JP2013155129A - トリアジン化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、中性緩和な条件下、求核化合物のアリールメチル化を高収率で行うことができる新規なトリアジン化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、式:
Figure 2013155129

[式中、各記号は本明細書中で定義した通りである。]
で表される化合物、および該化合物を用いる求核化合物のアリールメチル化方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なトリアジン化合物、および該化合物を用いる新規なアリールメチル化方法に関する。
アリールメチル基(例えば、ベンジル基)は、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基等の各種官能基の保護基として、また各種生物活性化合物合成におけるビルディングユニットとして有用な基である。
特に、ヒドロキシ基のベンジル化により生成するベンジルエーテル基(およびベンジル部分が改変されたアリールメチルエーテル基)は、広範な実験条件下において安定で脱保護されず、またパラジウム等の金属触媒を用いた接触還元(水素添加)条件下で容易に除去可能であり、かつ除去後はトルエンになるので、脱保護された化合物の精製(濾過及び蒸発)も容易であること等から、有機合成において、最も汎用かつ重要なヒドロキシ基の保護基である。
ヒドロキシ基のアリールメチル化方法としては、これまで主に、(1)アルカリ金属アルコキシドとハロゲン化ベンジルとのS2型反応による、ウィリアムソン(Williamson)エーテル合成、および(2)トリフルオロメタンスルホン酸により促進されるベンジルトリクロロアセトイミデートを用いるカップリングによる方法の2つの代表的な方法が知られている(非特許文献1)。しかし、上記方法は、強塩基性条件下、または酸性条件下のいずれかで反応させることが必要であり、例えば、強塩基性または酸性で不安定化するか、あるいは分解する官能基を分子内に含むアルコール類等の保護には適用することができない。また、前記方法(1)で使用されるハロゲン化ベンジルは、発がん性や催涙性があり、健康面等から好ましくない。
ハロゲン化ベンジルを用いるベンジル化方法の別法として、酸化銀(AgO)を触媒として用いる方法も報告されている(非特許文献2)。しかし、酸化銀が高価であるため、コスト面での課題が大きい。
上記以外のヒドロキシ基のアリールメチル化方法として、最近、2−ベンジロキシ−1−メチルピリジニウム トリフルオロメタンスルホナートを使用するヒドロキシ基へのベンジル基導入方法が報告された(非特許文献3、非特許文献4、特許文献1、および特許文献2)。当該方法は、中性条件下で反応が進行するので実験室レベルでは有用であるが、トリフルオロメチルベンゼン中、24時間加熱還流条件下(約100℃)で行う必要があるため、大量合成には適さない。
一方、これまでに、N−トリアジニルメチルピペリジニウム塩、N−トリアジニルメチルキヌクリジニウム塩、およびN−トリアジニルメチルモルホリニウム塩は、ペプチド合成における縮合剤として有用であることが報告されているが(非特許文献5〜7)、アリールメチル基の導入されたN−トリアジニルアンモニウム塩、N−トリアジニルピペリジニウム塩、またはN−トリアジニルモルホリニウム塩の合成例については、いずれも報告されていない。
ベンジル基の導入されたN−トリアジニルアンモニウム塩の合成を試みた例が1例報告されているが(非特許文献8)、4級アミノ化反応の際の脱離基が対アニオンとなり、該対アニオンがベンジル基を捕捉してしまうため、ベンジル基の導入されたN−トリアジニルアンモニウム塩は、未だ合成されていない。
米国特許第7754909号明細書 米国特許第7960553号明細書
Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, Second Edition, Vol.2, May 19, 2009, WILEY Tetrahedron Lett., 1997, 38, p.5945-5948 J. Org. Chem., 2006, 71, p.3923-3927 Chem. Commun., 2007, p.1436-1437 Tetrahedron Lett., 1999, 40, p.5327-5330 Tetrahedron Lett., 2002, 43, p.3323-3326 J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, p.16912-16920 Polish J. Chem., 2008, 82, p.2115-2123
本発明の目的は、従来法に比較して取扱いが容易で、酸も強塩基も添加することなく、中性緩和な条件下で速やかにアリールメチル化を行うことができる新規かつ実用的なアリールメチル化剤、およびそれを用いるアリールメチル化方法を提供することである。
本発明者らは、かかる状況下、鋭意検討を重ねた結果、下記の式:
Figure 2013155129
[式中、
は、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基を示し、
は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示すか、または2個のRは、互いに結合して、それらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、
Arは、置換されていてもよい芳香環基を示し、および
-は、求核性のない対アニオンを示す。]
で表される化合物[以下、化合物(I)と称する場合がある]が、取扱いが容易な固体として得られることを初めて見出した。本発明者らは、また化合物(I)が中性緩和な条件下で、速やかに収率良く求核化合物のアリールメチル化反応を進行させることができることを見出し、新規なアリールメチル化剤として有用であることも初めて見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 式:
Figure 2013155129
[式中、
は、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基を示し、
は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示すか、または2個のRは、互いに結合して、それらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、
Arは、置換されていてもよい芳香環基を示し、および
-は、求核性のない対アニオンを示す。]
で表される化合物。
[2] Rが、置換されていてもよいC1−20アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基である、上記[1]記載の化合物。
[3] Rが、置換されていてもよいフェニル基である、上記[1]記載の化合物。
[4] Rが、C1−6アルキル基である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物。
[5] 2個のRが、互いに結合して、それらが結合する窒素原子とともに、4〜8員環を形成する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物。
[6] 2個のRが、互いに結合して、それらが結合する窒素原子とともに、モルホリン環を形成する、上記[5]記載の化合物。
[7] Arが、置換されていてもよいフェニル基である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物。
[8] X-が、置換されていてもよいアルキルスルホナート、置換されていてもよいアリールスルホナート、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、テトラフェニルボラート、およびアルセナートからなる群より選択される対アニオンである、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物。
[9] X-が、ハロゲン原子を有していてもよいC1−6アルキルスルホナートである、上記[8]記載の化合物。
[10] X-が、トリフルオロメタンスルホナートである、上記[9]記載の化合物。
[11] N−(4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナートである、上記[1]記載の化合物。
[12] 上記[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物からなるアリールメチル化剤。
[13] 上記[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物を用いる求核化合物のアリールメチル化方法。
[14] 求核化合物が、アルコール、チオール、アミン、セレノール、ホスフィン、芳香族化合物、アミド、およびβ−ジカルボニル化合物からなる群より選択される化合物である、上記[13]記載の方法。
[15] 求核化合物が、アルコールである、上記[13]記載の方法、
等に関する。
本発明によれば、化合物(I)を簡便かつ収率良く合成することができ、取扱いが容易な固体として提供することができる。また、本発明の化合物(I)は、中性緩和な条件下でアルコールをはじめとする種々の求核化合物のアリールメチル化を高収率で進行させることができるので、アリールメチル化剤として有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
(定義)
本明細書中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
本明細書中、「アルキル基」としては、直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1以上のアルキル基が挙げられ、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくはC1−20アルキル基であり、中でも、C1−12アルキル基が好ましく、C1−8アルキル基がより好ましく、C1−6アルキル基が特に好ましい。
本明細書中、「C1−20アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜20のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、エイコシル等が挙げられる。
本明細書中、「C1−12アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜12のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等が挙げられる。
本明細書中、「C1−8アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜8のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル等が挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜6のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。
本明細書中、「アリール基」は、芳香族性を示す単環式あるいは多環式(縮合)の炭化水素基を意味し、具体的には、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−アンスリル等のC6−14アリール基を示す。中でもC6−10アリール基が好ましい。
本明細書中、「C6−10アリール基」とは、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルを示し、フェニルが特に好ましい。
本明細書中、「置換されていてもよい芳香環基」における「芳香環」とは、C6−14芳香族炭化水素または芳香族複素環を示す。
本明細書中、「C6−14芳香族炭化水素」とは、「C6−14アリール基」に対応する環を示す。C6−14芳香族炭化水素としては、「C6−10アリール基」に対応する環が好ましく、ベンゼンが特に好ましい。
本明細書中、「芳香族複素環」とは、「芳香族複素環基」に対応する環を示す。なかでも、単環式芳香族複素環が好ましく、5または6員の単環式芳香族複素環が特に好ましい。
本明細書中、該「芳香環」は、置換可能な位置に、置換基を有していてもよい。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1ないし5個、より好ましくは1ないし3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
本明細書中、「芳香族複素環基」とは、環構成原子として炭素原子に加えて、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1乃至4個含有する、芳香族性を示す単環式又は多環式(縮合)複素環基を意味する。
本明細書中、「単環式芳香族複素環基」としては、例えば、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル(1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル)、トリアゾリル(1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル)、テトラゾリル、トリアジニル等が挙げられる。中でも、5又は6員の単環式芳香族複素環基が好ましく、ピリジルが特に好ましい。。
本明細書中、「多環式(縮合)芳香族複素環基」とは、上記単環式芳香族複素環基が、単環式芳香族環(好ましくは、ベンゼン環又は単環式芳香族複素環)と縮合した基を意味し、例えば、キノリル、イソキノリル、キナゾリル、キノキサリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、インダゾリル、ピロロピリジル、ピラゾロピリジル、イミダゾピリジル、チエノピリジル、ピロロピラジニル、ピラゾロピラジニル、イミダゾピラジニル、チエノピラジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロチエニル等が挙げられる。
本明細書中、「C7−14アラルキル」とは、「C1−4アルキル基」に「C6−10アリール基」が置換した基を意味し、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、(ナフチル−1−イル)メチル、(ナフチル−2−イル)メチル、1−(ナフチル−1−イル)エチル、1−(ナフチル−2−イル)エチル、2−(ナフチル−1−イル)エチル、2−(ナフチル−2−イル)エチル、ビフェニリルメチル等が挙げられる。
本明細書中、「C2−6アルケニル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数2〜6のアルケニル基を意味し、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニル等が挙げられる。中でも、特にC2−4アルケニル基が好ましい。
本明細書中、「C2−6アルキニル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数2〜6のアルキニル基を意味し、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル等が挙げられる。中でも、C2−4アルキニル基が好ましい。
本明細書中、「C3−8シクロアルキル基」としては、炭素原子数3〜8の環状アルキル基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。中でも、C3−6シクロアルキル基が好ましい。
本明細書中、「C1−6アルコキシ基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜6のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。中でも、C1−4アルコキシ基が好ましい。
本明細書中、「C6−10アリールオキシ基」とは、酸素原子に「C6−10アリール基」が結合した基を意味し、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。中でも、フェノキシ基が好ましい。
本明細書中、「C1−6アルキルチオ基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜6のアルキルチオ基を意味し、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、ヘキシルチオ等が挙げられる。中でも、C−Cアルキルチオ基が好ましい。
本明細書中、「C6−10アリールチオ基」とは、硫黄原子に「C6−10アリール基」が結合した基を意味し、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、2−ナフチルチオ等が挙げられる。中でも、フェニルチオ基が好ましい。
本明細書中、「C1−6アルキル−カルボニル基」とは、−C=O−に「C1−6アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、ペンチルカルボニル、イソペンチルカルボニル、ネオペンチルカルボニル、ヘキシルカルボニル等が挙げられる。中でも、C1−4アルキル−カルボニル基が好ましい。
本明細書中、「C6−10アリール−カルボニル基」とは、−C=O−に「C6−10アリール基」が結合した基を意味し、例えば、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル等が挙げられる。中でも、ベンゾイル基が好ましい。
本明細書中、「C1−6アルコキシ−カルボニル基」とは、−C=O−に「C1−6アルコキシ基」が結合した基を意味し、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル等が挙げられる。中でも、C1−4アルコキシ−カルボニル基が好ましい。
本明細書中、「C2−6アルケニルオキシ−カルボニル基」とは、−C=O−に「C2−6アルケニルオキシ基」が結合した基を意味し、例えば、ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2−メチル−1−プロペニルオキシカルボニル、1−ブテニルオキシカルボニル、2−ブテニルオキシカルボニル、3−ブテニルオキシカルボニル、1−ペンテニルオキシカルボニル、1−ヘキセニルオキシカルボニル等が挙げられる。中でも、特にアリルオキシカルボニル基が好ましい。
本明細書中、「C6−10アリールオキシ−カルボニル基」とは、−C=O−に「C6−10アリールオキシ基」が結合した基を意味し、例えば、フェノキシカルボニル、1−ナフチルオキシカルボニル、2−ナフチルオキシカルボニル等が挙げられる。中でも、フェノキシカルボニル基が好ましい。
本明細書中、「C7−14アラルキルオキシ−カルボニル基」とは、−C=O−に「C7−14アラルキルオキシ基」が結合した基を意味し、例えば、ベンジルオキシカルボニル、1−ナフチルメチルオキシカルボニル、2−ナフチルメチルオキシカルボニル等が挙げられる。中でも、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。
本明細書中、「C1−6アルキルスルホニル基」とは、−S(O)−に「C1−6アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル等が挙げられる。中でも、C1−4アルキルスルホニル基が好ましい。
本明細書中、「C6−10アリールスルホニル基」とは、−S(O)−に「C6−10アリール基」が結合した基を意味し、例えば、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル、2−ナフチルスルホニル等が挙げられる。中でも、フェニルスルホニル基が好ましい。
本明細書中、「トリC1−6アルキルシリル基」とは、同一又は異なる3個のC1−6アルキル基により置換されたシリル基を意味し、当該アルキル基としては、C1−4アルキル基が好ましい。トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましい。
本明細書中、「保護されたアミノ基」は、「保護基」で保護されたアミノ基を意味する。当該「保護基」としては、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons刊(1980)に記載のアミノ基の保護基を使用し得、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C6−10アリール基、C7−14アラルキル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C2−6アルケニルオキシ−カルボニル基、C6−10アリール−カルボニル基、C7−14アラルキル−カルボニル基、C6−10アリールオキシ−カルボニル基、C7−14アラルキルオキシ−カルボニル基、C6−10アリールスルホニル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、トリC1−6アルキルシリル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、フタロイル基等の保護基が挙げられる。上記の保護基は、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基又はニトロ基でそれぞれ置換されていてもよい。当該アミノ基の保護基の具体例としては、アセチル、トリフルオロアセチル、ピバロイル、tert−ブトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、ベンズヒドリル、トリチル、フタロイル、アリルオキシカルボニル、p−トルエンスルホニル、o−ニトロベンゼンスルホニル、トリメチルシリルエトキシカルボニル等が挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよい」とは、1個以上の置換基を有していてもよいことを意味し、該「置換基」としては、(1)ハロゲン、(2)ニトロ、(3)シアノ、(4)C1−6アルキル、(5)C3−8シクロアルキル、(6)C2−6アルケニル、(7)C2−6アルキニル、(8)C1−6アルコキシ、(9)C1−6アルキレンジオキシ、(10)C6−10アリール、(11)C7−14アラルキル、(12)C1−6アルコキシ−カルボニル、(13)C7−14アラルキルオキシ−カルボニル、(14)C1−6アルキル−カルボニル、(15)C6−10アリール−カルボニル、(16)C6−10アリールオキシ−カルボニル、(17)C1−6アルキルスルホニル、(18)C6−10アリールスルホニル、(19)ホルミル、(20)アジド、(21)C1−6アルキルチオ、(22)C−C10アリールチオ、(23)C1−6アルキル基で置換されていてもよいカルバモイル、(24)トリC1−6アルキルシリル基、(25)保護されたアミノ基等が挙げられる。中でも、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、メチレンジオキシ、C1−6アルコキシ−カルボニル、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、カルバモイル、アジド、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、ベンジルオキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノが好ましい。また、複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
本明細書中、「求核化合物」とは、孤立電子対をもつ化合物、またはアニオン類を意味し、該「求核化合物」としては、例えば、アルコール類、チオール類、アミン類、セレノール類、ホスフィン類、フェノール類、芳香族化合物、アミド類、β−ジカルボニル化合物等が挙げられる。
(本発明の化合物)
本発明の化合物は、下記式(I)で表されるトリアジン化合物(化合物(I))である。
式(I)
Figure 2013155129
[式中、
は、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基を示し、
は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示すか、または2個のRは、互いに結合して、それらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、
Arは、置換されていてもよい芳香環基を示し、および
-は、求核性のない対アニオンを示す。]
で表される化合物である。
以下、化合物(I)の各基について説明する。
は、置換されていてもよいアルキル基、および置換されていてもよいアリール基からなる群より選択される基を表し、Rの選択により、化合物(I)の溶解性、反応性等を制御することが可能である。
は、好ましくは、C1−20アルキル基、またはC6−14アリール基であり、中でもC1−12アルキル基、またはC6−10アリール基が好ましく、C1−8アルキル基、またはフェニル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。各基は、それぞれ前述した置換基により置換されていてもよく、複数の置換基を有する場合、それらは、同一でも異なっていてもよい。
は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を表すか、または2個のRは、互いに結合して、それらが結合する窒素原子とともに形成される環を表す。
は、好ましくは、C1−4アルキル基であるか、または2個のRが、互いに結合して、それらが結合する窒素原子とともに形成される4乃至7員単環式非芳香族複素環基である。4乃至7員単環式非芳香族複素環基としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子(該硫黄原子は酸化されていてもよい)および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1乃至4個含有する、4乃至7員(好ましくは、5または6員)の単環式非芳香族複素環基が挙げられ、例えば、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペラジニル基、アゼパニル基等が挙げられる。各基は、それぞれ前述した置換基により置換されていてもよく、複数の置換基を有する場合、それらは、同一でも異なっていてもよい。
は、特に好ましくは、メチル基、またはモルホリニル基である。
Arは、置換されていてもよい芳香環基を表す。
Arは、好ましくは、置換されていてもよいC6−14アリール基に対応する環基であり、より好ましくは、置換されていてもよいC6−10アリール基に対応する環基であり、ベンゼンが特に好ましい。該環基は、前述した置換基により置換されていてもよく、複数の置換基を有する場合、それらは、同一でも異なっていてもよい。
-は、求核性のない対アニオンを表し、好ましくは、例えば、置換されていてもよいアルキルスルホナート、置換されていてもよいアリールスルホナート、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、テトラフェニルボラート、およびアルセナートからなる群より選択される対アニオンである。
-は、より好ましくは、トリフルオロメタンスルホナート、ペルクロラート、またはテトラフルオロボラートであり、特に好ましくは、トリフルオロメタンスルホナートである。
化合物(I)としては、以下の化合物が好適である。
[化合物(IA)]
が、置換されていてもよいC1−8アルキル基、または置換されていてもよいフェニル基であり;
が、C1−4アルキル基であるか、または2個のRが、互いに結合して、それらが結合する窒素原子とともに形成される4乃至7員単環式非芳香族複素環基であり;
Arが、置換されていてもよいC6−10アリール基に対応する環基であり;および
-が、置換されていてもよいアルキルスルホナート、置換されていてもよいアリールスルホナート、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、テトラフェニルボラート、またはアルセナートである、化合物(I)。
[化合物(IB)]
が、メチル基、またはフェニル基であり;
が、メチル基であるか、または2個のRが、互いに結合して、それらが結合する窒素原子とともに形成される6員単環式非芳香族複素環基であり;
Arが、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ニトロ基、またはシアノ基により置換されていてもよいフェニル基に対応する環基であり;および
-が、1乃至3個のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキルスルホナート、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、テトラフェニルボラート、またはアルセナートである、化合物(I)。
[化合物(IC)]
が、フェニル基であり;
が、メチル基であり;
Arが、フェニル基に対応する環基であり;および
-が、トリフルオロメタンスルホナート、ペルクロラート、またはテトラフルオロボラートである、化合物(I)。
[化合物(ID)]
が、フェニル基であり;
2個のRが、互いに結合して、それらが結合する窒素原子とともにモルホリニウム基を形成し;
Arが、フェニル基に対応する環基であり;および
-が、トリフルオロメタンスルホナート、ペルクロラート、またはテトラフルオロボラートである、化合物(I)。
化合物(I)は、より好ましくは、N−(4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナート、N−(4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム トリフルオロメタンスルホナート、またはN−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナートであり、特に好ましくは、N−(4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナートである。
(化合物(I)の合成)
化合物(I)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のような反応を経て合成することができる。
原料化合物は、特に述べない限り、市販品として容易に入手できるか、あるいは、自体公知の方法またはこれらに準ずる方法に従って製造することができる。
化合物(I)は、例えば、以下の工程により製造することができる。
Figure 2013155129
[式中、Mは、金属原子または4級アンモニウム基を示し、Xは、前記X-に対応する基を示し、Rは、置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を示す。他の記号は、前記と同義である。]
工程(a)
当該工程は、式(I−1)で表される塩化シアヌル(以下、化合物(I−1)と略称する。)の2個のクロロ基をOR基で置換することにより、式(I−2)で表される化合物(以下、化合物(I−2)と略称する。)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、塩基の存在下、OR基に対応するアルコール類、またはフェノール類を用いて行われる。
該アルコール類、またはフェノール類の使用量は、化合物(I−1)1当量に対して、通常2〜4当量である。
塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(N−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン)、ピリジン、ピコリン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、テトラメチルグアニジン等の有機塩基類等が挙げられ、中でも水酸化ナトリウム、ジイソプロピルエチルアミン等が好ましい。
該塩基の使用量は、化合物(I−1)1当量に対して、通常2〜4当量である。
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテル(DME)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム(diglyme))等のエーテル類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類が挙げられ、中でもジクロロメタン、クロロホルム、DME等が特に好ましい。
反応温度は、通常−30〜120℃、好ましくは0〜100℃である。
反応時間は、通常0.1〜30時間である。
工程(b)
当該工程は、化合物(I−2)のクロロ基をヒドロキシ基へと変換することにより、式(I−3)で表される化合物(以下、化合物(I−3)と略称する。)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、カルボン酸塩および3級アミンを用いて行われる。
カルボン酸塩および3級アミンの使用量は、化合物(I−2)1当量に対して、通常1〜3当量であり、好ましくは、1〜2当量である。
カルボン酸塩としては、カルボン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩であればよく、カルボン酸の種類は問わない。具体的には、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸テトラエチルアンモニウム等が挙げられるが、実用的観点から、酢酸ナトリウムが特に好ましい。
3級アミンとしては、化合物(I−2)と反応して脱水縮合能を有するトリアジニルアンモニウム塩を形成するものであればよく、具体的には、例えば、4−メチルモルホリン、メチルピペリジン、ジエチルメチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、キヌクリジン、メチルピロリジン等が挙げられ、中でも4−メチルモルホリンが特に好ましい。
溶媒としては、反応基質を溶解するものであればよく、例えば、THF等のエーテル類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、アルコール系溶媒、水、水−アルコール系混合溶媒等が挙げられ、中でもアルコール系溶媒が好ましい。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール(2−プロパノール)、ブタノール、tert−ブタノールが挙げられ、中でもメタノールが特に好ましい。
反応温度は、通常−30〜120℃、好ましくは0〜100℃である。
反応時間は、通常0.1〜30時間である。
工程(c)
当該工程は、化合物(I−3)のヒドロキシ基を置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ基または置換されていてもよいアリールスルホニルオキシ基(RSO−O基)へと変換することにより、式(I−4)で表される化合物(以下、化合物(I−4)と略称する。)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、アルキルスルホニル化剤またはアリールスルホニル化剤を用いて行われ、塩基の存在下で行うのが好ましい。
該アルキルスルホニル化剤またはアリールスルホニル化剤としては、置換されていてもよいアルキルスルホン酸無水物、置換されていてもよいアルキルスルホン酸ハロゲン化物(クロリド、ブロミドまたはヨージド)、置換されていてもよいアリールスルホン酸無水物、置換されていてもよいアリールスルホン酸ハロゲン化物等が挙げられる。該アルキルスルホニル化剤またはアリールスルホニル化剤の使用量は、化合物(I−3)1当量に対して、通常1〜3当量であり、好ましくは、1〜2当量である。該アルキルスルホニル化剤またはアリールスルホニル化剤としては、トリフルオロメタンスルホニル化剤が好ましく、中でも、トルフルオロメタンスルホン酸無水物が特に好ましい。
塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(N−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン)、ピリジン、ピコリン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、テトラメチルグアニジン等の有機塩基類等が挙げられ、中でもトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が好ましい。
該塩基の使用量は、化合物(I−3)1当量に対して、通常1〜3当量であり、好ましくは、1〜2当量である。
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、ジグリム等のエーテル類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類が挙げられ、中でもジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類が特に好ましい。。
反応温度は、通常−30〜120℃、好ましくは0〜100℃である。
反応時間は、通常0.1〜30時間である。
工程(d)
当該工程は、化合物(I−4)とアリールメチルアミンとの反応により、X-が置換されていてもよいアルキルスルホナートまたは置換されていてもよいアリールスルホナートである化合物(I)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、アリールメチルアミンを用いて行われる。
該アリールメチルアミンの使用量は、化合物(I−4)1当量に対して、通常1〜3当量であり、好ましくは、1〜2当量である。
溶媒としては、例えば、ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、ジグリム等のエーテル類が挙げられ、中でもテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類が好ましく、2種のエーテル類の混合溶媒(例えば、テトラヒドロフラン−ジエチルエーテル混合溶媒等)が特に好ましい。
反応温度は、通常−78〜40℃、好ましくは−40〜20℃である。
反応時間は、通常0.1〜30時間である。
工程(e)
当該工程は、化合物(I−2)とアリールメチルアミンとの反応により、X-が置換されていてもよいアルキルスルホナートおよび置換されていてもよいアリールスルホナート以外の求核性のない対アニオンである化合物(I)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、MX存在下、アリールメチルアミンを用いて行われる。
該アリールメチルアミンの使用量は、化合物(I−2)1当量に対して、通常1〜3当量であり、好ましくは、1〜2当量である。
MXで表される反応剤におけるMは、金属原子、または4級アンモニウム基を示し、具体的には、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、金、銀等の貴金属、タリウム等の重金属、テトラメチルアンモニウム基等が挙げられ、中でも好ましくは、ナトリウムまたは銀である。
MXで表される反応剤におけるXは、前記X-に対応する基のうち、置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ基および置換されていてもよいアリールスルホニルオキシ基以外の求核性のない基を示し、具体的には、例えば、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、テトラフェニルボラート、アルセナート等が挙げられる。
該MXの使用量は、化合物(I−2)1当量に対して、通常1〜3当量であり、好ましくは、1〜2当量である。
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、ジグリム等のエーテル類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;それらの混合溶媒等が挙げられ、中でもジクロロメタンが特に好ましい。
反応温度は、通常−30〜100℃、好ましくは0〜40℃である。
反応時間は、通常0.1〜30時間である。
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体等の異性体を有する場合には、いずれか一方の異性体も混合物も化合物(I)に包含される。例えば、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、ラセミ体から分割された光学異性体も化合物(I)に包含される。これらの異性体は、自体公知の合成手法、分離手法(例、濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶)によりそれぞれを単品として得ることができる。
化合物(I)は、溶媒和物であっても、無溶媒和物であってもよい。
化合物(I)はまた、同位元素(例、H,14C等)などで標識されていてもよい。
さらに、化合物(I)は、重水素変換体であってもよい。
本発明の化合物(I)は、固体として得られるので、取扱いが容易であり、以下に示すように、各種求核化合物のアリールメチル化剤、特にベンジル化剤、として有用である。
(化合物(I)を用いる求核化合物のアリールメチル化方法)
本発明の化合物(I)は、各種求核化合物(例えば、アルコール、チオール、アミン、セレノール、ホスフィン、芳香族化合物(例えば、置換されていてもよいベンゼン類、置換されていてもよいナフタレン類、置換されていてもよいアントラセン類、置換されていてもよいインドール類、置換されていてもよいピロール類等)、アミド、β−ジカルボニル化合物(例えば、β−ジケトン類、β−ケトエステル類、β−ジエステル等)等)のC−またはO−アリールメチル化剤、特にベンジル化剤として使用することができる。例えば、以下のように実施することができる。
以下に化合物(I)を用いる求核化合物のアリールメチル化方法の代表例として、アルコールのアリールメチル化方法について説明する。一方、アルコール以外の求核化合物、すなわち、β−ジカルボニル化合物(ジメドン)や芳香族化合物(ペンタメチルベンゼン)、についても同様の反応条件下でベンジル化反応が収率良く進行することは、後述する試験例3、4に記載の通りである。
Figure 2013155129
[式中、Rは、置換されていてもよいアルキル基を示し、他の記号は、前記と同義である。]
アルコール類のアリールメチル化反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、塩基存在下、室温にてアルコール類(R−OH)と化合物(I)と反応させることにより進行する。
当該アリールメチル化方法に使用する塩基としては、反応系中で発生する対アニオン(X-)の共役酸を中和できるものであれば特に限定されない。該塩基の具体例としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属;トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、テトラメチルグアニジン等の有機塩基類等が挙げられるが、実用的観点から、炭酸水素ナトリウムまたは酸化マグネシウムが特に好ましい。
該塩基の使用量は、化合物(I)1当量に対して、通常1当量である。すなわち、対アニオン(X-)の共役酸の中和目的のみに使用されるので、反応条件としては中性条件である。
溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、DME、THF、ジグリム、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、またはそれらの混合溶媒が好ましく、中でもジエチルエーテル、DME、ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン、ジグリム、ジエチルエーテル−クロロホルム(1:1)混合溶媒が好ましく、DMEが特に好ましい。好適な塩基である炭酸水素ナトリウムまたは酸化マグネシウムは、上記好適な溶媒には溶解しないが、アリールメチル化反応の化学収率等に影響を及ぼさない。
反応温度は、通常室温である。
反応時間は、通常0.1〜24時間である。
本発明のアリールメチル化方法は、含水条件下で行うとジベンジルエーテルの副生により化学収率が低下するので、無水条件下で行うのが好ましい。
本発明のアリールメチル化方法によれば、中性条件下で反応を行うことができるので、1級アルコールのみならず、酸性条件下で脱離反応等の副反応が起こりやすい3級アルコールや、塩基性条件下で加水分解が進行するアセトキシ基を有するアルコールのベンジル化も収率良く進行する(後述する試験例2の表2参照)。
以下に実施例及び試験例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
以下の実施例中の「室温」は通常約10℃ないし約35℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
反応は、Merck 60 F254 シリカゲルプレート(厚さ0.25mm)を用いて、薄層クロマトグラフィーによりモニターした。
H及び13C−NMRスペクトルは、JEOL ECS400を用い、重クロロホルムまたは重メタノールを溶媒として測定した。H−NMRについてのデータは、化学シフト(δppm)、多重度(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、dd=ダブルダブレット、dt=ダブルトリプレット、brs=ブロードシングレット)、カップリング定数(Hz)、積分及び割当てとして報告する。
高分解能質量スペクトル解析(HRMS)は、JEOL JMS-SX102Aを用いて実行した。
融点(mp)測定は、柳本微量融点測定器を用いて行った。
元素分析は、Yanaco CHN Corder MT−5を用いて実行した。
分取薄層クロマトグラフィーは、Merck 60 F254 シリカゲルプレート(厚さ0.25mm)を用いて行った。フラッシュクロマトグラフィーは、関東化学株式会社(日本、東京)のシリカゲル60Nを用いて行った。
(実施例1)
N−(4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(Ia))の合成
(1)2−クロロ−4, 6−ジフェノキシ−1, 3, 5−トリアジンの合成
Figure 2013155129
塩化シアヌル(14.8g,80mmol)のジクロロメタン(80mL)溶液に氷冷下でN,N−ジイソプロピルエチルアミン(27.9mL,160mmol)、フェノール(15.1g,160mmol)のジクロロメタン溶液(80mL)を加え0℃、窒素雰囲気下で1時間反応させた。反応終了後、0.1N塩酸、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル−ヘキサン溶液から再結晶し、2−クロロ−4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン(18.4g,収率77%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ 7.33−7.44(m,4H),7.21−7.30(m,2H),7.09−7.16(d,4H);
EI−MS:m/z=298(M).
(2)6−ヒドロキシ−2,4−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジンの合成
Figure 2013155129
2−クロロ−4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン(11.0g,36.7mmol)、メタノール(120mL)、酢酸ナトリウム(3.31g,40.4mmol)、N−メチルモルホリン(4.44mL,40.4mmol)を混合し、該混合液を室温で30分間撹拌した。反応終了後、沈殿をろ過し溶媒を減圧留去した。残渣にクロロホルムを加えて0.1N塩酸、飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、白色固体(9.80g)を得た。得られた6−ヒドロキシ−2,4−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジンは精製する事なく次の反応に用いた。
(3)4,6−フェノキシ−2−トリフルオロメトキシ−1,3,5−トリアジン6−ヒドロキシ−2,4−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジンの合成
Figure 2013155129
上記(2)で得られた6−ヒドロキシ−2,4−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン(9.80g、粗生成物)のジクロロメタン(91mL)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(7.06mL,40.4mmol)を加え、氷浴で冷却した。該混合液に、氷冷下でトリフルオロメタンスルホン酸無水物(6.79mL,40.4mmol)を加え、0℃、窒素雰囲気下で1.5時間撹拌した。反応終了後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、4,6−ジフェノキシ−2−トリフルオロメトキシ−1,3,5−トリアジン(9.9g,収率65%(2−クロロ−4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジンからの収率))を得た。
白色固体;
H−NMR(400MHz,CDCl):δ 7.46−7.38(m,4H),7.34−7.27(m,2H),7.19−7.12(m,4H);
HRMS(FAB):計算値(C1611(M+H)):414.0372;実測値:414.0371.
(4)N−(4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(Ia))の合成
Figure 2013155129
−40℃、窒素雰囲気下で、4,6−ジフェノキシ−2−トリフルオロメトキシ−1,3,5−トリアジン(7.86g,19.0mmol)のテトラヒドロフラン(19mL)−ジエチルエーテル(19mL)溶液に、N−ベンジルモルホリン(3.5mL,20.9mmol)を加え、同温度で13時間撹拌した。反応終了後、反応混合液にジエチルエーテル(100mL)を加え、沈殿を吸引ろ取し、N−(4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物Ia)(10.3g,収率92%)を得た。
白色固体;
H−NMR(400MHz,CDCl):δ 7.60−7.08(m,11H),7.00(m,4H),5.10(s,2H),4.32(m,2H),4.16(m,2H),3.98(m,2H),3.59(m,2H);
HRMS(FAB):計算値(C2625(M−CFS)):441.1927;実測値:441.1929;
元素分析(C2725S):計算値:C,54.91;H,4.27;N,9.49.実測値:C,54.78;H,4.32;N,9.53.
(実施例2)〜(実施例4)は、上記(実施例1)の工程(4)と同様の方法により、4,6−ジフェノキシ−2−トリフルオロメトキシ−1,3,5−トリアジンまたは4,6−ジメトキシ−2−トリフルオロメトキシ−1,3,5−トリアジンと、N−ベンジルピペリジン、N−ベンジル−N,N−ジメチルアミン、またはN−ベンジルモルホリンとの反応により化合物(Ib)〜(Id)を合成した。化合物(Ib)〜(Id)の化学収率、及び物性データを以下に示す。
(実施例2)
N−(4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N−ベンジルピペリジニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(Ib))
Figure 2013155129
収率89%、白色固体;
H−NMR(400MHz,CDCl):δ 7.53(m,1H),7.39(m,6H),7.32(m,2H),7.06(m,2H),6.93(m,4H),4.99(s,1H),4.23(m,2H),4.15(m,2H),1.87(m,2H),1.86−1.78(m,1H),1.67(m,1H),1.40(m,2H);HRMS(FAB):計算値(C2727(M−CFS)):439.2134;実測値:439.2130;
元素分析(C2827S):計算値:C,57.14;H,4.62;N,9.52.実測値:C,56.96;H,4.72;N,9.57.
(実施例3)
N−(4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N−ベンジル−N,N−ジベンジルアンモニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(Ic))
Figure 2013155129
収率83%、白色固体;
H−NMR(400MHz,CDCl):δ 7.57−7.51(m,1H),7.49−7.35(m,6H),7.33−7.27(m,2H),7.24−7.18(m,2H),7.13−7.06(m,4H),5.05(s,2H),5.67(s,6H);
HRMS(FAB):計算値(C2423(M−CFS)):399.1821;実測値:399.1802; 元素分析(C2523S・2/3 HO):計算値:C,53.57;H,4.38;N,10.00.実測値:C,53.82;H,4.45;N,10.16.
(実施例4)
N−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(Id))
Figure 2013155129
収率41%、白色固体;
H−NMR(400MHz,CDOD):δ 7.51(m,1H),7.40(m,2H),7.16(m,2H),5.02(s,2H),4.55(m,2H),4.13−4.04(m,2H),4.05−3.94(m,2H),3.82−3.74(m,2H);HRMS(FAB):計算値(C1621(M−CFS)):317.1614;実測値:317.1620;
元素分析(C1721S):計算値:C,43.78;H,4.54;N,12.01.実測値:C,43.49;H,4.49;N,12.01.
(試験例1)
化合物(I)を用いるアルコール(3−フェニル−1−プロパノール)のベンジル化反応
[A法](炭酸水素ナトリウムを塩基として使用する方法)
Figure 2013155129
試験管に化合物(Ia)(155.8mg,0.264mmol)、炭酸水素ナトリウム(22.2mg,0.264mmol)、ジエチルエーテル(132μL)、および3−フェニル−1−プロパノール(18.0μL,0.132mmol)を加え、該混合液を室温、窒素雰囲気下で16時間撹拌した。反応終了後、反応混合液に酢酸エチルを加えて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−ベンジルオキシ−3−フェニルプロパンとジベンジルエーテル(31.3mg,NMR収率97%)を得た。
[B法](酸化マグネシウムを塩基として使用する方法)
Figure 2013155129
試験管に化合物(Ia)(236.2mg,0.400mmol)、酸化マグネシウム(16.1mg,0.400mmol)、1,2−ジメトキシエタン(DME)(200μL)、および3−フェニル−1−プロパノール(27.2μL,0.200mmol)を加え、該混合液を室温、窒素雰囲気下で2時間撹拌した。反応終了後、反応混合液に酢酸エチルを加えて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−ベンジルオキシ−3−フェニルプロパン(48.9mg,NMR収率96%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ 7.14−7.20(m,10H),4.51(s,2H),3.49(dt,J=1.4,6.5Hz,2H),2.72(d,J=7.7Hz,2H),1.88−2.02(m,2H).
下記表1に示すように、上記A法またはB法において、化合物(Ia)の代わりに化合物(Ic)または化合物(Id)を使用してもアルコール(3−フェニル−1−プロパノール)のベンジル化が進行することが分かった。
Figure 2013155129
(試験例2)
化合物(Ia)を用いる各種アルコール類のO−ベンジル化反応
化合物(Ia)をベンジル化剤として用い、試験例1のA法またはB法により各種アルコール類のO−ベンジル化を検討した。結果を表2に示した。
Figure 2013155129
表2に示すように、化合物(Ia)をベンジル化剤として使用することにより、1級アルコールのみならず、酸性条件下で脱離反応等の副反応が起こりやすい3級アルコールや、塩基性条件下で加水分解が進行するアセトキシ基を有するアルコールのベンジル化も収率良く進行することが分かった。
(試験例3)
化合物(Ia)を用いるβ−ジカルボニル化合物(ジメドン)のO−ベンジル化反応
Figure 2013155129
試験管にジメドン(10.0mg,0.0713mmol)、クロロホルム(357μL)、炭酸水素ナトリウム(12.0mg,0.143mmol)、および化合物(Ia)(66.5mg,0.143mmol)を加え、該混合液を室温、窒素雰囲気下で24時間撹拌した。反応終了後、該反応混合液に酢酸エチルを加えて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を分取薄層クロマトグラフィーで精製し、ジメドンのベンジルエーテル(10.1mg,収率62%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ 7.40−7.29(m,5H),5.42(s,1H),4.88(s,2H),2.32(s,2H),2.20(s,2H),1.09(s,6H).
化合物(Ia)をベンジル化剤として使用することにより、β−ジカルボニル化合物のO−ベンジル化反応も中性、緩和な条件下で収率良く進行することが分かった。
(試験例4)
化合物(Ia)を用いる芳香族化合物(ペンタメチルベンゼン)のベンジル化反応
Figure 2013155129
試験管にペンタメチルベンゼン(29.6mg,0.200mmol)、DME(200μL)、酸化マグネシウム(16.1mg,0.400mmol)、および化合物(Ia)(236.2mg,0.400mmol)を加え、該混合液を室温、窒素雰囲気下で2時間撹拌した。反応終了後、該反応混合液に酢酸エチルを加えて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ベンジルペンタメチルベンゼン(46.5 mg,収率97%)を得た。
mp:114−115℃;
H−NMR(400MHz,CDCl):δ 6.90−7.30(m,5H),4.10(s,2H),2.24(s,9H),2.16(s,6H).
化合物(Ia)をベンジル化剤として使用することにより、芳香族化合物のC−ベンジル化反応も中性、緩和な条件下で収率良く進行することが分かった。
本発明の化合物(I)は、取扱いが容易な固体として得られ、中性緩和な条件下でアルコールをはじめとする種々の求核化合物のアリールメチル化を高収率で進行させることができるので、アリールメチル化剤として有用である。

Claims (15)

  1. 式:
    Figure 2013155129
    [式中、
    は、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基を示し、
    は、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示すか、または2個のRは、互いに結合して、それらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、
    Arは、置換されていてもよい芳香環基を示し、および
    -は、求核性のない対アニオンを示す。]
    で表される化合物。
  2. が、置換されていてもよいC1−20アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基である、請求項1記載の化合物。
  3. が、置換されていてもよいフェニル基である、請求項1記載の化合物。
  4. が、C1−6アルキル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. 2個のRが、互いに結合して、それらが結合する窒素原子とともに、4〜8員環を形成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
  6. 2個のRが、互いに結合して、それらが結合する窒素原子とともに、モルホリン環を形成する、請求項5記載の化合物。
  7. Arが、置換されていてもよいフェニル基である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
  8. -が、置換されていてもよいアルキルスルホナート、置換されていてもよいアリールスルホナート、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、テトラフェニルボラート、およびアルセナートからなる群より選択される対アニオンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
  9. -が、ハロゲン原子により置換されていてもよいアルキルスルホナートである、請求項8に記載の化合物。
  10. -が、トリフルオロメタンスルホナートである、請求項9記載の化合物。
  11. N−(4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナートである、請求項1記載の化合物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物からなるアリールメチル化剤。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物を用いる求核化合物のアリールメチル化方法。
  14. 求核化合物が、アルコール、チオール、アミン、セレノール、ホスフィン、芳香族化合物、アミド、およびβ−ジカルボニル化合物からなる群より選択される化合物である、請求項13記載の方法。
  15. 求核化合物が、アルコールである、請求項13記載の方法。
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