JP2013160627A - 高炉出銑温度測定方法、高炉出銑温度測定システム、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 - Google Patents

高炉出銑温度測定方法、高炉出銑温度測定システム、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】出銑流の熱画像の濃度ヒストグラムから溶銑の濃度分布に対応するピークを正確に検出できるようにする。
【解決手段】出銑流の熱画像の濃度ヒストグラム400におけるスラグ最高濃度402に、溶銑分布ピーク403の濃度とスラグ最高濃度402との比の上下限値を乗算して、溶銑分布ピーク探索範囲401を設定する。そして、溶銑分布ピーク探索範囲401の範囲内で画素数が最大となる濃度を、溶銑分布ピーク403の濃度として導出し、導出した溶銑分布ピーク403の濃度から、放射測温法の原理で溶銑の温度を導出する。
【選択図】図4

Description

本発明は、高炉出銑温度測定方法、高炉出銑温度測定システム、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関し、特に、高炉の出銑口から流出する溶銑の温度を測定するために用いて好適なものである。
高炉内部の高温還元反応により生成された溶銑と溶融スラグは、炉底に滴下して湯溜まりを形成している。湯溜まりが形成されている位置には出銑口がある。出銑口にはマッド材が充填されている。出銑口は、出銑に際し、ドリル等で機械的に開孔される。このようにして貫通孔を開けると、溶銑と溶融スラグとの混合物(以下、「出銑流」と称する)が出銑口から流出する。
出銑口から取り出される出銑流の温度(以下、「出銑温度」と称する)は、内部を直接観察できない炉下部の熱状態を知るための重要な情報である。出銑温度が低下すれば炉内の還元反応の活性が低下している可能性がある。また、出銑温度の時間経過にも着目する必要がある。出銑温度の急激な変化は炉内で何らかの非定常状態が発生している疑いがあることを示唆するので、炉内の状況を迅速に且つ的確に判断して操業アクションをとる必要がある。このように出銑温度は常に注意深く監視すべき操業情報である。
このような出銑温度を測定するための技術として、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1に記載の技術では、出銑流の熱放射輝度の2次元分布を高速シャッターで撮像すると、溶銑と溶融スラグとが分離して観察できることを利用している。
図14は、出銑流の熱画像(撮像画像)と、その熱画像から得られた濃度ヒストグラムの一例を示す図である。ここで、濃度とは、例えば256階調の画像の明暗(すなわち、画像上の輝度)のことを指す。この濃度と、出銑流における熱放射輝度との関係は、リニアな関係にある。尚、熱画像とは、熱放射輝度を捉えた画像であることを指す。
図14の上図に示すような出銑流の画像1401について、各画素の濃度を濃度階調に分解したものを横軸にし、その濃度階調毎の画素数を縦軸にしたものが、図14の下図に示す濃度ヒストグラム1402となる。濃度ヒストグラム1402において、濃度の低い部分に出現している濃度分布1403は、出銑流の画像1401における背景1401aの画像(黒色の部分の画像)に起因するものである。濃度の高い部分には2つの濃度分布1404、1405が出現しており、これら2つの濃度分布1404、1405のうち、濃度の低い方の濃度分布1404は、溶銑1401bの画像(灰色の部分の画像)に起因するものであり、濃度の高い方の濃度分布1405は、溶融スラグ1401cの画像(白色の部分の画像)に起因するものである。
ここで、溶銑及び溶融スラグの濃度レベルが1点に集中せずに分布を有するのは、大気との接触による表面の局所的な温度ばらつきがあることや、出銑流表面に凹凸がある箇所では見かけの放射率が変化しているためと考えられる。
特許文献1に記載の技術では、以上のような濃度ヒストグラムを得た後、まず、発光源がないために分布がほとんど変化しない背景部(濃度分布1403)の山を濃度値が大きい(輝度の高い)側に越えたところに始点Kを定め、始点Kから濃度値が大きい側に向けて、隣り合う濃度における画素数の大小を比較することを順次行い、最初に検出されるピークを探索する。このようにして探索されたピークを溶銑の濃度とし、この濃度から放射測温の原理で溶銑の温度(の代表値)を導出するようにしている。
特許第4516854号公報 特開2009−236898号公報
しかしながら、前述した特許文献1に記載の技術では、真の溶銑の濃度に対応しないピークを、溶銑の濃度分布に対応するピークとして検出する虞がある。
図8(b)に示すように、濃度ヒストグラム800に、ノイズ等の影響により、溶銑の濃度分布に対応するピーク803よりも低輝度側に小さなピーク805があると、特許文献1に記載の技術では、ピーク805を溶銑の濃度分布に対応するピークであるとして検出してしまう。そうすると、導出される溶銑の温度が、実際の溶銑の温度と異なる値となってしまい、溶銑の温度を高精度に測定することができなくなる虞がある。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、出銑流の熱画像の濃度ヒストグラムから溶銑の濃度分布に対応するピークを正確に検出できるようにすることを目的とする。
本発明の高炉出銑温度測定方法は、高炉に形成された出銑口から流出した溶融物を含む領域の熱放射輝度分布を、当該熱放射輝度に対応する画素毎の濃度値を持つ各画素から構成される画像として撮像する撮像工程と、前記撮像工程により撮像された画像の画素毎の濃度と画素数との関係を示す濃度ヒストグラムとして、溶銑の濃度分布と、溶融スラグの濃度分布とを含む濃度ヒストグラムを作成する濃度ヒストグラム作成工程と、前記濃度ヒストグラム作成工程により作成された濃度ヒストグラムに対して、溶銑の濃度分布において画素数が最大となる濃度である溶銑濃度分布ピークの探索範囲を設定する溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定工程と、前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定工程により設定された溶銑濃度分布ピークの探索範囲内で、画素数が最大となる濃度を、前記溶銑濃度分布ピークの濃度として前記濃度ヒストグラムから抽出する溶銑濃度分布ピーク抽出工程と、前記溶銑濃度分布ピーク抽出工程により抽出された溶銑濃度分布ピークの濃度に基づいて、溶銑の温度を導出する溶銑温度導出工程と、を有し、前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定工程は、予め設定された、前記溶銑の濃度分布において画素数が最大となる濃度である溶銑濃度分布ピークの濃度と、前記溶融スラグの濃度分布における最高の濃度であるスラグ最高濃度と、の比である濃度比の上限値及び下限値と、前記濃度ヒストグラムにより作成された濃度ヒストグラムにおける前記スラグ最高濃度と、に基づいて、前記溶銑濃度分布ピークの探索範囲を導出することを特徴とする。
本発明の高炉出銑温度測定システムは、高炉に形成された出銑口から流出した溶融物を含む領域の熱放射輝度分布を、当該熱放射輝度に対応する画素毎の濃度値を持つ各画素から構成される画像として撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像の画素毎の濃度と画素数との関係を示す濃度ヒストグラムとして、溶銑の濃度分布と、溶融スラグの濃度分布とを含む濃度ヒストグラムを作成する濃度ヒストグラム作成手段と、前記濃度ヒストグラム作成手段により作成された濃度ヒストグラムに対して、溶銑の濃度分布において画素数が最大となる濃度である溶銑濃度分布ピークの探索範囲を設定する溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定手段と、前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定手段により設定された溶銑濃度分布ピークの探索範囲内で、画素数が最大となる濃度を、前記溶銑濃度分布ピークの濃度として前記濃度ヒストグラムから抽出する溶銑濃度分布ピーク抽出手段と、前記溶銑濃度分布ピーク抽出手段により抽出された溶銑濃度分布ピークの濃度に基づいて、溶銑の温度を導出する溶銑温度導出手段と、を有し、前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定手段は、予め設定された、前記溶銑の濃度分布において画素数が最大となる濃度である溶銑濃度分布ピークの濃度と、前記溶融スラグの濃度分布における最高の濃度であるスラグ最高濃度と、の比である濃度比の上限値及び下限値と、前記濃度ヒストグラムにより作成された濃度ヒストグラムにおける前記スラグ最高濃度と、に基づいて、前記溶銑濃度分布ピークの探索範囲を導出することを特徴とする。
本発明のコンピュータプログラムは、高炉に形成された出銑口から流出した溶融物を含む領域の熱放射輝度分布を、当該熱放射輝度に対応する画素毎の濃度値を持つ各画素から構成される画像の画素毎の濃度と画素数との関係を示す濃度ヒストグラムとして、溶銑の濃度分布と、溶融スラグの濃度分布とを含む濃度ヒストグラムを作成する濃度ヒストグラム作成工程と、前記濃度ヒストグラム作成工程により作成された濃度ヒストグラムに対して、溶銑の濃度分布において画素数が最大となる濃度である溶銑濃度分布ピークの探索範囲を設定する溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定工程と、前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定工程により設定された溶銑濃度分布ピークの探索範囲内で、画素数が最大となる濃度を、前記溶銑濃度分布ピークの濃度として前記濃度ヒストグラムから抽出する溶銑濃度分布ピーク抽出工程と、前記溶銑濃度分布ピーク抽出工程により抽出された溶銑濃度分布ピークの濃度に基づいて、溶銑の温度を導出する溶銑温度導出工程と、をコンピュータに実行させ、前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定工程は、予め設定された、前記溶銑の濃度分布において画素数が最大となる濃度である溶銑濃度分布ピークの濃度と、前記溶融スラグの濃度分布における最高の濃度であるスラグ最高濃度と、の比である濃度比の上限値及び下限値と、前記濃度ヒストグラムにより作成された濃度ヒストグラムにおける前記スラグ最高濃度と、に基づいて、前記溶銑濃度分布ピークの探索範囲を導出することを特徴とする。
本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、前記コンピュータプログラムを記憶したことを特徴とする。
本発明によれば、溶銑濃度分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の上下限値と、濃度ヒストグラムにおけるスラグ最高濃度とに基づいて、溶銑濃度分布ピークの探索範囲を導出し、その溶銑濃度分布ピークの探索範囲内で、画素数が最大となる濃度を、溶銑濃度分布ピークの濃度として抽出し、抽出した溶銑濃度分布ピークの濃度に基づいて、溶銑の温度を導出するようにした。したがって、真の溶銑分布ピークの濃度よりも低濃度側に、ノイズ等に起因する小さな疑似濃度分布ピークが存在している場合や、溶銑分布ピークの値よりも溶融スラグ分布ピークの値の方が大きい場合でも、溶銑分布ピークを正確に検出することができる。よって、出銑流の熱画像の濃度ヒストグラムから溶銑の濃度分布ピークを正確に検出することができる。
溶銑分布ピークの濃度と、スラグ分布ピークの濃度と、スラグ最高濃度と、の関係を実測した結果を示す図である。 溶融スラグの厚みと放射率との関係の一例を示す図である。 溶融スラグの熱放射モデルの一例を示す図である。 出銑流の熱画像と、その濃度ヒストグラムの第1の例を示す図である。 出銑流の熱画像と、その濃度ヒストグラムの第2の例を示す図である。 出銑流の熱画像と、その濃度ヒストグラムの第3の例を示す図である。 出銑流の熱画像と、その濃度ヒストグラムの第4の例を示す図である。 出銑流の熱画像と、その濃度ヒストグラムの第5の例を示す図である。 濃度ヒストグラムから得られた情報を示す図である。 高炉出銑温度測定システムの構成の一例を示す図である。 黒体温度と熱画像の濃度との関係の一例を示す図である。 測温装置の機能的な構成の一例を示す図である。 測温装置の処理の一例を説明するフローチャートである。 出銑流の熱画像と、その熱画像から得られた濃度ヒストグラムの一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
<本発明者らが得た知見>
前述したように特許文献1に記載の技術では、図8(b)に示すような濃度ヒストグラム800が得られると、溶銑の濃度分布に対応するピークを誤検出してしまう虞がある。そこで、濃度ヒストグラムの背景部を除く領域において画素数が最大となる濃度を溶銑の濃度として探索することが考えられる。
しかしながら、図5(b)に示すように、溶銑の濃度分布に対応するピーク503よりも溶融スラグの濃度分布に対応するピーク504の方が大きな値を有する場合(画素数が大きい場合)、濃度ヒストグラムの背景部を除く領域において画素数が最大となる濃度を溶銑の濃度として探索すると、溶融スラグの濃度分布に対応するピーク504を溶銑の濃度分布に対応するピークであるとして検出してしまう。尚、以下の説明では、このようにして溶銑の濃度を探索する技術を必要に応じて「関連技術」と称する。
このような関連技術に対する課題と、前述した特許文献1に対する課題とに基づき、本発明者らは、溶銑の濃度分布に対応するピークの探索範囲を限定し、その探索範囲内において画素数が最大となる濃度を溶銑の濃度として検出すればよいという知見を得た。以下に、溶銑の濃度分布に対応するピークの探索範囲の設定方法の一例について詳細に説明する。尚、以下の説明では、「溶銑の濃度分布に対応するピーク」を必要に応じて「溶銑分布ピーク」と称し、「溶融スラグの濃度分布に対応するピーク」を必要に応じて「スラグ分布ピーク」と称する。
<溶銑分布ピークの探索範囲>
まず、本発明者らは、種々の出銑状態の出銑流の熱画像の濃度ヒストグラムから、溶銑分布ピークの濃度と、スラグ分布ピークの濃度と、スラグ最高濃度との関係を調査した。本実施形態では、出銑流の熱画像で最も明るい画素の濃度をスラグ最高濃度とする。
図1は、各種の熱画像の濃度ヒストグラムから得られた、溶銑分布ピークの濃度と、スラグ分布ピークの濃度と、スラグ最高濃度と、の関係を実測した結果を表形式で示す図である。図1に示す溶銑分布ピークの濃度と、スラグ分布ピークの濃度と、スラグ最高濃度は、それぞれ、濃度ヒストグラムから人が読み取った値である。また、濃度ヒストグラムを得るために使用した熱画像は256階調の画像である。
溶銑は不透明であるので溶銑の放射率は一定である。よって、溶銑分布ピークの濃度は温度のみの関数となる。図1に示す例では、溶銑分布ピークの濃度は、74〜119の範囲であった(図1の「溶銑分布ピークの濃度」の「最小値」と「最大値」の欄を参照)。このように溶銑分布ピークの濃度の範囲は、溶銑の温度の変動範囲や、撮像装置の露光時間等の撮像条件によって変わるものである。
一方、スラグ分布ピークの濃度は、111〜207の範囲であった(図1の「スラグ分布ピークの濃度」の「最小値」と「最大値」の欄を参照)。尚、図1において、スラグ分布ピークの濃度の欄に「不明」と記載されているのは、濃度ヒストグラムにおけるスラグ分布ピークが不明瞭であるために、スラグ分布ピークの濃度を読み取れなかったことを表す。
以上のように、溶銑分布ピークの濃度の範囲の一部と、スラグ分布ピークの濃度の範囲の一部とが重複することがあることが分かった。そうすると、溶銑分布ピークの探索範囲を、前述した74〜119に対し、上下限共に余裕をみた範囲(例えば60〜130)に定めることはできない。このような範囲の中で画素数が最大となる濃度を溶銑の濃度とすると、図8(b)に示すに、スラグ分布ピークの濃度の方が溶銑分布ピークの濃度よりも大きな値を有する場合、スラグ分布ピークの濃度を溶銑分布ピークの濃度として検出してしまう虞があるからである。
そこで、本発明者らは、濃度ヒストグラムにおけるスラグ最高濃度に基づいて溶銑分布ピークの探索範囲を決めることを試みた。
まず、本発明者らは、溶銑は透明であるので、溶銑の見かけ上の放射率は0.4程度で安定しているという知見を得ている。また、本発明者らは、厚みが十分に厚い溶融スラグが出銑流上に存在していれば、図2に示すように、溶融スラグの見かけ上の放射率は0.96程度で安定するという知見を得ている。本発明者らは、このような溶融スラグの放射率に関する知見を、特許文献2で示している。
ここで、特許文献2に示されている溶融スラグの放射率に関する知見について簡単に説明する。
溶融スラグは光学的に半透明であることから、溶融スラグの放射率は、その温度と厚みに依存する。
図3は、溶融スラグの熱放射モデルの一例を示す図である。図3の上下方向は、出銑流の厚み方向に対応する。
図3において、溶融スラグ自身から大気に放射される放射光301の輝度である放射輝度Is(d)は、溶融スラグの厚みdの関数で表される。溶銑から放射されて溶融スラグを透過して大気に放射される放射光302の輝度である放射輝度Im(d)は、溶融スラグの厚みdの関数で表される。また、撮像装置の一例であるCCDカメラ5で撮像される、溶融スラグの表面から大気に放射される放射光303の見かけ上の放射輝度I(d)は、溶融スラグの厚みdの関数で表され、放射輝度Is(d)と放射輝度Im(d)とを加えたものとなる。尚、放射輝度I(d)、Is(d)、Im(d)が、温度の関数であることは勿論である。また、CCDカメラ5の詳細については後述する。
ここで、放射輝度Is、Imの光線が、溶融スラグと大気(媒質)との間の界面を垂直に通過すると仮定とすると、その界面で生じる放射輝度の損失、つまり、界面反射損失lnは、約0.04(4[%])であると見積もられた。
また、溶融スラグの吸収係数をk[1/mm]、溶銑の放射率をεm[−]とすると、溶融スラグの表面から放射される放射光の見かけ上の放射率ε(d)は、以下の(1)式で表される。
ε(d)=(1−ln)×(1−e-kd+e-kd×εm) ・・・(1)
ここで、溶融スラグの吸収係数kの室温の値として0.37[1/mm]が得られた。そこで、溶融スラグの吸収係数kとして0.37を、界面反射損失lnとして0.04を、溶銑の放射率εmとして0.4をそれぞれ(1)式に代入して、溶融スラグの表面から放射される放射光の見かけ上の放射率ε(d)と、溶融スラグの厚みdとの関係を求めると、図2に示す曲線が得られる。
図2に示すように、溶融スラグの見かけ上の放射率は、溶銑の放射率の値である0.4から、溶融スラグの厚みに応じて増加し、溶融スラグの厚みが10[mm]に達する付近から、0.96に収束する。すなわち、図14の上図に示したようなマーブル模様の熱画像で、溶融スラグの厚み(深さ)が10[mm]程度以上であれば、溶融スラグの見かけ上の放射率の値は安定する。そうすると、前述したように、溶銑の放射率は常に0.4であるので、溶融スラグの見かけ上の放射率と、溶銑の見かけ上の放射率との比は一定になる。
尚、前述したように、溶融スラグの光学係数(吸収係数k等)の値としては、1500[℃]程度の高温時の温度を採用することが望ましいが、そのような温度での値を取得できていない。そこで、前述したように、図2に示す曲線を求めるに際しては、溶融スラグの光学係数(吸収係数k等)の値として、室温の値を使用した。よって、溶融スラグの見かけ上の放射率の収束値は0.96からずれている可能性はある。ただし、溶融スラグの見かけ上の放射率が、その厚みが或る値に達する付近で一定値に収束することは、溶融スラグの光学係数の値によって変わることはない。
図1の説明に戻り、以上のような知見から、溶融スラグの厚み(深さ)が10[mm]程度以上であれば、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比(溶銑分布ピークの濃度/スラグ最高濃度)は、溶銑の見かけ上の放射率と(厚みが十分に厚いときの)溶融スラグの見かけ上の放射率との比(溶銑の見かけ上の放射率/溶融スラグの見かけ上の放射率)と等しくなる。よって、本発明者らは、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比(溶銑分布ピークの濃度/スラグ最高濃度)が、約0.417(=溶銑の見かけ上の放射率(=0.4)/溶融スラグの見かけ上の放射率(=0.96))で一定となるのではないかと考えた。
しかしながら、図1に示すように、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度には関連性はあるものの、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比は0.417で安定している訳ではないことが分かる。出銑流における溶融スラグの存在比率や分布(マーブル模様の態様)によっては、溶融スラグの厚みが光学的に十分に厚くない場合があることや、溶銑と溶融スラグの温度が若干異なること等が、その理由として考えられる。
そこで、本発明者らは、図1に示す結果から、スラグ最高濃度に対して溶銑分布ピークの濃度がどの程度ばらつくのかを調査した。その結果、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比は、それらの平均値μである0.475(図1の「溶銑分プログラムピークの濃度/スラグ最高濃度」の「平均」の欄を参照)の周りでばらついており、その標準偏差σは0.025であった(図1の「溶銑分布ピークの濃度/スラグ最高濃度」の「標準偏差」の欄を参照)。
溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の分布が正規分布であるとした場合、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の全てのデータのうち、99.73[%]のデータが、平均値μの±3σの範囲内に含まれることになる。そこで、本発明者らは、以下の(2)式に示す範囲を溶銑分布ピークの探索範囲とし、その溶銑分布ピークの探索範囲内において画素数が最大となる濃度を溶銑の濃度として検出することを試みた。
スラグ最高濃度×(0.475−3σ)≦溶銑分布ピークの探索範囲≦スラグ最高濃度×(0.475+3σ) ・・・(2)
図4〜図8は、種々の出銑状態の出銑流の熱画像と(各図の(a))、その濃度ヒストグラム(各図の(b))を示す図である。図4(b)〜図8(b)には、溶銑分布ピークの探索範囲401、501、601、701、801を併せて示している。また、図4(a)〜図8(a)に示す熱画像は、何れも256階調の画像である。
また、図9は、図4〜図8に示す濃度ヒストグラム400、500、600、700、800から得られた情報を示す図である。図9の「画像No.」の欄に示されている「1」〜「5」は、それぞれ図4(a)〜図8(a)に示す熱画像であることを表す。以下に、図9に示す情報の意味を説明する。
「スラグ最高濃度」の欄に示す値は、図4(b)〜図8(b)に示すスラグ最高濃度402、502、602、702、802の値である。前述したように本実施形態では、スラグ最高濃度を、熱画像において最も明るい画素の濃度としている。
「溶銑分布ピーク下限濃度」の欄に示す値は、図4(b)〜図8(b)に示す溶銑分布ピークの探索範囲401、501、601、701、801の下限値である。溶銑分布ピーク下限濃度は、各濃度ヒストグラム400、500、600、700、800におけるスラグ最高濃度402、502、602、702、802に、0.4(=0.475−3σ)を掛けた値となる。
「溶銑分布ピーク上限濃度」の欄に示す値は、図4(b)〜図8(b)に示す溶銑分布ピークの探索範囲401、501、601、701、801の上限値である。溶銑分布ピーク上限濃度は、各濃度ヒストグラム400、500、600、700、800におけるスラグ最高濃度402、502、602、702、802に、0.55(=0.475+3σ)を掛けた値となる。
「溶銑分布ピーク濃度」の欄に示す値は、図4(b)〜図8(b)に示す溶銑分布ピークの探索範囲401、501、601、701、801における画素数が最大となる濃度である(図4〜図8に示す溶銑分布ピーク403、503、603、703、803を参照)。
「溶銑見かけ温度」の欄に示す値は、「溶銑分布ピーク濃度」の欄に示す値から得られる溶銑の見かけ上の温度である。溶銑の見かけ上の温度を算出する方法の詳細については後述する。
「放射率補正温度」の欄に示す値は、「溶銑見かけ温度」の欄に示す値に対し、溶銑の放射率を用いて補正を行うことにより得られる溶銑の温度(の代表値)である。放射率補正温度を算出する方法についても後述する。
「偽溶銑分布ピーク濃度」の欄に示す値は、特許文献1に記載の技術や関連技術において探索される溶銑分布ピーク濃度である。
具体的に図5(b)に示す濃度ヒストグラム500では、溶融スラグ分布ピーク504の値の方が、溶銑分布ピーク503の値よりも大きい。したがって、前述した関連技術においては、溶融スラグ分布ピーク504が溶銑分布ピークとして検出される。よって、図9の「画像No.」が「2」の「偽溶銑分布ピーク濃度」の欄に示す値は、溶融スラグ分布ピーク504における濃度の値となる。
また、図8(b)に示す濃度ヒストグラム800では、ノイズ等に起因して低濃度側に小さな疑似溶銑分布ピーク805が存在する。したがって、前述した特許文献1に記載の技術においては、疑似溶銑分布ピーク805が溶銑分布ピークとして検出される。よって、図9の「画像No.」が「5」の「偽溶銑分布ピーク濃度」の欄に示す値は、疑似溶銑分布ピーク805における濃度の値となる。
「偽溶銑見かけ温度」の欄に示す値は、「偽溶銑分布ピーク濃度」の欄に示す値から得られる溶銑の見かけ上の温度であり、「偽放射率補正温度」の欄に示す値は、「偽溶銑見かけ温度」の欄に示す値に対し、溶銑の放射率を用いて補正を行うことにより得られる溶銑の温度である。
図8及び図9に示すように、(2)式に示す範囲を溶銑分布ピークの探索範囲401、501、601、701、801とし、その溶銑分布ピークの探索範囲401、501、601、701、801内において画素数が最大となる濃度を探索することにより、濃度ヒストグラム400、500、600、700、800における溶銑分布ピークと溶融スラグ分布ピークとを良好に分離することができると共に、特許文献1に記載の技術や関連技術では誤検出された溶銑分布ピークを正確に検出することができることが分かる。
尚、図5(b)〜図8(b)に示す濃度ヒストグラム500、600、700、800では、溶融スラグ分布ピーク504、604、704、804を確認することができたが、図4に示す濃度ヒストグラム400では、溶融スラグ分布ピークを読み取ることができなかった。しかし、図4(b)に示す濃度ヒストグラム400から明らかなように、溶銑分布ピークの探索範囲401は、溶融スラグ分布ピークが存在すると推定される濃度よりも低い範囲になる。
以上のような知見を基にして、以下に、本実施形態の高炉出銑温度測定システムのついて詳細に説明する。
<高炉出銑温度測定システム>
図10は、高炉出銑温度測定システムの構成の一例を示す図である。尚、図1では、高炉1全体のうち、出銑口1a付近の一部分のみを示している。
図10に示すように、高炉1の炉底横の側壁部分に形成された出銑口1aから、溶銑と溶融スラグとの混合物(溶融物)が出銑流2として流出している。流出した溶銑と溶融スラグとの混合物2は、出銑樋3に到達し、出銑樋3に沿って流れる。また、出銑口1aと間隔を有して、樋カバー4が出銑樋3を囲むようにして形成されている。
図10に示すように、出銑口1aから流出した直後の出銑流2は、樋カバー4によって遮蔽されていない。本実施形態では、この出銑口1aから流出した直後の出銑流2の熱放射輝度分布を、横方向からモノクロのCCDカメラ5を用いて撮像するようにしている。
本実施形態では、露光時間(シャッタースピード)を極めて短くして、出銑口1aから流出した出銑流2の熱画像(熱放射輝度分布)を撮像することにより、熱画像において、放射輝度の低い部分と、放射輝度の高い部分とが分離されるようにした。
具体的に、本実施形態では、CCDカメラ5の露光時間を1/10000秒として、出銑口1aから流出した出銑流2の熱画像(熱放射輝度分布)を、2次元の濃度分布を示す静止画像として撮像するようにした。
ところで、CCDカメラ5では、0.4[μm]〜0.8[μm]程度の波長帯域の光についてのみ受光感度があり、しかもこの波長帯域内での受光感度は一定ではなく、特有の分光感度特性を有している。そこで、一定の狭い波長を有する光のみを透過する波長選択フィルタをCCDカメラ5に取り付けるようにするのが好ましい。このように波長選択フィルタを用いれば、溶銑の温度を算出するための放射率補正を容易に行うことができるからである。具体的に本実施形態では、中心透過波長が0.65[μm]の光学バンドパスフィルタを波長選択フィルタとして、CCDカメラ5に取り付けた。
また、本実施形態では、CCDカメラ5の温度校正を、黒体炉を用いて予め行っておくようにしている。ここで、温度校正とは、温度の関数である黒体放射輝度と、その黒体放射輝度の物体をCCDカメラ5で撮像して得られた熱画像の濃度との関係を、複数の温度(例えば3点以上)において求めておくことを言う。温度校正の結果は、測温装置6に保存される。ここで、本実施形態では、黒体放射輝度と、その黒体放射輝度の物体をCCDカメラ5で撮像して得られた熱画像の濃度との関係を示す検量線の他に、その検量線から求められる式であって、熱画像の濃度を温度に変換する濃度・温度変換式を、温度校正の結果として測温装置6に保存するようにしている。図11は、黒体温度と熱画像の濃度との関係の一例を示す図である。測温装置6は、図11に示すような曲線を表す濃度・温度変換式を予め保存している。
このようにして温度校正を行ったCCDカメラ5を用いて、出銑口1aから流出した出銑流2の熱画像を撮像する。本実施形態では、640×480画素のCCD(Charge Coupled Devices)を有するCCDカメラ5で、約0.4[mm]の分解能で出銑流を観察した。撮像時の露光時間は、前述したように1/10000秒である。撮像された出銑流2の熱画像のデータは、測温装置6に入力される。測温装置6は、入力した出銑流2の画像のデータから、濃度ヒストグラムを算出し、濃度ヒストグラムに基づいて、前述したようにして溶銑の温度を算出する。
<測温装置6の機能>
図12は、測温装置6の機能的な構成の一例を示す図である。測温装置6は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種のインターフェースを備えた情報処理装置を用いることにより実現することができる。
(熱画像入力部1201)
熱画像入力部1201は、CCDカメラ5で撮像された出銑流2の熱画像のデータを入力して記憶する。
熱画像入力部1201は、例えば、CPUが、CCDカメラ5から通信インターフェースを介して熱画像のデータを入力してHDD等に格納することにより実現される。
(濃度ヒストグラム作成部1202)
濃度ヒストグラム作成部1202は、熱画像入力部1201により入力された熱画像のデータの各画素の濃度(画素値)を計数し、その結果から、濃度ヒストグラムを作成する。濃度ヒストグラムは、図4〜図8に示したように、撮像された熱画像の各画素の濃度と画素数との関係(撮像された熱画像の各画素の濃度の度数分布)を示すものである。
濃度ヒストグラム導出部1202は、例えば、CPUが、HDD等から、熱画像のデータを読み出して濃度ヒストグラムを作成し、そのデータをHDD等に記憶することにより実現される。
(最高濃度導出部1203)
最高濃度導出部1203は、濃度ヒストグラム導出部1202により作成された濃度ヒストグラムにおけるスラグ最高濃度を導出する。前述したように、本実施形態では、スラグ最高濃度を、出銑流2の熱画像で最も明るい画素の濃度、すなわち、濃度ヒストグラムにおいて画素数が「1」以上となっている濃度のうち最高の濃度としている。
最高濃度導出部1203は、例えば、CPUが、HDD等から、濃度ヒストグラムのデータを読み出してスラグ最高濃度を導出し、そのデータをHDD等に記憶することにより実現される。
(濃度比率設定部1204)
濃度比率設定部1204は、オペレータによる入力操作に基づいて、溶銑分布ピークの探索範囲の下限値に対応する「溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比(溶銑分布ピークの濃度/スラグ最高濃度)」と、溶銑分布ピークの探索範囲の上限値に対応する「溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比(溶銑分布ピークの濃度/スラグ最高濃度)」と、を設定する。前述したように本実施形態では、溶銑分布ピークの探索範囲が(2)式で表されるようにしている。よって、溶銑分布ピークの探索範囲の下限値に対応する「溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比」として、0.4(=0.475−3σ)が設定される。また、溶銑分布ピークの探索範囲の下限値に対応する「溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比」として、0.55(=0.475+3σ)が設定される。
濃度比率設定部1204は、例えば、CPUが、オペレータによる入力装置の操作に基づいて、溶銑分布ピークの探索範囲の上下限値に対応する「溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比」を入力し、そのデータをHDD等に記憶することにより実現される。ここで、CPUは、溶銑分布ピークの探索範囲の上下限値を、オペレータが入力装置に入力する他、外部装置からの通信や、可搬型の記憶媒体からの読み出し等を行うことによって、溶銑分布ピークの探索範囲の上下限値を入力してもよい。
尚、以下の説明では、「溶銑分布ピークの探索範囲の上限値・下限値に対応する『溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比』」を必要に応じて「溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の上限値・下限値」と称する。
(溶銑分布ピーク探索範囲設定部1205)
溶銑分布ピーク探索範囲設定部1205は、最高濃度導出部1203で導出されたスラグ最高濃度と、濃度比率設定部1204で設定された値と、を(2)式に代入して、溶銑分布ピークの探索範囲の下限値と上限値を設定する。尚、ここで設定される溶銑分布ピークの探索範囲の下限値・上限値は、それぞれ図9に示す溶銑分布ピーク探索下限濃度・溶銑分布ピーク探索上限濃度に対応する。
溶銑分布ピーク探索範囲設定部1205は、例えば、CPUが、HDD等から、スラグ最高濃度のデータと、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の上下限値のデータを読み出して、溶銑分布ピークの探索範囲の下限値と上限値を算出し、そのデータをHDD等に記憶することにより実現される。
(溶銑分布ピーク濃度抽出部1206)
溶銑分布ピーク濃度抽出部1206は、溶銑分布ピーク探索範囲設定部1205により設定された「溶銑分布ピークの探索範囲の下限値と上限値」で定められる溶銑分布ピークの探索範囲の中から、画素数が最大となる濃度を溶銑分布ピークの濃度として抽出する。ここで導出される溶銑ピークの濃度は、図9に示す溶銑分布ピーク濃度に対応する。
溶銑分布ピーク濃度抽出部1206は、例えば、CPUが、HDD等から、溶銑分布ピークの探索範囲の下限値と上限値のデータと、濃度ヒストグラムのデータとを読み出して、溶銑ピークの濃度を抽出し、そのデータをHDD等に記憶することにより実現される。
(溶銑温度導出部1207)
溶銑温度導出部1207は、溶銑分布ピーク濃度抽出部1206で抽出された溶銑分布ピークの濃度を、CCDカメラ5に対して黒体炉を用いて行われた温度校正の結果(例えば、図11に示す曲線を表す濃度・温度変換式)に当てはめ、当該溶銑分布ピークの濃度に対応する温度を、溶銑の見かけ上の温度として導出する。ここで導出される溶銑の見かけ上の温度は、図9に示す溶銑見かけ温度に対応する。
前述したように、CCDカメラ5の温度校正では、黒体放射輝度と、その黒体放射輝度の物体をCCDカメラ5で撮像して得られた画像の濃度との関係を求めている。ところが、実際の溶銑は黒体ではなく1未満の放射率を有しており、黒体と異なる放射率を有している。よって、前述したように導出した溶銑の見かけ上の温度は、この放射率の相違に起因する誤差が生じている。そこで、この放射率の相違による影響を考慮して、溶銑の見かけ上の温度から溶銑の実際の温度を導出する演算を行うのが好ましい。
具体的に、溶銑の実際の温度TT[K]と、溶銑の見かけ上の温度TM[K]との関係は、理論的に以下の(3)式で表される。
ln(ε)=C2/λ・(1/TT−1/TM) ・・・(3)
ここで、εは、溶銑の放射率[−](=0.4)であり、λは、観測波長(波長選択フィルタの透過波長[μm](前述した例では0.65[μm])である。C2はプランクの第2定数(=1.44×104[μm・K])である。
溶銑温度導出部1207は、前述したようにして導出した溶銑の見かけ上の温度を(3)式に代入して溶銑の実際の温度(の代表値)を導出する。ここで導出される溶銑の実際の温度は、図9に示す放射率補正温度に対応する。
溶銑温度導出部1207は、例えば、CPUが、HDD等から、溶銑ピークの濃度のデータと、濃度・温度変換式のデータを読み出して、溶銑の見かけ上の温度を導出した後、導出した溶銑の見かけ上の温度から溶銑の実際の温度を導出し、そのデータをHDD等に記憶することにより実現される。
(溶銑温度出力部1208)
溶銑温度出力部1208は、溶銑温度導出部1207で導出された溶銑の実際の温度を出力する。溶銑の実際の温度の出力の形態としては、例えば、表示装置に対する表示、可搬型の記憶媒体への記憶、及び外部装置への送信の少なくとも何れか1つが挙げられる。
溶銑温度出力部1208は、例えば、CPUが、HDD等から、溶銑の実際の温度のデータを読み出して、表示データを作成する等の出力処理を行うことにより実現される。
以上のような測温装置6における処理をリアルタイムで繰り返して実行することにより、出銑中の溶銑の温度を連続的に測定してユーザに報知することができる。
<測温装置6の動作フローチャート>
次に、図13のフローチャートを参照しながら、測温装置6の処理の一例を説明する。尚、図13のフローチャートは、濃度比率設定部1204により、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の上下限値が設定された後に実行される。
まず、ステップS1301において、熱画像入力部1201は、CCDカメラ5で撮像された出銑流2の熱画像のデータを入力して記憶する(図4(a)〜図8(a)を参照)。
次に、ステップS1302において、濃度ヒストグラム作成部1202は、ステップS1301で入力された熱画像のデータの各画素の濃度(画素値)を計数し、その結果から、濃度ヒストグラムを作成する(図4(b)〜図8(b)を参照)。
次に、ステップS1303において、最高濃度導出部1203は、ステップS1302で作成された濃度ヒストグラムにおけるスラグ最高濃度を導出する。
次に、ステップS1304において、溶銑分布ピーク探索範囲設定部1205は、ステップS1303で導出されたスラグ最高濃度と、予め設定されている「溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の下限値」とを乗算して、溶銑分布ピークの探索範囲の下限値を設定する。
次に、ステップS1305において、溶銑分布ピーク探索範囲設定部1205は、ステップS1303で導出されたスラグ最高濃度と、予め設定されている「溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の上限値」とを乗算して、溶銑分布ピークの探索範囲の上限値を設定する。
次に、ステップS1306において、溶銑分布ピーク濃度抽出部1206は、ステップS1304、S1405で設定された「溶銑分布ピークの探索範囲の下限値と上限値」で定められる溶銑分布ピークの探索範囲の中から、画素数が最大となる濃度を溶銑分布ピークの濃度として抽出する。
次に、ステップS1307において、溶銑温度導出部1207は、ステップS1306で抽出された溶銑分布ピークの濃度を、濃度・温度変換式に当てはめ、当該溶銑分布ピークの濃度に対応する温度を、溶銑の見かけ上の温度として導出する。
次に、ステップS1308において、溶銑温度導出部1207は、ステップS1307で導出された溶銑の見かけ上の温度を(3)式に代入して溶銑の実際の温度を導出する。
次に、ステップS1309において、測温装置6は、溶銑の測温を終了するか否かを判定する。この判定は、例えば、オペレータの入力操作による測温終了指示に基づいて行われる。この判定の結果、溶銑の測温を終了しない場合には、次の熱画像から溶銑の実際の温度を導出する。
そして、溶銑の測温を終了すると判定されると、図13のフローチャートによる処理を終了する。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、出銑流2の熱画像の濃度ヒストグラムにおけるスラグ最高濃度に、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の上下限値を乗算して、溶銑分布ピーク探索範囲を設定する。そして、溶銑分布ピーク探索範囲の範囲内で画素数が最大となる濃度を、溶銑分布ピークの濃度として導出し、導出した溶銑分布ピークの濃度から、放射測温の原理で溶銑の温度(の代表値)を導出する。したがって、真の溶銑分布ピークの濃度よりも低濃度側に、ノイズ等に起因する小さな疑似濃度分布ピークが存在している場合や、溶銑分布ピークの値よりも溶融スラグ分布ピークの値の方が大きい場合でも、溶銑分布ピークを正確に検出することができる。よって、溶銑の温度の測定精度を向上させることができる。
また、放射測温法の特徴から、出銑口1a付近に装置を設置する必要がなく、出銑流2から離れた場所から溶銑の温度を遠隔測定することができるので、出銑流2からの熱放射や、スプラッシュ等による影響が小さい状態で溶銑の温度を測定することができる。よって、装置の環境対策が簡便である。また、このようにして正確に導出できる溶銑の温度を連続的に測定することにより、溶銑(出銑流2)の温度の変化、時間推移から、高炉内部の熱状況を従来よりも迅速に且つ正確に把握することができる。よって、高炉の安定操業を実現するための指標を与えることができる。
また、本実施形態では、複数の出銑流の熱画像の濃度ヒストグラムから、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比を求め、求めた溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の平均値に、標準偏差σの3倍を加算・減算した値を、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の上限値・下限値とした。よって、溶融スラグ分布ピークが存在し得る濃度が溶銑分布ピーク探索範囲に含まれることを抑制しつつ、溶銑分布ピークが存在し得る濃度が溶銑分布ピーク探索範囲に含まれるようにすることを、簡単な計算で実現することができる。
<変形例>
本実施形態のように、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の平均値に、標準偏差σの3倍を加算・減算した値を、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の上限値・下限値とするようにすれば、溶銑分布ピークと溶融スラグ分布ピークとを良好に分離して溶融スラグ分布ピークを抽出することができる溶銑分布ピーク探索範囲を容易に且つ確実に得ることができるので好ましい。しかしながら、必ずしもこのようにして溶銑分布ピーク探索範囲を設定しなくてもよい。
例えば、多種多様の出銑流の熱画像の濃度ヒストグラムを得て、それら多量の濃度ヒストグラムから、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比のとり得る範囲を定めるようにしてもよい。また、標準偏差σの3倍の代わりに、標準偏差σの2倍以上4倍以下の任意の値を採用することができる。標準偏差σの範囲がこれらの範囲であれば、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の分布が正規分布であるとした場合、溶銑分布ピークの95[%]以上を検出することができ、且つ、溶銑分布ピークと溶融スラグ分布ピークとの分離が可能な程度に溶銑分布ピーク探索範囲を限定することができるからである。
また、本実施形態では、濃度ヒストグラムから、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度とを人が読み取ってそれらの比を求めて、銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の上下限値を設定するようにした。しかしながら、必ずしも溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度とを人が読み取る必要はない。
例えば、特許文献1に記載の技術や関連技術の手法で溶銑分布ピークの濃度を探索した場合、溶銑分布ピークを誤検出することにより、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比が本来の値から外れた値になる虞がある。しかしながら、図5(b)や図8(b)のような濃度ヒストグラムが得られる頻度は高くない。
したがって、多種多様の濃度ヒストグラムを用いて、それらから得られた溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の平均値を求めれば、その平均値は、所望の値から大きく外れることはない。よって、多種多様の濃度ヒストグラムを用いれば、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の上下限値をコンピュータにより自動的に設定することができる。
また、濃度分布ヒストグラムを表示してオペレータに提示し、オペレータにより許可された濃度分布ヒストグラムのみを採用して、特許文献1に記載の技術や関連技術の手法で溶銑分布ピークの濃度を探索するようにして、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の上下限値をコンピュータにより自動的に設定することもできる。
また、本実施形態では、出銑流の熱画像で最も明るい画素の濃度が、溶融スラグの領域の熱放射輝度が最も大きな箇所に対応する画素の濃度であるとしてスラグ最高濃度とした。しかしながら、必ずしも、出銑流の撮像されたそのままの熱画像に於いて最も明るい画素の濃度をスラグ最高濃度として採用する必要はない。例えば、濃度ヒストグラムの高濃度側において、他の濃度よりも極端に高い濃度が孤立して存在しており、この濃度が、ノイズ等に起因する濃度であると見なせる場合には、この濃度を除外したものの中から最高の濃度をスラグ最高濃度として採用してもよい。また、例えば、画素数がm(mは2以上の整数)以上ある濃度で最も明るい濃度をスラグ最高濃度として採用しても良い。このように、本発明における溶融スラグの濃度分布における最高の濃度とは、必ずしも出銑流の熱画像で最も明るい画素の濃度を指すものではない。
また、本実施形態では、溶銑分布ピーク探索範囲の範囲内で画素数が最大となる濃度を、溶銑分布ピークの濃度として導出した。この様に溶銑分布のピーク濃度を導出したうえで、溶銑分布ピーク探索範囲内で画素数が最大となる濃度が極大値であるかどうかを判定し、溶銑分布ピーク探索範囲の範囲内で画素数が最大となる濃度が極大値でない場合には、例えば、オペレータにその旨を報知してもよい。
また、本実施形態では、CCDカメラ5の分解能を約0.4[mm]とし、露光時間を1/10000秒としたが、CCDカメラ5の分解能及び露光時間は、これらに限定されない。ただし、CCDカメラ5の分解能は1[mm]以下が好ましく、露光時間は1/5000秒以下であることが好ましい。このように、CCDカメラ5の分解能を1[mm]以下にするのは、溶融スラグの細部に存在する、2[mm]程度のサイズの線状又は点状の部分を捉えるためである。また、露光時間を1/5000秒以下にするのは、5[m/秒]程度の速度で移動する出銑流を1mm以下の像流れで撮像するためである。
また、本実施形態では、溶銑分布ピークの濃度をスラグ最高濃度で割った値(溶銑分布ピークの濃度/スラグ最高濃度)で、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比を表すようにした。しかしながら、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比を、スラグ最高濃度を溶銑分布ピークの濃度で割った値(スラグ最高濃度/溶銑分布ピークの濃度)で表してもよい。このようにした場合には、例えば、出銑流2の熱画像の濃度ヒストグラムにおけるスラグ最高濃度に、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比の上下限値の逆数を乗算して、溶銑分布ピーク探索範囲を設定すればよい。
さらに、本実施形態では、出銑流2の熱画像(熱放射輝度分布)を、2次元の濃度分布を示す静止画像として撮像するようにしたが、例えば1次元のリニアアレイカメラを用いて、1次元の濃度分布を示す画像を撮像し、撮像した1次元の濃度分布を示す画像から濃度ヒストグラムを算出して、前述したようにして溶銑の温度を求めるようにしてもよい。
また、1次元のリニアアレイカメラで時間的に連続して露光時間が短い高速シャッターで撮像を繰り返し、カメラの素子配列方向と時間方向とを直行させて2次元の濃度分布を示す画像を形成し、形成した2次元の濃度分布を示す画像から濃度ヒストグラムを算出して、前述したようにして溶銑の温度を求めるようにしてもよい。
さらに、出銑流2の狭い1点のみを観察するビームスポット撮像装置をCCDカメラ5の代わりに用いてもよい。このビームスポット撮像装置を用いて、時間的に連続して露光時間が短い高速シャッターで撮像を繰り返し、時間方向に1次元の濃度分布を示す画像を形成し、形成した1次元の濃度分布を示す画像から濃度ヒストグラムを算出して、前述したようにして溶銑の温度を求めるようにしてもよい。
また、前述したように、波長選択フィルタを用いれば、温度校正を容易に行うことができ好ましいが、必ずしも波長選択フィルタを用いる必要はない。このように波長選択フィルタを用いない場合には、CCDカメラ5等の撮像装置の検出波長帯域における撮像装置の分光感度特性、溶銑の分光放射率、ならびに黒体放射の分光特性から、溶銑の実効放射率を求めるようにする。具体的には、撮像装置の受光感度範囲内において、撮像装置の分光特性と熱放射(黒体放射)の分光特性で波長毎に重み付けした上で波長平均した溶銑の放射率を用いるようにするのが好ましい。また、出銑流2そのものを用いて温度校正を行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、算出した濃度ヒストグラムをそのまま用いるようにしたが、予め濃度ヒストグラムの平滑化処理を行い、平滑化処理を行った濃度ヒストグラムを用いて前述した処理を行うようにしてもよい。
また、測温装置6が有する機能を複数の装置に分担させて行わせるようにしてもよい。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
<請求項との対応>
撮像工程(手段)は、例えば、CCDカメラ5により出銑流2の熱画像を撮像することにより実現できる。
濃度ヒストグラム作成工程(手段)は、例えば、濃度ヒストグラム作成部1202が、図13のステップS1302の処理を実行することにより実現できる。
溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定工程(手段)は、例えば、溶銑分布ピーク探索範囲設定部1205が、図13のステップS1303〜S1305の処理を実行することにより実現できる。
溶銑濃度分布ピーク抽出工程(手段)は、例えば、溶銑濃度分布ピーク抽出部1206が、図13のステップS1306の処理を実行することにより実現できる。
溶銑温度導出工程(手段)は、例えば、溶銑温度導出部1208が、図13のステップS1307、S1308の処理を実行することにより実現できる。
濃度比は、例えば、溶銑分布ピークの濃度とスラグ最高濃度との比(図1の「溶銑分布ピークの濃度/スラグ最高濃度」)に対応する。
1 高炉
1a 出銑口
2 出銑流
3 出銑樋
4 樋カバー
5 CCDカメラ
6 測温装置
400、500、600、700、800 濃度ヒストグラム
401、501、601、701、801 溶銑分布ピークの探索範囲
402、502、602、702、802 スラグ最高濃度
403、503、603、703、803 溶銑分布ピーク
504、604、704、804 溶融スラグ分布ピーク
1201 熱画像入力部
1202 濃度ヒストグラム作成部
1203 最高濃度導出部
1204 濃度比率設定部
1205 溶銑分布ピーク探索範囲設定部
1206 溶銑分布ピーク濃度抽出部
1207 溶銑温度導出部
1208 溶銑温度出力部

Claims (10)

  1. 高炉に形成された出銑口から流出した溶融物を含む領域の熱放射輝度分布を、当該熱放射輝度に対応する画素毎の濃度値を持つ各画素から構成される画像として撮像する撮像工程と、
    前記撮像工程により撮像された画像の画素毎の濃度と画素数との関係を示す濃度ヒストグラムとして、溶銑の濃度分布と、溶融スラグの濃度分布とを含む濃度ヒストグラムを作成する濃度ヒストグラム作成工程と、
    前記濃度ヒストグラム作成工程により作成された濃度ヒストグラムに対して、溶銑の濃度分布において画素数が最大となる濃度である溶銑濃度分布ピークの探索範囲を設定する溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定工程と、
    前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定工程により設定された溶銑濃度分布ピークの探索範囲内で、画素数が最大となる濃度を、前記溶銑濃度分布ピークの濃度として前記濃度ヒストグラムから抽出する溶銑濃度分布ピーク抽出工程と、
    前記溶銑濃度分布ピーク抽出工程により抽出された溶銑濃度分布ピークの濃度に基づいて、溶銑の温度を導出する溶銑温度導出工程と、を有し、
    前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定工程は、予め設定された、前記溶銑の濃度分布において画素数が最大となる濃度である溶銑濃度分布ピークの濃度と、前記溶融スラグの濃度分布における最高の濃度であるスラグ最高濃度と、の比である濃度比の上限値及び下限値と、前記濃度ヒストグラムにより作成された濃度ヒストグラムにおける前記スラグ最高濃度と、に基づいて、前記溶銑濃度分布ピークの探索範囲を導出することを特徴とする高炉出銑温度測定方法。
  2. 前記濃度比の上限値及び下限値は、前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲を導出するための複数の濃度ヒストグラムのそれぞれから得られた前記濃度比の平均値と、当該濃度比の標準偏差とに基づく値であることを特徴とする請求項1に記載の高炉出銑温度測定方法。
  3. 前記濃度比の上限値及び下限値は、前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲を導出するための複数の濃度ヒストグラムのそれぞれから得られた前記濃度比の平均値に対して、当該濃度比の標準偏差の2倍以上4倍以下の値を加算及び減算した値であることを特徴とする請求項2に記載の高炉出銑温度測定方法。
  4. 前記撮像工程は、分解能が1mm以下である撮像手段を用いて、1/5000秒以下の露光時間で前記画像を撮像することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の高炉出銑温度測定方法。
  5. 高炉に形成された出銑口から流出した溶融物を含む領域の熱放射輝度分布を、当該熱放射輝度に対応する画素毎の濃度値を持つ各画素から構成される画像として撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段により撮像された画像の画素毎の濃度と画素数との関係を示す濃度ヒストグラムとして、溶銑の濃度分布と、溶融スラグの濃度分布とを含む濃度ヒストグラムを作成する濃度ヒストグラム作成手段と、
    前記濃度ヒストグラム作成手段により作成された濃度ヒストグラムに対して、溶銑の濃度分布において画素数が最大となる濃度である溶銑濃度分布ピークの探索範囲を設定する溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定手段と、
    前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定手段により設定された溶銑濃度分布ピークの探索範囲内で、画素数が最大となる濃度を、前記溶銑濃度分布ピークの濃度として前記濃度ヒストグラムから抽出する溶銑濃度分布ピーク抽出手段と、
    前記溶銑濃度分布ピーク抽出手段により抽出された溶銑濃度分布ピークの濃度に基づいて、溶銑の温度を導出する溶銑温度導出手段と、を有し、
    前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定手段は、予め設定された、前記溶銑の濃度分布において画素数が最大となる濃度である溶銑濃度分布ピークの濃度と、前記溶融スラグの濃度分布における最高の濃度であるスラグ最高濃度と、の比である濃度比の上限値及び下限値と、前記濃度ヒストグラムにより作成された濃度ヒストグラムにおける前記スラグ最高濃度と、に基づいて、前記溶銑濃度分布ピークの探索範囲を導出することを特徴とする高炉出銑温度測定システム。
  6. 前記濃度比の上限値及び下限値は、前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲を導出するための複数の濃度ヒストグラムのそれぞれから得られた前記濃度比の平均値と、当該濃度比の標準偏差とに基づく値であることを特徴とする請求項5に記載の高炉出銑温度測定システム。
  7. 前記濃度比の上限値及び下限値は、前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲を導出するための複数の濃度ヒストグラムのそれぞれから得られた前記濃度比の平均値に対して、当該濃度比の標準偏差の2倍以上4倍以下の値を加算及び減算した値であることを特徴とする請求項6に記載の高炉出銑温度測定システム。
  8. 前記撮像手段の分解能が1mm以下であり、
    前記撮像手段における撮像時の露光時間が1/5000秒以下であることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の高炉出銑温度測定システム。
  9. 高炉に形成された出銑口から流出した溶融物を含む領域の熱放射輝度分布を、当該熱放射輝度に対応する画素毎の濃度値を持つ各画素から構成される画像の画素毎の濃度と画素数との関係を示す濃度ヒストグラムとして、溶銑の濃度分布と、溶融スラグの濃度分布とを含む濃度ヒストグラムを作成する濃度ヒストグラム作成工程と、
    前記濃度ヒストグラム作成工程により作成された濃度ヒストグラムに対して、溶銑の濃度分布において画素数が最大となる濃度である溶銑濃度分布ピークの探索範囲を設定する溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定工程と、
    前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定工程により設定された溶銑濃度分布ピークの探索範囲内で、画素数が最大となる濃度を、前記溶銑濃度分布ピークの濃度として前記濃度ヒストグラムから抽出する溶銑濃度分布ピーク抽出工程と、
    前記溶銑濃度分布ピーク抽出工程により抽出された溶銑濃度分布ピークの濃度に基づいて、溶銑の温度を導出する溶銑温度導出工程と、をコンピュータに実行させ、
    前記溶銑濃度分布ピーク探索範囲設定工程は、予め設定された、前記溶銑の濃度分布において画素数が最大となる濃度である溶銑濃度分布ピークの濃度と、前記溶融スラグの濃度分布における最高の濃度であるスラグ最高濃度と、の比である濃度比の上限値及び下限値と、前記濃度ヒストグラムにより作成された濃度ヒストグラムにおける前記スラグ最高濃度と、に基づいて、前記溶銑濃度分布ピークの探索範囲を導出することを特徴とするコンピュータプログラム。
  10. 請求項9に記載のコンピュータプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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