JP2014070662A - 半割りスラスト軸受 - Google Patents
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Abstract
【効果】 上記樹脂コーティング層9を中高形状とすれば、クランク軸のスラスト面13aが僅かに振れ回された際に、該スラスト面がスラストリリーフ5の近傍部分における半径方向両端部分X2、X3で局部的に強く接触するのを防止することができ、それによってスラストリリーフの近傍部分の軸受面における損傷を低減することができる。
【選択図】 図1
Description
上記半割りスラスト軸受は、例えばエンジンのクランク軸のスラスト荷重を受けるスラスト軸受として用いられており、2個の半割りスラスト軸受により構成されている。そして一方の半割りスラスト軸受はシリンダブロックの軸受部に、他方の半割りスラスト軸受は軸受キャップにそれぞれ取り付けられ、上記軸受キャップは締結ボルトによってシリンダブロックの軸受部に連結されるようになっている。
また従来、半割りスラスト軸受をシリンダブロックの軸受部側のみに設けることも知られている(引用文献2)。
これに対し、引用文献2のように、半割りスラスト軸受をシリンダブロックの軸受部側のみに設ける場合には、シリンダブロックの軸受部に軸受キャップを連結した状態で軸受部側の取付け面に切削加工を施すことができない。その結果、上記軸受キャップをボルトによってシリンダブロックの軸受部に連結した際に、特にシリンダブロックがアルミ製の場合等のように充分な強度を確保することが困難な場合には、ボルトの締付力によって軸受部がクランク軸の軸方向に僅かに変形し易くなる。すると、上記変形に伴なって半割りスラスト軸受の周方向端がクランク軸の軸方向に僅かに突出されるようになる。
上記クランク軸は主軸受けによってシリンダブロックに回転自在に軸支されているが、クランク軸と主軸受けとの間にはクリアランスが設けられているので、エンジンの負荷の変動や回転数の変動等によりクランク軸は僅かに振れ回されるようになる。
上記半割りスラスト軸受はクランク軸のスラスト面に当接してスラスト荷重を受け止めるようになっているが、クランク軸のスラスト面が僅かに振れ回されると、該スラスト面は、上記半割りスラスト軸受の周方向端がクランク軸の軸方向に僅かに突出されているに起因して、半割りスラスト軸受の軸受面のうち、特に上記スラストリリーフの近傍部分における半径方向両端部分で局部的に強く接触しやすくなる。
これにより従来、上記スラストリリーフの近傍部分の軸受面において、軸受合金層が早期に疲労したり、軸受合金層が剥離したりする危険性が大きかった。
本発明はそのような事情に鑑み、スラストリリーフの近傍部分の軸受面における損傷を低減することができる半割りスラスト軸受を提供するものである。
上記軸受面に固体潤滑剤を含有する樹脂コーティング層を形成し、かつ上記軸受面におけるスラストリリーフの近傍部分において、樹脂コーティング層の半径方向の断面形状を、中央部分が軸方向に突出した中高形状としたことを特徴とするものである。
これに加えて、上記樹脂コーティング層は、上記軸受面におけるスラストリリーフの近傍部分において中高形状となっているので、クランク軸のスラスト面が僅かに振れ回された際に、該スラスト面がスラストリリーフの近傍部分における半径方向両端部分で局部的に強く接触するのを防止することができ、それによってスラストリリーフの近傍部分の軸受面における損傷を低減することが可能となる。
そして半円リング形状となっている軸受面2の中央側の2箇所に略半径方向の油溝3を形成するとともに、半円リング形状の円周方向両側に上記軸受面2から周方向端4に向って下降する、すなわち軸受面2から半割りスラスト軸受1の裏面側に向かって傾斜するスラストリリーフ5を形成してある。
そして上記樹脂コーティング層9は、上記軸受面2におけるスラストリリーフ5の近傍部分Xにおいて、その断面形状を、半径方向の中央部分X1が両端部分X2、X3に比較して軸方向に突出した中高形状としてある。
したがって、本実施例では軸受面2の円周方向の全領域で、油溝3とその近傍を除いて半径方向の断面形状が中高形状となっている。
また、上記樹脂コーティング層9に含有される固体潤滑剤としては、例えばグラファイト、カーボンなどの炭素系固体潤滑剤、MoS2などを用いることができる。また耐磨耗性向上を目的として窒化物、酸化物、硬質粒子などを用いることができる。
さらに上記樹脂コーティング層9の厚さは、半径方向の中央部分X1が最も厚く3〜20μmとなっており、半径方向の両端部分X2、X3で1μm程度となっている。
本実施例では半割りスラスト軸受は軸受キャップ12側には設けられておらず、したがって該軸受キャップ12には上記取付け面11bに相当する取付け面は形成されていない。
上記軸受キャップ12は図示しないボルトによって軸受部11aに取り付けられており、その際、上述したようにボルトの締付力によって軸受部11aにおけるキャップ12との接触部分がクランク軸13の軸方向に僅かに変形した際には、その変形に伴なって半割りスラスト軸受1の周方向端4がクランク軸13の軸方向に僅かに突出されるようになる。
上記クランク軸13は2つの半割りすべり軸受14によって軸受部11aに回転自在に軸支されており、この状態において、上記半割りすべり軸受14がクランク軸13のラジアル荷重を、また半割りスラスト軸受1がクランク軸13のスラスト面13aに当接してスラスト荷重を受け止めるようになっている。
これに加えて、上記樹脂コーティング層9は、上記軸受面2におけるスラストリリーフ5の近傍部分において中高形状となっているので、クランク軸13のスラスト面13aが僅かに振れ回されて該スラスト面13aと軸受面2とが接触した際に、該スラスト面13aがスラストリリーフ5の近傍部分における半径方向両端部分X2、X3で局部的に強く接触するのを防止することができ、それによってスラストリリーフの近傍部分の軸受面における損傷を低減することができる。
また上記樹脂コーティング層9は固体潤滑材を含有しているので、接触時のフリクション低減にも効果がある。
また上記中高形状は、図2に示されているように滑らかな円弧状に形成されているが、半割りスラスト軸受1に加わる負荷の大きさによっては中央部分X1に平坦部分を有していても良い。
さらに上記樹脂コーティング層9を中高形状とする製造方法は上述した方法に限られるものではなく、塗料の粘度を調整し表面張力を利用して中高形状としたり、塗装後表面を削って中高形状としたりして、結果的に中高形状が得られればいかなる製造方法であってもよい。
また、上記実施例では半割りスラスト軸受1をシリンダブロック11の軸受部11a側のみに設ける場合について説明しているが、シリンダブロックの軸受部と軸受キャップとのそれぞれに半割りスラスト軸受を設けた場合においても適用することができる。この場合には、損傷を受けやすい半割りスラスト軸受のみに本発明を適用しても良いことは勿論である。
4 周方向端 5 スラストリリーフ
7 裏金 8 軸受合金層
9 樹脂コーティング層 11 シリンダブロック
11a 軸受部 11b 取付け面
12 軸受キャップ 13 クランク軸
13a スラスト面 X1 中央部分
X2、X3 両端部分
Claims (3)
- 半円リング形状の軸受面の周方向両端に向って厚さが減少するスラストリリーフを形成した半割りスラスト軸受において、
上記軸受面に固体潤滑剤を含有する樹脂コーティング層を形成し、かつ上記軸受面における少なくともスラストリリーフの近傍部分において、樹脂コーティング層の半径方向の断面形状を、中央部分が軸方向に突出した中高形状としたことを特徴とする半割りスラスト軸受。 - 上記中高形状は、軸受面の円周方向に亘って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半割りスラスト軸受。
- 上記半割りスラスト軸受の軸受面に略半径方向の油溝が設けらており、上記油溝とその近傍を除いた軸受面が中高形状となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半割りスラスト軸受。
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