確かに、特許文献1に記載された電気掃除機の場合、使用者は、ハンドルを持ってこれを引くことにより、集塵室からバスケットごと集塵袋を容易に取り出すことができる。しかしながら、バスケット内の集塵袋は、捕集した塵埃あるいは使用時の吸引空気の作用により大きく膨張している。従って、膨張した集塵袋はバスケットに対して強固に嵌合した状態にあり、バスケットの開口を下向けにしても集塵袋を容易に離脱させられない。そのため、使用者が直接的に集塵袋を摘んでバスケットから取り外さなければならない場合があるが、衛生面から、集塵袋への直接的な接触は避けることが望ましい。
そこで本発明は、集塵袋を容易に取り外すことのできる電気集塵掃除機用のバスケット、及び該バスケットを備える電気集塵掃除機を提供することを目的とする。
本発明に係るバスケットは、電気集塵掃除機の集塵室に着脱可能に装着される集塵袋用のバスケットであって、前記集塵袋がセットされるバスケット本体を備え、該バスケット本体は、前記集塵袋を支持する支持壁と、前記集塵室に装着された状態で上方に開口する開口部とを有し、前記集塵室から取り外された状態で前記開口部が広がるように構成されている。
このような構成とすることにより、集塵室に装着された状態よりも集塵室から取り外された状態の方がバスケット本体の開口部が広がる。従って、バスケット本体と集塵袋との間に隙間が形成され、両者間の摩擦抵抗が低減するため、バスケット本体から集塵袋を取り外しやすくなる。
また、前記支持壁は、前記開口部を広げるように変形する変形部を有していてもよい。
このように、変形部を定めておくと、変形後のバスケット本体の全体形状もほぼ一定形状に見積もることができる。そのため、開口部を所望の具合に広げる設計が容易になり、集塵袋を容易に取り外すことのできるバスケットを、より確実に実現することができる。また、バスケット本体を1部品となるよう鋳造等で一体成形することも可能であり、この場合、微細な塵埃によってバスケットに不具合が生じるのを抑制することができる。なお、変形部としては、U字やV字の形状を成すもの、薄肉化したもの、変形しやすい材質で構成したものなど、他の部位より変形しやすい様々の具体的構成を採用することができる。
また、前記支持壁は2〜3つの構成部材から成り、各構成部材の接続箇所に前記変形部が設けられていてもよい。
この場合にも、変形後のバスケット本体の全体形状もほぼ一定形状に見積もることができる。そのため、開口部を所望の具合に広げる設計が容易になり、集塵袋を容易に取り外すことのできるバスケットを、より確実に実現することができる。なお、構成部材の接続箇所に設ける変形部としては、ヒンジや、他の部位とは異なる変形容易な材質で構成したものなど、それ自身が変形する様々の具体的な構成物を採用することができる。また、変形部によって連結された各構成部材に磁石及び強磁性体を取り付け、各構成部材同士を固定的に接続して変形前の形状を一定に維持できるようにしてもよい。
また、前記バスケット本体の両側方にて回動自在に枢支され、前記開口部の上方に架け渡されたハンドルを備えていてもよい。
このような構成とすることにより、使用者は、ハンドルを持ってバスケット本体を電気集塵掃除機から容易に取り出すことができる。また、片手でハンドルを把持し、もう片手でバスケット本体を回動させて開口部を下方へ向けるなど、集塵袋をバスケット本体から取り外す作業を容易に行える。
また、前記ハンドルは、前記バスケット本体を前記開口部が下方へ向くように回動させた場合に、該バスケット本体に接触する当接部を有し、前記バスケット本体は、前記開口部が下方へ向くように前記ハンドルに対して回動した場合に、前記ハンドルの当接部に接触する被当接部を有し、前記ハンドルと前記バスケット本体とが相対的に回動するのに伴って、前記当接部と前記被当接部とが互いに接触することにより、前記バスケット本体の開口部が広がるように構成してもよい。
このような構成とすることにより、バスケット本体を開口部が下方へ向くように回動させる操作と、バスケット本体の開口部を広げる操作とを別々に行う必要がない。即ち、バスケット本体を回動させる操作をすれば、これに伴って開口部を広げることができる。従って、より容易な操作によって、バスケット本体から集塵袋を離脱させることができる。
また、前記支持壁は、前記集塵袋を両側方から支持して上部に前記開口部を形成する一対の側面支持壁と、前記集塵袋を下方から支持する底面支持壁とを有し、前記ハンドルは前記一対の側面支持壁に対して枢支され、前記バスケット本体が回動して前記当接部と前記被当接部とが互いに接触した場合に、前記底面支持壁が変形することにより前記開口部が広がるように構成してもよい。
また、前記ハンドルの当接部は所定間隔をあけて両側方に設けられ、前記バスケット本体の被当接部は、前記当接部に対応して両側方に設けられ、且つ、前記バスケット本体の回動方向上流側の間隔よりも、下流側の間隔の方が広くなっており、前記底面支持壁は、前記回動方向の上流側部分よりも下流側部分の方が大きく変形可能に構成されていてもよい。
また、前記バスケット本体は、前記開口部を上方へ向けた状態から、前記ハンドルの枢支点回りの一方向へ回動自在であり、前記バスケット本体の重心点は、該バスケット本体に対して、前記ハンドルの枢支点回りの他方向へモーメントを発生させるべく、前記枢支位置からオフセットした位置に設けられており、前記バスケット本体には、前記枢支点回りの他方向への回動を、前記ハンドルに接触して係止する係止部が設けられていてもよい。
このような構成とすることにより、使用者がハンドルを把持した状態で、バスケット本体が使用者の意図とは無関係に回動してしまうのを防止することができる。また、ハンドルに対するバスケット本体のガタツキを抑制でき、使用者は、ハンドル及びバスケット本体を一体的に持ち運ぶことができる。
また、前記バスケット本体は、前記開口部を上方へ向けた状態から、前記ハンドルの枢支点回りの一方向へ回動自在であり、前記バスケット本体及び前記ハンドルの相対的な回動範囲のうち、前記バスケット本体が前記開口部を上方へ向けた状態のときに、前記バスケット本体と前記ハンドルとを一時的に干渉させる干渉部が備えられていてもよい。
この場合にも、使用者がハンドルを把持した状態で、バスケット本体が使用者の意図とは無関係に回動してしまうのを防止することができる。また、ハンドルに対するバスケット本体のガタツキを抑制でき、使用者は、ハンドル及びバスケット本体を一体的に持ち運ぶことができる。
また、前記バスケット本体は、前記開口部を上方へ向けた状態から、前記ハンドルの枢支点回りの一方向へ回動自在であり、前記バスケット本体及び前記ハンドルの相対的な回動範囲のうち、少なくとも前記バスケット本体が前記開口部を上方へ向けた状態を含む回動区間において、前記バスケット本体及び前記ハンドルの相対的な回動を制限する摩擦部が備えられていてもよい。
この場合にも、使用者がハンドルを把持した状態で、バスケット本体が使用者の意図とは無関係に回動してしまうのを防止することができる。また、ハンドルに対するバスケット本体のガタツキを抑制でき、使用者は、ハンドル及びバスケット本体を一体的に持ち運ぶことができる。
また、前記バスケット本体は、前記開口部を上方へ向けた始点から該開口部を下方へ向けた終点までの回動範囲で、前記ハンドルに対して回動自在であり、前記終点において前記バスケット本体と前記ハンドルとの相対姿勢を保持する保持部を備えていてもよい。
このような構成とすることにより、ハンドルに対してバスケット本体が過剰に回動するのを防止でき、回動し過ぎによる損耗などの不具合が生じるのを防止することができる。また、開口部を下方へ向けた状態でバスケット本体の姿勢を固定できるため、ハンドルを持ってバスケットを上下に揺する際にバスケット本体が不安定に動くことがない。従って、使用者は、開口部が下方になる姿勢でバスケット本体を揺することにより、集塵袋をより確実に離脱させることができる。
また、前記ハンドルは、前記バスケット本体に対して接近及び離反する方向へ移動可能であってもよい。
このような構成とすることにより、バスケットを集塵室から取り出すときに、ハンドルを上方(バスケット本体から離反する方向)へ移動させれば、ハンドルと集塵袋との間に隙間を形成できる。従って、この隙間に手指を入れればハンドルを把持しやすくなり、バスケットを集塵室から取り出し易くなる。
また、前記バスケット本体及び前記ハンドルの相対的な回動と接離方向への移動とは択一的に実現可能になっていてもよい。
このような構成とすることにより、回動しながら移動もするといった複雑な変位を制限し、操作性の向上を図ることができる。
また、前記ハンドルを前記バスケット本体から離反する方向へ付勢する付勢部を備えていてもよい。
このような構成とすることにより、例えば掃除機本体の蓋部が開いたときに、付勢力によってハンドルを上昇させることができる。従って、集塵袋とハンドルとの間に隙間を形成でき、ここに手指を入れてハンドルを把持しやすくなる。
また、前記バスケット本体に対する前記ハンドルの相対位置に関して、外力が作用しない自然状態での位置と、前記付勢部による付勢力に抗って前記バスケット本体に近接する位置との間に、実質的に使用者の手指を挿入可能なだけの寸法が確保されていてもよい。
このような構成とすることにより、バスケットを取り出す際に、集塵袋とハンドルとの間に隙間を形成でき、ここに手指を入れてハンドルを把持しやすくなる。このような寸法としては、例えば、10mm程度を採用することができる。
また、前記ハンドルは、前記バスケット本体の回動方向一方側の端辺と他方側の端辺とで寸法が異なる把持部を有することとしてもよい。
このような構成とすることにより、短寸の端辺に親指を対応させ、長寸の端辺に他の4本指を対応させるようにすれば、ハンドルを把持しやすくなる。
また、前記ハンドルは、前記バスケット本体の両側の枢支部分を結ぶように架け渡された把持部と、前記枢支部分を結ぶように前記把持部に並設された補強部とを有していてもよい。
このような構成とすることにより、使用者が把持するハンドルの剛性が向上するため、使用時の安定感が高まる。また、ハンドルの当接部とバスケット本体の被当接部とが接触する構成においては、当該接触によるハンドルの変形を防止し、バスケット本体を開口部が広がるようにより確実に変形させることができる。
また、前記バスケット本体は、前記集塵袋の開口を形成する口板を縦置き状態で支持する口板支持部を有し、前記ハンドルは、前記バスケット本体に近接する方向への移動の際に、前記集塵袋の口板の上端部を、前記集塵室における通気上流方向へ押圧する押圧部を有していてもよい。
このような構成とすることにより、集塵室に流れ込んでくる塵埃混じりの空気を、より確実に集塵袋内へ取り込むことができる。
本発明に係る電気集塵掃除機は、集塵室を有する掃除機本体を備え、前記集塵室に上述した何れかのバスケットが着脱可能に装着された電気集塵掃除機であって、前記掃除機本体には前記集塵室を開閉する蓋部が設けられ、前記蓋部には、前記集塵室を閉じた状態で、前記バスケットにセットされた集塵袋の膨張を阻止する膨張阻止部が設けられている。
このような構成とすることにより、集塵室内に余剰空間を形成できるため、掃除機の駆動時にこの余剰空間を空気の流路とすることができる。例えば、集塵室の通気下流端近傍では集塵袋内に大量の塵埃が貯留するため、この部分での空気の流れは滞り気味になる。従って、この部分以外のところで集塵袋の膨張を阻止し、余剰空間を形成すれば、円滑な空気の流れを維持でき、塵埃の捕集性能を高く維持することができる。また、ハンドル近傍に余剰空間を形成することとすれば、ハンドルと集塵袋との間に手指を入れやすくもなる。
本発明に係る電気集塵掃除機用のバスケット及び電気集塵掃除機によれば、集塵袋を容易に取り外すことができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(電気集塵掃除機の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に係るバスケットを備えた電気集塵掃除機の全体構成を示す外観斜視図である。本実施の形態では、電気集塵掃除機(以下、単に「掃除機」と称する)としていわゆるキャニスター型のものを例示するが、バスケットに集塵袋をセットしてこれらを掃除機本体内に装着して使用するものであれば、他のタイプの掃除機にも適用することができる。
図1に示すように、掃除機1は、蓋部2を有する掃除機本体3、該掃除機本体3に一端が接続された吸引ホース4、該吸引ホース4の他端に接続された操作部5、該操作部5から延びる吸引パイプ6、及び該吸引パイプ6の先端に接続された吸引ノズル7を備えている。この掃除機1は、使用者が操作部5に設けられたスイッチを操作して駆動させ、操作部5を把持して吸引ノズル7を床面に沿って移動させることにより、床面に散在する塵埃を空気と共に吸い込み、掃除機本体3内に捕集することができる。
図2は、蓋部2を開いた状態の掃除機本体3を示す外観斜視図である。図2に示すように、掃除機本体3の筐体10の内部は、前側の集塵室11と後側の機械室12とに区分けされている。筐体10の前壁部には、筐体10の内外を貫通すると共に集塵室11と連通する吸気孔13が形成されており、該吸気孔13には外側から吸引ホース4の一端が接続される。集塵室11には、集塵袋21がセットされた状態のバスケット20が着脱可能に装着されている。
本実施の形態に示す集塵袋21は、中央部分に集塵孔21aを有する矩形状の口板21bと、該口板21bの裏面に接続された袋体21cとで構成されている。袋体21cは、通気性のある素材で構成されて膨縮可能になっており、その内部空間は集塵孔21aに連通している。このような集塵袋21は、口板21bの表面を前方へ向けた状態で集塵室11に収容され、袋体21cの内部空間は、集塵孔21aを介して筐体10の吸気孔13と連通する。
機械室12には、電動送風機(図示せず)が収容されている。この電動送風機を駆動すると、吸引ノズル7で吸い込まれた塵埃混じりの空気が、吸気孔13及び集塵孔21aを通じて集塵袋21内に取り込まれる。そして、集塵袋21内に塵埃だけが捕集され、塵埃が除去された空気は集塵袋21から出て筐体10内を通流し、筐体10に設けられた排気口(図示せず)から外部へ排出される。
なお、本実施の形態では、上述したように掃除機本体3において吸気孔13が設けられている側を前方とし、その反対側の後方とする。そして、左右の方向については、前方を向いたときを基準として規定する。また、バスケット20及び集塵袋21についても、上述したようにして集塵室11に装着された状態を基準とし、同様の方向の概念を適用する。
筐体10の上部には、掃除機本体3を平面視したときの面積とほぼ等しい開口面積を有する大開口14が形成されており、これを覆うように蓋部2が設けられている。蓋部2は、その後端部2aが筐体10の後部にヒンジ等で接続され、この後端部2aを基点として前端部2bを上下に回動することにより、大開口14を開閉可能になっている。そして、蓋部2を開くと集塵室11及び機械室12が露出し、大開口14を通じてバスケット20を集塵室11に対して着脱することができる。
(バスケットの外観構造)
図3は、バスケット20の構成を示す外観斜視図である。図3に示すように、バスケット20はバスケット本体20Aとハンドル20Bとを備えている。
バスケット本体20Aは、集塵袋21を収容してこれを支持する支持壁を備えている。この支持壁は、集塵袋21を両側方から支持する左右一対の側面支持壁30と、集塵袋21を下方から支持する底面支持壁31とを有している。このうち左右の側面支持壁30は、膨張する集塵袋21の袋体21cを包み込むようにして支持すべく、内面が左右外方へ窪んでおり、且つ、袋体21cを通過した空気を通す小径の通気孔30aが内外を貫通して複数形成されている。また、左右の側面支持壁30の上端部は、後部から前部へ向かうに従って下方に位置するように前傾して形成されている。換言すれば、側面支持壁30は、下端部から上端部までの高さ寸法が、後部から前部へ向かうに従って小さくなるように構成されている。
底面支持壁31は、左右の側面支持壁30の下端部を接続しており、後述する変形部(図10の変形部73,77参照)を有している。バスケット本体20Aは、これら左右の側面支持壁30と底面支持壁31とによって集塵袋21を左右及び下方から支持する構成であり、左右の側面支持壁30の上部間には、集塵袋21を着脱する際に該集塵袋21が通過するバスケット開口部33が形成されている。
バスケット本体20Aの前部には、集塵袋21の口板21bを支持する左右の口板支持部34が設けられている。この口板支持部34は、左右の中心方向へ湾曲した側面支持壁30の前端部から、クランク状に屈曲して左右の中心方向へ延設された部分として形成されている。より詳しく説明すると、左右の各口板支持部34は、側面支持壁30の前端部から所定寸法だけ前方へ延設された側壁部34aと、該側壁部34aの前端部から左右の中心方向へ向かって延設された前壁部34bとを有している。そして、集塵袋21の口板21b(図2参照)は、左右の側壁部34aの間に挟持されるようにして縦置き状態で支持され、前方からは前壁部34bによって支持される。
また、口板支持部34が有する左右の前壁部34bは、その下部間は小さい寸法L1だけ離隔し、上部間はそれより大きく且つ口板21bの集塵孔21aの径よりも大きい寸法L2だけ離隔している。従って、集塵袋21がバスケット本体20Aにセットされた状態では、前壁部34bは、集塵孔21aを塞ぐことなく(露出させた状態で)口板21bの左右部分と下部とを支持する。なお、口板支持部34は、口板21bよりも小さい高さ寸法に設定されているため、集塵袋21がバスケット本体20Aにセットされたとき、口板21bの上部は口板支持部34の上方に突出した状態となる。
図4は、ハンドル20Bの平面図である。図3及び図4に示すように、ハンドル20Bは、集塵袋21の上部を支持する上側支持部40と、集塵袋21の前部且つ上部の左右部分を支持するコーナー支持部41と、上側支持部40の左右の端部から夫々下方へ延設されて下部にてバスケット本体20Aに連結するアーム部42とを備えている。
上側支持部40は、バスケット開口部33の上方を左右に架け渡された把持部43を有している。この把持部43は、前後幅がほぼ一定の帯板状を成し、前後の各端辺の長さ寸法が異なっている。具体的には、図4に示すように、前側端辺43aの長さ寸法L3に比べて後側端辺43bの長さ寸法L4の方が大きく設定されている。従って、使用者が、集塵袋21をセットしたバスケット20を集塵室11へ装着したり取り外したりする際に、短寸の前側端辺43aに手の親指を対応させ、長寸の後側端辺43bに残りの四本指を対応させるようにすれば、把持部43を掴みやすい構成となっている。
上側支持部40は、上記把持部43に並設された補強部44を有している。この補強部44は、把持部43と同様に左右に架け渡された帯板状を成し、その主面は前後方向に向けられている。一方、上述した把持部43は、主面が上下方向に向けられている。このように主面の向きが異なる把持部43及び補強部44が並設されることにより、ハンドル20Bは剛性の向上が図られている。
また、バスケット20が集塵室11に装着された状態では、把持部43は、吸気により膨張する集塵袋21の上面を支持し、補強部44は上部後面を支持する。また、把持部43と補強部44との間はハンドル後側開口部45となっている。従って、使用者がハンドル20Bを把持する際には、このハンドル後側開口部45を通じて親指以外の四本指を挿通することにより、把持部43を掴むことができる。
コーナー支持部41は、上側支持部40の左右部分とアーム部42の上部とから、一体的に前方へ延設されており、吸気により膨張する集塵袋21の前部且つ上部の左右部分を覆うようにして支持する。なお、把持部43と左右のコーナー支持部41との間には、矩形状のハンドル前側開口部46が形成されている。
(連結機構)
バスケット本体20Aとハンドル20Bとは連結機構50を介して接続されており、以下に説明するように、この連結機構50によって両者は相対的にスライド動作と回動動作とが可能になっている。
図5は、左側の連結機構50の拡大図である。この連結機構50は、バスケット本体20Aの左右の側面支持壁30と、ハンドル20Bの左右のアーム部42とを夫々連結する構成である。なお、左右の連結機構50は互いに対称的な構成となっているため、以下では図5に示す左側の連結機構50についてのみ説明する。図5に示すように、連結機構50は、バスケット本体20Aの側面支持壁30から外側方へ突設された軸部51と、ハンドル20Bのアーム部42の下部に形成されたスリット52とを有している。
軸部51の基部は、側面視で前部が欠如した略半円形状を成しており、その周面は、前側に位置する上下方向に沿った平坦面51aと、後側に位置する円弧面51bとで構成されている。軸部51の先端部は、上記基部と同様の側面視形状になっているが、これに加えて、円弧面51bの一部から径方向に突出した突出部51cが備えている。
スリット52は上下方向に直線状に延設されており、軸部51の基部の幅(前後の幅)と略同一寸法の幅を有している。スリット52の上端部52aは、軸部51の基部形状に整合するように、円弧状の輪郭を有するように形成されている。また、スリット52の下端部には、円形の軸受孔52bが形成されている。この軸受孔52bは、軸部51の円弧面51bを規定する径と略同一径を有する円形であり、従ってスリット52よりも幅広になっている。
このような連結機構50の構成により、バスケット本体20Aとハンドル20Bとは、相対的に接近及び離反する方向(上下方向)へのスライドと前後方向への回動とが選択的に実行可能になっている。
(スライドの態様)
図6は、バスケット本体20Aに対してハンドル20Bがスライドする態様を示す図面である。図6に示すように、ハンドル20Bは、スリット52内を軸部51が移動する範囲(スライド範囲;距離D1)内で上下方向にスライド可能である。また、上述したように軸部51の前部には上下方向に沿った平坦面51aが設けられ、これに当接するスリット52の前側縁部も、上下方向に沿って直線状に延びている。従って、ハンドル20Bが上下方向にスライドする際、前後方向へのガタツキが防止される。
また、バスケット20には、ハンドル20Bをバスケット本体20Aから離反する方向(上方)へ付勢する付勢部60が設けられている。具体的には、図6に示すように、バスケット本体20Aの左右の側面支持壁30の後側上部には、弾性体61が収容部62内に収容された状態で設けられている。本実施の形態では、この弾性体61はコイルバネを用いており、上下方向に伸縮可能な姿勢で配置されている。一方、ハンドル20Bの上側支持部40の左右の下部であって、アーム部42の後方部分には、弾性体61に上方から対向する押圧部63が設けられている。
付勢部60は、ハンドル20Bがスライド範囲の途中位置(以下、「均衡位置」)にあるときに、押圧部62が弾性体61の上端に接触しつつ、バンドル20Bの自重と弾性体61の付勢力とが均衡するように構成されている。従って、図6に示すようにスライド範囲(距離D1)には、弾性体61によりハンドル20Bが上方へ付勢される下側区間(距離D2)と、弾性体61と押圧部62とが離反し、付勢力が作用しない状態でハンドル20Bがスライド可能な上側区間(距離D3)とがある。本実施の形態では、下側区間については距離D2=15mm,上側区間については距離D3=20mmに設定されている。
本実施の形態に係る掃除機1では、バスケット20が集塵室11へ装着され、蓋部2が開放された状態のとき、ハンドル20Bは上記「均衡位置」にある(図6中の「均衡状態」参照)。そして、掃除機1の蓋部2を閉じると、ハンドル20Bは蓋部2の内面によって均衡位置から下方へ押圧され、スライド範囲の下端近傍の「収縮位置」に達することとなる(図6中の「収縮状態」参照)。一方、均衡位置から使用者が把持部43を掴んでバスケット20を持ち上げると、ハンドル20Bは上方へスライドし、スライド範囲の上端の「伸長位置」に達したところで、バスケット本体20A(及び集塵袋21)はハンドル20Bに吊り下げられた状態となる(図6中の「伸長状態」参照)。従って、このときバスケット20全体が集塵室11から引き出される。
図7は、集塵袋21がセットされたバスケット20の断面図であり、蓋部2の開放前後の様子(収縮状態及び均衡状態)を夫々示している。この図7に示すように、集塵室11に装着されて収縮状態にあるバスケット20は、掃除機1の蓋部2を開くと、弾性体62の付勢力によりハンドル20Bが距離D2だけ自動的に上昇して均衡位置に至る。従って、集塵袋21が吸気によって最大に膨張した状態であっても、バスケット20を取り出す際には、ハンドル20Bが上昇して集塵袋21の上面との間に高さ寸法D2の隙間が形成されるため、使用者が把持部43を掴みやすくなっている。このため本実施の形態では、距離D2の設定基準として、使用者の手指を挿入可能なだけの寸法を想定している。
ところで、バスケット20には、上述した連結機構50の他にも、ハンドル20Bの上下スライド時のガタツキを防止するためのガイド(上側ガイド65,下側ガイド66)を備えている。
上側ガイド65は、弾性体61の収容部62に一体的に形成されている。即ち、図6に示すように収容部62は側面視で縦長の略矩形状を成し、その前端面65aは、ハンドル20Bのアーム部42の後端面に対して後方から摺動可能に当接している。また、収容部62の下部からは前方へ支持片65bが延設されており、該支持片65bはアーム部42の外側面に対して外側方から摺動可能に当接している。これらの前端面65a及び支持片65bは、軸部51よりも上方に位置する上側ガイド65を成し、上下摺動時のアーム部42を後方及び外側方からガイドする。
一方、バスケット本体20Aの側面支持壁30には、軸部51よりも下方に位置する下側ガイド66が設けられている。下側ガイド66は、アーム部42が上下にスライドする際の後端面の軌道に沿うように、上下方向に延びる案内壁66aを有している。また、案内壁66aの後部には、該案内壁66aの背面と側面支持壁30の外側面との間を接続する補強リブ66bが設けられている。このような案内壁66a及び補強リブ66bは、軸部51よりも下方に位置する下側ガイド66を成し、上下摺動時のアーム部42を後方からガイドする。
このようなガイド65,66により、ハンドル20Bが収縮位置と伸長位置との間でスライドする間、安定的にこれをガイドすることができ、ハンドル20Bのガタツキを防止している。但し、このようなガイドの付加は任意であり、付加するとしても上側ガイド65及び下側ガイド66のうち何れか一方のみとしてもよい。また、上側ガイド65を付加する場合にも、支持片65bを省略してもよい。
なお、アーム部42の下部は所定径寸法D4の円弧形状になっている。そして、下側ガイド66の案内壁66aの上端は、軸部51の中心から少なくともこの寸法D4だけ離隔して位置している。換言すれば、ハンドル20Bが伸長位置にあるとき、下側ガイド66と軸部51との最短距離は寸法D4以上に設定されている。従って、下側ガイド66は上下摺動時のアーム部42をガイド可能であり、且つ、ハンドル20Bが伸長位置にあるときには軸部51回りのアーム部42の回動を妨げないようになっている。
(回動の態様)
図8は、バスケット本体20Aに対してハンドル20Bが回動する態様を示す図面である。図8に示すように、バスケット本体20Aとハンドル20Bとは、ハンドル20Bが伸長位置にあるとき、即ち、軸部51がスリット52の下端の軸受孔52bに位置する場合に回動可能になっている。
その回動範囲は、ハンドル20Bがバスケット本体20Aに対して上方に位置する姿勢B1から、バスケット本体20Aの前方に位置する姿勢B2を経て、下方に位置する姿勢B3に至る範囲となっている。ハンドル20Bを固定してバスケット本体20Aを回動する観点で言えば、バスケット本体20Aのバスケット開口部33を上方へ向けた姿勢(始点)B1から、バスケット開口部33を後方へ向けた姿勢B2を経て、下方へ向けた姿勢(終点)B3に至る範囲で、回動可能になっている。
この回動範囲のうち姿勢B1側の限度は、アーム部42の後端面が上側ガイド65の前端面65aに当接することによって規定される。一方、バスケット本体20Aの側面支持壁30の下部には、バスケット本体20A及びハンドル20Bを姿勢B3の状態で保持する保持部67が突設されている。そして、回動範囲のうち姿勢B3側の限度は、ハンドル20Bのコーナー支持部41がこの保持部67に当接することによって規定される。その結果、バスケット本体20Aに対するハンドル20Bの回動範囲は、本実施の形態では略165度としている。但し、採用できる回動範囲の具体的数値はこれに限られず、適宜選択することができる。
図9は、バスケット本体20Aの自然回動を防止するための構成を説明するバスケット20の側面図である。図9に示すように、バスケット本体20Aには軸部51より前方へオフセットした位置に重心Gが設定されている。従って、バスケット本体20Aには、その自重により軸部51を中心とする反時計回り方向にモーメントが生じ、前傾する方向に回動しようとする。しかしながら、上側ガイド65の前端面65aがアーム部42の後端面に当接しているため、上側ガイド65と一体を成すバスケット本体20Aは上側ガイド65に係止され、前傾する方向への回転が阻止される。このように、軸部51からオフセットした重心Gと、アーム部42に係止される係止部を兼ねる上側ガイド65とにより、バスケット本体20Aは安定的にバスケット開口部33を上方へ向けた状態を維持できるようになっている。
(バスケット本体の拡口構造)
ところで、本実施の形態に係るバスケット20は、集塵室11から取り出された状態でバスケット開口部33が広がり、バスケット本体20Aから集塵袋21を取り出しやすくなっている。以下では、このようにバスケット開口部33が広がるための構成(拡口構造)について説明する。
(変形部)
図10は、バスケット開口部33を拡縮させる構成を示す図面であり、バスケット本体20Aの底面支持壁31を望む平面図とその断面図とを示している。図11は、バスケット開口部33の広がる様子を示す背面図であり、通常状態(広がる前の状態)のバスケット本体20Aと、広がった状態のバスケット本体20Aとを示している。
図10に示すように、バスケット本体20Aの底面支持壁31は、横長の空隙部70を挟んで前側に位置する前側底壁71と、後側に位置する後側底壁75とを有している。前側底壁71及び後側底壁75は、何れも前後方向の幅寸法が一定の帯状を成し、前側底壁71よりも後側底壁75の方が大きい幅寸法を有している。
前側底壁71は、水平方向に沿って延びる左右の平板部72を有し、その間には前側変形部73が設けられている。この前側変形部73は、断面がU字状(本実施の形態では高さ寸法H1の上に凸の逆U字状)を成しており、左右の平板部72と共に樹脂等によって一体成形されている。このような構成により、前側変形部73は剛性が小さく(可撓性が高く)なっている。従って、前側底壁71は前側変形部73において変形しやすく、中央部分に対して左右部分が下方に位置するように湾曲させることができる(図10中のA−A断面図に表示した矢印参照)。
なお、平面図に示すように、前側底壁71の左右の平板部72は、口板支持部34の左右の前壁部34bの下部に接続されている。従って、左右の平板部72は、前壁部34bによって変形が阻害される。一方、左右の前壁部34bの下部間は寸法L1だけ離隔しており(図3参照)、前側変形部73は前壁部34bに接続されていないフリーな状態になっている。従って、前側底壁71は、平板部72よりも前側変形部73の方がより変形しやすい構成となっている。
後側底壁75は、中央の平板部76を挟んで左右に後側変形部77が設けられている。これらの後側変形部77も、断面がU字状(本実施の形態では高さ寸法H2の上に凸の逆U字状)を成しており、平板部76と共に樹脂等によって一体成形されている。また、平板部76には底面視で円形状を成す凹部76aが形成されている。この凹部76aの周縁の段部が底面視で円弧状を成すことにより、平板部76は剛性が高く(可撓性が小さく)なっている。
従って、後側底壁75は左右の後側変形部77において変形しやすく、中央部分に対して左右部分が下方に位置するように湾曲させることができる(図10中のB−B断面図に表示した矢印参照)。しかも、本実施の形態に係るバスケット本体20においては、図10に示すように、前側変形部73(高さ寸法H1)の方が後側変形部77(高さ寸法H2)よりも上下寸法が大きくなるように設定されている。そのため、前側底壁71の方が後側底壁75よりも剛性が小さく湾曲しやすくなっている。従って、集塵袋21を廃棄する際、バスケット本体20と袋体21cとの摩擦よりも、バスケット本体20と口板21bとの摩擦の方が大きい場合であっても、バスケット本体20の前側部分をより大きく広げ、口板21bをバスケット本体20からより確実に離脱させることができる。
このような構成により、図11に示すようにバスケット開口部33は、通常状態(上段図)に比べて、大きく広がった状態(下段図)に変化できるようになっている。即ち、バスケット本体20Aは、底面支持壁31が湾曲すると、左右の側面支持壁30は、上方へ向かうに従って離隔距離が大きくなるように開いた状態となる。その結果、バスケット開口部33は、通常状態(開口幅L5)から、より大きい開口幅L6を有する状態(下段図)へと変形する。
(回動と拡口の連動)
バスケット20は上述したようにバスケット開口部33が広がるものであるが、本実施の形態に係るバスケット20は更に、ハンドル20Bに対してバスケット本体20Aを回動させるのに連動してバスケット開口部33が広がるように構成されている。以下、このような回動と拡口の連動を実現する構成について詳述する。
図12は、バスケット本体20Aの回動とバスケット開口部33の拡口とを連動させる構成を説明するための図面であり、バスケット20の正面図と底面図と側面図とを示している。図13は、ハンドル20Bに対してバスケット本体20Aを回動させ、バスケット開口部33が広がる様子を示す斜視図である。図12に示すように、ハンドル20Bの左右のコーナー支持部41には当接部80が設けられ、バスケット本体20Aの底面支持壁31には前記当接部80に対応する被当接部81が設けられている。このうち左右の当接部80は、本実施の形態においては前方且つ下方へ突出する角部として形成されており、互いに一定の間隔L7だけ離隔して左右に配置されている。
一方、被当接部81は、左右の外側方へ向けた面として形成されており、前側部分(回動方向の下流側部分)の間隔L8に比べて、後側部分(回動方向の上流側部分)の間隔L9の方が大きくなっている。また、当接部80の間隔L7は、被当接部81の前側部分の間隔以上であり、且つ、被当接部81の後側部分の間隔L9未満に設定されている。更に、前後方向へ延設された被当接部81は、側面視したときに軸部51の軸心を中心とする円弧状になっており、その径寸法L10は、ハンドル20Bの軸受孔52bの中心から当接部80までの寸法L11とほぼ同一になっている。
このような構成のバスケット20は、ハンドル20Bに対してバスケット本体20Aを回動させると、バスケット開口部33が斜め後ろ下方へ向く所定の状態(第1開口状態)で、当接部80が被当接部81の前側部分に接触する。より具体的には、左右の当接部80が被当接部81を左右から挟み込むようにして互いに接触する。この状態からバスケット開口部33が更に下方へ向くようにバスケット本体20Aを回動させると、当接部80は被当接部81に沿って摺動する。
ここで、当接部80の間隔L7は一定であるのに対し、被当接部81の間隔は後部へ向かうに従って間隔L8から間隔L9へと大きくなっている。従って、被当接部81には、当接部80から左右方向の中心向きに力が作用するため、各変形部73,77が変形してバスケット本体20Aは図11に示したように変形する。その結果、当接部80が被当接部81の後端部に至ったときに、バスケット開口部33は最大の間隔L9に広がる。なお、当接部80が被当接部81の後端部に至ったとき、ハンドル20Bはバスケット本体20Aの保持部67(図8)に当接し、この姿勢が保持される。
以上のような構成により、本実施の形態に係るバスケット20は、例えば使用者がハンドル20Bの把持部43を右手で掴み、左手でバスケット本体20Aを回動させると、バスケット開口部33が下方を向く状態でその開口寸法が大きくなる。そのため、集塵袋21と側面支持壁30の内面との間に隙間が生じるので、人手で掴まなくても、集塵袋21は自重によりバスケット本体20から落下して離脱する。このように、集塵袋21を容易に廃棄することができる。
しかも、本実施の形態に係るバスケット本体20の場合、前側変形部73は底面支持壁31の左右方向中央部分に設けられ、後側変形部77は底面支持壁31の左右部分に離隔して設けられている。換言すれば、図10の平面図に破線VLで示すように、前側変形部73及び後側変形部77は、底面支持壁31において前側を頂点とし後側を底辺とする三角形を形成するように配置されている。従って、底面支持壁31は、前側中央部分から後側左右部分へ至る三角形状に(破線VLに沿うようにして)折り目が形成され、ハンドル20Bの回動に連動してバスケット本体20Aが開きやすくなっている。
(口板押圧部)
図14は、バスケット20を集塵室11に収納した状態(収縮状態)のときに、集塵袋21の口板21bをハンドル20Bが支持する構成を示すバスケット20の側面図である。この図14に示すように、ハンドル20Bのコーナー支持部41には、集塵袋21の口板21bの上端部を、集塵室11における通気上流方向(即ち、吸気孔13の方向;図14における前方)へと押圧する押圧部41aと、口板21bをこの押圧部41aへと導く誘導部41bとが設けられている。
より具体的には、押圧部41aは、上下方向に沿って延びる垂直縁部と、その上端から前方へ延びる水平縁部とで画定される構成となっており、口板支持部34のみによって支持された状態の口板21bよりも若干前方寄りに位置している。また、誘導部41bは、上方且つ前方へと傾斜して延びる縁部として形成されており、その上端は押圧部41aの垂直縁部に接続され、下端は上述した当接部80に接続されている。
このような押圧部41a及び誘導部41bにより、集塵袋21の口板21bを吸気孔13(図2参照)へと付勢することができる。即ち、集塵室11へバスケット20が装着され(図14の「均衡状態」)、蓋部2が閉じられると、蓋部2の内面に押圧されたハンドル20Bは下降して収縮状態となる。このとき、ハンドル20Bの下降に伴って口板21bの上端部が誘導部41bに沿って摺動し、且つ、誘導部41bの傾斜形状に応じて前方へと押圧される。そして、ハンドル20Bが収縮位置に達すると、口板21bの上端は押圧部41aにより前方へ付勢された状態で、後方及び上方から支持される。
これにより、吸入空気の圧力にかかわらず、口板21bを吸気孔13に近接させた状態(あるいは、口板21bを、口板支持部34の前壁部34bに当接した状態)を維持することができる。従って、吸気孔13を通じて吸引される塵埃混じりの空気を、より確実に集塵袋21内へと取り込むことができる。
(膨張阻止部)
図15は、掃除機本体3の蓋部2に設けられた膨張阻止部90を示す斜視図である。図16は、膨張阻止部90を有する蓋部2を閉じた状態の掃除機本体3の前部断面図である。図15に示すように、蓋部2の前端下部には膨張阻止部90が設けられている。この膨張阻止部90は、ブロック状の外観形状を有しつつ、その下部から上部へ至る通気流路91を有している。また、膨張阻止部90は、蓋部2が閉じられた状態では、バスケット20のハンドル20Bが有するハンドル前側開口部46(図3,図4参照)に嵌まり込むように配置されている。
このような膨張阻止部90を設けた場合、図16に示すように、集塵袋21の上部の一部は膨張が阻止され、通気流路91を通じた空気の通流ルートを確保することができる。即ち、吸気孔13から集塵袋21内に取り込まれた空気は、集塵袋21の後部を通過するルートだけでなく、上部を通過するルートも通って、掃除機本体3の所定の排気口(図示せず)から排出させることができる。従って、集塵袋21の後部に大量の塵埃が溜まったとしても、吸引力を低下させることなく、塵埃を効率的に捕集することができる。
また、集塵袋21の上部が下方に押圧され、膨張が阻止されているため、集塵袋21を廃棄するためにバスケット20と取り出す際、把持部43と集塵袋21の上部との間に手指を入れやすくもなる。
(変形例)
図17は、バスケット本体20Aの自然回動を防止するための他の構成を説明するバスケット20の側面図である。図17(a)に示す例では、バスケット本体20Aの側面支持壁30に、ハンドル20Bの相対的な回動を制限する摩擦部100が設けられている。この摩擦部100は、例えば合成ゴム等の静止摩擦係数の大きい素材で構成することができ、バスケット本体20A及びハンドル20Bの相対的な回動時に、アーム部42の内側面が摺接するように配置されている。図17(a)では、摩擦部100は軸部51を中心とする円周上に設けられている。
図17(b)に示す例では、アーム部42の円弧状を成す下部の周部に、下側ガイド66の案内壁66aと一時的に干渉する干渉突起部101が設けられている。この干渉突起部101は、バスケット20が姿勢B1の状態にあるときには、案内壁66aの上端に対して一方側(軸部51回りの一方側)に位置している。そして、この姿勢B1からバスケット本体20Aが後傾方向へ少し回動すると、干渉突起101は案内壁66aに干渉し、これを乗り越えて、案内壁66aの上端に対して他方側(軸部51回りの他方側)へ移動するように構成されている。
上述したような摩擦部100あるいは干渉突起101を設けることにより、バスケット20を姿勢B1の状態で安定的に保持することができる。なお、図17(a)又は図17(b)に示す構成は、先に説明した図9に示す構成に置き換えて採用してもよいし、いずれか2又は3つを同時に併用してもよい。また、図17(a)に示す摩擦部100は、全回動範囲においてアーム部42に摺接するように設ける必要はない。例えば、少なくともバスケット開口部33を上方へ向けた状態を含む回動区間での回動を制限するように、一部分に設けることとしてもよい。また、バスケット本体20Aに摩擦部100を設けるのではなく、ハンドル20Bのアーム部42において、バスケット本体20Aの側面支持壁30に対向する部分に合成ゴム等の摩擦部を設けることとしてもよい。
以上に説明したように、本実施の形態に係るバスケット20は、掃除機1の集塵室11に着脱可能に装着される集塵袋21用のバスケット20であって、集塵袋21がセットされるバスケット本体20Aを備え、該バスケット本体20Aは、集塵袋21を支持する支持壁(側面支持壁30,底面支持壁31)と、集塵室11に装着された状態で上方に開口するバスケット開口部33とを有し、集塵室11から取り外された状態でバスケット開口部33が広がるように構成されている。これにより、集塵室11に装着された状態よりも集塵室11から取り外された状態の方が、バスケット開口部33が広がる。従って、バスケット本体20Aと集塵袋21との間に隙間が形成され、両者間の摩擦抵抗が低減するため、バスケット本体20Aから集塵袋21を取り外しやすくなる。
また、上記支持壁(底面支持壁31)は、バスケット開口部33を広げるように変形する変形部73,77を有している。このように、変形部を定めておくと、変形後のバスケット本体20Aの全体形状もほぼ一定形状に見積もることができる。そのため、バスケット開口部33を所望の開き具合とする設計が容易になり、集塵袋21を容易に取り外すことのできるバスケット20を、より確実に実現することができる。また、バスケット本体20Aを1部品となるよう鋳造等で一体成形することも可能であり、この場合、微細な塵埃によってバスケット20に不具合が生じるのを抑制することができる。
また、上述した支持壁(側面支持壁30,底面支持壁31)を2〜3つの構成部材によって構成し、各構成部材の接続箇所に変形部を設けることとしてもよい。この場合にも、変形後のバスケット本体20Aの全体形状もほぼ一定形状に見積もることができる。そのため、バスケット開口部33を所望の開き具合とする設計が容易になり、集塵袋21を容易に取り外すことのできるバスケット20を、より確実に実現することができる。
また、ハンドル20Bは、バスケット本体20Aの両側方にて回動自在に枢支され、バスケット開口部33の上方に架け渡されている。これにより、使用者は、ハンドル20Bを持ってバスケット本体20Aを掃除機1から容易に取り出すことができる。また、片手でハンドル20Bを把持し、もう片手でバスケット本体20Aを回動させてバスケット開口部33を下方へ向けるなど、集塵袋21をバスケット本体20Aから取り外す作業を容易に行える。
また、ハンドル20Bは、バスケット本体20Aをバスケット開口部33が下方へ向くように回動させた場合に、該バスケット本体20Aに接触する当接部80を有し、バスケット本体20Aは、バスケット開口部33が下方へ向くようにハンドル20Bに対して回動した場合に、ハンドル20Bの当接部80に接触する被当接部81を有している。そして、ハンドル20Bとバスケット本体20Aとが相対的に回動するのに伴って、当接部80と被当接部81とが互いに接触することにより、バスケット開口部33が広がるように構成されている。
このような構成とすることにより、バスケット本体20Aをバスケット開口部33が下方へ向くように回動させる操作と、バスケット開口部33を広げる操作とを別々に行う必要がない。即ち、バスケット本体20Aを回動させる操作をすれば、これに伴ってバスケット開口部33を広げることができる。従って、より容易な操作によって、バスケット本体20Aから集塵袋21を離脱させることができる。