JP2013161731A - 密閉型リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電流遮断機構を備えた密閉型リチウム二次電池であって、従来に比べ信頼性を向上し得る技術を提供する。
【解決手段】本発明により、電極体80と電解質とが所定の電池ケース内に収容された密閉型リチウム二次電池100が提供される。密閉型リチウム二次電池100は、所定の電池電圧を超えた際にガスを発生させる添加剤と、該ガスの発生によって上記電池ケースの内圧が上昇した際に作動する電流遮断機構30と、を備えている。ここで、上記電極体80は、相互に独立し且つ重ね合わされた2枚以上のセパレータ40(または42)を介して、正極10と負極20とが対向した構造である。
【選択図】図2

Description

本発明は、密閉型リチウム二次電池(典型的には密閉型リチウムイオン電池)に関する。詳しくは、内圧上昇により作動する電流遮断機構を備えた密閉型リチウム二次電池に関する。
リチウムイオン電池その他のリチウム二次電池は、既存の電池に比べ、小型、軽量かつ高エネルギー密度であって、出力密度に優れる。このため、近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や、車両駆動用電源として好ましく用いられている。
かかる電池の一形態として、密閉型リチウム二次電池が挙げられる。該電池は、典型的には、活物質を含む合材層を備えた正負極からなる電極体が、電解質(典型的には、電解液)とともに電池ケースに収容された後、蓋体が装着されて封口(密閉)されることにより構築される。密閉型リチウム二次電池は、一般に電圧が所定の領域(例えば3.0V以上4.2V以下)に収まるよう制御された状態で使用されるが、誤操作等により電池に通常以上の電流が供給されると、所定の電圧を超えて過充電となる場合がある。
過充電対策技術としては、電池ケース内の圧力が所定値以上になると充電電流を遮断する電流遮断機構(CID;Current Interrupt Device)が広く用いられている。一般に、電池が過充電状態になると電解液の非水溶媒等が電気分解され、ガスが発生する。上記電流遮断機構は、このガス発生に基づいて電池の充電経路を切断することで、それ以上の過充電を防止し得るようになっている。
かかる電流遮断機構を用いる際には、あらかじめ電解液の非水溶媒よりも酸化電位の低い(即ち、酸化分解反応の始まる電圧が低い)化合物(以下、「過充電防止剤」という。)を、電解液中に含有させておく手法が知られている。過充電防止剤は、電池が過充電状態になると正極(典型的には、正極合材層中の正極活物質や導電材)の表面において速やかに酸化分解され、水素イオン(H)を生じる。そして該水素イオンが拡散し、負極上で還元されることにより水素ガス(H)を発生させる。かかる水素ガスの発生により電池の内圧が上昇するため、電流遮断機構を迅速に作動させることができる。この種の従来技術として、例えば、特許文献1には、過充電防止剤としてシクロヘキシルベンゼン(CHB)やビフェニル(BP)を用いる技術が開示されている。
特開2006−324235号公報
しかしながら、かかるリチウム二次電池では、とりわけ使用環境および/または保存環境が高温(例えば、50〜60℃)となった場合に、電解液の粘性が低下し、過充電防止剤のレドックスシャトル反応が優先的に生じる。このため、過充電防止剤の分解反応が抑制され、上記電流遮断機構を作動させるために必要な水素ガスの発生量が減少する虞がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池ケース内の圧力上昇により作動する電流遮断機構を備えた密閉型リチウム二次電池であって、従来に比べ信頼性の向上した該電池を提供することである。
上記目的を実現すべく、電極体と電解質とが所定の電池ケース内に収容された密閉型リチウム二次電池が提供される。上記密閉型リチウム二次電池は、所定の電池電圧を超えた際にガスを発生させる添加剤と、該ガスの発生によって上記電池ケースの内圧が上昇した際に作動する電流遮断機構と、を備えている。ここで、上記電極体は、相互に独立し且つ重ね合わされた2枚以上のセパレータを介して正極と負極とが対向した構造であることを特徴とする。
上記電池では、複数枚の相互に独立したセパレータを重ね合わせることにより、セパレータ/セパレータ間に界面が存在している。このため、かかる界面において、正極で生じたカチオンラジカルの移動を阻害することができ、負極表面に到達するカチオンラジカルの量を従来に比べ抑制することができる。よって、電池環境が高温となり、電解液の粘性が低下した場合においても、過充電防止剤のレドックスシャトル反応を抑えることができる。また、上記レドックスシャトル反応が抑制されることで過充電防止剤の分解反応が促進されるため、過充電時のガス発生量を従来に比べ増加させることができる。従って、電流遮断機構を作動させるのに必要な内圧上昇を、早い段階で安定的に生じさせることができる。
ここで開示される密閉型リチウム二次電池の好適な一態様として、上記電極体は、相互に独立した2枚以上の長尺状のセパレータと、長尺状の正極集電体上に、所定の幅の正極合材層が該集電体の長手方向に沿って形成されている長尺状の正極と、長尺状の負極集電体上に、所定の幅の負極合材層が該集電体の長手方向に沿って形成されている長尺状の負極とを備え、上記2枚以上のセパレータを介して、上記長尺状の正極と上記長尺状の負極とが対向した状態で積層され、長手方向に捲回されてなる捲回電極体であることが挙げられる。
捲回電極体を備えた電池は、リチウム二次電池の中でも高容量なため、信頼性の向上(例えば、誤作動等が生じた場合の対策)が殊に重要である。ここで開示される技術によれば、かかる電池の信頼性(例えば、過充電や内部短絡への耐性)を従来に比べ向上させることができる。
ここで開示される密閉型リチウム二次電池の好適な一態様として、上記セパレータのうち少なくとも1枚は、該セパレータの一方の表面に、無機フィラーを含む多孔質耐熱層を備えることが挙げられる。
多孔質耐熱層を備えるセパレータは、該多孔質耐熱層の比表面積が大きいことからセパレータ間の界面をより一層増加させることができる。また、耐熱性に優れているため、本発明の適用効果(即ち、高温環境下におけるガス発生量の増大)を一層発揮することができる。さらに、多孔質耐熱層が形成されたセパレータを備える上記電池では、例えば落下等の衝撃によって電池が変形した場合や、金属物の釘刺し等によって破壊された場合においても、内部短絡による発熱を抑制することができる。従って、従来に比べ該電池の信頼性(過充電や内部短絡への耐性)を向上させることができる。
ここで開示される密閉型リチウム二次電池の好適な一態様として、上記多孔質耐熱層を備えるセパレータを含む2枚以上のセパレータは、該多孔質耐熱層がセパレータ間に挟まれた状態で配置されていることが挙げられる。
多孔質耐熱層をセパレータ間に配置することで、カチオンラジカルの移動を阻害するために必要なセパレータ間の界面をより一層増大させることができる。よって、電流遮断機構を作動させるために必要な過充電防止剤の分解反応を、より一層促進させることができるため、本発明の適用効果をより発揮することができる。
ここで開示される密閉型リチウム二次電池の好適な一態様として、上記無機フィラーは、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、シリカ、ベーマイト、およびチタニアからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいることが挙げられる。
上記無機化合物は、高融点であり、耐熱性や化学的安定性に優れているため、好ましく用いることができる。
ここで開示される密閉型リチウム二次電池の好適な一態様として、上記2枚以上のセパレータの総厚みは5μm以上70μm以下であることが挙げられる。
かかる構成によれば、本発明のようにセパレータを複数枚備えている場合であっても、充放電に必要なリチウムイオンの移動性を大きく低下させることなく、かかる充放電に伴う抵抗(典型的には、電荷移動抵抗)を低く抑えることができる。従って、優れた電池性能を保持しつつ、且つ該電池の信頼性(例えば、過充電や内部短絡への耐性)を高めることができる。
ここで開示される密閉型リチウム二次電池の好適な一態様として、上記2枚以上のセパレータ全体の気孔率は30体積%〜80体積%であることが挙げられる。
上記気孔率を満たす場合、セパレータを複数枚備えることに起因する電池性能の低下(例えば、電池容量やサイクル特性の低下)をより一層抑制し得る。従って、電池性能と該電池の信頼性の向上(例えば、過充電や内部短絡への耐性)とを高いレベルで両立させることができる。
ここで開示される密閉型リチウム二次電池の好適な一態様として、上記添加剤(過充電防止剤)として、シクロヘキシルベンゼンまたはビフェニルを含んでいることが挙げられる。
シクロヘキシルベンゼンやビフェニルは、酸化電位が4.5〜4.6Vと比較的低く、過充電時において速やかに酸化分解され水素ガスを発生し得る。このため、電流遮断機構をより迅速に作動させることができる。
ここで開示される密閉型リチウム二次電池の好適な一態様として、上記添加剤の添加量が、上記電解質100質量%に対し0.5質量%以上5質量%以下であることが挙げられる。
ここで開示される技術では、過充電防止剤の反応効率が高いため、従来に比べ少ない量の過充電防止剤で、高温時においても電流遮断装置を確実に作動させるために必要なガス量を得ることができる。
また、ここで開示される密閉型リチウム二次電池を駆動用電源として備える車両が提供される。かかる密閉型リチウム二次電池は、高温環境下であっても過充電時における信頼性が向上していることを特徴とする。このため、高容量、高出力の電池であって、且つ使用および/または放置環境が高温になり得る場合に特に有効であり、例えば車両(典型的には、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV))に搭載されるモーター駆動のための動力源(駆動用電源)として好適に使用され得る。
本発明の一実施形態に係る、密閉型リチウム二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図1の密閉型リチウム二次電池のII−II線における断面構造を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る、密閉型リチウム二次電池の捲回電極体の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る、密閉型リチウム二次電池を備えた車両(自動車)を示す側面図である。 本発明の一実施例に係る、密閉型リチウム二次電池の構成を示す模式的な断面図であり、(A)〜(D)はそれぞれセパレータの態様が異なっている。
本明細書において「リチウム二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。一般にリチウムイオン電池(もしくはリチウムイオン二次電池)等と称される二次電池は、本明細書におけるリチウム二次電池に包含される典型例である。また、本明細書において「活物質」とは、正極側又は負極側において蓄電に関与する物質(化合物)をいう。即ち、電池の充放電時において電子の吸蔵および放出に関与する物質をいう。
なお、本明細書において、過充電状態とは充電深度(SOC;State of Charge)が100%を超えた状態を指す。SOCとは、可逆的に充放電可能な稼動電圧の範囲において、その上限となる電圧が得られる充電状態(即ち、満充電状態)を100%とし、下限となる電圧が得られる充電状態(即ち、充電されていない状態)を0%としたときの充電状態を示す。
以下、ここで開示される密閉型リチウム二次電池の好適な実施形態について、説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。かかる構造の密閉型リチウム二次電池は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示されるリチウム二次電池の正極としては、正極活物質と導電材とバインダ(結着剤)等とを適当な溶媒中で混合してスラリー状(ペースト状、インク状のものを包含する。)の組成物(以下、「正極合材スラリー」という。)を調製し、該スラリーを正極集電体上に付与して正極合材層(正極活物質層ともいう。)を形成した形態のものを用いる。
正極集電体の素材としては、アルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等が挙げられる。集電体の形状は、構築される電池の形状等に応じて異なり得るため特に限定されず、棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。なお、後述する捲回電極体を備えた電池では、主に箔状体が用いられる。箔状集電体の厚みは特に限定されないが、電池の容量密度と集電体の強度との兼ね合いから、5μm〜50μm(より好ましくは8μm〜30μm)程度を好ましく用いることができる。
正極活物質としては、従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)や、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩等が挙げられる。中でも、層状構造のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3)を主成分とする正極活物質(典型的には、実質的にリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物からなる正極活物質)は、熱安定性に優れ、かつエネルギー密度も高いため好ましく用いることができる。特に限定するものではないが、正極合材層全体に占める正極活物質の割合は、50質量%以上(典型的には70質量%以上100質量%以下、例えば80質量%以上99質量%以下)であることが好ましい。
ここで、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とは、Li、Ni、Co、Mnを構成金属元素とする酸化物のほか、Li、Ni、Co、Mn以外に他の少なくとも一種の金属元素(Li、Ni、Co、Mn以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を含む酸化物をも包含する意味である。かかる金属元素は、例えば、Al、Cr、Fe、V、Mg、Ti、Zr、Nb、Mo、W、Cu、Zn、Ga、In、Sn、La、Ceのうちの一種または二種以上の元素であり得る。また、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物、及びリチウムマンガン酸化物についても同様である。このようなリチウム遷移金属酸化物(典型的には粒子状)としては、例えば従来公知の方法で調製されるリチウム遷移金属酸化物粉末をそのまま使用することができる。特に限定するものではないが、例えば、D50粒径が凡そ1μm〜25μm(好ましくは2μm〜10μm、より好ましくは6μm〜10μm、例えば6μm〜8μm)の範囲にある二次粒子によって実質的に構成されたリチウム遷移金属酸化物粉末を正極活物質として好ましく用いることができる。なお、本明細書において「粒径」とは一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定により測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側からの累積50%に相当する粒径(D50粒径、メジアン径ともいう。)を示す。
導電材としては、従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック)、黒鉛粉末(天然、人造)、炭素繊維(PAN系、ピッチ系)等から選択される、一種または二種以上であり得る。あるいは金属繊維(例えばAl、SUS等)、導電性金属粉末(例えばAg、Ni、Cu等)、金属酸化物(例えばZnO、SnO等)、金属で表面被覆した合成繊維等を用いてもよい。なかでも好ましいカーボン粉末としては、アセチレンブラックが挙げられる。特に限定するものではないが、正極合材層全体に占める導電材の割合は、例えば、凡そ0.1質量%〜15質量%とすることができ、凡そ1質量%〜10質量%(より好ましくは2質量%〜6質量%)とすることが好ましい。
バインダとしては、従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。典型的には、各種のポリマー材料を好適に用いることができる。例えば、溶剤系のスラリー(分散媒の主成分が有機溶媒である溶剤系組成物)を用いて正極合材層を形成する場合には、有機溶剤に分散または溶解するポリマー材料を好ましく採用し得る。かかるポリマー材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等が挙げられる。あるいは、水系のスラリーを用いて正極合材層を形成する場合には、水に溶解または分散するポリマー材料を好ましく採用し得る。かかるポリマー材料としては、セルロース系ポリマー、フッ素系樹脂、酢酸ビニル共重合体、ゴム類等が例示される。より具体的には、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等が挙げられる。特に限定するものではないが、正極合材層全体に占めるバインダの割合は、例えば0.1質量%〜10質量%(好ましくは1質量%〜5質量%)とすることができる。
溶媒としては、従来からリチウム二次電池に用いられる溶媒のうち一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。かかる溶媒は水系と有機溶剤に大別され、有機溶媒としては、例えば、アミド、アルコール、ケトン、エステル、アミン、エーテル、ニトリル、環状エーテル、芳香族炭化水素等が挙げられる。より具体的には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、2−プロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、プロペン酸メチル、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、アセトニトリル、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンジメチルスルホキシド(DMSO)、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を好適に用いることができる。
また、水系溶媒としては、水または水を主体とする混合溶媒であることが好ましい。該混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の凡そ80質量%以上(より好ましくは凡そ90質量%以上、さらに好ましくは凡そ95質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒(例えば水)が挙げられる。
また、ここで調製される正極合材スラリーには、必要に応じて、各種添加剤(例えば、分散剤として機能し得る材料や、過充電時においてガスを発生させる無機化合物)等を添加してもよい。該分散剤としては、疎水性鎖と親水性基をもつ高分子化合物(例えばアルカリ塩、典型的にはナトリウム塩)や、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩などを有するアニオン性化合物やアミンなどのカチオン性化合物などが挙げられる。より具体的には、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ブチラール、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ等が例示され、例えば、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子材料が好ましく用いられる。
なお、正極合材スラリーを調製する方法としては、上記正極活物質と導電材とバインダとを一度に混練してもよく、何回かに分けて段階的に混練してもよい。好ましくは、例えば、先ず導電材を溶媒に分散させ、後から正極活物質とバインダを段階的に投入する手法をとり得る。即ち、比較的分散性の悪い導電材を先ず溶媒中に分散させることで、正極活物質と導電材とバインダとが均一に分散した正極合材スラリーを得ることができる。特に限定されるものではないが、正極合材スラリーの固形分濃度(NV)は凡そ50質量%〜75質量%(好ましくは55質量%〜65質量%、より好ましくは55質量%〜60質量%)とすることができる。
また、正極合材層を形成する方法としては、上記正極合材スラリーを正極集電体の片面または両面に適量塗布して乾燥させる方法を好ましく採用することができる。
正極合材スラリーを正極集電体に塗布する操作は、従来の一般的なリチウム二次電池用正極を作製する場合と同様に行うことができる。例えば、適当な塗布装置(スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーター等)を使用して、上記正極集電体上の片面または両面に所定量の上記正極合材スラリーを均一な厚さにコーティングすることにより作製され得る。
その後、適当な乾燥手段で正極合材層を乾燥することにより、正極合材スラリーに含まれていた溶媒を除去する。正極合材層を乾燥するにあたっては、自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線等を単独または組み合わせにて用いることができる。好ましい一態様では、乾燥温度を凡そ200℃以下(典型的には80℃以上200℃未満)とする。このようにして、ここに開示されるリチウム二次電池用の正極を得ることができる。
正極合材スラリーの乾燥後、適宜プレス処理(例えば、ロールプレス法、平板プレス法等の従来公知の各種プレス方法を採用することができる。)を施すことによって、正極合材層の厚みや密度を調整することができる。なお、正極集電体上に形成された正極合材層の密度が極端に低い(即ち、正極合材層内の活物質量が少ない)場合は、単位体積当たりの容量が低下する。また、該正極合材層の密度が極端に高い場合は、特に大電流充放電時や低温下での充放電時において内部抵抗が上昇する傾向にある。このため、正極合材層の密度は、例えば2.0g/cm〜4.2g/cm(典型的には2.5g/cm〜3.2g/cm)とすることができる。
ここで開示される密閉型リチウム二次電池の負極としては、正極と同様、負極活物質とバインダ等とを混合してスラリー状(ペースト状、インク状のものを包含する。)の組成物(以下、「負極合材スラリー」という。)を調製し、該スラリーを負極集電体上に付与して負極合材層(負極活物質層ともいう。)を形成した形態のものを用いる。
ここで負極集電体の素材としては、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等が挙げられる。なお、形態は特に限定されず、棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。後述する捲回電極体を備えた電池では、箔状が用いられる。箔状集電体の厚みは特に限定されないが、電池の容量密度と集電体の強度との兼ね合いから、5μm〜50μm(より好ましくは8μm〜30μm)程度を好ましく用いることができる。
負極活物質としては、従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種または二種以上の材料を特に限定することなく使用することができる。例えば、少なくとも一部に黒鉛構造(層状構造)を含む粒子状の黒鉛粉末(カーボン粒子)、チタン酸リチウム(LTO)等の酸化物、スズ(Sn)やケイ素(Si)とリチウムの合金等が挙げられる。黒鉛粉末としては、黒鉛質のもの(グラファイト)、難黒鉛化炭素質のもの(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質のもの(ソフトカーボン)、またはこれらを組み合わせたもの等を用いることができ、なかでも黒鉛を好ましく使用することができる。該黒鉛としては、例えば、天然鉱物から採られた天然黒鉛(石墨)や、石油または石炭系の材料から製造された人造黒鉛、あるいは上記黒鉛に粉砕やプレス等の加工処理を施したもの等から選択される、一種または二種以上であり得る。負極合材層全体に占める負極活物質の割合は特に限定されないが、通常は凡そ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ90質量%〜99質量%(例えば凡そ95質量%〜99質量%)である。
バインダとしては、上記正極合材層用のバインダとして例示したポリマー材料から適当なものを選択することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が例示される。負極活物質層全体に占めるバインダの割合は、負極活物質の種類や量に応じて適宜選択すればよく、例えば1質量%〜10質量%(好ましくは2質量%〜5質量%)とすることができる。その他、既に上述した分散剤として機能し得る各種のポリマー材料(例えばカルボキシメチルセルロース(CMC))等の添加剤や導電材等も使用することができる。
負極合材層を形成する方法としては、上述した正極の場合と同様、負極合材スラリーを負極集電体上の片面または両面に適当量塗布し、乾燥させる方法を好ましく採用することができる。この乾燥は、必要に応じて加熱下で行うことができる。負極合材スラリーの乾燥後、適宜プレス処理(例えば、ロールプレス法、平板プレス法等の従来公知の各種プレス方法を採用することができる。)を施すことによって、負極合材層の厚みや密度を調製することができる。負極合材層の密度は、例えば、1.1g/cm以上(典型的には1.2g/cm以上)であって、1.5g/cm以下(典型的には1.49g/cm以下)とすることができる。
ここで開示される密閉型リチウム二次電池の電極体は、相互に独立し且つ重ね合わされた2枚以上のセパレータを介して、上記作製した正極と負極とを対向した構造であることを特徴とする。そして、該電極体を、電解液と過充電防止剤(所定の電池電圧を超えた際にガスを発生させる添加剤)とともに適当な電池ケースに収容し、密閉型リチウム二次電池が構築される。なお、該ケースには安全機構として、電流遮断機構(電池の過充電時に、該ガスの発生によって生じたケース内圧の上昇に応じて電流を遮断し得る機構)が備えられている。
上記電池では、複数枚の相互に独立したセパレータを重ね合わせることにより、セパレータ/セパレータ間に界面が存在している。このため、かかる界面において、正極で生じたカチオンラジカルの移動を阻害することができ、負極表面に到達するカチオンラジカルの量を従来に比べ抑制することができる。よって、電池環境が高温となり、電解液の粘性が低下した場合においても、過充電防止剤のレドックスシャトル反応を抑えることができる。また、上記レドックスシャトル反応が抑制されることで過充電防止剤の分解反応が促進されるため、過充電時のガス発生量を従来に比べ増加させることができる。従って、電流遮断機構を作動させるのに必要な内圧上昇を、早い段階で安定的に生じさせることができる。
更に、ここで開示される密閉型リチウム二次電池では、上記多孔質耐熱層が相互に独立した2枚以上のセパレータに挟まれるように該電極体内に配置することが好ましい。多孔質な耐熱層とセパレータとの界面が存在することで、より一層本発明の効果(即ち、カチオンラジカルの移動を阻害し、過充電防止剤の分解反応を促進すること)を発揮することができる。
該セパレータとしては、従来から非水電解質二次電池に用いられるものと同様の各種多孔質シートを用いることができ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔質樹脂シート(フィルム)や不織布等が挙げられる。かかる多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、二層以上の多孔質樹脂シートが積層された構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。
ここでは、上記セパレータの一方の表面に、無機フィラーを含む多孔質耐熱層が形成されているものを好ましく用いることができる。多孔質耐熱層の形成されたセパレータは、市販品を購入してもよいし、例えば、無機化合物とバインダとを適当な溶媒とともに混合してなるスラリー状の組成物を、上記セパレータ上に塗布して多孔質耐熱層を形成してもよい。多孔質耐熱層の形成されたセパレータは、該多孔質耐熱層の比表面積が大きいため、カチオンラジカルの移動を阻害するのに必要な、セパレータ間の界面をより一層増加されることができる。さらに耐熱性に優れるため、本発明の適用効果(即ち、高温環境下におけるガス発生量の増大)を一層発揮することができる。さらに、多孔質耐熱層が形成されたセパレータは耐熱性に優れているため、該セパレータを備える上記電池では、例えば落下等の衝撃によって電池が変形した場合や、金属物の釘刺し等によって破壊された場合においても、セパレータが拠れたりせず、正極と負極が接すること(内部短絡)を防止し得る。このため、かかる内部短絡に起因する発熱を抑制することができ、該電池では従来に比べ信頼性(過充電や内部短絡への耐性)がより一層向上する。
ここで、多孔質耐熱層には、非導電性(絶縁性)の無機化合物の粒子(無機フィラー)が含有されている。無機フィラーの構成材料たる無機化合物は、金属元素または非金属元素の酸化物、炭化物、珪化物、窒化物等から選択される一種または二種以上であり得る。より具体的には、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、二酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO)、酸化マグネシウム(マグネシア:MgO)、酸化ケイ素(シリカ:SiO)、酸化チタン(チタニア:TiO)、酸化セリウム(セリア:CeO)、酸化イットリウム(イットリア:Y)、チタン酸バリウム(BaTiO)等の酸化物系材料や、コーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)、ムライト(3Al・2SiO)、フォルステライト(2MgO・SiO)、ステアタイト(MgO・SiO)、サイアロン(Si・Al)、ジルコン(ZrO・SiO)、フェライト(MO・Fe)等の複合酸化物系材料、窒化ケイ素(シリコンナイトライド:Si)、窒化アルミニウム(アルミナイトライド:AlN)等の窒化物系材料、炭化ケイ素(シリコンカーバイド:SiC)等の炭化物系材料、ハイドロキシアパタイト等の水酸化物系材料、炭素(C)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等の元素系材料、もしくはこれらを一種以上含む複合材料が挙げられる。
ここで開示される密閉型リチウム二次電池においては、多孔質耐熱層に、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、シリカ、ベーマイト、およびチタニアからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいることが好ましい。上記化合物は、融点が高く、耐熱性や化学的安定性に優れている。また比較的安価なため、原料コストを抑えることができる。
無機フィラーのD50粒径は、例えば凡そ0.1μm〜15μm程度(好ましくは0.2μm〜1.5μm程度)であり得る。上記範囲の粒径を有するセラミック粒子を用いて形成された多孔質耐熱層によれば、本発明の適用効果がより発揮され得る。上記耐熱層に含まれる無機フィラー割合は、特に限定されないが、50質量%以上(典型的には80質量%以上、例えば90質量%以上、好ましくは95質量%以上)であって、99.8質量%以下(典型的には99.5質量%以下、例えば99質量%以下)とすることができる。
上記多孔質耐熱層には、無機フィラーの他に、該無機フィラーを結着させるためのバインダ(ポリマー成分)等を適宜含有させることができる。かかるバインダとしては、例えば、上述した電極合材スラリーに配合され得るバインダから適宜選択し使用することができる。その他に、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、アクリロニトリル−イソプレン共重合体ゴム(NIR)、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム(NBIR)等の共重合成分としてアクリロニトリルを含むゴムや、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(例えばアルキルエステル)を主な共重合成分とするアクリル系ポリマー等を用いることもできる。
セパレータの厚みは、使用するセパレータの性状や枚数等によって変化し得るため、特に限定されないが、例えば、2枚以上のセパレータの総厚みは、5μm〜70μm(典型的には10μm〜60μm、例えば10μm〜50μm)とすることができる。ここで開示される密閉型リチウム二次電池は、互いに独立し且つ重ね合わされた複数枚のセパレータを備えている。このため、充放電に必要なリチウムイオンの移動性を低下させ、充放電に伴う抵抗(典型的には、電荷移動抵抗)を増大させる虞がある。しかし、かかる構成によればセパレータを複数枚備えることに起因する内部抵抗の増大(典型的には電荷移動抵抗の増大)を抑制することができるため、高い電池性能を確保し得る。従って、優れた電池性能を保持しつつ、且つ該電池の信頼性(例えば、過充電や内部短絡への耐性)を高めることができる。
セパレータ(典型的には多孔質樹脂シート)の性状は、使用する枚数等の条件によっても異なるため、特に限定されるものではないが、例えば、孔径が0.001μm〜30μm(典型的には0.01μm〜20μm、例えば0.1μm〜10μm)程度であり、上記2枚以上のセパレータ全体の気孔率(空隙率)が、例えば凡そ20体積%〜90体積%(典型的には30体積%〜80体積%、例えば35体積%〜70体積%)程度のものを用いることができる。上記気孔率を満たす場合、本発明の効果(即ち、過充電時にカチオンラジカルの移動を阻害すること)を発揮しつつ、且つセパレータを複数枚備えることに起因する電池性能の低下(例えば、電池容量やサイクル特性の低下)をより一層抑制し得る。従って、電池性能と該電池の信頼性の向上(例えば、過充電や内部短絡への耐性)とを高いレベルで両立させることができる。
なお、本明細書において「孔径(気孔径という場合もある。)」とは、特に断りがない場合、一般的な水銀圧入法測定に基づいて得られる値を指す。水銀圧入法による測定には、例えば株式会社島津製作所製のオートポアIII9410を用いることができる。また本明細書において、「気孔率」とは、上記測定により得られる気孔容積(Vb(cm))を、見かけの体積(Va(cm))で除して、100を掛けることにより、算出した値を意味する。
電池ケースとしては、従来のリチウム二次電池に用いられる材料や形状を用いることができる。材質としては、例えばアルミニウム、スチール等の比較的軽量な金属材や、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料が挙げられる。また、形状(容器の外形)も特に限定されず、例えば、円筒型、角型、直方体型、コイン型、袋体型等の形状であり得る。
電解液としては、従来のリチウム二次電池に用いられる非水電解液と同様の一種または二種以上のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に電解質(リチウム塩)を含有させた組成を有する。
該非水溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非プロトン性溶媒を用いることができる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル、エチレングリコール、ジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。なかでもカーボネート類を主体とする非水溶媒が好ましく用いられる。例えば、非水溶媒として一種または二種以上のカーボネート類を含み、それらカーボネート類の合計体積が非水溶媒全体の体積の60体積%以上(より好ましくは75体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、実質的に100体積%であってもよい。)を占める非水電解液を好ましく用いられる。
該電解質としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO、LiN(SOCF、LiN(SO、LiCFSO、LiCSO、LiC(SOCF、LiClO等が例示される。なかでもLiPFが好ましく用いられる。電解質の濃度は特に制限されないが、電解質の濃度が低すぎると電解液に含まれるリチウムイオンの量が不足し、イオン伝導性が低下する傾向がある。また支持電解質の濃度が高すぎると非水電解液の粘度が高くなりすぎて、イオン伝導性が低下する傾向がある。このため、電解質を凡そ0.1mol/L〜5mol/L(好ましくは、凡そ0.8mol/L〜1.5mol/L)程度の濃度で含有する非水電解液が好ましく用いられる。
電解液に含有させる過充電防止剤には、酸化電位がリチウム二次電池の稼動電圧以上であって、過充電状態において分解され大量のガスを発生させるような物質であれば、従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。かかる過充電防止剤としては、例えば、ビフェニル化合物、アルキルビフェニル化合物、シクロアルキルベンゼン化合物、アルキルベンゼン化合物、有機リン化合物、フッ素原子置換芳香族化合物、カーボネート化合物、環状カルバメート化合物、脂環式炭化水素等が挙げられる。より具体的には、ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、trans−ブチルシクロヘキシルベンゼン、シクロペンチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミノベンゼン、ターフェニル、2−フルオロビフェニル、3−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン、tris−(t−ブチルフェニル)ホスフェート、フェニルフルオライド、4−フルオロフェニルアセテート、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、ビスターシャリーブチルフェニルカーボネート、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等が挙げられる。例えば4.2Vで満充電状態となる密閉型リチウム二次電池においては、酸化反応電位が凡そ4.6Vのもの(例えば、シクロヘキシルベンゼン(CHB)やビフェニル(BP)等)を好ましく用いることができる。
ここで開示される技術では、過充電防止剤の反応効率が高いため、従来に比べ少ない量の過充電防止剤で、高温時においても電流遮断装置を確実に作動させるために必要なガス量を得ることができる。使用する過充電防止剤の量は特に限定されないが、信頼性を重視するあまりに過剰量を添加すると、電池性能が低下(例えば、電池抵抗の増加やサイクル特性の悪化)する虞がある。従って、電解液100質量%に対する過充電防止剤の使用量は、例えば凡そ0.1質量%以上(典型的には0.5質量%以上、例えば1質量%以上)であって、7質量%以下(典型的には5質量%以下、例えば3質量%以下、好ましくは2質量%以下)とすることができる。
電流遮断機構としては、内圧の上昇に応じて(即ち、内圧の上昇を作動のトリガーとして)電流を遮断し得るものであれば特に限定されず、この種の電池に設けられる電流遮断機構として従来知られているいずれかのものと同様の機構を適宜採用することができる。一例として、例えば、後述する図2に示すような構成を好ましく用いることができる。かかる構成では、電池ケースの内圧が上昇した際、電極端子から電極体に至る導電経路を構成する部材が変形し、他方から離隔することにより導電経路を切断するように構成されている。
特に限定することを意図したものではないが、本発明の一実施形態に係る密閉型リチウム二次電池の概略構成として、扁平に捲回された電極体(捲回電極体)と、非水電解液とを扁平な直方体形状(箱型)の容器に収容した形態の密閉型リチウム二次電池(単電池)を例とし、図1〜3にその概略構成を示す。以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、実際の寸法関係を反映するものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る密閉型リチウム二次電池100の外形を模式的に示す斜視図である。また図2は、上記図1に示した密閉型リチウム二次電池のII−II線に沿う断面構造を模式的に示す図である。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る密閉型リチウム二次電池100は、捲回電極体80と、ハードケース(外容器)50とを備える。このハードケース50は、上端が開放された扁平な直方体形状(箱型)のハードケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備える。ハードケース50の上面(すなわち蓋体54)には、捲回電極体80の正極シートと電気的に接続する正極端子70および該電極体の負極シートと電気的に接続する負極端子72が設けられている。
電池ケース50の内部には、長尺状の正極シート10と長尺状の負極シート20とが、相互に独立した2枚以上の長尺状のセパレータ40A(または42A)と40B(または42B)とを介して、扁平に捲回された形態の電極体(捲回電極体)80が、図示しない非水電解液とともに収容される。また、正極シート10は、その長手方向に沿う一方の端部において、正極合材層14が設けられておらず(あるいは除去されて)、正極集電体12が露出するよう形成されている。同様に、捲回される負極シート20は、その長手方向に沿う一方の端部において、負極合材層24が設けられておらず(あるいは除去されて)、負極集電体22が露出するように形成されている。そして、正極集電体12の該露出端部に正極集電板74が、負極集電体22の該露出端部には負極集電板76がそれぞれ付設されており、上記正極端子70および上記負極端子72とそれぞれ電気的に接続される。
また、電池ケース50の内部には、電池ケースの内圧上昇により作動する電流遮断機構30が設けられている。電流遮断機構30は、電池ケース50の内圧が上昇した場合に少なくとも一方の電極端子から電極体80に至る導電経路(例えば、充電経路)を切断するように構成されていればよく、特定の形状に限定されない。この実施形態では、電流遮断機構30は、蓋体54に固定した正極端子70と電極体80との間に設けられ、電池ケース50の内圧が上昇した場合に正極端子70から電極体80に至る導電経路を切断するように構成されている。
上記電流遮断機構30は、例えば第一部材32と第二部材34とを含み得る。そして、電池ケース50の内圧が上昇した場合に第一部材32および第二部材34の少なくとも一方が変形して他方から離隔することにより上記導電経路を切断するように構成されている。この実施形態では、第一部材32は変形金属板であり、第二部材34は上記変形金属板32に接合された接続金属板である。変形金属板(第一部材)32は、中央部分が下方へ湾曲したアーチ形状を有し、その周縁部分が集電リード端子35を介して正極端子70の下面と接続されている。また、変形金属板32の湾曲部分33の先端が接続金属板34の上面と接合されている。接続金属板34の下面(裏面)には正極集電板74が接合され、かかる正極集電板74が電極体80の正極10に接続されている。このようにして、正極端子70から電極体80に至る導電経路が形成されている。
また、電流遮断機構30は、プラスチック等により形成された絶縁ケース38を備えている。絶縁ケース38は、変形金属板32を囲むように設けられ、変形金属板32の上面を気密に密閉している。この気密に密閉された湾曲部分33の上面には、電池ケース50の内圧が作用しない。また、絶縁ケース38は、変形金属板32の湾曲部分33を嵌入する開口部を有しており、該開口部から湾曲部分33の下面を電池ケース50の内部に露出している。この電池ケース50の内部に露出した湾曲部分33の下面には、電池ケース50の内圧が作用する。かかる構成の電流遮断機構30において、電池ケース50の内圧が高まると、該内圧が変形金属板32の湾曲部分33の下面に作用し、下方へ湾曲した湾曲部分33が上方へ押し上げられる。この湾曲部分33の上方への押し上げは、電池ケース50の内圧が上昇するに従い増大する。そして、電池ケース50の内圧が設定圧力を超えると、湾曲部分33が上下反転し、上方へ湾曲するように変形する。かかる湾曲部分33の変形によって、変形金属板32と接続金属板34との接合点36が切断される。このことにより、正極端子70から電極体80に至る導電経路が切断され、過充電電流が遮断されるようになっている。
なお、電流遮断機構30は正極端子70側に限らず、負極端子72側に設けてもよい。また、電流遮断機構30は、上述した変形金属板32の変形を伴う機械的な切断に限定されない。例えば、電池ケース50の内圧をセンサで検知し、該センサで検知した内圧が設定圧力を超えると充電電流を遮断するような外部回路を電流遮断機構として設けることもできる。
図3は、捲回電極体80を組み立てる前段階における長尺状のシート構造(電極シート)を模式的に示す図である。長尺状の正極集電体12の片面または両面(典型的には両面)に長手方向に沿って正極合剤層14が形成された正極シート10と、長尺状の負極集電体22の片面または両面(典型的には両面)に長手方向に沿って負極合剤層24が形成された負極シート20とを、相互に独立し且つ重ね合わされた2枚以上の長尺状のセパレータ40A(および/または42A)と40B(および/または42B)とともに重ね合わせて長尺方向に捲回し、捲回電極体を作製する。かかる捲回電極体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状の捲回電極体80が得られる。捲回電極体を備えた電池は、リチウム二次電池の中でも高容量なため、信頼性の向上(例えば、誤作動等が生じた場合の対策)が殊に重要である。ここで開示される技術によれば、かかる電池の信頼性(例えば、過充電や内部短絡への耐性)を従来に比べ向上させることができる。
ここで開示される密閉型リチウム二次電池は、各種用途に利用可能であるが、かかる電池は高温環境下であっても過充電時における信頼性が向上していることを特徴とする。このため、高容量、高出力の電池であって、且つ使用および/または放置環境が高温になり得る場合に特に有効である。例えば、図4に示すような自動車等の車両1に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)としてここで開示される密閉型リチウム二次電池100が好適に使用され得る。車両1の種類は特に限定されないが、典型的には、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)が挙げられる。また、かかる密閉型リチウム二次電池100は、単独で使用されてもよく、直列および/または並列に複数接続されてなる組電池の形態で使用されてもよい。
以下、具体的な実施例として、ここで開示される手法(即ち、セパレータの態様)によって該電池の信頼性に相違があるか否かを評価した。なお、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
[密閉型リチウム二次電池の構築]
<例1>
正極活物質粉末としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3粉末と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、黒鉛と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これら材料の質量比率が凡そ91:3:3:3となるよう、混練機(プラネタリーミキサー)に投入し、固形分濃度(NV)が凡そ50質量%となるようにN−メチルピロリドン(NMP)で粘度を調製しながら混練し、正極合材層形成用のスラリー状組成物(正極合材スラリー)を調製した。この正極合材スラリーを、厚み凡そ15μmの長尺状アルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布し、乾燥することで正極合材層を形成した。得られた正極をロールプレスし、電極密度が凡そ2.6g/cmのシート状の正極(正極シート)を作製した。
上記と同様に、負極活物質としての天然黒鉛(球形状の粉末)とスチレンブタジエンゴム(SBR)と、カルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これら材料の質量比率が凡そ98:1:1であり、NVが凡そ45質量%となるようにイオン交換水で粘度を調製しながら混練し、負極合材層形成用のスラリー状組成物(負極合材スラリー)を調製した。この負極合材スラリーを、厚み凡そ10μmの長尺状銅箔(負極集電体)の両面に塗布し、乾燥することで負極合材層を形成した。得られた負極をロールプレスし、電極密度が凡そ1.4g/cmのシート状の負極(負極シート)を作製した。
次に、上記作製した正極シートと負極シートを用いて、円筒型とラミネートシート型の二種類の密閉型リチウム二次電池を構築した。
円筒型の密閉型リチウム二次電池の構築では、先ず、上記で作製した正極シートと負極シートを、セパレータ(ここでは、PE層の両面にPP層が積層された三層構造のもの(厚み40μm、孔径0.09μm、気孔率48体積%)を1枚使用した。)を介して重ね合わせて捲回し、得られた捲回電極体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状の捲回電極体を作製した。そして、該電極体の正極集電体の端部に正極端子を、負極集電体の端部に負極端子を溶接によりそれぞれ接合した。かかる電極体を非水電解液(ここでは、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)とを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、電解質としてのLiPFを凡そ1.1mol/Lの濃度で溶解し、さらにシクロヘキシルベンゼン(CHB)を2質量%の濃度で含有させた電解液を用いた。)とともに円筒型の電池ケースに収容し、該電池ケースに内圧を検知するセンサ(内圧センサ)および電流遮断機構(CID)を設置した。かかる電池ケースの開口部に蓋体を装着し、溶接して接合することにより18650型の密閉型リチウム二次電池(例1)を構築した。例1に係る電池の構成を図5(A)に模式的に示す。
ラミネートシート型の密閉型リチウム二次電池の構築では、先ず、上記作製した正極シートと負極シートをそれぞれ凡そ45(mm)×45(mm)の寸法に切断したものを、セパレータ(上記と同様の性状を有する、PE層の両面にPP層が積層された三層構造のものを1枚使用した。)を介して対面に配置し、電極体を作製した。そして、該電極体の正極集電体の端部に正極端子を、負極集電体の端部に負極端子を溶接によりそれぞれ接合した。かかる電極体を非水電解液(ここでは、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)を3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、電解質としてのLiPFを凡そ1.1mol/Lの濃度で溶解し、さらにシクロヘキシルベンゼン(CHB)を2質量%の濃度で含有させた電解液を用いた。)とともにラミネートシートに収容して、ラミネートシート型の密閉型リチウム二次電池(例1)を構築した。
そして、上記構築した二種類の電池に対して、25℃の温度下において、適当なコンディショニング処理を行った(ここでは、0.3Cの充電レートで4.1Vまで定電流で充電する(CC充電)操作と、0.3Cの放電レートで3.0Vまで定電流で放電する(CC放電)操作を2回繰り返す初期充放電処理を行った)。
<例2>
例2では、厚み20μmのセパレータを2枚重ね合わせて用いたこと以外は例1と同様に、2種類の密閉型リチウム二次電池(例2)を構築し、コンディショニング処理を行った。例2に係る電池の構成を図5(B)に模式的に示す。
<例3>
例3では、上記セパレータとして、PE製のセパレータ(1枚)と共に、基材(PE製のセパレータ)上に多孔質耐熱層(HRL:Heat Resistance Layer)が形成されたセパレータ(厚み25μm、気孔率50体積%;以下、単に「HRL付」ということもある。)を1枚重ね合わせて用いたこと以外は、例1と同様に2種類の密閉型リチウム二次電池(例3)を構築し、コンディショニング処理を行った。例3に係る電池の構成を図5(C)に模式的に示す。
<例4>
例4では、上記PE製のセパレータに替えて、HRL付を2枚重ね合わせて用いたこと以外は、例1と同様に2種類の密閉型リチウム二次電池(例4)を構築し、コンディショニング処理を行った。例4に係る電池の構成を図5(D)に模式的に示す。
[過充電試験(ガス発生量の測定)]
上記コンディショニング処理後のラミネートシート型の密閉型リチウム二次電池(例1〜4)について、アルキメデス法にてセルの体積を測定した。その後、上記電池を60℃の環境下において、過充電状態(本例では、SOCが160%の状態。)まで1Cのレートで定電流充電し、再びアルキメデス法にてセルの体積を測定した。そして、過充電後のセルの体積(A(cm))から、コンディショニング処理後のセルの体積(B(cm))を差し引いて、過充電時におけるガス発生量(A−B(cm))を算出した。この値を電池容量(Ah)で除した結果(A−B(cm/Ah))を、表1の該当箇所に示す。
なお、アルキメデス法とは、測定対象物(本例では、ラミネートシート型の密閉型リチウム二次電池)を、媒液(例えば、蒸留水やアルコール等)に浸漬し、測定対象物が受ける浮力を測定することにより、該測定対象物の体積を求める手法である。
[釘刺し試験]
上記コンディショニング処理後の18650型の密閉型リチウム二次電池(例1〜4)を、SOCが100%の状態(即ち、満充電状態)に調整した。そして、各電池ケースの外表面に熱電対を貼り付けて、20℃の温度条件下にて、各電池の中央付近に直径3mmの鉄製の釘を10mm/secの速度で貫通させ、該電池を強制的に内部短絡させた。この際の電池温度(最高到達温度)を測定した。結果を、表1の該当箇所に示す。
Figure 2013161731
表1に示されるように、セパレータが1枚の場合(例1)に比べて、2枚重ね合わせて使用した場合(例2〜4)は過充電時に発生するガスの量が増加した。この理由として、セパレータが1枚の場合(例1)は、電池環境が高温(ここでは60℃)になったことで電解液の粘性が低下し、過充電防止剤のレドックスシャトル反応が優先的に生じたために過充電防止剤の分解反応が抑制され、ガスの発生量が少なかったと考えられる。一方、複数枚の相互に独立したセパレータを重ね合わせて用いた場合(例2)は、セパレータ/セパレータ間の界面が存在するため、かかるセパレータ間の界面において過充電時に正極で生じたカチオンラジカルの移動が阻害され、負極表面に到達するカチオンラジカルの量を従来に比べ抑制し得た。このため、過充電時の電池環境が高温であって電解液の粘性が低下した場合においても、過充電防止剤の分解反応が促進され、ガス発生量を従来に比べ増加させることができたと考えられる。
また、重ね合わせる2枚のセパレータのうち1枚に多孔質耐熱層を形成したセパレータを用いた例3では、多孔質耐熱層を有さない例2に比べ、発生するガスの量が顕著に増大した。この理由として、多孔質耐熱層の形成されたセパレータは比表面積が大きく、セパレータ間の界面を増加し得たことが考えられる。さらに、多孔質耐熱層を形成したセパレータを重ね合わせて2枚用いた例4では、ガス発生量が最も多かった。多孔質耐熱層をセパレータ間の界面に配置することで、より一層カチオンラジカルの移動を阻害することができ、過充電防止剤の分解反応を促進することができたと考えられる。
かかる結果は、本発明の適用効果(即ち、高温環境下におけるガス発生量の増大)を示すものである。さらに、該密閉型リチウム二次電池においては、過充電防止剤の反応効率が高いため、従来に比べ少ない量の過充電防止剤で、高温時においても電流遮断装置を確実に作動させるために必要なガス量を得られるものと考えられる。
また、多孔質耐熱層付のセパレータを用いた例3、4では、PE製のセパレータのみを用いた例1、2に比べて、釘刺し試験時における最高到達温度が大幅に低下した。これは、セパレータに耐熱性の高い多孔質耐熱層を形成することにより、釘刺しによってもセパレータが拠れたりせず、正極と負極とが接する箇所(即ち、短絡した箇所)が生じなかったためと考えられる。
これらの結果から、ここで開示される密閉型リチウム二次電池は従来に比べ該電池の信頼性(過充電や内部短絡への耐性)を向上させ得ることが示された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 自動車(車両)
10 正極シート(正極)
12 正極集電体
14 正極合材層
20 負極シート(負極)
22 負極集電体
24 負極合材層
30 電流遮断機構
32 変形金属板(第一部材)
34 接続金属板(第二部材)
38 絶縁ケース
40A、40B セパレータシート
42A、42B 多孔質耐熱層付セパレータシート
50 電池ケース
52 ケース本体
54 蓋体
70 正極端子
72 負極端子
74 正極集電板
76 負極集電板
80 捲回電極体
100 密閉型リチウム二次電池

Claims (10)

  1. 電極体と電解質とが所定の電池ケース内に収容された密閉型リチウム二次電池であって、
    所定の電池電圧を超えた際にガスを発生させる添加剤と、該ガスの発生によって前記電池ケースの内圧が上昇した際に作動する電流遮断機構と、を備えており、
    ここで、前記電極体は、相互に独立し且つ重ね合わされた2枚以上のセパレータを介して、正極と負極とが対向した構造であることを特徴とする、密閉型リチウム二次電池。
  2. 前記電極体は、
    相互に独立した2枚以上の長尺状のセパレータと、
    長尺状の正極集電体上に、所定の幅の正極合材層が該集電体の長手方向に沿って形成されている長尺状の正極と、
    長尺状の負極集電体上に、所定の幅の負極合材層が該集電体の長手方向に沿って形成されている長尺状の負極と、を備え、
    前記2枚以上のセパレータを介して、前記長尺状の正極と、前記長尺状の負極とが対向した状態で積層され、長手方向に捲回されてなる捲回電極体である、請求項1に記載の密閉型リチウム二次電池。
  3. 前記セパレータのうち少なくとも1枚は、該セパレータの一方の表面に、無機フィラーを含む多孔質耐熱層を備える、請求項1または2に記載の密閉型リチウム二次電池。
  4. 前記多孔質耐熱層を備えるセパレータを含む2枚以上のセパレータは、該多孔質耐熱層がセパレータ間に挟まれた状態で配置されている、請求項3に記載の密閉型リチウム二次電池。
  5. 前記無機フィラーは、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、シリカ、ベーマイト、およびチタニアからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいる、請求項3または4に記載の密閉型リチウム二次電池。
  6. 前記2枚以上のセパレータの総厚みは5μm以上70μm以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の密閉型リチウム二次電池。
  7. 前記2枚以上のセパレータ全体の気孔率は30体積%〜80体積%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の密閉型リチウム二次電池。
  8. 前記添加剤として、シクロヘキシルベンゼンまたはビフェニルを含んでいる、請求項1から7のいずれか一項に記載の密閉型リチウム二次電池。
  9. 前記添加剤の添加量が、前記電解質100質量%に対し、0.5質量%以上5質量%以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の密閉型リチウム二次電池。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の密閉型リチウム二次電池を駆動用電源として備える車両。
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