JP2013161921A - 導電性積層体、及び有機薄型太陽電池素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板上に、厚みが10〜1000nmのバッファ層、及び厚みが1〜50nmの被覆層を順に有する導電性積層体であって、前記バッファ層のみからなる単層の表面抵抗率が1000Ω/□以下であり、且つ、前記被覆層のみからなる単層の表面抵抗率が105〜1010Ω/□であって、前記被覆層の算術平均粗さ(Ra)が3.00nm以下であり、前記導電性積層体の表出している前記被覆層側から測定した該導電性積層体の表面抵抗率が500Ω/□以下である、導電性積層体。
【選択図】図1
Description
このような背景から、有機導電性材料を用いた有機光電変換素子の研究が全世界的に行われており、有機光電変換素子の光電変換効率向上、特に短絡電流密度を向上し得る有機光電変換素子の構造の設計技術が重要である。
例えば、特許文献1には、有機EL素子等の有機デバイスにおける有機薄膜層の形成方法に関する発明が記載されている。特許文献1には、上記問題を解決することを目的として、PEDOTとPSSを含む分散液を3000rpm以上の回転数で遠心分離処理した溶液を用いることが提案されている。
また、特許文献2には、LEDディスプレイの有機層をインクジェット方式で形成するための有機層形成用塗液に関する発明が記載されているが、当該塗液中に高沸点の有機溶媒を配合することで、有機層の表面形状を平坦化することができる旨の開示がある。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[7]を提供するものである。
[1]基板上に、厚みが10〜1000nmのバッファ層、及び厚みが1〜50nmの被覆層を順に有する導電性積層体であって、
前記バッファ層のみからなる単層の表面抵抗率が1000Ω/□以下であり、且つ、前記被覆層のみからなる単層の表面抵抗率が105〜1010Ω/□であって、
前記被覆層の算術平均粗さ(Ra)が3.00nm以下であり、前記導電性積層体の表出している前記被覆層側から測定した該導電性積層体の表面抵抗率が500Ω/□以下である、導電性積層体。
[2]前記バッファ層を形成する材料が、水系導電性ポリマーを含む、上記[1]に記載の導電性積層体。
[3]前記被覆層を形成する材料が、有機溶媒に可溶で水に不溶な硬化型導電性ポリマーを含む、上記[1]又は[2]に記載の導電性積層体。
[4]前記被覆層と前記バッファ層との厚みの比〔被覆層/バッファ層〕が、1/99〜50/50である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の導電性積層体。
[5]前記基板が、電極付き基板である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の導電性積層体。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の導電性積層体を有する、有機光電変換素子。
図1は、本発明の導電性積層体の一態様を示す導電性積層体の断面図である。
図1にあるとおり、本発明の導電性積層体1は、基板11上に、厚みが10〜1000nmのバッファ層12、及び厚みが1〜50nmの被覆層13を順に有する。なお、本発明の導電性積層体は、効果を損なわない範囲において、上記以外の層を有していてもよい。
つまり、本発明の導電性積層体は、基材上に、表面抵抗率が低い、厚み10〜1000nmのバッファ層、さらにその上に、表面抵抗率が高い、厚み1〜50nmの被覆層を設けた構成を有する。
このような構成を有することで、単にバッファ層もしくは被覆層のみを積層した場合に比べて、導電性積層体の表面粗さを小さくすることができ、導電性積層体の表面の平滑性が向上する。また、導電性積層体の表出している被覆層側から測定した該導電性積層体の表面抵抗率(以下、単に「導電性積層体の表面抵抗率」ともいう)を、バッファ層のみからなる単層の場合よりも低下させることができる。
すなわち、導電性積層体の表面の平滑性が向上することで、電極間のリーク電流が減少し、それと共に導電性積層体の表面抵抗率の低下するため、当該導電性積層体を有機光電変換素子に適用した場合に、有機光電変換素子の短絡電流密度が向上すると考えられる。
また、導電性積層体が、基板上に表面抵抗率が高い材料から形成された層のみを積層している場合、形成された層は比較的表面粗さが小さくなる傾向があるが、表面抵抗率が高い点が問題となる。そのため、当該導電性積層体を有機光電変換素子に適用したとしても、有機光電変換素子の短絡電流密度は低下すると考えられる。
[基板]
本発明で用いる基板としては、導電性積層体の用途に応じて適宜選択されるが、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラスを含む無機材料、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等の有機材料から選択され任意の方法で作製されたフィルムや板等が挙げられる。本発明で用いる基板としては、導電性積層体を有機光電変換素子に適用する観点から、透明基板であることが好ましい。
形成される電極の材料としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)、IrO2、In2O3、SnO2、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)、ZnO(Ga、Alドープ)、MoO3等の材料が挙げられる。これらの中でも、透明性、導電性の観点から、ITOが好ましい。なお、電極の形成は、通常、スパッタリング、蒸着等の乾式法で行われるが、ディップコート法、スピンコート法等の湿式法でもよく、限定されるものではない。
基板11の厚みは、特に制限はないが、通常0.1〜10mmである。
基板11の波長550nmにおける可視光線透過率は、導電性積層体を有機光電変換素子に適用する観点から、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上である。
本発明の導電性積層体におけるバッファ層のみからなる単層の表面抵抗率は1000Ω/□以下であり、好ましくは850Ω/□以下、より好ましくは700Ω/□以下、更に好ましくは550Ω/□以下である。当該表面抵抗率が1000Ω/□を超えると、導電性積層体全体の表面抵抗率が高くなり、有機光電変換素子に適用した場合に短絡電流密度が低下するため好ましくない。
なお、「バッファ層のみからなる単層の表面抵抗率」とは、基板上にバッファ層のみを積層した試験サンプルにおいて、該試験サンプルのバッファ層の表面抵抗率を意味し、当該試験サンプルのバッファ層の厚みは、対象としている導電性積層体が有する被覆層の厚みと同じである。
また、表面抵抗率の値は、JIS K7194で規定された四端子法に基づき測定される値であり、より具体的には実施例に記載の方法で測定された値を意味する。
ただし、バッファ層形成材料として、水系導電性ポリマーが含まれていることが好ましい。本発明において、水系導電性ポリマーとは、水溶性の導電性ポリマー又は水分散可能な導電性ポリマーのことを意味する。当該水系導電性ポリマーを含むことで、形成されるバッファ層の表面抵抗率を上記範囲に属するように調整することが容易となる。なお、本発明で用いる水系導電性ポリマーは、親水性であり、コロイド粒子として水分散体となり得るポリマーで、表面抵抗率が上記範囲を満たすものである。
これらの中でも、分散性に優れ、塗膜の形成が容易であり、高透明性、及び導電性に優れるという観点から、ポリチオフェン又はドーピングされたポリチオフェン、ポリアニリン又はドーピングされたポリアニリンが好ましい。
ドーピングされたポリチオフェンとしては、例えば、ポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
また、ドーピングされたポリアニリンとしては、例えば、ポリアニリン/カンファースルホン酸(PANI/CSA)等が挙げられる。
具体的な市販品としては、日本アグフアマテリアルズ社製の「HBS5」、AGFA社の「EL−P3040」等のポリチオフェンの水分散液、日産化学工業(株)のORMECOND1033W等のポリアニリンの水分散液が挙げられる。
本発明の導電性積層体における被覆層のみからなる単層の表面抵抗率は105〜1010Ω/□であり、好ましくは106〜1010Ω/□、より好ましくは107〜1010Ω/□、更に好ましくは108〜1010Ω/□である。
該表面抵抗率が上記範囲内であれば、バッファ層上に被覆層を形成した場合に、導電性積層体の表面抵抗率を、バッファ層のみからなる単層の表面抵抗率よりも低下させることができる。その結果、有機光電変換素子に適用した場合に、短絡電流密度を十分に向上させることができる。
なお、「被覆層のみからなる単層の表面抵抗率」とは、基板上にバッファ層を形成せずに被覆層のみを積層した試験サンプルにおいて、該試験サンプルの被覆層の表面抵抗率を意味し、当該試験サンプルの被覆層の厚みは、対象としている導電性積層体が有する被覆層の厚みと同じである。
ただし、被覆層形成材料として、有機溶媒に可溶で水に不溶な硬化型導電性ポリマーが含まれていることが好ましい。硬化型導電性ポリマーとしては、熱硬化型導電性ポリマー、紫外線硬化型導電性ポリマー等が挙げられる。
このような硬化型導電性ポリマーを被覆層形成材料として含むことで、形成される被覆層の表面抵抗率を上記範囲に属するように調整することが容易となる。
また、有機溶媒に可溶で水に不溶な硬化型導電性ポリマーを被覆層形成材料として含むことで、バッファ層上に被覆層を形成する際に、バッファ層を溶解してしまうことを防止することができ、得られる導電性積層体の表面粗さを小さくすることができる。その結果、有機光電変換素子に適用した場合、電極間のリーク電流が減少するため、効果的に短絡電流密度を向上させることができる。
紫外線硬化型導電性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の有機溶媒に可溶で水に不溶な導電性ポリマーの側鎖に、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和基を有する導電性ポリマー等が挙げられる。この紫外線硬化型導電性ポリマーは、例えば、有機溶媒に可溶で水に不溶な導電性ポリマーのポリマー鎖に、−COOH、−NCO、エポキシ基、−OH、−NH2等の官能基を導入し、この活性点と重合性不飽和基を有する化合物を反応させて得ることができる。
なお、R2、R3が示す炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
また、被覆層とバッファ層との厚みの比〔被覆層/バッファ層〕は、表面粗さを小さくすると共に、導電性積層体の表面抵抗率を低下させる観点から、好ましくは1/99〜50/50、より好ましくは3/97〜30/70、更に好ましくは5/95〜23/77である。
本発明において、導電性積層体の表面粗さは、導電性積層体の被覆層13の算術平均粗さ(Ra)で評価している。算術平均粗さ(Ra)の値は、JIS B 0601:2001の規定に基づき測定される値であり、より具体的には実施例に記載の方法で測定された値を意味する。
被覆層の算出平均粗さ(Ra)は、3.00nm以下であり、好ましくは2.60nm以下、より好ましくは2.30nm以下、更に好ましくは2.00nm以下である。当該被覆層の算出平均粗さ(Ra)が3.00nmを超えると、有機光電変換素子に適用した場合に、電極間でリーク電流が発生し、短絡電流密度を十分に向上させることができない。
次に、本発明の導電性積層体の被覆層上に、さらに光電変換層を有する、有機光電変換素子について説明する。
有機光電変換素子とは、光エネルギー照射によって起電力を発生する素子のことであり、一般的には光エネルギーを電気的なエネルギーに変換する素子で光電変換層に電荷を取り出すための電極を設けたものである。有機光電変換素子としては、有機太陽電池、フォトダイオード等の種々の有機半導体デバイス用途が挙げられる。これらの中でも、本発明の有機光電変換素子の用途としては、有機太陽電池が適している。また、光電変換層とは、有機光電変換素子の中心をなす光電効果を受ける層であり、単層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
図2に示された有機光電変換素子2aは、導電性積層体1の被覆層13上に、光電変換層14及び電極15を順に有する。光電変換層14は、有機光電変換素子の中心をなす光電効果を受ける層である。図2の有機光電変換素子2aの光電変換層14は、p型半導体材料(電子供与性材料)及びn型半導体材料(電子受容性材料)の混合材料から形成された層であり、単層から構成されている。
一方、図3に示された有機光電変換素子2bの光電変換層14は、p型半導体材料からなるp型半導体層14aと、n型半導体材料からなるn型半導体層14bの複数層から構成されている。
光電変換層が複数層の場合には、光電変換層14は、p型半導体材料(電子供与性材料)からなるp型半導体層14aと、n型半導体材料(電子受容性材料)からなるn型半導体層14bからなるp−n接合界面を持つ有機層より構成される。
なお、これらのp型半導体材料及びn型半導体材料は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
一方、陽極電極の材料としては、電子供与性材料のHOMOレベルとエネルギー障壁が小さく、比較的仕事関数が大きなものが好ましく、透明なものがより好ましい。例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、IrO2、In2O3、SnO2、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)、ZnO(Ga、Alドープ)、MoO3等の材料が挙げられる。
電極の形成方法としては、特に制限はされず、例えば、真空蒸着、各種スパッタリング等の方法が挙げられる。
(下記式(1A)で表される化合物(1A)の合成)
得られた反応混合物を、セライトでろ過して固形分を除去した後、減圧濃縮を行った。そして、得られた濃縮物を、シリカゲルカラム(和光純薬製、製品名「C−200」)を用いてカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/n−ヘキサン=1/1)で精製し、上記式(1A)で表される化合物(1A)(有機溶媒に可溶で水に不溶なポリチオフェン骨格を有する硬化型導電性ポリマー)を0.9624g(収率67%)得た。
1H−NMR(500MHz、TMS内部標準、ppm表示、溶媒:重クロロホルム中、25℃);7.03(2H,d)、6.99(4H,br)、6.67(2H,d)、6.09(1H,d)、5.55(1H,d)、4.14(2H,t)、2.80(4H,br)、1.95(3H,t)、1.68(6H,br)、1.42〜1.30(10H,br)、0.90(3H,t)。質量分析(EI−MS);m/Z=584(M+)。
(化合物(1A)含有塗布液の調整)
製造例1で合成した上記式(1A)で表される化合物(1A)を、クロロベンゼン(シグマアルドリッチ製)に溶解し、濃度1質量%の溶液を調製した。当該溶液に、光開始剤として、2,2−ジメトキシ−1,2ジフェニルエタン−1−オン(長瀬産業製、製品名「イルガキュア651」)を、化合物(1A)100質量部に対して、1質量部添加して、化合物(1A)含有塗布液を調製した。なお、得られた塗布液は、室温、暗所で保管した。
(1)導電性積層体の作製
以下の手順で、図1に示す構成を有する導電性積層体を作製した。
透明電極付き基板11として、UV−オゾンクリーナー「UV253E」(製品名、フィルジェン株式会社製)により洗浄処理を行ったITOガラス基板(ガラス基板に、透明電極としてスズドープ酸化インジウム膜を形成したもの)を使用した。このITOガラス基板上に、PEDOT/PSS(日本アグフアマテリアルズ製、商品名「HBS5」、水系導電性ポリマー、表1及び2では「水系導電性ポリマー1」と記す)の水分散液(固形分濃度:2.0質量%)を用いて、乾燥後の厚みが110nmとなるように塗布し塗膜を形成し、加熱乾燥して該塗膜を硬化させ、厚み110nmのバッファ層12を基板11上に形成した。
そして、このバッファ層12上に、硬化型導電性ポリマー(日産化学工業製、有機溶媒に可溶で水に不溶なポリアニリン骨格を有する熱硬化型導電性ポリマー、表1及び2では「硬化型導電性ポリマー1」と記す)の溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド、固形分濃度:1.0質量%)を用いて、乾燥後の厚みが25nmとなるように塗布し塗膜を形成し、加熱乾燥して該塗膜を硬化させ、厚み25nmの被覆層13をバッファ層12上に形成し、導電性積層体1を作製した。
以下の手順で、図2に示す構成を有する有機光電変換素子を作製した。
p型半導体材料として、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)(Merck社製、製品名「SP001」)69mg、n型半導体材料として、フェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM)(フロンティアカーボン社製)51mgを用い、脱水クロロベンゼン(3.0ml)に溶解させ、真性半導体層である光電変換層形成用の塗布液を調製した。
そして、乾燥窒素で置換したグローブボックス中で、上述の導電性積層体の被覆層上に、調整した塗布液を乾燥後の厚みが150nmとなるように、被覆層13上に塗布し塗膜を形成し、ホットプレートにより150℃で10分間加熱乾燥して該塗膜を硬化させ、厚み150nmの光電変換層14を形成した。
次いで、該積層体を大気に曝すことなく真空蒸着機(ALSテクノロジー社製)に移し、真空度3×10-4Pa以下で、光電変換層14上に、電極15としてアルミニウム層(厚さ100nm、面積0.55cm2)を真空蒸着により積層し、有機光電変換素子を作製した。
被覆層の厚みを10nmとした以外は、実施例1と同様の方法で導電性積層体及び有機光電変換素子を作製した。
ドーピングされたポリアニリン(日産化学工業製、商品名「D1033W」、水系導電性ポリマー、表1及び2では「水系導電性ポリマー2」と記す)の水分散液(固形分濃度:2.5質量%)を用いて、厚み110nmのバッファ層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で導電性積層体及び有機光電変換素子を作製した。
製造例2で調製した、化合物(1A)含有塗布液(溶媒:クロロベンゼン、固形分濃度:1.0質量%)を用いて、乾燥後の厚みが25nmとなるように塗布し塗膜を形成し、大気中120℃で加熱乾燥後、キセノンランプ光を大気中で5分間照射し、光重合して、該塗膜を硬化させて、有機溶媒に可溶で水に不溶なポリチオフェン骨格を有する硬化型導電性ポリマー(表1及び2では「硬化型導電性ポリマー2」と記す)からなる厚み25nmの被覆層をバッファ層上に形成した以外は、実施例1と同様の方法で導電性積層体及び有機光電変換素子を作製した。
被覆層を形成せず、PEDOT/PSS(エイチ・シー・スタルク製、商品名「Clevios P AI4083」、水系導電性ポリマー、表1及び2では「水系導電性ポリマー3」と記す)の水分散液(固形分濃度:1.0質量%)を用いて、厚み40nmのバッファ層を基板上に形成した以外は、実施例1と同様の方法で、被覆層が形成されていない導電性積層体及び有機光電変換素子を作製した。
被覆層を形成せず、PEDOT/PSS(日本アグフアマテリアルズ製、商品名「HBS5」、水系導電性ポリマー(水系導電性ポリマー1))の水分散液(固形分濃度:2.0質量%)を用いて、厚み110nmのバッファ層を基板上に形成した以外は、実施例1と同様の方法で、被覆層が形成されていない導電性積層体及び有機光電変換素子を作製した。
被覆層を形成せず、硬化型導電性ポリマー(日産化学工業製、有機溶媒に可溶で水に不溶なポリアニリン骨格を有する熱硬化型導電性ポリマー(硬化型導電性ポリマー1))の溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド、固形分濃度:1.0質量%)を用いて、厚み25nmのバッファ層を基板上に形成した以外は、実施例1と同様の方法で、被覆層が形成されていない導電性積層体及び有機光電変換素子を作製した。
被覆層を形成せず、ドーピングされたポリアニリン(日産化学工業製、製品名「D1033W」、水系導電性ポリマー(水系導電性ポリマー2))の水分散液(固形分濃度:2.5質量%)を用いて、厚み110nmのバッファ層を基板上に形成した以外は、実施例1と同様の方法で、被覆層が形成されていない導電性積層体及び有機光電変換素子を作製した。
被覆層を形成せず、製造例2で調整した、化合物(1A)含有塗工液(溶媒:クロロベンゼン、固形分濃度:1.0質量%)を用いて、乾燥後の厚みが25nmとなるように塗布し塗膜を形成し、大気中120℃で加熱乾燥後、キセノンランプ光を大気中で5分間照射し、光重合して、該塗膜を硬化させ、有機溶媒に可溶で水に不溶なポリチオフェン骨格を有する硬化型導電性ポリマー(硬化型導電性ポリマー2)からなる厚み25nmのバッファ層を基板上に形成した以外は、実施例1と同様の方法で、被覆層が形成されていない導電性積層体及び有機光電変換素子を作製した。
PEDOT/PSS(エイチ・シー・スタルク製、商品名「Clevios P AI4083」、水系導電性ポリマー(水系導電性ポリマー3))の水分散液(固形分濃度:1.0質量%)を用いて、厚み70nmの被覆層をバッファ層上に形成した以外は、実施例1と同様の方法で導電性積層体及び有機光電変換素子を作製した。
PEDOT/PSS(エイチ・シー・スタルク製、商品名「Clevios P AI4083」、水系導電性ポリマー(水系導電性ポリマー3))の水分散液(固形分濃度:1.0質量%)を用いて、厚み40nmの被覆層をバッファ層上に形成した以外は、実施例1と同様の方法で導電性積層体及び有機光電変換素子を作製した。
硬化型導電性ポリマー(日産化学工業製、有機溶剤に可溶で水に不溶なポリアニリン骨格を有する熱硬化型導電性ポリマー(硬化型導電性ポリマー1))の溶液(溶媒:ジメチルアセトアミド、固形分濃度:1.0質量%)を用いて、厚み25nmのバッファ層を基板上に形成し、PEDOT/PSS(日本アグフアマテリアルズ製、商品名「HBS5」、水系導電性ポリマー(水系導電性ポリマー1))の水分散液(固形分濃度:2.0質量%)を用いて、厚み110nmの被覆層をバッファ層上に形成した以外は、実施例1と同様の方法で導電性積層体及び有機光電変換素子を作製した。
PEDOT/PSS(エイチ・シー・スタルク製、商品名「Clevios P AI4083」、水系導電性ポリマー(水系導電性ポリマー3))の水分散液(固形分濃度:1.0質量%)を用いて、厚み40nmのバッファ層を基板上に形成し、PEDOT/PSS(日本アグフアマテリアルズ製、商品名「HBS5」、水系導電性ポリマー(水系導電性ポリマー1))の水分散液(固形分濃度:2.0質量%)を用いて、厚み110nmの被覆層をバッファ層上に形成した以外は、実施例1と同様の方法で導電性積層体及び有機光電変換素子を作製した。
以下の手順で、図3に示す構成を有する有機光電変換素子を作製した。
実施例1で作製した導電性積層体の被覆層上に、蒸着機(ALSテクノロジー社製)により、p型半導体材料として、銅フタロシアニン(東京化成製、商品名「P1005」)60nm、n型半導体材料として、C60フラーレン(フロンティアカーボン製、商品名「Nanom Purple SU」)60nmを用い、この順で蒸着し、p型半導体層14a及びn型半導体層14bからなる光電変換層14を形成した。さらに、ブロッキング層16(バソクプロイン(Lumitec製))を10nm、電極15として、銀を100nm積層し、有機光電変換素子を作製した。
実施例3で作製した導電性積層体の被覆層上に、実施例5と同様の方法にて、光電変換層、ブロッキング層、及び電極を順に形成し、有機光電変換素子を作製した。
実施例4で作製した導電性積層体の被覆層上に、実施例5と同様の方法にて、光電変換層、ブロッキング層、及び電極を順に形成し、有機光電変換素子を作製した。
比較例1で作製した導電性積層体のバッファ層上に、実施例5と同様の方法にて、光電変換層、ブロッキング層、及び電極を順に形成し、有機光電変換素子を作製した。
比較例2で作製した導電性積層体のバッファ層上に、実施例5と同様の方法にて、光電変換層、ブロッキング層、及び電極を順に形成し、有機光電変換素子を作製した。
比較例3で作製した導電性積層体のバッファ層上に、実施例5と同様の方法にて、光電変換層、ブロッキング層、及び電極を順に形成し、有機光電変換素子を作製した。
比較例4で作製した導電性積層体のバッファ層上に、実施例5と同様の方法にて、光電変換層、ブロッキング層、及び電極を順に形成し、有機光電変換素子を作製した。
比較例5で作製した導電性積層体のバッファ層上に、実施例5と同様の方法にて、光電変換層、ブロッキング層、及び電極を順に形成し、有機光電変換素子を作製した。
透明電極付き基板として、実施例1で用いたITOガラス基板を使用し、このITOガラス基板上に、実施例5と同様の方法にて、光電変換層、ブロッキング層、及び電極を順に形成し、バッファ層及び被覆層が形成されていない有機光電変換素子を作製した。
段差計「Dektak150」(製品名、日本ビーコ社製)を用いて測定した。
バッファ層、被覆層、及び導電性積層体の表面抵抗率の値は、下記の試験サンプルを作製し、JIS K7194で規定された四端子法に基づき、抵抗率計「ロレスタGP MCP−T600」(製品名、三菱化学社製)を用いて測定した。
なお、比較例15は、基板のみであるため、この表面抵抗率の測定は行っていない。また、比較例1〜5及び10〜15の導電性積層体は、被覆層を有していないため、被覆層の表面抵抗率の測定をしておらず、バッファ層の試験サンプルと導電性積層体の試験サンプルは同一のものであるため、バッファ層と導電性積層体の表面抵抗率の値は同じである。
(バッファ層の試験サンプル)
厚さ50μmのPETフィルム(東洋紡社製、製品名「PET−A4300」)上に、下記の各実施例及び比較例に記載の形成方法に従い、同じ材料を用いて、同じ膜厚となるように、バッファ層のみからなる単層を形成し、試験サンプルを作製した。
(被覆層の試験サンプル)
厚さ50μmのPETフィルム(東洋紡社製、製品名「PET−A4300」)上に、下記の各実施例及び比較例に記載の被覆層の形成方法に従い、同じ材料を用いて、同じ膜厚となるように、被覆層のみからなる単層を形成し、試験サンプルを作製した。
(導電性積層体の試験サンプル)
厚さ50μmのPETフィルム(東洋紡社製、製品名「PET−A4300」)上に、下記の各実施例及び比較例に記載の形成方法に従い、同じ材料を用いて、同じ膜厚となるように、バッファ層、及び該バッファ層上に被覆層を形成し、試験サンプルを作製した。
作製した導電性積層体の表出している被覆層(被覆層が形成されていない導電性積層体については、バッファ層)の算術平均粗さ(Ra)を、JIS B 0601:2001の規定に基づき、走査型プローブ顕微鏡「SPI3800N」(製品名、セイコーインスツル製)を用いて測定した。
作製した有機光電変換素子について、ソーラーシミュレータ(ワコム電創社製、製品名「WXS−50S−1.5」)、及び電圧−電流発生器(ADC社製、製品名「R6243」)を用いて測定した。なお、作製した有機光電変換素子の有効面積は、いずれも0.055cm2であった。
一方、本発明の実施例に比べ、比較例の導電性積層体を用いた有機光電変換素子は、いずれも短絡電流密度が十分に向上していないことがわかる。なお、比較例6、7及び9の導電性積層体は、被覆層形成材料として水系導電性ポリマーを用いて被覆層を形成したため、該被覆層を形成の際に、同じく水系導電性ポリマーから形成されたバッファ層が溶解したため、表面層の算術平均粗さ(Ra)が大きくなってしまい、結果として短絡電流密度が十分に向上しなかったと考えられる。
2a、2b 有機光電変換素子
11 基板(透明電極付き基板)
12 バッファ層
13 被覆層
14 光電変換層
14a p型半導体層
14b n型半導体層
15 電極
16 ブロッキング層
Claims (6)
- 基板上に、厚みが10〜1000nmのバッファ層、及び厚みが1〜50nmの被覆層を順に有する導電性積層体であって、
前記バッファ層のみからなる単層の表面抵抗率が1000Ω/□以下であり、且つ、前記被覆層のみからなる単層の表面抵抗率が105〜1010Ω/□であって、
前記被覆層の算術平均粗さ(Ra)が3.00nm以下であり、前記導電性積層体の表出している前記被覆層側から測定した該導電性積層体の表面抵抗率が500Ω/□以下である、導電性積層体。 - 前記バッファ層を形成する材料が、水系導電性ポリマーを含む、請求項1に記載の導電性積層体。
- 前記被覆層を形成する材料が、有機溶媒に可溶で水に不溶な硬化型導電性ポリマーを含む、請求項1又は2に記載の導電性積層体。
- 前記被覆層と前記バッファ層との厚みの比〔被覆層/バッファ層〕が、1/99〜50/50である、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性積層体。
- 前記基板が、電極付き基板である、請求項1〜4のいずれかに記載の導電性積層体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の導電性積層体を有する、有機光電変換素子。
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