JP2013160298A - 金属部品とボルトの締結構造とこれを加工する方法 - Google Patents

金属部品とボルトの締結構造とこれを加工する方法 Download PDF

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剛 瀬口
Atsunori Kumagai
厚法 熊谷
Takeshi Shinoda
剛 篠田
Kazuki Tani
和樹 谷
Yohei Katsuragi
陽平 桂木
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Abstract

【課題】金属部品のクリープ変形によるボルト軸力の低下と、金属部品とボルトの間の異種金属接触腐食の双方を効果的に抑止することのできる金属部品とボルトの締結構造と、この締結構造を加工する方法を提供する。
【解決手段】MgもしくはMg合金から形成され、螺合孔1aを有する金属部品1にボルト頭3aを有するボルト3が螺合されてなる金属部品とボルトの締結構造10であって、金属部品1のうち、螺合孔1aの内面にはAlもしくはAl合金からなる改質被膜2が形成されており、螺合孔1aの軸心Lを起点とした場合の改質被膜2の外径t1が、ボルト3の軸心Lを起点とした場合のボルト頭3aの最外縁までの長さt2よりも長くなっており、改質被膜2の端面がボルト頭3aの座面2aとなっている。
【選択図】図4

Description

本発明は金属部品とボルトの締結構造と、この締結構造を加工する方法に関するものである。
車両のオイルパンやシリンダヘッドカバー、トランスミッションケースなどの比較的高温環境下(100℃〜200℃)に置かれる部材がMgやMg合金から形成される場合、これらの部材におけるボルト締結部では、Mg合金等のクリープ(へたり)によってボルト軸力が低下し、ボルトの緩みに繋がる恐れがある。
そこで、この課題を解消するべく、ボルト締結部を、Mg合金等にレアアースやミッシュメタルなどの高価な金属元素を添加した耐熱材料から形成するようにしている。
しかしながら、レアアース等を添加するために材料コストが嵩むことと、レアアース等の添加材料は鋳造性が悪いことから製造効率の低下に繋がり、製造コスト増加の大きな要因の一つとなっている。
なお、鋳造性が良好でしかも安価な汎用品である、AZ91D(Alが9%、Znが1%添加されたMg合金)やAM60B(Alが6%、Znが0.2%以下添加されたMg合金)等の材料を適用した場合には、耐クリープ性が低いことから上記課題の解消に至らない。
また、Mgは電気的に最も碑な金属であることから、耐熱材料ではあるものの、鋼や鉄からなるボルトとの異種金属接触腐食が大きいという課題を有している。
ここで、特許文献1には、Mg合金部材とボルトの締結構造に関し、ボルトの周囲にガラス被膜を形成することで電食防止が図られた締結構造が開示されている。
特許文献1で開示するように電食防止にはガラス被膜の形成が有効な方策の一つではあるものの、ガラス被膜は経年劣化によって割れが生じ易いことと、螺溝を有するボルトの周囲にガラス被膜を形成することからボルトの周囲に完全にガラス被膜を形成し難く、高い電食防止効果は期待し難い。
特開2004−242213号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、MgもしくはMg合金から形成され、螺合孔を有する金属部品にボルト頭を有するボルトが螺合されてなる金属部品とボルトの締結構造に関し、金属部品のクリープ変形によるボルト軸力の低下と、金属部品とボルトの間の異種金属接触腐食の双方を効果的に抑止することのできる金属部品とボルトの締結構造と、この締結構造を加工する方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による金属部品とボルトの締結構造は、MgもしくはMg合金から形成され、螺合孔を有する金属部品にボルト頭を有するボルトが螺合されてなる金属部品とボルトの締結構造であって、金属部品のうち、螺合孔の内面にはAlもしくはAl合金からなる改質被膜が形成されており、螺合孔の軸心を起点とした場合の改質被膜の外径が、螺合孔の軸心と同心の関係にあるボルトの軸心を起点とした場合のボルト頭の最外縁までの長さよりも長くなっており、改質被膜の端面がボルト頭の座面となっているものである。
金属部品の形状は任意であり、円柱、角柱(多角柱)、楕円柱などの形状形態において、たとえばその一方の端面に臨む開口を具備してボルトと螺合する螺合孔、もしくは金属部品の2つの端面に臨む開口に連通する貫通孔からなる螺合孔を有している。なお、本明細書では、この螺合孔の内面に形成された改質被膜とボルトが直接螺合されることも、「螺合孔とボルトの螺合」に含むものである。
この金属部品はMgもしくはMg合金から形成されているが、本発明の締結構造では、この金属部品が鋼製もしくは金属製のボルトと接触する少なくとも螺合孔の内面に、AlもしくはAl合金からなる改質被膜が形成されている。
AlもしくはAl合金からなる改質被膜に対してボルトが直接螺合されることから、改質被膜のクリープ変形が生じ難く、これがクリープ変形することでボルト軸力が低下するといった課題は解消される。
さらに、本発明の締結構造では、螺合孔の軸心を起点とした場合の改質被膜の外径が、ボルトの軸心を起点とした場合のボルト頭の最外縁までの長さよりも長くなっており、改質被膜の端面がボルト頭の座面となっている。なお、螺合孔の軸心とボルトの軸心は同心の関係にある。
この構成により、ボルト頭とMgもしくはMg合金から形成される金属部品の接触が完全に遮断され、金属部品の螺合孔とボルトとの接触も改質被膜にて遮断されていることと合わせて、金属部品とボルトの間の異種金属接触腐食(電気的に最も碑な金属であるMgの電食反応)を防止することができる。
また、本発明による金属部品とボルトの締結構造の他の実施の形態は、MgもしくはMg合金から形成され、螺合孔を有する金属部品にボルト頭を有するボルトが螺合されてなる金属部品とボルトの締結構造であって、金属部品のうち、螺合孔の内面とその端面であってボルト頭が座る座面にはAlもしくはAl合金からなる改質被膜が形成されており、螺合孔の軸心を起点とした場合の前記座面における改質被膜の外径が、螺合孔の軸心と同心の関係にあるボルトの軸心を起点とした場合のボルト頭の最外縁までの長さよりも長くなっているものである。
本実施の形態の締結構造は、金属部品の螺合孔の内面に形成された改質被膜が金属部品の端面にまで広がっている形態であり、この端面に形成された改質被膜がボルト頭が座る座面を形成しているものである。
そして、螺合孔の軸心を起点とした場合の前記座面における改質被膜の外径が、ボルトの軸心を起点とした場合のボルト頭の最外縁までの長さよりも長くなっていることにより、既述の形態の締結構造と同様に、ボルト頭とMgもしくはMg合金から形成される金属部品の接触を完全に遮断することができる。
ここで、金属部品の前記端面にざぐり部が形成され、該ざぐり部の表面に改質被膜が形成されており、該ざぐり部がボルト頭の座面となっている実施の形態であってもよい。
また、金属部品に形成された螺合孔が貫通孔であり、かつ、金属部品の2つの端面の双方にボルト頭が配設される締結構造の場合には、このざぐり部も金属部品の2つの端面の双方に形成されるのがよい。
さらに、このざぐり部が螺合孔の途中まで延びた形態であってもよく、この形態においては、金属部品の端面のざぐり部と螺合孔の途中位置まで形成されているざぐり部にのみ改質被膜を形成することができる。
また、本発明は金属部品とボルトの締結構造を加工する方法にも及ぶものであり、この加工方法は、MgもしくはMg合金から形成され、螺合孔を有する金属部品にボルト頭を有するボルトが螺合されてなる金属部品とボルトの締結構造を加工する方法であって、金属部品のうち、螺合孔の内面にAlもしくはAl合金からなる改質材を配し、回転ツールを回転させながら螺合孔に収容された改質材を押し込み、摩擦熱を生じさせて改質材を軟化させ、軟化した改質材を螺合孔の表面に広げ、これが硬化することによって螺合孔の内面にAlもしくはAl合金からなる改質被膜を形成する第1のステップ、螺合孔の軸心を起点とした場合の改質被膜の外径が、螺合孔の軸心と同心の関係にあるボルトの軸心を起点とした場合のボルト頭の最外縁までの長さよりも長い該ボルトを螺合孔に螺合し、改質被膜の端面がボルト頭の座面となって双方を締結する第2のステップからなるものである。
改質被膜の材料となる改質材は螺合孔内に収容されるたとえば固形の材料であり、これを回転姿勢の回転ツールで押し込むことで回転ツールと改質材の間に摩擦熱が生じ、この摩擦熱によって改質材を軟化させる。
軟化した改質材は塑性流動して、金属部品の螺合孔の周囲に広がっていく。
なお、この軟化した改質材の広がりを促進するべく、当所の固形の改質材と螺合孔の間に一定の隙間を設けておく、すなわち、一定の隙間が形成できるような形状寸法の改質材を螺合孔の内部に収容するのがよい。
また、この加工に際しては、金属部品を固定台の上に位置決めし、金属部品の螺合孔の軸心と同軸で回転ツールが金属部品のたとえば上方から降下し、螺合孔の内部に進入して回転するように加工システムを構築しておくのがよい。
このような加工システムにより、螺合孔と同軸周りに回転ツールが回転し、この回転ツールと螺合孔の間に一定の隙間が形成され、この隙間に塑性流動した改質材が流れ込んで広がり、螺合孔の内面に厚みが均等な改質被膜を形成することができる。
金属部品の螺合孔の内面に広がった軟化状態の改質材が硬化することによって、厚みが均等な改質被膜が形成される(第1のステップ)。
第1のステップで改質被膜を具備する金属部品が形成されたら、螺合孔の軸心を起点とした場合の改質被膜の外径が、ボルトの軸心を起点とした場合のボルト頭の最外縁までの長さよりも長い該ボルトを螺合孔に螺合し、改質被膜の端面がボルト頭の座面となって双方が締結され、金属部品とボルトの締結構造が加工される(第2のステップ)。
また、本発明による金属部品とボルトの締結構造を加工する方法の他の実施の形態として、前記第1のステップでは、軟化した改質材を螺合孔の表面のみならず、金属部品の端面まで広げ、これが硬化することによって螺合孔の内面とその端面であってボルト頭が座る座面にAlもしくはAl合金からなる改質被膜を形成し、前記第2のステップでは、螺合孔の軸心を起点とした場合の前記座面における改質被膜の外径が、ボルトの軸心を起点とした場合のボルト頭の最外縁までの長さよりも長い該ボルトを螺合孔に螺合して双方を締結する形態であってもよい。
また、金属部品の前記端面にざぐり部を形成しておき、前記第1のステップでは、軟化した改質材を金属部品の端面の前記ざぐり部まで広げ、これが硬化することによって螺合孔の内面とその端面のざぐり部の表面に改質被膜を形成し、ざぐり部に形成された改質被膜がボルト頭の座面となって双方を締結する形態であってもよい。
さらに、螺合孔内に該螺合孔の長さよりも短いダイスを配し、このダイスの上に前記改質材を載置して回転ツールを回転させながらこれを押し込む形態であってもよい。
以上の説明から理解できるように、本発明の金属部品とボルトの締結構造とこれを加工する方法によれば、金属部品のクリープ変形に起因したボルト軸力の低下と、金属部品とボルトの間の異種金属接触腐食の双方が抑止された締結構造を提供することができる。
本発明の締結構造を加工する方法の実施の形態1の第1のステップを説明した図であって、(a)はその縦断面図であり、(b)は(a)のb−b矢視図である。 図1に続いて、第1のステップを説明した図である。 第1のステップで形成された金属部品を示した図である。 図3の第1のステップに続く第2のステップによって加工された本発明の締結構造の実施の形態1を説明した縦断面図である。 図3の第1のステップに続く第2のステップによって加工された本発明の締結構造の実施の形態2を説明した縦断面図である。 本発明の締結構造を加工する方法の実施の形態2の第1のステップを説明した図である。 図6の第1のステップに続く第2のステップによって加工された本発明の締結構造の実施の形態3を説明した縦断面図である。 本発明の締結構造を加工する方法の実施の形態3の第1のステップを説明した図である。 図8の第1のステップに続く第2のステップによって加工された本発明の締結構造の実施の形態4を説明した縦断面図である。 温度とボルト軸力保持率の関係を検証した実験結果を示す図である。 腐食試験後の試験片の断面写真図であって、(a)は実施例の写真図であり、(b)〜(d)は比較例の断面写真図である。 腐食試験後の試験片の断面写真図であって、他の実施例の写真図である。 金属部品と改質被膜の界面を拡大した写真図である。 改質被膜の表面からの距離と硬さの関係を求めた実験結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の金属部品とボルトの締結構造とこれを加工する方法の実施の形態を説明する。
(締結構造とその加工方法の実施の形態1)
図1〜図4はその順に、本発明の締結構造を加工する方法の実施の形態1のフロー図となっており、より具体的には、図1は、その第1のステップを説明した図であって、図1aはその縦断面図、図1bは図1aのb−b矢視図であり、図2は図1に続いて第1のステップを説明した図であり、図3は第1のステップで形成された金属部品を示した図であり、図4は第2のステップによって加工された本発明の締結構造の実施の形態1を説明した縦断面図である。
図1で示すように、円筒状で軸心Lの螺合孔1aを具備するMg合金製の金属部品1をその軸心Lに位置合わせするようにしてダイスDの上面に載置し、この螺合孔1a内に固形でAl合金からなる改質材2’を載置する。ここで、Al合金からなる改質材2’としては、耐食性の良好な6000系の熱処理合金が好ましいが、締結部の面圧に耐えられることを条件に1000系、3000系、4000系、および5000系のものでもよい。なお、4000系の合金はSiによって熱膨張が軽減されるため、より一層高温環境下で使用される場合のボルト軸力保持に対して有効である。
次に、図2で示すように、軸心Lに同軸に配され、この軸心Lに沿って昇降自在であり、かつ軸心L周りに回転自在の回転ツールTを位置決めする。この回転ツールTは、図示するように縦断面視がTの字状であり、その一部が螺合孔1aに挿入された際に螺合孔1aの内面との間にクリアランスCを形成するようになっている。
回転ツールTを回転姿勢(Y方向)で降下させ(X方向)、改質材2’に対して回転力と押し込み力を付与することにより、改質材2’と回転ツールTの間に摩擦熱を生じさせ、この熱によって改質材2’を軟化させる。たとえば、鋼製の回転ツールTを用い、周速25〜135m/min、X方向送り速度を10〜90mm/minに調整する制御形態を挙げることができる。
軟化した改質材2’は塑性流動し、クリアランスCを介して上方に流動し(Z方向)、螺合孔1aの内面に広がっていく。
図3は、軟化した改質被膜2’が螺合孔1aの内面に塑性流動しながら広がり、次いで硬化してできたAl合金製の改質被膜2が形成された金属部品1を示している(以上、本発明の加工方法の第1のステップ)。
次に、この金属部品1の螺合孔1aの内面に形成された改質被膜2に対し、螺合孔1aの軸心Lと同軸の軸心Lを有するボルト3の該軸心Lに沿ってボルト3を螺合することにより、図4で示すように、改質被膜2の端面がボルト頭3aの座面2aとなっている金属部品1とボルト3の締結構造10が形成される。なお、ボルト頭3aの平面形状は6角形をはじめとする多角形、円形、楕円形など多様な平面形状のものを選定できる。
同図で示すように、螺合孔1aの軸心Lを起点とした場合の改質被膜2の外径t1は、ボルト3の軸心Lを起点とした場合のボルト頭3aの最外縁までの長さt2よりも長くなっており、したがって、ボルト頭3aを含むボルト3の全体は完全に改質被膜2に接触し、Mg合金製の金属部品1との接触が遮断されている。
このようにMg合金製の金属部品1が高温環境下(100℃〜200℃)で使用される場合であっても、この温度範囲ではクリープ変形が生じ難いAl合金からなる改質被膜2にボルト3が直接螺合されることから、改質被膜2のクリープ変形に起因して締め付けられたボルト軸力が低下するといった課題は解消される。さらに、螺合孔の軸心Lを起点とした場合の改質被膜の外径t1が、ボルト3の軸心Lを起点とした場合のボルト頭3aの最外縁までの長さt2よりも長くなっていることで、ボルト頭3aとMg合金から形成される金属部品1の接触がMgよりも電位の高いAl合金製の改質被膜2によって完全に遮断され、金属部品1の螺合孔1aとボルト3との接触も改質被膜2にて遮断されていることと合わせて、金属部品1とボルト3の間の異種金属接触腐食(電気的に最も碑な金属であるMgの電食反応)を防止することができる。
(締結構造の実施の形態2)
図5は、図1〜図3までの第1のステップを経た後、第2のステップで金属部品1の端面上にも改質被膜2Aを形成する第2のステップを経て形成された締結構造10Aを示した図である。
そして、金属部品1の端面上に形成された改質被膜2Aがボルト頭3aの座面2aを形成しており、改質被膜2Aの外径t1’がボルト頭3aの最外縁までの長さt2よりも長くなっており、さらに、この改質被膜2Aは、金属部品1の端面から厚みsを有して盛り上がっている。
図4で示す締結構造10は、金属部品1の端面と改質被膜2の端面が面一となっているが、図5で示す締結構造10Aは、金属部品1の端面から厚みsで盛り上がる改質被膜2Aを有することにより、金属部品1の電食防止効果が一層高くなることが本発明者等によって特定されている。
より具体的には、厚みsが0.3mm以上の範囲で腐食反応抑止効果が高まることが分かっている。
(締結構造の実施の形態3とその加工方法の実施の形態2)
図6は本発明の締結構造を加工する方法の実施の形態2の第1のステップを説明した図であり、図7は第2のステップによって加工された本発明の締結構造の実施の形態3を説明した縦断面図である。
この実施の形態は、円筒状で螺合孔1aを具備するMg合金製の金属部品1Aが、その両端面1b、1bにおいて螺合孔1aに連絡するざぐり部1c、1cを有するものを使用している。
ざぐり部1cに収容されるようなフランジを有した回転ツールT’を使用し、図2と同様の方法で改質材2’を摩擦熱で軟化させ、塑性流動させる。たとえば、回転ツールT’を回転数3000〜5000rpm、X方向送り速度を10〜90mm/minに調整する制御形態を挙げることができる。
図7の締結構造10Bで示すように、ざぐり部1cにも改質被膜2bが形成され、螺合孔1aの軸心Lを起点とした場合のざぐり部1cにおける改質被膜2bの外径t3が、ボルト3の軸心Lを起点とした場合のボルト頭3aの最外縁までの長さt2よりも長くなっている。
なお、この実施の形態においても、ざぐり部1cにある改質被膜2bが、図5で示すように所定の厚みをもって金属部品1Aの端面から盛り上がっている変形例が存在する(図示略)。
(締結構造の実施の形態4とその加工方法の実施の形態3)
図8は本発明の締結構造を加工する方法の実施の形態3の第1のステップを説明した図であり、図9は第2のステップによって加工された本発明の締結構造の実施の形態4を説明した縦断面図である。
この実施の形態は、段状にざぐり部1c、1c’を連続して形成することによって、金属部品1Bの一端と螺合孔の一部にのみ改質被膜2cを形成するものである。
その加工方法として、図8で示すように螺合孔に収容される所定高さのダイスD1を配し、この上に改質材2’を載置し、段状のざぐり部1c、1c’の形状に適合するフランジを有する回転ツールT”を使用して、図2と同様の方法で改質材2’を摩擦熱で軟化させ、塑性流動させる。
図9の締結構造10Cで示すように、ざぐり部1c、1c’に改質被膜2cが形成され、螺合孔1aの軸心Lを起点とした場合のざぐり部1cにおける改質被膜2cの外径t4が、ボルト3の軸心Lを起点とした場合のボルト頭3aの最外縁までの長さt2よりも長くなっている。
この実施の形態の締結構造は、エンジンブロックとオイルパン、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバー等の雌ネジを切った部品もしくは部位との締結に適用されるものである。
なお、この実施の形態においても、ざぐり部1c、1c’にある改質被膜2cが、図5で示すように所定の厚みをもって金属部品1Bの端面から盛り上がっている変形例が存在する(図示略)。
[温度とボルト軸力保持率の関係を検証した実験とその結果]
本発明者等は、Mg試験片(AZ91D)の螺合孔と両端面にAl改質被膜を形成し、Al製ワッシャを介してその螺合孔に外径が改質被膜よりも小さな鉄ボルトを螺合させ、他端にAl製ワッシャを介してナットで鉄ボルトを締め付けてなる試験片(実施例)を用意した。さらに、Mg(AZ91D)にレアアースを添加した材料で形成された試験片(比較例1)、耐熱マグネシウムで形成された試験片(比較例2)、Al製(ADC12)の試験片(比較例3)、および、実施例と異なって外径が改質被膜よりも大きな鉄ボルトを螺合させた試験片(比較例4)をそれぞれ製作し、100℃〜170℃までの温度環境下におけるボルト軸力保持率(保持率=1−(試験後の締結軸力)/(締結時初期の軸力))を求めた。ここで、この保持率の算定においては、予めボルトに貼り付けた高温用歪みゲージの歪みを測定して代用している。実験片の条件および実験結果を図10、および以下の表1に示す。
Figure 2013160298
図10より、実施例はAlからなる試験片(比較例3)と同等の軸力保持性能を有することが実証されている。
また、Al改質していない比較例1、比較例2は温度上昇に伴って軸力が抜けていく結果となっている。
さらに、外径が改質被膜よりも大きな鉄ボルトを螺合させた試験片(比較例4)は、150℃までは実施例と同等の性能を示すものの、170℃で軸力が急激に低下する結果となっている。
[腐食試験後の試験片の断面観察結果]
本発明者等はさらに、腐食試験後の試験片の断面をCCDカメラにて撮像し、観察をおこなった。ここで、腐食試験は、乾燥湿潤を繰り返す複合腐食サイクル環境下(5%食塩水の噴霧)に試験片を30分曝すものであり、腐食試験後の試験片の断面を撮影している。
ここで、図11aは実施例の断面写真図であり、図11bは比較例1、図11cは比較例3、図11dは比較例4の断面写真図である。
図11a,bを比較すると、図11aのボルト座面付近の電食は軽減されており、図11cのアルミ単体部材と同レベルの腐食量となっている。これは、ボルト頭の径よりも改質被膜の座面径が大きいために、腐食電位がアルミ単体と同等になっているためである。
また、図11dはアルミ改質されているもののボルト頭の径よりも改質被膜の座面径が小さいために、鉄ボルトと接触するMg金属部品母材が存在し、図11bと同様にボルト座面をえぐるようにして電食が生じている。
この断面写真観察結果より、ボルト頭の径よりもAl改質被膜の座面径が大きい構成とすることにより、厳しい腐食環境下においてアルミ単体と同等の電食レベルまで改善できることが実証されている。
さらに、図12には、図5で示すようにAl改質被膜が金属部品の端面から盛り上がっている試験片(盛り上がりの高さは0.3mm)を作成し、上記と同様の複合腐食サイクル環境下に曝された後の断面写真図である。
図12の実施例と図11aの実施例を比較すると、図12の実施例は金属部品母材の腐食がさらに大幅に軽減されていることが実証されている。
[改質被膜表面からの距離と硬さに関する実験とその結果]
本発明者等は、改質被膜表面からの距離に応じた硬さを測定する実験をおこなった。その結果を図14に示している。
まず、図13は、上記実施例における、金属部品母材と改質被膜の接合界面付近を拡大した図を示している。
同図より、Al改質被膜とMg金属部品母材は冶金的に強固に結合していることが分かる。
また、図14より、界面の硬さは最大で250HVであり、Al改質被膜やMg金属部品母材よりも強度が高く、接合強度は構造部材として十分に高いことが実証されている。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1,1A,1B…金属部品、1a…螺合孔、1b…端面、1c,1c’…ざぐり部、2,2b,2c…改質被膜、2’…改質材、2a…座面、3…ボルト、3a…ボルト頭、10,10A,10B,10C…締結構造、C…クリアランス、T,T’,T”…回転ツール、L…軸心、D,D1…ダイス

Claims (7)

  1. MgもしくはMg合金から形成され、螺合孔を有する金属部品にボルト頭を有するボルトが螺合されてなる金属部品とボルトの締結構造であって、
    金属部品のうち、螺合孔の内面にはAlもしくはAl合金からなる改質被膜が形成されており、
    螺合孔の軸心を起点とした場合の改質被膜の外径が、螺合孔の軸心と同心の関係にあるボルトの軸心を起点とした場合のボルト頭の最外縁までの長さよりも長くなっており、改質被膜の端面がボルト頭の座面となっている金属部品とボルトの締結構造。
  2. MgもしくはMg合金から形成され、螺合孔を有する金属部品にボルト頭を有するボルトが螺合されてなる金属部品とボルトの締結構造であって、
    金属部品のうち、螺合孔の内面とその端面であってボルト頭が座る座面にはAlもしくはAl合金からなる改質被膜が形成されており、
    螺合孔の軸心を起点とした場合の前記座面における改質被膜の外径が、螺合孔の軸心と同心の関係にあるボルトの軸心を起点とした場合のボルト頭の最外縁までの長さよりも長くなっている金属部品とボルトの締結構造。
  3. 金属部品の前記端面にざぐり部が形成され、該ざぐり部の表面に改質被膜が形成されており、該ざぐり部に形成された改質被膜がボルト頭の座面となっている請求項2に記載の金属部品とボルトの締結構造。
  4. MgもしくはMg合金から形成され、螺合孔を有する金属部品にボルト頭を有するボルトが螺合されてなる金属部品とボルトの締結構造を加工する方法であって、
    金属部品のうち、螺合孔の内面にAlもしくはAl合金からなる改質材を配し、回転ツールを回転させながら螺合孔に収容された改質材を押し込み、摩擦熱を生じさせて改質材を軟化させ、軟化した改質材を螺合孔の表面に広げ、これが硬化することによって螺合孔の内面にAlもしくはAl合金からなる改質被膜を形成する第1のステップ、
    螺合孔の軸心を起点とした場合の改質被膜の外径が、螺合孔の軸心と同心の関係にあるボルトの軸心を起点とした場合のボルト頭の最外縁までの長さよりも長い該ボルトを螺合孔に螺合し、改質被膜の端面がボルト頭の座面となって双方を締結する第2のステップからなる金属部品とボルトの締結構造を加工する方法。
  5. 前記第1のステップでは、軟化した改質材を螺合孔の表面のみならず、金属部品の端面まで広げ、これが硬化することによって螺合孔の内面とその端面であってボルト頭が座る座面にAlもしくはAl合金からなる改質被膜を形成し、
    前記第2のステップでは、螺合孔の軸心を起点とした場合の前記座面における改質被膜の外径が、ボルトの軸心を起点とした場合のボルト頭の最外縁までの長さよりも長い該ボルトを螺合孔に螺合して双方を締結する請求項4に記載の金属部品とボルトの締結構造を加工する方法。
  6. 金属部品の前記端面にざぐり部を形成しておき、
    前記第1のステップでは、軟化した改質材を金属部品の端面の前記ざぐり部まで広げ、これが硬化することによって螺合孔の内面とその端面のざぐり部の表面に改質被膜を形成し、ざぐり部に形成された改質被膜がボルト頭の座面となって双方を締結する請求項5に記載の金属部品とボルトの締結構造を加工する方法。
  7. 螺合孔内に該螺合孔の長さよりも短いダイスを配し、このダイスの上に前記改質材を載置して回転ツールを回転させながらこれを押し込む請求項4〜6のいずれかに記載の金属部品とボルトの締結構造を加工する方法。
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