

押し付け機構５は、ローラーチェーン６の直線部分の内側に配置されている。押し付け機構５は、ローラーチェーン６のローラー６ａを案内する平行な２本のレール９と、２本のレール９を一体化する連結板１０とで構成されている。連結板１０はレール９の長さ方向に間欠的に設けられている。押し付け機構５は、図示しないエアシリンダー又は油圧シリンダー等により無限軌道帯３をケーブル１に押し付け、ケーブル１と無限軌道帯３の間に摩擦力を発生させる。従来はこの摩擦力だけでケーブル１に加わる張力に対抗していた。

このケーブル送り出し装置はさらに摩擦力を高めるため、無限軌道帯３が鉄線がい装ケーブル１に接触する区間内の、無限軌道帯３の内周側に、無限軌道帯３に沿って鉄製剛性部材１１を配置し、この剛性部材１１の外側に電磁石１２を取り付けたものである。電磁石１２は連結板１０のない箇所に取り付けられる。鉄製剛性部材１１は、２本のレール９の間に、無限軌道帯３のコマ７に出来るだけ接近させて（接触しないように）配置されている。これは、鉄製剛性部材１１がコマ７と接触すると磁力が加わったときに鉄製剛性部材１１にコマ７が吸い付いてしまい、無限軌道帯３の周回移動が阻害されるからである。

鉄線がい装ケーブル１は、外周の鉄線がい装１ａが磁性体であるため、電磁石１２を励磁すると、鉄線がい装１ａが磁力でコマ７に引き付けられるため、鉄線がい装ケーブル１と無限軌道帯３との間に摩擦力が発生する。

このようにこの送り出し装置は、無限軌道帯３を鉄線がい装ケーブル１に機械的に押し付ける力に加え、電磁石１２の磁力により鉄線がい装ケーブル１の鉄線１ａを無限軌道帯３側に引き付ける力を発生させて、無限軌道帯３と鉄線がい装ケーブル１の摩擦力を増大させたので、無限軌道帯３と鉄線がい装ケーブル１の接触長さを従来と同じとすれば、従来より高いケーブル張力に対抗することができる。

１：鉄線がい装ケーブル
１ａ：鉄線
２Ａ、２Ｂ：無限軌道ユニット
３：無限軌道帯
４：スプロケット
５：押し付け機構
６：ローラーチェーン
６ａ：ローラー
７：コマ
７ａ：鉄製のコマ本体
７ｂ：硬質ゴム層
８：歯
９：レール
１０：連結板
１１：鉄製剛性部材
１２：電磁石

Claims (2)

1. 鉄線がい装ケーブルに両側から無限軌道帯を押し付け、無限軌道帯を回転させることにより鉄線がい装ケーブルを送り出す装置において、
   前記無限軌道帯が鉄線がい装ケーブルに接触する区間内の無限軌道帯の内周側に、無限軌道帯に沿って鉄製製剛性部材を配置し、この剛性部材の無限軌道帯と反対側の面に電磁石を取り付け、
   前記無限軌道帯を鉄線がい装ケーブルに機械的に押し付ける力に加え、前記電磁石の磁力により鉄線がい装ケーブルの鉄線を無限軌道帯側に引き付ける力を発生させて、無限軌道帯と鉄線がい装ケーブルの摩擦力を増大させたことを特徴とする鉄線がい装ケーブルの送り出し装置。
2. 無限軌道帯を鉄線がい装ケーブルに押し付けるレールが、無限軌道帯の幅方向中央部に間隔をあけて２本設けられ、この２本のレールの間に無限軌道帯に接近させて鉄製剛性部材が配置されていることを特徴とする請求項１記載の鉄線がい装ケーブルの送り出し装置。

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