JP2013163702A - インクジェット用浸透剤、インクジェット記録用インク組成物および記録装置 - Google Patents

インクジェット用浸透剤、インクジェット記録用インク組成物および記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】トータルVOCを低減しつつ、普通紙や専用光沢紙に良好な画像を記録することを可能とするインクジェット用浸透剤、およびそれを含有するインクジェット記録用インク組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係るインクジェット用浸透剤は、下記一般式(2)で表されるアルコールに酸化プロピレンおよび酸化エチレンを順次ブロック重合させることにより得られる下記一般式(1)で表される化合物を含むインクジェット用浸透剤であって、前記アルコールの含有量が1質量%以下である。
2x+1−O−(PO)−(EO)−H ・・・・・(1)
(式(1)中、xは5〜10の整数を表し、yは0〜7の整数を表し、zは3〜10の整数を表す。POはプロピレンオキシ基を表し、EOはエチレンオキシ基を表す。)
2x+1−OH ・・・・・(2)
(式(2)中、xは5〜10の整数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット用浸透剤、インクジェット記録用インク組成物および記録装置に関する。
近年、インクジェット記録用ヘッドのノズルから吐出させた微小なインク滴によって、普通紙、光沢紙等の記録媒体上に画像や文字を記録するインクジェット記録方法が普及している。特に安価であり、また入手が容易である普通紙(例えば、PPC用紙、印刷用非塗工紙など)に対して高画質な印刷を高速に行うことが望まれているが、普通紙印刷において水性インクを使用した場合には印刷後のカール、コックリングが大きな課題となっていた。また、写真画質を目的とした専用光沢紙印刷において水性インクを使用した場合には、得られる画像の粒状感、光沢感、さらには擦過性が劣る傾向があった。
このような課題を解決するための手段としては、例えば1,2−アルカンジオール、グリコールエーテル類等の水溶性有機溶剤を水性インクに添加する技術が提案されている(特許文献1参照)。かかる技術によれば、普通紙に印刷したときのカール特性に優れるだけでなく、主ドットと共に複数のサテライトドットを吐出させることができるため、専用光沢紙に印刷した際に良好な粒状感、光沢感、および耐擦過性を有する画像を記録することができる。
特開2007−153975号公報
ところで、近年人の健康への影響が懸念される揮発性有機化合物(VOC(volatile organic compounds))の排出を抑制するための様々な対策が講じられている。VOCとは、揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物の総称である。従来から水性インクに添加されている1,2−ヘキサンジオールやトリエチレングリコールモノブチルエーテル等もVOCに含まれるため、これらの水溶性有機溶剤に取って代わる材料の開発が求められている。しかしながら、水性インクのトータルVOCを低減しつつ、上記の特許文献1に記載されている水性インクと同等の性能を得ることは非常に困難であった。
一方、上記の特許文献1に記載されている1,2−アルカンジオールやグリコールエーテル類等が添加された水性インクは、インクジェットヘッドを構成する部材を変質または変形させる等のアタック性を有することがあった。そのため、長期間の使用により、インクジェットヘッドの信頼性が損なわれて、良好な画像を記録できなくなることがあった。
本発明に係る態様の一つは、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、トータルVOCを低減しつつ、普通紙や専用光沢紙に良好な画像を記録することを可能とするインクジェット用浸透剤、およびそれを含有するインクジェット記録用インク組成物を提供する。
また、本発明に係る態様の一つは、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、長期間の使用によってもインクジェット記録用ヘッドの信頼性が損なわれないインクジェット記録用インク組成物、およびそれを備えた記録装置を提供する。
本発明は、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット用浸透剤の一態様は、
下記一般式(2)で表されるアルコールに酸化プロピレンおよび酸化エチレンを順次ブロック重合させることにより得られる下記一般式(1)で表される化合物を含むインクジェット用浸透剤であって、前記アルコールの含有量が1質量%以下である。
2x+1−O−(PO)−(EO)−H ・・・・・(1)
(式(1)中、xは5〜10の整数を表し、yは0〜7の整数を表し、zは3〜10の整数を表す。POはプロピレンオキシ基を表し、EOはエチレンオキシ基を表す。)
2x+1−OH ・・・・・(2)
(式(2)中、xは5〜10の整数を表す。)
適用例1のインクジェット用浸透剤をインク組成物に添加することにより、従来から水性インクに添加されている1,2−ヘキサンジオールやトリエチレングリコールモノブチルエーテルを添加することなく、普通紙におけるインクの浸透性や、専用光沢紙に記録した画像の光沢性を向上させることができる。適用例1のインクジェット用浸透剤は、揮発性有機化合物(VOC)には該当しないので、これをインク組成物に添加することでトータルVOCを大幅に低減させることができる。また、適用例1のインクジェット用浸透剤は、インクジェットヘッドを構成する部材を変質または変形させる等のアタック性を有しないので、長期間の使用によりインクジェットヘッドの信頼性が損なわれることがない。
[適用例2]
適用例1のインクジェット用浸透剤において、前記ブロック重合が塩基性触媒存在下で行われることができる。
[適用例3]
本発明に係るインクジェット記録用インク組成物の一態様は、
下記一般式(2)で表されるアルコールに酸化プロピレンおよび酸化エチレンを順次ブロック重合させることにより得られる下記一般式(1)で表される化合物を含むインクジェット用浸透剤を含有し、前記アルコールの含有量が0.5質量%以下である。
2x+1−O−(PO)−(EO)−H ・・・・・(1)
(式(1)中、xは5〜10の整数を表し、yは0〜7の整数を表し、zは3〜10の整数を表す。POはプロピレンオキシ基を表し、EOはエチレンオキシ基を表す。)
2x+1−OH ・・・・・(2)
(式(2)中、xは5〜10の整数を表す。)
[適用例4]
適用例3のインクジェット記録用インク組成物において、前記インクジェット用浸透剤の含有量が0.5質量%以上5質量%以下であることができる。
[適用例5]
適用例3または適用例4のインクジェット記録用インク組成物において、標準沸点240℃以下の揮発性有機溶剤の含有量が0.1質量%以下であることができる。
[適用例6]
適用例3ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット記録用インク組成物において、さらに、アニオン系界面活性剤を含有することができる。
[適用例7]
適用例3ないし適用例6のいずれか一例のインクジェット記録用インク組成物において、顔料を除いた場合における曇点が50℃以上であることができる。
[適用例8]
適用例3ないし適用例7のいずれか一例のインクジェット記録用インク組成物は、エポキシ系接着剤、変性ポリフェニレンエーテルおよびエラストマーから選択される少なくとも1種を材料として用いたインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置に用いられることができる。
[適用例9]
本発明に係る記録装置の一態様は、
適用例3ないし適用例8のいずれか一例のインクジェット記録用インク組成物を備えることを特徴とする。
[適用例10]
適用例9の記録装置において、1時間当たりのVOCの総量が5mg/h未満であることができる。
実施例で使用したインクジェット用浸透剤(b)の分子量分布を表すグラフ。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.インクジェット用浸透剤
本実施の形態に係るインクジェット用浸透剤は、下記一般式(2)で表されるアルコールに酸化プロピレンおよび酸化エチレンを順次ブロック重合させることにより得られる下記一般式(1)で表される化合物を含むインクジェット用浸透剤であって、前記アルコールの含有量が1質量%以下である。
2x+1−O−(PO)−(EO)−H ・・・・・(1)
(式(1)中、xは5〜10の整数を表し、yは0〜7の整数を表し、zは3〜10の整数を表す。POはプロピレンオキシ基を表し、EOはエチレンオキシ基を表す。)
2x+1−OH ・・・・・(2)
(式(2)中、xは5〜10の整数を表す。)
上記一般式(1)において、POはプロピレンオキシ基(−CHCHCHO−または−CH(CH)CHO−)を表し、EOはエチレンオキシ基(−CHCHO−)を表す。このPOおよびEOは式(1)で表される化合物中において、式(1)で示される順序でそれぞれブロックとして存在する。
上記一般式(1)において、xは5〜10の整数であり、6〜10が好ましく、6〜9がより好ましく、8〜9が特に好ましい。xが前記範囲未満であると、普通紙への浸透性を向上させる効果が低くなりやすい。一方、xが前記範囲を超えると、粘度が高くなるため、インクジェット記録用インク組成物に添加し得る量が制限される。インクジェット記録用インク組成物の粘度が高すぎると、インクジェットヘッドから吐出させることが困難となるからである。その結果、インクジェット記録用インク組成物の普通紙への浸透性が向上しないことがある。
上記一般式(1)および上記一般式(2)において、C2x+1−で表される炭化水素基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、分岐鎖であることが好ましい。分岐鎖とすることにより、上記一般式(1)で表される化合物の沸点が上昇するため、揮発性有機化合物(VOC)になり難くなる傾向がある。また、良好な浸透性を有するインクジェット記録用インク組成物が得られやすく、良好な品質の画像を記録することができる。
上記一般式(1)で表される化合物は、上記一般式(2)で表されるアルコールを出発原料として、塩基性触媒存在下で、酸化プロピレンを目標モル量添加してブロックを形成させた後、さらに酸化エチレンを目標モル量添加してブロックを形成させることによって得られる。すなわち、上記一般式(1)において、yおよびzは、それぞれ酸化プロピレンおよび酸化エチレンの仕込みモル量から導き出される数となる。このようにして得られる化合物は、yおよびzをそれぞれの仕込みモル量から導き出される数とした上記一般式(1)で表される化合物を含む分子量分布をもった混合物となる。
ここで、塩基性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
さらに、得られた混合物から原料の上記一般式(2)で表されるアルコール(以下、「原料アルコール」ともいう)を除去するために、減圧留去することが好ましい。原料アルコールが完全に反応に寄与している場合には減圧留去する必要はないが、通常未反応の原料アルコールが残留するため減圧留去することが望ましい。例えば先行技術の一つである米国特許第6830612号明細書では、原料アルコールを除く処理を全くしておらず、本願発明の好ましい例には該当しない。一方、本願発明は、上述のようにすることで、原料アルコールの含有量が1質量%以下となる混合物を得ることができる。かかる混合物は、上記一般式(1)で表される化合物が揮発性有機化合物(VOC)に該当しないので、VOC濃度が極めて低くなる点で好ましい。なお、混合物中の原料アルコールの含有量は、VOC濃度を低減させる観点から、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%であることが特に好ましく、0質量%(すなわち残留しないこと)が最も好ましい。
上記一般式(1)において、酸化プロピレンの仕込みモル量から導き出されるyは0〜7の整数であり、0〜5であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。
上記一般式(1)において、酸化エチレンの仕込みモル量から導き出されるzは3〜10の整数であり、3〜7であることが好ましく、3〜5であることがより好ましい。
2.インクジェット記録用インク組成物
以下、本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
2.1.インクジェット用浸透剤
本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物は、上記一般式(1)で表される化合物を含むインクジェット用浸透剤を含有する。上記のインクジェット用浸透剤は、1種単独で用いてもよいが2種以上を混合して用いてもよい。
上記のインクジェット用浸透剤を含有することにより、従来の水性インクに添加し得る1,2−アルカンジオールやグリコールエーテル類等の水溶性有機溶媒を添加することなく、普通紙に印刷した場合には良好な浸透性を有すると共に、専用光沢紙に印刷した場合には良好な粒状感、光沢感、および耐擦過性を有する画像が得られる。これにより、インクジェット記録用インク組成物から揮発性有機化合物(VOC)となる成分を排除することができるので、インクジェット記録用インク組成物のトータルVOCを大幅に低減させることができる。特に、上記一般式(1)におけるxが6〜9である化合物を2種類以上組み合わせて用いると、専用光沢紙に印刷した場合の光沢感が良好となる効果が得られやすい。
なお、インクジェット記録用インク組成物中の原料アルコールの含有量は、VOC濃度を低減させる観点から、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%であることが特に好ましく、0質量%(すなわち残留しないこと)が最も好ましい。
また、上記のインクジェット用浸透剤は、インクジェットヘッドを構成する部材(例えば、エポキシ系接着剤、変性ポリフェニレンエーテル、エラストマー等)を侵食して変質または変形させることがない。そのため、本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物を長期間使用してもインクジェットヘッドの信頼性が損なわれない点で有利である。
上記のインクジェット用浸透剤の含有量は、0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以上2質量%以上であることがより好ましい。インクジェット用浸透剤の含有量が0.5質量%以上であると普通紙に印刷した場合の浸透性や専用光沢紙に印刷した場合の画質が向上し、5質量%以下であると粘度が適正となる。
2.2.アニオン系界面活性剤
本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物には、さらにアニオン系界面活性剤を添加してもよい。アニオン系界面活性剤の添加量は、特に限定されないが、0.01質量%以上0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上0.2質量%以下であることがより好ましい。本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物は、上記のインクジェット用浸透剤を含有するが、加温していくと曇点を境に溶解度が急に低下し、ミセルを形成できなくなり水と相分離して不透明となる。これは、高温になるとポリエーテル鎖と水との水素結合が切れて溶解度が急に低下するためであると考えられる。そこで、アニオン系界面活性剤を上記範囲で添加することにより、インクジェット用浸透剤の水への溶解性を高めて、曇点をより高温へと引き上げることができる。これにより、本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物は、広範な温度範囲において使用可能となると共に、輸送上・保管上の安定性が向上する。
アニオン系界面活性剤としては、例えばアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。カウンターカチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、モノ〜トリアルキルアンモニウム、モノ〜トリエタノールアンモニウム等が挙げられる。
2.3.色材
本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物には、さらに色材を添加してもよい。色材としては、染料、顔料のいずれであってもよい。
染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料等のインクジェット記録に使用可能な各種染料が挙げられる。
顔料としては、特に制限されず、無機顔料、有機顔料を使用することができる。ブラックインク用の無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、ファーネスブラック、ランブブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類が挙げられる。ブラックインク用の有機顔料としては、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の黒色有機顔料が挙げられる。
イエローインク用の顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1(ハンザイエロー)、3(ハンザイエロー10G)、12、13、14、17、24(フラバントロンイエロー)、34、35、37、53、55、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、99、108(アントラピリミジンイエロー)、109、110、113、117(銅錯塩顔料)、120、128、133(キノフタロン)、138、139(イソインドリノン)、147、151、153(ニッケル錯体顔料)、154、155、167、172、180、185、213、国際公開第2011/027842号パンフレットの[化1]に記載の顔料等が挙げられる。
マゼンタインク用の顔料としては、C.l.ピグメントレッド1(パラレッド)、2、3(トルイジンレッド)、5(lTR Red)、7、9、10、11、12、17、30、31、38(ピラゾロンレッド)、42、88(チオインジゴ)、112(ナフトールAS系)、114(ナフトールAS系)、122(ジメチルキナクリドン)、123、144、149、150、166、168(アントアントロンオレンジ)、170(ナフトールAS系)、171、175、176、177、178、179(ベリレンマルーン)、185、187、209(ジクロロキナクリドン)、219、224(ベリレン系)、245(ナフトールAS糸)、又は、C.I.ピグメントバイオレット19(キナクリドン)、23(ジオキサジンバイオレット)、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
シアンインク用の顔料としては、C.l.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、16(無金属フタロシアニン)、18(アルカリブルートナー)、25、60(スレンブルー)、65(ビオラントロン)、66(インジゴ)等が挙げられる。
さらに、マゼンタ、シアン、又はイエローインク以外のカラーインクに用いる有機顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、10(グリーンゴールド)、36、37;C.I.ピグメントブラウン3、5、25、26;あるいはC.I.ピグメントオレンジ1、2、5、7、13、14、15、16、34、36、38等を用いることができる。
また、顔料の平均粒径は、特に限定されないが、30〜120nmの範囲であることが好ましく、30〜100nmの範囲であることがより好ましく、30〜80nmの範囲であることが特に好ましい。平均粒径が30nm以上であれば、普通紙での発色性(OD)が良好となりやすく、120nm以下であると光沢紙の光沢性が良好となりやすい。
顔料は、水性媒体中に分散剤により分散されていてもよい。分散剤の例としては、その分子骨格がスチレン−アクリル酸共重合体樹脂であり、重量平均分子量(以後単に分子量と称す)が1600〜25000かつ酸価が100〜250のものが使用できる。その具体例としては、ジョンソンポリマー株式会社製、ジョンクリル68(分子量10000、酸価195)、ジョンクリル680(分子量3900、酸価215)、ジョンクリル682(分子量1600、酸価235)、ジョンクリル550(分子量7500、酸価200)、ジョンクリル555(分子量5000、酸価200)、ジョンクリル586(分子量3100、酸価105)、ジョンクリル683(分子量7300、酸価150)、B−36(分子量6800、酸価250)等である。
また、顔料として、その表面に官能基が導入され、水性溶媒に単独で分散可能な表面処理カーボンブラックまたは有機顔料を用いても良い。
本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物においては、上記の色材を1種単独で若しくは2種以上組み合わせて使用することができる。
色材の添加量は、特に限定されないが、0.5〜30質量%が好ましく、1.0〜12質量%がより好ましい。0.5質量%以上であると、印字濃度がより適切になり、30質量%以下であると、インクの粘度特性がより適切になり、吐出安定性が向上する。
2.4.水およびその他の成分
本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物において、水は主溶媒である。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射、または過酸化水素等により滅菌した水を用いることにより、インク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物には、さらに水溶性グリコール類を添加してもよい。水溶性グリコール類は、インクのノズル前面での乾燥を抑制する効果がある。このような水溶性グリコール類としては、インク組成物中の揮発性有機化合物(VOC)を排除する観点から、標準沸点が240℃を超える水溶性グリコール類を使用することが好ましい。ここで、標準沸点とは、1atomのときの沸点のことをいう。
このような水溶性グリコール類の具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量600以上のポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらの水溶性グリコール類は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。水溶性グリコール類の添加量は、1〜30質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。
本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物には、さらに糖類を添加してもよい。糖類を添加することでインクがヘッドの先端で乾燥して詰まるという目詰まり現象を回避することができる。
糖類の好ましい例としては、単糖類および多糖類が挙げられ、より具体的にはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の他にアルギン酸およびその塩、シクロデキストリン類、セルロース類等がある。糖類の添加量は、0.05質量%〜30質量%が好ましい。
本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物には、さらに防腐剤、防かび剤を添加してもよい。その例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等が挙げられる。
また、本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物には、必要に応じて、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤を添加してもよい。その例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリン等のアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、4級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウム等)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩、N−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素等の尿素類、アロハネート、メチルアロハネート等のアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩などが挙げられる。
2.5.物性
2.5.1.揮発性有機化合物(VOC)量
本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物は、標準沸点240℃以下の揮発性有機溶剤の含有量が0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、特に好ましくは0質量%である。
上記のインクジェット用浸透剤を含むことにより、従来の水性インクに添加し得る1,2−アルカンジオールやグリコールエーテル類等の水溶性有機溶媒を添加することなく、普通紙に印刷した場合には良好な浸透性を有すると共に、専用光沢紙に印刷した場合には良好な粒状感、光沢感、および耐擦過性を有する画像が得られる。したがって、インクジェット記録用インク組成物から揮発性有機化合物(VOC)となる成分を排除することができるので、インクジェット記録用インク組成物のトータルVOCを大幅に低減させることができる。これにより、本願発明のインクジェット記録用インク組成物を備える記録装置は、トータルVOCを大幅に低減させることができるのである。なお、インクジェット記録用インク組成物を備える記録装置のVOCの総量は、1時間当たり5mg/h未満であることが好ましく、1mg/h未満であることがより好ましい。
2.5.2.曇点
本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物は、顔料を除いた場合における曇点が50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。曇点が50℃以上であると、広範な温度範囲において使用可能となり、また輸送上・保管上の安定性が良好となるため好ましい。
なお、インクジェット記録用インク組成物の曇点は以下のようにして測定することができる。まず、100mLのサンプル瓶に、顔料固形分を除いた組成物30g及び攪拌子を加え、ホットスターラーにて加熱しながら攪拌する。この組成物が白濁したときの温度を測定し、曇点とする。
2.5.3.粘度
本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物の20℃における粘度は、2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上10mPa・s以下であることがより好ましい。この範囲内であれば、インクの吐出安定性を確保することができる。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
2.6.用途
本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法に用いられる。該記録媒体は、加熱してもよいし、非加熱でもよい。記録媒体を加熱することで、付着したインク組成物の液滴の速乾性が向上する場合がある。インク組成物の液滴を吐出する方法としては、例えば電歪素子を用いて電気信号を機械信号に変換して、インクジェットヘッドに蓄えたインクを断続的に吐出して記録媒体表面に文字や記号を記録する方法(ピエゾ方式);インクジェットヘッドに蓄えたインクを吐出部分に極めて近い箇所で急速に加熱し泡を発生させ、その泡による体積膨張で断続的に吐出することで記録媒体表面に文字や記号を記録する方法(バブル方式)等が挙げられる。本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物は、ピエゾ方式に特に好ましく用いられる。
ピエゾ方式で用いられるインクジェットヘッドは、アクチュエータユニットと吐出口ユニットとをエポキシ系接着剤で接着してから、樹脂を射出成形して作られたケースヘッドに接着して構成される。アクチュエータユニットは、連通口の形成された連通プレート、圧力室の形成されたプレート、振動板となるプレート、そしてアクチュエータから構成される。この連通口や圧力室の形成されたプレートは、変性ポリフェニレンエーテル等の材料が使用される。また、吐出口ユニットには、エラストマー等の材料が使用される。
従来の1,2−アルカンジオールやグリコールエーテル類等が添加された水性インク組成物は、インクジェットヘッドを構成する部材(変性ポリフェニレンエーテル、エラストマー、エポキシ系接着剤等)を変質または変形させる等のアタック性を有する場合があった。そのため、長期間の使用により、インクジェットヘッドの信頼性が損なわれて、良好な画像が記録できなくなる場合があった。しかしながら、本実施の形態に係るインクジェット記録用インク組成物は、変性ポリフェニレンエーテル、エポキシ系接着剤、エラストマーに対するアタック性が極めて小さいため、長期間の使用においてもインクジェットヘッドの信頼性が損なわれることがないという利点を有する。
3.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
3.1.インクジェット用浸透剤の合成例
本実施例で使用したインクジェット用浸透剤(以下、単に「浸透剤」ともいう)(a)〜(j)は、下記一般式(2)で表される原料アルコールから合成された下記一般式(1)で表される化合物であり、下記一般式(1)中のx、y、zがそれぞれ下表1に示す値となるものである。これらの浸透剤の合成例を以下に示す。
2x+1−O−(PO)−(EO)−H ・・・・・(1)
2x+1−OH ・・・・・(2)
3.1.1.インクジェット用浸透剤(b)の合成
上記の浸透剤(b)は、4−メチル−2−ペンタノールを出発原料として、塩基性触媒(水酸化カリウム)存在下で、酸化プロピレンを2モル当量添加してブロックを形成させた後、酸化エチレンを5モル当量添加してさらにブロックを形成させることによって得た。このようにして得られた化合物は、yおよびzをそれぞれの仕込みモル量とした上記一般式(1)で表される化合物を含む分子量分布をもった混合物となった。次いで、得られた混合物から原料アルコールである4−メチル−2−ペンタノールを減圧留去した。このようにして、4−メチル−2−ペンタノールの含有量が1質量%以下となった浸透剤(b)を得た。このようにして得られた浸透剤(b)の分子量分布は、図1のようになった。なお、図1における横軸は、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのモル数であり、縦軸はインクジェット用浸透剤の総量を100%とした場合における割合である。なお、分子量分布はGC/MS測定装置を用いて測定することが可能である。具体的には、以下のようにして浸透剤(b)の分子量分布を測定した。パイロライザーで300℃まで加熱し、サンプル中の揮発成分を液体窒素で捕集後、下記のGC−MSで測定を行った。次に残渣をパイロライザーで550℃に加熱し、サンプルの熱分解を行った後、GC−MSで測定を行った。揮発性成分と熱分解物の両方の情報を使用し、マススペクトルのフラグメントより浸透剤(b)の構造を同定した。
装置名;GC−MS アジレント社製、GC 6890 MS 5975
カラム;フロンティアラボ社製、製品名「UA−5」、長さ30m、内径250μm、膜厚0.25μm
He流速;1mL/min
3.1.2.インクジェット用浸透剤(a)および(c)〜(j)の合成
上記の浸透剤(a)および(c)〜(j)は、原料アルコール、酸化プロピレンおよび酸化エチレンの仕込みモル量を表1に記載のように変更した以外は、上記の浸透剤(a)と同様にして合成した。なお、浸透剤(g)および(h)では、原料アルコールを減圧留去する操作を行わなかった。
3.2.インク組成物の調製
3.2.1.顔料分散液の調製
本実施例で使用するインク組成物は、色材として水不溶性の顔料(シアン顔料:C.I.ピグメントブルー15:4)を使用した。顔料をインク組成物に添加する際には、あらかじめ該顔料を樹脂分散剤で分散させた顔料分散液を使用した。
顔料分散液は、以下のようにして調製した。まず、30%アンモニア水溶液(中和剤)1.5質量部を溶解させたイオン交換水79質量部に、樹脂分散剤としてスチレン−アクリル酸共重合体(分子量1600、酸価150の共重合体)6質量部を加えて溶解させた。そこに、顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)15質量部を加えてジルコニアビーズによるボールミルにて10時間分散処理を行なった。その後、遠心分離機による遠心濾過を行って粗大粒子やゴミ等の不純物を除去し、顔料濃度が15質量%となるように調整した。
3.2.2.インク組成物の調製
上記で調製された顔料分散液を用いて、表2〜表3に示す材料組成にて組成の異なるシアンインク組成物を調製した。各インク組成物は、表2〜表3に示す材料を容器中に入れ、マグネチックスターラーにて2時間混合撹拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターにて濾過してゴミや粗大粒子等の不純物を除去することにより調製した。なお、表2〜表3中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水はインク全量が100質量%となるように添加した。
なお、表2〜表3中において、下記の略号を使用した。
・アニオン系界面活性剤A:ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、(東邦化学工業株式会社製、商品名「フォスファノール RS−610」)
・アニオン系界面活性剤B:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(花王株式会社製 商品名「エマール20C」)
・1,2−HD:1,2−ヘキサンジオール
・BYK−348:シリコン系界面活性剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名、ポリエーテル変性シロキサン)
・E1010:アセチレンジオール系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、商品名「オルフィンE1010」)
・TEG:テトラエチレングリコール
・TMP:トリメチロールプロパン
・TEA:トリエタノールアミン
3.3.インク組成物の評価
3.3.1.浸透性評価
記録媒体としては、上質普通紙(セイコーエプソン株式会社製、型番「KA4250NP」)を使用した。インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、製品名「EM−930C」)に上記のインク組成物のいずれかを充填して、常温・常圧下にて上質普通紙の表面に印刷した。この場合における印刷モードは、普通紙、推奨設定(きれい)モードであった。そして、印刷物を自然乾燥させてから、滲みの状態を目視によって以下の基準により評価した。その評価結果を表2〜表3に併せて示す。
A:滲みの無い、良好な画像が得られた。
B:滲みが僅かに生じた。
C:ヒゲ状の滲みが発生していた。
3.3.2.光沢性評価
記録媒体としては、専用光沢紙(セイコーエプソン株式会社製、商品名「PM写真用紙」)を使用した。インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、製品名「EM−930C」)に上記のインク組成物のいずれかを充填して、常温・常圧下にて専用光沢紙の表面に720×720dpiの解像度でベタ印刷した。入射角60°のおける記録面の光沢度をグロスチェッカー(株式会社堀場製作所製、製品名「IG−320」)にて測定を行い、各記録紙ごとに5回の平均を採った光沢度の値を評価の対象とした。評価基準は、以下の通りである。その評価結果を表2〜表3に併せて示す。
A:光沢度が60以上である。
B:光沢度が30以上60未満の範囲にある。
C:光沢度が30以下である。
3.3.3.保管安定性評価
表2〜表3に記載のインク組成物から顔料固形分を除いた組成物の曇点を測定することにより、保管安定性の評価を行った。該組成物の曇点は、以下のようにして測定した。100mLのサンプル瓶に、顔料固形分を除いた組成物30g及び攪拌子を加え、ホットスターラーにて加熱しながら攪拌した。この組成物が白濁したときの温度を目視により測定し、その温度を曇点とした。評価基準は、以下の通りである。その評価結果を表2〜表3に併せて示す。
A:曇点が60℃以上である。
B:曇点が50℃以上60℃未満の範囲にある。
C:曇点が50℃未満である。
3.3.4.揮発性有機化合物(VOC)発生量の測定
インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、製品名「PX−H6000」)に上記のインク組成物のいずれかを充填して、そのインクジェットプリンターをステンレス製の金属容器の中に入れて密封した。金属容器内の空気をポンプで10分間循環し、その際、循環空気を吸着管へ通すことによって、吸着管にVOCを捕集した。この吸着管を加熱し、VOC成分脱離させて、ガスクロマトグラフィーにより揮発性有機化合物(VOC)を定量した。評価基準は、以下の通り1時間あたりの放散量で表す。その評価結果を表2〜表3に併せて示す。
A:インク組成物(記録装置)のトータルVOCが1mg/h未満である。
B:インク組成物(記録装置)のトータルVOCが1mg/h以上5mg/h未満の範囲にある。
C:インク組成物(記録装置)のトータルVOCが5mg/h以上である。
3.4.評価結果
実施例1〜実施例19の結果によれば、上記一般式(1)で表される化合物を含有する浸透剤を含むインク組成物を用いることにより、普通紙における浸透性、専用光沢紙に記録された画像の光沢性に優れることが示された。また、VOCの発生量が極めて低減されたインク組成物を得ることができた。
また、実施例1〜実施例10、実施例16〜実施例19の結果によれば、上記一般式(1)で表される化合物を含有する浸透剤とアニオン系界面活性剤とを併用することにより、インク組成物の曇点が高くなり、保管安定性が向上することが示された。
比較例1〜比較例2の結果によれば、原料アルコールの含有量が1%を超える浸透剤を用いることにより、VOCの発生量が増大する傾向が見られた。
比較例3の結果によれば、従来のインク組成物はVOCの発生量が明らかに高いことが判明した。
比較例4の結果によれば、上記一般式(1)中のxが4であることにより、浸透性がやや低下すると共に、光沢性、保管安定性、VOC発生量の点でも劣ることが判明した。
比較例5の結果によれば、上記一般式(1)中のxが11であることにより、浸透性が著しく低下すると共に、保管安定性の点でも劣ることが判明した。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (10)

  1. 下記一般式(2)で表されるアルコールに酸化プロピレンおよび酸化エチレンを順次ブロック重合させることにより得られる下記一般式(1)で表される化合物を含むインクジェット用浸透剤であって、前記アルコールの含有量が1質量%以下である、インクジェット用浸透剤。
    2x+1−O−(PO)−(EO)−H ・・・・・(1)
    (式(1)中、xは5〜10の整数を表し、yは0〜7の整数を表し、zは3〜10の整数を表す。POはプロピレンオキシ基を表し、EOはエチレンオキシ基を表す。)
    2x+1−OH ・・・・・(2)
    (式(2)中、xは5〜10の整数を表す。)
  2. 前記ブロック重合が塩基性触媒存在下で行われる、請求項1に記載のインクジェット用浸透剤。
  3. 下記一般式(2)で表されるアルコールに酸化プロピレンおよび酸化エチレンを順次ブロック重合させることにより得られる下記一般式(1)で表される化合物を含むインクジェット用浸透剤を含有し、前記アルコールの含有量が0.5質量%以下である、インクジェット記録用インク組成物。
    2x+1−O−(PO)−(EO)−H ・・・・・(1)
    (式(1)中、xは5〜10の整数を表し、yは0〜7の整数を表し、zは3〜10の整数を表す。POはプロピレンオキシ基を表し、EOはエチレンオキシ基を表す。)
    2x+1−OH ・・・・・(2)
    (式(2)中、xは5〜10の整数を表す。)
  4. 前記インクジェット用浸透剤の含有量が0.5質量%以上5質量%以下である、請求項3に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  5. 標準沸点240℃以下の揮発性有機溶剤の含有量が0.1質量%以下である、請求項3または請求項4に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  6. さらに、アニオン系界面活性剤を含有する、請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  7. 顔料を除いた場合における曇点が50℃以上である、請求項3ないし請求項6のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  8. エポキシ系接着剤、変性ポリフェニレンエーテルおよびエラストマーから選択される少なくとも1種を材料として用いたインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置に用いられる、請求項3ないし請求項7のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  9. 請求項3ないし請求項8のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物を備えた、記録装置。
  10. 1時間当たりのVOCの総量が5mg/h未満である、請求項9に記載の記録装置。
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