JP2013165797A - 殺菌装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】過酸化水素水を蒸発させて対象空間を殺菌する殺菌装置において、ガス発生チャンバ1の内部で過酸化水素ガスを発生させるガス発生部Aと、過酸化水素ガスに対して耐食性がある樹脂からなる、水蒸気を分離する中空糸状フィルタ8を有する除湿部Bと、分離した水蒸気を冷却凝縮する水蒸気回収部Cとを備え、対象空間の壁面に結露水が生じない低湿度となるように過酸化水素ガスを発生させる。
【選択図】図1
Description
(1)過酸化水素水を蒸発させると、過酸化水素ガスと水蒸気が発生する。
(2)室内の殺菌では、過酸化水素ガスを所定の時間、所定の濃度以上に維持する必要がある。しかし、過酸化水素ガスは大気中で徐々に分解するため、所定の濃度以上に維持するためには継続して過酸化水素水をガス化する必要がある。そのため、それに伴って水蒸気も発生する。
[1.構成]
第1の実施形態に係る殺菌装置の構成を図1に示す。図1に示すように、この殺菌装置は、主にガス発生部A、中空糸状フィルタを有する除湿部B、および水蒸気回収部Cにより構成されている。各構成部について、図を参照しながら詳細に説明する。
ガス発生部Aは、過酸化水素水を蒸発させることで過酸化水素ガスと水蒸気を発生させるものであって、ガス発生チャンバ1、過酸化水素水を貯溜する過酸化水素水タンク2および送液手段3を有する。ガス発生チャンバ1の内部には、加熱部4が設けられている。過酸化水素水タンク2の過酸化水素水が送液手段3によってガス発生チャンバ1内の加熱部4に滴下され、滴下された過酸化水素水は加熱蒸発する。ガス発生チャンバ1には、ガス供給口5が設けられている。ガス供給口5には、後述する除湿部Bのガス導入口7と通ずるように、ガス供給路5aが設けられている。
除湿部Bは、ガス発生部Aで発生した過酸化水素ガスと水蒸気を分離するものであって、筒状のフィルタ容器6を有する。フィルタ容器6の上流側にはガス導入口7が設けられている。前述の通り、このガス導入口7とガス発生部Aのガス供給口5とは、ガス供給路5aによって連通されている。
図1に示すように、水蒸気回収部Cは水蒸気回収チャンバ13を有し、その内部に冷却部14が設けられている。
本発明の実施形態に係る殺菌装置の除湿部Bに用いられる中空糸状フィルタ8の動作原理を、図2に基づいて詳細に説明する。図2では説明の便宜上、高湿度過酸化水素ガス20を、水蒸気21と過酸化水素ガス22に分けて図示する。高湿度過酸化水素ガス20は、中空糸状フィルタ8の中空部を通過する。このとき中空糸状フィルタ8の外部を減圧すると、中空糸状フィルタ8の中空部に供給された高湿度過酸化水素ガス20に含有される水蒸気21は、中空糸膜を透過してフィルタ外部へと放出されるが、過酸化水素ガス22は中空糸膜を透過しない。したがって、中空糸状フィルタ8から対象室内に供給されるガスは一部の水蒸気が除去されており、低湿度過酸化水素ガス23となっている。
本実験には、35wt%の過酸化水素水を使用した。また、実験器具および条件は以下に示す通りとした。
(1) 三角フラスコ
(2) 温湿度計測器
(3) 定流量ポンプ(流量:3L/min)
(4) 除湿部(シリコーンゴム製の無孔質中空糸状フィルタ内蔵)
(5) 真空ポンプ(流量:4L/h、圧力:62.6kPa)
(6) ふた口フラスコ
(7) 過酸化水素ガス用検知管
実験の概要を図3に基づいて詳細に説明する。過酸化水素ガスと水蒸気の発生方法は、三角フラスコ内に入れた35wt%の過酸化水素水からの自然蒸発とした。定流量ポンプ34を運転することで、発生した過酸化水素ガスと水蒸気が三角フラスコ31周辺のエアとともに吸引され、除湿部35の上流側に設けたゴム栓がされた三角フラスコ32を介して除湿部35に供給されるようにした。また、除湿部35で中空糸状フィルタ40の外側へ移動しなかったガスが除湿部35の下流側に設けられた三角フラスコ36へ供給されるようにした。三角フラスコ32には温湿度計測器33を設け、除湿部35の上流におけるガスの温湿度を計測できるようにした。また、三角フラスコ36には温湿度計測器37を設け、除湿部35の下流におけるガスの温湿度を計測できるようにした。さらに、過酸化水素ガス用検知管38も三角フラスコ36に挿入し、除湿部35の下流におけるガスの過酸化水素濃度を測定できるようにした。
まず、真空ポンプ41を常時運転し、除湿部35の減圧状態を維持した。温湿度の測定は除湿部35の上流(三角フラスコ32)と下流(三角フラスコ36)において、真空ポンプ41の運転開始時から行った。真空ポンプ41の運転開始から1時間経過した後に、定流量ポンプ34の運転を開始し上流と下流における温湿度の変化を測定した。また、分離した水蒸気を含有するエア(ふた口フラスコ42)と除湿部35の下流(三角フラスコ36)におけるガスの過酸化水素濃度を測定した。
図4は、除湿部35の前後における過酸化水素ガスと水蒸気の混合ガスの絶対湿度を示すグラフである。グラフの横軸を時間とし、除湿部35の上流および下流で測定した温湿度を基に算出した絶対湿度をプロットした。真空ポンプ41の運転および温湿度の測定開始から1時間経過後、定流量ポンプ34の運転を開始した。この定流量ポンプ34の運転時において、下流側の絶対湿度が上流側の絶対湿度より、平均して0.002kg/kg’低くなった。また、三角フラスコ36の過酸化水素ガス用検知管38によって、10ppm以上の過酸化水素ガスが検出された。一方、ふた口フラスコ42の過酸化水素ガス用検知管43では、過酸化水素ガスは未検出であった。
本実施形態における殺菌装置について、図1を参照しながら、実際の水蒸気・ガスの流れに沿って作用効果を説明する。
本実施形態の殺菌装置によれば、次のような効果が発揮される。
(1)加熱蒸発により発生した過酸化水素ガスと水蒸気は、除湿部Bのシリコーンゴム製の中空糸状フィルタ8により、水蒸気の一部が分離される。これにより、対象室内に水蒸気の結露を発生させることなく殺菌することができる。従って、対象室内の建材を腐食させることがない。
本明細書においては、本発明に係る実施形態を1つ説明したが、この実施形態は例として提示したものである。本実施形態では、除湿部Bで除去した水蒸気の一部を水蒸気回収部Cで回収しているが、水蒸気回収部Cを設けず、代わりにフィルタ容器6を冷却することで水蒸気を凝縮させても良い。また、本実施形態ではガス発生部Aに加熱部4を設けたが、噴霧や超音波により過酸化水素水を蒸発させても良い。このように、本実施形態は、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができ、様々な形態で実施されることが可能である。そして、それらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
B 除湿部
C 水蒸気回収部
1 ガス発生チャンバ
2 過酸化水素水タンク
3 送液手段
4 加熱部
5 ガス供給口
5a ガス供給路
6 フィルタ容器
7 ガス導入口
8 中空糸状フィルタ
9 低湿度過酸化水素ガス供給口
9a 低湿度過酸化水素ガス供給路
10 増圧手段
11 水蒸気排出口
11a 水蒸気排出路
12 減圧手段
13 水蒸気回収チャンバ
14 冷却部
15 凝縮水
16 水蒸気導入口
17 残余水蒸気排出口
17a 残余水蒸気排出路
20 高湿度過酸化水素ガス
21 水蒸気
22 過酸化水素ガス
23 低湿度過酸化水素ガス
31、32、36 三角フラスコ
33、37 温湿度計測器
34 定流量ポンプ
35 除湿部
38、43 過酸化水素ガス用検知管
40 中空糸状フィルタ
41 真空ポンプ
42 ふた口フラスコ
44 除湿用エア導入口
Claims (4)
- 過酸化水素水を蒸発させて対象空間を殺菌する殺菌装置において、
過酸化水素水を蒸発させるガス発生部と、
過酸化水素ガスに対して耐食性がある樹脂からなる、水蒸気を分離する中空糸状フィルタを有する除湿部と、
分離した水蒸気を冷却凝縮する水蒸気回収部と、
を備えることを特徴とする殺菌装置。 - 前記中空糸状フィルタの内部を加圧、あるいは周囲を減圧、またはその両方を同時に行う圧力制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置。
- 前記樹脂が、シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の殺菌装置。
- 前記水蒸気回収部は、内部に冷却部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の殺菌装置。
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