JP2013159872A - ワイヤの塗油方法および塗油装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗油時において油の飛散を生ずることがなく、また、ワイヤに対する連続的な塗油と、ワイヤに対する油の付着量の調整とを両立することも可能なワイヤの塗油方法および塗油装置を提供する。
【解決手段】ワイヤ1の表面に油を付着させるワイヤの塗油方法である。ワイヤ1を、ワイヤ形状に沿った形状を有するガイド部11により覆い、ガイド部11内におけるワイヤ1に対し油を供給するとともに、ガイド部11内に供給された油を吸引する。ワイヤ1の表面に油を付着させるワイヤの塗油装置である。ワイヤ1を覆う、ワイヤ形状に沿った形状を有するガイド部11と、ガイド部11に連結され、ガイド部11内のワイヤに向かい油を供給する油供給部12と、ガイド部11に連結され、ガイド部11内に供給された油を吸引する油吸引部13と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明はワイヤの塗油方法および塗油装置(以下、単に「塗油方法」および「塗布装置」に関する)に関し、詳しくは、ゴム物品補強用スチールコード等の製造において用いられるワイヤの塗油方法および塗油装置に関する。
タイヤなどのゴム物品の補強に使用されるスチールコードは、通常、高炭素鋼材などからなるワイヤを湿式伸線法により所望の線径に伸線処理した後、これを撚り線工程において複数本にて撚り合わせることにより作製される。よって、伸線されたワイヤを、伸線工程から撚り線工程までの工程間で、安定して円滑に搬送することが重要となる。
伸線工程後のワイヤの円滑な搬送のためには、ワイヤ表面にオイルを塗布することが考えられる。これに対し、従来のワイヤ表面に対するオイルの塗布技術としては、具体的には例えば、スポンジや布のような吸湿性のある材料に油を浸み込ませ、これをワイヤに接触させる方法や、ワイヤに向かい油を滴下させる方法がある。例えば、特許文献1には、オイルをプーリに対し噴射供給することで、プーリを介してワイヤにオイルを供給するスチールワイヤ用オイル塗布装置が開示されている。また、特許文献2,3には、プーリーにオイルを滴下供給することで、プーリーを介してワイヤにオイルを供給するスチールワイヤ用オイル塗布装置が開示されている。
さらに、撚線工程においてワイヤに油を付着させる技術として、特許文献4には、撚線機として回転体を覆うカバーを有するものを用い、カバーの内部に向かいオイルミストを噴霧するとともに、カバーの内部に噴霧されたオイルミストを吸引しながら、スチールワイヤの撚り合わせを行う製造方法が開示されている。
特開2003−183990号公報(特許請求の範囲等) 特開2003−194291号公報(特許請求の範囲等) 特開2003−193382号公報(特許請求の範囲等) 特開2011−1647号公報(特許請求の範囲等)
上記のように、現在まで、スチールワイヤに対してオイルを、必要最低限の付着量にて精密に塗布する方法が種々検討され、提案されてきている。これらの方法によれば、スチールワイヤの表面に、一定量のオイルを安定して均一に付着させることが可能である。
しかしながら、特許文献1〜3に係るワイヤ塗油技術においては、ワイヤに対し過剰に付着した油が周囲に飛散してしまう場合があり、作業時の安全性を損なうおそれがあるため、問題となっていた。これに対し、特許文献4に開示されたような技術もあるが、これは、撚線機内において撚線と同時に塗油を行う場合に限定されるので、伸線工程から撚り線工程までの工程間におけるワイヤの円滑な搬送には寄与できない。
また、従来のワイヤ塗油技術においては、給油量などの調節によりワイヤに対する油の付着量を制御することが困難であるという難点もあった。例えば、油を浸み込ませたスポンジ等を用いる方法では、連続的な塗油はできるものの、ワイヤに対する油の付着量を減らすことができない。また、ワイヤに向かい油を滴下させる方法では、給油量を少なくすると、油の表面張力により滴下が断続的になり、ワイヤーに対する連続的な塗油ができなくなる。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、塗油時において油の飛散を生ずることがなく、また、ワイヤに対する連続的な塗油と、ワイヤに対する油の付着量の調整とを両立することも可能なワイヤの塗油方法および塗油装置を提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、ワイヤを、ワイヤ形状に沿った形状を有するガイド部により覆って、このガイド部内においてワイヤに対する塗油を行うものとすることで、上記問題が解消できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のワイヤの塗油方法は、ワイヤの表面に油を付着させるワイヤの塗油方法であって、前記ワイヤを、ワイヤ形状に沿った形状を有するガイド部により覆い、該ガイド部内におけるワイヤに対し油を供給するとともに、該ガイド部内に供給された油を吸引することを特徴とするものである。
本発明の塗油方法においては、前記ガイド部の側面であって、前記ワイヤの長手方向に対し傾斜する方向から、前記ガイド部内におけるワイヤに対する油の供給を行うことが好ましい。より好ましくは、前記ガイド部の同じ側の側面であって、前記ワイヤの長手方向に対し互いに対向する向きに傾斜する方向から、前記ガイド部内におけるワイヤに対する油の供給、および、該ガイド部内に供給された油の吸引を行うものとする。
また、本発明の塗油方法においては、前記ガイド部内におけるワイヤに対する油の供給、および、該ガイド部内に供給された油の吸引を、前記ワイヤの長手方向において互いに離間する箇所で行うことが好ましい。さらに、本発明の塗油方法においては、前記ガイド部内におけるワイヤに対する油の供給を、オイルミストの噴霧により行うことが好ましい。
また、本発明のワイヤの塗油装置は、ワイヤの表面に油を付着させるワイヤの塗油装置であって、前記ワイヤを覆う、ワイヤ形状に沿った形状を有するガイド部と、該ガイド部に連結され、該ガイド部内のワイヤに向かい油を供給する油供給部と、該ガイド部に連結され、該ガイド部内に供給された油を吸引する油吸引部と、を備えることを特徴とするものである。
本発明の塗油装置においては、前記油供給部が前記ガイド部の側面に、前記ワイヤの長手方向に対し傾斜して連結されていることが好ましい。より好ましくは、前記油供給部および前記油吸引部が、前記ガイド部の同じ側の側面に、前記ワイヤの長手方向に対し、互いに対向する向きに傾斜して連結されているものとする。
また、本発明の塗油装置においては、前記油供給部および前記油吸引部の、前記ガイド部に対する連結箇所が、前記ワイヤの長手方向において互いに離間していることが好ましい。さらに、本発明の塗油装置においては、好適には、前記油供給部が、前記ガイド部内のワイヤに向かいオイルミストを噴霧するものとする。
本発明によれば、上記構成としたことにより、塗油時において油の飛散を生ずることがないワイヤの塗油方法および塗油装置を実現することができ、また、ワイヤに対する連続的な塗油と、ワイヤに対する油の付着量の調整とを両立することも可能である。
本発明のワイヤの塗油装置の一例を示す斜視図である。 本発明のワイヤの塗油装置の他の例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明のワイヤの塗油装置の一例の斜視図を示す。図示する本発明の塗油装置10は、ワイヤ1、特には、走行するワイヤ1の表面に油を付着させるものである。
図示するように、本発明の塗油装置は、ワイヤ1を覆う、ワイヤ形状に沿った形状を有するガイド部11と、ガイド部11に連結され、ガイド部11内のワイヤ1に向かい油を供給する油供給部12、および、ガイド部11内に供給された油を吸引する油吸引部13と、を備えている。このように、本発明においては、ワイヤ1をガイド部11により覆った状態で、ガイド部材11内部におけるワイヤ1に対し油を供給するものとしたので、塗油された油の周囲への飛散なしで、塗油を行うことが可能となった。また、ワイヤ1を、図示するように走行させれば、走行するワイヤ1に対し、連続的に塗油を行うことが可能となる。また、ガイド部11内に供給された油を吸引する油吸引部13を設けるものとしたので、供給された油がガイド部11内の空気中に揮発した場合でも、この空気中の油分を吸引し、ガイド部11内から除去することができる。さらに、この油吸引部13によりガイド部11内を負圧に保つことができるので、このガイド部内で塗油を行うことで、周囲への油の飛散をより効果的に防止することができる。よって、本発明によれば、伸線されたワイヤに対し塗油を行うことで、塗油されたワイヤを、伸線工程から撚り線工程までの工程間で、安定して円滑に搬送することが可能となる。
本発明の塗油装置において、油供給部12は、ガイド部11の側面に、ワイヤの長手方向に対し傾斜して連結されていることが好ましい。これにより、ガイド部11内のワイヤ1に対し、ワイヤの長手方向に対し傾斜する方向から油を供給することができるので、ワイヤ1に対し確実に油を付着させることが可能となる。
より好ましくは、図示するように、油供給部12および油吸引部13を、ガイド部11の同じ側の側面に、ワイヤの長手方向に対し、互いに対向する向きに傾斜して連結する。これにより、ガイド部11内における供給、吸引される油の流れの中間にワイヤ1を通すことが可能となり、塗油量のばらつきを抑えることができるとともに、油供給部12により供給された油のうちの不要分を、油吸引部13により、高精度で吸引することが可能となる。
また、図示するように、油供給部12および油吸引部13の、ガイド部11に対する連結箇所は、ワイヤの長手方向において互いに離間していることが好ましい。このように、油の供給箇所と吸引箇所とを、ワイヤの長手方向において互いに離間させることで、ワイヤに対する塗油を確実に行うとともに、空気中の油分をより高精度にかつ確実に吸引することが可能となる。
本発明において、ガイド部11としては、ワイヤ1の形状に沿った形状を有し、ワイヤ1を覆うことができるものであれば、その形状や寸法等については、特に制限されるものではない。具体的には例えば、図示するような筒状の部材とすることができ、ガイド部11外への油の飛散をより確実に防止する観点から、ワイヤの入口側および出口側の側面についても、ワイヤの入線孔11Aおよび出線孔(図示せず)以外の部分については覆われた形状とすることが好ましい。また、ガイド部11は、上下分割可能に形成してもよい。さらに、ガイド部11には、ワイヤを側方からガイド部11内に導入するためのスリット11Bを設けることもできる。ガイド部11の材質については、特に制限されるものではなく、汎用の樹脂材料や金属材料を用いることができる。
油供給部12としては、ガイド部11内のワイヤ1に対し油を供給することができるものであれば、いかなる機構であってもよい。好適には、油供給部12は、例えば、図示するような筒状の部材として、ガイド部11内のワイヤ1に向かいオイルミストを噴霧する噴霧装置(図示せず)を備えるものとする。ガイド部11内のワイヤ1に対する塗油を、オイルミストの噴霧により行うものとすることで、ワイヤ1に対する塗油量を適正に調整することができ、従来技術と比較して少量の範囲から、塗油量を適宜設定することが可能となる。よって、この場合、ワイヤに対する油の付着量を制御しつつ、連続的にワイヤへの塗油を行うことができるものとなる。なお、オイルミストを噴霧した場合でも、ワイヤに付着せずガイド部11内の空気中に留まる油分が存在するが、本発明においては、これも、油吸引部13により吸引される。
また、油吸引部13についても、ガイド部11内に供給された油を吸引することができるものであれば、いかなる機構であってもよい。特には、油吸引部13により吸引した油は、油供給部12に循環させて、再利用することが好適である。
さらに、図示はしないが、本発明の塗油装置は、油供給部12および油吸引部13の双方の圧力を適正に制御するための圧力制御部を備えることが好ましい。これにより、ワイヤへの塗油および過剰な油の吸引を適正に行うことができ、油の付着量の制御と油の飛散防止とを確実に両立させることができる。
本発明に用いる油、特にはオイルミストとしては、従来ワイヤの潤滑用途に用いられているものであれば、いかなるものも用いることができ、特に制限はない。本発明は、特には、タイヤ等のゴム物品補強用のスチールコードに用いられるスチールワイヤ等に、好適に適用される。
本発明において、ワイヤを走行させながら塗油を行う場合、入線孔11Aからガイド部11内に入ったワイヤ1は、油供給部12を介し、特にはオイルミストの噴霧によって、油を供給される。油供給部12から供給される油は、あらかじめ適正量に調整されているので、これにより、ワイヤ表面には適正量の油が付着する。また、ガイド部11内には、油吸引部13からの吸引により負圧が作用しているので、ワイヤに付着しない油や、空気中におけるに過剰な油分が存在した場合でも、部材間の隙間からの油の飛散が防止されるとともに、過剰な油は吸引される。表面に油が付着したワイヤ1は、その後、図示しない出線孔よりガイド部11外に出ることになる。
図2に、本発明のワイヤの塗油装置の他の例の斜視図を示す。図示する塗油装置20は、複数本のワイヤ1、特には、走行する複数本のワイヤ1の表面に、同時に油を付着させる場合に用いられる。このように、複数本のワイヤごとに、ワイヤ1を覆うガイド部11と、ガイド部11に連結された油供給部12および油吸引部13を設けることで、ワイヤごとに任意の塗油量を設定することが可能である。
1 ワイヤ
11 ガイド部
11A ワイヤの入線孔
11B スリット
12 油供給部
13 油吸引部
10,20 塗油装置

Claims (10)

  1. ワイヤの表面に油を付着させるワイヤの塗油方法であって、
    前記ワイヤを、ワイヤ形状に沿った形状を有するガイド部により覆い、該ガイド部内におけるワイヤに対し油を供給するとともに、該ガイド部内に供給された油を吸引することを特徴とするワイヤの塗油方法。
  2. 前記ガイド部の側面であって、前記ワイヤの長手方向に対し傾斜する方向から、前記ガイド部内におけるワイヤに対する油の供給を行う請求項1記載のワイヤの塗油方法。
  3. 前記ガイド部の同じ側の側面であって、前記ワイヤの長手方向に対し互いに対向する向きに傾斜する方向から、前記ガイド部内におけるワイヤに対する油の供給、および、該ガイド部内に供給された油の吸引を行う請求項2記載のワイヤの塗油方法。
  4. 前記ガイド部内におけるワイヤに対する油の供給、および、該ガイド部内に供給された油の吸引を、前記ワイヤの長手方向において互いに離間する箇所で行う請求項1〜3のうちいずれか一項記載のワイヤの塗油方法。
  5. 前記ガイド部内におけるワイヤに対する油の供給を、オイルミストの噴霧により行う請求項1〜4のうちいずれか一項記載のワイヤの塗油方法。
  6. ワイヤの表面に油を付着させるワイヤの塗油装置であって、
    前記ワイヤを覆う、ワイヤ形状に沿った形状を有するガイド部と、該ガイド部に連結され、該ガイド部内のワイヤに向かい油を供給する油供給部と、該ガイド部に連結され、該ガイド部内に供給された油を吸引する油吸引部と、を備えることを特徴とするワイヤの塗油装置。
  7. 前記油供給部が前記ガイド部の側面に、前記ワイヤの長手方向に対し傾斜して連結されている請求項6記載のワイヤの塗油装置。
  8. 前記油供給部および前記油吸引部が、前記ガイド部の同じ側の側面に、前記ワイヤの長手方向に対し、互いに対向する向きに傾斜して連結されている請求項7記載のワイヤの塗油装置。
  9. 前記油供給部および前記油吸引部の、前記ガイド部に対する連結箇所が、前記ワイヤの長手方向において互いに離間している請求項6〜8のうちいずれか一項記載のワイヤの塗油装置。
  10. 前記油供給部が、前記ガイド部内のワイヤに向かいオイルミストを噴霧する請求項6〜9のうちいずれか一項記載のワイヤの塗油装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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