JP2013166456A - 車両駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の補機8,9が付設される車両駆動装置において、補機8,9の作動に伴う剛体共振を抑制可能とすること。
【解決手段】複数の補機8,9は、車両駆動装置に取り付けられる筒状支持部材10の外周に取り付けられかつ当該筒状支持部材10の中心軸線110に対して直交する方向に沿う平面100上に振り分けて配置されている。これにより、複数の補機8,9の作動時に、いずれかの補機8(または9)に対して筒状支持部材10を介した残りの補機9(または8)がダイナミックダンパとして機能するようになる。
【選択図】図3

Description

本発明は、複数の補機が付設される車両駆動装置に関する。
一般に、走行用動力源として内燃機関であるエンジンを搭載した自動車などの車両が知られている。このようなエンジンは、変速機と連結されて、例えば車両前部のエンジンコンパートメント(エンジンルームとも呼ばれる)内に設置される。
近年、走行用動力源としてモータを用い、モータへの電力供給源として燃料電池を搭載した燃料電池自動車が注目されている。
前記燃料電池は、燃料電池セルを多数積層した構成で、燃料電池スタックと呼ばれている。この燃料電池は、水素等の燃料ガスと空気中の酸素とを電気化学反応させることによって走行用モータを駆動する電気エネルギを発生する発電装置である。この燃料電池に供給する空気としては、大気中の空気をエアコンプレッサで取り込んで圧縮したものとされる。
このような燃料電池は、地球温暖化の一因とされる二酸化炭素を排出しないことから、地球環境にやさしい車両用電源装置として期待されている。
ところで、前記燃料電池自動車としては、例えば特許文献1に示されている。走行用モータで発生する回転動力は、変速機およびデファレンシャルなどを介して駆動輪に伝達される。そして、前記走行用モータおよび前記変速機は、車両駆動装置(例えばトランスアクスルと呼ばれる)としてユニット化されて、エンジンコンパートメント内の車体フレームに、振動を吸収するマウント部材を介して搭載される。
特開2005−130545号公報
上記特許文献1に示されているような車両において、本願発明者は、燃料電池やエアコンプレッサの圧縮空気などを冷却するための冷却系(ラジエータや冷却液循環路などを含む)の冷却液循環用のウォータポンプや、エアコンディショナのコンプレッサ(単にA/Cコンプレッサと言う)などといった補機を、支持部材を介して前記車両駆動装置の外周に付設することを考えている。
ちなみに、エンジンを搭載している車両の場合、一般に、エンジン冷却用のウォータポンプやA/Cコンプレッサなどの補機は剛性の高いエンジンに付設されている。
ところで、本願発明者は、前記支持部材の剛性がエンジンなどに比べて低いために、前記複数の補機の設置場所によっては当該各補機の作動に伴い当該各補機および支持部材が剛体的に振れ回る振動(剛体共振)が発生することを懸念している。現在のところ、前記剛体共振を抑制することを狙いとして車両駆動装置に対する前記複数の補機の設置場所を特定するような従来技術は見当たらない。
このような事情に鑑み、本発明は、複数の補機が付設される車両駆動装置において、前記補機の作動に伴う剛体共振を抑制可能とすることを目的としている。
本発明は、複数の補機が付設される車両駆動装置であって、前記複数の補機は、前記装置に取り付けられる筒状支持部材の外周に取り付けられかつ当該筒状支持部材の中心軸線に対して直交する方向に沿う平面上に振り分けて配置されている、ことを特徴としている。
この構成のように複数の補機の配置位置を特定すれば、前記複数の補機の作動時に、いずれかの補機に対して前記筒状支持部材を介した残りの補機がダイナミックダンパとして機能するようになる。前記複数の補機をダイナミックダンパとするにあたっては、前記各補機の質量と前記筒状支持部材の剛性に基づくばね定数とを特定することが好ましい。
これにより、前記各補機の作動に伴い各補機および筒状支持部材が剛体的に振れ回る振動(剛体共振)が前記ダイナミックダンパでもって抑制されることになる。そのため、本発明に係る車両駆動装置の振動を低減することが可能になり、ひいては本発明に係る車両駆動装置を搭載する車両の静粛性を向上することが可能になる。
なお、車両駆動装置の作動に伴い前記複数の補機および前記筒状支持部材が共振するような場合には、前記複数の補機が質量体となり、前記筒状支持部材が弾性体となるダイナミックダンパとして機能するようになるので、前記共振を低減することが可能になる。
好ましくは、前記車両駆動装置は、走行用モータと、この走行用モータで発生する回転動力を変速する変速機とを連結したユニットとされ、この変速機の軸方向一側には前記走行用モータの駆動用電気エネルギーを発生するための燃料電池に空気を供給するエアコンプレッサが取り付けられ、前記筒状支持部材は、前記変速機の軸方向一側に前記エアコンプレッサを囲むように取り付けられる。ここでは、車両駆動装置の構成および前記筒状支持部材の設置形態を特定している。
好ましくは、前記補機は、前記筒状支持部材の中心を挟んで対向する領域に1つずつ配置され、この第1補機の質量M1と第2補機の質量M2とが同等に設定され、前記筒状支持部材の剛性に基づくばね定数Kは、当該筒状支持部材に対する前記各補機の結合部分の剛性に基づくばね定数K1,K2と、前記筒状支持部材の断面潰れ剛性に基づくばね定数K3とを含み、かつ前記ばね定数K3が前記ばね定数K1,K2に比べて極小に設定される。ここでは、補機の数および当該補機の設置形態を特定している。
本発明は、複数の補機が付設される車両駆動装置において、前記補機の作動に伴う剛体共振を抑制することが可能になる。これにより、本発明に係る車両駆動装置の振動を低減することが可能になり、ひいては本発明に係る車両駆動装置を搭載する車両の静粛性を向上することが可能になる。
本発明に係る車両駆動装置の一実施形態で、その全体の平面外観を模式的に示す図である。 図1において白抜き矢印の方向から見た図である。 図1の車両駆動装置における振動系モデルを示す図である。 図1の車両駆動装置におけるイナータンスと周波数との関係を示す図である。 本発明の比較例に係る車両駆動装置で、その全体の平面外観を模式的に示す図である。 図5において白抜き矢印の方向から見た図である。 図5の比較例における振動系モデルを示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図4に、本発明の一実施形態を示している。図中、1は車両であり、この車両1のエンジンコンパートメント2には、車両駆動装置としてのトランスアクスル3、エアコンプレッサ4、図示していない燃料電池システムなどが搭載されている。
トランスアクスル3は、走行用モータ5、変速機6、デファレンシャル7などを備える構成である。走行用モータ5で発生する回転動力は変速機6で減速されてデファレンシャル7を介して図示していない駆動軸および駆動輪に伝達される。
前記燃料電池システムは、走行用モータ5に対する電力供給源であり、図示していないが、燃料電池、パワーコントロールユニット、燃料電池に供給する水素を貯留する高圧水素タンクなどを備えている。
前記燃料電池は、燃料電池セルを多数積層した構成で、燃料電池スタックと呼ばれている。この燃料電池は、水素等の燃料ガスと空気中の酸素とを電気化学反応させることによって走行用モータ5を駆動するための電気エネルギを発生する発電装置である。前記パワーコントロールユニットは、燃料電池の出力を制御するもので、燃料電池の発電電力を交流電力に変換するインバータ、2次電池の充放電を行うDC/DCコンバータなどを備えている。
エアコンプレッサ4は、図示していないが、圧縮部および当該圧縮部の駆動用のモータなどを備える公知の構成である。このエアコンプレッサ4は、前記モータで圧縮部を作動させることにより、大気中の空気を取り込んで圧縮して前記図示していない燃料電池に供給する。
この実施形態では、トランスアクスル3にエアコンプレッサ4を一体に結合してユニット化することにより、外形をコンパクトにして取り扱い易い構造にしている。
このトランスアクスル3とエアコンプレッサ4とを結合したユニットは、図示していないが、エンジンコンパートメント2内の車体フレーム(図示省略)に、振動を吸収するマウント部材(図示省略)を介して搭載される。これは前記ユニットから発生する振動を車体フレームへ伝達させないようにするためである。
ところで、車両1には、図示していないが、前記燃料電池(図示省略)やエアコンプレッサ4の圧縮空気などを冷却するための冷却系(ラジエータや冷却液循環路などを含む)や、車両1の室内空調のためのエアコンディショナなどが搭載される。
前記冷却系の冷却液循環用のウォータポンプ8および前記エアコンディショナのコンプレッサ(以下では単にA/Cコンプレッサと言う)9などの補機を、トランスアクスル3とエアコンプレッサ4とを結合したユニットの外周に付設するようにしている。
これらの補機(ウォータポンプ8、A/Cコンプレッサ9)の設置形態については、当該補機8,9の作動に伴い発生する振動を抑制するために、当該設置する補機(8,9)そのものを利用してダイナミックダンパを構成するようにしているので、以下で詳細に説明する。
まず、前記補機としてのウォータポンプ8とA/Cコンプレッサ9とを、トランスアクスル3とエアコンプレッサ4とを結合したユニットの外周に直接的に取り付けずに、適宜の筒状支持部材としてのエクステンションハウジング10を介して取り付けるようにしている。
このエクステンションハウジング10は、ほぼ円筒形とされていて、トランスアクスル3の軸方向一側でエアコンプレッサ4を囲むようにトランスアクスル3のケース31の軸方向一側に連なるように取り付けられる。
このエクステンションハウジング10の外周の所定位置に、ウォータポンプ8とA/Cコンプレッサ9とをボルト(図示省略)などで取り付ける。なお、前記ボルトによる結合部分には、図2において符号12,13,14,15を付している。
詳しくは、ウォータポンプ8とA/Cコンプレッサ9とは、図1に示すようにエクステンションハウジング10の軸方向所定位置(この実施形態では軸方向中央位置)から径方向に沿う平面100上、他の言い方をすればエクステンションハウジング10の中心軸線110に対して直交する方向に沿う平面100上で、かつ、図2に示すように前記平面100上において中心軸線110を挟んで対向する位置に、振り分けて取り付けられる。
なお、ウォータポンプ8とA/Cコンプレッサ9とにおける円周方向での設置場所は、厳密に180度対向する位置とする必要はなく、例えば右半分領域と左半分領域とに振り分けて設けられている。但し、ウォータポンプ8とA/Cコンプレッサ9とは、それらの回転中心軸線がほぼ平行となるような姿勢で設置されている。
そして、ウォータポンプ8およびA/Cコンプレッサ9を作動させたときに、それらのいずれか一方例えばウォータポンプ8(またはA/Cコンプレッサ9)に対して、残り他方つまりA/Cコンプレッサ9(またはウォータポンプ8)が質量体、エクステンションハウジング10が弾性体となるダイナミックダンパを構成するようにする。
具体的に、ウォータポンプ8またはA/Cコンプレッサ9とエクステンションハウジング10とによって構成されるダイナミックダンパにおいて、ウォータポンプ8およびA/Cコンプレッサ9の質量をM1,M2とし、エクステンションハウジング10に対するウォータポンプ8およびA/Cコンプレッサ9の結合部分の剛性に基づくばね定数をそれぞれK1,K2とし、エクステンションハウジング10の断面潰れ剛性に基づくばね定数をK3とすると、図3の左側に示す振動系モデルとして表すことができる。
そして、M1≒M2、K1≒K2+K3、K1≒K2、K2≫K3という関係に設定すると、図3の右側に示す振動系モデルとして表すことができる。
これにより、質量M1に対して質量M2およびばね定数K2がダイナミックダンパとして機能するようになる。このようなダイナミックダンパの共振周波数(fn)を決定する要素は、fn=(1/2π)√(K2/M2)となる。
したがって、この関係式を用いて、ダイナミックダンパの共振周波数をチューニングすることにより、ウォータポンプ8およびA/Cコンプレッサ9を作動させることに伴いウォータポンプ8およびA/Cコンプレッサ9とエクステンションハウジング10とが剛体的に振れ回る振動(剛体共振)を抑制することが可能になる。
具体的に、この実施形態の効果について、図5から図7に示す比較例を参照して説明する。
この比較例の場合、図5に示すように、ウォータポンプ8とA/Cコンプレッサ9とを、本実施形態のようにエクステンションハウジング10の軸方向所定位置(この実施形態では軸方向中央位置)から径方向に沿う平面100上、他の言い方をすればエクステンションハウジング10の中心軸線110に対して直交する方向に沿う平面100上に配置せずに、筒状支持部材であるエクステンションハウジング10を軸方向一方つまりエアコンプレッサ4の端縁寄りに向けて延長し、この延長部分にA/Cコンプレッサ9を取り付けるようにしている。
これにより、A/Cコンプレッサ9がエクステンションハウジング10の軸方向中央位置から軸方向一側つまりエアコンプレッサ4の端縁寄りにずらされた状態で配置されている。このようにして、ウォータポンプ8とA/Cコンプレッサ9とが軸方向にオフセット配置されている。
なお、図6に示すように、ウォータポンプ8とA/Cコンプレッサ9とは、エクステンションハウジング10の円周上において中心軸線110を挟んで対向する場所に、振り分けて取り付けられる。
そして、ウォータポンプ8またはA/Cコンプレッサ9の作動に伴いエクステンションハウジング10に加わる加振力をF、A/Cコンプレッサ9またはウォータポンプ8で生じる加速度をAとすると、ウォータポンプ8およびA/Cコンプレッサ9とエクステンションハウジング10とによる剛体共振の振動レベル(イナータンスA/F:振動のしやすさの指標)は、図4に示すようになる。
つまり、比較例の場合に例えば図4の二点鎖線で示すような振動レベルになるとすると、本実施形態の場合には例えば図4の実線で示すような振動レベルに低減するようになる。図4のハッチングで示す領域が、ダイナミックダンパ効果による振動減衰領域である。
つまり、本実施形態の場合には、ダイナミックダンパ効果によりウォータポンプ8およびA/Cコンプレッサ9とエクステンションハウジング10とによる剛体共振の振動レベルを抑制することができる。
以上説明したように、本発明を適用した実施形態では、車両駆動装置としてのトランスアクスル3に補機(ウォータポンプ8,A/Cコンプレッサ9)を付設するにあたって、当該補機(8,9)の作動に伴い発生する振動を抑制するために、当該補機(8,9)そのものを利用してダイナミックダンパを構成するようにしている。
これにより、各補機(8,9)の作動に伴い各補機(8,9)および筒状支持部材(エクステンションハウジング10)が剛体的に振れ回る振動(剛体共振)を前記ダイナミックダンパでもって抑制することが可能になる。
なお、トランスアクスル3の作動に伴い補機(8,9)および筒状支持部材(エクステンションハウジング10)が共振するような場合には、前記複数の補機(8,9)が質量体となり、前記筒状支持部材(10)が弾性体となるダイナミックダンパとして機能するようになるので、前記共振を低減することが可能になる。
このようなことから、本発明に係る車両駆動装置としてのトランスアクスル3の振動を低減することが可能になり、ひいては本発明に係る車両駆動装置としてトランスアクスル3を搭載する車両の静粛性を向上することが可能になる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
(1)上記実施形態では、車両駆動装置としてのトランスアクスル3に2つの補機(ウォータポンプ8,A/Cコンプレッサ9)を取り付ける場合を例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、2つ以上の補機を取り付ける場合にも本発明を適用することが可能である。
(2)上記実施形態では、燃料電池車両に用いる車両駆動装置を例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばモータのみを駆動源とする電動車両にも本発明を適用することが可能である。
本発明は、複数の補機が付設される車両駆動装置に好適に利用することが可能である。
1 車両
2 エンジンコンパートメント
3 トランスアクスル(車両駆動装置)
4 エアコンプレッサ
5 走行用モータ
6 変速機
8 ウォータポンプ(補機)
9 A/Cコンプレッサ(補機)
10 エクステンションハウジング(筒状支持部材)
100 平面
110 エクステンションハウジングの中心軸線

Claims (3)

  1. 複数の補機が付設される車両駆動装置であって、
    前記複数の補機は、前記装置に取り付けられる筒状支持部材の外周に取り付けられかつ当該筒状支持部材の中心軸線に対して直交する方向に沿う平面上に振り分けて配置されている、ことを特徴とする車両駆動装置。
  2. 請求項1に記載の車両駆動装置は、
    走行用モータと、この走行用モータで発生する回転動力を変速する変速機とを連結したユニットとされ、この変速機の軸方向一側には前記走行用モータの駆動用電気エネルギーを発生するための燃料電池に空気を供給するエアコンプレッサが取り付けられ、
    前記筒状支持部材は、前記変速機の軸方向一側に前記エアコンプレッサを囲むように取り付けられる、ことを特徴とする車両用駆動装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両駆動装置において、
    前記補機は、前記筒状支持部材の中心を挟んで対向する領域に1つずつ配置され、
    この第1補機の質量M1と第2補機の質量M2とが同等に設定され、
    前記筒状支持部材の剛性に基づくばね定数Kは、当該筒状支持部材に対する前記各補機の結合部分の剛性に基づくばね定数K1,K2と、前記筒状支持部材の断面潰れ剛性に基づくばね定数K3とを含み、かつ前記ばね定数K3が前記ばね定数K1,K2に比べて極小に設定される、ことを特徴とする車両駆動装置。
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