JP2013161763A - ブレーカー - Google Patents

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Abstract

【課題】2次電池等の保護装置として使用されるブレーカーにおいて、安定した温度追従性と抵抗値を確保しつつ、小型化を実現する。
【解決手段】可動片4は、ケース7の外側に突出される端子41と、ケース7に収容され、可動接点3を固定接点21に押圧するための弾性力を発生する弾性部43と、端子41と弾性部43との間に形成された段曲げ部46を有し、段曲げ部46を含む領域で、ケース7によって固定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気機器の2次電池等に内蔵される小型のブレーカーに関するものである。
従来、各種電気機器の2次電池やモーター等の保護装置としてブレーカーが使用されている(図9及び図10参照)。ブレーカーは、充放電中の2次電池の温度が過度に上昇した場合、又は自動車、家電製品等の機器に装備されるモーター等に過電流が流れた場合等の異常が生じた際に、2次電池やモーター等を保護するために電流を遮断する。このような保護装置として用いられるブレーカーは、機器の安全を確保するために、温度変化に追従して正確に動作することと、通電時の抵抗値が安定していることが求められる。
また、ブレーカーが、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型携帯情報端末機器及びスマートフォンと称される薄型の多機能携帯電話機等の電気機器に装備される2次電池等の保護装置として用いられる場合、上述した安全性の確保に加えて、小型化が要求される。特に、近年の携帯情報端末機器にあっては、ユーザの小型化(薄型化)の志向が強く、各社から新規に発売される機器は、デザイン上の優位性を確保するために、小型に設計される傾向が顕著である。こうした背景の下、携帯情報端末機器を構成する一部品として、2次電池と共に実装されるブレーカーもまた、さらなる小型化が強く要求されている。
ブレーカーには、温度変化に応じて動作し、電流を導通又は遮断する熱応動素子が備えられている。特許文献1には、熱応動素子としてバイメタルを適用したブレーカーが示されている。バイメタルとは、熱膨張率の異なる2種類の板状の金属材料が積層されてなり、温度変化に応じて形状を変えることにより、接点の導通状態を制御する素子である。同文献に示されたブレーカーは、固定片(ベースターミナル)、可動片(可動アーム)、熱応動素子、PTCサーミスター等の部品が、樹脂ケースに収容されてなり、固定片及び可動片の端子が電気機器の電気回路に接続されて使用される。可動片には、第2弾性部において、貫通孔が形成され、第2弾性部の弾性係数が適正化される。また、貫通孔には突起が挿通され、その頂部が蓋部材の裏面と接合され、ケースの強度が高められる。
WO2011−105175号公報
小型化が図られたブレーカーにおいて、安定した温度追従性と抵抗値(固定接点と可動接点との接触抵抗)を確保するためには、固定片に設けられた固定接点と可動片の先端に設けられた可動接点との相対的な位置関係や姿勢を安定させる必要がある。特許文献1に示された構成のブレーカーにおいては、可動片がケースによって固定される部位(固定部)より外側の端子側に第1弾性部よりも弾性係数の低い第2弾性部を形成することにより、可動片の端子に加えられた外力や衝撃を第2弾性部によって吸収し、可動接点の位置を適正に維持する構成が示されている。しかしながら、固定部及びケースの剛性が不足すると、可動片の端子に加えられた外力や衝撃の一部が固定部及びケースを介して第1弾性部に伝達され、固定接点と可動接点との相対的な位置関係が不安定になる。このような固定部の剛性不足に起因する問題は、ケース及び可動片の小型化(特に薄肉化)を図ろうとした場合に顕著となる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、安定した温度追従性と抵抗値を確保しつつ、小型化を実現できるブレーカーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のブレーカーは、固定接点を有する固定片と、先端部に可動接点を有し、前記可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、温度変化に伴って変形することにより前記可動接点が前記固定接点から離反するように前記可動片を作動させる熱応動素子と、前記固定片、可動片及び熱応動素子を収容する第1ケースと、前記第1ケースに装着される第2ケースを備えたブレーカーにおいて、前記可動片は、前記第1ケース及び前記第2ケースの外側に突出される端子と、前記第1ケースに収容され、前記可動接点を前記固定接点に押圧するための弾性力を発生する第1弾性部と、前記端子と前記第1弾性部との間に形成され、少なくとも一部が前記第1ケースに収容される曲げ補強部を有し、前記曲げ補強部を含む領域又は前記曲げ補強部に隣接する領域で、前記第1ケースと前記第2ケースによって挟まれて固定されているものである。
この発明において、前記曲げ補強部と前記端子との間に形成され、前記曲げ補強部及び前記端子よりも弾性係数の低い第2弾性部を有することが好ましい。
この発明において、前記曲げ補強部の弾性係数が、前記端子の弾性係数よりも高いことが好ましい。
この発明において、前記曲げ補強部は、前記第1弾性部と前記第2弾性部とを前記可動片の厚み方向に段違いに配設する段曲げ部であることが好ましい。
また、本発明の電気機器用の安全回路は、前記ブレーカーを備えたことを特徴とする。
また、本発明の2次電池パックは、前記ブレーカーを備えたことを特徴とする。
本発明のブレーカーによれば、可動片は、端子と第1弾性部との間に曲げ補強部を有しているので、ケース自体の剛性に頼ることなく、また可動片の厚み寸法に頼ることなく、当該領域の剛性を高めることができる。また、可動片は、この剛性の高い曲げ補強部を含む領域又は曲げ補強部に隣接する領域で、第1ケースと第2ケースによって挟まれて固定されているので、可動片がケースに対して安定した姿勢で固定される。また、曲げ補強部の少なくとも一部がケースの内部に収容されるので、ブレーカーの小型化を図ることができる。その結果、固定接点と可動接点との相対的な位置関係も安定し、安定した温度追従性と抵抗値を確保しつつ、ブレーカーの小型化を図ることができる。
また、曲げ補強部及び端子よりも弾性係数の低い第2弾性部を、曲げ補強部と端子との間に有する形態によれば、ブレーカーの製造、搬送又は2次電池パックへの組み込み工程において、端子に加えられることのある外力や衝撃を第2弾性部によって吸収し、可動接点の位置や姿勢を適正に維持することができる。
また、曲げ補強部の弾性係数が、端子の弾性係数よりも高い形態によれば、可動片がケースに対してより一層安定した姿勢で固定され、固定接点と可動接点との相対的な位置関係もさらに安定する。
また、曲げ補強部は、第1弾性部と第2弾性部とを可動片の厚み方向に段違いに配設する段曲げ部である形態によれば、可動片の端子のケース底面からの高さの設計自由度が高められる。例えば、固定片に設けられる端子と可動片の端子の高さを容易に合わせることができ、2次電池パックや安全回路を構成する回路基板等へのブレーカーの実装が容易になる。
また、本発明のブレーカーを備えた安全回路又は2次電池パックによれば、ケースに対する可動片の固定姿勢を安定させて、安定した温度追従性と抵抗値を確保しつつ、安全回路又は2次電池パックの小型化を図ることができる。
本発明の一実施形態によるブレーカーの構成を示す組み立て斜視図。 通常の充電又は放電状態におけるブレーカーの動作を示す断面図。 過充電状態又は異常時などにおけるブレーカーの動作を示す断面図。 樹脂ベースに可動片が組み込まれる様子を示す斜視図。 樹脂ベースにカバー部材が組み込まれる様子を示す断面図。 (a)は可動片の構成を示す斜視図、(b)は外力等によって可動片が撓む様子を示す斜視図、(c)は外力等によって可動片が捻られる様子を示す斜視図。 可動片の変形例を示す斜視図。 可動片の別の変形例を示す斜視図。 本発明のブレーカーを備えた2次電池パックの構成を示す平面図。 本発明のブレーカーを備えた安全回路の回路図。
本発明の一実施形態によるブレーカーについて図面を参照して説明する。図1乃至図3はブレーカーの構成を示す。ブレーカー1は、固定接点21を有する固定片2と、先端部に可動接点3を有する可動片4と、温度変化に伴って変形する熱応動素子5と、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスター6と、固定片2、可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6を収容するケース7等によって構成されている。ケース7は、樹脂ベース71と樹脂ベース71の上面に装着されるカバー部材72等によって構成されている。
固定片2は、リン青銅を主成分とする金属板(この他、銅−チタン合金、洋白、黄銅などの金属板)をプレス加工することにより形成され、樹脂ベース71にインサート成形により埋め込まれている。固定片2の一端には外部と電気的に接続される端子22が形成され、他端部の近傍にはPTCサーミスター6が載置されている。PTCサーミスター6は、固定片2の他端部の近傍に3箇所形成された凸状のダボ(小突起)の上に載置される。固定接点21は、銀、ニッケル、ニッケル−銀合金の他、銅−銀合金、金−銀合金などの導電性の良い材料のクラッド、メッキ又は塗布等により可動接点3に対向する位置に形成され、樹脂ベース71の上方に形成されている開口73bから露出されている。端子22は樹脂ベース71の一端から外側に突出されている。
可動片4は、固定片2と同等の板状の金属材料をプレス加工することにより、長手方向の中心線に対して対称なアーム状に形成されている。可動片4の材料としては、リン青銅を主成分とするものが好ましい。この他、銅−チタン合金、洋白、黄銅などの導電性弾性材料を用いてもよい。可動片4の長手方向の一端には外部回路と電気的に接続される端子41が形成されて樹脂ベース71から外側に突出される。可動片4の他端(アーム状の可動片4の先端に相当)には可動接点3が形成されている。可動接点3は、固定接点21と同等の材料によって形成され、溶接等の手法によって可動片4の先端部に接合されている。なお、本出願においては、可動片4において、可動接点3が接合されている面(すなわち図1において下側の面)を裏(うら)面、その反対側の面を表(おもて)面として説明している。可動片4は、可動接点3と端子41の間に、固定部42(アーム状の可動片4の基端に相当)、弾性部(第1弾性部)43を有している。可動片4は、固定部42を介して端子41から弾性部43に亘って一体的に形成されている。このような可動片4の一体的な構造によって、可動片4を構成する部品点数が削減され、可動片4を製造し樹脂ベース71に組み込む際の工数が削減される。その結果、ブレーカー1の製造コストの低減を図ることができる。固定部42において樹脂ベース71とカバー部材72によって裏表両面側から挟み込まれて可動片4が固定され、弾性部43が弾性変形することにより、その先端に形成されている可動接点3が固定接点21の側に押圧されて接触し、固定片2と可動片4とが通電可能となる。
可動片4は、弾性部43において、プレス加工により湾曲又は屈曲されている。湾曲又は屈曲の度合いは、熱応動素子5を収容できる限り特に限定はなく、動作温度及び復帰温度における弾性力、接点の押圧力などを考慮して適宜設定すればよい。また、弾性部43の下面には、熱応動素子5に対向して一対の小突起44が形成されている。小突起44と熱応動素子5とは接触して、小突起44を介して熱応動素子5の変形が弾性部43に伝達される(図2及び図3参照)。
また、可動片4には、可動片4の厚み方向に貫通し、樹脂ベース71の突起74aが挿通される貫通穴45と、クランク状に形成された段曲げ部46(曲げ補強部)と、段曲げ部46に形成された斜面47と、樹脂ベース71の位置決め部75と係合される一対の係合部48と、可動片4の長手方向に対して垂直な短手方向に可動片4の一部が切除されたくびれ部(第2弾性部)49が形成されている。貫通穴45、段曲げ部46、斜面47、係合部48及びくびれ部49は、弾性部43を挟んで可動接点3とは反対側、すなわち弾性部43に対して端子41の側に設けられている。貫通穴45は、可動片4の長手方向の中心線上に設けられている。斜面47は、可動片4の方向に沿って連続して形成されている。係合部48は、可動片4の短手方向に沿って2箇所に設けられている。
貫通穴45は、可動片4の固定部42に形成されている。固定部42は、弾性部43に対して可動片4の短手方向に幅広に形成されている。これにより、固定部42における可動片4の長手方向に垂直な断面積が、弾性部43における該断面積に対して大きい箇所となる。また、貫通穴45は、平面視で(可動片4の厚み方向に視て)可動片4の短手方向に長い長円形状に形成されている。なお、貫通穴45の形状は任意であって、例えば、可動片4の長手方向に長い長円形状であってもよく、また、楕円形状や真円形状であってもよい。
段曲げ部46によって、樹脂ベース71の底面を基準とした固定片2の端子22及び可動片4の端子41の高さを揃えることができる。これにより、端子22及び端子41とそれぞれ接続される端子の高さを揃えることができ、2次電池パックや安全回路を構成する回路基板等へのブレーカー1の実装が容易になる。また、本実施形態において、段曲げ部46は、全体がケース7に収容されるが、ケース7のさらなる小型化を図りたい場合は、少なくとも一部がケース7に収容される形態であってもよい。一部であっても段曲げ部46を構成する屈曲部分又は湾曲部分がケース7に収容されることにより、ブレーカー1全体の小形化を図ることができるからである。また、段曲げ部46を含む領域の固定部42は、その裏表両面及び両側面において、樹脂ベース71及びカバー部材72と溶着される。この固定部42に段曲げ部46を形成することにより、上記固定部42の裏表両面及び両側面における樹脂ベース71及びカバー部材72との接触面積(溶着面積)が増大する。これにより、固定部42と樹脂ベース71及びカバー部材72とが強固に接合されることになり、ケース7の強度・剛性が高められる。
係合部48は、くびれ部49の端子41側の端縁にて形成される。くびれ部49は、固定部42を挟んで弾性部43とは反対側で、固定部42と端子41の間に配設されている。くびれ部49の幅寸法(可動片4の短手方向の長さ寸法、以下同様)は、弾性部43の幅寸法に対して同等以下に設定されているのが望ましいが、少なくとも固定部42及び端子41の幅寸法よりも小さく設定されていればよい。くびれ部49の弾性係数が、少なくとも固定部42及び端子41の弾性係数よりも小さく設定されていることが望ましく、さらには弾性部43の弾性係数に対して同等以下に設定されているのがより望ましいからである。本実施形態におけるくびれ部49は、第2弾性部として機能して、端子41に加えられた外力や衝撃を吸収し、可動接点3の位置を適正に維持する。第2弾性部は、くびれ部49のように可動片4の幅寸法を局所的に小さくする形態の他、例えば、可動片4の厚み寸法を局所的に小さくする形態、貫通穴を設ける形態等のように、可動片4の短手方向の断面積を局所的に小さくする手法等により、その弾性係数が固定部42及び端子41の弾性係数よりも小さく、かつ弾性部43の弾性係数に対して同等以下になるように形成されていてもよい。
熱応動素子5は円弧状に湾曲した初期形状をなし、バイメタル、トリメタルなどの複合材料からなる。過熱により動作温度に達すると湾曲形状はスナップモーションを伴って逆反りし、冷却により復帰温度を下回ると復元する。熱応動素子5の初期形状は、プレス加工により形成することができる。所期の温度で熱応動素子5の逆反り動作により可動片4の弾性部43が押し上げられ、かつ弾性部43の弾性力により元に戻る限り、熱応動素子5の材質及び形状は特に限定されるものでないが、生産性及び逆反り動作の効率性の観点から矩形が望ましく、小型でありながら弾性部43を効率的に押し上げるために正方形に近い長方形であるのが望ましい。なお、熱応動素子5の材料としては、例えば、高膨脹側に銅−ニッケル−マンガン合金又はニッケル−クロム−鉄合金、低膨脹側に鉄−ニッケル合金をはじめとする、洋白、黄銅、ステンレスなど各種の合金からなる熱膨張率の異なる2種類の材料を積層したものが、所要条件に応じて組み合わせて使用される。
熱応動素子5の逆反り動作により固定片2と可動片4との通電が遮断されたとき、PTCサーミスター6に流れる電流が増大する。PTCサーミスター6は、温度上昇と共に抵抗値が増大して電流を制限する正特性サーミスターであれば、動作電流、動作電圧、動作温度、復帰温度などの必要に応じて種類を選択でき、その形状はこれらの諸特性を損なわない限り特に限定されるものではない。
ケース7を構成する樹脂ベース71及びカバー部材72は、難燃性のポリアミド、耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの樹脂により成形されているが、同等の特性が得られる材料であれば、特に限定されない。樹脂ベース71には、熱応動素子5及びPTCサーミスター6などを収容するための収容部73及び可動片4を収容するための開口73a,73bなどが形成されている。なお、樹脂ベース71に組み込まれた熱応動素子5及びPTCサーミスター6の端縁は、収容部73の内部に形成されている枠によってそれぞれ当接され、熱応動素子5の逆反り時に案内される。
また、樹脂ベース71は、可動片4の貫通穴45に挿通される突起74aと、可動片4を位置決めするための一対の位置決め部75を有する。突起74aは、貫通穴45に対応し、平面視で長円形状に形成され、樹脂ベース71を補強する。突起74aの高さすなわち突出量は、可動片4の厚みより大きく設定され、カバー部材72の裏面には、突起74aの頂部が嵌合される凹部が必要に応じて設けられる。位置決め部75は、可動片4の長手方向に対して垂直な方向に沿って2箇所に設けられている。本実施形態では、樹脂ベース71の側壁の一部が可動片4のくびれ部49に対応する形状に形成され、位置決め部75を構成する。すなわち、位置決め部75は、くびれ部49の近傍において切除された部分に介在し、樹脂ベース71を補強する。
カバー部材72は、その内壁面から可動片4の段曲げ部46に対応する形状に突出する段部77と、段部77に形成された斜面78(図5参照)とを有する。斜面78は、可動片4の斜面47に対応し、可動片4の長手方向に対して垂直な方向に沿って連続して形成されている。
カバー部材72には、カバー片8がインサート成形によって埋め込まれている。カバー片8は、上述したリン青銅を主成分とする金属板又はステンレス等の金属板をプレス加工することにより形成される。カバー片8は、図2及び図3に示すように、可動片4の上面と適宜当接し、可動片4の動きを規制すると共に、カバー部材72のひいては筐体としてのケース7の剛性・強度を高める。
図1に示すように、固定片2、可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6等を収容した樹脂ベース71の収容部73を塞ぐように、カバー部材72が、樹脂ベース71の上面に装着される。樹脂ベース71とカバー部材72とは、例えば超音波溶着によって接合される。
図2は、通常の充電又は放電状態におけるブレーカー1の動作を示している。通常の充電又は放電状態においては、熱応動素子5は初期形状を維持し(逆反り前であり)、固定接点21と可動接点3は接触し、可動片4の弾性部43などを通じてブレーカー1の両端子22、41間は導通している。可動片4の弾性部43と熱応動素子5とは接触しており、可動片4、熱応動素子5、PTCサーミスター6及び固定片2は、回路として導通している。しかし、PTCサーミスター6の抵抗は、可動片4の抵抗に比べて圧倒的に大きいため、PTCサーミスター6を流れる電流は、固定接点21及び可動接点3を流れる量に比して実質的に無視できる程度である。
図3は、過充電状態又は異常時などにおけるブレーカー1の動作を示している。過充電又は異常により高温状態となると、PTCサーミスター6が過熱され、動作温度に達した熱応動素子5は逆反りし、可動片4の弾性部43が押し上げられて固定接点21と可動接点3とが離反する。このとき、固定接点21と可動接点3の間を流れていた電流は遮断され、僅かな漏れ電流が熱応動素子5及びPTCサーミスター6を通して流れることとなる。PTCサーミスター6は、このような漏れ電流の流れる限り発熱を続け、熱応動素子5を逆反り状態に維持させつつ抵抗値を激増させるので、電流は固定接点21と可動接点3の間の経路を流れず、上述の僅かな漏れ電流のみが存在する(自己保持回路を構成する)。この漏れ電流は安全装置の他の機能に充てることができる。
過充電状態を解除し、又は異常状態を解消すると、PTCサーミスター6の発熱も収まり、熱応動素子5は復帰温度に戻り、元の初期形状に復元する。そして、可動片4の弾性部43の弾性力によって可動接点3と固定接点21とは再び接触し、回路は遮断状態を解かれ、図2に示す導通状態に復帰する。
図4は、樹脂ベース71に可動片4が組み込まれる様子を示す。可動片4は、樹脂ベース71の開口73a,73bに案内されて樹脂ベース71に組み込まれる。このとき、可動片4に形成されている貫通穴45に樹脂ベース71の突起74aが挿通される。これにより、可動片4が突起74aによって案内されるので、樹脂ベース71に対する可動片4の仮の位置合わせがなされる。また、貫通穴45に突起74aが挿通されることに加え、一対の係合部48と一対の位置決め部75との係合により、樹脂ベース71に対する可動片4の回転が規制され、仮の位置合わせが容易に行われる。
この仮の位置合わせの段階では、樹脂ベース71に対する可動片4の位置合わせが正確になされている必要はない。また、可動片4は、後の工程で最終的な位置合わせができるように、樹脂ベース71の上に載置された状態であり、固定されてはいない。なお、樹脂ベース71の開口73a,73b及び突起74aの位置、形状、寸法等は、仮の位置合わせがなされた位置から完全に位置決めされる定位置まで可動片4を案内し易くなるように、可動片4の対応する箇所と相似形に形成されている。
図4に示すように可動片4が樹脂ベース71に組み込まれた後、樹脂ベース71にカバー部材72が装着される。カバー部材72は、可動片4の段曲げ部46にカバー部材72の段部77を押し当てることで可動片4を位置合わせしながら、樹脂ベース71に装着される。
図5は、樹脂ベース71にカバー部材72が完全に装着される際に、カバー部材72によって可動片4が樹脂ベース71とカバー部材72に挟まれた状態で押される様子を示す。樹脂ベース71にカバー部材72が装着される最中に、カバー部材72が樹脂ベース71の方向(図中白抜き矢印方向)に押圧されると、可動片4の斜面47とカバー部材72の斜面78とが当接する。斜面47及び斜面78は、可動片4の長手方向に対して垂直な方向に沿って連続して形成されているので、なおもカバー部材72が樹脂ベース71の方向に押圧されると、可動片4の斜面47はカバー部材72の斜面78によって可動片4の長手方向に押される(付勢される)。その結果、斜面78,47によって力の方向が変換され、可動片4の全体が長手方向すなわち固定片2の存在する矢印A方向に押されて移動し、係合部48が位置決め部75と当接して係合する。これにより、図5において突起74a等によって仮の位置合わせがなされていた可動片4は、樹脂ベース71に対して正確に位置決めされる。すなわち、樹脂ベース71に対して可動片4が組み込まれる際に生じている仮の位置合わせ時の誤差は軽減され、樹脂ベース71に対する可動片4の位置決め誤差を、実質的に樹脂ベース71の位置決め部75と可動片4の係合部48の製造時における寸法誤差程度に留めることができる。
なお、可動片4の係合部48から可動接点3の接触箇所(図1及び図2参照)までの距離と、樹脂ベース71の位置決め部75から固定接点21の接触箇所(図1及び図2参照)までの距離は平面視で等しく設定されている。そのため、可動片4が正確に位置決めされると、可動接点3と固定接点21とが適正な接触箇所で接触する。これにより、通電時における両者間の接触抵抗が適正化される。
本実施形態においては、係合部48及び位置決め部75が可動片4の短手方向に沿って、それぞれ一対設けられる。さらに、一対の係合部48及び一対の位置決め部75は、可動片4の短手方向において斜面47、斜面78を挟んで外側の部分に位置しているので、可動片4の回転による樹脂ベース71とのずれを抑制できる。また、これにより、可動片4の先端部と樹脂ベース71の開口73bとのクリアランスを小さく設定しても、可動片4の先端部と樹脂ベース71との干渉を防止できるので、樹脂ベース71のさらなる小型化を図ることができる。
樹脂ベース71にカバー部材72が完全に装着されると、樹脂ベース71又はカバー部材72のいずれか一方又は両方に超音波振動が付与され、樹脂ベース71とカバー部材72が溶着される。このとき、樹脂ベース71の突起74aの先端がカバー部材72内壁面と当接し、超音波溶着によって接合される。これに伴い、可動片4が、貫通穴45の周辺すなわち固定部42において、樹脂ベース71及びカバー部材72によって上下方向から強固に接合される。これにより、可動片4が、樹脂ベース71に対して定位置(あるべき位置)で固定される。なお、カバー部材72が樹脂ベース71に溶着され、可動片4が固定された後も、斜面47と斜面78とは当接状態を維持し、可動片4は、矢印A方向に押され続ける。また、これに伴い、位置決め部75と係合部48とは係合状態を維持し、樹脂ベース71に対する可動片4の位置及び姿勢は、正常に維持され続ける。
上述した超音波溶着によって、樹脂ベース71の周縁部と共に、補強部として機能する突起74aの頂部及び位置決め部75の頂部が、カバー部材72の裏面(下面)に接合される。これにより、固定部42の中央近傍において、補強部である突起74aとカバー部材72が直接的に接合されるので、ケース7の剛性を効率よく高めることができる。また、補強部である位置決め部75が、平面視でくびれ部49の近傍の切除された部分においてカバー部材72と直接的に接合されるので、くびれ部49の近傍においてケース7の剛性を効率よく高めることができる。
図6は、可動片4の構成を示す。弾性部43とくびれ部49とを可動片4の厚み方向に段違いに配設するようにクランク状に形成された段曲げ部46は、曲げ補強部として機能し、可動片4の固定部42及びその近傍領域の曲げ剛性及び捻り剛性を強化する。また、くびれ部49は、周辺が可動片4の短手方向に切除されていることにより、端子41及び段曲げ部46よりも弾性係数が低い第2弾性部として機能し、端子41に加えられた外力や衝撃(以下、外力等)を吸収し、可動接点3の位置を適正に維持する。
例えば、図6(b)において破線で示すように、可動片4を撓ませる外力等が端子41に加えられたとき、その外力等はくびれ部49によって吸収される。このとき、段曲げ部46がクランク状に形成されていることにより、端子41、くびれ部49及び弾性部43よりも曲げ弾性係数が高く、段曲げ部46を含む固定部42が実質的に変形することはない。また、本実施形態においては、段曲げ部46を含む領域である固定部42において、樹脂ベース71及びカバー部材72によって可動片4が裏表両面から挟み込まれて強固に固定されている。このため、端子41に加えられた外力等が弾性部43に伝達されることがなく、弾性部43の先端に形成されている可動接点3の位置や姿勢が適正に維持される。
同様に、図6(c)において破線で示すように、可動片4を捻る外力等が端子41に加えられたとき、その外力等はくびれ部49によって吸収される。この場合も、段曲げ部46がクランク状に形成されていることにより、端子41、くびれ部49及び弾性部43よりも捻り弾性係数が高く、段曲げ部46を含む固定部42が実質的に変形することはない。従って図6(b)に示した場合と同様に、端子41に加えられた外力等が弾性部43に伝達されることがなく、弾性部43の先端に形成されている可動接点3の位置や姿勢が適正に維持される。
以上のように、本実施形態のブレーカー1によれば、可動片4は、端子41と弾性部43との間に曲げ補強部に相当する段曲げ部46等を有しているので、ケース7自体の剛性に頼ることなく(すなわち、樹脂ベース71及びカバー部材72の肉厚に頼ることなく)、また可動片4の厚み寸法に頼ることなく、当該領域の剛性を高めることができる。また、可動片4は、この剛性の高い段曲げ部46を含む領域である固定部42において又は段曲げ部46等に隣接する領域において、樹脂ベース71とカバー部材72によって挟まれて固定されているので、可動片4がケース7に対して安定した姿勢で固定される。また、段曲げ部46がケース7の内部に収容されるので、ブレーカー1の小型化を図ることができる。その結果、固定接点21と可動接点3との相対的な位置関係も安定し、安定した温度追従性と抵抗値を確保しつつ、ブレーカー1の小型化を図ることができる。
また、段曲げ部46及び端子41よりも弾性係数の低いくびれ部49を、第2弾性部として段曲げ部46と端子41との間に有するので、ブレーカー1の製造、搬送又は2次電池パックへの組み込み工程において、端子41に加えられることのある外力等をくびれ部49によって吸収し、可動接点3の位置や姿勢を適正に維持することができる。
また、段曲げ部46の弾性係数が、端子41の弾性係数よりも高いので、可動片4がケース7に対してより一層安定した姿勢で固定され、固定接点21と可動接点3との相対的な位置関係もさらに安定する。
また、曲げ補強部として弾性部43とくびれ部49とを可動片4の厚み方向に段違いに配設する段曲げ部46を有するので、可動片4の端子41のケース底面からの高さの設計自由度が高められる。例えば、固定片2に設けられる端子22と可動片4の端子41の高さを容易に合わせることができ、2次電池パックや安全回路を構成する回路基板等へのブレーカーの実装が容易になる。
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくとも可動片4が、ケース7の外側に突出される端子41と、ケース7に収容され、可動接点3を固定接点21に押圧するための弾性力を発生する弾性部43と、端子41と弾性部43との間に形成され一部又は全体がケース7に収容される曲げ補強部を有し、曲げ補強部を含む領域又は曲げ補強部に隣接する領域で、ケース7を構成する2点以上の部品によって挟まれて固定されていればよい。ここで、ケース7に収容される曲げ補強部の一部とは、斜面47の一部のみならずクランク状に屈曲されている屈曲部分(折り目部)又は湾曲されている湾曲部分(スロープ領域)も含まれる。
図7及び図8は、可動片4の変形例を示す。図7(a)は、固定部42に対して弾性部43の側に、弾性部43とくびれ部49とを段違いに配設する段曲げ部46aが形成されている形態を示す。この形態にあっては、曲げ補強部に相当する段曲げ部46aに隣接する領域である固定部42において、可動片4がケース7によって固定される。
図7(b),(c)は、段曲げ部が廃され、弾性部43とくびれ部49とが同一平面状に配設される形態を示す。この形態にあっては、段曲げ部の替わりに曲げ補強部46bが固定部42から端子41の側に、又は曲げ補強部46cが固定部42から可動接点3の側に延出されて屈曲又は湾曲される。
図8(a),(b)は、段曲げ部が廃され、弾性部43とくびれ部49とが同一平面状に配設され、一対の斜面を有する曲げ補強部46d、46eを備えた形態を示す。図8(a)に示す形態では、曲げ補強部46dは固定部42の全幅に亘って形成されている。また、図8(b)に示すように、曲げ補強部46eが固定部42の一部に亘って形成されていてもよい。この変形例では、くびれ部49と同等の幅に亘って曲げ補強部46eが形成されている。
また、いずれの形態においても、曲げ補強部は、固定部42の短手方向の端縁から延出されて屈曲又は湾曲される形態であってもよい。このように曲げ補強部の延出される方向及び屈曲又は湾曲される方向は、任意の方向であってもよく、上述した作用効果を生ずるように可動片4として要求される剛性特性に応じて、適宜設定することができる。また、いずれの形態においても、曲げ補強部は、固定部42から連続的に形成される。可動片4は、固定部42においてケース7によって固定されるので、曲げ補強部を含む領域又は曲げ補強部から連続し隣接する領域でケース7によって固定される。
また、本実施形態では、PTCサーミスター6による自己保持回路を有しているが、このような構成を省いた形態であっても適用可能であり、安定した温度追従性と抵抗値を確保しつつ、ブレーカー1の小型化を図ることができる。また、可動片4をバイメタル又はトリメタル等によって形成することにより、可動片4と熱応動素子5を一体的に形成する構成であってもよい。この場合、ブレーカーの構成が簡素化されて、さらなる小型化を図ることができる。また、ケース7は、樹脂ベース71とカバー部材72等によって構成される形態に限られることなく、2点以上の部品(すなわち第1ケース及び第2ケース等)によって構成される他の形態であってもよい。
また、図6等においては、可動片4は、貫通穴45、斜面47、係合部48及びくびれ部49(図1等参照)の構成を有する形態であるが、これらの構成うちのいずれか又は全てが廃されていてもよい。例えば、貫通穴45を廃する場合は、樹脂ベース71の突起74aも廃される。また、係合部48及びくびれ部49が廃される場合は、可動片4は、固定部42から端子41に亘って等幅に形成され、これに伴い樹脂ベース71の位置決め部75の形状も変更される。
また、特開2005−203277号公報に示されるような、固定部42又はその近傍において、端子41の側と可動接点3の側に構造的に分離されている形態に、本発明を適用してもよい。
1 ブレーカー
2 固定片
3 可動接点
4 可動片
5 熱応動素子
21 固定接点
43 弾性部(第1弾性部)
46 段曲げ部(曲げ補強部)
46a 曲げ補強部
46b 曲げ補強部
46c 曲げ補強部
46d 曲げ補強部
46e 曲げ補強部
49 くびれ部(第2弾性部)
71 樹脂ベース(ケース)
72 カバー部材(ケース)

Claims (6)

  1. 固定接点を有する固定片と、先端部に可動接点を有し、前記可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、温度変化に伴って変形することにより前記可動接点が前記固定接点から離反するように前記可動片を作動させる熱応動素子と、前記固定片、可動片及び熱応動素子を収容する第1ケースと、前記第1ケースに装着される第2ケースを備えたブレーカーにおいて、
    前記可動片は、
    前記第1ケース及び前記第2ケースの外側に突出される端子と、前記第1ケースに収容され、前記可動接点を前記固定接点に押圧するための弾性力を発生する第1弾性部と、前記端子と前記第1弾性部との間に形成され、少なくとも一部が前記第1ケースに収容される曲げ補強部を有し、
    前記曲げ補強部を含む領域又は前記曲げ補強部に隣接する領域で、前記第1ケースと前記第2ケースによって挟まれて固定されていることを特徴とするブレーカー。
  2. 前記曲げ補強部と前記端子との間に形成され、前記曲げ補強部及び前記端子よりも弾性係数の低い第2弾性部を有することを特徴とする請求項1に記載のブレーカー。
  3. 前記曲げ補強部の弾性係数が、前記端子の弾性係数よりも高いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブレーカー。
  4. 前記曲げ補強部は、前記第1弾性部と前記第2弾性部とを前記可動片の厚み方向に段違いに配設する段曲げ部であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のブレーカー。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のブレーカーを備えたことを特徴とする電気機器用の安全回路。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のブレーカーを備えたことを特徴とする2次電池パック。
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