JP2013158926A - 混合廃プラスチックの再生処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発泡スチロールとその他のプラスチックが含まれる混合廃プラスチックP1の再生処理方法において、混合廃プラスチックP1を破砕する破砕工程(ステップS2)と、破砕した混合廃プラスチックP1を水槽に投入し、このうち水面に浮上した混合廃プラスチックP2を圧縮脱水する圧縮脱水工程(ステップS6)と、圧縮脱水した混合廃プラスチックP2を解砕する解砕工程(ステップS7)と、解砕した混合廃プラスチックP2に送風し、この混合廃プラスチックP2を発泡スチロールP4と,この発泡スチロールより軽量なその他のプラスチックP3と,に選別する風力選別工程(ステップS8)と、を備える。
【選択図】図1
Description
このような廃プラスチックを分別し、再生プラスチックを製造する場合、細かく粉砕された廃プラスチックや水分により密着した多種の廃プラスチックを完全に分別することは困難であった。その結果、完成した再生プラスチックの純度が低いという課題があった(図2,表3従来例1参照)。また、この分別困難な廃プラスチックは廃棄せざるを得ないことから、再生量(歩留まり)が減少する(図3,表3従来例2参照)。すなわち再生プラスチックの再生効率が低いという課題があった。そこで、このような課題を解決する目的で、近年、純度を向上させるとともに再生量を増加させるための技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明が開示されている。
以下、特許文献1に開示された発明について説明する。特許文献1に開示された発明は、発泡スチロール及びその他プラスチックが混入した混合廃プラスチックを破砕する破砕工程と、破砕した混合廃プラスチックを攪拌水槽中に投入し、発泡スチロールを所定場所に集めながら浮上させる浮上選別工程と、浮上させた発泡スチロール及び発泡スチロールに付着したその他プラスチックを回収する回収工程と、回収した発泡スチロール及びその他プラスチックを粉砕する粉砕工程と、粉砕した発泡スチロール及びその他プラスチックを、粒径に応じて2種別以上に選別する篩選別工程とを備えることを特徴とする。
この発明について図4を参照しながら、説明する。
図4において、回収工程104で回収された発泡スチロールとその他のプラスチックは、洗浄脱水工程110において洗浄脱水され、粉砕工程111で粉砕される。粉砕工程111において発泡スチロールは小粒径となり、ポリエチレン、ポリプロピレンは、発泡スチロールよりも大粒径となる。次の篩選別工程112において、小粒径の発泡スチロール(小30)と、中粒径の発泡スチロールとポリエチレン、ポリプロピレン等混合物(中20)と、大粒径のポリエチレン、ポリプロピレン等(大10)に分別され、小30は再生プラスチック(B)として再生され、中20及び大10は浮上選別工程103に再投入される。
このような特徴を有する混合廃プラスチック再生処理方法及び混合廃プラスチック再生処理装置においては、篩選別工程により小粒径となる発泡スチロールが選別されるという作用を有する。従って、純度の高い発泡スチロールの再生プラスチックを得ることができる。なお、本文献でいう発泡スチロールとはポリスチレンである。
特許文献2に開示された発明は、複数種のプラスチックで構成されたプラスチック系混合物を破砕する破砕工程と、風力により重量物と軽量物とを選別する複数回の風力選別工程と、重量物を液体雰囲気に曝す複数回の湿式工程とを有し、湿式工程が、液体を用いてプラスチックを比重により選別する湿式比重分離工程を1回以上含むことを特徴とする。
このような特徴を有するプラスチック系混合物の再資源化方法等においては、回収するプラスチックの系統以外の異物が簡易に効率よく取り除かれるという作用を有する。従って、複数種で構成されたプラスチック系混合物から、多様な用途に利用可能な高品質のプラスチック成形体を得ることができ、プラスチック廃材を低減することができるという効果を有する。
特許文献3に開示された発明は、長い筒形を呈し、底面に多数の排水孔を有するドラムと、ドラム内に装着されている螺旋棒と、ドラムの一端に装着され、螺旋棒を回転させるように駆動可能である駆動装置と、ドラムの他端に設けられている排出口と、ドラムの駆動装置に近い側に設けられている投入口と、を備えることを特徴とする。
このような特徴を有する洗浄済みプラスチックの圧縮脱水乾燥装置においては、摩擦に伴って生成された熱により洗浄済みプラスチックの水分を気化させ、通風孔から排出するという作用を有する。また、ドラムを加熱することにより、洗浄済みプラスチックの水分をすばやく気化させて排出するという作用を有する。従って、互いに付着しやすい洗浄済み薄膜または袋などの軟質プラスチック廃棄物を理想的な程度まで乾燥することができるという効果を有する。
上記構成の混合廃プラスチックの再生処理方法においては、破砕した混合廃プラスチックのうち水面に浮上したもののみを圧縮脱水するため、重量物である異物等が除去され、浮力の強いプラスチックが圧縮脱水されるという作用を有する。この浮力の強いプラスチックには、例えば、発泡スチロールにポリエチレン、ポリプロピレン等が付着したものがある。
次に、浮力の強いプラスチックは、圧縮によって含有する水分が押し出され、脱水されるという作用を有する。一定圧力による圧縮では、より高い水分吸収力を有するプラスチックほど、その内部に多くの水分が残存することとなる。なお、発泡スチロールは、ポリスチレンに気泡を含ませたものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等に比してより高い水分吸収力を有している。
さらに、この脱水されたプラスチックは、解砕工程において、破砕されたプラスチックがそれぞれ分離される。なお、圧縮にはスクリュープレス脱水機等が用いられ、解砕にはブロア送風機等が用いられる。
続いて、分離されたプラスチックは、それぞれ含有する水分量に差があることから、送風によって含有水分量の多いもの(発泡スチロール)と少ないもの(ポリエチレン、ポリプロピレン等)とに選別される。
上記構成の混合廃プラスチックの再生処理方法において、「残った混合廃プラスチック」とは、重量物及び水面に浮上した混合廃プラスチック以外の混合廃プラスチックをいい、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。そして、「風力選別工程で選別した発泡スチロールより軽量なその他のプラスチック」とは、請求項1における分離されたプラスチックのうち、含有水分量の少ないプラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン等)をいう。
本請求項の分離工程によれば、残った混合廃プラスチックのうち、再生プラスチックとして利用可能なプラスチックが回収される。
従って、「残った混合廃プラスチック」と「含有水分量の少ないプラスチック」の主成分が一致している場合には、回収工程によって、これらの純度及び再生量が増大するという作用を有する。
上記構成の混合廃プラスチックの再生処理方法において、「混合廃プラスチックの含水率が調整可能」とは、圧縮を制御して混合廃プラスチックから押し出される水分量を調整するという意味である。ここで、圧縮不足の場合には水分量過多となり、圧縮過剰の場合には以降の解砕工程で十分に解砕されず、いずれもプラスチックの分離度が低下することとなる。すなわち、再生プラスチックの純度が低下する結果となる。従って、圧縮を制御して押し出される水分量を調整することにより、混合廃プラスチックの分離度が高められ、再生プラスチックの純度が向上するという作用を有する。
上記構成の混合廃プラスチックの再生処理方法において、プラスチックの乾燥重量をa(g),水分を含んだプラスチックの重量をb(g)とすると、含水率(%)は(b−a)/b×100である。
混合廃プラスチックの含水率を10〜45%とすることにより、再生プラスチックの純度が高レベルに維持されるという作用を有する。一例として、発泡スチロールでは重量比で90%以上の純度となる。
上記構成の混合廃プラスチックの再生処理方法においては、再生発泡スチロールの純度が向上するという作用を有する。また、ポリエチレン又はポリプロピレンが混入した再生発泡スチロールは通常廃棄されることから、この廃棄量が減少し、純度が向上するのみならず同時に再生量が増加するという作用を有する。
また、この混合廃プラスチックの再生処理方法の各工程は、それぞれ破砕や圧縮脱水といった物理的な作用を及ぼす簡易な工程であって、化学反応やプラスチックの熔解といった化学的工程を含まないため、複雑さがなく、また爆発事故等の危険性もより少ない。
図1は、本発明の実施の形態に係る混合廃プラスチックの再生処理方法の実施例の工程図である。
混合廃プラスチックP1には、調味料の容器、卵のパック、肉・野菜のトレイ等が含まれている。この中にはリサイクルプラスチックと呼ばれるポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、発泡スチロール(ポリスチレン,PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)等が混入している。予めこれらの比重を記しておくと、ポリエチレンは0.91〜0.97、ポリプロピレンは0.90〜0.91、ポリスチレンは1.05、ポリエチレンテレフタレートは1.34、ポリ塩化ビニルは1.16〜1.45である。発泡スチロールの比重は含まれる気泡の量によるのでここではポリスチレンの比重を示している。なお、これらの比重の数値は、「金型技術者・成形技術者のためのプラスチック材料入門」(著者:高野菊雄 発行:日刊工業新聞社)によるものである。
また、再生プラスチックP4は上記のうち発泡スチロール(ポリスチレン)を主成分とし、再生プラスチックP6はポリエチレン、ポリプロピレンを主成分とするものである。
一方、攪拌水槽の底面には、重量物W2が沈降する。この重量物W2には金属やポリエチレンテレフタレートが含まれる。そして、これらはまとめて取り除かれる。
まず、軽量のプラスチックP2を風力選別機に投入し、振動フィーダー等を用いて定量供給しながら水分吸収量の差を利用して分別する。すなわち、水分吸収量が多い重物(発泡スチロール)と、少ない軽物のプラスチックP3(主成分ポリエチレン、この他ポリプロピレンを含む場合がある。以下、本願では発泡スチロールあるいはポリスチレンとの比較において軽量のプラスチックを示す際に、ポリエチレンのみの場合とポリエチレンを主成分としてポリプロピレンが含まれる場合の両方を総称して「ポリエチレン等」という。)と、に分別する。なお、振動フィーダーの周波数は、投入されたプラスチックが前方に進行可能な程度であれば良い。
また、前方に進行させると同時に、解砕されたプラスチックに対し送風機を用いて下方より送風する。送風機の周波数は、解砕されたプラスチックに対する軽物の重量比が3〜10%程度となるよう調整すると良い。送風により水分吸収量が少ないポリエチレン等の方がより遠くへ飛散することを利用して、発泡スチロールとポリエチレン等との選別が行われる。この後、発泡スチロールはステップS9の乾燥工程へ、ポリエチレン等のプラスチックP3はステップS13の回収工程へと送られる。
遠心分離機内で高速回転させることで、比重1以上のポリ塩化ビニルが除去される。
この圧縮脱水工程は、発泡スチロールのみが選択的に分別されるよう、破砕された発泡スチロールの水分吸収力がその他のプラスチックよりも高いという性質を利用するものである。このとき適正な水分量となる圧縮がなされる。ここで、適正な水分量となる圧縮とは、発泡スチロールとポリエチレン等の分離度が低下しない範囲の圧縮をいう。なぜなら、圧縮不足の場合では発泡スチロールとポリエチレン等の付着部に水分が残り、また圧縮過剰の場合では解砕不十分となって、いずれの場合においても発泡スチロールとポリエチレン等の分離度が低下してしまい、発泡スチロールの再生プラスチックP4の純度低下となるためである。従って、分離度が低下しないよう圧縮が制御されることで、常に高純度の発泡スチロールの再生プラスチックP4の生産に資することとなる。
そして、解砕工程及び風力選別工程において、発泡スチロールとポリエチレン等とはさらに精度よく分離されることから、発泡スチロールに混入するポリエチレン等の量を極めてわずかとすることができる。よって、純度低下による再生不可能なプラスチック廃棄物の量もわずかとなる。従って、高純度の発泡スチロールの再生プラスチックP4を再生可能であるばかりでなく、その再生量も増加させることができる。
また、風力選別工程においては、ポリエチレン、ポリプロピレンも分離され、さらにステップS13の回収工程において、混合廃プラスチックP1に含まれるすべてのポリエチレン、ポリプロピレンが回収されることから、プラスチックP6の再生量を向上させることができる。また、ここまでの工程によりポリエチレン、ポリプロピレン以外の物質は除去されることから、高純度のプラスチックP6を再生することができる。
このように、本実施の形態に係る混合廃プラスチックの再生処理方法においては、破砕された発泡スチロールの特異的な水分吸収力という性質に注目し、圧縮制御によりその含水率を所望の範囲内に維持することで、高純度かつ再生効率の良好な発泡スチロールの再生プラスチックを再生できる。また、破砕された発泡スチロールに付着したわずかなポリエチレン等ももれなく回収可能であることから、同時に2種類の高純度かつ高再生効率の再生プラスチックP4,P6を再生でき、廃棄物の減少に寄与することができる。
また、いずれの工程においても、攪拌水槽、スクリュープレス脱水機、ブロア送風機といった一般的な設備を用いていることから設備費が特に負担となることはなく、また既設の処理施設に対してもわずかな改造により導入が可能である。
以下、本実施の形態に係る混合廃プラスチックの再生処理方法について実施例を挙げて説明する。
まず、プラスチックの種類毎の含水率(%)を表1に示す。なお、プラスチックの乾燥重量をa(g)、水分を含んだ重量をb(g)とすると、含水率c(%)は、(b−a)/b×100で表わされる。
これに対し、従来例1(図2参照)においては、発泡スチロールが主成分に混入し、純度は低い。また、従来例2(図3参照)においては、再生プラスチックYの純度は高いものの歩留まりが低くなっている。さらに、再生プラスチックZにポリエチレン等が混入し、低純度に留まっている。そして、従来例3(図4参照)においては、再生プラスチックAは混入物が少なく高純度であるが、再生プラスチックB,Cはいずれも混入物により純度が高くないという結果になっている。
すなわち、本実施形態乃至従来例3のうち、すべての再生プラスチックを高純度とすることが可能なものは本実施形態のみである。よって、本実施形態に係る混合廃プラスチックの再生処理方法によれば、原料である混合廃プラスチックの廃棄量をわずかとすることが可能である。従って、再生プラスチックP4、P6の純度を高めて品質を同時に向上させるとともに、処理効率を向上させてそれぞれの再生量を増加させることが可能である。
Claims (5)
- 発泡スチロールとその他のプラスチックが含まれる混合廃プラスチックの再生処理方法において、
前記混合廃プラスチックを破砕する破砕工程と、
前記破砕した混合廃プラスチックを水槽に投入し、このうち水面に浮上した前記混合廃プラスチックを圧縮脱水する圧縮脱水工程と、
前記圧縮脱水した混合廃プラスチックを解砕する解砕工程と、
前記解砕した混合廃プラスチックに送風し、この混合廃プラスチックを前記発泡スチロールと,この発泡スチロールより軽量な前記その他のプラスチックと,に選別する風力選別工程と、
を備えることを特徴とする混合廃プラスチックの再生処理方法。 - 前記圧縮脱水した混合廃プラスチックを除去した後の前記水槽から残った混合廃プラスチックを分離する分離工程と、
前記分離した混合廃プラスチックに前記風力選別工程で選別した前記発泡スチロールより軽量なその他のプラスチックを混入させる回収工程と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の混合廃プラスチックの再生処理方法。 - 前記圧縮脱水工程は、前記圧縮脱水した混合廃プラスチックの含水率を調整可能とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の混合廃プラスチックの再生処理方法。
- 前記含水率は、10〜45%であることを特徴とする請求項3記載の混合廃プラスチックの再生処理方法。
- 前記発泡スチロールより軽量なその他のプラスチックは、ポリエチレン又はポリプロピレンであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の混合廃プラスチックの再生処理方法。
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