JP2013155456A - 全芳香族ポリアミド短繊維束およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マトリクス樹脂材料との乾式混合時、または、サイドフィーダーによる供給時には優れた収束性(単繊維の単離のない状態)を維持し、その後の熱溶融混練時には収束が解けて熱可塑性樹脂中に均一に分散する短繊維束を提供する。
【解決手段】複数の全芳香族ポリアミド短繊維が収束してなる短繊維束を得るにあたり、短繊維束の端面を平面とし、前記平面が短繊維束の繊維軸方向に対して72〜108度の範囲となるようにする短繊維束とする。
【選択図】なし
【解決手段】複数の全芳香族ポリアミド短繊維が収束してなる短繊維束を得るにあたり、短繊維束の端面を平面とし、前記平面が短繊維束の繊維軸方向に対して72〜108度の範囲となるようにする短繊維束とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、全芳香族ポリアミド繊維からなる短繊維束に関する。より詳しくは、繊維強化複合体に用いられる補強用繊維とした場合に、マトリクスへの高い分散性を発現する全芳香族ポリアミド短繊維束に関する。
全芳香族ポリアミドは、高強度、高弾性率、および優れた耐熱性を有する有機高分子材料である。このような特徴を活かして、全芳香族ポリアミド繊維を補強材とし、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂等をマトリクスとした繊維強化複合体が、自動車、建築、土木、電気等、種々の分野で使用されている。例えば、特許文献1には、全芳香族ポリアミド短繊維を補強材とした複合体が、また特許文献2には、フィブリル化した全芳香族ポリアミド繊維を補強材とした複合体事が記載されている。
ここで、繊維強化樹脂複合体の製造法としては様々な方法があるが、例えば、1〜12mm程度の長さに切断された繊維束を、樹脂ペレットあるいは樹脂パウダーと共に押出機で溶融混練して繊維強化ペレットとし(これをコンパウンド工程という)、得られた繊維強化ペレットを射出成形することによって最終的な繊維強化樹脂複合体とする方法が挙げられる。
コンパウンド工程に用いられる切断された繊維束は、定量的にかつ安定的に供給することを目的として、サイズ剤で収束させた形態とするのが通常であり、コンパウンド工程においては、サイズ剤で収束された繊維束が、スクリューフィーダーまたは振動フィーダー等により自動計量の下に押出機に連続的に供給される。
しかしながら、補強材として用いられる従来の全芳香族ポリアミド短繊維は、マトリクスとなる熱可塑性樹脂と短繊維とを予めタンブラー等で混合させる際(乾式混合時)に、サイズ剤による収束が解けて単繊維同士が絡み合い、均一な混合が困難となる場合があった。さらには、単繊維同士の絡み合いが激しくなると、ファイバーボールを形成する場合さえあった。このような状態で押出成形や射出成形等(熱溶融混練)を行うと、溶融組成物中の繊維の混合状態が不均一となって繊維の分散が不十分になり、その結果、得られる繊維強化樹脂複合体の機械的物性が低下するという問題が生じていた。
このような問題を解決するため、補強用全芳香族ポリアミド繊維を、ビカット軟化点40℃以上の炭素数2〜4のオレフィン系重合体で被覆する方法が挙げられている(特許文献3参照)。しかしながら、本技術によってもなお、タンブラー等での乾式混合時には補強用全芳香族ポリアミド短繊維同士の絡み合いが発生し、樹脂との熱溶融混練時に繊維分散性が不均一となるという問題点は、完全には解決されていなかった。
本発明は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、マトリクス樹脂材料との乾式混合時には優れた収束性(単繊維の単離のない状態)を維持し、その後の熱溶融混練時には収束が解けて熱可塑性樹脂中に均一に分散する短繊維束を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、複数の全芳香族ポリアミド短繊維が収束してなる短繊維束を得るにあたり、短繊維束の端面を平面とし、前記平面が短繊維束の繊維軸方向に対して72〜108度の範囲となるようにすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、複数の全芳香族ポリアミド短繊維が収束してなる短繊維束であって、短繊維束の端面は平面を構成し、前記平面が短繊維束の繊維軸方向に対して72〜108度である全芳香族ポリアミド短繊維束である。
また別の本発明は、上記の全芳香族ポリアミド短繊維束を製造する方法であって、
(1)全芳香族ポリアミド長繊維束に熱可塑性樹脂を含浸して樹脂含浸長繊維束を得る含浸工程と、
(2)前記樹脂含浸長繊維束を、糸導向きを変えることなく一方向に移動させるか、糸導向きを変えても変更前の糸導方向に対して60°以下の角度となるよう移動させた後に、直線状に乾燥して収束長繊維を得る乾燥工程と、
(3)前記収束長繊維を、糸導向きを変えることなく一方向に移動させるか、糸導向きを変えても変更前の糸導方向に対して30°以下の角度となるよう移動させた後に、カットして短繊維束を得るカット工程と、を含む全芳香族ポリアミド短繊維束の製造方法である。
(1)全芳香族ポリアミド長繊維束に熱可塑性樹脂を含浸して樹脂含浸長繊維束を得る含浸工程と、
(2)前記樹脂含浸長繊維束を、糸導向きを変えることなく一方向に移動させるか、糸導向きを変えても変更前の糸導方向に対して60°以下の角度となるよう移動させた後に、直線状に乾燥して収束長繊維を得る乾燥工程と、
(3)前記収束長繊維を、糸導向きを変えることなく一方向に移動させるか、糸導向きを変えても変更前の糸導方向に対して30°以下の角度となるよう移動させた後に、カットして短繊維束を得るカット工程と、を含む全芳香族ポリアミド短繊維束の製造方法である。
本発明の全芳香族ポリアミド短繊維束は、マトリクス樹脂材料との乾式混合時、または、熱溶融混練工程への投入時には収束性(単繊維の単離のない状態)を維持するため、ハンドリング性が良好となるとともに工程通過性が良好となる。さらに、繊維強化樹脂複合体とする際の混練・成形時には、収束が解けて均一に繊維(単糸)が分散されることから、得られる繊維補強樹脂複合体の機械的強度を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<全芳香族ポリアミド短繊維束>
本発明の全芳香族ポリアミド短繊維束は、複数の全芳香族ポリアミド短繊維が収束してなる短繊維束である。以下に、全芳香族ポリアミド短繊維束の構成、物性等について説明する。
<全芳香族ポリアミド短繊維束>
本発明の全芳香族ポリアミド短繊維束は、複数の全芳香族ポリアミド短繊維が収束してなる短繊維束である。以下に、全芳香族ポリアミド短繊維束の構成、物性等について説明する。
[全芳香族ポリアミド]
本発明の短繊維束においては、マトリクス樹脂とのコンパウンド時の高温に耐えうる耐熱性、および機械的強度に優れることから、全芳香族ポリアミドを原料とする。
本発明の短繊維束の原料となる全芳香族ポリアミドとは、ポリアミドを構成する繰返し単位の80モル%以上好ましくは90モル%以上が、全芳香族ホモポリアミド、または、全芳香族コポリアミドからなる全芳香族ポリアミドである。
本発明においては、全芳香族ポリアミドを構成する全芳香族基は同一であっても、相異なる全芳香族基からなるものであっても構わない。また、全芳香族基の水素原子は、ハロゲン原子、低級アルキル基、フェニル基で置換されていてもよい。
本発明の短繊維束においては、マトリクス樹脂とのコンパウンド時の高温に耐えうる耐熱性、および機械的強度に優れることから、全芳香族ポリアミドを原料とする。
本発明の短繊維束の原料となる全芳香族ポリアミドとは、ポリアミドを構成する繰返し単位の80モル%以上好ましくは90モル%以上が、全芳香族ホモポリアミド、または、全芳香族コポリアミドからなる全芳香族ポリアミドである。
本発明においては、全芳香族ポリアミドを構成する全芳香族基は同一であっても、相異なる全芳香族基からなるものであっても構わない。また、全芳香族基の水素原子は、ハロゲン原子、低級アルキル基、フェニル基で置換されていてもよい。
このような全芳香族ポリアミドとしては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、テレフタル酸成分と3,4’−ジアミノジフェニルエーテル成分およびパラフェニレンジアミン成分とが共重合されたコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド、テレフタル酸成分とフェニルベンゾイミダゾール骨格を有する芳香族ジアミン成分およびパラフェニジレンジアミン成分とが共重合されたコポリパラフェニレン・フェニルベンゾイミダゾール・テレフタルアミド等を挙げることができる。なお、本発明の短繊維束を構成する全芳香族ポリアミドとしては、全芳香族ポリアミドを1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
なかでもパラ型全芳香族ポリアミドは、全芳香族ポリアミドの延鎖結合が共軸または平行であり、かつ、反対方向に向いているポリアミドからなる繊維であるため、耐熱性および機械的強度に優れた繊維を得ることができる。このため、本発明においては、パラ型全芳香族ポリアミドを繊維の原料として用いることが好ましい。とりわけ、共重合型であるコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドは、複合体とした時の機械的強度、特に衝撃強度が高くなるため、本発明の短繊維束を構成する繊維の材料として最も好ましい。
<全芳香族ポリアミド長繊維の製造方法>
本発明の短繊維束を構成する全芳香族ポリアミド繊維の製造方法については、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、特開昭49−100322号公報、特開昭47−10863号公報、特開昭58−144152号公報、特開平4−65513号公報等に記載されている方法が挙げられる。
本発明の短繊維束を構成する全芳香族ポリアミド繊維の製造方法については、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、特開昭49−100322号公報、特開昭47−10863号公報、特開昭58−144152号公報、特開平4−65513号公報等に記載されている方法が挙げられる。
[熱可塑性樹脂]
本発明で使用する熱可塑性樹脂(以下、サイズ剤という場合もある)は、全芳香族ポリアミドからなる複数の繊維を被覆して、収束させるものである。熱可塑性樹脂(サイズ剤)としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ変性ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアクリル樹脂、またはこれらの樹脂の単独もしくはブレンド物を挙げることができる。
本発明で使用する熱可塑性樹脂(以下、サイズ剤という場合もある)は、全芳香族ポリアミドからなる複数の繊維を被覆して、収束させるものである。熱可塑性樹脂(サイズ剤)としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ変性ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアクリル樹脂、またはこれらの樹脂の単独もしくはブレンド物を挙げることができる。
全芳香族ポリアミドからなる複数の繊維を被覆するにあたっては、これらの熱可塑性樹脂は、水分散液または水溶液として全芳香族ポリアミドからなる繊維に含浸させる。なお、水分散液または水溶液には若干の溶剤を含んでいてもよい。また、本発明の目的を阻害しない範囲で、難燃剤、耐光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防錆剤、抗菌剤、顔料、シランカップリング剤、無機系微粒子等の機能剤を包含していてもよい。
[全芳香族ポリアミド短繊維束の物性]
(端面の角度)
本発明の短繊維束の端面は平面を構成しており、当該平面が短繊維束の繊維軸方向に対して72〜108度となっている。好ましくは76〜102度の範囲であり、さらに好ましくは82〜98度の範囲である。
端面の平面が短繊維束の繊維軸方向に対して72度より低角度、または、108度より高角度になると、短繊維束の端面の一部が鋭角となり形態が不均一となるため、短繊維束とマトリクス樹脂とのドライブレンド(乾式混合)時や、サイドフィーダーによる短繊維束の供給時等においてハンドリング性に問題が生じる。また、短繊維束内の繊維長が不均一となるため、マトリクス樹脂との熱溶融混練中に繊維束が解けた場合、局所的に繊維長ムラや繊維存在比のムラが生じ、樹脂補強性能が不十分となるため好ましくない。
(端面の角度)
本発明の短繊維束の端面は平面を構成しており、当該平面が短繊維束の繊維軸方向に対して72〜108度となっている。好ましくは76〜102度の範囲であり、さらに好ましくは82〜98度の範囲である。
端面の平面が短繊維束の繊維軸方向に対して72度より低角度、または、108度より高角度になると、短繊維束の端面の一部が鋭角となり形態が不均一となるため、短繊維束とマトリクス樹脂とのドライブレンド(乾式混合)時や、サイドフィーダーによる短繊維束の供給時等においてハンドリング性に問題が生じる。また、短繊維束内の繊維長が不均一となるため、マトリクス樹脂との熱溶融混練中に繊維束が解けた場合、局所的に繊維長ムラや繊維存在比のムラが生じ、樹脂補強性能が不十分となるため好ましくない。
本発明は、短繊維束の端面が略垂直であることによって、短繊維束の形状が均一となるためマトリクス樹脂との混合時の定量性が良好となり、また、繊維束内の繊維長がより均一となるためマトリクス樹脂中に繊維が局在化することなく分散し、結果として機械特性が向上する。
(総繊度)
本発明の全芳香族ポリアミド短繊維束は、全芳香族ポリアミド繊維が複数収束したものであり、その総繊度は1670〜15030dtexの範囲である。好ましくは1670〜10020dtexの範囲であり、さらに好ましくは1670〜8350dtexの範囲である。
総繊度が1670dtex未満では、短繊維束1個当たりの重量が軽くなるため、短繊維束とマトリクス樹脂とのドライブレンド(乾式混合)時や、サイドフィーダーによる短繊維束の供給時等におけるハンドリング性に劣る。総繊度15030dtexを超える場合には、撚糸機による撚糸が困難となり、また、熱可塑性樹脂(サイズ剤)が収束糸内部へ含浸しにくくなるため、長繊維から短繊維束にカットする際の収束性を得ることが困難となる。
本発明の全芳香族ポリアミド短繊維束は、全芳香族ポリアミド繊維が複数収束したものであり、その総繊度は1670〜15030dtexの範囲である。好ましくは1670〜10020dtexの範囲であり、さらに好ましくは1670〜8350dtexの範囲である。
総繊度が1670dtex未満では、短繊維束1個当たりの重量が軽くなるため、短繊維束とマトリクス樹脂とのドライブレンド(乾式混合)時や、サイドフィーダーによる短繊維束の供給時等におけるハンドリング性に劣る。総繊度15030dtexを超える場合には、撚糸機による撚糸が困難となり、また、熱可塑性樹脂(サイズ剤)が収束糸内部へ含浸しにくくなるため、長繊維から短繊維束にカットする際の収束性を得ることが困難となる。
(熱可塑性樹脂付着量)
また、本発明の全芳香族ポリアミド短繊維束への熱可塑性樹脂(サイズ剤)の付着量は、短繊維束の全質量に対して好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは7〜15質量%である。
付着量が5質量%未満の場合には、繊維束の収束性が不十分となり、ハンドリング性が悪化したり、樹脂ペレットと乾式混合する工程において容易に繊維束が解繊して繊維塊状物が発生する等の問題が生じる。また、付着量が20質量%を超える場合には、熱可塑性樹脂(サイズ剤)が付着した収束繊維そのものの製造が困難となるため好ましくない。
また、本発明の全芳香族ポリアミド短繊維束への熱可塑性樹脂(サイズ剤)の付着量は、短繊維束の全質量に対して好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは7〜15質量%である。
付着量が5質量%未満の場合には、繊維束の収束性が不十分となり、ハンドリング性が悪化したり、樹脂ペレットと乾式混合する工程において容易に繊維束が解繊して繊維塊状物が発生する等の問題が生じる。また、付着量が20質量%を超える場合には、熱可塑性樹脂(サイズ剤)が付着した収束繊維そのものの製造が困難となるため好ましくない。
(カット長)
本発明の短繊維束の長さは、好ましくは1〜12mm、さらに好ましくは2〜10mmの範囲である。繊維長が1mm未満の場合には、収束したままで短繊維束を得ることが困難となり、また12mmを超える場合には、マトリクス樹脂と溶融混合する際に収束が解けた単繊維同士が絡み合い、分散不良となりやすいため好ましくない。
本発明の短繊維束の長さは、好ましくは1〜12mm、さらに好ましくは2〜10mmの範囲である。繊維長が1mm未満の場合には、収束したままで短繊維束を得ることが困難となり、また12mmを超える場合には、マトリクス樹脂と溶融混合する際に収束が解けた単繊維同士が絡み合い、分散不良となりやすいため好ましくない。
[全芳香族ポリアミド短繊維束の製造方法]
本発明の短繊維束は、熱可塑性樹脂(サイズ剤)付与後に所定の糸導を経て得られる収束繊維、すなわち、表面に樹脂割れや歪みの少ない直線状の形状となった収束繊維をカットすることにより得られる。具体的には、少なくとも次の(1)〜(3)工程を経て製造される。各工程について、以下に説明する。
本発明の短繊維束は、熱可塑性樹脂(サイズ剤)付与後に所定の糸導を経て得られる収束繊維、すなわち、表面に樹脂割れや歪みの少ない直線状の形状となった収束繊維をカットすることにより得られる。具体的には、少なくとも次の(1)〜(3)工程を経て製造される。各工程について、以下に説明する。
(1)含浸工程
含浸工程においては、全芳香族ポリアミド長繊維束に熱可塑性樹脂を含浸して樹脂含浸長繊維束を得る。熱可塑性樹脂を含浸させるにあたっては、全芳香族ポリアミド長繊維を連続的に走行させつつ実施することが好ましく、生産性を向上させるためには、複数の繊維束を同時に連続走行させることが好ましい。なお、連続走行させるにあたっては、連続した繊維束を巻き取ったボビンをクリール等にセットし、ニップローラー、引取りローラー、駆動抵抗を有するクリール等で繊維束に張力を作用させることが好ましい。
熱可塑性樹脂の含浸方法は特に限定されるものでではないが、例えば、熱可塑性樹脂の水分散液または水溶液を調製した後、調製液中へ一定速度で連続的に全芳香族ポリアミド長繊維を浸すことにより、全芳香族ポリアミド長繊維に含浸させる方法が挙げられる。
含浸工程においては、全芳香族ポリアミド長繊維束に熱可塑性樹脂を含浸して樹脂含浸長繊維束を得る。熱可塑性樹脂を含浸させるにあたっては、全芳香族ポリアミド長繊維を連続的に走行させつつ実施することが好ましく、生産性を向上させるためには、複数の繊維束を同時に連続走行させることが好ましい。なお、連続走行させるにあたっては、連続した繊維束を巻き取ったボビンをクリール等にセットし、ニップローラー、引取りローラー、駆動抵抗を有するクリール等で繊維束に張力を作用させることが好ましい。
熱可塑性樹脂の含浸方法は特に限定されるものでではないが、例えば、熱可塑性樹脂の水分散液または水溶液を調製した後、調製液中へ一定速度で連続的に全芳香族ポリアミド長繊維を浸すことにより、全芳香族ポリアミド長繊維に含浸させる方法が挙げられる。
(2)乾燥工程
乾燥工程においては、含浸工程で得られた樹脂含浸長繊維束を、糸導向きを変えることなく一方向に移動させるか、糸導向きを変えても変更前の糸導方向に対して60°以下の角度となるよう移動させた後に、直線状に乾燥して収束長繊維を得る。
糸導向きを変える方法としては、例えば、ガイド/駆動ローラーを用いて、元の糸導と角度を成す方法が挙げられる。
元の糸導と糸導変更後の糸導が成す角度が60度より大きくなる場合には、樹脂含浸長繊維束の表面が折れ曲がるため付与した樹脂にムラが生じ、カット時に収束性を維持することが困難となる。また、樹脂含浸長繊維束の表面が折れ曲がったまま乾燥させると、そのままの形態を維持して部分的に歪曲した状態となり、カット時にカッター刃に対して成す収束糸の角度が一定とならないため、目的のカット端面を得られなくなる。
移動後の樹脂含浸長繊維束の乾燥方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、非接触式の乾燥炉あるいはヒーター中に通す方法、高温のスチームを付与する方法等が挙げられる。乾燥時の糸導はカット時の繊維束形状に大きく影響するため、目的のカット端面角度を得るためには、糸導を直線状とする必要がある。
また、円柱形状の収束長繊維を得やすくするために、乾燥前に円形のノズルガイドを通したり、円柱状の穴を有する加熱された金型に通したりしてもよい。いずれの方法を用いる場合でも、乾燥温度を120℃〜200℃、滞留時間を0.05〜10分の条件で乾燥させるのが好ましいが、熱可塑性樹脂(サイズ剤)の付着量に応じて適宜条件を設定することができる。
乾燥工程においては、含浸工程で得られた樹脂含浸長繊維束を、糸導向きを変えることなく一方向に移動させるか、糸導向きを変えても変更前の糸導方向に対して60°以下の角度となるよう移動させた後に、直線状に乾燥して収束長繊維を得る。
糸導向きを変える方法としては、例えば、ガイド/駆動ローラーを用いて、元の糸導と角度を成す方法が挙げられる。
元の糸導と糸導変更後の糸導が成す角度が60度より大きくなる場合には、樹脂含浸長繊維束の表面が折れ曲がるため付与した樹脂にムラが生じ、カット時に収束性を維持することが困難となる。また、樹脂含浸長繊維束の表面が折れ曲がったまま乾燥させると、そのままの形態を維持して部分的に歪曲した状態となり、カット時にカッター刃に対して成す収束糸の角度が一定とならないため、目的のカット端面を得られなくなる。
移動後の樹脂含浸長繊維束の乾燥方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、非接触式の乾燥炉あるいはヒーター中に通す方法、高温のスチームを付与する方法等が挙げられる。乾燥時の糸導はカット時の繊維束形状に大きく影響するため、目的のカット端面角度を得るためには、糸導を直線状とする必要がある。
また、円柱形状の収束長繊維を得やすくするために、乾燥前に円形のノズルガイドを通したり、円柱状の穴を有する加熱された金型に通したりしてもよい。いずれの方法を用いる場合でも、乾燥温度を120℃〜200℃、滞留時間を0.05〜10分の条件で乾燥させるのが好ましいが、熱可塑性樹脂(サイズ剤)の付着量に応じて適宜条件を設定することができる。
(3)カット工程
カット工程においては、乾燥工程で得られた収束長繊維を、糸導向きを変えることなく一方向に移動させるか、糸導向きを変えても変更前の糸導方向に対して30°以下の角度となるよう移動させた後にカットして、短繊維束を得る。
糸導向きを変える方法としては、例えば、ガイド/駆動ローラーを用いて、元の糸導と角度を成す方法が挙げられる。
元の糸導と糸導変更後の糸導が成す角度が30度より大きくなる場合には、収束長繊維が折れ曲がるため乾燥により形成された樹脂被膜が割れやすくなり、カット時に収束性を維持することが困難となる。
カットの方法としては、全芳香族ポリアミド収束糸の切断が可能であればいずれのカッターを用いてもよく、例えば、ロータリーカッター、ギロチンカッター等が挙げられる。
カット工程においては、乾燥工程で得られた収束長繊維を、糸導向きを変えることなく一方向に移動させるか、糸導向きを変えても変更前の糸導方向に対して30°以下の角度となるよう移動させた後にカットして、短繊維束を得る。
糸導向きを変える方法としては、例えば、ガイド/駆動ローラーを用いて、元の糸導と角度を成す方法が挙げられる。
元の糸導と糸導変更後の糸導が成す角度が30度より大きくなる場合には、収束長繊維が折れ曲がるため乾燥により形成された樹脂被膜が割れやすくなり、カット時に収束性を維持することが困難となる。
カットの方法としては、全芳香族ポリアミド収束糸の切断が可能であればいずれのカッターを用いてもよく、例えば、ロータリーカッター、ギロチンカッター等が挙げられる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
<測定・評価方法>
実施例および比較例で用いた評価方法は、下記の通りである。
<測定・評価方法>
実施例および比較例で用いた評価方法は、下記の通りである。
(1)短繊維束の端面角度
短繊維束の端面を光学顕微鏡で観察し、繊維軸方向に対する端面角度を測定した。測定本数は10本ずつとし、平均値を各々の値とした。
短繊維束の端面を光学顕微鏡で観察し、繊維軸方向に対する端面角度を測定した。測定本数は10本ずつとし、平均値を各々の値とした。
(2)短繊維束の分散性
後述の方法で作製したストランドペレット(A)を、10cm角の金型内に隙間無く、ペレット同士が重ならないように敷き詰めた後、260℃で圧縮成形して厚さ1mmの繊維強化樹脂複合体を製造した。得られた樹脂複合体を目視で観察し、繊維の分散状態について下記の基準で判定した。
(評価基準)
○ :繊維塊(単繊維同士が絡み合って形成されたもの)が存在しない
△ :繊維塊が1〜9箇所存在する
× :繊維塊が10箇所以上存在する
後述の方法で作製したストランドペレット(A)を、10cm角の金型内に隙間無く、ペレット同士が重ならないように敷き詰めた後、260℃で圧縮成形して厚さ1mmの繊維強化樹脂複合体を製造した。得られた樹脂複合体を目視で観察し、繊維の分散状態について下記の基準で判定した。
(評価基準)
○ :繊維塊(単繊維同士が絡み合って形成されたもの)が存在しない
△ :繊維塊が1〜9箇所存在する
× :繊維塊が10箇所以上存在する
(3)繊維強化樹脂複合体の曲げ強度・弾性率
後述の方法で作成したストランドペレット(A)を用いて、成形温度260℃、金型温度80℃で射出成形を行い、長さ130±1mm、幅25±0.2mmの全芳香族ポリアミド繊維強化樹脂複合体を作製した。得られた樹脂複合体について、万能試験機(インストロン社製、5565型)を用いて、ASTM D790に準拠して、以下の条件で測定を実施した。
(測定条件)
試験治具 :3点曲げ試験冶具(圧子10mm、支点10mm)
支持スパン :100mm
クロスヘッド速度 :5.3mm/分
後述の方法で作成したストランドペレット(A)を用いて、成形温度260℃、金型温度80℃で射出成形を行い、長さ130±1mm、幅25±0.2mmの全芳香族ポリアミド繊維強化樹脂複合体を作製した。得られた樹脂複合体について、万能試験機(インストロン社製、5565型)を用いて、ASTM D790に準拠して、以下の条件で測定を実施した。
(測定条件)
試験治具 :3点曲げ試験冶具(圧子10mm、支点10mm)
支持スパン :100mm
クロスヘッド速度 :5.3mm/分
<実施例1>
[全芳香族ポリアミド短繊維束の製造]
(含浸工程)
繊度1670dtex、単繊維本数1000本のコポリパラフェニレン−3.4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ(株)製、商品名:テクノーラT−200H)を3本合糸し、S方向に撚り係数1となるように撚糸して繊維束(a)を作製した。
ポリエーテル系水系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:ボンディック1940NE)をイオン交換水にて希釈し、固形分濃度を10質量%に調製して熱可塑性樹脂(サイズ剤)分散液(b)とした。
作製した繊維束(a)を熱可塑性樹脂(サイズ剤)分散液(b)に浸漬させて、樹脂含浸長繊維束とした。
(乾燥工程)
引き続き、得られた樹脂含浸長繊維束を、ガイドローラーに通過させ、非接触式の温度200℃の乾燥炉を直線状に通過させ収束長繊維を得た。このとき、ガイドローラー前後での糸導が成す角度は60度であり、乾燥炉における滞留時間は3分間であった。
(カット工程)
得られた収束長繊維を、ガイドローラーおよび上下に設置した2つのローラーが片方と逆の回転となる駆動ローラーの間を通過させ、ギロチンカッターで3mmにカットして短繊維束を得た。このとき、ガイドローラーおよび駆動ローラー通過前後の糸導が成す角度は30度であり、得られた短繊維束のカット端面角度は72度であった。
[繊維強化樹脂複合体の製造]
次に、ポリアミド66樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名:レオナ1300S)中に、上記で得られた短繊維束を、短繊維配合率が15質量%となるように混合し、80℃に加温したタンブラー中で2時間撹拌させた直後に、280℃に加温した二軸押出機に導入し、混練押出した後にカットして、ストランドペレット(A)を得た。
得られたストランドペレット(A)を用いて、繊維束の分散性、および曲げ強度・弾性率を測定するための2種類の繊維強化樹脂複合体を製造した。評価結果を表1に示す。
[全芳香族ポリアミド短繊維束の製造]
(含浸工程)
繊度1670dtex、単繊維本数1000本のコポリパラフェニレン−3.4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ(株)製、商品名:テクノーラT−200H)を3本合糸し、S方向に撚り係数1となるように撚糸して繊維束(a)を作製した。
ポリエーテル系水系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:ボンディック1940NE)をイオン交換水にて希釈し、固形分濃度を10質量%に調製して熱可塑性樹脂(サイズ剤)分散液(b)とした。
作製した繊維束(a)を熱可塑性樹脂(サイズ剤)分散液(b)に浸漬させて、樹脂含浸長繊維束とした。
(乾燥工程)
引き続き、得られた樹脂含浸長繊維束を、ガイドローラーに通過させ、非接触式の温度200℃の乾燥炉を直線状に通過させ収束長繊維を得た。このとき、ガイドローラー前後での糸導が成す角度は60度であり、乾燥炉における滞留時間は3分間であった。
(カット工程)
得られた収束長繊維を、ガイドローラーおよび上下に設置した2つのローラーが片方と逆の回転となる駆動ローラーの間を通過させ、ギロチンカッターで3mmにカットして短繊維束を得た。このとき、ガイドローラーおよび駆動ローラー通過前後の糸導が成す角度は30度であり、得られた短繊維束のカット端面角度は72度であった。
[繊維強化樹脂複合体の製造]
次に、ポリアミド66樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名:レオナ1300S)中に、上記で得られた短繊維束を、短繊維配合率が15質量%となるように混合し、80℃に加温したタンブラー中で2時間撹拌させた直後に、280℃に加温した二軸押出機に導入し、混練押出した後にカットして、ストランドペレット(A)を得た。
得られたストランドペレット(A)を用いて、繊維束の分散性、および曲げ強度・弾性率を測定するための2種類の繊維強化樹脂複合体を製造した。評価結果を表1に示す。
<実施例2>
[全芳香族ポリアミド短繊維束の製造]
乾燥工程におけるガイドローラー前後での糸導が成す角度を24度とし、カット工程におけるガイドローラーおよび駆動ローラー前後での糸導が成す角度を30度とした以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド短繊維束を得た。得られた短繊維束のカット端面角度は104度であった。
[繊維強化樹脂複合体の製造]
得られた短繊維束を用いて、実施例1と同様の方法にてストランドペレット(A)、および2種類の繊維強化樹脂成形体を得た。評価結果を表1に示す。
[全芳香族ポリアミド短繊維束の製造]
乾燥工程におけるガイドローラー前後での糸導が成す角度を24度とし、カット工程におけるガイドローラーおよび駆動ローラー前後での糸導が成す角度を30度とした以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド短繊維束を得た。得られた短繊維束のカット端面角度は104度であった。
[繊維強化樹脂複合体の製造]
得られた短繊維束を用いて、実施例1と同様の方法にてストランドペレット(A)、および2種類の繊維強化樹脂成形体を得た。評価結果を表1に示す。
<実施例3>
[全芳香族ポリアミド短繊維束の製造]
乾燥工程におけるガイドローラー前後での糸導が成す角度を38度とし、カット工程におけるガイドローラーおよび駆動ローラー前後での糸導が成す角度を12度とした以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド短繊維束を得た。得られた短繊維束のカット端面角度は85度であった。
[繊維強化樹脂複合体の製造]
得られた短繊維束を用いて、実施例1と同様の方法にてストランドペレット(A)、および2種類の繊維強化樹脂成形体を得た。評価結果を表1に示す。
[全芳香族ポリアミド短繊維束の製造]
乾燥工程におけるガイドローラー前後での糸導が成す角度を38度とし、カット工程におけるガイドローラーおよび駆動ローラー前後での糸導が成す角度を12度とした以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド短繊維束を得た。得られた短繊維束のカット端面角度は85度であった。
[繊維強化樹脂複合体の製造]
得られた短繊維束を用いて、実施例1と同様の方法にてストランドペレット(A)、および2種類の繊維強化樹脂成形体を得た。評価結果を表1に示す。
<比較例1>
[全芳香族ポリアミド短繊維束の製造]
乾燥工程におけるガイドローラー前後の糸導が成す角度が60度とし、乾燥炉前後に駆動ローラーを設置して糸導方向を180度反転させ(直線状に乾燥しなかった)、カット工程におけるガイドローラーおよび駆動ローラー前後の糸導が成す角度を30度とした以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド短繊維束を得た。短繊維束のカット端面角度は64度であった。
[繊維強化樹脂複合体の製造]
得られた短繊維束を用いて、実施例1と同様の方法にてストランドペレット(A)、および2種類の繊維強化樹脂成形体を得た。評価結果を表1に示す。
[全芳香族ポリアミド短繊維束の製造]
乾燥工程におけるガイドローラー前後の糸導が成す角度が60度とし、乾燥炉前後に駆動ローラーを設置して糸導方向を180度反転させ(直線状に乾燥しなかった)、カット工程におけるガイドローラーおよび駆動ローラー前後の糸導が成す角度を30度とした以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド短繊維束を得た。短繊維束のカット端面角度は64度であった。
[繊維強化樹脂複合体の製造]
得られた短繊維束を用いて、実施例1と同様の方法にてストランドペレット(A)、および2種類の繊維強化樹脂成形体を得た。評価結果を表1に示す。
<比較例2>
乾燥工程におけるガイドローラー前後での糸導が成す角度を60度として得た収束長繊維を、ワインダーを用いてφ100mmの紙管に巻き取った。巻き取った繊維束を数本束ね、ギロチンカッターにて長さ3mmにカットして短繊維束を得た。短繊維束のカット端面角度は57度であった。
[繊維強化樹脂複合体の製造]
得られた短繊維束を用いて、実施例1と同様の方法にてストランドペレット(A)、および2種類の繊維強化樹脂成形体を得た。評価結果を表1に示す。
乾燥工程におけるガイドローラー前後での糸導が成す角度を60度として得た収束長繊維を、ワインダーを用いてφ100mmの紙管に巻き取った。巻き取った繊維束を数本束ね、ギロチンカッターにて長さ3mmにカットして短繊維束を得た。短繊維束のカット端面角度は57度であった。
[繊維強化樹脂複合体の製造]
得られた短繊維束を用いて、実施例1と同様の方法にてストランドペレット(A)、および2種類の繊維強化樹脂成形体を得た。評価結果を表1に示す。
<比較例3>
[全芳香族ポリアミド短繊維束の製造]
乾燥工程におけるガイドローラー前後での糸導が成す角度を80度とし、カット工程におけるガイドローラーおよび駆動ローラー前後での糸導が成す角度を30度とした以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド短繊維束を得た。得られた短繊維束のカット端面角度は67度であった。
[繊維強化樹脂複合体の製造]
得られた短繊維束を用いて、実施例1と同様の方法にてストランドペレット(A)、および2種類の繊維強化樹脂複合体を得た。評価結果を表1に示す。
[全芳香族ポリアミド短繊維束の製造]
乾燥工程におけるガイドローラー前後での糸導が成す角度を80度とし、カット工程におけるガイドローラーおよび駆動ローラー前後での糸導が成す角度を30度とした以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド短繊維束を得た。得られた短繊維束のカット端面角度は67度であった。
[繊維強化樹脂複合体の製造]
得られた短繊維束を用いて、実施例1と同様の方法にてストランドペレット(A)、および2種類の繊維強化樹脂複合体を得た。評価結果を表1に示す。
<比較例4>
[全芳香族ポリアミド短繊維束の製造]
乾燥工程におけるガイドローラー前後での糸導が成す角度を60度とし、カット工程におけるガイドローラーおよび駆動ローラー前後での糸導が成す角度を45度とした以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド短繊維束を得た。得られた短繊維束のカット端面角度は118度であった。
[繊維強化樹脂複合体の製造]
得られた短繊維束を用いて、実施例1と同様の方法にてストランドペレット(A)、および2種類の繊維強化樹脂複合体を得た。評価結果を表1に示す。
[全芳香族ポリアミド短繊維束の製造]
乾燥工程におけるガイドローラー前後での糸導が成す角度を60度とし、カット工程におけるガイドローラーおよび駆動ローラー前後での糸導が成す角度を45度とした以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド短繊維束を得た。得られた短繊維束のカット端面角度は118度であった。
[繊維強化樹脂複合体の製造]
得られた短繊維束を用いて、実施例1と同様の方法にてストランドペレット(A)、および2種類の繊維強化樹脂複合体を得た。評価結果を表1に示す。
本発明の短繊維束は、繊維軸方向に対して所定の角度を有することにより、マトリクス樹脂材料との乾式混合時、または、熱溶融混練工程への投入時には収束性(単繊維の単離のない状態)を維持するため、繊維強化複合体を製造する場合には、収束糸とマトリクス樹脂とのドライブレンド性に優れ、また、サイドフィーダーによる供給安定性に優れる。また、繊維強化樹脂複合体とする際の混練・成形時には、収束が解けて均一に繊維(単糸)が分散されることから、得られる繊維補強樹脂複合体の機械的強度を向上させることが可能となる。
Claims (3)
- 複数の全芳香族ポリアミド短繊維が収束してなる短繊維束であって、
短繊維束の端面は平面を構成し、前記平面が短繊維束の繊維軸方向に対して72〜108度である全芳香族ポリアミド短繊維束。 - 前記全芳香族ポリアミド短繊維が、パラ型芳香族ポリアミド短繊維である請求項1記載の全芳香族ポリアミド短繊維束。
- 請求項1または2に記載の全芳香族ポリアミド短繊維束を製造する方法であって、
(1)全芳香族ポリアミド長繊維束に熱可塑性樹脂を含浸して樹脂含浸長繊維束を得る含浸工程と、
(2)前記樹脂含浸長繊維束を、糸導向きを変えることなく一方向に移動させるか、糸導向きを変えても変更前の糸導方向に対して60°以下の角度となるよう移動させた後に、直線状に乾燥して収束長繊維を得る乾燥工程と、
(3)前記収束長繊維を、糸導向きを変えることなく一方向に移動させるか、糸導向きを変えても変更前の糸導方向に対して30°以下の角度となるよう移動させた後に、カットして短繊維束を得るカット工程と、を含む全芳香族ポリアミド短繊維束の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012016671A JP2013155456A (ja) | 2012-01-30 | 2012-01-30 | 全芳香族ポリアミド短繊維束およびその製造方法 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2013155456A true JP2013155456A (ja) | 2013-08-15 |
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JP2012016671A Pending JP2013155456A (ja) | 2012-01-30 | 2012-01-30 | 全芳香族ポリアミド短繊維束およびその製造方法 |
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Country | Link |
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-
2012
- 2012-01-30 JP JP2012016671A patent/JP2013155456A/ja active Pending
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