JP2013159695A - エポキシ樹脂組成物とこれを用いたプリプレグ、該プリプレグから製造された繊維強化複合樹脂成形体。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)からなり、樹脂組成物中のエポキシ樹脂100質量部に対し、成分(A)が40質量部〜60質量部、成分(B)が30質量部〜50質量部であるエポキシ樹脂組成物により解決される。
成分(A)分子内に少なくとも一つの硫黄原子を有するエポキシ樹脂
成分(B)分子量500〜2000のビスフェノール型エポキシ樹脂
成分(C)その他のエポキシ樹脂
成分(D)エポキシ樹脂に可溶なポリアミド化合物
成分(E)硬化剤
【選択図】なし
Description
繊維強化複合樹脂成形体のなかでも、繊維強化複合樹脂管状体は、例えば、釣り竿、ゴルフクラブ用シャフト、スキーポール、自転車フレーム等のスポーツ・レジャー用途に多用されている。繊維強化複合樹脂成形体の製造方法としては、強化繊維などの長繊維からなる補強材にマトリクス樹脂を含浸させた中間材料、すなわちプリプレグを使用する方法がある。この方法によれば、繊維強化複合樹脂成形体中の強化繊維の含有量を管理しやすいとともに、その含有量を高めに設計することが可能であるという利点がある。
また、硬化物の破壊靭性を向上させる方法としては、熱可塑性樹脂を含むエポキシ樹脂組成物を用いる方法が数多く報告され、例えば特許文献3および4には、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを添加したエポキシ樹脂組成物を使用することが提案されている。
また、特許文献3および4の技術では、135℃において2時間の硬化時間を必要としており、やはり上述の要求に合致するものではない。
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、低温でも短時間に硬化が完了し、かつ、プリプレグのマトリクス樹脂として使用することによって、優れた機械物性、とりわけ優れた破壊靭性をもった繊維強化複合樹脂成形体を得ることができるエポキシ樹脂組成物とこれを用いたプリプレグ、さらにはこのプリプレグから形成された繊維強化複合樹脂成形体の提供を課題とする。
成分(A)分子内に少なくとも一つの硫黄原子を有するエポキシ樹脂
成分(B)分子量500〜2,000のビスフェノール型エポキシ樹脂
成分(C)その他のエポキシ樹脂
成分(D)エポキシ樹脂に可溶なポリアミド化合物
成分(E)硬化剤
前記成分(D)は、下記式(1)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
前記ポリアミド骨格は、重合脂肪酸から誘導されるポリアミドであることが好ましい。
前記ポリアミド骨格は下記式(2)で表され、前記ポリエーテルエステル骨格は下記式(5)で表されるものであることが好ましい。
に、HまたはCH3である。)
前記成分(A)は、式(6)の構造を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。
本発明のプリプレグは、前記エポキシ樹脂組成物が強化繊維に含浸されたプリプレグである。
前記強化繊維として、炭素繊維を使用できる。
本発明の繊維強化複合樹脂成形体は、前記プリプレグから形成されたものである。
「成分(A):分子内に少なくとも一つの硫黄原子を有するエポキシ樹脂」
本発明のエポキシ樹脂組成物に好ましく用いることができる分子内に硫黄原子を有するエポキシ樹脂としては、ビスフェノールS型エポキシ樹脂や、チオ骨格を有するエポキシ樹脂がある。また、下記式(6)または式(7)を含むエポキシ樹脂を用いることも出来るし、エポキシ樹脂と分子内に少なくとも一つの硫黄原子を有するアミン化合物との反応生成物を用いることも出来る。
本発明において成分(B)として使用するエポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定はされない。また、成分(B)として、これらエポキシ樹脂を2種類以上組み合わせて使用しても構わない。本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる成分(B)の分子量は、500〜2,000である。エポキシ樹脂組成物に含まれる成分(B)の分子量が500以上であれば、破壊靭性が高い。より好ましくは、900以上である。一方、耐熱性の観点から分子量は2,000以下であり、好ましくは1,100以下である。
本発明において成分(C)は、成分(A)と(B)を含まないその他のエポキシ樹脂である。成分(C)として使用するエポキシ樹脂の例としては、2官能性エポキシ樹脂ではビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、さらにはこれらを変性したエポキシ樹脂等が挙げられる。3官能以上の多官能性エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシメタン)のようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、さらにはこれらのエポキシ樹脂を変性したエポキシ樹脂、これらのエポキシ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定はされない。また、これらエポキシ樹脂を2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
本発明において使用する成分(D)は、エポキシ樹脂に可溶なポリアミド化合物であって、180℃で6時間加熱溶解した際に、成分(A)に対して1質量%以上溶解するポリアミド化合物のことを指す。このようなポリアミド化合物としては、ポリエステルアミド共重合体が好適に用いられる。具体的には、脂肪酸から誘導されたダイマー酸(二量体化脂肪酸)を主成分とする重合脂肪酸から誘導されるポリアミド樹脂が挙げられ、このような重合脂肪酸系ポリアミド樹脂としては、例えば、富士化成社製PAシリーズ(PA−100、PA−100A、PA−102A、PA−105A、PA−100A)を例示できるがこれらに限定するものではない。
その他には、式(1)中のPAが上記式(2)で示され、PEが上記式(5)で示されるポリアミド化合物も好適に使用できる。
なお、式(1)中、Xは1〜10、Yは1〜10、Zは1〜20で、いずれも整数である。式(2)中、aは0〜2、bは0〜2、lは1〜10で、いずれも整数である。また、aとbとは同時に0になることはなく、a+bは1以上である。また、R1は−(CH2)α−(αは2〜40の整数)である。
さらに、式(5)中、mおよびnは、それぞれ3〜20の整数、1〜10の整数である。また、R5は−(CH2)e−(eは2〜8の整数)である。R6は−(CH2)γ−(γは2〜40の整数)である。
本発明に使用するエポキシ樹脂の硬化剤は、例えばアミン、酸無水物(カルボン酸無水物等)、フェノール(ノボラック樹脂等)、メルカプタン、ルイス酸アミン錯体、オニウム塩、イミダゾールなどが挙げられるが、エポキシ樹脂を硬化させうるものであればどのような構造のものでもよい。これらの中でも、アミン型の硬化剤が好ましい。これら硬化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アミン型の硬化剤としては、例えばジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン、脂肪族アミン、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、およびこれらの異性体、変成体などがある。これらの中でも、プリプレグの保存性に優れる点で、ジシアンジアミドが特に好ましい。
硬化活性を高めるために、硬化助剤を用いてもよい。硬化助剤は、硬化剤による硬化活性を高める効果を有するものであればよい。例えば硬化剤がジシアンジアミドである場合、硬化助剤は3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエン等の尿素誘導体が好ましい。
これらの中でもジシアンジアミドとPDMUの組み合わせが特に好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーおよびエラストマーからなる群から選ばれた1種以上の樹脂を添加することができる。この添加剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いた場合に靭性を向上させ、かつ、粘弾性を変化させて、粘度、貯蔵弾性率およびチキソトロープ性を適正化する役割がある。添加剤として用いられる熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーまたはエラストマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、この熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーまたはエラストマーは、エポキシ樹脂成分中に溶解して配合されてもよく、微粒子、長繊維、短繊維、織物、不織布、メッシュ、パルプなどの形状でプリプレグの表層に配置されても良い。プリプレグの表層に配置され多場合には、繊維強化複合材料の層間剥離を抑制することができるので好ましい。
<原材料>
JER828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、平均分子量370、三菱化学(株)製
セイカキュアーS:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、和歌山精化(株)製
JER1001:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、平均分子量900、三菱化学(株)製
JER1002:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、平均分子量1200、三菱化学(株)製
YL7410:エラストマー分散エポキシ樹脂、エラストマー含有量10%、平均分子量370、三菱化学(株)製
TPAE32:ポリエーテルエステルアミド、T&K TOKA(株)製
DICY−7:ジシアンジアミド、三菱化学(株)製
オミキュア94:フェニルジメチルウレア、PTIジャパン(株)製
M52N:アクリル系ブロック共重合体 Nanostrength、アルケマ(株)製
<成分Aの合成>
JER828とセイカキュアーSとをJER828;100質量部、セイカキュアーS;9質量部の割合で混合加熱し、エポキシ当量266g/eqである「エポキシ樹脂(1)」を得た。
<エポキシ樹脂組成物>
表1に示した原料から、硬化剤を除いた成分をガラスフラスコに計量し、150℃にて加熱混合することで均一なエポキシ樹脂主剤を得た。次に、得られたエポキシ樹脂主剤を60℃以下に冷却した後に硬化剤と硬化助剤を計量して添加し、60℃で加熱混合することによって均一に分散させ、エポキシ樹脂組成物を得た。
厚み2mmの樹脂板を試験片(長さ55mm×幅12.5mm)に加工し、レオメーター(製品名:ARES−RDATA、インストルメンツ社製)を用いて、測定周波数1Hz、昇温速度5℃/分で、logG’を温度に対してプロットし、logG’の平坦領域の近似直線と、G’が転移する領域の近似直線との交点の温度をガラス転移温度(G’−Tg)として記録した。
厚み3mmの樹脂板について、ASTM D5045に示されるSENB法によって破壊靱性値(臨界エネルギー開放率)GIcを求めた。破壊靭性値は1,000J/m2以上の高い値であった。
表1に示す組成とした以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物および硬化樹脂板を得て、同様の測定を行った。いずれも破壊靭性値は1,000J/m2以上の高い値であった。
表1に示す組成とした以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物および硬化樹脂板を得て、同様の測定を行った。
表1に示すように、比較例1〜4のエポキシ樹脂組成物の硬化物である樹脂板は破壊靭性値が低かった。
Claims (10)
- 下記成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)からなり、樹脂組成物中のエポキシ樹脂100質量部に対し、成分(A)が40質量部〜60質量部、成分(B)が30質量部〜50質量部であるエポキシ樹脂組成物。
成分(A)分子内に少なくとも一つの硫黄原子を有するエポキシ樹脂
成分(B)分子量500〜2000のビスフェノール型エポキシ樹脂
成分(C)その他のエポキシ樹脂
成分(D)エポキシ樹脂に可溶なポリアミド化合物
成分(E)硬化剤 - 前記成分(D)が、下記式(1)で表されるブロック共重合体である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記ポリアミド骨格が、重合脂肪酸から誘導されるポリアミドである請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記ポリアミド骨格が、下記式(2)で表され、前記ポリエーテルエステル骨格が、下記式(5)で表される請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
(式(2)中、a=0〜2、b=0〜2、l=1〜10で、いずれも整数である。ただし、a及びbが同時に0になることはない。また、R1は−(CH2)α−(αは2〜40の整数)である。そして、PA1、PA2はそれぞれ独立に、式(3)および/または式(4)である。)
に、HまたはCH3である。)
- 成分(A)が、式(6)の構造を有するエポキシ樹脂である、請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 成分(A)が、式(7)の構造を有するエポキシ樹脂である、請求項5に記載のエポキシ樹脂組成物
- 前記成分(A)が、エポキシ樹脂と分子内に少なくとも一つの硫黄原子を有するアミン化合物との反応生成物である、請求項1〜6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物が強化繊維に含浸されたプリプレグ。
- 前記強化繊維が炭素繊維である請求項8に記載のプリプレグ。
- 請求項8または9に記載のプリプレグから形成された繊維強化複合樹脂成形体。
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