JP2013155215A - タイヤ用ゴム組成物、タイヤ用架橋ゴム組成物、及びタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非共役オレフィンと共役ジエン化合物との共重合体を含むゴム成分を含有し、前記ゴム成分中のビニル結合量が34mol%以下であることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
【選択図】なし
Description
また、ブタジエンの値段が高騰しており、将来さらに原材料の値段が劇的に高騰することが予想され、タイヤ材料においても低価格なオレフィン資源の活用が必要とされている。
これらの問題に対し、従来より高シスブタジエンゴムと天然ゴムとを組み合わせることが行われているが、これらのゴムは非相溶であり、十分な耐摩耗性を得ることはできないという問題があった。
以下、本発明のタイヤ用ゴム組成物のゴム成分を構成する共重合体の構造について説明する。
該ゴム成分を構成する非共役オレフィンと共役ジエン化合物との共重合体(非共役オレフィン系共重合体)において、単量体として用いる共役ジエン化合物は、炭素数が4〜12であることが好ましい。該共役ジエン化合物として、具体的には、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン等が挙げられ、これらの中でも、これらの中でも、1,3-ブタジエン及びイソプレンが好ましい。また、これら共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
非共役オレフィン系共重合体の製造方法は、下記に示す第一の重合触媒組成物、第二の重合触媒組成物、または第三の重合触媒組成物の存在下、非共役オレフィンと共役ジエン化合物とを重合させる工程を含むことが好ましい。なお、重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、用いられる溶媒は重合反応において不活性であればよく、例えば、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、またそれらの混合物等が挙げられる。
前記第一の重合触媒組成物(以下、「第一重合触媒組成物」ともいう)としては、下記一般式(I):
なお、重合反応系において、第一重合触媒組成物に含まれる錯体の濃度は0.1〜0.0001mol/Lの範囲であることが好ましい。
上記一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びシリルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(II)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
次に、第二の重合触媒組成物(以下、「第二重合触媒組成物」ともいう)について説明する。
第二重合触媒組成物としては、
(A)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であって、希土類元素と炭素との結合を有さない該希土類元素化合物又は反応物と、
(B)成分:非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B−1)、アルミノキサン(B−2)、並びにルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも一種のハロゲン化合物(B−3)よりなる群から選択される少なくとも一種と、
を含む触媒組成物が挙げられる。
第二重合触媒組成物が、イオン性化合物(B−1)及びハロゲン化合物(B−3)の少なくとも一種を含む場合、該重合触媒組成物は、更に、
(C)成分:下記一般式(X):
YR1 aR2 bR3 c ・・・ (X)
(式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である)で表される有機金属化合物を含む。
なお、重合反応系において、第二重合触媒組成物に含まれる(A)成分の濃度は0.1〜0.0001mol/lの範囲であることが好ましい。
なお、ランタノイド元素の具体例としては、ランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを挙げることができる。なお、上記(A)成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
M11X11 2・L11w ・・・ (XI)
M11X11 3・L11w ・・・ (XII)
(式中、M11は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、X11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基又はリン化合物残基を示し、L11は、ルイス塩基を示し、wは、0〜3を示す)で表されることができる。
YR1 aR2 bR3 c ・・・ (X)
(式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である)で表される有機金属化合物であり、下記一般式(Xa):
AlR1R2R3 ・・・ (Xa)
(式中、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよい)で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましい。一般式(X)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(C)成分としての有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記第二重合触媒組成物における有機アルミニウム化合物の含有量は、(A)成分に対して1〜50倍モルであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
次に、第二触媒組成物に重合触媒として含まれる化合物の構造、性能について説明する。
重合触媒としては、重合用であり、下記式(A):
RaMXbQYb・・・(A)
(式中、Rはそれぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、該RはMに配位しており、Mはランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位しており、Qは周期律表第13族元素を示し、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位しており、a及びbは2である)で表されるメタロセン系複合触媒が挙げられる。
上記メタロセン系重合触媒を用いることで、重合体を製造することができる。また、上記メタロセン系複合触媒、例えば予めアルミニウム触媒と複合させてなる触媒を用いることで、重合体合成時に使用されるアルキルアルミニウムの量を低減したり、無くしたりすることが可能となる。なお、従来の触媒系を用いると、重合体合成時に大量のアルキルアルミニウムを用いる必要がある。例えば、従来の触媒系では、金属触媒に対して10当量以上のアルキルアルミニウムを用いる必要があるところ、上記メタロセン系複合触媒であれば、5当量程度のアルキルアルミニウムを加えることで、優れた触媒作用が発揮される。
置換インデニルとして、具体的には、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル等が挙げられる。なお、式(XV)における二つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
また、前記第三の重合触媒組成物(以下、「第三重合触媒組成物」ともいう)は、上記メタロセン系複合触媒と、ホウ素アニオンとを含むことを特徴とし、更に、通常のメタロセン系触媒を含む重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含むことが好ましい。なお、上記メタロセン系複合触媒とホウ素アニオンとを合わせて2成分触媒ともいう。前記第三重合触媒組成物によれば、上記メタロセン系複合触媒と同様に、更にホウ素アニオンを含有するため、各単量体成分の重合体中での含有量を任意に制御することが可能となる。
本発明に係るゴム組成物における非共役オレフィン系共重合体の製造において、上記重合触媒又は重合触媒組成物を用いる場合、例えば、従来の配位イオン重合触媒を用いる重合反応による重合体の製造方法と同様にして行うことができる。ここで、共重合体の製造方法が上記重合触媒組成物を用いる場合は、例えば、(1)単量体として非共役オレフィン及び共役ジエン化合物を含む重合反応系中に、重合触媒組成物の構成成分を別個に提供し、該反応系中において重合触媒組成物を調製してもよいし、(2)予め調製された重合触媒組成物を重合反応系中に提供してもよい。また、(2)においては、助触媒によって活性化されたメタロセン錯体(活性種)を提供することも含まれる。なお、重合触媒組成物に含まれるメタロセン錯体の使用量は、非共役オレフィン及び共役ジエン化合物の合計に対して、0.0001〜0.01倍モルの範囲が好ましい。
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.0
の関係を満たすことが好ましく、更に好ましくは下記式:
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.3
の関係を満たし、一層好ましくは下記式:
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.7
の関係を満たす。非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度の値を1以上とすることで、反応混合物中に非共役オレフィンを効率的に導入することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分として芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の共重合体(芳香族ビニル系共重合体)を1種以上含有することが好ましい。芳香族ビニル系共重合体としては、耐摩耗・破壊性のバランスや加工性に優れ、タイヤ用に使用される、スチレンブタジエンゴム(SBR)を好適に使用できる。また、共重合体として使用される共役ジエンとしては、共役ジエン化合物は、炭素数が4〜12であることが好ましい。該共役ジエン化合物として、具体的には、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン等が挙げられ、これらの中でも、1,3-ブタジエン及びイソプレンが好ましい。また、これら共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のタイヤ用ゴム組成物としては、上記の非共役オレフィン系共重合体と芳香族ビニル系共重合体を含み、他の成分については他に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、無機充填剤、カーボンブラック、架橋剤、などを含むことが好ましい。また、上記共重合体以外のゴム成分を含有していてもよい。
タイヤ用ゴム組成物中の非共役オレフィン系共重合体の配合量は、ゴム成分100重量部に対して5〜40重量部、好ましくは5〜25重量部、より好ましくは10〜25重量部とする。非共役オレフィン系の共重合体の配合量が5重量部以上とすることで、タイヤの製造コストを減じることができ、かつおおよそ低温(約−40℃)から高温(約80℃)にかけて良好な反発弾性率を奏し得る。一方、非共役オレフィン系共重合体を40重量部以下とすることで、良好なウェットグリップ性能が得られるという利点がある。
前記無機充填剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、無機充填剤を用いる時は適宜シランカップリング剤を使用してもよい。
前記補強性充填剤の含有量が、5重量部未満であると、補強性充填剤を入れる効果があまりみられないことがあり、200重量部を超えると前記ゴム成分に補強性充填剤が混ざり込まなくなる傾向があり、ゴム組成物としての性能を低下させることがある。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、硫黄化合物系架橋剤、オキシム−ニトロソアミン系架橋剤硫黄などが挙げられるが、中でもタイヤ用ゴム組成物としては硫黄系架橋剤がより好ましい。
前記架橋剤の含有量が0.1重量部未満では、架橋がほとんど進行しなかったり、20重量部を超えると一部の架橋剤により混練り中に架橋が進んでしまう傾向があったり、加硫物の物性が損なわれたりすることがある。
その他に加硫促進剤を併用することも可能であり、加硫促進剤としては、グアジニン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系等の化合物が使用できる。
また必要に応じて、補強剤、軟化剤、充填剤、加硫助剤、着色剤、難燃剤、滑剤、発泡剤、可塑剤、加工助剤、酸化防止剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、着色防止剤、その他の配合剤など公知のものをその使用目的に応じて使用することができる。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物の損失正接(tanδ)のピーク温度は、−20℃以下、特に−50〜−22℃、より好ましくは−40〜−25℃とすることが好ましい。tanδのピーク温度を低くすることで、60℃近傍の転がり抵抗は十分に抑制しつつ、低温状況や0℃付近での弾性率の増加を抑制し得る。なお、tanδのピーク温度の低いタイヤ用ゴム組成物は、その構成を上記のようにすることで、十分に実現し得るものである。
本発明の架橋ゴム組成物は、本発明のタイヤ用ゴム組成物を架橋して得られたものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記架橋の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、温度120℃〜200℃、加温時間1分間〜900分間が好ましい。
本発明のタイヤは、本発明のタイヤ用ゴム組成物、またはタイヤ用架橋ゴム組成物を用いたものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物、又は、本発明のタイヤ用架橋ゴム組成物のタイヤにおける適用部位としては、例えば、トレッド、ベーストレッド、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラーなどが挙げられるが、これらの中でも、前記適用部位をトレッドとすることが、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性の点で有利である。
前記タイヤを製造する方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、タイヤ成形用ドラム上に未加硫ゴムからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望のタイヤを製造することができる。
十分に乾燥した400ml耐圧ガラス反応器に、1,3−ブタジエン9.36g(0.173mol)を含むトルエン溶液200mlを添加した後、エチレンを0.6MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器に(2−MeC9H6)2Sc(MeAlMe3)21.0μmol、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C6F5)4)21.0μmol、及びトリイソブチルアルミニウム0.25mmolを仕込み、トルエン5mlに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、モノマー溶液へ添加し、25℃で50分間重合を行った。重合後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体を得た。得られた共重合体EBRの収量は9.30gであった。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8121GPC/HT、カラム:東ソー製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定温度は140℃である。
エチレン−ブタジエン共重合体(EBR)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)及び高シスブタジエンゴム(BR)について、ISO21561(JIS K 6239)によってビニル結合量を測定した。
エチレン−ブタジエン共重合体(EBR)中のブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)を、1H−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:6ppm)により1,2−ビニル結合成分(5.0−5.1ppm)と全体のブタジエン結合成分(5−5.6ppm)の積分比より求め、エチレン−ブタジエン共重合体(EBR)、入手した市販のスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)及び高シスブタジエンゴム(BR)中のブタジエン部分のミクロ構造(シス−1,4結合量)を、13C−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:73.8ppm)によりシス−1,4結合成分(26.5−27.5ppm)と全体のブタジエン結合成分(26.5−27.5ppm+31.5−32.5ppm)の積分比より求めた。1,2−ビニル結合量、シス−1,4結合量(mol%)の計算値を表1に示す。
※2 SBR2 0122 JSR製 E−SBR ムーニー粘度ML(1+4)(100℃):52、総合スチレン量:37mol%、オイル:34phr
※3 SBR3 0202 JSR製 ムーニー粘度ML(1+4)(100℃):45、総合スチレン量:46mol%、オイル:37.5phr
※4 BR JSR製 BR01 シス1,4−結合:95mol%
上記のEBR、各種SBR、ER、及びその他の成分を表2に示すように配合して、160℃で20分間の条件で加硫により架橋させ、実施例1〜6及び比較例1〜8の架橋ゴム組成物を得た。各架橋ゴム組成物について、下記の方法に従って、(1)転がり抵抗、(2)耐摩耗性を測定した。
実施例1〜6、比較例1〜8の架橋ゴム組成物について、195/65R15のタイヤを製造し転がり抵抗を測定した。具体的には、JIS D 4234(2009)に従って、測定した。各試験用架橋ゴム組成物における結果を表2に示す。
実施例1〜6、比較例1〜8の架橋ゴム組成物について、耐摩耗性を測定した。具体的にはランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率25%で摩耗量を測定し、比較例1の逆数を100とする指数で表示した。数値が大きいほど耐摩耗性が良好である。各試験用架橋ゴム組成物における結果を表2に示す。
※6 AQ 東ソー・シリカ製 ニプシールAQ
※7 Si69 シランカップリング剤Si69
実施例2は、EBRをBRに代えた比較例2と比して、耐摩耗性において優れていた。また、ゴム成分中のビニル結合量の多い比較例3〜5等と比して、良好な耐摩耗性を示した。
実施例3は、EBRをBRに代えた比較例5と比して、耐摩耗性において優れていた。また、ゴム成分中のビニル結合量の多い比較例3,4と比して、良好な耐摩耗性を示した。
実施例4は、EBRをBRに代えた比較例6と比して、耐摩耗性、転がり抵抗において優れていた。
実施例5は、EBRをBRに代えた比較例7と比して、耐摩耗性、転がり抵抗において優れていた。
実施例6は、EBRをBRに代えた比較例8と比して、耐摩耗性、転がり抵抗において優れていた。
以上より、EBRとSBRを配合したゴム組成物において、ゴム成分中のビニル結合量を34mol%以下とすることで、転がり抵抗を低下させることなく、耐摩耗性を向上させることができることが分かった。また、汎用されるBRに代えてEBRを使用することで、製造コストの低減のみならず、耐摩耗性の向上が可能であることが示された。
Claims (7)
- 非共役オレフィンと共役ジエン化合物との共重合体を含むゴム成分を含有し、前記ゴム成分中のビニル結合量が34mol%以下であることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ゴム成分として、更に、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体を1種以上含み、前記ゴム成分を構成する全単量体中に芳香族ビニル化合物が占める割合が35mol%以下である、請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記芳香族ビニル化合物がスチレンである、請求項2記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 非共役オレフィンと共役ジエン化合物との共重合体の含有量が、前記ゴム成分100重量部に対して5〜40重量部である、請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物を架橋して得られるタイヤ用架橋ゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いたタイヤ。
- 請求項5記載のタイヤ用架橋ゴム組成物を用いたタイヤ。
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