JP2013164049A - 圧縮機の給油機構、および、それを備える圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明に係る圧縮機の給油機構は、給油不足による摺動部の損傷を防ぎ、かつ、過剰給油による油上がりを効果的に抑えることができる。
【解決手段】オイルピックアップ81は、遠心ポンプ作用により給油口81aから油を吸い上げる圧縮機の給油機構であって、スライド板82と、最小径ストッパ83aと、バネ84とを備える。スライド板82は、遠心力によって移動することで、給油口81aの開口径を変える。最小径ストッパ83aは、給油口81aの開口径が第1所定値を下回らないように、スライド板82の移動を第1所定位置で止める。バネ84は、遠心力の作用方向に抗する予荷重をスライド板82に与える。
【選択図】図3

Description

本発明は、圧縮機の給油機構、および、それを備える圧縮機に関する。
従来、縦置き型の密閉型圧縮機において、クランク軸の下端に遠心式のオイルピックアップが設けられた給油機構が用いられている。この給油機構は、オイルピックアップの下端が潤滑油中に浸漬しており、オイルピックアップの軸回転により発生する遠心力によって潤滑油を吸い上げる。しかし、このような遠心式の油ポンプでは、その給油能力の基となる給油圧力が回転数の二乗に比例するので、圧縮機の高速運転時において、潤滑油が過剰に吸い上げられてしまう。その結果、圧縮機内部の潤滑油が、圧縮冷媒の流れに巻き込まれて、圧縮機外部の冷媒回路へ吐出される現象である油上がりが発生する。
その対策として、例えば、特許文献1(実開昭60−107386号公報)に開示される密閉型圧縮機の給油機構が提案されている。この給油機構では、オイルピックアップは、螺旋状のバネ板で構成される。そして、この螺旋状のバネ板が軸回転による遠心力によって弾性変形することで、給油口の大きさが変化する。これにより、回転数の上昇に伴う過剰な給油能力の増大が抑制される。
しかし、特許文献1(実開昭60−107386号公報)に開示される給油機構では、オイルピックアップを構成するバネ板間に径方向の隙間が存在するため、遠心ポンプによる吸い上げ効果が十分に発揮できないおそれがある。
また、特許文献1(実開昭60−107386号公報)に開示される給油機構では、オイルピックアップは弾性部材であるバネ板のみで構成されているため、圧縮機の運転速度が上昇するほどバネ板が弾性変形して給油口の開口径が増加する。このため、給油能力に余力の無い遠心ポンプの低速域において、給油口の開口径が必要以上に大きくなるので、ポンプヘッドが過剰に抑制され、その結果、給油能力が不足してしまう。また、圧縮機の運転速度を徐々に上げていくと、最終的に、給油口の開口径が給油口の内径よりも大きくなる。この場合、ポンプヘッドはゼロになるので、給油機構の給油能力が失われてしまう。
本発明の目的は、圧縮機の低速運転時および高速運転時におけるポンプヘッドの過剰な低下を抑制することによって、給油不足による摺動部の損傷を防ぎ、かつ、過剰給油による油上がりを効果的に抑えることができる圧縮機の給油機構、および、それを備える圧縮機を提供することである。
本発明の第1観点に係る圧縮機の給油機構は、遠心ポンプ作用により給油口から油を吸い上げる圧縮機の給油機構であって、移動部材と、最小径ストッパと、押圧部材とを備える。移動部材は、遠心力によって移動することで、給油口の開口径を変える。最小径ストッパは、給油口の開口径が第1所定値を下回らないように、移動部材の移動を第1所定位置で止める。押圧部材は、遠心力の作用方向に抗する予荷重を移動部材に与える。
第1観点に係る圧縮機の給油機構は、例えば、圧縮機の内部に貯留された潤滑油を遠心ポンプ作用により吸い上げて、軸受等の摺動部に供給するためのオイルピックアップである。この給油機構では、潤滑油を吸い上げる入口である給油口の開口径は、移動部材が遠心力を受けて移動することによって増加する。このとき、移動部材は、押圧部材による荷重に抗しながら移動する。すなわち、押圧部材は、給油口の開口径を小さくする方向に、移動部材に対して荷重を与える。また、移動部材は、最小径ストッパを有する。最小径ストッパは、給油口の開口径が所定の値よりも小さくならないように、移動部材の移動を防止する。すなわち、最小径ストッパは、給油口の開口径の最小値を定める。
この圧縮機の給油機構では、最小径ストッパによって、圧縮機の低速運転時における給油口の閉じ過ぎが防止される。これにより、圧縮機の低速運転時においても、給油口の開口径が必要以上に小さくならないので、必要最低限の給油能力が確保される。また、圧縮機の低速運転時において、移動部材にかかる遠心力が押圧部材の予荷重に打ち勝つまでは、給油口の開口径は増加しない。そのため、給油余力を維持したい低速域において、ポンプヘッドが過剰に抑制されずに、適正な給油余力が維持される。
また、この圧縮機の給油機構では、圧縮機の運転速度が上昇して、移動部材にかかる遠心力が押圧部材による予荷重に打ち勝つと、運転速度の上昇に応じて給油口の開口径が増加する。このとき、押圧部材による荷重によって給油口の開口径は徐々に増加するため、給油能力が過剰になることが抑制される。
従って、第1観点に係る圧縮機の給油機構は、給油不足による摺動部の損傷を防ぎ、かつ、過剰給油による油上がりを効果的に抑えることができる。
本発明の第2観点に係る圧縮機の給油機構は、第1観点に係る圧縮機の給油機構であって、最大径ストッパをさらに備える。最大径ストッパは、移動部材に取り付けられる。最大径ストッパは、給油口の開口径が第2所定値を超えないように、移動部材の移動を第2所定位置で止める。
第2観点に係る圧縮機の給油機構では、移動部材は、最大径ストッパを有する。最大径ストッパは、給油口の開口径が所定の値よりも大きくならないように、移動部材の移動を防止する。すなわち、最大径ストッパは、給油口の開口径の最大値を定める。
この圧縮機の給油機構では、最大径ストッパによって、圧縮機の高速運転時における給油口の開き過ぎが防止される。これにより、圧縮機の高速運転時において、給油口の開口径が必要以上に大きくなることが防止される。そのため、給油余力を維持したい高速域において、給油口の開口径がポンプの外径よりも大きくなってポンプヘッドがゼロになることが抑制されるので、給油能力が失われてしまうことが抑制される。
本発明の第3観点に係る圧縮機の給油機構は、第1観点または第2観点に係る圧縮機の給油機構であって、移動部材は、一部が互いに重なり合う複数の板部材である。
本発明の第4観点に係る圧縮機の給油機構は、第3観点に係る圧縮機の給油機構であって、押圧部材は、板部材同士を連結する弾性部材である。
本発明の第5観点に係る圧縮機の給油機構は、第1観点または第2観点に係る圧縮機の給油機構であって、非可動部材をさらに備える。非可動部材は、給油口の一部を形成する。移動部材は、非可動部材と共に給油口を形成し、かつ、スライドすることで給油口の開口径を変えるスライド部材である。
本発明の第6観点に係る圧縮機の給油機構は、第5観点に係る圧縮機の給油機構であって、押圧部材は、非可動部材とスライド部材とを連結する弾性部材である。
本発明の第1観点乃至第6観点に係る圧縮機の給油機構は、給油不足による摺動部の損傷を防ぎ、かつ、過剰給油による油上がりを効果的に抑えることができる。
本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 スクロール圧縮機のオイルピックアップの側面図である。 スクロール圧縮機のオイルピックアップの平面図である。 オイルピックアップのスライド板の外観図である。 給油口の開口径が最小のときにおけるオイルピックアップの側面図である。 給油口の開口径が最小のときにおけるオイルピックアップの平面図である。 給油口の開口径が最大のときにおけるオイルピックアップの側面図である。 給油口の開口径が最大のときにおけるオイルピックアップの平面図である。 ポンプヘッドとクランク軸の回転数との関係を表すグラフである。 本発明の第2実施形態に係るスクロール圧縮機のオイルピックアップの断面側面図である。 オイルピックアップの上面図である。 スライド板の上面図である。 スペーサの上面図である。 ボトムプレートの上面図である。 給油口の開口径が最小のときにおけるオイルピックアップの上面図である。 給油口の開口径が最大のときにおけるオイルピックアップの上面図である。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る圧縮機について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る圧縮機は、高低圧ドーム型のスクロール圧縮機である。スクロール圧縮機は、互いに噛合する2つのスクロールの一方のスクロールが自転することなく他方のスクロールに対して公転することにより、冷媒を圧縮する圧縮機である。
(1)圧縮機の構成
図1は、本実施形態に係るスクロール圧縮機101の縦断面図である。スクロール圧縮機101は、主に、ケーシング10と、圧縮機構15と、モータ16と、クランク軸17と、ハウジング23とから構成される。スクロール圧縮機101は、冷媒を循環する冷凍サイクルを繰り返す冷媒回路において、冷媒ガスを圧縮する役割を担う。次に、スクロール圧縮機101の各構成要素について説明する。
(1−1)ケーシング
ケーシング10は、略円筒状の胴部ケーシング部11と、胴部ケーシング部11の上端部に気密状に溶接される椀状の上壁部12と、胴部ケーシング部11の下端部に気密状に溶接される椀状の底壁部13とから構成される。ケーシング10は、ケーシング10の内部および外部において圧力や温度が変化した場合に、変形および破損が起こりにくい剛性部材で成型されている。ケーシング10は、胴部ケーシング部11の略円筒状の軸方向が鉛直方向に沿うように設置される。
ケーシング10の内部には、圧縮機構15と、圧縮機構15の下方に配置されるハウジング23と、ハウジング23の下方に配置されるモータ16と、鉛直方向に延びるように配設されるクランク軸17等が収容されている。ケーシング10の壁部には、吸入管19および吐出管20が気密状に溶接されている。
ケーシング10の底部には、潤滑油を貯留するための空間である油貯留部Pが形成されている。潤滑油は、スクロール圧縮機101の運転中において、圧縮機構15等の摺動部の潤滑性を良好に保つために使用される。
(1−2)圧縮機構
圧縮機構15は、ケーシング10の内部に収容され、低温低圧の冷媒ガスを吸引し、圧縮し、高温高圧の冷媒ガス(以下、「圧縮冷媒」という。)を吐出する。圧縮機構15は、主に、固定スクロール部品24と、旋回スクロール部品26とから構成される。
固定スクロール24は、第1鏡板24aと、第1鏡板24aに直立して形成される渦巻形状(インボリュート状)の第1ラップ24bとを有する。固定スクロール24には、主吸入孔(図示せず)と、主吸入孔に隣接する補助吸入孔(図示せず)とが形成されている。主吸入孔は、吸入管19と、後述する圧縮室40とを連通する。補助吸入孔は、後述する低圧空間S2と、圧縮室40とを連通する。また、第1鏡板24aの中央部には、吐出孔41が形成され、第1鏡板24aの上面には、吐出孔41と連通する拡大凹部42が形成されている。この拡大凹部42は、第1鏡板24aの上面に凹設された水平方向に広がる空間である。固定スクロール24の上面には、この拡大凹部42を塞ぐように蓋体44がボルト44aにより固定されている。そして、拡大凹部42に蓋体44が覆い被せられることにより圧縮機構15の運転音を消音させるマフラー空間45が形成されている。固定スクロール24と蓋体44とは、ガスケット(図示せず)を介して密着させることによりシールされている。また、固定スクロール24には、マフラー空間45と連通し、固定スクロール24の下面に開口する第1圧縮冷媒流路46が形成されている。
旋回スクロール26は、第2鏡板26aと、第2鏡板26aに直立して形成される渦巻形状(インボリュート状)の第2ラップ26bとを有する。第2鏡板26aの下面中央部には、上端軸受26cが形成されている。第2鏡板26aの内部には、給油細孔63が形成されている。給油細孔63は、第2鏡板26aの上面外周部と、上端軸受26cの内側の空間とを連通する。
固定スクロール24および旋回スクロール26は、第1ラップ24bと第2ラップ26bとが噛合することにより、第1鏡板24aと、第1ラップ24bと、第2鏡板26aと、第2ラップ26bとによって囲まれる空間である圧縮室40を形成する。この圧縮室40の体積は、旋回スクロール26の公転運動によって変化する。
(1−3)ハウジング
ハウジング23は、圧縮機構15の下方に配置され、その外周面がケーシング10の内壁に気密状に接合されている。このため、ケーシング10の内部は、ハウジング23の下方の高圧空間S1と、ハウジング23の上方の低圧区間S2とに区画されている。ハウジング23は、ボルト等で固定することによって固定スクロール24を載置し、オルダム継手39を介して、固定スクロール24とともに旋回スクロール26を挟持している。オルダム継手39は、旋回スクロール26の自転運動を防止するための環状の部材である。ハウジング23の外周部には、鉛直方向に第2圧縮冷媒流路48が貫通して形成されている。この第2圧縮冷媒流路48は、ハウジング23の上端面において第1圧縮冷媒流路46と連通し、ハウジング23の下端面において吐出口49を介して高圧空間S1と連通する。
ハウジング23の上面には、クランク室S3が凹設されている。また、ハウジング23には、ハウジング貫通孔31が形成されている。ハウジング貫通孔31は、クランク室S3の底面中央部から、ハウジング23の下端面中央部まで、ハウジング23を鉛直方向に貫通して形成される空間である。以下、ハウジング23の一部であり、かつ、ハウジング貫通孔31が形成されている部分を、上部軸受32という。
(1−4)モータ
モータ16は、ケーシング10の内部に収容され、ハウジング23の下方に配設されるブラシレスDCモータである。モータ16は、主に、ケーシング10の内壁に固定されるステータ51と、このステータ51の内側に僅かな間隙(エアギャップ)を設けて回転自在に収容されるロータ52とから構成される。
ステータ51は、導線が巻き付けられているコイル部(図示せず)と、コイル部の上方および下方に形成されているコイルエンド53とを有する。また、ステータ51の外周面には、ステータ51の上端面から下端面に亘り、かつ、周方向に所定間隔をおいて、切欠形成されている複数のコアカット部(図示せず)が設けられている。このコアカット部は、胴部ケーシング部11とステータ51との間を鉛直方向に延びるモータ冷却通路55を形成する。
ロータ52は、その回転中心を鉛直方向に貫通するクランク軸17に連結されている。ロータ52は、クランク軸17を介して、圧縮機構15と接続されている。
(1−5)下部軸受
下部軸受60は、モータ16の下方に配置され、その外周面においてケーシング10の内壁に気密状に接合されている部材である。下部軸受60は、クランク軸17を回転自在に支持する。
(1−6)油分離板
油分離板73は、ケーシング10の内部に収容される平板状の部材である。油分離板73は、下部軸受60の上端面に固定されている。
(1−7)クランク軸
クランク軸17は、ケーシング10の内部に収容され、その軸方向が鉛直方向に沿うように配設されている。クランク軸17は、図1に示されるように、その上端部の軸心が上端部を除く部分の軸心に対してわずかに偏心している形状を有している。クランク軸17は、ハウジング23の下方かつモータ16の上方の高さ位置における外周面において、バランスウェイト18が密着して固定されている。
クランク軸17は、ロータ52の回転中心を鉛直方向に貫通してロータ52に連結されている。クランク軸17は、その上端部が上端軸受26cに嵌入することで、旋回スクロール26と接続されている。また、クランク軸17は、上部軸受32および下部軸受60によって支持されている。
クランク軸17は、軸方向に延びている主給油路61を内部に有する。主給油路61の上端は、クランク軸17の上端面と第2鏡板26aの下面とによって形成される油室83と連通している。この油室83は、第2鏡板26aの給油細孔63を介して、第1鏡板24aと第2鏡板26aとが外周部において互いに摺接しているスラスト軸受面に連通する。主給油路61の下端は、オイルピックアップ81を介して、高圧空間S1の油貯留部Pに連通する。
(1−8)オイルピックアップ
オイルピックアップ81は、油貯留部Pに貯留された潤滑油を、クランク軸17の主給油路61に吸い上げる遠心式の給油機構である。オイルピックアップ81は、クランク軸17の下端に取り付けられている。以下、オイルピックアップ81の下端の開口部を給油口81aという。給油口81aは、油貯留部Pの潤滑油中に浸漬している。オイルピックアップ81は、給油口81aの開口径がクランク軸17の回転数に応じて変化する構造を有している。
図2は、オイルピックアップ81の側面図である。図3は、オイルピックアップ81を下から見た平面図である。オイルピックアップ81は、主として、保持部材82aと、6枚のスライド板82と、6本のバネ84とから構成されている。図4は、スライド板82の外観図である。スライド板82は、湾曲面を有する金属製の板状部材である。図4に示されるスライド板82の面は、スライド板82の凸状の湾曲面である。各スライド板82は、表面に設けられた突起である、1つの最小径ストッパ83aと、1つの最大径ストッパ83bとを有している。最小径ストッパ83aは、図2に示されるように、スライド板82の凸状の湾曲面に設けられている。最大径ストッパ83bは、スライド板82の凹状の湾曲面に設けられている。クランク軸17の回転方向に沿って隣接している2枚のスライド板82の最大径ストッパ83bは、図3に示されるように、バネ84で互いに連結されている。最大径ストッパ83bは、バネ84を取り付けることができる構造を有している。バネ84の弾性力は、スライド板82の最大径ストッパ83b同士を互いに近づける方向に作用する。
各スライド板82は、図2および図3に示されるように、互いに一部分が重なり合った状態で、上端が保持部材82aに取り付けられている。保持部材82aは、クランク軸17の下端面に取り付けられ、主給油路61と同じ径の貫通孔を有する環状部材である。各スライド板82の凸状の湾曲面は、クランク軸17の径方向外側を向いている。すなわち、図2に示されるように、スライド板82は、鉛直方向下方に進むに従って、クランク軸17の径方向内側に向かうように湾曲している。各スライド板82は、オイルピックアップ81を下から見た場合に、クランク軸17の回転軸X周りに配置されている。各スライド板82は、オイルピックアップ81を下から見た場合に、クランク軸17の回転方向に沿って隣接している2枚のスライド板82と、互いに一部が重なっている。各スライド板82は、隣接する2枚のスライド板82の一方のスライド板82の上方に位置し、かつ、他方のスライド板82の下方に位置するように重なっている。また、各スライド板82は、図3に示されるように、他のスライド板82と重なっていない非重複部分Rを有している。非重複部分Rにおける各スライド板82の端部Eは、略円形の給油口81aの外縁を形成する。なお、図3では、1枚のスライド板82のみに関して、非重複部分Rおよび端部Eが図示されている。
スライド板82は、図2,3,5〜8に示されるように、クランク軸17の軸回転による遠心力を受けることによって、給油口81aの開口径が増減するように移動する。図5および図6は、それぞれ、給油口81aの開口径が最小のときのオイルピックアップ81の側面図および平面図である。図7および図8は、それぞれ、給油口81aの開口径が最大のときのオイルピックアップ81の側面図および平面図である。図5および図6に示されるオイルピックアップ81は、クランク軸17の回転数が低い低速運転域の状態を表し、図7および図8に示されるオイルピックアップ81は、クランク軸17の回転数が高い高速運転域の状態を表している。また、図2および図3に示されるオイルピックアップ81は、低速運転域と高速運転域との間の中速運転域の状態を表している。給油口81aの開口径と、クランク軸17の回転数との関係については後述する。
図6に示されるように、最小径ストッパ83aは、給油口81aの開口径が減少する方向へのスライド板82の移動を止める位置に設けられる。また、図8に示されるように、最大径ストッパ83bは、給油口81aの開口径が増加する方向へのスライド板82の移動を止める位置に設けられる。図6に示される給油口81aの開口径が最小の状態であっても、各スライド板82には、給油口81aの開口径を小さくするバネ84の弾性力である予荷重が作用している。なお、給油口81aの開口径が最大となるときのクランク軸17の回転数は、クランク軸17の最大の回転数よりも小さくてもよい。
(1−9)吸入管
吸入管19は、ケーシング10の外部から圧縮機構15へ、冷媒回路の冷媒を導入するための管状部材である。吸入管19は、ケーシング10の上壁部12に気密状に嵌入されている。吸入管19は、低圧空間S2を鉛直方向に貫通するとともに、内端部が固定スクロール24に嵌入されている。
(1−10)吐出管
吐出管20は、高圧空間S1からケーシング10の外部へ、圧縮冷媒を吐出するための管状部材である。吐出管20は、ケーシング10の胴部ケーシング部11に気密状に嵌入されている。吐出管20は、高圧空間S1を水平方向に貫通するとともに、ケーシング10内にある開口部20aが、ハウジング23の近傍に位置している。
(2)圧縮機の動作
本実施形態に係るスクロール圧縮機101の動作について説明する。最初に、スクロール圧縮機101を備える冷媒回路を循環する冷媒の流れについて説明する。次に、スクロール圧縮機101内部における潤滑油の流れについて説明する。
(2−1)冷媒の流れ
最初に、モータ16が駆動することによって、ロータ52が回転する。これにより、ロータ52に固定されているクランク軸17が、軸回転運動を行う。クランク軸17の軸回転運動は、上端軸受26cを介して旋回スクロール26に伝達される。クランク軸17の上端部の軸心は、クランク軸17の軸回転運動の軸心に対して偏心している。また、旋回スクロール26は、オルダム継手39によって自転が防止される。これにより、旋回スクロール26は、自転することなく、固定スクロール24に対して公転運動を行う。
圧縮前の低温低圧の冷媒は、吸入管19から主吸入孔を経由して、又は、低圧空間S2から補助吸入孔を経由して、圧縮機構15の圧縮室40に吸引される。旋回スクロール26の旋回運動により、圧縮室40は体積を徐々に減少させながら固定スクロール24の外周部から中心部へ向かって移動する。その結果、圧縮室40の冷媒は圧縮されて圧縮冷媒となる。圧縮冷媒は、吐出孔41からマフラー空間45へ吐出された後、第1圧縮冷媒流路46および第2圧縮冷媒流路48を経由して、吐出口49から高圧空間S1へ供給される。そして、圧縮冷媒は、ガスガイド92と胴部ケーシング部11との間の空間を下方に向かって流れた後、モータ冷却通路55を下降して、モータ16の下方の高圧空間S1に到達する。そして、圧縮冷媒は、流れの向きを反転させて、他のモータ冷却通路55およびエアギャップを上昇する。最終的に、圧縮冷媒は、吐出管20からスクロール圧縮機101の外部に吐出される。
(2−2)潤滑油の流れ
最初に、モータ16が駆動することによって、ロータ52が回転する。これにより、ロータ52に固定されているクランク軸17が、軸回転運動を行う。クランク軸17の軸回転運動によって圧縮機構15が駆動し、高圧空間S1に圧縮冷媒が吐出されると、高圧空間S1の圧力が上昇する。また、クランク軸17の軸回転によって、クランク軸17の主給油路61は、遠心ポンプとして作用する。これにより、油貯留部Pに貯留されている潤滑油は、オイルピックアップ81の給油口81aを経て主給油路61を上昇し、油室83に向かって流れる。
主給油路61を上昇して油室83まで到達した潤滑油は、給油細孔63を経由して、圧縮機構15のスラスト軸受面に供給される。圧縮機構15のスラスト軸受面を潤滑した潤滑油は、圧縮室40に流入する。このとき、高温高圧である潤滑油は、圧縮室40に存在する圧縮される前の冷媒を加熱する。また、潤滑油は、油滴の状態で圧縮冷媒に含有される。圧縮冷媒に含有される潤滑油は、圧縮冷媒と同じ経路を通って、圧縮室40から高圧空間S1へ吐出される。そして、潤滑油は、圧縮冷媒とともにモータ冷却通路55を下降した後、一部が油分離板73に衝突する。油分離板73に付着した潤滑油は、高圧空間S1を落下して油貯留部Pに貯留される。
(3)圧縮機の特徴
(3−1)
図9は、本実施形態に係るスクロール圧縮機101のオイルピックアップ81の給油能力を、ポンプヘッドと、クランク軸17の回転数との関係によって表したグラフである。ポンプヘッドは、単位時間当たりに吸い上げられる潤滑油の量である給油量の基となる給油圧力(吐出し圧力と吸込み圧力との差)である。ポンプヘッドは、クランク軸17の回転数の二乗に比例し、かつ、クランク軸17の主給油路61の径と給油口81aの開口径との差が大きいほど高い。図9において、本実施形態のオイルピックアップ81の給油能力は実線L1で示され、給油口の開口径が変化しない従来の遠心式オイルポンプの給油能力は点線L2で示され、クランク軸17の回転数に応じて定まる必要最小限の給油能力である最低給油量は一点鎖線L3で示されている。
本実施形態では、オイルピックアップ81を構成する各スライド板82は、最大径ストッパ83bに取り付けられたバネ84によって互いに連結されている。バネ84の弾性力は、スライド板82の最大径ストッパ83b同士を互いに近づける方向、すなわち、オイルピックアップ81の給油口81aの開口径を減少させる方向に作用する。また、各スライド板82は、最小径ストッパ83aを有している。最小径ストッパ83aは、自身が属するスライド板82に隣接するスライド板82と接することにより、給油口81aの開口径が減少する方向へのスライド板82の移動を制限する。スクロール圧縮機101が起動していない状態、すなわち、クランク軸17の回転数がゼロである場合において、オイルピックアップ81の給油口81aの開口径は、バネ84の弾性力による予荷重および最小径ストッパ83によって、所定の最小値を有している。このとき、各スライド板82には、給油口81aの開口径を小さくするバネ84の弾性力による予荷重が作用している。また、このとき、図5および図6に示されるように、最小径ストッパ83aは、スライド板82と接している。
本実施形態では、図9に示されるスクロール圧縮機101の低速運転域において、バネ84による予荷重が、クランク軸17の軸回転によってスライド板82にかかる遠心力に打ち勝っている。そのため、低速運転域において、給油口81aの開口径は、図5および図6に示されるように、最小値を有するまま増加しない。これにより、低速運転域においてもポンプヘッドが過剰に抑制されることがないので、オイルピックアップ81は、給油余力を維持したい低速運転域において、適正な給油余力を維持することができる。
従って、本実施形態では、スクロール圧縮機101の低速運転域において、給油能力を適切に維持することができ、圧縮機構15等の摺動部に潤滑油が十分に供給されないことに起因する摺動部の焼き付き等を抑制することができる。
(3−2)
本実施形態では、オイルピックアップ81を構成する各スライド板82は、最大径ストッパ83bに取り付けられたバネ84によって互いに連結されている。バネ84の弾性力は、スライド板82の最大径ストッパ83b同士を互いに近づける方向、すなわち、オイルピックアップ81の給油口81aの開口径を減少させる方向に作用する。
本実施形態では、図9に示されるスクロール圧縮機101の低速運転域から中速運転域に移行する際に、クランク軸17の軸回転によってスライド板82にかかる遠心力が、バネ84による予荷重に打ち勝つ。そのため、遠心力が予荷重を上回るスクロール圧縮機101の中速運転域では、クランク軸17の回転数の上昇に応じて、スライド板82が遠心力によって径方向外側に移動するので、給油口81aの開口径が増加する。そして、クランク軸17の回転数の増加に伴って給油口81aの開口径が増加するほど、スライド板82には、遠心力に抗して給油口81aの開口径を減少させようとするバネ84による荷重が作用する。そのため、バネ84による荷重によって、給油口81aの開口径は、急激に増加することなく徐々に増加するので、図9に示されるように、オイルピックアップ81の給油能力が過剰になることが抑制される。
従って、本実施形態では、スクロール圧縮機101の中速運転域において、油貯留部Pに貯留される潤滑油が不足することに起因する油上がりが抑制される。
(3−3)
従来のオイルピックアップでは、給油能力の基となるポンプヘッドは、クランク軸の回転数の二乗に比例する。そのため、図9に示されるように、クランク軸17の回転数が増加するに従って、オイルピックアップの給油量L2と、最低給油量L3との差は、急激に増加する。従って、このようなオイルピックアップでは、圧縮機の高速運転域において、潤滑油が過剰に吸い上げられるので、油上がりが増加して、圧縮機内部の潤滑油が不足するおそれがある。
一方、本実施形態では、オイルピックアップ81を構成する各スライド板82は、最大径ストッパ83bを有している。最大径ストッパ83bは、自身が属するスライド板82に隣接するスライド板82と接することにより、給油口81aの開口径が増加する方向へのスライド板82の移動を制限する。そして、各スライド板82は、クランク軸17の回転数の増加に伴い、給油口81aの開口径が増加する方向に協同して移動する。しかし、図7および図8で示されるように、最大径ストッパ83bがスライド板82に接している状態では、クランク軸17の回転数が増加しても、スライド板82の移動が防止されるので、給油口81aの開口径はこれ以上増加しない。すなわち、最大径ストッパ83bによって、給油口81aの開口径は所定の最大値を有する。
本実施形態では、図9に示されるように、スクロール圧縮機101の高速運転域において、最大径ストッパ83bによって、給油口81aの開口径が開き過ぎて必要以上に大きくなることが防止される。そのため、給油余力を維持したい高速運転域において、給油口81aの開口径が主給油路61の径よりも大きくなりオイルピックアップ81のポンプヘッドがゼロになって給油能力が失われてしまうことが防止される。
従って、本実施形態では、スクロール圧縮機101の高速運転域において、給油能力を適切に維持することができ、圧縮機構15等の摺動部に潤滑油が十分に供給されないことに起因する摺動部の焼き付き等が抑制される。
なお、図9に示されるように、オイルピックアップ81のポンプヘッドは、高速運転域において給油口81aの開口径が最大値に達した後は、クランク軸17の回転数の二乗に比例して増加する。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るスクロール圧縮機について説明する。本実施形態の基本的な構成、動作および特徴は、第1実施形態に係るスクロール圧縮機と同一であるので、第1実施形態との相違点を主に説明する。第1実施形態と同一の構造および機能を有する要素には、同一の参照符号が用いられている。
(1)圧縮機の構成
本実施形態では、クランク軸の下端部に取り付けられるオイルピックアップの構成および動作が、第1実施形態におけるオイルピックアップ81と異なっている。図10は、本実施形態で使用されるオイルピックアップ181の、クランク軸17に取り付けられた状態の断面側面図である。図11は、オイルピックアップ181の上面図である。オイルピックアップ181は、スライド板182と、スペーサ183と、ボトムプレート185とから構成されている。スペーサ183とボトムプレート185とは、バネ184によって接続されている。図12〜14は、それぞれ、スライド板182、スペーサ183およびボトムプレート185の上面図である。ボトムプレート185は、中央部分に貫通孔185aが形成されている。
オイルピックアップ181は、図11に示されるように、スライド板182およびスペーサ183が、クランク軸17の下端面と、ボトムプレート185との間に挟まれている構成を有している。ボトムプレート185は、クランク軸17に固定されている。スペーサ183は、ボトムプレート185に固定されている。スライド板182は、クランク軸17の径方向に移動可能に配置されている。スライド板182は、クランク軸17の軸回転によって、径方向外側へ向かう遠心力を受ける。スライド板182とスペーサ183とによって挟まれた部分は、オイルピックアップ181の給油口181aである。図15は、スライド板182がクランク軸17の回転軸Xに最も近づいた状態におけるオイルピックアップ181の上面図である。図16は、スライド板182がクランク軸17の回転軸Xから最も遠ざかった状態におけるオイルピックアップ181の上面図である。
図15および図16に示されるように、給油口181aの開口径は、スライド板182の位置によって変化する。具体的には、給油口181aの開口径は、スライド板182がクランク軸17の径方向最も内側に位置している図15に示される場合に最小となり、スライド板182がクランク軸17の径方向最も外側に位置している図16に示される場合に最大となる。そして、クランク軸17の径方向に沿ったスライド板182の移動は、スペーサ183およびボトムプレート185によって制限されている。すなわち、スペーサ183およびボトムプレート185は、第1実施形態におけるスライド板82に設けられる最小径ストッパ83aおよび最大径ストッパ83bと同様に、給油口181aの開口径の最小値および最大値を定める。
また、オイルピックアップ181では、スライド板182の径方向外側の端面と、ボトムプレート185の内壁面とが、バネ184によって連結されている。バネ184は、スライド板182を、クランク軸17の径方向内側に向かって押すことで、給油口181aの開口径を減少させる弾性力を生じさせる。第1実施形態と同様に、給油口181aの開口径が最小となっている図15で示される状態においても、スライド板182には、給油口181aの開口径を減少させるバネ184による予荷重が作用している。
(2)圧縮機の特徴
(2−1)
以下に説明するように、本実施形態のオイルピックアップ181は、第1実施形態におけるオイルピックアップ81と同様の動作および効果を有する。
本実施形態では、オイルピックアップ181を構成するスライド板182およびボトムプレート185は、バネ184によって連結されている。バネ184の弾性力は、スライド板182とスペーサ183とを互いに近づける方向、すなわち、オイルピックアップ181の給油口181aの開口径を減少させる方向に作用する。また、スペーサ183は、給油口181aの開口径が減少する方向へのスライド板182の移動を制限する。
本実施形態では、図9に示されるスクロール圧縮機101の低速運転域において、バネ184による予荷重が、クランク軸17の軸回転によってスライド板182にかかる遠心力に打ち勝っている。これにより、低速運転域において、給油口181aの開口径は、図15に示されるように、最小値を有するまま増加しない。これにより、低速運転域においてもポンプヘッドが過剰に抑制されることがないので、オイルピックアップ181は、給油余力を維持したい低速運転域において、適正な給油余力を維持することができる。
従って、本実施形態では、スクロール圧縮機101の低速運転域において、給油能力を適切に維持することができ、圧縮機構15等の摺動部に潤滑油が十分に供給されないことに起因する摺動部の焼き付き等を抑制することができる。
(2−2)
本実施形態では、オイルピックアップ181を構成するスライド板182およびボトムプレート185は、バネ184によって連結されている。バネ184の弾性力は、スライド板182とスペーサ183とを互いに近づける方向、すなわち、オイルピックアップ181の給油口181aの開口径を減少させる方向に作用する。
本実施形態では、図9に示されるスクロール圧縮機101の低速運転域から中速運転域に移行する際に、クランク軸17の軸回転によってスライド板182にかかる遠心力が、バネ184による予荷重に打ち勝つ。そのため、遠心力が予荷重を上回るスクロール圧縮機101の中速運転域では、クランク軸17の回転数の上昇に応じて、スライド板182が遠心力によって径方向外側に移動するので、給油口181aの開口径は増加する。そして、クランク軸17の回転数の増加に伴って給油口181aの開口径が増加するほど、スライド板182には、遠心力に抗して給油口181aの開口径を減少させようとするバネ184の弾性力が作用する。そのため、バネ184による荷重によって、給油口181aの開口径は、急激に増加することなく徐々に増加するので、図9に示されるように、オイルピックアップ181の給油能力が過剰になることが抑制される。
従って、本実施形態では、スクロール圧縮機101の中速運転域において、油貯留部Pに貯留される潤滑油が不足することに起因する油上がりが抑制される。
(2−3)
本実施形態では、オイルピックアップ181を構成するスライド板182は、バネ184およびボトムプレート185によって、給油口181aの開口径が増加する方向への移動が止められる。スライド板182がクランク軸17の径方向最も外側に位置している図16で示される状態では、クランク軸17の回転数が増加しても、スライド板182の移動が防止されているので、給油口181aの開口径はこれ以上増加しない。すなわち、バネ184およびボトムプレート185によって、給油口181aの開口径は、所定の最大値を有する。
本実施形態では、図9に示されるように、スクロール圧縮機101の高速運転域において、ボトムプレート185によって、給油口181aの開口径が開き過ぎて必要以上に大きくなることが防止される。そのため、給油余力を維持したい高速運転域において、給油口181aの開口径が主給油路61の径よりも大きくなりオイルピックアップ181のポンプヘッドがゼロになって給油能力が失われてしまうことが防止される。
従って、本実施形態では、スクロール圧縮機101の高速運転域において、給油能力を適切に維持することができ、圧縮機構15等の摺動部に潤滑油が十分に供給されないことに起因する摺動部の焼き付き等が抑制される。
<変形例>
(1)変形例A
本実施形態では、圧縮機として、固定スクロール部品24と旋回スクロール部品26とから構成される圧縮機構15を備えるスクロール圧縮機101が用いられているが、他のタイプの圧縮機構を備える圧縮機が用いられてもよい。例えば、ロータリー式の圧縮機やレシプロ式の圧縮機が用いられてもよい。
(2)変形例B
第1実施形態では、オイルピックアップ81は、6枚のスライド板82から構成されているが、例えば、4枚のスライド板82から構成されてもよく、または、8枚のスライド板82から構成されてもよい。スライド板82の枚数は、クランク軸17の寸法および組み立てコスト等を考慮して適宜に決定することができる。
(3)変形例C
第1実施形態では、スライド板82を相互に接続するためにバネ84が用いられ、第2実施形態では、スペーサ183とボトムプレート185とを接続するためにバネ184が用いられているが、バネ84およびバネ184の代わりに、他の種類の弾性部材が用いられてもよい。
本発明に係る圧縮機の給油機構は、給油不足による摺動部の損傷を防ぎ、かつ、過剰給油による油上がりを効果的に抑えることができる。
81 オイルピックアップ(圧縮機の給油機構)
81a 給油口
82 スライド板(移動部材、板部材)
83a 最小径ストッパ
83b 最大径ストッパ
84 バネ(押圧部材、弾性部材)
181 オイルピックアップ(圧縮機の給油機構)
181a 給油口
182 スライド板(移動部材、スライド部材)
183 スペーサ(非可動部材)
184 バネ(押圧部材、弾性部材)
実開昭60−107386号公報

Claims (6)

  1. 遠心ポンプ作用により給油口(81a,181a)から油を吸い上げる圧縮機の給油機構であって、
    遠心力によって移動することで、前記給油口の開口径を変える移動部材(82,182)と、
    前記給油口の開口径が第1所定値を下回らないように、前記移動部材の移動を第1所定位置で止める最小径ストッパ(83a)と、
    遠心力の作用方向に抗する予荷重を前記移動部材に与える押圧部材(84,184)と、
    を備える、圧縮機の給油機構(81,181)。
  2. 前記給油口の開口径が第2所定値を超えないように、前記移動部材の移動を第2所定位置で止める最大径ストッパ(83b)をさらに備える、
    請求項1に記載の圧縮機の給油機構。
  3. 前記移動部材は、一部が互いに重なり合う複数の板部材(82)である、
    請求項1または2に記載の圧縮機の給油機構。
  4. 前記押圧部材は、前記板部材同士を連結する弾性部材(84)である、
    請求項3に記載の圧縮機の給油機構。
  5. 前記給油口の一部を形成する非可動部材(183)をさらに備え、
    前記移動部材は、前記非可動部材と共に前記給油口を形成し、かつ、スライドすることで前記給油口の開口径を変えるスライド部材(182)である、
    請求項1または2に記載の圧縮機の給油機構。
  6. 前記押圧部材は、前記非可動部材と前記スライド部材とを連結する弾性部材(184)である、
    請求項5に記載の圧縮機の給油機構。
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