JP2013169714A - 赤外線抑制物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】赤外線抑制物品の赤外線抑制性能が得られる新しい構成を提供する。
【解決手段】赤外線抑制物品10は、基材1上に形成された可視光透過性および赤外線反射性を示す積層構造2が、低屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含む低屈折率層2L、および、高屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含む高屈折率層2Hが、最外層のうち少なくとも一方の層を高屈折率層にして、両屈折率層の合計数が3以上となるように交互に積層され、しかも、最外層のうち一方の層における高屈折率層を、高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質と、結着用高分子化合物とを含む赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線抑制物品に関する。
近年、地球温暖化対策の重要性が認識され、その原因とされる温室効果ガスの一種である二酸化炭素の排出を抑える低炭素社会の実現に向けた動きが広がってきている。そして、その多方面におよぶ取り組みのなか、赤外線抑制物品が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
赤外線抑制物品としては、これを建築物や乗り物の窓ガラスに貼り付けた場合、窓ガラスを透しての透視性は確保しつつ、太陽光中に含まれる赤外線が、屋外から屋内へ進入するのを抑制することで、夏場においては冷房効率を向上させることができるものがある。
前記特許文献1および特許文献2では、アンチモンドープ酸化スズ(ATOとも言う)や、スズドープ酸化インジウム(ITOとも言う)等のような透明導電性金属酸化物、六ホウ化ランタンのような六ホウ化物等の粒子を赤外線吸収性物質として含む樹脂組成物を、塗料として基材に塗布したり、或いは押し出し成形法などで製膜したりした、赤外線抑制物品を提案している。
特表2009−505871号公報 特開2003−327717号公報
以上のような技術的背景のもと、地球温暖化対策の重要性が認識されるにつれて、低コストで優れた性能の赤外線抑制物品が望まれるようになってきている。
そこで、本発明は、赤外線抑制物品の赤外線抑制性能が得られる新しい構成を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明では、以下の構成の赤外線抑制物品とした。
すなわち、本発明に係る赤外線抑制物品は、基材と、前記基材上に形成され、可視光透過性および赤外線反射性を示す積層構造と、を有し、
前記積層構造は、低屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含む1層以上の層からなる低屈折率層、および、屈折率が前記低屈折率粒子の屈折率よりも高い高屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含む1層以上の層からなる高屈折率層が、
最外層のうち少なくとも一方の層を前記高屈折率層にして、前記低屈折率層および前記高屈折率層の両屈折率層の合計数が3以上となるように交互に積層され、
前記最外層のうち一方の層における前記高屈折率層が、前記高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質と、結着用高分子化合物と、を含む赤外線吸収性を示す高屈折率層である、
構成の赤外線抑制物品とした。
本発明に係る赤外線抑制物品によれば、赤外線抑制性能を、赤外線に対する吸収性以外に反射性も利用して、吸収性および反射性を、赤外線抑制に寄与する粒子と、結着用高分子化合物とを含む層を用い、なおかつ、吸収性に寄与する層を反射性に寄与する層の一部に兼用させた新しい構成によって、得ることができるという効果を奏する。
本発明に係る赤外線抑制物品の一実施形態例を説明する断面図。 本発明に係る赤外線抑制物品を製造する方法の一例を説明する断面図。
以下、本発明に係る赤外線抑制物品を詳述する。
本発明に係る赤外線抑制物品は、基材と、前記基材上に形成され、可視光透過性および赤外線反射性を示す積層構造と、を有し、
前記積層構造は、低屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含む1層以上の層からなる低屈折率層、および、屈折率が前記低屈折率粒子の屈折率よりも高い高屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含む1層以上の層からなる高屈折率層が、
最外層のうち少なくとも一方の層を前記高屈折率層にして、前記低屈折率層および前記高屈折率層の両屈折率層の合計数が3以上となるように交互に積層され、
前記最外層のうち一方の層における前記高屈折率層が、前記高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質と、結着用高分子化合物と、を含む赤外線吸収性を示す高屈折率層である、構成の赤外線抑制物品である。
次に、本発明に係る赤外線抑制物品を図面を参照して説明する。本発明の説明において、図面は概念図であり、説明上の都合に応じて適宜、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
図1は、本発明に係る赤外線抑制物品の一実施形態例を説明する断面図である。同図に示す赤外線抑制物品10は、基材1と、前記基材1上に形成され、可視光透過性および赤外線反射性を示す積層構造2と、を有する。
前記積層構造2は、低屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含む1層以上の層からなる低屈折率層2L、および、屈折率が前記低屈折率粒子の屈折率よりも高い高屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含む1層以上の層からなる高屈折率層2Hが、最外層のうち少なくとも一方の層を前記高屈折率層2Hにして、前記低屈折率層2Lおよび前記高屈折率層2Hの両屈折率層の合計数が3以上となるように交互に積層され、しかも、前記最外層のうち一方の層における前記高屈折率層2Hが、前記高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質と、結着用高分子化合物と、を含む赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirである、構成をしている。
前記低屈折率粒子、前記高屈折率粒子、および、前記高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質は、いずれも赤外線抑制に寄与する粒子である。前記赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirが赤外線吸収性に寄与する層となっており、前記低屈折率層2Lおよび高屈折率層2Hが赤外線反射性に寄与する層となっており、さらに、前記赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirは、赤外線反射性に寄与する高屈折率層2Hの一部の層を兼ねている。
同図に示す赤外線抑制物品10は、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirは、積層構造2の最外層のうち、基材1から遠い方の、図面で言うと上側の最外層となる高屈折率層2Hとして形成された形態例である。
同図に示す赤外線抑制物品10では、積層構造2の最外層のうち、基材1から近い方の、図面で言うと下側の最外層は、高屈折率層2Hおよび低屈折率層2Lのうち、いずれでもよい。なお、同図では、積層構造2の最外層を除く内側の層の一部は、破線で示すように、図示を省略してある。
こうした構成の赤外線抑制物品10とすることによって、赤外線抑制性能を、赤外線に対する吸収性以外に反射性も利用して、吸収性および反射性を、赤外線抑制に寄与する粒子と、結着用高分子化合物とを含む層を用い、なおかつ、吸収性に寄与する層を反射性に寄与する層の一部に兼用させた新しい構成によって、得ることができるという効果を奏する。
〔A〕赤外線抑制物品
以下、本発明に係る赤外線抑制物品10を、構成要素毎にさらに詳述する。
《基材1》
基材1は、積層構造2を支持することで、赤外線抑制物品10全体としての機械的強度を高める機能を有し得る層である。基材1としては、積層構造2を支持可能なものであれば、特に制限はない。例えば、基材1としては、樹脂フィルムを用いることができる。
基材1に、例えば前記樹脂フィルムのように、樹脂が用いられる場合、その樹脂としては、特に制限はなく、用途及び要求仕様に応じたものを用いることができる。例えば、前記樹脂としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、などである。具体例を示せば、ポリエステル系樹脂の一種であるポリエチレンテレフタレートは、機械的強度、可視光透明性、コストなどの点で好適な樹脂の一種である。
基材1の厚みは、用途及び要求仕様に応じたものとすれば良く、特に制限はない。基材1の厚みは、例えば基材1が樹脂フィルムである場合は、10〜300μmとすることができる。
前記「フィルム」とは、形状が長尺のもの、或いは長尺ではない枚葉のものも含めて、ロールに巻き取り可能な柔軟性を有するものの意味であるとすることができる。
前記「ロールに巻き取り可能」とは、基材1を外径450mmの巻き芯に巻き取り可能な意味であるとすることができる。外径450mmは、巻き芯の寸法表示で慣用的なインチ表示で約18インチに該当する。外径450mm未満の巻き芯、例えば外径150mmの巻き芯に巻き取り可能な基材1は、当然、外径450mmの巻き芯に巻き取り可能である。
よって、「フィルム」をロールに巻き取り可能な柔軟性を有するものと定義した場合、本発明においては、例えば「シート」などは「フィルム」と単に呼称上の相違だけのものとして扱い、呼称のみでこれらの意味を区別しない。
上記フィルムの定義において、基材1はフィルムであることが好ましい。基材1がフィルムであれば、帯状をしたフィルムを基材1に用いることによって、赤外線抑制物品10を生産性良く製造でき、製造コストの点で有利な「赤外線抑制フィルム」とすることが出来るからである。
基材1は、可視光において透明であることが好ましい。言い換えると、基材1は可視光透過性を示すことが好ましい。可視光における基材1の透明性は、JIS R3106(1998年版)に準拠して測定される可視光透過率が50%以上であることが好ましい。可視光透過率が50%未満であると、例えば、赤外線抑制物品10を窓ガラスに貼り付けたときに、窓ガラスとして期待される透視性が損なわれる可能性があるからである。この点において、前記可視光透過率は、より好ましくは70%以上である。
基材1は、その表面が、積層構造2など他層に対する密着性が不足する場合に、この密着性を向上させる為に、公知の密着強化処理が施されていても良い。前記密着強化処理としては、例えば、コロナ放電処理、プライマー層の形成、プラズマ照射処理、オゾン処理などが挙げられる。
《積層構造2》
積層構造2は、基材1上に形成され、可視光透過性および赤外線反射性を示す。積層構造2は、低屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含む1層以上の層からなる低屈折率層2L、および、屈折率が前記低屈折率粒子の屈折率よりも高い高屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含む1層以上の層からなる高屈折率層2Hが、最外層のうち少なくとも一方の層を前記高屈折率層2Hにして、前記低屈折率層2Lおよび前記高屈折率層2Hの両屈折率層の合計数が3以上となるように交互に積層され、しかも、前記最外層のうち一方の層における前記高屈折率層2Hが、前記高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質と、結着用高分子化合物と、を含む赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirである、構成をしている。
(可視光透過性)
積層構造2が示す前記可視光透過性は、大きいほど優れており好ましい。前記可視光透過性は、JIS R3106(1998年版)に準拠して測定される可視光透過率によって評価することができる。前記可視光透過性は、前記可視光透過率で好ましくは10%以上であり、より好ましくは50%以上である。前記可視光透過率が前記値未満であると、用途に応じて必要となる赤外線抑制物品10に対する透視性を充分に満足させることが出来なくなる可能性があるからである。
(赤外線反射性)
積層構造2が示す前記赤外線反射性は、大きいほど優れており好ましい。前記赤外線反射性は、JIS R3106(1998年版)に準拠して測定される分光反射率によって評価することができる。前記赤外線反射性は、前記分光反射率が、赤外線のうち波長780〜2500nmの帯域中で、最低限、50nm以上の帯域に亘って10%以上となる反射特性を示すことが好ましい。この反射特性を示さないと、赤外線抑制性能を効果的に得ることができない可能性があるからである。
前記分光反射率は、好ましくは20%以上であり、より好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは40%以上である。前記分光反射率が前記値未満であると、赤外線抑制物品10の赤外線抑制性能を充分に満足させることが出来なくなる可能性があるからである。
前記分光反射率が得られる波長帯域は、好ましくは100nm以上であり、より好ましくは200nm以上であり、さらに好ましくは300nm以上である。前記分光反射率が得られる波長帯域が、前記範囲未満であると、赤外線抑制物品10の赤外線抑制性能を充分に満足させることが出来なくなる可能性があるからである。
(低屈折率層2Lと高屈折率層2Hとの屈折率差)
積層構造2を構成する低屈折率層2Lおよび高屈折率層2Hは、互いにその屈折率が異なる。低屈折率層2Lの屈折率は、高屈折率層2Hの屈折率よりも低く、高屈折率層2Hの屈折率は低屈折率層2Lの屈折率よりも高い。低屈折率層2Lが示す屈折率と高屈折率層2Hが示す屈折率との屈折率差は、低屈折率層2Lが低屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含み、高屈折率層2Hが高屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含む層である、ことによってもたらされる。
低屈折率層2Lと高屈折率層2Hとの屈折率差は、大きいほど、低屈折率層2Lと高屈折率層2Hとの界面で生じる、赤外線反射を強くでき、積層構造2が示す赤外線反射特性による赤外線抑制性能を大きくできる。前記屈折率差は、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.1以上である。前記屈折率差が前記値未満であると、積層構造2によって、充分な赤外線反射性を得ることが出来ない可能性があるからである。

(交互の積層とは)
積層構造2は、最外層のうち少なくとも一方の層を前記高屈折率層2Hにして、前記低屈折率層2Lおよび前記高屈折率層2Hの両屈折率層の合計数が3以上となるように交互に積層された構造を含む。
こうした積層構造2を、具体例で説明すれば、低屈折率層2Lおよび高屈折率層2Hの両屈折率層の合計数が3の場合、
[低屈折率層2L/高屈折率層2H/低屈折率層2L]は本積層構造2に該当せず、
[高屈折率層2H/低屈折率層2L/高屈折率層2H]は本積層構造2に該当する。
ここで、記号「/」はこの前後の層、言い換えると、この記号の左右の層が、互いに積層されていることを示す。記号「[」は、この後の、言い換えると、この記号の右側の層が最外層であることを示す。記号「]」は、この前の、言い換えると、この記号の左側の層が最外層であることを示す。
ここでの、交互の積層に関する説明では、最外層となる高屈折率層2Hの一方が赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirであることは、無視して、これも含めて単に高屈折率層2Hと表記する。
(1層以上の層からなるとは)
1層以上の層からなる低屈折率層2L、および、1層以上の層からなる高屈折率層2H、において、「1層以上の層からなる」の意味は、低屈折率層2Lの場合で言えば、この低屈折率層2Lが、単層構成であるか、或いは、2層以上の層からなる複層構成であることを意味する。高屈折率層2Hの場合も、低屈折率層2Lの場合と同様である。
以下、さらに具体的に説明する。ここでは、或る低屈折率層2Lが2層からなる2層構成であり、この2層のそれぞれを「La」と「Lb」とで表わし、この「La」および「Lb」の2層からなる低屈折率層2Lを「L」で表わし、高屈折率層2Hを「H」で表わすことにする。
すると、前記交互の積層の説明で例示した、
[高屈折率層2H/低屈折率層2L/高屈折率層2H]の積層構造2は、
[H/L/H]であるが、これは[H/La/Lb/H]でもある。LaおよびLbをHと対等の層として扱い、かつ、Lと見なしてLで表記した場合、前記[H/La/Lb/H]は、[H/L/L/H]と見なせ、HとLとが交互に積層している積層構造2とは言えない。しかし、本発明においては、前記[H/L/L/H]中の「L/L」の部分は、Hから見れば光学的に同じ低屈折率の層L同士が積層しているのであるから、Lが何層積層されていたとしても、これらをまとめて1層のLと見なす。HとLとの界面における屈折率差によって生じる赤外線の反射現象によって、積層構造2が赤外線反射性を示す点において、[H/La/Lb/H]は、[H/L/H]として扱うことができるからである。
ここで、2層以上の層からなる低屈折率層2L、或いは、2層以上の層からなる高屈折率層2H、の例としては、例えば、同じ塗料で2回重ね塗りして形成された2層を挙げることができる。
(両屈折率層の合計数)
積層構造2における、両屈折率層の合計数は大きい方が、低屈折率層2Lと高屈折率層2Hとの界面の数が増して、この界面による赤外線の反射を増強することができる。
前記合計数、つまり、低屈折率層2Lおよび高屈折率層2Hの両屈折率層の合計数は、前記高屈折率層2Hに赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirも含めて数えて、3以上であれば、上限は特に制限はない。両屈折率層の合計数は、前記屈折率差、用途及び要求仕様、並びに製造コストなどを勘案して、適宜な数に設定される。
このような観点から、両屈折率層の合計数は、好ましくは3〜15であり、より好ましくは5〜8である。合計数が前記範囲未満であると、赤外線抑制物品10の赤外線抑制性能を充分に満足させることが出来なくなる可能性があるからである。また、合計数が前記範囲を超えると、赤外線抑制物品10の製造コストが高くなりすぎる可能性があるからである。
(厚み)
積層構造2を構成する、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirを除く高屈折率層2H、及び低屈折率層2Lのそれぞれの厚みは、積層構造2が赤外線反射性を示すことができる厚みであれば特に制限はない。例えば、前記厚みは200〜1000nmとすることができる。前記厚みが薄すぎると積層構造2による赤外線反射性を充分に発揮できなくなる可能性があり、前記厚みが厚すぎても積層構造2による赤外線反射性を充分に発揮できなくなる可能性があるからである。
(界面)
本発明において、積層構造2における低屈折率層2Lと高屈折率層2Hとの界面は、低屈折率層2Lおよび高屈折率層2Hとの屈折率差に起因して赤外線を反射する界面であり、屈折率差が大きいほど反射率は高くなる。前記界面の目的は赤外線の反射であり、低屈折率層2Lおよび高屈折率層2Hの屈折率差に起因する赤外線の反射が生じるのであれば、低屈折率層2Lと高屈折率層2Hとの界面において、他の層が存在していても良い。言い換えると、低屈折率層2Lと高屈折率層2Hとの間には、低屈折率層2Lおよび高屈折率層2Hの屈折率差に起因する赤外線の反射現象が生じる範囲内において他の層が存在してもよい。このような他の層は、例えば原子1分子程度の単分子層、或いは厚み方向に10原子ほどの層など、10nm以下の厚みの層などである。
以下、積層構造2について、低屈折率層2L、高屈折率層2H、および高屈折率層2Hの一部である赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirについて説明する。
〔低屈折率層2L〕
低屈折率層2Lは、低屈折率粒子と結着用高分子化合物を含む1層以上の層からなる層である。
[低屈折率粒子]
低屈折率粒子は、高屈折率層2Hに含まれる高屈折率粒子の屈折率よりも低い屈折率を示す粒子である。低屈折率粒子としては、相対的に、高屈折率粒子の屈折率よりも低い屈折率を示す粒子であれば、特に制限はない。
前記低屈折率粒子としては、例えば、酸化ケイ素、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム、などの無機化合物粒子を用いることができる。
低屈折率粒子の粒子径は、凝集していない一次粒子の粒子径で、例えば、1〜500nm、好ましくは2〜200nm、より好ましくは3〜100nm、さらに好ましくは4〜50nmである。粒子径がこの範囲を超えると、積層構造2の可視光透過性が低下することがあり、ひいては、赤外線抑制物品10に用途に応じて必要となる可視光透過性を充分に満足させることが出来なくなる可能性があるからである。粒子径がこの範囲未満であると、低屈折率粒子が低屈折率層2L中に均一に分散できなくなる可能性があるからである。
低屈折率粒子の低屈折率層2L中での含有量は、特に制限はないが、低屈折率層2Lの全量に対して、好ましくは、20〜80質量%、より好ましくは40〜60質量%である。前記含有量が少なすぎると、低屈折率粒子が示す低い屈折率を低屈折率層2Lに充分に反映させることが出来なくなる可能性があり、逆に、前記含有量が多すぎると、結着用高分子化合物の含有量が少なくなるために、結着用高分子化合物によって低屈折率粒子同士を結合すると共に層中に固定し低屈折率層2Lから脱落するのを防ぐことが困難となる可能性があるからである。
[結着用高分子化合物]
結着用高分子化合物は、低屈折率層2Lに含ませることによって、前記低屈折率粒子同士を結合すると共に層中に固定し低屈折率層2Lから脱落するのを防ぎ、また、低屈折率層2Lが層としての形状を維持する機能を有することができる。このため、結着用高分子化合物は、バインダレジンとも呼ぶこともできる。
結着用高分子化合物としては、上記機能を有するものであれば、特に制限はなく、例えば、有機合成高分子化合物、有機天然高分子化合物、有機無機合成高分子化合物など、いずれでもよい。
有機合成高分子化合物の例を挙げれば、ポリアクリレート類、ポリエステル類、ポリスチレン類、ポリオレフィン類、ポリシクロオレフィン類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリエーテル類、ポリビニルブチラール類、ポリ酢酸ビニル類、セルロース誘導体類、などの高分子化合物、或いはこれらの高分子化合物を構成するモノマー単位を2種以上含む共重合体からなる高分子化合物を挙げることができる。
有機天然高分子化合物の例を挙げれば、ゼラチン、カゼイン、寒天、カラギナン、キサンタンガム、アラビアガム、グアガム、などの高分子化合物を挙げることができる。
有機無機合成高分子化合物の例を挙げれば、シリコーン樹脂、などの高分子化合物を挙げることができる。
結着用高分子化合物は、低屈折率層2L中で架橋されていてもよく、架橋されていなくてもよい。架橋されている結着用高分子化合物の例を挙げれば、ポリアクリレート類、ポリエステル類、などの高分子化合物は架橋されたものとすることができる。
[その他の成分]
低屈折率層2Lは、上述した成分以外に、必要に応じて、その他の成分を含ませることができる。その他の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、安定剤、分散剤、などである。これらの成分を含ませることによって、含ませた成分に応じた特性を付与することができる。
〔高屈折率層2H〕
高屈折率層2Hは、高屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含む1層以上の層からなる層である。
[高屈折率粒子]
高屈折率粒子は、低屈折率層2Lに含まれる低屈折率粒子の屈折率よりも低い屈折率を示す粒子である。高屈折率粒子としては、相対的に、前記低屈折率粒子の屈折率よりも高い屈折率を示す粒子であれば、特に制限はない。
前記高屈折率粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化スズ、酸化インジウム、などの無機化合物粒子を用いることができる。
高屈折率粒子の粒子径は、凝集していない一次粒子の粒子径で、例えば、1〜500nm、好ましくは2〜200nm、より好ましくは3〜100nm、さらに好ましくは4〜50nmである。粒子径がこの範囲を超えると、積層構造2の可視光透過性が低下することがあり、ひいては、赤外線抑制物品10に用途に応じて必要となる可視光透過性を充分に満足させることが出来なくなる可能性があるからである。粒子径がこの範囲未満であると、高屈折率粒子が高屈折率層2H中に均一に分散できなくなる可能性があるからである。
高屈折率粒子の高屈折率層2H中での含有量は、特に制限はないが、高屈折率層2Hの全量に対して、好ましくは、20〜80質量%、より好ましくは40〜60質量%である。前記含有量が少なすぎると、高屈折率粒子が示す高い屈折率を高屈折率層2Hに充分に反映させることが出来なくなる可能性があり、逆に、前記含有量が多すぎると、結着用高分子化合物の含有量が少なくなるために、結着用高分子化合物によって高屈折率粒子同士を結合すると共に層中に固定し高屈折率層2Hから脱落するのを防ぐことが困難となる可能性があるからである。
[結着用高分子化合物]
結着用高分子化合物は、高屈折率層2Hに含ませることによって、前記高屈折率粒子同士を結合すると共に層中に固定し高屈折率層2Hから脱落するのを防ぎ、また、高屈折率層2Hが層としての形状を維持する機能を有することができる。
結着用高分子化合物としては、上記機能を有するものであれば、特に制限はなく、例えば、有機合成高分子化合物、有機天然高分子化合物、有機無機合成高分子化合物など、いずれでもよい。
有機合成高分子化合物の例を挙げれば、ポリアクリレート類、ポリエステル類、ポリスチレン類、ポリオレフィン類、ポリシクロオレフィン類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリエーテル類、ポリビニルブチラール類、ポリ酢酸ビニル類、セルロース誘導体類、などの高分子化合物、或いはこれらの高分子化合物を構成するモノマー単位を2種以上含む共重合体からなる高分子化合物を挙げることができる。
有機天然高分子化合物の例を挙げれば、ゼラチン、カゼイン、寒天、カラギナン、キサンタンガム、アラビアガム、グアガム、などの高分子化合物を挙げることができる。
有機無機合成高分子化合物の例を挙げれば、シリコーン樹脂、などの高分子化合物を挙げることができる。
結着用高分子化合物は、高屈折率層2H中で架橋されていてもよく、架橋されていなくてもよい。架橋されている結着用高分子化合物の例を挙げれば、ポリアクリレート類、ポリエステル類、などの高分子化合物は架橋されたものとすることができる。
[その他の成分]
高屈折率層2Hは、上述した成分以外に、必要に応じて、その他の成分を含ませることができる。その他の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、安定剤、分散剤、などである。これらの成分を含ませることによって、含ませた成分に応じた特性を付与することができる。
〔赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hir〕
赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirは、高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質と、結着用高分子化合物とを含み、赤外線吸収性を示す層である。また、同時に、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirは低屈折率層2Lとの間に、赤外線反射に寄与する界面を生成する層でもある。言い換えると、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirは、赤外線吸収性に寄与する層であると共に、赤外線反射性に寄与する層の一部の層を兼用している層であり、赤外線反射性と赤外線吸収性の両方に寄与している層であると言える。
(赤外線吸収性)
前記赤外線吸収性は、大きいほど優れており好ましい。前記赤外線吸収性は、JIS R3106(1998年版)に準拠して測定される分光反射率および分光透過率から導かれる分光吸収率によって評価することができる。前記赤外線吸収性は、前記分光吸収率が、赤外線のうち波長780〜2500nmの帯域中で、最低限、50nm以上の帯域に亘って10%以上となる吸収特性を示すことが好ましい。この吸収特性を示さないと、赤外線抑制性能を効果的に得ることができない可能性があるからである。
前記分光吸収率は、好ましくは20%以上であり、より好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは40%以上である。前記分光吸収率が前記値未満であると、赤外線抑制物品10の赤外線抑制性能を充分に満足させることが出来なくなる可能性があるからである。
前記分光吸収率が得られる波長帯域は、好ましくは100nm以上であり、より好ましくは200nm以上であり、さらに好ましくは300nm以上である。前記分光吸収率が得られる波長帯域が、前記範囲未満であると、赤外線抑制物品10の赤外線抑制性能を充分に満足させることが出来なくなる可能性があるからである。
[高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質]
前記高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質は、高屈折率粒子を兼用する赤外線吸収性を示す粒子でもあり、赤外線吸収性を示す高屈折率粒子でもある。
前記高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質は、屈折率において、前記高屈折率粒子と同様に、相対的に、前記低屈折率粒子の屈折率よりも高い屈折率を示す粒子である。
前記赤外線吸収性物質としては、透明導電性金属化合物を用いることができる。
前記透明導電性金属化合物としては、アンチモンドープ酸化スズ(ATOとも言う。以下同様)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、リンドープ酸化スズ(PTO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、等を挙げることができる。
高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質には、これらの透明導電性金属化合物から選ばれた1種以上の金属化合物を含む粒子を用いることができる。
高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質の粒子径は、凝集していない一次粒子の粒子径で、1〜500nm、好ましくは2〜200nm、より好ましくは3〜100nm、さらに好ましくは4〜50nmである。粒子径がこの範囲を超えると赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirの可視光透過性が低下することがあり、ひいては、赤外線抑制物品10に用途に応じて必要となる可視光透過性を充分に満足させることが出来なくなる可能性があるからである。粒子径がこの範囲未満であると、高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質の粒子が、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hir中に均一に分散できなくなる可能性があるからである。
高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質の、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hir中での含有量は、特に制限はないが、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirの全量に対して、好ましくは、20〜80質量%、より好ましくは40〜60質量%である。前記含有量が少なすぎると、高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質が示す高い屈折率、および赤外線吸収性を、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirに反映させることが出来なくなる可能性があり、逆に、前記含有量が多すぎると、結着用高分子化合物の含有量が少なくなるために、結着用高分子化合物によって、高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質の粒子同士を結合すると共に層中に固定し、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirから脱落するのを防ぐことが困難となる可能性があるからである。
[結着用高分子化合物]
結着用高分子化合物は、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirに含ませることによって、前記高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質の粒子同士を結合すると共に層中に固定し、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirから脱落するのを防ぎ、また、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirが層としての形状を維持する機能を有することができる。
結着用高分子化合物としては、上記機能を有するものであれば、特に制限はなく、例えば、有機合成高分子化合物、有機天然高分子化合物、有機無機合成高分子化合物など、いずれでもよい。
有機合成高分子化合物の例を挙げれば、ポリアクリレート類、ポリエステル類、ポリスチレン類、ポリオレフィン類、ポリシクロオレフィン類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリエーテル類、ポリビニルブチラール類、ポリ酢酸ビニル類、セルロース誘導体類、などの高分子化合物、或いはこれらの高分子化合物を構成するモノマー単位を2種以上含む共重合体からなる高分子化合物を挙げることができる。
有機天然高分子化合物の例を挙げれば、ゼラチン、カゼイン、寒天、カラギナン、キサンタンガム、アラビアガム、グアガム、などの高分子化合物を挙げることができる。
有機無機合成高分子化合物の例を挙げれば、シリコーン樹脂、などの高分子化合物を挙げることができる。
結着用高分子化合物は、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hir中で架橋されていてもよく、架橋されていなくてもよい。架橋されている結着用高分子化合物の例を挙げれば、ポリアクリレート類、ポリエステル類、などの高分子化合物は架橋されたものとすることができる。
[その他の成分]
赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirは、上述した成分以外に、必要に応じて、その他の成分を含ませることができる。その他の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、安定剤、分散剤、などである。これらの成分を含ませることによって、含ませた成分に応じた特性を付与することができる。
(厚み)
赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirは、高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質による赤外線吸収性を大きくできる点では、前記赤外線吸収性物質の含有量にも自ずと限界があるので、厚みが厚い方が良い。一方、低屈折率層2Lとの界面を形成するための高屈折率層2Hとしての観点からは、厚みは、赤外線反射性が得られる厚みでよく、前記積層構造2において説明した厚み範囲で設定することができる。
このため、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirの厚みは、赤外線抑制物品10に設定する赤外線反射性および赤外線吸収性に応じて設定すれば良く、特に制限はない。例えば、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirの厚みは、100nm〜30μmとすることができる。
《その他の構成層》
本発明に係る赤外線抑制物品10は、上述した構成層の他に、その他の構成層を有していてもよい。その他の構成層は、例えば、粘着剤層、粘着剤層を一時的に保護しておくセパレータ、ハードコート層、帯電防止層、紫外線吸収層、などである。これらの層を設けることによって、設けた層に応じた機能を付与することができる。
《その他》
本発明に係る赤外線抑制物品10は、上述した形態以外に、種々の変形形態をとり得る。以下に、その一部を説明する。
(着色)
赤外線抑制物品10は、無着色でもよいが、着色されたものとしてもよい。着色は、基材1、積層構造2、その他の層などの構成層に公知の着色剤を添加することにより行うことができる。
(赤外線出射側)
赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirは、積層構造2の最外層のうち一方の層を構成する。積層構造2の最外層のうち、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirではない他方の層は、低屈折率層2L或いは高屈折率層2Hのいずれでも良いが、高屈折率層2Hとする場合は、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirとはしない方が好ましい。これは、以下の理由による。
赤外線抑制物品10が使用される状態において、抑制を狙う主要な赤外線は通常は太陽光である。このため、赤外線抑制物品10が平面状であるとき、太陽光が入射する方向は、通常は片側である。また、赤外線は物体に吸収されると熱に変化し、赤外線を吸収した物体は発熱する。このため、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirは、赤外線を吸収した分だけ発熱し、その分、赤外線抑制物品10が発熱することで、新たな加熱源となってしまう。
このような観点から、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirは、積層構造2において、赤外線の入射側ではなく出射側とすることで、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirを除いた分の積層構造2において反射され減衰された後の赤外線を、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirに到達させることで、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirによって吸収される赤外線の量を少なくでき、ひいては、赤外線による発熱を、その分少なく出来ることになる。
よって、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirは、積層構造2の最外層のうち一方の最外層のみとするのが好ましい。
さらに、積層構造2は、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirとなった最外層の側を、抑制を狙う主要な赤外線の出射側とするのが好ましい。つまり、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirを、積層構造2の赤外線出射側にして、赤外線抑制物品10を使用するのが好ましい。
このように、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirは、積層構造2で反射させた後の、反射し切れなかった残りの赤外線を吸収させるようにするのが好ましい形態であり、また赤外線抑制物品10の好ましい使用法でもあるが、これと同じ観点から、積層構造2を構成する高屈折率層のうち、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hir以外の高屈折率層2Hは、高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質を含まない層とするのが好ましい。赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirに到達前の赤外線をなるべく多く積層構造2で反射させるようにできるからである。
ところで、図1に例示した形態の赤外線抑制物品10は、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirが、積層構造2の最外層のうち、基材1から遠い方となるように形成された形態例であった。しかし、本発明においては、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirは、逆に、積層構造2の最外層のうち、基材1から近い方となるように形成された形態でもよい。赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirは、積層構造2中、基材1に対して遠い側或いは近い側のいずれにするにしても、前述した理由から、積層構造2の赤外線出射側にして、赤外線抑制物品10を使用するのが好ましい。
〔B〕赤外線抑制物品を製造する方法
本発明に係る赤外線抑制物品10を製造する方法は、特に制限はない。基材1上に積層構造2を形成する方法は、例えば、任意の公知の形成法を適宜採用することができる。
例えば、積層構造2は、基材1上に、積層構造2を構成する各層を1層ごとに逐次塗工して形成していく、逐次塗工法によって形成することができる。或いは、積層構造2は、基材1上に、積層構造2を構成する各層のうち少なくも2層以上、好ましくは3層以上、より好ましくは全層を、いわゆる同時多層塗工法によって形成することができる。
同時多層塗工法で積層構造2を形成する場合、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirのみ別に塗工し、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirを除く他の高屈折率層2Hと、低屈折率層2Lとの全てを1回で或いは複数回に分けて同時多層塗工法で形成してもよいし、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirも含めて全層を一度に形成しても良い。
以下、後述実施例でも採用している、同時多層塗工法で、赤外線抑制物品10を製造する方法について説明する。
同時多層塗工法では、基材1上に、積層構造2を構成する複数の層を、スライドコータによって同時に塗工形成して、赤外線抑制物品10を製造することができる。積層構造2を構成する複数の層は、予めそれぞれの塗工液として調整しておき、これらの塗工液をスライドコータによって、一度に基材1上に、流動状態の液層が複数積層された積層化液層として転移させて塗布した後、乾燥し固化することで、積層構造2を形成することができる。
前記塗工液としては、低屈折率層2Lに対しては、低屈折率粒子と結着用高分子化合物と溶剤とその他適宜添加剤などを含む低屈折率層2L形成用組成物を塗工液として調整し、高屈折率層2Hに対しては、高屈折率粒子と結着用高分子化合物と溶剤とその他適宜添加剤などを含む高屈折率層2H形成用組成物を塗工液として調整し、高屈折率層2Hのうち赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirに対しては、高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質と、結着用高分子化合物と溶剤とその他適宜添加剤などを含む、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hir形成用組成物を塗工液として調整する。
同時多層塗工法においては、塗工時に、隣接する塗工液層が固化前に互いに混合するのを防ぐことが好ましい。赤外線反射に寄与する、低屈折率層2Lと高屈折率層2Hとの界面の形成が妨げられないようにするためである。このため、塗工液中には、例えば、a)塗工液中にゲル化成分を含ませる、b)界面形成成分を含ませる、などするのが好ましい。
前記a)のゲル化成分は、例えば、ゼラチン、カゼイン、寒天、カラギナン、キサンタンガム、アラビアガム、グアガム、などの高分子化合物を挙げることができる。
前記b)については、隣接する塗工液のそれぞれにA成分とB成分とを分けて含ませ、A成分とB成分とが塗工液が重ねられたときに互いに反応して難溶性成分を生成し界面層を形成させるようにすることができる。前記A成分とB成分との組み合せは、例えば、有機チタン化合物とポリビニルアルコールとの組み合せを挙げることができる。有機チタン化合物によってポリビニルアルコールが架橋して難溶性生成物となり界面層を形成する。
〔C〕用途
本発明による赤外線抑制物品10の用途は、特に限定されない。例えば、建築物、乗り物などの窓ガラス、農作物栽培用ビニールハウスのビニール、プラズマディスプレイパネルなどのディスプレイパネル、などである。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳述する。以下において、「部」とあるのは、特に断りのない限り「質量部」の意味である。
〔実施例1〕
図1に示すような、積層構造2の最外層のうち基材1から遠い方の層を赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirとした赤外線抑制物品10を作製した。
[組成物の調整]
赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hir、高屈折率層2H、低屈折率層2Lを形成するための、下記組成の組成物を調整した。
<赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hir形成用組成物>
下記の組成の赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hir形成用組成物を調整した。
アンチモンドープ酸化スズ水分散液 130部
(「TDL−S」、三菱マテリアル株式会社製、固形分18%)
シリコーンアクリル水分散液 120部
「シャリーヌ(登録商標)FE−230N」
(日信化学工業株式会社製、固形分10%)
ゼラチン 12部
「アルカリ処理牛由来ゼラチンタイプB」
(新田ゼラチン株式会社、固形分100%)
有機チタン化合物 3部
「オルガチックス(登録商標)ТC−310」
(マツモトファインケミカル株式会社製、固形分42%)
イオン交換水 415部
<高屈折率層2H形成用組成物>
下記の組成の高屈折率層2H形成用組成物を調整した。
酸化チタン水分散液 60部
「AERODISP(登録商標>W740」
(日本アエロジル株式会社製、固形分40%)
シリコーンアクリル水分散液 120部
「シャリーヌ(登録商標)FE−230N」
(日信化学工業株式会社製、固形分10%)
ゼラチン 12部
「アルカリ処理牛由来ゼラチンタイプB」
(新田ゼラチン株式会社、固形分100%)
有機チタン化合物 3部
「オルガチックス(登録商標)ТC−310」
(マツモトファインケミカル株式会社製、固形分42%)
イオン交換水 485部
<低屈折率層2L形成用組成物>
下記の組成の低屈折率層2L形成用組成物を調整した。
酸化ケイ素水分散液 60部
「ルドックス(登録商標)HS―40」
(デュポン社製、固形分40%)
シリコーンアクリル水分散液 120部
「シャリーヌ(登録商標)FE−230N」
(日信化学工業株式会社製、固形分10%)
ゼラチン 12部
「アルカリ処理牛由来ゼラチンタイプB」
(新田ゼラチン株式会社、固形分100%)
ポリビニルアルコール 12部
「ゴーセノール(登録商標)KL−03」
(日本合成化学工業株式会社製、固形分100%)
イオン交換水 596部
上記の全ての組成物は、40℃の恒温水槽中にてメカニカルスターラーによって加温攪拌し、温度を下げないよう注意しながら、5μmメッシュのフィルター「ミニザルト 17594K」(株式会社ハイテック製)に通して異物を除去しておいた。
[積層構造2の形成;同時多層塗工]
基材1として、長尺で厚さ100μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製,コスモシャイン(登録商標)A4100、易接着処理品)を用い、この片面に積層構造2を構成する全層を、図2に示すような、スライドダイユニット21を持つスライドコータを用いた同時多層塗工法により行った。図2では、図面簡略化のために、スライドダイユニット21が塗工液をスライド面22に吐出するスリット全7個のうち、スリット23a〜23cまでの3個のみ描いてある。
そして、前記樹脂組成物からなる塗工液のそれぞれは、40℃に加温したスライドダイユニット21のスライド面22に、スリット23a,23b,23c,・・・・の7個のスリットから吐出されて、スライド面22上を流れ落ちて、塗工液層24a,24b,24c,・・・・が7層積層された積層化液層として、全7層が一度に回転する塗工ロール25上を搬送されている基材1の易接着処理面に塗布される。引き続き、基材1上に塗布された 7層からなる席層化液層は、5℃の冷却ゾーン26で冷却されてゲル化した後、80℃の乾燥ゾーン27で乾燥されて、目的とする赤外線抑制物品10が製造された。
前記赤外線抑制物品10は、基材1の片面に、基材1側から、[高屈折率層2H/低屈折率層2L/高屈折率層2H/低屈折率層2L/高屈折率層2H/低屈折率層2L/赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hir]の合計数が7の積層構造2が形成された構成のフィルムである。積層構造2の厚みは2.1μmであった。
〔比較例1〕
実施例1において、赤外線吸収性を示す高屈折率層2Hirの代わりに高屈折率層2Hを形成した他は、実施例1と同様にして、赤外線抑制物品を製造した。
〔性能評価〕
実施例1による赤外線抑制物品10では、赤外線抑制性能を、赤外線に対する吸収性以外に反射性も利用して、吸収性および反射性を、赤外線抑制に寄与する粒子と、結着用高分子化合物とを含む層を用い、なおかつ、吸収性に寄与する層を反射性に寄与する層の一部に兼用させた新しい構成によって、得ることができるという効果が得られた。
比較例1による赤外線抑制物品では、赤外線抑制性能は赤外線に対する反射性のみであった。
1 基材
2 積層構造
2L 低屈折率層
2H 高屈折率層
2Hir 赤外線吸収性を示す高屈折率層
10 赤外線抑制物品
21 スライドダイユニット
22 スライド面
23a〜23c スリット
24a〜24c 塗工液層
25 塗工ロール
26 冷却ゾーン
27 乾燥ゾーン

Claims (1)

  1. 基材と、
    前記基材上に形成され、可視光透過性および赤外線反射性を示す積層構造と、
    を有し、
    前記積層構造は、低屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含む1層以上の層からなる低屈折率層、および、屈折率が前記低屈折率粒子の屈折率よりも高い高屈折率粒子と結着用高分子化合物とを含む1層以上の層からなる高屈折率層が、
    最外層のうち少なくとも一方の層を前記高屈折率層にして、前記低屈折率層および前記高屈折率層の両屈折率層の合計数が3以上となるように交互に積層され、
    前記最外層のうち一方の層における前記高屈折率層が、前記高屈折率粒子としての赤外線吸収性物質と、結着用高分子化合物と、を含む赤外線吸収性を示す高屈折率層である、
    赤外線抑制物品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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