JP2013161680A - 光拡散カバー及び拡散光源 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 光拡散カバー40の素材をガラス管56とし、ガラス管56の内側表面に平均粒径が0.05μm〜0.5μmである金属酸化物Xからなる厚さ0.05〜5μmの保護膜70を形成した後に、膜内に0.1μm〜2.0μmの空洞を備えた5μm〜20μmの厚さの光拡散膜80を内側に形成する。光拡散膜80は、樹脂81と平均粒径が0.05μm〜20μmである金属酸化物Yの粒子を用い、光拡散膜80中の金属酸化物Yの含有率が10%から70%である。この光拡散膜80をガラス管56内の保護膜70の内側に5〜20μmの厚さで形成する。
【選択図】図4
Description
また、LED本体とランプ管を接合するため、接着剤塗布部分には光拡散膜を形成しない部分(アパーチャー)を作成し、光拡散膜による接着力低下を避けている。
ランプ管に光拡散膜を形成しない部分(アパーチャー)を作成する場合、アパーチャーを作成する作業が必要になる。
また、光拡散膜による接着力の低下を改善したい。
前記ガラスの片方の面に、樹脂と平均粒径が0.05μm〜20μmである金属酸化物Yとからなる光拡散膜と
を備え、
前記光拡散膜に対し金属酸化物Yが10%から70%未満の体積比で存在し、
前記光拡散膜の厚さは5〜20μmであることを特徴とする。
前記金属酸化物Yの粒子径が1.0μm±10%、
前記光拡散膜の膜厚が10.0μm±10%
であることを特徴とする。
前記保護膜は、平均粒子径が50〜500nmである金属酸化物Xからなり、
前記保護膜の厚さは0.5〜5.0μmであることを特徴とする。
前記保護膜の膜厚が1.0μm±10%
であることを特徴とする。
前記光拡散膜は、ガラス管の内側全周に設けられたことを特徴とする。
前記光拡散カバーと、
発光ダイオード(LED)を搭載した発光部とを備え、
光拡散膜と発光部とを接着剤で接着したことを特徴とする。
また、光拡散膜による接着力の低下が改善でき、アパーチャーを作成する作業が不要になる。
さらに、光拡散膜がガラスとよく密着することにより、ガラスの物理的強度を向上させることができる。
図1は、実施の形態1の拡散光源50を示す図である。拡散光源50は、例えば、発光ダイオードランプである。
拡散光源50は、筒状のガラス管56を有している。ガラス管56は、透明な又は透光性のある直管形ガラス管である。
発光部60は、ガラス管56に収納されて発光方向に光を発光する。発光部60は、ガラス管56の長手方向に渡って延在している。
基板52は、複数のLED51を均等に配置配列している。
各口金55は、一対の給電端子58を備えている。給電端子58の本数や形は、図に限らず他の本数でも他の形状でもよい。
ガラス管56の内周面全体に、保護膜70が形成されている。保護膜70は、保護層と呼ばれることもある。
さらに、保護膜70の内周面全体に、光拡散膜80が形成されている。光拡散膜80は、光拡散層と呼ばれることもある。
ヒートシンク54の下面(裏面)の一部分に接着剤90が塗布されて、光拡散膜80に接着されている。
長手方向と直交する平面によるヒートシンク54の断面形状は、D字状形状あるいは半月形状をしている。ヒートシンク54は、平板部62と弧状部63とからなる一体成型された一つの部品である。ヒートシンク54の断面中央には、中空部64がある。中空部64の円弧部分の下方に弧状部63があり、中空部64の上方の弦部分に平板部62がある。
光拡散カバー40は、ガラス管56と保護膜70と光拡散膜80とからなる。
ガラス管56には、保護膜70と光拡散膜80とが、ガラス管56の長手方向全部に渡り、かつ、ガラス管56の内周全周に渡り、積膜されている。
ガラス管56の内面には、ガラス内面傷57が存在する。このガラス内面傷57は、ガラス管56の外観に筋や線をとなって視覚的に現れ、膜肌の美観を損なう原因となる。
図5は、図4のB部の拡大図である。
金属酸化物Xは、例えば、平均粒子径が0.05〜0.5μmの微粒子シリカである。
保護膜70の厚さは、例えば、0.5〜5μmである。
光拡散膜80における金属酸化物Yの含有率が、例えば、体積比で10%以上70%以下である。あるいは、光拡散膜80における樹脂81の含有率が、体積比で90%以上30%以下である。
光拡散膜80が金属酸化物Yと樹脂81とのみからなる場合、光拡散膜80は、体積比で、金属酸化物Yの含有率が10%以上70%以下であり、かつ、樹脂81の含有率が90%以上30%以下である。
金属酸化物Yは、例えば、平均粒子径が0.05〜20μmのシリカである。
光拡散膜80の厚さは、例えば、5〜20μmである。
空洞82は、樹脂81内の気泡が残ってできた空間である。空洞82には、樹脂81と金属酸化物Yとが存在しない。
金属酸化物Yを分散させた懸濁液は気泡交じりであるが、懸濁液を放置すれば、懸濁液から気泡が消滅する。通常は気泡のない懸濁液を塗布する。しかし、この実施の形態では、気泡交じりの懸濁液を意図的に塗布することにより、乾燥後に空洞ができるようにしている。
1.ガラス内面傷57への金属酸化物Xの充填
保護膜70は、ガラス管56の内周にあるガラス内面傷57に入り込み、ガラス内面傷57を外部なら見えないようにする。このためガラス管56の美的外観が向上する。
樹脂81をガラス内面に塗布する場合、ガラス表面の細かい傷(ガラス内面傷57)に樹脂81が入ることができず、光屈折率が変わる、もしくは、ガラス表面の細かい傷により、液の流れが不規則となることにより塗りムラとなる問題があった。また、金属酸化物Yの粒子は粒子径が大きいのでガラス内面傷57に入ることができにくいが、金属酸化物Xの粒子径は小さいのでガラス内面傷57に入りやすい。
金属酸化物Xがガラス内面傷57に充填されることにより、外観からガラス内面傷57による膜肌の荒れをなくすことができる。
2.光の拡散
保護膜70の金属酸化物Xにより、光を拡散する。
1.光拡散膜80の樹脂81は、光拡散膜80の強度を保つために用いられる。
2.光拡散膜80の樹脂81は、ガラス管内部に金属酸化物Yの粒子を膜として形成するために用いられる。
3.光拡散膜80の金属酸化物Yは、光を拡散分散させるための光拡散剤として用いられる。
4.光拡散膜80の空洞82は、光の透過率(光束比)を向上させるために用いられる。
空洞82に入射した光は、空洞82内の空間を直進し、直進先にある金属酸化物Yの表面で反射する。空洞82が多いほど、かつ、空洞82の体積が大きいほど、樹脂81による光の吸収量が減少し、光の透過率が向上する。
保護膜70がなく、かつ、空洞82がない従来の一般的な光拡散膜の場合、光拡散膜80に入射する光束を100%とすると、ガラス管56から出射される光束は85%であるから、本実施の形態の光拡散カバー40は、光束比を11%以上向上させている。
まず、光拡散カバー40の仕様となる項目は以下のとおりである。
「光拡散膜80体積比」:光拡散膜80の金属酸化物Yと樹脂81との体積比。
「A」:金属酸化物Yをシリカとした場合。
「B」:樹脂81を水溶性熱硬化形樹脂とした場合。
「保護膜70厚さ」:保護膜70の厚さ。
「Xシリカ粒径(保護膜70)」:保護膜70の金属酸化物Xがシリカの場合のシリカ平均粒径
「Yシリカ粒径(光拡散膜80)」:光拡散膜80の金属酸化物Yがシリカの場合のシリカ平均粒径
「光拡散膜80厚さ」:光拡散膜80の厚さ
「空洞82が占める体積比」:光拡散膜80の体積に対して空洞82が占める体積の比
「光束比」:光の透過率。96%以上、望ましくは、97%以上を目安にする。
「拡散性」:光の拡散の度合い。
「膜強度」:JIS規定のひっかき試験による光拡散膜80の接着強度。
「膜肌」:外観の美しさ。ガラス外観の目視による傷、斑点のチェック結果。
二重丸:優良。
一重丸:良好。
三角:普通。
バツ:不良。
なお、以下の記載で、「A〜B」は、A以上B以下を意味する。
以下、「良好」と「優良」の状態を、良好状態と呼ぶ。
比較例1は、光拡散膜80の体積比が金属酸化物Yの含有率が5%であり樹脂81の含有率が95%で、保護膜70がなく、かつ、空洞82がない。
比較例1では、拡散性と膜肌に難点が見られた。
実施例1〜6では、比較例1に対して保護膜70を形成し、保護膜70の厚さを変化させ、かつ、光拡散膜80の厚さを変化させた。
実施例1〜6に示すように、保護膜70の厚さが0.1〜10μmの場合、かつ、光拡散膜80の厚さが5〜40μmの場合、比較例1と比べて、膜肌が改善された。
また、光拡散膜80の厚さが厚くなるほど、光束比が低下するが、拡散性が改善された。
実施例7では、実施例5の光拡散膜80の厚さが20μmの場合(拡散性と膜肌と膜強度が良好状態の場合)に、金属酸化物Xの粒径を変化させた。
実施例7に示すように、金属酸化物Xの粒径が0.05〜0.5μmの場合、拡散性と膜肌と膜強度が良好状態のまま、光束比が98%以上に向上した。
実施例8に示すように、体積比で、金属酸化物Yの含有率が10%〜70%であり、樹脂81の含有率が90%〜30%の場合、金属酸化物Yの含有量が高いほど拡散性は向上したが、光束比がやや低下した。
実施例9に示すように、金属酸化物Yの粒径が0.05〜20μmの場合、光束比がやや落ちるが良好状態を満足する。
金属酸化物Yの粒径が、30μmになると光束比が大きく低下する。
実施例10では、実施例9の金属酸化物Yの粒径を20μmにし、空洞82を形成して、空洞82の光拡散膜80に占める体積比を変化させた。空洞82の大きさは2μm以下とした。
実施例10は、実施例9と比較して、空洞82の存在により光束比が向上した。
空洞82の光拡散膜80に占める体積比が増えるほど、光束比が向上する。空洞82の光拡散膜80に占める体積比が50%以上の場合は、拡散性が優良から良好に低下するとともに膜強度が弱くなるので、空洞82の光拡散膜80に占める体積比は50%未満がよく、30%以下がよい。
1.保護膜70と空洞82とがない場合と、
2.保護膜70があり空洞82がない場合と、
3.保護膜70があり空洞82が30%ある場合との結果である。
保護膜70がない場合、光束比は98.5%に向上する。
空洞82がある場合は、空洞82がない場合(空洞82が0%の場合)に比べて、光束比が向上する。しかし、空洞82がない場合(空洞82が0%の場合)でも、光拡散膜80が薄くなったため光束比が98.5%ある。
保護膜70があり空洞82が30%ある場合、光拡散膜80の厚さを5μmにしても、拡散性と膜肌と膜強度とが低下せず良好状態であり、光拡散膜80が薄くなったため、光束比が99.0%に向上した。すなわち、光拡散膜80が、5μmの薄い膜になっても、拡散効果が維持でき、光束比が改善された。
1.実施例1〜6によれば、光拡散膜80が厚くなれば、拡散性は向上するが、光束比が落ちる。
実施例1〜6によれば、光束比を96.5%以上にするには、光拡散膜80の厚さは、0.05〜20μmがよい。
2.実施例9によれば、光拡散膜80の金属酸化物Yの粒径が大きくなれば、光束比が落ちる。
光束比を97.0%以上にするには、金属酸化物Yの粒径は、5〜20μmがよい。
3.実施例1〜4によれば、保護膜70の厚さが0.1〜3.0μmの範囲では、光束比が変化しない。保護膜70の厚さが5.0μmでも、光束比は0.1〜3.0μmの場合とさほど変わらない。
4.実施例7によれば、保護膜70の金属酸化物Xの粒径が大きくなれば、光束比が落ちる。保護膜70の金属酸化物Xの粒径が0.05〜0.5μmの範囲では、光束比が98%以上であり、かつ良好状態になる。
保護膜70の金属酸化物Xの粒径が小さくなれば、拡散性が落ちる。保護膜70の金属酸化物Xの粒径が0.01では、厚い膜ができなくない、拡散性が落ちた。
5.実施例8によれば、金属酸化物Yの含有量が増えれば、拡散性は向上するが、光束比が落ちる。金属酸化物Yの含有量が10%〜70%であれば、拡散性は優良である。
6.実施例10によれば、空洞82の体積比が増えるほど光束比が向上する。空洞82の体積比が50%未満であれば、光束比と拡散性と膜肌と膜強度が良好状態である。
「光拡散膜80体積比」:金属酸化物Yの含有率が40%、樹脂81の含有率が60%
「保護膜70厚さ」:1.0μm
「Xシリカ粒径(保護膜70)」:0.1μm
「Yシリカ粒径(光拡散膜80)」:1.0μm
「光拡散膜80厚さ」:10.0μm
「空洞82が占める体積比」:0%又は30%
空洞82がない場合、光束比が98.5%になり、拡散性が優良になり、膜強度と膜肌が良好になる。空洞82が30%ある場合、光束比が99.0%になり、なおよい。
「光拡散膜80体積比」:金属酸化物Yの含有率が10%〜70%、樹脂81の含有率が90%〜30%
「保護膜70厚さ」:0.5〜5μm
「Xシリカ粒径(保護膜70)」:0.05〜0.5μm
「Yシリカ粒径(光拡散膜80)」:0.05〜20μm
「光拡散膜80厚さ」:5〜20μm
「空洞82が占める体積比」:0%以上50%未満
「光拡散膜80体積比」:金属酸化物Yの含有率が10%〜70%であり、樹脂81の含有率が90%〜30%
「保護膜70厚さ」:5.0μm
「Xシリカ粒径(保護膜70)」:0.5μm
「Yシリカ粒径(光拡散膜80)」:0.05μm
「光拡散膜80厚さ」:20μm
「空洞」:無。
「光拡散膜80体積比」:金属酸化物Yの含有率が10%であり、樹脂81の含有率が90%
「保護膜70厚さ」:5.0μm
「Xシリカ粒径(保護膜70)」:0.5μm
「Yシリカ粒径(光拡散膜80)」:0.05〜1μm
「光拡散膜厚」:20μm
「空洞」:無。
「光拡散膜80体積比」:金属酸化物Yの含有率が10%であり、樹脂81の含有率が90%
「保護膜70厚さ」:5.0μm
「Xシリカ粒径(保護膜70)」:0.5μm
「Yシリカ粒径(光拡散膜80)」:20μm
「光拡散膜80厚さ」:20μm
「空洞82が占める体積比」:30%以上50%未満
「光拡散膜80体積比」:金属酸化物Yの含有率が10%であり、樹脂81の含有率が90%
「保護膜70厚さ」:5.0μm
「Xシリカ粒径(保護膜70)」:0.5μm
「Yシリカ粒径(光拡散膜80)」:20μm
「光拡散膜80厚さ」:5μm
「空洞82が占める体積比」:0%〜30%
「光拡散膜80体積比」:金属酸化物Yの含有率が10%〜70%、樹脂81の含有率が90%〜30%
「保護膜70厚さ」:5μm
「Xシリカ粒径(保護膜70)」:0.5μm
「Yシリカ粒径(光拡散膜80)」:0.05〜20μm
「光拡散膜80厚さ」:5〜20μm
「空洞82が占める体積比」:0%〜30%
「光拡散膜80体積比」:金属酸化物Yの含有率が10%、樹脂81の含有率が90%
「保護膜70厚さ」:5μm
「Xシリカ粒径(保護膜70)」:0.5μm
「Yシリカ粒径(光拡散膜80)」:0.05〜1μm
「光拡散膜80厚さ」:5〜20μm
「空洞82が占める体積比」:0%以上30%
「光拡散膜80体積比」:金属酸化物Yの含有率が10%〜70%、樹脂81の含有率が90%〜30%
「保護膜70厚さ」:5μm
「Xシリカ粒径(保護膜70)」:0.5μm
「Yシリカ粒径(光拡散膜80)」:0.05〜20μm
「光拡散膜80厚さ」:20μm
「空洞82が占める体積比」:0%
この実施の形態の光拡散カバー40は、素材をガラス管56とし、ガラス管56の内側表面に金属酸化物Xからなる0.05〜5μmの保護膜70を形成した後に、膜内に0.1μm〜2.0μmの空洞を備えた5μm〜20μmの厚さの光拡散膜80を内側に形成させる。
このため、光拡散膜による光束低下を軽減しつつ、20μmより厚い拡散膜と同等以上の光拡散効果の得られる光拡散膜を提供する。
また、光拡散膜80の膜内に、径が2.0μm以下(0.1μm〜2.0μm)の空洞を備えている。
また、ガラス管56と光拡散膜80の間に、平均粒径が0.05μm〜0.5μmである金属酸化物Xの粒子からなる保護膜70を形成する。
金属酸化物Xと金属酸化物Yは、シリカが好適であるが、チタニア、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛のうち、少なくとも1つを含む。また、樹脂81は、水溶性熱硬化樹脂が好適である。
空洞化をすることで、層内の樹脂比率が減少し、着色、光束低下を抑制することができる。
以下、実施の形態1と異なる点を説明する。
図11に示すように、この実施の形態2の光拡散カバー40は、保護膜70がない。ガラス管56の内面に形成されている光拡散膜80は全周にある。
一方、図12は、比較例であるが、ガラス管56の内面に形成されている光拡散膜80は、全周にない。アパーチャー91には、光拡散膜80が存在していない。比較例では、接着剤90は、光拡散膜80のアパーチャー91に塗布され、ガラス管56の内面とヒートシンク54の外周面とを接着する。
このため、光拡散膜80の上から接着剤90を塗っても接着力が落ちることがなくなり、アパーチャー91を作成することなく、光拡散膜80を塗布することができる。
これにより、接着剤90の塗布部分が目立たなくなり、接着剤塗布の幅に気を使わなくてよい分、生産性が向上する。
また、金属酸化物Yを結晶性シリカとすることで、LED本体(ヒートシンク54)からガラス管56への熱伝導率を向上させることができる。
まず、仕様となる項目は以下のとおりである。
「光拡散膜80体積比」:光拡散膜80の金属酸化物Yと樹脂81との体積比。
「A1」:金属酸化物Yを結晶性シリカとした場合。
「A2」:金属酸化物Yをアルミナとした場合。
「A3」:金属酸化物Yをチタニアとした場合。
「B」:樹脂81を水溶性熱硬化樹脂とした場合。
「Y 粒径(光拡散膜80)」:光拡散膜80の金属酸化物Yの平均粒径。
「光拡散膜80厚さ」:光拡散膜80の厚さ。
「アパーチャー91」:アパーチャー91の有無。
「光束比」:光の透過率。96%以上、望ましくは、97%以上を目安とする。
「拡散性」:光の拡散度合い。
「膜強度」:JIS規定のひっかき試験による光拡散膜80の接着強度。
「ガラス強度」:ガラスの衝撃に対する耐性。
「接着強度」:加速試験による40000時間点灯後のシリコン接着剤との接着強度
二重丸:優良。
一重丸:良好。
三角:普通。
バツ:不良。
なお、以下の記載で、「A〜B」は、A以上B以下を意味する。
「良好」と「優良」の状態を、良好状態とする。
図13は、比較例1のデータ図である。アパーチャー91は有りである。
比較例1は、光拡散膜80の体積比が金属酸化物Yの含有率が5%であり樹脂81の含有率が95%で、光拡散膜80の厚さを変化させた。
比較例1では、光束比と拡散性に難点が見られる。
実施例1では、比較例1の、光拡散膜80の厚さが20μmの場合に、光拡散膜80の金属酸化物Yと樹脂81との体積比を変化させた。アパーチャー91は有りである。
実施例1に示すように、体積比で、金属酸化物Yの含有率が10%〜80%であり、樹脂81の含有率が90%〜20%の場合、金属酸化物Yの含有率が高いほど拡散性は向上したが、光束比にやや難点がある。
ガラス強度は良好である。
実施例2に示すように、金属酸化物Yの粒径が0.05〜20μmの場合、光束比が96.5%以上でかつ良好状態を満足する。
光拡散膜80の金属酸化物Yの粒径が、大きくなると光束比が低下する。光拡散膜80の金属酸化物Yの粒径が30μmでは光束比が大きく低下する。
ガラス強度は良好である。
実施例3は、実施例2と比較して、光拡散膜80と接着剤90との接着強度は良好のままで接着強度は低下していない。
また、アパーチャー91が無いと、ガラス強度が優良になる。アパーチャー91が無いと、光拡散膜80が全周に形成され、この円筒状に形成された光拡散膜80がガラス管56の内面を補強することになり、ガラス強度が上がるものと考えられる。
実施例5では、金属酸化物Yをアルミナにしている。
実施例6では、金属酸化物Yをチタニアにしている。
実施例5と実施例6の場合、実施例3と同様に、アパーチャー91が無いのでガラス強度が上がる。しかし、光拡散膜80と接着剤90との接着強度は、不良になってしまう。
「光拡散膜80体積比」:金属酸化物Yの含有率が40%、樹脂81の含有率が60%
「Y粒径(光拡散膜80)」:1.0μm
「光拡散膜80厚さ」:10.0μm
「アパーチャー91」:無
このとき、光束比が98%になり、拡散性とガラス強度が優良になり、膜強度と接着強度が良好になる。
「光拡散膜80体積比」:金属酸化物Yの含有率が10%〜80%、樹脂81の含有率が90%〜20%
「Y粒径(光拡散膜80)」:0.05〜20μm
「光拡散膜80厚さ」:5〜20μm
「アパーチャー91」:無
なお、「Y粒径(光拡散膜80)」を5μm以上としたのは、拡散性を確保するためである。また、実施の形態1の下限値と同じにしたからである。「Y粒径(光拡散膜80)」が20μmである場合に、接着強度が良好状態になるのであれば、「Y粒径(光拡散膜80)」が20μm以下の薄い状態になれば、接着強度が良好状態になるはずである。
「光拡散膜80体積比」:結晶性シリカの含有率が20%であり、樹脂81の含有率が80%
「Y粒径(光拡散膜80)」:15μm
「光拡散膜80厚さ」:20μm
「アパーチャー91」:無
そして、この実施の形態の拡散光源50は、ガラス管56とLED本体(ヒートシンク54)との接合に、シリコーン系の接着剤90を用いる。
接着剤90はシリコーン系の接着剤で、金属酸化物Yは結晶性シリカなので、光拡散膜80の上から接着剤90を塗っても光拡散膜80と接着剤90との接着力が落ちない。また、金属酸化物Yを結晶性シリカにすれば、接着剤90とガラス管56との間の熱伝導性が向上する。
また、実施の形態1と同様に、ガラス管56と光拡散膜80との間に、ガラス管56の内側全周に設けられた保護膜70であって、金属酸化物Xからなる保護膜70を備えていてもかまわない。その際、金属酸化物Xはシリカがよい。
以下、実施の形態1、2と異なる点を説明する。
光拡散膜80を形成する樹脂として、水溶性熱硬化樹脂を用いる。さらに、水溶性熱硬化樹脂に亜硫酸ソーダなどの還元剤を加える。例えば、還元剤は、チオ硫酸ナトリウムが望ましい。
実施の形態1又は2の光拡散カバー40の樹脂81に、水溶性熱硬化樹脂に亜硫酸ソーダなどの還元剤を加えることにより、長時間経過後の樹脂81の酸化を防ぎ、劣化による光束低下を軽減しつつ、長時間経過後でも明るく光拡散効果の得られる光拡散カバー40を提供できる。
以上の各実施の形態及び各実施例において、光拡散カバーの素材に筒状のガラス管を用いたが、本発明の適用形状は管状とは限らない。例えば、平面又は曲面のガラス板の少なくとも片側一方に拡散膜を形成すれば、平面上の又は曲面状の拡散光源に応用することも可能である。
また、光源はLEDでなくてもよく、光を発するものであればよい。
また、保護膜70と光拡散膜80には、上記以外の物質が例えば10%程度又は5%程度以内の範囲で混入していてもかまわない。
Claims (12)
- ガラスと、
前記ガラスの片方の面に、樹脂と平均粒径が0.05μm〜20μmである金属酸化物Yとからなる光拡散膜と
を備え、
前記光拡散膜に対し金属酸化物Yが10%から70%未満の体積比で存在し、
前記光拡散膜の厚さは5〜20μmであることを特徴とする光拡散カバー。 - 前記光拡散膜の体積比において、金属酸化物Yの含有率が40%±10%、樹脂の含有率が60%±10%、
前記金属酸化物Yの粒子径が1.0μm±10%、
前記光拡散膜の膜厚が10.0μm±10%
であることを特徴とする請求項1に記載の光拡散カバー。 - 前記光拡散膜と前記ガラスの間に、金属酸化物Xの保護膜が形成され、
前記保護膜は、平均粒子径が50〜500nmである金属酸化物Xからなり、
前記保護膜の厚さは0.5〜5.0μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の光拡散カバー。 - 前記金属酸化物Xの粒子径が0.1μm±10%、
前記保護膜の膜厚が1.0μm±10%
であることを特徴とする請求項3に記載の光拡散カバー。 - 前記光拡散膜は、2μm以下の空洞が50%未満の体積比で存在することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の光拡散カバー。
- 前記光拡散膜は、空洞が30%±10%の体積比で存在することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の光拡散カバー。
- 前記金属酸化物は、チタニア、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の光拡散カバー。
- 前記樹脂は、水溶性熱硬化樹脂であることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の光拡散カバー。
- 前記ガラスは、ガラス管であり、
前記光拡散膜は、ガラス管の内側全周に設けられたことを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の光拡散カバー。 - 前記樹脂は、還元剤を含むことを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の光拡散カバー。
- 前記請求項1〜10いずれかに記載の光拡散カバーと、
発光ダイオード(LED)を搭載した発光部とを備え、
光拡散膜と発光部とを接着剤で接着したことを特徴とする拡散光源。 - 前記金属酸化物Yは、結晶性シリカであり、接着剤は、シリコーン系接着剤であることを特徴とする請求項11記載の拡散光源。
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