JP2013166115A - 磁気分離具、磁気分離装置及び磁気分離方法 - Google Patents

磁気分離具、磁気分離装置及び磁気分離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 原流体の流れに妨害されることなく、磁場内の磁力によって原流体から磁性物質をより確実に分離しかつ集積できるようにする。
【解決手段】 超伝導磁石2の外側からボア2a内の磁場中心G側へ挿入される筒体内に、原流体S1をボア2a外から磁場中心G側に向けて流入させる流入路12aと、磁場中心G側で原流体S1から磁性物質Pを磁力分離する磁気分離部Mと、この磁気分離部Mで分離した磁性物質Pを磁場中心G付近に集積する集積部Qと、前記磁気分離部Mから原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体S2を流しかつボア2a外へ排出する流出路12bとを形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体から磁性物質を磁力分離する磁気分離具、磁気分離装置及び磁気分離方法に関する。
細胞や微生物の培養液、その他抽出液、メッキ排水、重金属やレアーメタルが溶存する流体、その他の排水、地下水、等に溶存する物質は、磁性が付与された磁気ビーズ又は磁性体を利用して溶存する物質を吸着させて磁気分離装置を用いて濃縮回収されている。
これら溶存する物質を吸着させた磁性物質(磁気ビーズ及び磁性体)を原流体から分離する磁気分離装置には、強磁場を発生する超伝導磁石が使用されている。
例えば、特許文献1に開示された超伝導磁気分離型流体処理装置は、磁性の付与された被分離物質を含む流体から被分離物質を超伝導コイルのボア内で磁気分離する超伝導磁気分離型流体処理装置であって、中央から放射状に延びた複数の磁性ワイヤからなる傘型の磁気フィルターを超伝導コイルのボア内に備え、磁性ワイヤで誘導、捕獲された被分離物質を磁気フィルターの中央部又は周辺部から吸引するように構成されている(特許文献1の請求項5)。
なお、特許文献1においては、前記超伝導コイルは、ボア内の磁場を計算すると、ボア軸心方向中央の磁場中心で磁力が最大になることが記載されている。
特開2009−106854号公報
前記従来技術は、被分離物質を含む流体を1方向に流して、磁性ワイヤからなるフィルター部材(磁気フィルター)の磁力で被分離物質を分離しかつ捕捉集積しており、流体は集積部を通って同じ方向に流れるため、フィルター部材で捕捉した被分離物質が流体によって流されることがあり、また、磁場中心部で磁性物質により閉塞が起こり流体が流れなくなる可能性があるため、フィルター部材を超伝導磁石内から取り出して、磁性物質を分離したり、洗浄したりする必要がある。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした磁気分離具、磁気分離装置及び磁気分離方法を提供することを目的とする。
本発明は、筒体内に流入した原流体から磁性物質を磁気分離部で磁場中心側に磁力により引き付け、磁性物質を磁気分離した後の浄化流体を原流体の流入方向及び磁性物質が磁力により引き付けられる方向と反対方向に流すことにより、磁性物質をより確実に分離しかつ集積できるようにした磁気分離具、磁気分離装置及び磁気分離方法を提供することを目的とする。
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
磁気分離具は第1に、超伝導磁石2の外側からボア2a内の磁場中心G側へ挿入される筒体内に、原流体S1をボア2a外から磁場中心G側に向けて流入させる流入路12aと、原流体S1から磁性物質Pを磁力により分離する磁気分離部Mと、この磁気分離部Mで分離した磁性物質Pを磁場中心G付近に集積する集積部Qと、前記磁気分離部Mから原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体S2を流しかつボア2a外へ排出する流出路12bとを形成していることを特徴とする。
磁気分離具は第2に、前記筒体は内外二重筒構造であって、外筒底壁3a側に前記磁気分離部M及び集積部Qを形成する有底筒形状の外筒3と、この外筒3内に挿入されていて前記流入路12aを形成する内筒4とを有し、外筒3の内周面と内筒4の外周面との間に前記流出路12bを形成していることを特徴とする。
磁気分離具は第3に、前記筒体は、磁気分離部M内で磁気分離されかつ集積部Qに集積
される磁性物質Pを吸引して取り出す抽出管5を有することを特徴とする。
磁気分離具は第4に、前記筒体は、原流体S1を流通させながら超伝導磁石2からの磁力で磁気勾配を作る高勾配磁気捕捉部材25を有することを特徴とする。
磁気分離具は第5に、前記原流体S1を流入させる流入路12aの断面積と、原流体S1と反対方向に浄化流体S2を流す流出路12bの断面積とを略同一に設定していることを特徴とする。
磁気分離装置は、前記磁気分離具1を、超伝導磁石2のボア2a内に挿入して着脱自在に装着していることを特徴とする。
磁気分離方法は第1に、超伝導磁石2の外側からボア2a内の磁場中心G側へ挿入される筒体内に、原流体S1をボア2a外から磁場中心G側に向けて流入させ、原流体S1から磁性物質Pを磁力により分離して磁場中心G付近の集積部Qに集積させ、磁性物質Pを分離した浄化流体S2を原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に流動させかつボア2a外へ流出させることを特徴とする。
磁気分離方法は第2に、前記筒体内の集積部Qに磁力によって集積される磁性物質Pを抽出管5で吸引して取り出すことを特徴とする。
磁気分離方法は第3に、前記原流体S1の流れ内に超伝導磁石2からの磁力で磁気勾配を作る高勾配磁気捕捉部材25を配置し、この高勾配磁気捕捉部材25で磁性物質Pを一旦捕捉して密集させてから、磁場中心G側に磁力によって集積することを特徴とする。
磁気分離方法は第4に、前記原流体S1と原流体S1と反対方向に流される浄化流体S2とを、原流体S1の取入口4aと浄化流体S2の排出口3bとの水頭差によって流動させることを特徴とする。
本発明によれば、筒体内に流入した原流体から磁場中心側で磁性物質を磁力分離した後に、浄化流体を原流体の流入方向及び磁性物質が磁力により引き付けられる方向と反対方向に流すので、磁性物質をより確実に分離でき、しかも分離した磁性物質を確実に集積できる。
即ち、磁気分離具は第1に、筒体内に流入路12aと磁気分離部Mと集積部Qと流出路12bとを形成し、この磁気分離部Mから原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体S2を流すので、浄化流体S2によって磁性物質Pが流されるのが減少でき、磁性物質Pをより確実に分離でき、しかも、磁気分離した磁性物質Pを浄化流体S2の流れの影響を受けない集積部Qで確実に集積することができる。
磁気分離具は第2に、前記筒体を内外二重筒構造にすることにより、外筒3の外筒底壁3a側に磁気分離部M及び集積部Qを、外筒3と内筒4との間に流出路12bを簡単かつ容易に形成できる。
磁気分離具は第3に、前記筒体に抽出管5を設けることにより、磁気分離部M内で磁気分離されかつ磁場中心G付近の集積部Qに集積される磁性物質Pを簡単かつ確実に吸引して取り出すことができ、原流体S1を連続流入して、磁気分離を連続的に行うことができる。
磁気分離具は第4に、前記筒体に高勾配磁気捕捉部材25を設けることにより、原流体S1から磁性物質Pを捕捉でき、その磁性物質Pが密集して高勾配磁気捕捉部材25から離脱しても、原流体S1流れ方向にある磁場中心G側に集積できる。
磁気分離具は第5に、流入路12aの断面積と流出路12bの断面積とを略同一に設定すると、原流体S1と浄化流体S2との流量は略同一になって、流体Sは方向を変えるだけで、取入口4aと排出口3bとによってできる水頭差による流れとなり、磁気分離部M及び集積部Qにおいて磁性物質Pに流体Sの流れの影響をほとんど与えることがなくなる。
磁気分離装置は、前記磁気分離具1を組み立てておいて、超伝導磁石2のボア2a内に挿入して装着することができる。
磁気分離方法は第1に、原流体S1を磁気分離部Mへ流して磁性物質Pを磁気分離し、
磁気分離した磁性物質Pを磁場中心G付近の集積部Qで確実に集積し、かつこの磁気分離部Mから原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体S2を流すので、集積部Qに集積された磁性物質Pは浄化流体S2の流れの影響が少なく、浄化流体S2によって磁性物質Pが流されるのが減少でき、磁性物質Pをより確実に分離して集積できる。
磁気分離方法は第2に、磁気分離部M内で磁気分離されかつ磁場中心G付近の集積部Qに集積される磁性物質Pを、抽出管5で簡単かつ確実に吸引して取り出すことができ、原流体S1を連続流入して磁気分離を連続的に行うことができる。
磁気分離方法は第3に、磁場中心G側に達する前の原流体S1から高勾配磁気捕捉部材25で磁性物質Pを捕捉でき、その磁性物質Pが密集して高勾配磁気捕捉部材25から離脱しても、原流体S1流れ方向にある磁場中心G側に集積できる。
磁気分離方法は第3に、原流体S1と原流体S1と反対方向に流される浄化流体S2とを、原流体S1の取入口4aと浄化流体S2の排出口3bとの水頭差によって流動させると、流体Sは方向を変えるだけで磁気分離部M及び集積部Qにおいて磁性物質Pに流体Sの流れの影響をほとんど与えることがなくなる。
本発明の第1実施形態を示す断面正面図である。 図1のX−X線断面図である。 第2実施形態を示す断面正面図である。 第2実施形態を示す側面図である。 第3実施形態を示す断面正面図である。 図5のY−Y線断面図である。 第4実施形態を示す断面正面図である。 第5実施形態を示す側面図である。 第6実施形態を示す断面正面図である。 第7実施形態を示す断面正面図である。 超伝導磁石のボア内磁場の磁力強度分布を示す等磁場線図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1、2に示す第1実施形態おいて、磁気分離装置11は、超伝導磁石2と、この超伝導磁石2内に挿入された磁気分離具1Aとを備えており、細胞や微生物の培養液、その他抽出液、メッキ排水、重金属やレアーメタルが溶存する流体、その他の排水、地下水、等に溶存する物質を、磁性物質(磁性が付与されている磁気ビーズ及び磁性体)Pを利用して吸着させ、その磁性物質Pを超伝導磁石2の磁力を利用して流体から分離しかつ集積させ、濃縮状態でそれを連続的に回収する。
前記超伝導磁石2は超伝導コイル内にボア2aが形成され、このボア2aの軸心が垂直になるように縦向きに配置されている。
超伝導磁石2の磁場における磁力はボア2a内の各部位で異なっており、図11に示すように、ボア2aの軸心方向中央でかつボア2a内周面近くの部位F1が最高となり、次に部位F1からボア2aの軸心方向に離れていてボア2a内周面から軸心に至る部位F2が高く、3番目に部位F2からボア2aの軸心方向外方へ離れた部位F3が高く、この部位F3からボア2aの軸心方向外方へ離れていくに従って、磁力は低くなっている。
例えば、ボア2aの内径が30cmの超伝導磁石2において、最高磁場部位F1が24000ガウスのとき、高磁場部位F2は20000ガウス、部位F12当たりで10000ガウスとなっている。
このように超伝導磁石2の磁場は、磁場中心Gが最大磁界で磁力が最も大きくなっており、磁気分離具1Aはボア2aの外側から磁場中心G近傍まで挿入されている。
前記磁気分離具1Aは内外二重構造の筒体であり、外端側に流体(浄化流体、廃液)S2の排出口3bを有しかつ内端側に外筒底壁3aを有する有底筒形状の外筒3と、この外筒3内に挿入されていて外端側に磁性物質Pを含む原流体(原液)S1を取り入れる取入
口4aを有する内筒4とを有し、さらに、前記内筒4の外端側から内方へ挿入されていて、その先端が内筒4の内端から外筒底壁3a側へ突出された抽出管5を有している。
前記外筒3、内筒4及び抽出管5は略同心三重管となっていて、それらはボア2aの軸心Cと略同心に配置されている。外筒3、内筒4及び抽出管5は金属、樹脂又はガラス等の非磁性体で形成されており、例えば、ステンレス鋼、ポリプロピレン(PP)、透明アクリル樹脂等で形成でき、ポリプロピレンは蛋白質の吸着防止性の観点から適用が好ましい。
前記外筒3は外周面がボア2a内面と近接又は密接する大きさの有底円筒形状に形成され、ケーシングとなっており、ボア2a内に挿入されている内端は外筒底壁3aで閉鎖され、外端は内筒4との間に設けた閉鎖部材15で閉鎖されており、外端近傍の外周面に排出口3bが形成され、この排出口3bに排出管16が接続されている。
外筒3の外筒底壁3aは、ボア2a内に挿入されて磁場中心G近傍でかつ磁場中心Gを越えた位置に配置され、外筒底壁3aの上側は磁性物質Pの溜り場となる集積部Qとなっており、この集積部Qは、内筒4の内端から出てくる原流体S1が浄化流体S2として反対の方向に流れを変える部位となり、この部位は磁性物質Pが磁場中心G方向に磁力で引かれることで分離をする磁気分離部Mとなっている。
前記外筒3は装着具6を介して超伝導磁石2のボア2a内に縦挿入状態に配置して超伝導磁石2に対して着脱自在に装着される。前記装着具6は、外筒3の軸心方向中途部の外周に固定した環状取付板6aと、外筒3の内端の外周に設けた隙間部材6bと、前記環状取付板6aと磁気分離具1Aとの間に介在するスペーサ22を有しており、外筒3の外筒底壁3a(内端側)をボア2a内に挿入してボア2aとの間を隙間部材6bで調整し、環状取付板6aと磁気分離具1Aの上面にボルト等の締結具で固定している。
前記内筒4は両端開口の円筒形状に形成され、ボア2a内に挿入されている内端の開口は外筒底壁3aと軸心方向に距離をおいて対向配置され、外端は抽出管5との間に設けた蓋部材17で閉鎖されており、外端近傍の外周面に取入口4aが形成され、この取入口4aに流入管18が接続されている。
内筒4は外筒3との間に設けた支持具7によって外筒3内に取り付けられている。前記支持具7は、内筒4の軸心方向中途部の外周に固定した前記閉鎖部材15と、外筒3の外端外周面に固定の外筒フランジ6cと、前記閉鎖部材15と外筒フランジ6cとの間に介在されるスペーサ23とを有し、閉鎖部材15を外筒フランジ6cに上側から着脱自在に固定しており、外筒3に対して内筒4の位置を固定しかつ両者の間の間隙の上端を閉鎖する。
内筒4は流入管18から取入口4aを通って導入される原流体S1を外筒3の磁気分離部Mに向けて流動させる流入路12aを形成しており、内筒4と外筒3との間には、磁気分離部Mから磁性物質Pを分離した後の浄化流体S2を排出口3bを通って排出管16から排出する断面環状の流出路12bを形成しており、これらによって、磁性物質Pを含む流体Sを外部から超伝導磁石2内へ流入し、その後に超伝導磁石2内から再び外部へ通じる流路12を形成している。
即ち、磁気分離具1を構成する筒体内には、磁性物質Pを含む原流体S1をボア2a外から磁場中心G側に向けて流入させる流入路12aと、磁場中心G側で原流体S1から磁性物質Pを磁気分離する磁気分離部Mと、この磁気分離部Mから原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体S2を流しかつボア2a外へ排出する流出路12bと、前記磁気分離部Mで磁気分離した磁性物質Pを集積させる集積部Qとが一連に形成されている。
流出路12bの断面積は流入路12aより大きく設定されているが同一でもよく、どちらにしても、内筒4の内端から外筒底壁3aまでの磁気分離部Mの断面積は内筒4の断面積より大きくなっている。
前記抽出管5は細管であり、内筒4の外端側から内方へ挿入されていて、その先端は内筒4の内端開口から集積部Q側へ突出され、かつ先端は外筒底壁3aに向かって開口していて、外筒底壁3aに向けて広がる漏斗形状の吸入口5aが形成されている。
抽出管5の先端吸入口5aは集積部Q内で略磁場中心Gに配置されている。即ち、先端吸入口5aは磁場中心G上、越えた位置又は手前に配置され、外筒底壁3aとは離れており、集積部Q内に集積される磁性物質Pを吸引し易い位置に配置されている。先端吸入口5aは寸切りでもよいが、漏斗形状であるほうが外筒底壁3aと広い面積で対向し、磁性物質Pを効果的に吸引できる。
抽出管5は内筒4との間に設けた管取付具8によって内筒4に取り付けられている。前記管取付具8は、ボア2aの外方に位置する抽出管5の外端側を貫通した前記蓋部材17と、内筒4の外端の外周に設けた内筒フランジ4bとによって構成されており、前記内筒フランジ4bに蓋部材17を着脱自在に固定することにより、内筒4に対して抽出管5の位置を固定しかつ両者の間の間隙の上端を閉鎖する。
前記外筒3は超伝導磁石2に対して挿脱自在でありかつスペーサ22の厚みを変更することにより挿入位置を調整することができ、内筒4は外筒3に対して挿脱自在でありかつスペーサ23の厚みを変更することにより挿入位置を調整することができ、抽出管5は内筒4に対して挿脱自在であり、内筒4の位置を変更するか、又は内筒フランジ4bと蓋部材17との間にスペーサを介在させることにより、抽出管5も挿入位置を調整することができる。
従って、磁気分離具1Aは超伝導磁石2と別個に構成して、超伝導磁石2内に挿入装着することができ、抽出管5、内筒4等の取り替えが可能になっている。
前記磁気分離具1Aを組み込んだ磁気分離装置11における磁気分離方法を次に説明する。
超伝導磁石2のボア2a内に磁気分離具1Aを装着し、超伝導磁石2で磁場を発生させる。磁性が付与された磁性物質Pを含む原流体S1を内筒4の取入口4aから流入して、内筒4及び外筒3の内部を流体Sで満たす。そしてさらに原流体S1を連続して流入すると、原流体S1は内筒4内の流入路12aを通って外筒3の外筒底壁3aに向かって流動し、磁場中心G側の磁気分離部M内に入り、そして磁気分離部Mから外筒3内の流出路12bへ流動していき、その間、流体Sの流れ方向が反対になることにより、また、磁気分離部M内で溜まることにより、原流体S1の流速は一旦停止、又は極めて低速となる。
原流体S1が一旦停止又は極めて低速となることにより、内筒4から磁気分離部M内に至る間、また、磁気分離部M内に溜まっている間に、流体Sの挙動に対して超伝導磁石2の磁力によって磁性物質Pに違った運動をさせて流体Sから分離し、分離した磁性物質Pを磁気分離部Mからさらに磁場中心G側に引き寄せて集積部Q内に集積する。
この集積部Q内での磁性物質Pは、磁力で磁場の強さがより強い方向、即ち、最高のボア2aの軸心方向中央でかつボア2a内周面近くの最高磁場部位F1に向かって引っ張られて集積し、また最高磁場部位F1に沿って集積することになり、高磁場部位F2にも集積されて、集積部Q内で磁性物質Pが壁を形成するように、また、外筒底壁3aを埋めるようになる。
磁気分離部M内の流体Sは、原流体S1が流入路12aから磁気分離部M内に入ってくることにより、内筒4と外筒3との間の流出路12bから浄化流体S2として押し出される動きとなる。
流体Sが磁気分離部M内から流出路12bへ流動するとき、その方向は原流体S1の流入方向と反対方向であり、磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向であり、流速も低いので、磁力が流体Sの動きに打ち勝って磁性物質Pを流体Sから確実に引っ張って分離し、浄化流体S2と共に排出される磁性物質Pの量を減少する。
前記磁場中心Gの強力な磁力と流速の低下により、原流体S1中の磁性物質Pは外筒底壁3aの前側の集積部Qに効果的に集積され、その磁場中心G又はその近傍で開口している抽出管5の先端の吸入口5aから、集積磁性物質Pは濃縮状態で吸引されて超伝導磁石2外に取り出される。
前記磁気分離具1Aにおいて、流入路12aの断面積と流出路12bの断面積とを略同一に設定した場合、原流体S1と浄化流体S2との流量は略同一になって、流体Sは方向を変えるだけで、若干乱流が発生しても流入路12aから流出路12bの方向に流れる。
これは取入口4aと排出口3bとによってできる水頭差による流れとなる。
そして、この水頭差による流れは、磁気分離部M及び集積部Qにおいて磁性物質Pに流体Sの流れの影響をほとんど与えることがなく、磁気分離部Mでは磁性物質Pに磁場強度の強い外筒底壁3aに向かう方向の引っ張り力が作用し、集積部Qでは磁性物質Pに磁場中心G側に引き寄せる力が作用する。
集積部Qに溜る磁性物質Pが多くなって磁気分離部Mまで溜まってくると、流体Sの流れを妨げることになるので、抽出管5で磁性物質Pを外部に取り出す。この集積磁性物質Pの連続取り出しによって、原流体S1の連続処理が可能になる。
細胞や微生物の培養液、その他抽出液に、目的物質を特異的に結合させることが可能なリガンドを固定化した磁気ビーズ等の磁性物質を供給して原流体S1として磁気分離装置11内へ流す。
磁気分離装置11は磁気分離部Mの磁場が強力であり、磁性物質Pを短時間で分離ができることに加え、磁場勾配がなだらかなことから、磁性物質Pの凝集を極力抑制でき、流体S中への再分散を容易に生じさせることができる。
蛋白質や酵素の精製においては、磁性物質に固定化したリガンドに対して弱い結合力しか持たない目的物質が存在し、その結合を外す要因となる過度な外力は禁物であるが、前記磁気分離装置11によれば、超伝導磁石2によって極めて高い磁場を発生できること、流体Sの供給を多くしても流入路12aから集積部Qを経て流出路12bに至る流体Sの流れが穏やかであること等によって、凝集が少なく過度なストレスを与えることがなく、また、過度な外力を加えなくても再分散できることになる。そしてこれらによって、高い精製効率に寄与することが可能になる。
図3、4に示す第2実施形態おいて、横置き型の磁気分離装置11を示しており、超伝導磁石2はボア2aの軸心が水平になるように横向きに配置され、その超伝導磁石2内に側方から磁気分離具1Bが挿脱自在に挿入されている。
有底円筒形状の外筒3は、外端内周と内筒4との間に設けた閉鎖部材15によって外端が閉鎖されている。この外筒3をボア2a内に横置き状に配置して超伝導磁石2に対して着脱自在に装着する装着具6は、外筒3の外周を軸心方向複数カ所で当接受持する複数枚(実施形態では3枚)の円弧状の取付板6dを、ボア2a周方向複数枚で軸心方向に沿った連結板6eで連結して構成されている。
この装着具6は、外筒3の外周の一部を受持する円弧形状になっているが、外筒3の全外周を包囲する形状に形成してもよい。
両端開口の円筒形状に形成された内筒4は、内端開口が外筒底壁3aと距離をおいて対向配置され、外端が抽出管5との間に設けた蓋部材17で閉鎖されている。
内筒4を外筒3内に取り付ける支持具7は、ボア2aの外方に位置する外端側のシール付きの閉鎖部材15と、外筒3内に位置する内端側の軸心方向複数の支持片19とを有し、この各支持片19は内筒4と外筒3との間の断面略環状の流出路12bを塞がないように周方向に間隔を置いて複数個配置されている。
抽出管5を内筒4に取り付ける管取付具8は、ボア2aの外方に位置する抽出管5の外端側を貫通した前記蓋部材17と、内筒4の内端内に設けた取付片20とによって構成されており、前記取付片20は内筒4内の流入路12aを塞がないように周方向に間隔を置いて複数設けられている。
第2実施形態の磁気分離具1Bのその他の構成は前記磁気分離具1Aと同様であり、抽出管5は先端吸入口5aが磁場中心G上に配置され、蓋部材17及び取付片20に対して位置調整することができる。
前記磁気分離具1Bにおいて、原流体S1を磁気分離部Mへ流し、磁気分離部Mの高磁場部位F2へ磁力で磁性物質Pを引っ張って流体Sから分離し、集積部Qに集積する。この磁気分離部Mから原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体S2を流すので、浄化流体S2によって磁性物質Pが流されるのが減少でき、磁性物質Pを磁力で流体Sから確実に分離して集積部Qに集積できる。
図5、6に示す第3実施形態おいて、縦向き型又は横置き型の磁気分離装置11に使用
可能な磁気分離具1Cを示しており、筒体は外筒3と内筒4とを有する二重筒構造であり、抽出管5は外筒3と内筒4との間にそれらと平行に配置され、内筒4の内端には高勾配磁気捕捉部材25が設けられている。
抽出管5は外筒3と内筒4との間に周方向180度偏位して2本設けられており、1本又は周方向等間隔に3本以上でもよく、抽出管5の先端吸入口5aが磁場中心G上でかつ外筒3の内周面近傍で、超伝導磁石2の最高磁場部位F1に配置され、集積部Q内で磁性物質Pが最も多く集積される位置から磁性物質Pを吸引できるように配置されている。
高勾配磁気捕捉部材25はステンレス鋼で風車形状に形成されていて、筒軸25aの外周に、軸心方向及び周方向に一定間隔をおいて多数の細線25bを植設しており、多数の細線25bは筒軸25aの中央で最大径となり両端で最小となり、その先端の配置形状は略球面形状となっている。
前記高勾配磁気捕捉部材25は筒軸25aの両端の軸部25cが内筒4から外筒底壁3aに向けて突出した軸受部26に回転自在に支持されており、その一部(上部)は内筒4の内端側に挿入され、内筒4側から外筒底壁3a側へ磁場中心Gに近づくように配置されている。
この高勾配磁気捕捉部材25は、超伝導磁石2の磁界の中におくと、ステンレス細線25bの表面に非常に大きな磁気勾配を作ることができ、内筒4内を流動してくる原流体S1を流通させながら、それに含まれる磁性物質Pを付着して捕捉し、磁性物質Pを原流体S1から磁気分離する。
ステンレス細線25bに付着する磁性物質Pが次第に蓄積され、それが大きくなってくると、原流体S1の液圧によって流されることになり、磁場中心G側の磁気分離部Mを越えて集積部Qに集積される。また、付着する磁性物質Pの蓄積量にアンバランスが生じて高勾配磁気捕捉部材25が回動すると、ステンレス細線25bが内筒4側から磁気分離部M側へ回動し、磁場中心Gに近づいてきたときに、その強力な磁力によって大粒の磁性物質Pの受け渡しがなされ、磁性物質Pは外筒底壁3aの前側の集積部Qに集積されることになる。
第3実施形態の磁気分離具1Cでは、原流体S1が流入路12aから磁気分離部Mに至るときに、磁性物質Pが高勾配磁気捕捉部材25の磁力によって流体Sから分離捕捉されかつそれが蓄積され、その蓄積された磁性物質Pが高勾配磁気捕捉部材25から離れて集積部Qの最高磁場部位F1及び高磁場部位F2に集積され、流出路12bへの浄化流体S2の流れも原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と逆方向になるので、磁性物質Pを磁力で確実に分離することができる。また、抽出管5は複数本が集積部Q内の最高磁場部位F1に配置されるので、磁性物質Pの吸引効率も高めることができる。
図7に示す第4実施形態おいて、縦向き型又は横置き型の磁気分離装置11に使用可能な磁気分離具1Dを示しており、筒体は外筒3と内筒4とを有する二重筒構造であり、外筒3の外筒底壁3aは磁場中心Gから離れて配置され、抽出管5は内筒4内にその筒心からずれて(又は同心に)配置され、その先端は環状(又はC形状)の吸引部5bが形成され、この吸引部5bの外周面に吸引口5aが複数形成されている。
第4実施形態の磁気分離具1Dでは、集積部Qの容量が大きくなっており、原流体S1が流入路12aから磁気分離部Mに至り、この磁気分離部Mで溜まってから流出路12bへ原流体S1の流入方向と逆に流れ、磁気分離部M内で流体Sから磁性物質Pが磁力によって分離されかつ多量に集積部Qに集積され、抽出管5の環状の吸引部5bの複数の吸引口5aから効率良く磁性物質Pが吸引される。
なお、前記磁気分離具1Dにおいては、抽出管5を内筒4の筒心回りに回転させて、集積部Q全域の磁性物質Pをより確実に回収するように構成してもよい。
図8に示す第5実施形態おいて、縦向き型又は横置き型の磁気分離装置11に使用可能な磁気分離具1Eを示しており、筒体は外筒3と内筒4とを有する二重筒構造であり、抽出管5は外筒3の外筒底壁3aから内筒4側と反対方向に延設され、外筒3及び内筒4にはそれぞれ高勾配磁気捕捉部材25が設けられている。
前記外筒3の外筒底壁3aは円錐凹形状、即ち、円錐壁面を有していて、集積部Qに集積される磁性物質Pを可及的に外周部から中央部に集める形状となっており、抽出管5は吸引口5aが外筒底壁3aの中央に開口されており、外筒底壁3aから内筒4と反対方向に延設されている。
高勾配磁気捕捉部材25はそれぞれ、多数のステンレス細線で円形網形状に形成されていて、超伝導磁石2の磁界内で大きな磁気勾配を作ることができ、原流体S1が流通可能であり、第1高勾配磁気捕捉部材25Aは内筒4の内端に取り付けられ、第2高勾配磁気捕捉部材25Bは外筒底壁3aの手前で外筒3に取り付けられている。
第1高勾配磁気捕捉部材25Aは流入路12aを流れてくる原流体S1から磁性物質Pを付着して捕捉し、捕捉した磁性物質Pが次第に蓄積されて大きくなってくると、原流体S1の液圧によって流され、それをより大きな磁気勾配を作る第2高勾配磁気捕捉部材25Bで捕捉する。
なお、前記磁気分離具1Eは、弱い結合力しか持たない目的物質が存在する蛋白質や酵素の精製においては、結合を外す要因となる過度な外力を与えないように、高勾配磁気捕捉部材25を外しておくことが好ましい。
第2高勾配磁気捕捉部材25Bで捕捉された磁性物質Pが次第に蓄積されて大きくなってくると、原流体S1の液圧、抽出管5の吸引力等によって第2高勾配磁気捕捉部材25Bから離脱され、磁場中心G側の強力な磁力によって集積部Qに集積され、そして抽出管5で吸引される。磁性物質P分離後の浄化流体S2は外筒3と内筒4との間の流出路12bを通って原流体S1と反対方向に流出される。
第5実施形態の磁気分離具1Eでは、原流体S1及び浄化流体S2の流れ方向は前記磁気分離具1Dと略同一であるが、2段の高勾配磁気捕捉部材25で原流体S1から磁性物質Pを確実に磁気分離でき、高勾配磁気捕捉部材25に蓄積されて大きくなった磁性物質Pを、集積部Qの円錐凹形状の外筒底壁3aの中央側に集積でき、かつこの外筒底壁3aの中央側から抽出管5で効率良く磁性物質Pを吸引できる。
図9に示す第6実施形態おいて、主に横置き型の磁気分離装置11に使用可能な磁気分離具1Fを示しており、超伝導磁石2の両端からボア2a内に対向状に一対の磁気分離具1Fを挿入配置している。各磁気分離具1Fの筒体は外筒3と内筒4とを有する二重筒構造であり、外筒3の外筒底壁3aは円錐凸形状であり、抽出管5は先端部が屈曲されている。
両磁気分離具1Fは外筒3の外筒底壁3aが磁場中心Gを挟んで対面しており、磁場中心Gから片方ずつの磁場を利用して、外筒3内の磁気分離部Mで磁力分離をし、分離した磁性物質Pを最高磁場部位F1側の集積部Qに集積する。外筒底壁3aが円錐凸形状であることも相まって、集積部Qの外周側に磁性物質Pが集められる。
前記抽出管5は外筒3及び内筒4と同心に配置されているが、その先端部は外筒3の内周面に向けて屈曲傾斜され、先端の吸引口5aは外筒底壁3aの外周側に開口され、最高磁場部位F1に集積された磁性物質Pを効率よく吸引できるように配置されている。
前記第6実施形態の磁気分離装置11は超伝導磁石2の磁場を2倍に活用でき、両磁気分離具1Fは内筒4から同一の原流体S1を流入させて磁気分離を行ってもよいが、一方の磁気分離具1Fで磁性物質Pを磁気分離した後の浄化流体S2を、他方の磁気分離具1Fに原流体S1として供給して、2段磁気分離装置として構成することもできる。
磁気分離具1Fの場合は、集積部Q内の磁性物質Pを環状に集積し易いので、抽出管5は第3実施形態のように複数本にしたり、第4実施形態のように環状にしたりすることが好ましい。
図10に示す第7実施形態おいて、縦向き型又は横置き型の磁気分離装置11に使用可能な磁気分離具1Gを示しており、筒体は内外筒の区別がなく、有底筒体30の内部を外端から途中(磁場中心Gの手前)まで仕切り壁31で仕切って流入路12aと流出路12bとを形成し、仕切り壁31の存在しない奥側に磁気分離部Mと集積部Qとを形成している。
即ち、超伝導磁石2の外側からボア2a内の磁場中心G側へ挿入される筒体内に、原流
体S1をボア2a外から磁場中心G側に向けて流入させる流入路12aと、磁場中心G側で原流体S1から磁性物質Pを磁力分離する磁気分離部Mと、この磁気分離部Mから原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体S2を流しかつボア2a外へ排出する流出路12bと、磁気分離部Mの奥で底壁30aの前の集積部Qとを形成している。
前記仕切り壁31は有底筒体30内に直径方向に配置して、流入路12aと流出路12bとを断面積が同一の断面半円形流路に形成しているが、一方の断面積を他方より大きくしてもよく、仕切り壁31と有底筒体30の底壁30aとは離れているので、流入路12aを流動してくる原流体S1の流れを反転して、流出路12bへ浄化流体S2を流す折り返し点が形成され、この折り返し部分が磁気分離部Mとなっている。
原流体S1に含まれる磁性物質Pは、磁気分離部Mで最高磁場部位F1及び高磁場部位F2の磁力により引っ張られて流体Sから分離され、集積部Qの内周面に沿って集積され、集積が進むにつれて図10に示すような断面鼓形状となり、さらには磁場中心Gから離れた底壁30aまで溜まることになる。
前記集積部Q内に溜まった磁性物質Pは、前記各実施形態と同様に、有底筒体30の上部から抽出管5を挿入して吸い出してもよいが、処理する原流体S1の量が少ない場合は、磁気分離具1G自体を磁気分離装置11から抜いて磁性物質Pを回収することもできる。
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜10に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
例えば、磁気分離具1は1本の筒体をU字状又はコ字状に屈曲形成し、中途部に磁力分離部M及び集積部Qを形成し、両側に流入路12aと流出路12bとを形成して構成してもよい。
また、抽出管5は筒体又は外筒3の内部に配置せずに、径外側から集積部Qに接続するようにしてもよい。
なお、磁気分離装置11は、超伝導磁石2に代えて、強磁場を発生できる常温電磁石又は永久磁石を用いることも考えられる。
1 磁気分離具
2 超伝導磁石
2a ボア
3 外筒
3a 外筒底壁
3b 排出口
4 内筒
4a 取入口
5 抽出管
5a 吸入口
11 磁気分離装置
12 流路
12a 流入路
12b 流出路
25 高勾配磁気捕捉部材
30 有底筒体
F 磁場部位
G 磁場中心
H 磁力線
M 磁気分離部
P 磁性物質
Q 集積部
S 流体
S1 原流体
S2 浄化流体
本発明は、流体から磁性物質を磁力分離する磁気分離具、磁気分離装置及び磁気分離方法に関する。
細胞や微生物の培養液、その他抽出液、メッキ排水、重金属やレアーメタルが溶存する流体、その他の排水、地下水、等に溶存する物質は、磁性が付与された磁気ビーズ又は磁性体を利用して溶存する物質を吸着させて磁気分離装置を用いて濃縮回収されている。
これら溶存する物質を吸着させた磁性物質(磁気ビーズ及び磁性体)を原流体から分離する磁気分離装置には、強磁場を発生する超伝導磁石が使用されている。
例えば、特許文献1に開示された超伝導磁気分離型流体処理装置は、磁性の付与された被分離物質を含む流体から被分離物質を超伝導コイルのボア内で磁気分離する超伝導磁気分離型流体処理装置であって、中央から放射状に延びた複数の磁性ワイヤからなる傘型の磁気フィルターを超伝導コイルのボア内に備え、磁性ワイヤで誘導、捕獲された被分離物質を磁気フィルターの中央部又は周辺部から吸引するように構成されている(特許文献1の請求項5)。
なお、特許文献1においては、前記超伝導コイルは、ボア内の磁場を計算すると、ボア軸心方向中央の磁場中心で磁力が最大になることが記載されている。
特開2009−106854号公報
前記従来技術は、被分離物質を含む流体を1方向に流して、磁性ワイヤからなるフィルター部材(磁気フィルター)の磁力で被分離物質を分離しかつ捕捉集積しており、流体は集積部を通って同じ方向に流れるため、フィルター部材で捕捉した被分離物質が流体によって流されることがあり、また、磁場中心部で磁性物質により閉塞が起こり流体が流れな
くなる可能性があるため、フィルター部材を超伝導磁石内から取り出して、磁性物質を分離したり、洗浄したりする必要がある。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした磁気分離具、磁気分離装置及び磁気分離方法を提供することを目的とする。
本発明は、筒体内に流入した原流体から磁性物質を磁気分離部で磁場中心側に磁力により引き付け、磁性物質を磁気分離した後の浄化流体を原流体の流入方向及び磁性物質が磁力により引き付けられる方向と反対方向に流すことにより、磁性物質をより確実に分離しかつ集積できるようにした磁気分離具、磁気分離装置及び磁気分離方法を提供することを目的とする。
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
磁気分離具は第1に、超伝導磁石2の外側からボア2a内の磁場中心G側へ挿入される筒体内に、原流体S1をボア2a外から磁場中心G側に向けて流入させる流入路12aと、原流体S1から磁性物質Pを磁力により分離する磁気分離部Mと、この磁気分離部Mで分離した磁性物質Pを磁場中心G付近に集積する集積部Qと、前記磁気分離部Mから原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体S2を流しかつボア2a外へ排出する流出路12bとを形成しており、
前記筒体は内外二重筒構造であって、外筒底壁3a側に前記磁気分離部M及び集積部Qを形成する有底筒形状の外筒3と、この外筒3内に挿入されていて前記流入路12aを形成する内筒4とを有し、外筒3の内周面と内筒4の外周面との間に前記流出路12bを形成していることを特徴とする。
磁気分離具は第2に、超伝導磁石2の外側からボア2a内の磁場中心G側へ挿入される筒体内に、原流体S1をボア2a外から磁場中心G側に向けて流入させる流入路12aと、原流体S1から磁性物質Pを磁力により分離する磁気分離部Mと、この磁気分離部Mで分離した磁性物質Pを磁場中心G付近に集積する集積部Qと、前記磁気分離部Mから原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体S2を流しかつボア2a外へ排出する流出路12bとを形成しており、
前記筒体は、磁気分離部M内で磁気分離されかつ集積部Qに集積される磁性物質Pを吸
磁気分離具は第3に、前記筒体は集積部Qに円錐凹形状の底壁3aを有し、磁気分離部M内で磁気分離されかつ集積部Qに集積される磁性物質Pを吸引して取り出す抽出管5を前記底壁3aの中央側に連結していることを特徴とする。
磁気分離装置は第1に、前記磁気分離具1を、超伝導磁石2のボア2a内に挿入して着脱自在に装着していることを特徴とする。
磁気分離装置は第2に、前記磁気分離具1を、超伝導磁石2のボア2aの一端から磁場中心G側へ挿入して着脱自在に装着し、抽出管5をボア2aの他端側に延設していることを特徴とする。
磁気分離装置は第3に、前記磁気分離具1を、超伝導磁石2のボア2aの両端から磁場中心G側へ対向状に一対を挿入して配置していることを特徴とする。
磁気分離方法は第1に、超伝導磁石2の外側からボア2a内の磁場中心G側へ挿入される筒体内に、原流体S1をボア2a外から磁場中心G側に向けて流入させ、原流体S1から磁性物質Pを磁力により分離して磁場中心G付近の集積部Qに集積させ、磁性物質Pを分離した浄化流体S2を原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に流動させかつボア2a外へ流出させ、前記筒体内の集積部Qに磁力によって集積された磁性物質Pを抽出管5で吸引して取り出すことを特徴とする。
磁気分離方法は第2に、超伝導磁石2の外側からボア2a内の磁場中心G側へ挿入される筒体内に、原流体S1をボア2a外から磁場中心G側に向けて流入させ、原流体S1から磁性物質Pを磁力により分離して磁場中心G付近の集積部Qに集積させ、磁性物質Pを分離した浄化流体S2を原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に流動させかつボア2a外へ流出させ、
前記原流体S1と原流体S1と反対方向に流される浄化流体S2とを、原流体S1の取
入口4aと浄化流体S2の排出口3bとの水頭差によって流動させることを特徴とする。
磁気分離方法は第3に、前記集積部Qを円錐凹形状にして磁性物質Pを筒体の外周部から中央側に集め、この中央側から磁性物質Pを抽出管5で原流体S1の流入方向に取り出すことを特徴とする。
本発明によれば、筒体内に流入した原流体から磁場中心側で磁性物質を磁力分離した後に、浄化流体を原流体の流入方向及び磁性物質が磁力により引き付けられる方向と反対方向に流すので、磁性物質をより確実に分離でき、しかも分離した磁性物質を確実に集積できる。
即ち、磁気分離具は第1に、筒体内に流入路12aと磁気分離部Mと集積部Qと流出路12bとを形成し、この磁気分離部Mから原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体S2を流すので、浄化流体S2によって磁性物質Pが流されるのが減少でき、磁性物質Pをより確実に分離でき、しかも、磁気分離した磁性物質Pを浄化流体S2の流れの影響を受けない集積部Qで確実に集積することができる。
磁気分離具は第2に、前記筒体を内外二重筒構造にすることにより、外筒3の外筒底壁3a側に磁気分離部M及び集積部Qを、外筒3と内筒4との間に流出路12bを簡単かつ容易に形成できる。
磁気分離具は第3に、前記筒体に抽出管5を設けることにより、磁気分離部M内で磁気分離されかつ磁場中心G付近の集積部Qに集積される磁性物質Pを簡単かつ確実に吸引して取り出すことができ、原流体S1を連続流入して、磁気分離を連続的に行うことができる。
磁気分離具は第4に、前記筒体に高勾配磁気捕捉部材25を設けることにより、原流体S1から磁性物質Pを捕捉でき、その磁性物質Pが密集して高勾配磁気捕捉部材25から離脱しても、原流体S1流れ方向にある磁場中心G側に集積できる。
磁気分離具は第5に、流入路12aの断面積と流出路12bの断面積とを略同一に設定すると、原流体S1と浄化流体S2との流量は略同一になって、流体Sは方向を変えるだけで、取入口4aと排出口3bとによってできる水頭差による流れとなり、磁気分離部M及び集積部Qにおいて磁性物質Pに流体Sの流れの影響をほとんど与えることがなくなる。
磁気分離装置は、前記磁気分離具1を組み立てておいて、超伝導磁石2のボア2a内に挿入して装着することができる。
磁気分離方法は第1に、原流体S1を磁気分離部Mへ流して磁性物質Pを磁気分離し、磁気分離した磁性物質Pを磁場中心G付近の集積部Qで確実に集積し、かつこの磁気分離部Mから原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体S2を流すので、集積部Qに集積された磁性物質Pは浄化流体S2の流れの影響が少なく、浄化流体S2によって磁性物質Pが流されるのが減少でき、磁性物質Pをより確実に分離して集積できる。
磁気分離方法は第2に、磁気分離部M内で磁気分離されかつ磁場中心G付近の集積部Qに集積される磁性物質Pを、抽出管5で簡単かつ確実に吸引して取り出すことができ、原流体S1を連続流入して磁気分離を連続的に行うことができる。
磁気分離方法は第3に、磁場中心G側に達する前の原流体S1から高勾配磁気捕捉部材25で磁性物質Pを捕捉でき、その磁性物質Pが密集して高勾配磁気捕捉部材25から離脱しても、原流体S1流れ方向にある磁場中心G側に集積できる。
磁気分離方法は第3に、原流体S1と原流体S1と反対方向に流される浄化流体S2とを、原流体S1の取入口4aと浄化流体S2の排出口3bとの水頭差によって流動させると、流体Sは方向を変えるだけで磁気分離部M及び集積部Qにおいて磁性物質Pに流体Sの流れの影響をほとんど与えることがなくなる。
本発明の第1実施形態を示す断面正面図である。 図1のX−X線断面図である。 第2実施形態を示す断面正面図である。 第2実施形態を示す側面図である。 第3実施形態を示す断面正面図である。 図5のY−Y線断面図である。 第4実施形態を示す断面正面図である。 第5実施形態を示す側面図である。 第6実施形態を示す断面正面図である。 第7実施形態を示す断面正面図である。 超伝導磁石のボア内磁場の磁力強度分布を示す等磁場線図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1、2に示す第1実施形態おいて、磁気分離装置11は、超伝導磁石2と、この超伝導磁石2内に挿入された磁気分離具1Aとを備えており、細胞や微生物の培養液、その他抽出液、メッキ排水、重金属やレアーメタルが溶存する流体、その他の排水、地下水、等に溶存する物質を、磁性物質(磁性が付与されている磁気ビーズ及び磁性体)Pを利用して吸着させ、その磁性物質Pを超伝導磁石2の磁力を利用して流体から分離しかつ集積させ、濃縮状態でそれを連続的に回収する。
前記超伝導磁石2は超伝導コイル内にボア2aが形成され、このボア2aの軸心が垂直になるように縦向きに配置されている。
超伝導磁石2の磁場における磁力はボア2a内の各部位で異なっており、図11に示すように、ボア2aの軸心方向中央でかつボア2a内周面近くの部位F1が最高となり、次に部位F1からボア2aの軸心方向に離れていてボア2a内周面から軸心に至る部位F2が高く、3番目に部位F2からボア2aの軸心方向外方へ離れた部位F3が高く、この部位F3からボア2aの軸心方向外方へ離れていくに従って、磁力は低くなっている。
例えば、ボア2aの内径が30cmの超伝導磁石2において、最高磁場部位F1が24000ガウスのとき、高磁場部位F2は20000ガウス、部位F12当たりで10000ガウスとなっている。
このように超伝導磁石2の磁場は、磁場中心Gが最大磁界で磁力が最も大きくなっており、磁気分離具1Aはボア2aの外側から磁場中心G近傍まで挿入されている。
前記磁気分離具1Aは内外二重構造の筒体であり、外端側に流体(浄化流体、廃液)S2の排出口3bを有しかつ内端側に外筒底壁3aを有する有底筒形状の外筒3と、この外筒3内に挿入されていて外端側に磁性物質Pを含む原流体(原液)S1を取り入れる取入口4aを有する内筒4とを有し、さらに、前記内筒4の外端側から内方へ挿入されていて、その先端が内筒4の内端から外筒底壁3a側へ突出された抽出管5を有している。
前記外筒3、内筒4及び抽出管5は略同心三重管となっていて、それらはボア2aの軸心Cと略同心に配置されている。外筒3、内筒4及び抽出管5は金属、樹脂又はガラス等の非磁性体で形成されており、例えば、ステンレス鋼、ポリプロピレン(PP)、透明アクリル樹脂等で形成でき、ポリプロピレンは蛋白質の吸着防止性の観点から適用が好ましい。
前記外筒3は外周面がボア2a内面と近接又は密接する大きさの有底円筒形状に形成され、ケーシングとなっており、ボア2a内に挿入されている内端は外筒底壁3aで閉鎖され、外端は内筒4との間に設けた閉鎖部材15で閉鎖されており、外端近傍の外周面に排出口3bが形成され、この排出口3bに排出管16が接続されている。
外筒3の外筒底壁3aは、ボア2a内に挿入されて磁場中心G近傍でかつ磁場中心Gを越えた位置に配置され、外筒底壁3aの上側は磁性物質Pの溜り場となる集積部Qとなっており、この集積部Qは、内筒4の内端から出てくる原流体S1が浄化流体S2として反対の方向に流れを変える部位となり、この部位は磁性物質Pが磁場中心G方向に磁力で引かれることで分離をする磁気分離部Mとなっている。
前記外筒3は装着具6を介して超伝導磁石2のボア2a内に縦挿入状態に配置して超伝
導磁石2に対して着脱自在に装着される。前記装着具6は、外筒3の軸心方向中途部の外周に固定した環状取付板6aと、外筒3の内端の外周に設けた隙間部材6bと、前記環状取付板6aと磁気分離具1Aとの間に介在するスペーサ22を有しており、外筒3の外筒底壁3a(内端側)をボア2a内に挿入してボア2aとの間を隙間部材6bで調整し、環状取付板6aと磁気分離具1Aの上面にボルト等の締結具で固定している。
前記内筒4は両端開口の円筒形状に形成され、ボア2a内に挿入されている内端の開口は外筒底壁3aと軸心方向に距離をおいて対向配置され、外端は抽出管5との間に設けた蓋部材17で閉鎖されており、外端近傍の外周面に取入口4aが形成され、この取入口4aに流入管18が接続されている。
内筒4は外筒3との間に設けた支持具7によって外筒3内に取り付けられている。前記支持具7は、内筒4の軸心方向中途部の外周に固定した前記閉鎖部材15と、外筒3の外端外周面に固定の外筒フランジ6cと、前記閉鎖部材15と外筒フランジ6cとの間に介在されるスペーサ23とを有し、閉鎖部材15を外筒フランジ6cに上側から着脱自在に固定しており、外筒3に対して内筒4の位置を固定しかつ両者の間の間隙の上端を閉鎖する。
内筒4は流入管18から取入口4aを通って導入される原流体S1を外筒3の磁気分離部Mに向けて流動させる流入路12aを形成しており、内筒4と外筒3との間には、磁気分離部Mから磁性物質Pを分離した後の浄化流体S2を排出口3bを通って排出管16から排出する断面環状の流出路12bを形成しており、これらによって、磁性物質Pを含む流体Sを外部から超伝導磁石2内へ流入し、その後に超伝導磁石2内から再び外部へ通じる流路12を形成している。
即ち、磁気分離具1を構成する筒体内には、磁性物質Pを含む原流体S1をボア2a外から磁場中心G側に向けて流入させる流入路12aと、磁場中心G側で原流体S1から磁性物質Pを磁気分離する磁気分離部Mと、この磁気分離部Mから原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体S2を流しかつボア2a外へ排出する流出路12bと、前記磁気分離部Mで磁気分離した磁性物質Pを集積させる集積部Qとが一連に形成されている。
流出路12bの断面積は流入路12aより大きく設定されているが同一でもよく、どちらにしても、内筒4の内端から外筒底壁3aまでの磁気分離部Mの断面積は内筒4の断面積より大きくなっている。
前記抽出管5は細管であり、内筒4の外端側から内方へ挿入されていて、その先端は内筒4の内端開口から集積部Q側へ突出され、かつ先端は外筒底壁3aに向かって開口していて、外筒底壁3aに向けて広がる漏斗形状の吸入口5aが形成されている。
抽出管5の先端吸入口5aは集積部Q内で略磁場中心Gに配置されている。即ち、先端吸入口5aは磁場中心G上、越えた位置又は手前に配置され、外筒底壁3aとは離れており、集積部Q内に集積される磁性物質Pを吸引し易い位置に配置されている。先端吸入口5aは寸切りでもよいが、漏斗形状であるほうが外筒底壁3aと広い面積で対向し、磁性物質Pを効果的に吸引できる。
抽出管5は内筒4との間に設けた管取付具8によって内筒4に取り付けられている。前記管取付具8は、ボア2aの外方に位置する抽出管5の外端側を貫通した前記蓋部材17と、内筒4の外端の外周に設けた内筒フランジ4bとによって構成されており、前記内筒フランジ4bに蓋部材17を着脱自在に固定することにより、内筒4に対して抽出管5の位置を固定しかつ両者の間の間隙の上端を閉鎖する。
前記外筒3は超伝導磁石2に対して挿脱自在でありかつスペーサ22の厚みを変更することにより挿入位置を調整することができ、内筒4は外筒3に対して挿脱自在でありかつスペーサ23の厚みを変更することにより挿入位置を調整することができ、抽出管5は内筒4に対して挿脱自在であり、内筒4の位置を変更するか、又は内筒フランジ4bと蓋部材17との間にスペーサを介在させることにより、抽出管5も挿入位置を調整することができる。
従って、磁気分離具1Aは超伝導磁石2と別個に構成して、超伝導磁石2内に挿入装着
することができ、抽出管5、内筒4等の取り替えが可能になっている。
前記磁気分離具1Aを組み込んだ磁気分離装置11における磁気分離方法を次に説明する。
超伝導磁石2のボア2a内に磁気分離具1Aを装着し、超伝導磁石2で磁場を発生させる。磁性が付与された磁性物質Pを含む原流体S1を内筒4の取入口4aから流入して、内筒4及び外筒3の内部を流体Sで満たす。そしてさらに原流体S1を連続して流入すると、原流体S1は内筒4内の流入路12aを通って外筒3の外筒底壁3aに向かって流動し、磁場中心G側の磁気分離部M内に入り、そして磁気分離部Mから外筒3内の流出路12bへ流動していき、その間、流体Sの流れ方向が反対になることにより、また、磁気分離部M内で溜まることにより、原流体S1の流速は一旦停止、又は極めて低速となる。
原流体S1が一旦停止又は極めて低速となることにより、内筒4から磁気分離部M内に至る間、また、磁気分離部M内に溜まっている間に、流体Sの挙動に対して超伝導磁石2の磁力によって磁性物質Pに違った運動をさせて流体Sから分離し、分離した磁性物質Pを磁気分離部Mからさらに磁場中心G側に引き寄せて集積部Q内に集積する。
この集積部Q内での磁性物質Pは、磁力で磁場の強さがより強い方向、即ち、最高のボア2aの軸心方向中央でかつボア2a内周面近くの最高磁場部位F1に向かって引っ張られて集積し、また最高磁場部位F1に沿って集積することになり、高磁場部位F2にも集積されて、集積部Q内で磁性物質Pが壁を形成するように、また、外筒底壁3aを埋めるようになる。
磁気分離部M内の流体Sは、原流体S1が流入路12aから磁気分離部M内に入ってくることにより、内筒4と外筒3との間の流出路12bから浄化流体S2として押し出される動きとなる。
流体Sが磁気分離部M内から流出路12bへ流動するとき、その方向は原流体S1の流入方向と反対方向であり、磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向であり、流速も低いので、磁力が流体Sの動きに打ち勝って磁性物質Pを流体Sから確実に引っ張って分離し、浄化流体S2と共に排出される磁性物質Pの量を減少する。
前記磁場中心Gの強力な磁力と流速の低下により、原流体S1中の磁性物質Pは外筒底壁3aの前側の集積部Qに効果的に集積され、その磁場中心G又はその近傍で開口している抽出管5の先端の吸入口5aから、集積磁性物質Pは濃縮状態で吸引されて超伝導磁石2外に取り出される。
前記磁気分離具1Aにおいて、流入路12aの断面積と流出路12bの断面積とを略同一に設定した場合、原流体S1と浄化流体S2との流量は略同一になって、流体Sは方向を変えるだけで、若干乱流が発生しても流入路12aから流出路12bの方向に流れる。これは取入口4aと排出口3bとによってできる水頭差による流れとなる。
そして、この水頭差による流れは、磁気分離部M及び集積部Qにおいて磁性物質Pに流体Sの流れの影響をほとんど与えることがなく、磁気分離部Mでは磁性物質Pに磁場強度の強い外筒底壁3aに向かう方向の引っ張り力が作用し、集積部Qでは磁性物質Pに磁場中心G側に引き寄せる力が作用する。
集積部Qに溜る磁性物質Pが多くなって磁気分離部Mまで溜まってくると、流体Sの流れを妨げることになるので、抽出管5で磁性物質Pを外部に取り出す。この集積磁性物質Pの連続取り出しによって、原流体S1の連続処理が可能になる。
細胞や微生物の培養液、その他抽出液に、目的物質を特異的に結合させることが可能なリガンドを固定化した磁気ビーズ等の磁性物質を供給して原流体S1として磁気分離装置11内へ流す。
磁気分離装置11は磁気分離部Mの磁場が強力であり、磁性物質Pを短時間で分離ができることに加え、磁場勾配がなだらかなことから、磁性物質Pの凝集を極力抑制でき、流体S中への再分散を容易に生じさせることができる。
蛋白質や酵素の精製においては、磁性物質に固定化したリガンドに対して弱い結合力しか持たない目的物質が存在し、その結合を外す要因となる過度な外力は禁物であるが、前記磁気分離装置11によれば、超伝導磁石2によって極めて高い磁場を発生できること、
流体Sの供給を多くしても流入路12aから集積部Qを経て流出路12bに至る流体Sの流れが穏やかであること等によって、凝集が少なく過度なストレスを与えることがなく、また、過度な外力を加えなくても再分散できることになる。そしてこれらによって、高い精製効率に寄与することが可能になる。
図3、4に示す第2実施形態おいて、横置き型の磁気分離装置11を示しており、超伝導磁石2はボア2aの軸心が水平になるように横向きに配置され、その超伝導磁石2内に側方から磁気分離具1Bが挿脱自在に挿入されている。
有底円筒形状の外筒3は、外端内周と内筒4との間に設けた閉鎖部材15によって外端が閉鎖されている。この外筒3をボア2a内に横置き状に配置して超伝導磁石2に対して着脱自在に装着する装着具6は、外筒3の外周を軸心方向複数カ所で当接受持する複数枚(実施形態では3枚)の円弧状の取付板6dを、ボア2a周方向複数枚で軸心方向に沿った連結板6eで連結して構成されている。
この装着具6は、外筒3の外周の一部を受持する円弧形状になっているが、外筒3の全外周を包囲する形状に形成してもよい。
両端開口の円筒形状に形成された内筒4は、内端開口が外筒底壁3aと距離をおいて対向配置され、外端が抽出管5との間に設けた蓋部材17で閉鎖されている。
内筒4を外筒3内に取り付ける支持具7は、ボア2aの外方に位置する外端側のシール付きの閉鎖部材15と、外筒3内に位置する内端側の軸心方向複数の支持片19とを有し、この各支持片19は内筒4と外筒3との間の断面略環状の流出路12bを塞がないように周方向に間隔を置いて複数個配置されている。
抽出管5を内筒4に取り付ける管取付具8は、ボア2aの外方に位置する抽出管5の外端側を貫通した前記蓋部材17と、内筒4の内端内に設けた取付片20とによって構成されており、前記取付片20は内筒4内の流入路12aを塞がないように周方向に間隔を置いて複数設けられている。
第2実施形態の磁気分離具1Bのその他の構成は前記磁気分離具1Aと同様であり、抽出管5は先端吸入口5aが磁場中心G上に配置され、蓋部材17及び取付片20に対して位置調整することができる。
前記磁気分離具1Bにおいて、原流体S1を磁気分離部Mへ流し、磁気分離部Mの高磁場部位F2へ磁力で磁性物質Pを引っ張って流体Sから分離し、集積部Qに集積する。この磁気分離部Mから原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体S2を流すので、浄化流体S2によって磁性物質Pが流されるのが減少でき、磁性物質Pを磁力で流体Sから確実に分離して集積部Qに集積できる。
図5、6に示す第3実施形態おいて、縦向き型又は横置き型の磁気分離装置11に使用可能な磁気分離具1Cを示しており、筒体は外筒3と内筒4とを有する二重筒構造であり、抽出管5は外筒3と内筒4との間にそれらと平行に配置され、内筒4の内端には高勾配磁気捕捉部材25が設けられている。
抽出管5は外筒3と内筒4との間に周方向180度偏位して2本設けられており、1本又は周方向等間隔に3本以上でもよく、抽出管5の先端吸入口5aが磁場中心G上でかつ外筒3の内周面近傍で、超伝導磁石2の最高磁場部位F1に配置され、集積部Q内で磁性物質Pが最も多く集積される位置から磁性物質Pを吸引できるように配置されている。
高勾配磁気捕捉部材25はステンレス鋼で風車形状に形成されていて、筒軸25aの外周に、軸心方向及び周方向に一定間隔をおいて多数の細線25bを植設しており、多数の細線25bは筒軸25aの中央で最大径となり両端で最小となり、その先端の配置形状は略球面形状となっている。
前記高勾配磁気捕捉部材25は筒軸25aの両端の軸部25cが内筒4から外筒底壁3aに向けて突出した軸受部26に回転自在に支持されており、その一部(上部)は内筒4の内端側に挿入され、内筒4側から外筒底壁3a側へ磁場中心Gに近づくように配置されている。
この高勾配磁気捕捉部材25は、超伝導磁石2の磁界の中におくと、ステンレス細線25bの表面に非常に大きな磁気勾配を作ることができ、内筒4内を流動してくる原流体S
1を流通させながら、それに含まれる磁性物質Pを付着して捕捉し、磁性物質Pを原流体S1から磁気分離する。
ステンレス細線25bに付着する磁性物質Pが次第に蓄積され、それが大きくなってくると、原流体S1の液圧によって流されることになり、磁場中心G側の磁気分離部Mを越えて集積部Qに集積される。また、付着する磁性物質Pの蓄積量にアンバランスが生じて高勾配磁気捕捉部材25が回動すると、ステンレス細線25bが内筒4側から磁気分離部M側へ回動し、磁場中心Gに近づいてきたときに、その強力な磁力によって大粒の磁性物質Pの受け渡しがなされ、磁性物質Pは外筒底壁3aの前側の集積部Qに集積されることになる。
第3実施形態の磁気分離具1Cでは、原流体S1が流入路12aから磁気分離部Mに至るときに、磁性物質Pが高勾配磁気捕捉部材25の磁力によって流体Sから分離捕捉されかつそれが蓄積され、その蓄積された磁性物質Pが高勾配磁気捕捉部材25から離れて集積部Qの最高磁場部位F1及び高磁場部位F2に集積され、流出路12bへの浄化流体S2の流れも原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と逆方向になるので、磁性物質Pを磁力で確実に分離することができる。また、抽出管5は複数本が集積部Q内の最高磁場部位F1に配置されるので、磁性物質Pの吸引効率も高めることができる。
図7に示す第4実施形態おいて、縦向き型又は横置き型の磁気分離装置11に使用可能な磁気分離具1Dを示しており、筒体は外筒3と内筒4とを有する二重筒構造であり、外筒3の外筒底壁3aは磁場中心Gから離れて配置され、抽出管5は内筒4内にその筒心からずれて(又は同心に)配置され、その先端は環状(又はC形状)の吸引部5bが形成され、この吸引部5bの外周面に吸引口5aが複数形成されている。
第4実施形態の磁気分離具1Dでは、集積部Qの容量が大きくなっており、原流体S1が流入路12aから磁気分離部Mに至り、この磁気分離部Mで溜まってから流出路12bへ原流体S1の流入方向と逆に流れ、磁気分離部M内で流体Sから磁性物質Pが磁力によって分離されかつ多量に集積部Qに集積され、抽出管5の環状の吸引部5bの複数の吸引口5aから効率良く磁性物質Pが吸引される。
なお、前記磁気分離具1Dにおいては、抽出管5を内筒4の筒心回りに回転させて、集積部Q全域の磁性物質Pをより確実に回収するように構成してもよい。
図8に示す第5実施形態おいて、縦向き型又は横置き型の磁気分離装置11に使用可能な磁気分離具1Eを示しており、筒体は外筒3と内筒4とを有する二重筒構造であり、抽出管5は外筒3の外筒底壁3aから内筒4側と反対方向に延設され、外筒3及び内筒4にはそれぞれ高勾配磁気捕捉部材25が設けられている。
前記外筒3の外筒底壁3aは円錐凹形状、即ち、円錐壁面を有していて、集積部Qに集積される磁性物質Pを可及的に外周部から中央部に集める形状となっており、抽出管5は吸引口5aが外筒底壁3aの中央に開口されており、外筒底壁3aから内筒4と反対方向に延設されている。
高勾配磁気捕捉部材25はそれぞれ、多数のステンレス細線で円形網形状に形成されていて、超伝導磁石2の磁界内で大きな磁気勾配を作ることができ、原流体S1が流通可能であり、第1高勾配磁気捕捉部材25Aは内筒4の内端に取り付けられ、第2高勾配磁気捕捉部材25Bは外筒底壁3aの手前で外筒3に取り付けられている。
第1高勾配磁気捕捉部材25Aは流入路12aを流れてくる原流体S1から磁性物質Pを付着して捕捉し、捕捉した磁性物質Pが次第に蓄積されて大きくなってくると、原流体S1の液圧によって流され、それをより大きな磁気勾配を作る第2高勾配磁気捕捉部材25Bで捕捉する。
なお、前記磁気分離具1Eは、弱い結合力しか持たない目的物質が存在する蛋白質や酵素の精製においては、結合を外す要因となる過度な外力を与えないように、高勾配磁気捕捉部材25を外しておくことが好ましい。
第2高勾配磁気捕捉部材25Bで捕捉された磁性物質Pが次第に蓄積されて大きくなってくると、原流体S1の液圧、抽出管5の吸引力等によって第2高勾配磁気捕捉部材25
Bから離脱され、磁場中心G側の強力な磁力によって集積部Qに集積され、そして抽出管5で吸引される。磁性物質P分離後の浄化流体S2は外筒3と内筒4との間の流出路12bを通って原流体S1と反対方向に流出される。
第5実施形態の磁気分離具1Eでは、原流体S1及び浄化流体S2の流れ方向は前記磁気分離具1Dと略同一であるが、2段の高勾配磁気捕捉部材25で原流体S1から磁性物質Pを確実に磁気分離でき、高勾配磁気捕捉部材25に蓄積されて大きくなった磁性物質Pを、集積部Qの円錐凹形状の外筒底壁3aの中央側に集積でき、かつこの外筒底壁3aの中央側から抽出管5で効率良く磁性物質Pを吸引できる。
図9に示す第6実施形態おいて、主に横置き型の磁気分離装置11に使用可能な磁気分離具1Fを示しており、超伝導磁石2の両端からボア2a内に対向状に一対の磁気分離具1Fを挿入配置している。各磁気分離具1Fの筒体は外筒3と内筒4とを有する二重筒構造であり、外筒3の外筒底壁3aは円錐凸形状であり、抽出管5は先端部が屈曲されている。
両磁気分離具1Fは外筒3の外筒底壁3aが磁場中心Gを挟んで対面しており、磁場中心Gから片方ずつの磁場を利用して、外筒3内の磁気分離部Mで磁力分離をし、分離した磁性物質Pを最高磁場部位F1側の集積部Qに集積する。外筒底壁3aが円錐凸形状であることも相まって、集積部Qの外周側に磁性物質Pが集められる。
前記抽出管5は外筒3及び内筒4と同心に配置されているが、その先端部は外筒3の内周面に向けて屈曲傾斜され、先端の吸引口5aは外筒底壁3aの外周側に開口され、最高磁場部位F1に集積された磁性物質Pを効率よく吸引できるように配置されている。
前記第6実施形態の磁気分離装置11は超伝導磁石2の磁場を2倍に活用でき、両磁気分離具1Fは内筒4から同一の原流体S1を流入させて磁気分離を行ってもよいが、一方の磁気分離具1Fで磁性物質Pを磁気分離した後の浄化流体S2を、他方の磁気分離具1Fに原流体S1として供給して、2段磁気分離装置として構成することもできる。
磁気分離具1Fの場合は、集積部Q内の磁性物質Pを環状に集積し易いので、抽出管5は第3実施形態のように複数本にしたり、第4実施形態のように環状にしたりすることが好ましい。
図10に示す第7実施形態おいて、縦向き型又は横置き型の磁気分離装置11に使用可能な磁気分離具1Gを示しており、筒体は内外筒の区別がなく、有底筒体30の内部を外端から途中(磁場中心Gの手前)まで仕切り壁31で仕切って流入路12aと流出路12bとを形成し、仕切り壁31の存在しない奥側に磁気分離部Mと集積部Qとを形成している。
即ち、超伝導磁石2の外側からボア2a内の磁場中心G側へ挿入される筒体内に、原流体S1をボア2a外から磁場中心G側に向けて流入させる流入路12aと、磁場中心G側で原流体S1から磁性物質Pを磁力分離する磁気分離部Mと、この磁気分離部Mから原流体S1の流入方向及び磁性物質Pが磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体S2を流しかつボア2a外へ排出する流出路12bと、磁気分離部Mの奥で底壁30aの前の集積部Qとを形成している。
前記仕切り壁31は有底筒体30内に直径方向に配置して、流入路12aと流出路12bとを断面積が同一の断面半円形流路に形成しているが、一方の断面積を他方より大きくしてもよく、仕切り壁31と有底筒体30の底壁30aとは離れているので、流入路12aを流動してくる原流体S1の流れを反転して、流出路12bへ浄化流体S2を流す折り返し点が形成され、この折り返し部分が磁気分離部Mとなっている。
原流体S1に含まれる磁性物質Pは、磁気分離部Mで最高磁場部位F1及び高磁場部位F2の磁力により引っ張られて流体Sから分離され、集積部Qの内周面に沿って集積され、集積が進むにつれて図10に示すような断面鼓形状となり、さらには磁場中心Gから離れた底壁30aまで溜まることになる。
前記集積部Q内に溜まった磁性物質Pは、前記各実施形態と同様に、有底筒体30の上部から抽出管5を挿入して吸い出してもよいが、処理する原流体S1の量が少ない場合は、磁気分離具1G自体を磁気分離装置11から抜いて磁性物質Pを回収することもできる
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜10に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
例えば、磁気分離具1は1本の筒体をU字状又はコ字状に屈曲形成し、中途部に磁力分離部M及び集積部Qを形成し、両側に流入路12aと流出路12bとを形成して構成してもよい。
また、抽出管5は筒体又は外筒3の内部に配置せずに、径外側から集積部Qに接続するようにしてもよい。
なお、磁気分離装置11は、超伝導磁石2に代えて、強磁場を発生できる常温電磁石又は永久磁石を用いることも考えられる。
1 磁気分離具
2 超伝導磁石
2a ボア
3 外筒
3a 外筒底壁
3b 排出口
4 内筒
4a 取入口
5 抽出管
5a 吸入口
11 磁気分離装置
12 流路
12a 流入路
12b 流出路
25 高勾配磁気捕捉部材
30 有底筒体
F 磁場部位
G 磁場中心
H 磁力線
M 磁気分離部
P 磁性物質
Q 集積部
S 流体
S1 原流体
S2 浄化流体

Claims (10)

  1. 超伝導磁石(2)の外側からボア(2a)内の磁場中心(G)側へ挿入される筒体内に、原流体(S1)をボア(2a)外から磁場中心(G)側に向けて流入させる流入路(12a)と、原流体(S1)から磁性物質(P)を磁力により分離する磁気分離部(M)と、この磁気分離部(M)で分離した磁性物質(P)を磁場中心(G)付近に集積する集積部(Q)と、前記磁気分離部(M)から原流体(S1)の流入方向及び磁性物質(P)が磁力により引き付けられる方向と反対方向に浄化流体(S2)を流しかつボア(2a)外へ排出する流出路(12b)とを形成していることを特徴とする磁気分離具。
  2. 前記筒体は内外二重筒構造であって、外筒底壁(3a)側に前記磁気分離部(M)及び集積部(Q)を形成する有底筒形状の外筒(3)と、この外筒(3)内に挿入されていて前記流入路(12a)を形成する内筒(4)とを有し、外筒(3)の内周面と内筒(4)の外周面との間に前記流出路(12b)を形成していることを特徴とする請求項1に記載の磁気分離具。
  3. 前記筒体は、磁気分離部(M)内で磁気分離されかつ集積部(Q)に集積される磁性物質(P)を吸引して取り出す抽出管(5)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気分離具。
  4. 前記筒体は、原流体(S1)を流通させながら超伝導磁石(2)からの磁力で磁気勾配を作る高勾配磁気捕捉部材(25)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気分離具。
  5. 前記原流体(S1)を流入させる流入路(12a)の断面積と、原流体(S1)と反対方向に浄化流体(S2)を流す流出路(12b)の断面積とを略同一に設定していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気分離具。
  6. 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気分離具(1)を、超伝導磁石(2)のボア(2a)内に挿入して着脱自在に装着していることを特徴とする磁気分離装置。
  7. 超伝導磁石(2)の外側からボア(2a)内の磁場中心(G)側へ挿入される筒体内に、原流体(S1)をボア(2a)外から磁場中心(G)側に向けて流入させ、原流体(S1)から磁性物質(P)を磁力により分離して磁場中心(G)付近の集積部(Q)に集積させ、磁性物質(P)を分離した浄化流体(S2)を原流体(S1)の流入方向及び磁性物質(P)が磁力により引き付けられる方向と反対方向に流動させかつボア(2a)外へ流出させることを特徴とする磁気分離方法。
  8. 前記筒体内の集積部(Q)に磁力によって集積された磁性物質(P)を抽出管(5)で吸引して取り出すことを特徴とする請求項7に記載の磁気分離方法。
  9. 前記原流体(S1)の流れ内に超伝導磁石(2)からの磁力で磁気勾配を作る高勾配磁気捕捉部材(25)を配置し、この高勾配磁気捕捉部材(25)で磁性物質(P)を一旦捕捉して密集させてから、磁場中心(G)側に磁力によって集積することを特徴とする請求項7又は8に記載の磁気分離方法。
  10. 前記原流体(S1)と原流体(S1)と反対方向に流される浄化流体(S2)とを、原流体(S1)の取入口(4a)と浄化流体(S2)の排出口(3b)との水頭差によって流動させることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の磁気分離方法。
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