JP2013155260A - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)に優れたゴム組成物、及び耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)に優れたサイドウォールを備えたタイヤを提供する。
【解決手段】本発明のゴム組成物は、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を含有するゴム成分と、フェノール系老化防止剤とを含み、前記ゴム成分100質量部に対して、前記フェノール系老化防止剤を0.01質量部〜5質量部配合したことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関する。
従来より、空気入りのタイヤのサイドウォール部における耐オゾン性を確保するため、一般に、サイドウォールゴム中に、老化防止剤としてのN−(1,3−ジメチル−ブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを単独で、あるいは、N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンとN,N’−ジアリール−p−フェニレンジアミンとを組み合わせて配合している。しかしながら、これらの化合物を配合することにより、タイヤの使用末期まで、充分な耐オゾンクラック性を得ようとすると、比較的多量(例えば、ゴム成分100質量部に対して老化防止剤合計4質量部以上)の化合物を配合する必要がある。N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンは、温度、歪み、オゾン等の外的要因により、容易に表面に析出し、さらに、酸化反応を受けることにより、茶色あるいは茶褐色に変色することから、大量使用の場合には、外観上好ましくないという問題があった。
この問題に対し、N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−第二−ブチル−p−フェニレンジアミン、およびN−(メチル−ヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンよりなる群から選択される少なくとも2種の化合物を、それぞれ、ゴム成分100質量部に対して5質量部以下で配合したゴム組成物をサイドウォールゴムとして使用すること(例えば、特許文献1参照)や、ゴム成分100質量部に対して、フェニレンジアミン系老化防止剤を1.0質量部〜2.2質量部配合したゴム組成物をサイドウォールゴムとして使用すること(例えば、特許文献2参照)が検討されている。
特開平11−172049号公報 特開2010−188955号公報
しかしながら、これら従来の技術でも、耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)を高度に両立させるには至っておらず、さらなる向上が望まれていた。
そこで、本発明の目的は、耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)に優れたゴム組成物、及び耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)に優れたサイドウォールを備えたタイヤを提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体及びフェノール系老化防止剤を併用することで、耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)に優れたゴム組成物を得ることができることを見出した。
即ち、本発明のゴム組成物は、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を含有するゴム成分と、フェノール系老化防止剤とを含み、前記ゴム成分100質量部に対して、前記フェノール系老化防止剤を0.01質量部〜5質量部配合したことを特徴とする。
ゴム成分として共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を用いるとともに、前記ゴム成分100質量部に対して、前記フェノール系老化防止剤を0.01質量部〜5質量部配合すると、耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)を向上させることができる。
また、本発明のゴム組成物は、アミン系老化防止剤を含まないことが好ましい。
前記アミン系老化防止剤を含まないと、耐変色性を向上することができる。
また、本発明のゴム組成物において、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体は、共役ジエン化合物由来部分の含有量が30mol%〜80mol%であることが好ましい。また、前記共役ジエン化合物由来部分のシス−1,4結合量が50%以上であることが好ましい。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記共役ジエン化合物由来部分の含有量を30mol%以上とすることで、加工性を十分に確保でき、80mol%以下とすることで、非共役オレフィンが一定量含まれるため、耐候性(耐オゾン性)のさらなる向上が望める。
前記共役ジエン化合物由来部分のシス1,4−結合量を50%以上とすることで、低いガラス転移点(Tg)を保持することができ、これにより、低温特性等の物性が改良される。
また、本発明のゴム組成物において、前記共役ジエン化合物は、1,3−ブタジエン及びイソプレンよりなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、前記非共役オレフィンは、非環状オレフィンであることが好ましく、炭素数が2〜10であることが好ましく、エチレン、プロピレン及び1−ブテンよりなる群から選択される少なくとも一種であることがさらに好ましく、その中でもエチレンであることが最も好ましい。
前記共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン及びイソプレンよりなる群から選択される少なくとも一種であると、共役ジエンとの共重合を効率よく行うことができる。
また、本発明のゴム組成物において、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の含有量は、ゴム成分100質量部中において20質量部〜80質量部であることが好ましい。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の含有量を上記範囲とすることで、動倍率と亀裂成長性のバランスが良くなる。
また、本発明のゴム組成物において、前記ゴム成分は、ジエン系ゴムをさらに含有することが好ましく、該ジエン系ゴムの含有量は、ゴム成分100質量部中において10質量部以上であることが好ましい。
前記ゴム成分は、ジエン系ゴムをさらに含有すると、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体との相溶性が良く、耐亀裂成長を向上させることができる。
前記ジエン系ゴムの含有量が、ゴム成分100質量部中において10質量部以上であると、耐亀裂成長性をさらに向上させることができる。
また、本発明のゴム組成物は、タイヤのサイドウォール部材に用いられるサイドウォール用ゴム組成物であることが好ましい。
本発明のゴム組成物が、タイヤのサイドウォール部材に用いられると、耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)に優れたサイドウォール部材を得ることができる。
本発明のタイヤは、前記ゴム組成物を用いたサイドウォールを備えることを特徴とする。
前記ゴム組成物を用いたサイドウォールを備えると、耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)に優れたサイドウォールを備えたタイヤを提供することができる。
本発明によれば、耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)に優れたゴム組成物、及び、耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)に優れたサイドウォールを備えたタイヤを提供することができる。
図1は、本発明の1実施形態に係るタイヤの断面図である。
<ゴム組成物>
以下に、本発明の実施形態について具体的に説明する。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、フェノール系老化防止剤とを含むことを特徴とする。
(ゴム成分)
本発明のゴム組成物を構成するゴム成分は、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を含有する。
○共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を有することによって、共重合体中の共役ジエン部分(共役ジエン化合物由来部分)の二重結合が共役重合体に比べて少なくなるため、ゴム組成物の耐候性(耐オゾン性)を高いレベルで実現できる。一方で、耐汚染性(耐変色性)、即ちゴム製品に用いた場合の外観には特に悪影響を与えない。また、耐亀裂成長性及び耐破壊性についても向上できる。さらに、低いガラス転移点(Tg)を保持することが可能となるため、良好な低温特性も実現できる。
ここで、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体とは、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体であり、共重合体におけるモノマー単位成分として共役ジエン化合物とともに非共役オレフィンを含むものである。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体をゴム組成物に配合することで、共重合体中の共役ジエン部分(共役ジエン化合物由来部分)の二重結合が共役重合体に比べて少なくなるため、耐オゾン性が向上する。
ここで、前記共役ジエン化合物とは、分子内に二重結合を2つ有する共役化合物を示し、前記非共役オレフィンとは、共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンであり、スチレンを含まないものとする。
なお、オレフィンとは、脂肪族不飽和炭化水素のことであり、炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物を指す。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記共役ジエン化合物由来部分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30mol%〜80mol%が好ましい。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記共役ジエン化合物由来部分の含有量を30mol%以上とすることで、加工性を十分に確保でき、80mol%以下とすることで、非共役オレフィンが一定量含まれるため、耐候性(耐オゾン性)のさらなる向上が望める。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記非共役オレフィン由来部分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mol%〜70mol%が好ましい。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記非共役オレフィン由来部分の含有量を20mol%以上とすることで耐候性をより向上させることができ、70mol%以下とすることで、加工性を維持し、耐亀裂成長性を向上させることができる。
また、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記共役ジエン化合物由来部分のシス−1,4結合量としては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができるが、50%以上が好ましく、92%超が特に好ましく、95%以上が最も好ましい。
前記共役ジエン化合物由来部分のシス1,4−結合量を50%以上とすることで、低いガラス転移点(Tg)を保持することができ、これにより、低温特性等の物性が改良される。さらに、前記共役ジエン化合物由来部分のシス1,4−結合量を92%超とすることにより、耐亀裂成長性、耐候性、耐熱性を向上させることが可能となり、95%以上とすることにより、耐亀裂成長性、耐候性、耐熱性を一層向上させることが可能となる。
なお、前記シス−1,4結合量は、前記共役ジエン化合物由来部分中の量であって、共重合体全体に対する割合ではない。
一方、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体において、単量体として非共役オレフィンを用いることにより、優れた耐熱性及び耐オゾン性を得ることができ、共重合体の主鎖中に占める二重結合の割合を減らし、結晶性を低下させることでエラストマーとしての設計自由度を高めることが可能となる。また、非共役オレフィンとしては、非環状オレフィンであることが好ましく、また、該非共役オレフィンの炭素数は、2〜10であることが好ましい。
従って、上記非共役オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィンが好適に挙げられ、これらの中でも、エチレン、プロピレン及び1−ブテンが好ましく、エチレンが特に好ましい。前記α−オレフィンはオレフィンのα位に二重結合を有するため、共役ジエンとの共重合を効率よく行うことができる。これら非共役オレフィンは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分を備える場合には、静的結晶性を示すため、破断強度等の機械的性質に優れる。
なお、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体において、単量体として用いる共役ジエン化合物は、炭素数が4〜12であることが好ましい。該共役ジエン化合物としては、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられ、これらの中でも、1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましい。また、これら共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した共役ジエン化合物の具体例のいずれを用いても、同様のメカニズムで本発明の共重合体を調製することができる。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体において、重量平均分子量(Mw)は、低分子量化の問題が起こることも無く、その重量平均分子量(Mw)は特に限定されるものでもないが、高分子構造材料への適用の観点から、該共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は10,000〜10,000,000であることが好ましく、10,000〜1,000,000であることがより好ましく、50,000〜600,000であることが特に好ましい。Mwが10,000,000を超えると成形加工性が悪化するおそれがある。
また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。分子量分布が10を超えると物性が均質でなくなるためである。ここで、平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレンを標準物質として求めることができる。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2.5%以下が特に好ましい。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量が、5%以下であると、共重合体の耐候性(耐オゾン性)をさらに向上させることができる。
一方、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量が、3%以下、さらには、2.5%以下であると、共重合体の耐候性(耐オゾン性)をさらに向上させることができる。
前記1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量は、前記共役ジエン化合物由来部分中の量であって、共重合体全体に対する割合ではない。
なお、前記共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量は、共役ジエン化合物がブタジエンの場合、1,2−ビニル結合量と同じ意味である。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の連鎖構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、テーパー共重合体、交互共重合体などが挙げられる。
・ブロック共重合体
前記ブロック共重合体の構造は、(A−B)x、A−(B−A)x及びB−(A−B)x(ここで、Aは、非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分であり、Bは、共役ジエン化合物の単量体単位からなるブロック部分であり、xは1以上の整数である)のいずれかである。なお、(A−B)又は(B−A)の構造を複数備えるブロック共重合体をマルチブロック共重合体と称する。
共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体がブロック共重合体である場合は、非共役オレフィンの単量体からなるブロック部分が静的結晶性を示すため、破断強度等の機械的性質に優れる。
・ランダム共重合体
共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体がランダム共重合体である場合は、非共役オレフィンの単量体単位の配列が不規則であるため、共重合体が相分離を起こすことなく、ブロック部分に由来する結晶化温度が観測されない。すなわち、耐熱性などの性質を有する非共役オレフィンを共重合体の主鎖中に導入することが可能になるため、耐熱性が向上する。
・テーパー共重合体
前記テーパー共重合体とは、ランダム共重合体とブロック共重合体とが混在してなる共重合体であり、共役ジエン化合物の単量体単位からなるブロック部分及び非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分のうち少なくとも一方のブロック部分(ブロック構造ともいう)と、共役ジエン化合物及び非共役オレフィンの単量体単位が不規則に配列してなるランダム部分(ランダム構造ともいう)とから構成される共重合体である。
前記テーパー共重合体の構造は、共役ジエン化合物成分と非共役オレフィン成分との組成が連続的又は不連続的に分布があることを示す。ここで、非共役オレフィン成分の連鎖構造としては、長鎖(高分子量)の非共役オレフィンブロック成分を多く含まず、短鎖(低分子量)の非共役オレフィンブロック成分を多く含むことが好ましい。
・交互共重合体
前記交互共重合体は、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとが交互に配列する構造(非共役オレフィンをAと、共役ジエン化合物をBとした場合の、−ABABABAB−の分子鎖構造)を有する重合体である。
本発明においては、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体がブロック共重合体である場合は、非共役オレフィンの単量体からなるブロック部分が静的結晶性を示すため、破断強度等の機械的性質に優れるので、テーパー共重合体である場合は、柔軟性と接着性の両立が可能となる。共重合体は、ブロック共重合体及びテーパー共重合体から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の含有量については、ゴム成分100質量部中において20質量部〜80質量部の範囲であることが好ましい。前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の含有量を上記範囲とすることで、動倍率と亀裂成長性のバランスが良くなるためである。共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の含有量が20質量部未満の場合、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体が少なすぎるため、所望の耐亀裂成長性を得ることができないおそれがあり、一方、含有量が80質量部を超えると、加工性が悪化するおそれがあるからである。
○共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の製造方法
次に、上記の共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の製造方法を詳細に説明する。但し、以下に詳述する製造方法は、あくまで例示に過ぎない。
共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の製造方法は、下記に示す重合触媒、第一の重合触媒組成物、第二の重合触媒組成物、または第三の重合触媒組成物の存在下、非共役オレフィンと共役ジエン化合物とを重合させる工程を含むことが好ましい。なお、重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、用いられる溶媒は重合反応において不活性であればよく、例えば、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、またそれらの混合物等が挙げられる。
・第一の重合触媒組成物
前記第一の重合触媒組成物(以下、「第一重合触媒組成物」ともいう)としては、下記一般式(I):
Figure 2013155260
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、Ra〜Rfは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体、及び下記一般式(II):
Figure 2013155260
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、X'は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、
アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体、並びに下記一般式(III):
Figure 2013155260
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpR'は、無置換もしくは置換シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示し、[B]-は、非配位性アニオンを示す)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体からる群より選択される少なくとも1種類の錯体を含む重合触媒組成物が挙げられる。
第一重合触媒組成物は、更に、通常のメタロセン錯体を含む重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含んでいてもよい。ここで、メタロセン錯体は、一つ又は二つ以上のシクロペンタジエニル又はその誘導体が中心金属に結合した錯体化合物であり、特に、中心金属に結合したシクロペンタジエニル又はその誘導体が一つであるメタロセン錯体を、ハーフメタロセン錯体と称することがある。
なお、重合反応系において、第一重合触媒組成物に含まれる錯体の濃度は0.1〜0.0001mol/Lの範囲であることが好ましい。
上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体において、式中のCpRは、無置換インデニル又は置換インデニルである。インデニル環を基本骨格とするCpRは、C97-XX又はC911-XXで示され得る。ここで、Xは0〜7又は0〜11の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。置換インデニルとして、具体的には、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル等が挙げられる。なお、一般式(I)及び式(II)における二つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体において、式中のCpR'は、無置換もしくは置換のシクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルであり、これらの中でも、無置換もしくは置換のインデニルであることが好ましい。シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCpR'は、C55-XXで示される。ここで、Xは0〜5の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCpR'として、具体的には、以下のものが例示される。
Figure 2013155260
(式中、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を示す。)
一般式(III)において、上記インデニル環を基本骨格とするCpR'は、一般式(I)のCpRと同様に定義され、好ましい例も同様である。
一般式(III)において、上記フルオレニル環を基本骨格とするCpR'は、C139-XX又はC1317-XXで示され得る。ここで、Xは0〜9又は0〜17の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。
一般式(I)、式(II)及び式(III)における中心金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。中心金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
一般式(I)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[−N(SiR32]を含む。シリルアミド配位子に含まれるR基(一般式(I)におけるRa〜Rf)は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。また、Ra〜Rfのうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。Ra〜Rfのうち少なくとも一つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になり、また、ケイ素まわりのかさ高さが低くなるため、非共役オレフィンが導入され易くなる。同様の観点から、Ra〜Rcのうち少なくとも一つが水素原子であり、Rd〜Rfのうち少なくとも一つが水素原子であることが更に好ましい。更に、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、シリル配位子[−SiX'3]を含む。シリル配位子[−
SiX'3]に含まれるX'は、下記で説明される一般式(III)のXと同様に定義される基であり、好
ましい基も同様である。
一般式(III)において、Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基及び炭素数1〜20の炭化水素基からなる群より選択される基である。ここで、上記アルコキシド基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基等のアリールオキシド基が挙げられ、これらの中でも、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すチオラート基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基が挙げられ、これらの中でも、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すアミド基としては、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミド基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニルアミド基等のアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基等のビストリアルキルシリルアミド基が挙げられ、これらの中でも、ビストリメチルシリルアミド基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すシリル基としては、トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等が挙げられ、これらの中でも、トリス(トリメチルシリル)シリル基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のいずれでもよいが、塩素原子又は臭素原子が好ましい。また、Xが表す炭素数1〜20の炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基等のアラルキル基等の他;トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基等のケイ素原子を含有する炭化水素基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、イソブチル基、トリメチルシリルメチル基等が好ましい。
一般式(III)において、Xとしては、ビストリメチルシリルアミド基又は炭素数1〜20の炭化水素基が好ましい。
一般式(III)において、[B]-で示される非配位性アニオンとしては、例えば、4価のホウ素アニオンが挙げられる。該4価のホウ素アニオンとして、具体的には、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、更に0〜3個、好ましくは0〜1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
上記一般式(I)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びビス(トリアルキルシリル)アミドの塩(例えば、カリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(I)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
Figure 2013155260
(式中、X''はハライドを示す。)
上記一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びシリルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(II)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
Figure 2013155260
(式中、X''はハライドを示す。)
上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、例えば、次の反応により得ることができる。
Figure 2013155260
ここで、一般式(IV)で表される化合物において、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpR'は、それぞれ独立して無置換もしくは置換シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す。また、一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物において、[A]+は、カチオンを示し、[B]-は、非配位性アニオンを示す。
[A]+で表されるカチオンとしては、例えば、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アミンカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等が挙げられる。カルボニウムカチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アミンカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンの中でも、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオン又はカルボニウムカチオンが好ましく、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
上記反応に用いる一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物としては、上記の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物であって、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。また、一般式[A]+[B]−で表されるイオン性化合物は、メタロセン錯体に対して0.1〜10倍モル加えることが好ましく、約1倍モル加えることが更に好ましい。なお、一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を重合反応に用いる場合、一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体をそのまま重合反応系中に提供してもよいし、上記反応に用いる一般式(IV)で表される化合物と一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物を別個に重合反応系中に提供し、反応系中で一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させてもよい。また、一般式(I)又は式(II)で表されるメタロセン錯体と一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物とを組み合わせて使用することにより、反応系中で一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させることもできる。
一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体の構造は、X線構造解析により決定することが好ましい。
上記第一重合触媒組成物に用いることができる助触媒は、通常のメタロセン錯体を含む重合触媒組成物の助触媒として用いられる成分から任意に選択され得る。該助触媒としては、例えば、アルミノキサン、有機アルミニウム化合物、上記のイオン性化合物等が好適に挙げられる。これら助触媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アルミノキサンとしては、アルキルアミノキサンが好ましく、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン等が挙げられる。また、修飾メチルアルミノキサンとしては、MMAO−3A(東ソーファインケム社製)等が好ましい。なお、上記第一重合触媒組成物におけるアルミノキサンの含有量は、メタロセン錯体の中心金属Mと、アルミノキサンのアルミニウム元素Alとの元素比率Al/Mが、10〜1000程度、好ましくは100程度となるようにすることが好ましい。
一方、上記有機アルミニウム化合物としては、一般式AlRR'R''(式中、R及びR'はそれぞれ独
立してC1〜C10の炭化水素基又は水素原子であり、R''はC1〜C10の炭化水素基である)で表さ
れる有機アルミニウム化合物が好ましい。上記有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリアルキルアルミニウムが好ましい。また、トリアルキルアルミニウムとしては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等が挙げられる。なお、上記重合触媒組成物における有機アルミニウム化合物の含有量は、メタロセン錯体に対して1〜50倍モルであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
更に、上記重合触媒組成物においては、一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体をそれぞれ、適切な助触媒と組み合わせることで、シス−1,4結合量や得られる重合体の分子量を増大できる。
・第二の重合触媒組成物
次に、第二の重合触媒組成物(以下、「第二重合触媒組成物」ともいう)について説明する。
第二重合触媒組成物としては、
(A)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であって、希土類元素と炭素との結合を有さない該希土類元素化合物又は反応物と、
(B)成分:非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B−1)、アルミノキサン(B−2)、並びにルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも一種のハロゲン化合物(B−3)よりなる群から選択される少なくとも一種と、
を含む重合触媒組成物が挙げられる。
第二重合触媒組成物が、イオン性化合物(B−1)及びハロゲン化合物(B−3)の少なくとも一種を含む場合、該重合触媒組成物は、更に、
(C)成分:下記一般式(X):
YR1 a2 b3 c ・・・ (X)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である]で表される有機金属化合物を含む。
上記イオン性化合物(B−1)及び上記ハロゲン化合物(B−3)は、(A)成分へ供給するための炭素原子が存在しないため、該(A)成分への炭素供給源として、上記(C)成分が必要となる。なお、上記重合触媒組成物が上記アルミノキサン(B−2)を含む場合であっても、該重合触媒組成物は、上記(C)成分を含むことができる。また、上記第二重合触媒組成物は、通常の希土類元素化合物系の重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含んでいてもよい。
なお、重合反応系において、第二重合触媒組成物に含まれる(A)成分の濃度は0.1〜0.0001mol/lの範囲であることが好ましい。
上記第二重合触媒組成物に用いる(A)成分は、希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であり、ここで、希土類元素化合物及び該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、希土類元素と炭素との結合を有さない。該希土類元素化合物及び反応物が希土類元素−炭素結合を有さない場合、化合物が安定であり、取り扱いやすい。ここで、希土類元素化合物とは、周期律表中の原子番号57〜71の元素から構成されるランタノイド元素又はスカンジウムもしくはイットリウムを含有する化合物である。
なお、ランタノイド元素の具体例としては、ランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを挙げることができる。なお、上記(A)成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記希土類元素化合物は、希土類金属が2価もしくは3価の塩又は錯体化合物であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子及び有機化合物残基から選択される1種又は2種以上の配位子を含有する希土類元素化合物であることが更に好ましい。更に、上記希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、下記一般式(XI)又は(XII):
1111 2・L11w ・・・ (XI)
1111 3・L11w ・・・ (XII)
(式中、M11は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、X11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基又はリン化合物残基を示し、L11は、ルイス塩基を示し、wは、0〜3を示す)で表されることができる。
上記希土類元素化合物の希土類元素に結合する基(配位子)として、具体的には、水素原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基;チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基;ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミド基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6−tert−ブチルフェニルアミド基等のアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基等のビストリアルキルシリルアミド基;トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等のシリル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。更には、サリチルアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−3−ナフトアルデヒド等のアルデヒドの残基;2'−ヒドロキシアセトフェノン、2'−ヒドロキシブチロフェノ
ン、2'−ヒドロキシプロピオフェノン等のヒドロキシフェノンの残基;アセチルアセトン、ベンゾイルア
セトン、プロピオニルアセトン、イソブチルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン等のジケトンの残基;イソ吉草酸、カプリル酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、シクロペンタンカルボン酸、ナフテン酸、エチルヘキサン酸、ビバール酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名、C10モノカルボン酸の異性体の混合物から構成される合成酸]、フェニル酢酸、安息香酸、2−ナフトエ酸、マレイン酸、コハク酸等のカルボン酸の残基;ヘキサンチオ酸、2,2−ジメチルブタンチオ酸、デカンチオ酸、チオ安息香酸等のチオカルボン酸の残基、リン酸ジブチル、リン酸ジペンチル、リン酸ジヘキシル、リン酸ジヘプチル、リン酸ジオクチル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ジラウリル、リン酸ジオレイル、リン酸ジフェニル、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(ブチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)等のリン酸エステルの残基;2−エチルヘキシルホスホン酸モノブチル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、フェニルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ホスホン酸モノ−1−メチルヘプチル、ホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル等のホスホン酸エステルの残基、ジブチルホスフィン酸、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ジラウリルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチル(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、2−エチルヘキシルホスフィン酸、1−メチルヘプチルホスフィン酸、オレイルホスフィン酸、ラウリルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、p−ノニルフェニルホスフィン酸等のホスフィン酸の残基を挙げることもできる。なお、これらの配位子は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記第二重合触媒組成物に用いる(A)成分において、上記希土類元素化合物と反応するルイス塩基としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記希土類元素化合物が複数のルイス塩基と反応する場合(式(XI)及び(XII)においては、wが2又は3である場合)、ルイス塩基L11は、同一であっても異なっていてもよい。
上記第二重合触媒組成物に用いる(B)成分は、イオン性化合物(B−1)、アルミノキサン(B−2)及びハロゲン化合物(B−3)よりなる群から選択される少なくとも一種の化合物である。なお、上記第二重合触媒組成物における(B)成分の合計の含有量は、(A)成分に対して0.1〜50倍モルであることが好ましい。
上記(B−1)で表されるイオン性化合物は、非配位性アニオンとカチオンとからなり、上記(A)成分である希土類元素化合物又はそのルイス塩基との反応物と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物等を挙げることができる。ここで、非配位性アニオンとしては、例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等が挙げられる。一方、カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等を挙げることができる。カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、より具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン(例えば、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン)等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。従って、イオン性化合物としては、上述の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物が好ましく、具体的には、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。また、これらのイオン性化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記第二重合触媒組成物におけるイオン性化合物の含有量は、(A)成分に対して0.1〜10倍モルであることが好ましく、約1倍モルであることが更に好ましい。
上記(B−2)で表されるアルミノキサンは、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られる化合物であり、例えば、一般式:(−Al(R')O−)で示される繰り返し単位を有する鎖
状アルミノキサン又は環状アルミノキサン(式中、R'は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部の炭化
水素基はハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されてもよく、繰り返し単位の重合度は、5以上が好ましく、10以上が更に好ましい)を挙げることができる。ここで、R'として、具体的には、メチル基、
エチル基、プロピル基、イソブチル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基が好ましい。また、アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム及びその混合物等が挙げられ、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。例えば、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物を原料として用いたアルミノキサンを好適に用いることができる。なお、上記第二重合触媒組成物におけるアルミノキサンの含有量は、(A)成分を構成する希土類元素Mと、アルミノキサンのアルミニウム元素Alとの元素比率Al/Mが、10〜1000程度となるようにすることが好ましい。
上記(B−3)で表されるハロゲン化合物は、ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも一種からなり、例えば、上記(A)成分である希土類元素化合物又はそのルイス塩基との反応物と反応して、カチオン性遷移金属化合物やハロゲン化遷移金属化合物や遷移金属中心が電荷不足の化合物を生成することができる。なお、上記第二重合触媒組成物におけるハロゲン化合物の合計の含有量は、(A)成分に対して1〜5倍モルであることが好ましい。
上記ルイス酸としては、B(C653等のホウ素含有ハロゲン化合物、Al(C653等のアルミニウム含有ハロゲン化合物を使用できる他、周期律表中の第III,IV,V,VI又はVIII族に属する元素を含有するハロゲン化合物を用いることもできる。好ましくはアルミニウムハロゲン化物又は有機金属ハロゲン化物が挙げられる。また、ハロゲン元素としては、塩素又は臭素が好ましい。上記ルイス酸として、具体的には、メチルアルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジブロマイド、ブチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジブチルアルミニウムブロマイド、ジブチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムセスキブロマイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジブチル錫ジクロライド、アルミニウムトリブロマイド、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五塩化リン、四塩化錫、四塩化チタン、六塩化タングステン等が挙げられ、これらの中でも、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムジブロマイドが特に好ましい。
上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成する金属ハロゲン化物としては、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金等が挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が特に好ましい。
また、上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成するルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等が好ましい。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチル−ヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチル−ヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール等が挙げられ、これらの中でも、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
上記ルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1モル当り、0.01〜30モル、好ましくは0.5〜10モルの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
上記活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
上記第二重合触媒組成物に用いる(C)成分は、前記一般式(X):
YR1 a2 b3 c ・・・ (X)
(式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である)で表される有機金属化合物であり、下記一般式(Xa):
AlR123 ・・・ (Xa)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよい]で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましい。一般式(X)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(C)成分としての有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記第二重合触媒組成物における有機アルミニウム化合物の含有量は、(A)成分に対して1〜50倍モルであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
次に、第二触媒組成物に重合触媒として含まれる化合物の構造、性能について説明する。
重合触媒としては、重合用であり、下記式(A):
aMXbQYb・・・(A)
[式中、Rはそれぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、該RはMに配位しており、Mはランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位しており、Qは周期律表第13族元素を示し、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位しており、a及びbは2である]で表されるメタロセン系複合触媒が挙げられる。
上記メタロセン系複合触媒の好適例においては、下記式(XV):
Figure 2013155260
(式中、M1は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、RA及びRBは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該RA及びRBは、M1及びAlにμ配位しており、RC及びRDは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示す)で表されるメタロセン系複合触媒が挙げられる。
上記メタロセン系重合触媒を用いることで、重合体を製造することができる。また、上記メタロセン系複合触媒、例えば予めアルミニウム触媒と複合させてなる触媒を用いることで、重合体合成時に使用されるアルキルアルミニウムの量を低減したり、無くしたりすることが可能となる。なお、従来の触媒系を用いると、重合体合成時に大量のアルキルアルミニウムを用いる必要がある。例えば、従来の触媒系では、金属触媒に対して10当量以上のアルキルアルミニウムを用いる必要があるところ、上記メタロセン系複合触媒であれば、5当量程度のアルキルアルミニウムを加えることで、優れた触媒作用が発揮される。
上記メタロセン系複合触媒において、上記式(A)中の金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
上記式(A)において、Rは、それぞれ独立して無置換インデニル又は置換インデニルであり、該Rは上記金属Mに配位している。なお、置換インデニル基の具体例としては、例えば、1,2,3−トリメチルインデニル基、ヘプタメチルインデニル基、1,2,4,5,6,7−ヘキサメチルインデニル基等が挙げられる。
上記式(A)において、Qは、周期律表第13族元素を示し、具体的には、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等が挙げられる。
上記式(A)において、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位している。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。なお、μ配位とは、架橋構造をとる配位様式のことである。
上記式(A)において、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位している。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
上記式(XV)において、金属M1は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。金属M1としては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
上記式(XV)において、CpRは、無置換インデニル又は置換インデニルである。インデニル環を基本骨格とするCpRは、C97XX又はC911XXで示され得る。ここで、Xは0〜7又は0〜11の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。
置換インデニルとして、具体的には、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル等が挙げられる。なお、式(XV)における二つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(XV)において、RA及びRBは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該RA及びRBは、M1及Alにμ配位している。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。なお、μ配位とは、架橋構造をとる配位様式のことである。
上記式(XV)において、RC及びRDは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子である。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
なお、上記メタロセン系複合触媒は、例えば、溶媒中で、下記式(XVI):
Figure 2013155260
(式中、M2は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、RE〜RJは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体を、AlRKLMで表される有機アルミニウム化合物と反応させることで得られる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンやヘキサンを用いればよい。なお、上記メタロセン系複合触媒の構造は、1H−NMRやX線構造解析により決定することが好ましい。
上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体において、CpRは、無置換インデニル又は置換インデニルであり、上記式(XV)中のCpRと同義である。また、上記式(XVI)において、金属M2は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムであり、上記式(XV)中の金属M1と同義である。
上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[−N(SiR32]を含む。シリルアミド配位子に含まれるR基(RE〜RJ基)は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。また、RE〜RJのうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。RE〜RJのうち少なくとも一つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になる。更に、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、更に0〜3個、好ましくは0〜1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
一方、上記メタロセン系複合触媒の生成に用いる有機アルミニウム化合物は、AlRKLMで表され、ここで、RK及びRLは、それぞれ独立して炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は水素原子で、RMは炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、但し、RMは上記RK又はRLと同一でも異なっていてもよい。炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
上記有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。また、これら有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記メタロセン系複合触媒の生成に用いる有機アルミニウム化合物の量は、メタロセン錯体に対して1〜50倍モルであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
・第三の重合触媒組成物
また、前記第三の重合触媒組成物(以下、「第三重合触媒組成物」ともいう)は、上記メタロセン系複合触媒と、ホウ素アニオンとを含むことを特徴とし、更に、通常のメタロセン系触媒を含む重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含むことが好ましい。なお、上記メタロセン系複合触媒とホウ素アニオンとを合わせて2成分触媒ともいう。前記第三重合触媒組成物によれば、上記メタロセン系複合触媒と同様に、更にホウ素アニオンを含有するため、各単量体成分の重合体中での含有量を任意に制御することが可能となる。
上記第三重合触媒組成物において、2成分触媒を構成するホウ素アニオンとして、具体的には、4価のホウ素アニオンが挙げられる。例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
なお、上記ホウ素アニオンは、カチオンと組み合わされたイオン性化合物として使用することができる。上記カチオンとしては、例えば、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アミンカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等が挙げられる。カルボニウムカチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アミンカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンの中でも、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオン又はカルボニウムカチオンが好ましく、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオンが特に好ましい。従って、上記イオン性化合物としては、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。なお、ホウ素アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物は、上記メタロセン系複合触媒に対して0.1〜10倍モル加えることが好ましく、約1倍モル加えることが更に好ましい。
なお、上記第三重合触媒組成物においては、上記メタロセン系複合触媒と上記ホウ素アニオンとを用いる必要があるが、上記式(XVI)で表されるメタロセン触媒と有機アルミニウム化合物を反応させる反応系に、ホウ素アニオンが存在していると、上記式(XV)のメタロセン系複合触媒を合成することができない。従って、上記第三重合触媒組成物の調製には、該メタロセン系複合触媒を予め合成し、該メタロセン系複合触媒を単離精製してからホウ素アニオンと組み合わせる必要がある。
上記第三重合触媒組成物に用いることができる助触媒としては、例えば、上述のAlRKLMで表される有機アルミニウム化合物の他、アルミノキサン等が好適に挙げられる。上記アルミノキサンとしては、アルキルアミノキサンが好ましく、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン等が挙げられる。また、修飾メチルアルミノキサンとしては、MMAO−3A(東ソーファインケム社製)等が好ましい。なお、これらアルミノキサンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
・重合工程
本発明に係るゴム組成物における共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の製造において、上記重合触媒又は重合触媒組成物を用いる場合、例えば、従来の配位イオン重合触媒を用いる重合反応による重合体の製造方法と同様にして行うことができる。ここで、共重合体の製造方法が上記重合触媒組成物を用いる場合は、例えば、(1)単量体として非共役オレフィン及び共役ジエン化合物を含む重合反応系中に、重合触媒組成物の構成成分を別個に提供し、該反応系中において重合触媒組成物を調製してもよいし、(2)予め調製された重合触媒組成物を重合反応系中に提供してもよい。また、(2)においては、助触媒によって活性化されたメタロセン錯体(活性種)を提供することも含まれる。なお、重合触媒組成物に含まれるメタロセン錯体の使用量は、非共役オレフィン及び共役ジエン化合物の合計に対して、0.0001〜0.01倍モルの範囲が好ましい。
また、共重合体の製造方法においては、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合を停止させてもよい。
また、上記重合反応は、不活性ガス、好ましくは窒素ガスやアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。上記重合反応の重合温度は、特に制限されないが、例えば−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。なお、重合温度を上げると、重合反応のシス−1,4選択性が低下することがある。また、上記重合反応の圧力は、非共役オレフィン及び共役ジエン化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1〜10MPaの範囲が好ましい。また、上記重合反応の反応時間も特に制限されず、例えば1秒〜10日の範囲が好ましいが、重合される単量体の種類、触媒の種類、重合温度等の条件によって適宜選択することができる。
また、非共役オレフィンと共役ジエン化合物を重合させる際、重合開始時における共役ジエン化合物の濃度(mol/l)と非共役オレフィンの濃度(mol/l)とは、下記式:
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.0
の関係を満たすことが好ましく、更に好ましくは下記式:
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.3
の関係を満たし、一層好ましくは下記式:
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.7
の関係を満たす。非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度の値を1以上とすることで、反応混合物中に非共役オレフィンを効率的に導入することができる。
○ジエン系ゴム
前記ゴム成分は、ジエン系ゴムをさらに含有することが好ましい。上述した共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体との相溶性が良く、耐亀裂成長を向上できるためである。
前記ジエン系ゴムとしては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、天然ゴム、各種ブタジエンゴム、イソプレンゴム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、天然ゴムが、より耐亀裂成長性を向上できる点で好ましい。
また、前記ジエン系ゴムの含有量は、ゴム成分100質量部中において10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましい。耐亀裂成長性を向上させることができるためであり、10質量部未満の場合、耐亀裂成長性を向上させることができないおそれがある。前記ジエン系ゴムの含有量の上限値については、特に限定はされないが、耐候性の点から、ゴム成分100質量部中において80質量部以下であることが好ましい。
なお、前記ゴム成分は、上述した共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体及びジエン系ゴム以外のゴムについて含有することは可能である。例えば、非ジエン系ゴム(ブチルゴム(IIR)、エチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)、クロロスルフォン化ゴム(CSM)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、クロロスルホン化ポリエチレン等)を少量含有してもよい。
(フェノール系老化防止剤)
本発明のゴム組成物は、フェノール系老化防止剤(非汚染性老化防止剤)を含む。
前記ゴム組成物が前記フェノール系老化防止剤を含むことで、ゴム組成物の劣化を防止することができる。また、前記ゴム組成物が前記フェノール系老化防止剤を少量含む(後述するように、ゴム成分100質量部に対して、0.01質量部〜5質量部配合する)ことにより、耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)を両立することができる。
前記フェノール系老化防止剤の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して、0.01質量部〜5質量部とする必要があり、0.1質量部〜4質量部が好ましく、0.5質量部〜3質量部がより好ましい。
前記フェノール系老化防止剤の配合量を0.01質量部以上とすることで、ゴム表面乃至内部の物性を保護することができ、5質量部以下とすることで、変色性を向上させることができる。さらに、前記フェノール系老化防止剤の配合量を0.1質量部〜4質量部とすることにより、変色性と物性保護を両立することが可能となり、0.5質量部〜3質量部とすることにより、さらに最適化することが可能となる。
前記フェノール系老化防止剤としては、例えば、下記一般式(α)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013155260
ここで、R1は、C1〜C4アルキル、好ましくはメチルまたはエチルであり、R2は、C1〜C6アルキルまたはC5〜C12シクロアルキルである。
前記フェノール系老化防止剤の具体例としては、例えば、2,2’−メチレン−ビス−[4−(メチルまたはエチル)−6−(C1〜C4)アルキルフェノールまたは2,2’−メチレン−ビス−[4−(メチルまたはエチル)−6−(C7〜C8)シクロアルキルフェノールが挙げられる。
これらの中でも、反応性の点で、2,2’−メチレン−ビス−[4−メチル−6−t−ブチルフェノール]、2,2’−メチレン−ビス−[4−エチル−6−t−ブチルフェノール]、2,2’−メチレン−ビス−[4−メチル−6−t−シクロヘキシルフェノール]、2,2’−メチレン−ビス−[4−メチル−6−α−メチル−シクロヘキシルフェノール]、2,2’−メチレン−ビス−[4−メチル−6−ノニルフェノール]が好ましく、2,2’−メチレン−ビス[4−(メチル)−6−t−ブチルフェノール]がより好ましい。
また、本発明のゴム組成物は、アミン系老化防止剤を含まないことが好ましい。なぜなら、耐変色性の点からである。
前記アミン系老化防止剤としては、例えば、下記構造式のN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C)が挙げられる。
Figure 2013155260
N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C)としては、大内新興化学工業(株)製のノクラック6C、住友化学工業(株)製のアンチゲン6C、フレキシス社製のサントフレックス13、精工化学(株)製のオゾノン6C等が市販されている。
また、その他のアミン系老化防止剤(A2)としては、
トリフェニレンジアミン(DP):
Figure 2013155260
トリフェニレンジアミン(TD):
Figure 2013155260
ジフェニレンジアミン(G−1):
Figure 2013155260
などが挙げられる。
(その他成分)
また、本発明のゴム組成物は、必要に応じて、カーボンブラック、シリカ、クレー等の補強性充填剤;架橋剤;加硫促進剤;可塑剤;ワックス類;酸化防止剤;アロマオイル等の軟化剤;滑剤;紫外線吸収剤;分散剤;相溶化剤;均質化剤;ステアリン酸、亜鉛華等の加硫促進助剤;熱硬化性樹脂;硬化剤;などを含むことができる。
前記カーボンブラックについては、特に限定はされず、通常用いられるものを採用すればよい。
前記カーボンブラックの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、10質量部〜80質量部が好ましい。前記カーボンブラックの含有量が、10質量部未満であると、常態物性及び亀裂成長性が低下するおそれがある。一方、80質量部を超えると、加工性及び動倍率が悪化するおそれがある。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、硫黄化合物系架橋剤、オキシム−ニトロソアミン系架橋剤などが挙げられるが、これらの中でもゴム組成物としては硫黄系架橋剤がより好ましい。
前記架橋剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、0.3質量部〜10質量部が好ましい。前記架橋剤の含有量が0.3質量部以上であると、架橋を確実に進行させることができ、10質量部以下であると、一部の架橋剤により混練り中に架橋が進んでしまったり、加硫物の物性が劣化することを防止することができる。
前記硫黄系架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄、などが挙げられる。
前記硫黄の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、0.3質量部〜5質量部が好ましい。前記硫黄の含有量が、0.3質量部未満であると、十分な加硫効果が得られず、目標性能を達成できなくなることがあり、5質量部を超えると、ゴムがもろくなり、ゴムの疲労性能が低下することがある。
前記加硫促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジフェニルグアニジン等のグアジニン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、メルカプトベンゾチアゾール等のチアゾール系、N,N´−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系、チオ尿素系、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系、などの化合物が使用できる。
なお、本発明のゴム組成物は、たとえば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、インターナルミキサーなどの混練り機により、上記各成分を混練りすることにより得ることができる。
また、本発明のゴム組成物は、タイヤのサイドウォール部材に用いられるサイドウォール用ゴム組成物であることが好ましい。
本発明のゴム組成物を用いたサイドウォールは、上述したゴム組成物を用いることを特徴とする。
例えば、本発明のゴム組成物を成形加工した後、加硫処理を行うことにより製造することができる。加硫条件は、適宜選択し得るが、通常温度120℃〜200℃、加温時間1分間〜900分間で行われることが好ましい。
本発明のゴム組成物を用いたサイドウォールについては、上述したゴム組成物を用いているため、従来のサイドウォールに比べて、耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)に優れる。
本発明のゴム組成物は、タイヤのビード部のゴムチェーファーに用いることも好ましい。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、上述したサイドウォールを備えるものである。
本発明のタイヤの一実施形態を、図1を用いて説明する。タイヤ100は、一対のビードコア111,112と、スティフナー113,114と、カーカスプライ121とを有する。スティフナー113,114は、ビードコア111,112からタイヤ径方向外側に延在する。カーカスプライ121は、ビードコア111,112において、スティフナー113,114のトレッド幅方向外側に折り返されて、馬蹄形のタイヤケース形状を形成する。カーカスプライ121のタイヤ径方向外側には、複数のベルト層からなるベルト部115が配設されている。
ベルト部115のタイヤ径方向外側には、トレッド部118が配設されている。また、カーカスプライ121の内側には、空気透過防止層としてインナーライナー130が配設されている。
また、カーカスプライ121のタイヤ幅方向外側には、サイドウォール部119が形成されている。サイドウォール部119は、本発明に係るゴム組成物を用いて形成されている。
また、タイヤ100は、ビードコア111,112を有するビード部の少なくともリムとの接触部分にゴムチェーファー200を備えていてもよい。
前記タイヤを製造する方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、タイヤ成形用ドラム上に未加硫ゴムを含むカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望のタイヤ(例えば、空気入りタイヤ)を製造することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら
限定されるものではない。
・調製例1 エチレン−ブタジエン共重合体(EBR1)の調製
十分に乾燥した4Lステンレス反応器に、1,3−ブタジエン120g(2.22mol)を含むトルエン溶液2,000gを添加した後、エチレンを1.72MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC962GdN(SiHMe22]28.5μmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C654]28.5μmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド2.00mmolを仕込み、トルエン40mlに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、ガドリニウム換算で25.0μmolとなる量をモノマー溶液へ添加し、50℃で90分間重合を行った。重合後、2,2’メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液5mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体を得た。得られた共重合体EBR1の収量は98gであった。
・調製例2 ブタジエン−エチレン共重合体(EBR2)の調製
十分に乾燥した4Lステンレス反応器に、1,3−ブタジエン230g(4.26mol)を含むトルエン溶液2,000gを添加した後、エチレンを1.72MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC9H6)2GdN(SiHMe2)2]145μmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C6F5)4]145μmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド2.9mmolを仕込み、トルエン100mlに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、ガドリニウム換算で142μmolとなる量をモノマー溶液へ添加し、60℃で60分間重合を行った。重合後、2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液5mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体を得た。得られた共重合体EBR2の収量は248gであった。
・調製例3 ブタジエン−エチレン共重合体(EBR3)の調製
十分に乾燥した400ml耐圧ガラス反応器に、1,3−ブタジエン9.36g(0.173mol)を含むトルエン溶液200mlを添加した後、エチレンを0.6MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器に(2−MeC9H6)2Sc(MeAlMe3)21.0μmol、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C6F5)4)21.0μmol、及びトリイソブチルアルミニウム0.25mmolを仕込み、トルエン5mlに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、モノマー溶液へ添加し、25℃で50分間重合を行った。重合後、2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体を得た。得られた共重合体EBR3の収量は9.30gであった。
上記のようにして調製したエチレン−ブタジエン共重合体(EBR1〜3)及び市販品として入手した高シス−ブタジエンゴム(HCBR)(商品名:BR01、JSR製)について、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、エチレン含有率、1,2−ビニル結合量、及びシス−1,4結合量、を下記の方法で測定・評価した。結果を表1に示す。
(1)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8121GPC/HT、カラム:東ソー製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定温度は140℃である。
(2)エチレン由来部分の含有率
エチレン−ブタジエン共重合体(EBR)中のエチレン由来部分の含有率(mol%)を13C−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:73.8ppm)により全体のエチレン結合成分(28.5−30.0ppm)と全体のブタジエン結合成分(26.5−27.5ppm+31.5−32.5ppm)の積分比より求めた。エチレン部分の含有率(mol%)を表1に示す。なお、得られたエチレン由来部分の含有率(mol%)を100mol%から引いた値が、ブタジエン由来部分(共役ジエン化合物由来部分)の含有率(mol%)となる。
(3)ミクロ構造(1,2−ビニル結合量、シス−1,4結合量)
エチレン−ブタジエン共重合体(EBR)及び高シス−ブタジエンゴム(HCBR)中のブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)を、1H−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:6ppm)により1,2−ビニル結合成分(5.0−5.1ppm)と全体のブタジエン結合成分(5−5.6ppm)の積分比より求め、エチレン−ブタジエン共重合体(EBR)及び高シス−ブタジエンゴム(HCBR)中のブタジエン部分のミクロ構造(シス−1,4結合量)を、13C−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:73.8ppm)によりシス−1,4結合成分(26.5−27.5ppm)と全体のブタジエン結合成分(26.5−27.5ppm+31.5−32.5ppm)の積分比より求めた。1,2−ビニル結合量、シス−1,4結合量(%)の計算値を表1に示す。
Figure 2013155260
(実施例1〜13及び比較例1〜5)
実施例1〜13及び比較例1〜5のゴム組成物のサンプルとして、表2及び3に示す配合処方で、調整した。その後、調整したゴム組成物を、160℃で20分間加硫することで、加硫ゴムのサンプルを作製した。
(評価)
各実施例及び比較例で得られたゴム組成物及び加硫ゴムのサンプルについて、下記の方法に従って、耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)を測定した。
(1)耐候性(耐オゾン性)
各実施例及び比較例で得られた加硫ゴムのサンプルについて、20mm×100mm×1.0mmの試験片を50%伸張させ、40℃、オゾン濃度50pphmの恒温槽中に放置し、肉眼でクラックが確認できるまでの時間を測定し、比較例1を100として指数表示した。評価結果を表2及び3に示す。指数値が大きい程、クラックが確認できるまでの時間が長く、耐候性が良好であることを示す。
(2)耐汚染性(耐変色性)
各実施例及び比較例で得られた加硫ゴムのサンプルについて、色差を分光測色計CM−700d(コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定することで、耐汚染性の評価を行った。評価結果を表2及び3に示す。なお、耐汚染性の評価については、比較例1の耐汚染性を100としたときの相対値として示し、数値が大きいほど耐汚染性が高く、良好な結果となる。
Figure 2013155260
Figure 2013155260
※1: RSS #1
HCBR:BR−01(JSR製)
※2: カーボンブラック、FEF、ヨウ素吸着量=43g/kg、DBP吸油量=121ml/100g、N2SA(窒素吸着比表面積)=42m2/g、旭カーボン(株)製 「旭#65」
※3:ミヨシ油脂製 MXST
※4:川口化学製MBMTBP
※5:川口化学製DTBMP
※6:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−p−フェニレンジアミン、大内新興化学(株)製 ノックラック6C
※7: 精工化学(株)製サンタイトS
※8: N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学(株)製 ノクセラーCZ−G
※9: ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学(株)製 ノクセラーDM−P
※10:四国化成工業株式会社製 ミュークロンOT−20
表2〜3から、本発明の実施例1〜13にかかるサンプルは、耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)のいずれについてもバランスよく優れており、一方、比較例1〜5のサンプルは、少なくとも1つの項目が実施例に比べて劣る結果となることがわかった。
本発明は、耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)に優れたゴム組成物を提供することが可能となり、該ゴム組成物を例えばタイヤのサイドウォールやチェーファーに用いることで、従来のタイヤに比べて、耐候性(耐オゾン性)及び耐汚染性(耐変色性)に優れる点で、産業上有用である。
100 タイヤ
111,112 ビードコア
113,114 スティフナー
115 ベルト層
118 トレッド部
119 サイドウォール部
121 カーカスプライ
130 インナーライナー
200 ゴムチェーファー

Claims (14)

  1. 共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を含有するゴム成分と、
    フェノール系老化防止剤とを含み、
    前記ゴム成分100質量部に対して、前記フェノール系老化防止剤を0.01質量部〜5質量部配合したことを特徴とするゴム組成物。
  2. アミン系老化防止剤を含まないことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体は、共役ジエン化合物由来部分の含有量が30mol%〜80mol%であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  4. 前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体は、共役ジエン化合物由来部分のシス−1,4結合量が50%以上であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  5. 前記共役ジエン化合物は、1,3−ブタジエン及びイソプレンよりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  6. 前記非共役オレフィンは、非環状オレフィンであることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  7. 前記非共役オレフィンは、炭素数が2〜10であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  8. 前記非共役オレフィンは、エチレン、プロピレン及び1−ブテンよりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項7に記載のゴム組成物。
  9. 前記非共役オレフィンは、エチレンであることを特徴とする請求項8に記載のゴム組成物。
  10. 前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の含有量は、ゴム成分100質量部中において20質量部〜80質量部であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  11. 前記ゴム成分は、ジエン系ゴムをさらに含有することを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  12. 前記ジエン系ゴムの含有量は、ゴム成分100質量部中において10質量部以上であることを特徴とする請求項11に記載のゴム組成物。
  13. 前記ゴム組成物は、タイヤのサイドウォール部材に用いられるサイドウォール用ゴム組成物であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  14. 請求項13に記載のゴム組成物を用いたサイドウォールを備えることを特徴とするタイヤ。
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