JP2013167516A - 経路探索装置、コンピュータプログラム - Google Patents

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【課題】乗換駅での乗り換えに要する徒歩移動コストを評価に取り入れた経路探索装置を提供する。
【解決手段】経路探索ツール110は、経路探索用の運行情報DB132にアクセスして、ユーザにより指定された出発地及び目的地をそれぞれ交通機関の路線網を構成するノードに含めた経路探索を行うことにより、出発地から目的地に至る経路候補を探索する。出発地から目的地に至る1以上の経路候補の途中に乗換可能な第1駅が存在し、かつ、この第1駅および乗換先である第2駅との少なくとも一方に、出入口ノードと改札ノードを接続するリンク、改札ノードとホームノードを接続するリンクを有する駅構内ネットワークが構築されている場合には、第1駅から下車して第2駅で乗車するまでに要する徒歩移動コストが最小となる徒歩移動経路を探索する。
【選択図】図1

Description

本発明は、徒歩及び電車等の公共交通機関を利用して、任意の出発地から目的地に至る経路を探索する経路探索技術に関する。
電車等の公共交通網における最適な運行経路の探索技術については、本出願人によって開発された運行経路探索ソフト「駅すぱあと」(登録商標)以来、複数の企業技術者の手により幾多の改良・改善が試みられてきた。この経路探索技術の一つとして、出発地から出発駅及び目的地から目的駅までを結ぶ徒歩経路も考慮して、出発地及び目的地から最も近い駅(最寄り駅)を出発駅及び目的駅として特定した後、さらに、当該出発駅及び目的駅が複数の出入口を有する場合には、出発地及び目的地から最も近い出入口(最寄り出入口)を特定する経路探索方法が存在している。
従来の経路探索方法は、出発駅から目的駅まで最も安い運賃で移動できる経路を案内することに重点を置いている。これに加え、最近は、出発地から出発駅、目的駅から目的地までの徒歩経路等を地図で案内したり、これらの徒歩移動の距離を少なくするための最適な出入口を案内する経路探索方法も提案されている。
特許文献1はこのような経路探索を実現する経路探索システムの従来例である。特許文献1では、出発地となる施設から出入口、改札を経由して出発駅のホームに至るまでの区間と、目的駅のホームから改札、出入口を経由して目的地となる施設に至るまでの区間の徒歩移動コスト(徒歩による移動距離)を算出し、出発駅から目的駅までの運行コストに加算することで、出発地から目的地までの最適な経路を案内する。
この技術では、出入口、改札、ホームといった駅構内の構造をノードとリンクでネットワーク化する。次に、この駅構内ネットワークを従来の交通機関ネットワークに接続した上で、出発地から目的地までの経路探索を従来のダイクストラ法などにより行う。この技術は、従来の出発駅から目的駅までの経路探索をそのまま流用できる利点がある。
特許文献2には、ユーザが乗換駅で迷うことなく、スムーズに乗り換えるための発明が開示されている。特許文献2では、運行路線数が少ない駅を乗換駅とすることで、スムーズな乗り換えを可能にしている。例えば、ある出発地から目的地までの移動経路における乗り換え駅として2つの駅が候補となった場合、一方の駅の運行路線は3つあるのに対し、他方の駅の運行路線は2つであれば、他方の駅での乗り換えを推奨する。これは、一般的に大規模駅やターミナル駅になるほど運行路線数が多く、駅構内が複雑で迷子になる確率が高いことをもとに考えられた技術である。
特開2010−277575号広報 特開2009−103657号広報
地下鉄などでは、出発駅と目的駅が決まれば、どの駅を経由しても同じ運賃で移動できる場合が多い。しかし、出発駅と目的駅との間に複数の乗換可能な乗換駅が存在する場合、特許文献1,2では、どの駅で乗り換えるのが最適なのかの判断ができない。
本発明は、上記の問題を解決するために、出発地から出発駅、あるいは目的駅から目的地までの徒歩移動コストだけでなく、乗換駅での乗り換えに要する徒歩移動コストを評価に取り入れた経路探索装置を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明の、経路探索装置は、ユーザにより指定された出発地及び目的地を特定する特定手段と、経路探索用の運行情報DB(DBはデータベースの略、以下同じ)にアクセスして前記出発地及び目的地をそれぞれ交通機関の路線網を構成するノードに含めた経路探索を行うことにより、前記出発地から前記目的地に至る経路候補を探索する第1の経路探索手段と、この第1の経路探索手段で探索された1以上の経路候補の途中に乗換可能な第1駅が存在し、かつ、この第1駅および乗換先である第2駅との少なくとも一方に、出入口ノードと改札ノードを接続するリンク、改札ノードとホームノードを接続するリンクを有する駅構内ネットワークが構築されている場合に、前記第1駅から下車して第2駅で乗車するまでに要する徒歩移動コストが最小となる徒歩移動経路を探索する第2の経路探索手段と、を有する。
なお、本発明において「駅」とは、鉄道の駅のみに限らず、バス停留所やバスターミナル、空港などの、交通機関の乗り換えが可能な場所や施設である。
本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータを、経路探索装置として動作させるためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、ユーザにより指定された出発地及び目的地を特定する特定手段、経路探索用の運行情報DBにアクセスして前記出発地及び目的地をそれぞれ交通機関の路線網を構成するノードに含めた経路探索を行うことにより、前記出発地から前記目的地に至る経路候補を探索する第1の経路探索手段、この第1の経路探索手段で探索された1以上の経路候補の途中に乗換可能な第1駅が存在し、かつ、この第1駅および乗換先である第2駅との少なくとも一方に、出入口ノードと改札ノードを接続するリンク、改札ノードとホームノードを接続するリンクを有する駅構内ネットワークが構築されている場合に、前記第1駅から下車して第2駅で乗車するまでに要する徒歩移動コストが最小となる徒歩移動経路を探索する第2の経路探索手段、として機能させるコンピュータプログラムである。
本発明によれば、出発地から目的地に至る経路候補の探索の他に、経路候補の途中に乗換可能な第1駅が存在し、かつ、この第1駅および乗換先である第2駅の少なくとも一方に駅構内ネットワークが構築されている場合に、第1駅から下車して第2駅で乗車するまでに要する徒歩移動コストが最小となる徒歩移動経路を探索する。そのため、出発地から出発駅、あるいは目的駅から目的地までの徒歩移動コストだけでなく、乗換駅での乗り換えに要する徒歩移動コストを評価に取り入れた経路探索が可能になる。
本実施形態の経路探索システムの全体構成図。 交通機関ネットワークの概要図。 駅構内ネットワークの概要図。 改札・出入口・ホームテーブルの構造例示図。 番線テーブルの構造例示図。 改札外移動時間テーブルの構造例示図。 改札内移動時間テーブルの構造例示図。 徒歩移動コストを算出する処理手順図。 到着番線から出発番線まで徒歩移動する際に通るノードを表す図。 乗り換え案内文をユーザに提供するための処理手順図。 乗り換え案内文の例文を示す図。 最適車両位置対応表の例示図。 車両位置変換表の例示図。 九段下駅の駅構内ネットワークを表す図。 大手町駅における半蔵門線から東西線までの経路探索結果を表す図。 九段下駅における半蔵門線から東西線までの経路探索結果を表す図。 探索結果画面の例示図。 探索結果画面の例示図。
以下、本発明を、携帯端末向けの経路探索サービスを可能にするネットワーク型の経路探索システムに適用した場合の実施の形態例を説明する。
図1は、この実施形態の経路探索システムの全体構成図であり、特徴的な部分を掲示してある。この経路探索システムは、インターネット等のディジタルネットワークNに接続される経路探索サーバ10と、交通機関の駅の情報、例えば駅の出入口(北口、南口、A出口、B出口等:「駅出入口」、以下、単に出入口という)の位置情報(緯度、経度等)、出入口に繋がる改札、改札から到達可能なホーム、ホーム間の連絡通路、利用制限条件等のデータを蓄積した駅情報DB131と、経路探索用の運行情報、例えば列車ダイヤ、駅周辺の地図情報等のデータを蓄積した運行情報DB132とを含んで構成される。
ディジタルネットワークNには、携帯端末50の他に、情報端末の一例となるPC(パーソナルコンピュータ)70も接続可能になっている。
携帯端末50及びPC70は、データ通信及びデータ処理機能を有する場合はダイレクトに、それぞれディジタルネットワークNに接続することができる。
[経路探索サーバ]
経路探索サーバ10は、サーバ本体と本発明のコンピュータプログラムとの協働により実現される。すなわち、サーバ本体が、コンピュータプログラムを読み込んで実行することにより、そのサーバ本体を、データ通信用インターフェース100及び経路探索ツール110として機能させ、経路探索のための情報処理を実行可能にする。
データ通信用インターフェース100は、データ通信及びデータ処理機能を有する携帯端末50やPC70との双方向通信を可能にするとともに、これらの情報端末が閲覧可能な階層ページ画面を提供する。この階層ページ画面は、経路探索のWebサービスを行なうためのもので、経路探索条件の精緻な指定をシステム側とユーザ(利用者)との間でインタラクティブに行なうことにより、ユーザが満足する経路探索を行なう環境を提供する。経路探索の結果情報の表示も、このページ画面で行なうことができる。
経路探索ツール110は、探索条件受付部111、条件生成部112及び経路探索エンジン113とを含む。
探索条件受付部111は、出発地及び目的地を含む経路探索条件を受け付ける。出発地と目的地の少なくとも一方については、ユーザが直接入力(指定)したものをそのまま経路探索条件として特定してもよく、予め登録されるものを提示して選択させることで特定するようにしてもよい。予め登録される探索条件には、例えば、経路探索時にどのような条件により探索するかが含まれる。このような探索条件として、「運賃が安い」、「時間が早い」、「乗換が少ない」、「徒歩が少ない」等がある。「徒歩が少ない」を探索条件に加えることで、例えば、出発地から目的地までの経路が複数あり、経路毎に乗り換える駅が異なる場合に、どの駅で乗り換えるのが最も徒歩移動距離が少なくなるかを考慮した経路探索が可能になる。
条件生成部112は、出発地から出発地条件、目的地から目的地条件を生成し、必要に応じて出入口や改札の利用制限情報、ユーザが指示する探索条件を付加する。
経路探索エンジン113は、出入口、改札、ホーム、乗換駅を、交通機関の路線網を構成するノードに含め、出発地から目的地に向かって各ノードに順次リンクを張ることを繰り返すことにより、経路探索条件に従う1又は複数の経路候補を探索し、経路探索条件に最も適合するものを最適経路候補とする。
経路探索エンジン113は、公知の推論エンジンも搭載しており、経路探索途中で、つまりリンクを張り付けていく過程で、所要時間が現実的でなくなる経路となることが判明した場合、例えば予めメモリに記憶された閾値と比べて大きくなった場合は、その時点でその経路候補についての次のノード以降の探索を止める。
経路探索エンジン113は、また、複数の経路候補の各々について、出発地から目的地に至るまでの総移動コスト、例えば時間を移動コストと捉える観点からは総所要時間を算出し、算出された総所要時間の小さい順に、複数の経路をソートする。さらに、経路中にその利用が制限される出入口や改札がある場合には、当該経路を除外したうえで、経路候補を特定する。
なお、経路探索エンジン113の基本機能部分は、本出願人が提供している経路探索ソフトウェア「駅すぱあと」(登録商標)を使用することができる。
次に、経路探索ツール110による最も一般的な経路探索処理、すなわち出発地と目的地との間の最適経路候補の特定を行なう場合の探索の概要を説明する。なお、ここでは、出発地と出発駅、目的地と目的駅とがそれぞれ異なるものとして説明する。
経路探索ツール110は、出発駅から目的駅までの経路探索を交通機関ネットワークを構築して行う。交通機関ネットワークは、運行情報DB132に蓄積される列車ダイヤにより構築される。図2は、交通機関ネットワークの概要を示す図である。出発地から出発駅、あるいは目的駅から目的地までの経路探索は、駅情報DB131に蓄積される出入口、ホーム等のデータ及び運行情報DB132に蓄積される地図情報により行われる。
本実施形態の経路探索ツール110は、更に、出入口、その駅出入口に繋がる駅内の改札、改札から到達可能なホーム、及びホーム間の連絡通路をノードに含めた駅構内ネットワークを考慮して経路探索を行なう。そのために、乗換駅でのホーム間の徒歩移動を考慮した最適経路候補の探索が可能となる。図3は、駅構内ネットワークの概要を示す図である。
駅構内ネットワークは、交通機関ネットワークから独立して扱い、駅構内ネットワーク及び交通機関ネットワークの各々に対して経路探索を実行する。これは、乗り換えが発生する駅すべてに対して駅構内ネットワークを構築して交通機関ネットワークに接続すると、経路探索のためのネットワーク全体が巨大化して、経路探索処理の負荷が大きくなるからである。例えば、新宿駅のような大規模駅では出入口から改札を経由してホームに到達するのに200通り以上のパターンが存在し、ホーム間の連絡通路を入れると更に多くの経路を探索する必要がある。
よって、従来の経路探索により交通機関ネットワーク上での最適経路を探索した上で、それぞれの経路に対し、乗り換えが発生する駅における徒歩移動コストを駅構内ネットワークに基づいて算出する。この手順に従えば、徒歩移動コストを考慮するあまり交通機関ネットワーク上の移動経路が遠回りになるといった非現実的な結果を回避できる。
駅構内ネットワークについて、更に説明する。実際の交通網を考慮すると、駅構内ネットワークは、以下の特徴に留意して構築する必要がある。
1)同じ運行会社間での改札外乗り換え
同じ運行会社の路線間の乗り換え時に、改札内の通路を通ると乗り換えに時間がかかることがある。このような場合には、一旦改札の外に出てから、改札外の通路を通って他の改札から入場することが許可されている。そのために、駅構内ネットワークには、改札外乗り換えを許可する改札ノード同士をリンクする必要がある。
2)1つのホームまたは番線に複数の路線が停車する
1つのホームに異なる路線の列車が停車可能な場合がある。また、複数の番線に、それぞれ複数の路線の列車が停車可能な場合もある。これらの場合にも対処できるように、駅構内ネットワークに番線ノードを追加し、ホームノードと番線ノードをリンクで接続する必要がある。なお、このリンクの運行コスト(すなわちリンクの両端のノード間の移動にかかる所要時間あるいは距離)は、距離や移動時間は考えなくてよいためにゼロである。
3)隣接する駅までの改札内連絡通路
隣接する駅に、改札内の通路を通って移動が可能な駅が存在する。この場合は、駅ごとに独立して駅構内ネットワークを構築するのではな<、互いに改札内連絡通路で行き来できるすべての隣接駅をまとめて1つの駅構内ネットワークとする。
4)同じ路線でも列車によって停車する番線が異なる
同じ路線の列車であっても、同じ駅で停車する番線が異なる場合がある。この場合も、2)と同様に、駅構内ネットワークに番線ノードを追加すれば、その番線から別の路線に乗り換える際の徒歩移動コストが算出可能となる。そのために、列車の停車番線データが運行情報DB132に整備されている。
なお、駅の構造が2)や4)に該当しない場合は、駅構内ネットワークヘの番線ノードの追加は不要である。
5)異なる運行会社への乗り換えが1回の改札の通過で可能な連絡改札
異なる運行会社間で相互に乗り換えが可能な連絡改札が存在する。連絡改札により、乗り換え元の路線の出場と乗り換え先の路線の入場とを一度に行うことができる。このような場合、ホームノード(乗り換え元)一改札ノード(連絡改札)−ホームノード(乗り換え先)という接続リンクを追加することで、連絡改札を駅構内ネットワークに組み込む。
以上の1)〜5)の内容を加味して、図3の駅構内ネットワークでは、ホーム−ホーム間のリンクは点線、改札外乗り換えにおける改札−改札間のリンクは一点鎖線で示す。
このような駅構内ネットワークを構築するために、駅情報DB131には、改札・出入口・ホームテーブル、番線テーブル、改札外移動時間テーブル、及び改札内移動時間テーブルが格納される。図4乃至図7に各テーブルの概要を示す。
図4は、改札・出入口・ホームテーブルの構造例を示した図である。
改札・出入口・ホームテーブル115には、出入口の位置、改札の位置、ホームの位置、出入口・改札の利用制限情報等が記録されるようになっている。改札・出入口・ホームテーブル115の記録内容により、駅構内ネットワークが構築される。
具体的には、駅コード115aに各駅を識別するためのコード(数値)が記録される。駅名称115bには、指標データとして各駅の名称が文字列で記録される。名称タイプ115c及び名称115dには、ホーム、改札、又は出入口を表す数値及び文字列が記録される。コード115eには、当該データを別のデータに結びつけるためのコード(数値)が記録される。位置115fのフィールドには、ホーム、改札、又は出入口の緯度、経度、高度を表す数値が位置情報の一例として記録される。利用制限条件有無115gには、ホーム、改札、又は出入口の利用制限条件の有無を表す数値(0か1)が割り当てられており、利用制限条件115hには、乗車若しくは降車時のみしか利用できない、平日しか利用できない等の利用制限条件及び利用可能時間の割当等が記録される。
図5は、番線テーブルの構造例を示した図である。
番線テーブル116には、駅の番線に停車する列車の進行方向、開くドアの位置等の情報が記録されるようになっている。具体的には、駅コード116aに、当該番線の所属する駅を識別するためのコード(数値)が記録される。駅名称116bには、駅コード116aに応じた駅の名称が文字列で記録される。ホームコード116cには、番線が接するホームを識別するためのコード(数値)が記録される。方向116dには、当該番線に停車する列車の進行方向を表す数値(0か1)が記録される。
本実施形態では、各ホームに対し、一方の端を前方、他方の端を後方と決める。これは番線テーブル116の他に、後述の改札外移動時間テーブル及び改札内移動時間テーブルにおいても共通に使用する。ホームの前方/後方が定まると、ホームの各番線に停車する列車の進行方向も、ホームの前方/後方と区別可能になる。これが番線テーブルの「方向」の値である。列車の進行方向がホームの前方であれば、方向116dには「0」が記録され、後方であれば「1」が記録される。例えば赤坂見附駅の場合、地下2階のホームには3番線と4番線が接しており、それぞれ行き先は浅草方面と池袋方面だが、このホームの南側を前方と定めると、3番線も4番線も、停車する列車の進行方向はホーム前方ということになる。
開くドアの位置116eには、当該番線に停車する列車の進行方向に対しての開くドアの位置を表す数値(0か1)が記録される。赤坂見附駅の場合、3番線は列車の左のドア、4番線は列車の右のドアが開く。そのために3番線の番線テーブル116の開くドアの位置116eには「1」が記録され、4番線の番線テーブル116の開くドアの位置116eには「0」が記録される。番線表記116fには、当該番線が何番線であるかが、文字列として記録される。
図6は、改札外移動時間テーブルの構造例を示した図である。
改札外移動時間テーブル117には、出入口から改札に至るまでの所要時間の他に、改札外乗り換えにおける改札から改札までの所要時間が記録される。具体的には、駅コード117aに、各駅を識別するためのコード(数値)が記録されており、駅名称117bに、指標データとして各駅の名称が文字列で記録される。発コード117cには、出入口または改札を識別するためのコード(数値)が記録される。着コード117dには、改札を識別するためのコード(数値)が記録される。移動時間117eには、出入口から改札、または改札から別の改札までの移動時間が数値(秒)で記録される。東京駅と大手町駅のように隣接する駅や、同じ駅でも改札を一旦出てから他のホームに移動する必要がある場合には、改札外移動テーブル117により、移動にかかる時間がわかる。
図7は、改札内移動時間テーブルの構造例を示した図である。
改札内移動時間テーブル118には、改札からホーム及びホームから別のホームに至るまでの所要時間が記録される。
具体的には、駅コード118aに、各駅を識別するためのコード(数値)が記録されており、駅名称118bには、指標データとして各駅の名称が文字列で記録される。発コード118cには、改札またはホームを識別するためのコード(数値)が記録される。発側車両位置118dには、着側のホームに最短距離で移動するのに適した車両位置が文字列で記録される。着コード118eには、ホームを識別するためのコード(数値)が記録される。着側車両位置118fには、発側のホームまたは改札に最短距離で移動するのに適した車両位置が文字列で記録される。移動時間118gには、改札からホーム、又はホームから別のホームまでの移動時間が数値(秒)で記録される。
[運用形態]
次に、本実施形態の経路探索システムの運用形態例を、経路探索ツール110での処理を中心に説明する。ユーザが、携帯端末50によって、出発地から目的地までの経路候補のうち、総コスト、特に総所要時間が短い経路を最適経路候補として探索する場合の例を説明する。この場合、経路探索サーバ10は、まず、従来と同様に出発地から目的地までの経路探索を行った後、経路候補のそれぞれにおいて乗り換えが発生する乗換駅で乗り換えにかかる時間である徒歩移動コストを算出する。出発地から目的地までの経路探索については、従来と同様の処理であるので説明を省略する。図8は、徒歩移動コストを算出する処理手順図である。なお、以下の説明で「S」は処理ステップを表す。
経路探索ツール110は、ユーザによって入力された、出発地及び目的地を含む経路探索条件を受け付けて、従来と同様の経路探索により乗換駅の候補を探索する。すべての乗換駅の候補について、図8の手順で徒歩移動コストを算出する。
経路探索ツール110は、乗換駅の駅コードで特定される改札・出入口・ホームテーブル115を、駅情報DB131から読み込む(S101)。経路探索ツール110は、読み込んだ改札・出入口・ホームテーブル115により、図3のような当該乗換駅の駅構内ネットワークを構築する(S102)。改札・出入口・ホームテーブル115の名称タイプ115cにより、当該乗換駅の出入口、改札、ホームが抽出でき、コード115eにより、別の改札・出入口・ホームテーブル115との間の結合関係がわかるようになっている。これらの情報から、乗換駅の駅構内ネットワークが構築される。駅構内ネットワークの構築により、ホーム間で乗り換え可能な経路が容易に探索可能になる。
経路探索ツール110は、駅構内ネットワーク構築後に、運行情報DB132を参照して、当該乗換駅に乗り入れる列車の到着番線を確認する(S103)。経路探索ツール110は、確認した到着番線の番線テーブル116により、到着番線の番線ノードを特定する(S104)。また、経路探索ツール110は、乗り換えた列車が出発する出発番線を、運行情報DB132を参照して確認して(S105)、確認した出発番線の番線テーブル116により、出発番線の番線ノードを特定する(S106)。
到着番線及び出発番線の番線ノードを特定後に、経路探索ツール110は、駅構内ネットワークを参照して、到着番線から出発番線までの経路探索を行う(S107)。このとき経路探索ツール110は、当該乗換駅の改札外移動時間テーブル117及び改札内移動時間テーブル118を参照して、徒歩移動コストが最短になる徒歩経路を1つ決定する(S108)。乗換駅の候補が複数ある場合には、各乗換駅で上記の処理を行い、各乗換駅の候補で、徒歩移動コストが最短になる徒歩経路を1つ決定し、その中から、最も徒歩移動コストが最短になる徒歩経路を決めることで、乗換駅及び乗り換え経路が決定する。
ステップS108で決定する当該乗換駅の徒歩経路は、図9のEND1〜END4のいずれかのパタンに一致する。図9は、到着番線から出発番線まで徒歩移動する際に通るノードを表す図である。
END1のパタンは、到着番線と出発番線が同じホームにあり、徒歩移動コストが0の場合である。END2のパタンは、到着番線と出発番線とが異なるホームにある。改札内移動時間テーブル118で表されるホーム間の移動時間が徒歩移動コストになる。END3のパタンは、到着番線と出発番線とが連絡改札を挟んで異なるホームにある。改札内移動時間テーブル118で表される改札からホームの移動時間が徒歩移動コストになる。END4のパタンでは、到着番線から出発番線への移動に一旦改札の外に出る必要がある。改札内移動時間テーブル118で表される改札からホームへの移動時間及び改札外移動時間テーブル117で表される改札から改札までの移動時間が徒歩移動コストになる。
経路探索サーバ10は、END1〜END4の各パタンに応じて、乗換駅における乗り換え案内文をユーザに提供可能である。図10は、乗り換え案内文をユーザに提供するための処理手順図であり、図11は、乗り換え案内文M1〜M4の例文である。
経路探索サーバ10は、乗換駅における徒歩経路がEND1のパタンである場合には、案内文コードM1の案内文をユーザの携帯端末50の表示画面に表示させて、処理を終了する(S201:Y、S202)。経路探索サーバ10は、END1のパタンで無い場合に、案内文コードM2の案内文をユーザの携帯端末50の表示画面に表示させる(S201:N、S203)。
経路探索サーバ10は、案内文コードM2の案内文をユーザに提供した後に、乗換駅における徒歩経路がEND3のパタンであるか否かを確認する。経路探索サーバ10は、END3のパタンである場合に、案内文コードM3の案内文をユーザの携帯端末50の表示画面に表示させ、処理を終了する(S204:Y、S205)。経路探索サーバ10は、END3のパタンで無い場合には、乗換駅における徒歩経路がEND4のパタンであるか否かを確認する(S204:N、S206)。
経路探索サーバ10は、END4のパタンである場合に、案内文コードM4の案内文をユーザの携帯端末50の表示画面に表示させ、処理を終了する(S206:Y、S207)。経路探索サーバ10は、END4のパタンで無い場合には、そのまま処理を終了する(S206:N)。
なお、案内文コードM2の{1}の値は、図12に例示する最適車両位置対応表のようになる。また、図13に例示する車両位置変換表を用いることで、案内文コードM2の{1}の値は、乗り換え元の列車の最適な降車位置及び乗り換え先の列車の最適な乗車位置を、それぞれの列車の進行方向に合わせて表すものとなる。最適な降車位置及び乗車位置を案内するために、例えば番線テーブル116に、列車からの下車位置と、番線ノード、ホームノード、改札ノードとの位置関係(列車の前方は、改札ノードに近い等)を記録しておいてもよい。
[実施例]
このような経路探索サーバ10を用いて半蔵門駅から東陽町駅までの経路探索を行う場合を例に、本実施形態の検証を行う。
本出願人が提供している経路探索ソフトウェア「駅すぱあと」(登録商標)により半蔵門駅から東陽町駅までの経路探索を行うと、探索の結果得られる所定数の経路、例えば20経路の中で最も運賃が安<、かつ最も乗換回数が少ない経路が2つ得られる。一方は半蔵門駅から半蔵門線を通って九段下駅で東西線に乗り換えて、東陽町駅に至る経路である。他方は、半蔵門駅から半蔵門線を通って大手町で東西線に乗り換え、東陽町駅に至る経路である。これらの経路は所要時間もほぼ等しいため、徒歩移動コストを考慮しなければどちらの経路がより楽に移動できるか不明である。
そこで、前者の経路の乗り換え駅である九段下駅と、後者の経路の乗り換え駅である大手町駅のそれぞれで駅構内ネットワークを構築して、乗換駅内の経路探索を行う。参考までに、図14は、九段下駅の駅構内ネットワークを表す図である。
九段下駅内及び大手町駅内の経路探索の結果、図15及び図16に示すような結果が得られる。図15は、大手町駅における半蔵門線から東西線までの経路探索結果であり、移動距離が合計で260[m]になる。図16は九段下駅における半蔵門線から東西線までの経路探索結果であり、移動距離が合計で90[m]になる。この結果から、徒歩移動コストが少ないのは九段下駅であることがわかる。さらに、九段下駅の半蔵門線ホーム(押上方面)では、中央の位置から乗り換えるのが最適であることがわかる。
以上のような経路探索の結果、ユーザの携帯端末50には、図17、図18に示すような探索結果画面が表示される。いずれも、出発駅であるA駅から目的駅であるB駅までの探索結果であり、乗換駅がC駅である経路1とD駅である経路2とが、探索結果として得られている。探索結果の画面から経路1または経路2を選択することで、各経路の詳細な画面が表示される。いずれの図でも、経路の詳細な画面において、乗換駅でスムーズな乗り換えが可能な列車の乗車位置(何両目、車両の前方、中方、後方等)及び乗換駅における乗車番線(あるいは路線名及び行先)が表示される。
図17では、経路1の乗換駅であるC駅において乗り換えが同じホームで可能であり、経路2の乗換駅であるD駅において乗り換えに400[m]移動する必要があることを表示している。図18では、乗換駅における移動距離の他に、連絡改札や改札外に一旦出る改札外乗換であることを表示している。ユーザは、このような探索結果から、好みの経路を選択できる。これらの表示は、図9〜図13で説明した処理により行われる。
このように経路探索サーバ10により、乗換駅で乗り換えに要する徒歩移動コストを算出できるようになり、より楽に移動できる経路の判別が可能になる。
従来から、ユーザに対して例えば「3番線から4番線に乗り換えてください」といった案内をすることは可能である。しかし、この案内だけでは3番線と4番線が同じホームなのかどうか、つまり階段の上り下りが必要なのかどうかまでは分からなかった。本実施形態の駅構内ネットワークを用いることで、乗り換えの際にホームの移動を必要とするかどうかをユーザに案内することが可能となる。また、駅構内ネットワークにより、列車によって停車する番線が異なる路線があっても、徒歩移動コストを算出できる。さらに、ホームからホーム、あるいはホームから改札へと最短距離で移動できる車両位置や、列車のドアの開く位置の案内が容易になり、改札外乗り換えや連絡改札による乗り換えといった乗り換え方法を案内できる。
本実施形態では、乗り換えに要する徒歩移動コストが少ないことを移動における快適性と考え、ホーム(または改札)からホームヘの移動時間を駅構内ネットワークのリンクの重みとしたが、階段の上り下りなしに乗り換えができることを快適性と考えるならば、(最短距離でなくとも)エレベーターやエスカレーターだけで移動できる場合に最もリンクの重みが小さくなる。このように、何を移動における快適性と考えるかによって、さまざまな駅構内ネットワークの応用が考えられる。例えば、車いすのユーザに対しては、エレベータの利用が必須となるので、エレベータに近い乗車位置を案内したり、出入口についてもエレベータが利用可能な場所を案内することになる。
10…経路探索サーバ、50…携帯端末、70…PC、100…データ通信用インターフェース、110…経路探索ツール、111…探索条件受付部、112…条件生成部、113…経路探索エンジン、115…改札・出入口・ホームテーブル、116…番線テーブル、117…改札外移動時間テーブル、118…改札内移動時間テーブル、131…駅情報DB、132…運行情報DB

Claims (6)

  1. ユーザにより指定された出発地及び目的地を特定する特定手段と、
    経路探索用の運行情報DBにアクセスして前記出発地及び目的地をそれぞれ交通機関の路線網を構成するノードに含めた経路探索を行うことにより、前記出発地から前記目的地に至る経路候補を探索する第1の経路探索手段と、
    この第1の経路探索手段で探索された1以上の経路候補の途中に乗換可能な第1駅が存在し、かつ、この第1駅および乗換先である第2駅との少なくとも一方に、出入口ノードと改札ノードを接続するリンク、改札ノードとホームノードを接続するリンクを有する駅構内ネットワークが構築されている場合に、前記第1駅から下車して第2駅で乗車するまでに要する徒歩移動コストが最小となる徒歩移動経路を探索する第2の経路探索手段と、
    を有する経路探索装置。
  2. 前記駅構内ネットワークには、改札外乗り換えを許可する改札ノード同士を接続するリンク、ホームノードと番線ノードを接続する運行コストゼロのリンク、改札内連絡通路、第1駅のホームノードと第2駅の改札ノード(連絡改札)と第2駅のホームノードを接続するリンク、の少なくとも1つをさらに有する、
    請求項1記載の経路探索装置。
  3. 前記駅構内ネットワークが、前記徒歩移動経路に改札外乗り換えを許可する改札ノード同士を接続する前記リンク、ホームノードと番線ノードを接続する運行コストゼロの前記リンク、第1駅のホームノードと第2駅の改札ノード(連絡改札)と第2駅のホームノードを接続する前記リンクのいずれかを有すれば、その存在を前記ユーザに案内する案内手段をさらに有する、
    請求項2記載の経路探索装置。
  4. 前記第1駅における下車位置と、前記出入口ノード、前記改札ノード、前記ホームノード及び前記番線ノードとの位置関係を記憶する記憶手段と、をさらに有し、
    前記案内手段は、前記記憶手段に記憶された前記位置関係から、前記第1駅における最適な下車位置を前記ユーザに案内する、
    請求項3記載の経路探索装置。
  5. 前記第2の経路探索手段は、前記駅構内ネットワークにおける利用制限情報を取得し、前記探索された徒歩移動経路のうち利用が制限されている経路を探索結果から除外する、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の経路探索装置。
  6. コンピュータを、経路探索装置として動作させるためのコンピュータプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    ユーザにより指定された出発地及び目的地を特定する特定手段、
    経路探索用の運行情報DBにアクセスして前記出発地及び目的地をそれぞれ交通機関の路線網を構成するノードに含めた経路探索を行うことにより、前記出発地から前記目的地に至る経路候補を探索する第1の経路探索手段、
    この第1の経路探索手段で探索された1以上の経路候補の途中に乗換可能な第1駅が存在し、かつ、この第1駅および乗換先である第2駅との少なくとも一方に、出入口ノードと改札ノードを接続するリンク、改札ノードとホームノードを接続するリンクを有する駅構内ネットワークが構築されている場合に、前記第1駅から下車して第2駅で乗車するまでに要する徒歩移動コストが最小となる徒歩移動経路を探索する第2の経路探索手段、
    として機能させるコンピュータプログラム。
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