以下、本発明について詳細に説明する。
(定義)
本明細書中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
本明細書中、「アルキル基」とは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1以上のアルキル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C1−20アルキル基であり、中でも、C1−6アルキル基がより好ましく、C1−4アルキル基が特に好ましい。
本明細書中、「C1−20アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜20のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、エイコシル等が挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜6のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。
本明細書中、「C1−4アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜3のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。
本明細書中、「アルケニル基」とは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数2以上のアルケニル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C2−20アルケニル基であり、中でも、C2−10アルケニル基がより好ましく、C2−8アルケニル基が特に好ましい。
本明細書中、「C2−10アルケニル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数2〜10のアルケニルを意味し、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−ヘプテニル、1−オクテニル等が挙げられる。中でも、C2−8アルケニル基が好ましい。
本明細書中、「アルキニル基」とは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数2以上のアルキニル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C2−20アルキニル基であり、中でも、C2−10アルキニル基がより好ましく、C2−8アルキニル基が特に好ましい。
本明細書中、「C2−10アルキニル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数2〜10のアルキニルを意味し、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、1−オクチニル等が挙げられる。中でも、C2−8アルキニル基が好ましい。
本明細書中、「シクロアルキル基」とは、炭素原子数3以上の環状アルキル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C3−10シクロアルキル基であり、中でも、C3−8シクロアルキル基がより好ましく、C3−6シクロアルキル基が特に好ましい。
本明細書中、「C3−10シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。中でも、C3−8シクロアルキル基が好ましく、C3−6シクロアルキル基がより好ましく、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基が特に好ましい。
本明細書中、「シクロアルケニル基」とは、炭素原子数3以上の環状アルケニル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C3−10シクロアルケニル基であり、中でも、C3−8シクロアルケニル基がより好ましく、C3−6シクロアルケニル基が特に好ましい。
本明細書中、「C3−10シクロアルケニル基」としては、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル等が挙げられる。中でも、C3−6シクロアルケニル基が好ましい。
上記のC3−10シクロアルキル基及びC3−10シクロアルケニル基は、それぞれベンゼン環と縮合して縮合環基を形成していてもよく、このような縮合環基としては、例えば、インダニル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル等が挙げられる。
また、上記のC3−10シクロアルキル基及びC3−10シクロアルケニル基は、C7−10橋かけ式炭化水素基であってもよい。C7−10橋かけ式炭化水素基としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(ノルボルニル)、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[3.2.2]ノニル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[4.2.1]ノニル、ビシクロ[4.3.1]デシル、アダマンチル等が挙げられる。
さらに、上記のC3−10シクロアルキル基及びC3−10シクロアルケニル基は、それぞれC3−10シクロアルカン又はC3−10シクロアルケンとスピロ環基を形成していてもよい。ここで、C3−10シクロアルカン及びC3−10シクロアルケンとしては、上記のC3−10シクロアルキル基及びC3−10シクロアルケニル基に対応する環が挙げられる。このようなスピロ環基としては、スピロ[4.5]デカン−8−イル等が挙げられる。
本明細書中、「アリール基」は、芳香族性を示す単環式あるいは多環式(縮合)の炭化水素基を意味し、芳香族性を示す単環式或いは多環式(縮合)の炭化水素基を意味し、具体的には、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、ターフェニル、ジフェニルナフチル、2−アンスリル、フェナントリル等のC6−22アリール基を示す。中でも、C6−10アリール基が好ましい。
本明細書中、「C6−10アリール基」とは、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルを示し、フェニルが特に好ましい。
本明細書中、「立体的に嵩高い炭化水素基」における「立体的に嵩高い」とは、立体障害の大きな状態を意味し、「炭化水素基」とは、アルキル基、アルケニル基等の脂肪族炭化水素基、及びアリール基等の芳香族炭化水素基を意味する。「立体的に嵩高い炭化水素基」としては、置換されていてもよい第2級若しくは第3級アルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルケニル基、置換されていてもよいアリール基等が挙げられる。
本明細書中、前記立体的に嵩高い置換されていてもよい「第2級若しくは第3級アルキル基」としては、好ましくは、置換されていてもよい炭素原子数が3〜8の第2級アルキル基(以下、第2級C3−8アルキル基と称する。)若しくは置換されていてもよい炭素数4〜8の第3級アルキル基(以下、第3級C4−8アルキル基と称する。)が挙げられ、中でも、イソプロピル基、t−ブチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルペンチル基、t−アミル基等がより好ましく、t−ブチル基が特に好ましい。
本明細書中、前記立体的に嵩高い置換されていてもよい「シクロアルキル基」としては、好ましくは、C1−6アルキル基により置換されていてもよいC3−10シクロアルキルが挙げられ、中でも、1−メチルシクロヘキサン−1−イル基又はアダマンチル基が特に好ましい。
本明細書中、前記立体的に嵩高い置換されていてもよい「シクロアルケニル基」としては、好ましくは、C1−6アルキル基により置換されていてもよいC3−10シクロアルケニルが挙げられ、中でも、1−メチル−シクロヘキセン−1−イル基が特に好ましい。
本明細書中、前記立体的に嵩高い置換されていてもよい「アリール基」としては、好ましくは、ハロゲン原子、ニトロ基、C1−6アルキル基又はC1−6アルコキシ基により置換されていてもよいC6−10アリール基が挙げられ、中でも、フェニル基、o-トリル基、又はメシチル基が特に好ましい。
本明細書中、「芳香環基」とは、C6−14芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示す。
本明細書中、「C6−14芳香族炭化水素基」とは、C6−14アリール基を示す。「C6−14芳香族炭化水素基」としては、C6−10アリール基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
本明細書中、該「芳香環基」は、置換可能な位置に、置換基を有していてもよい。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1ないし5個、より好ましくは1ないし3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
本明細書中、「複素環基」としては、芳香族複素環基及び非芳香族複素環基が挙げられる。
本明細書中、「芳香族複素環基」とは、環構成原子として炭素原子に加えて、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1乃至4個含有する、芳香族性を示す単環式又は多環式(縮合)複素環基を意味する。
本明細書中、「単環式芳香族複素環基」としては、例えば、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル(1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル)、トリアゾリル(1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル)、テトラゾリル、トリアジニル等が挙げられる。中でも、5又は6員の単環式芳香族複素環基が好ましく、ピリジルが特に好ましい。。
本明細書中、「多環式(縮合)芳香族複素環基」とは、上記単環式芳香族複素環基が、単環式芳香族環(好ましくは、ベンゼン環又は単環式芳香族複素環)と縮合した基を意味し、例えば、キノリル、イソキノリル、キナゾリル、キノキサリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、インダゾリル、ピロロピリジル、ピラゾロピリジル、イミダゾピリジル、チエノピリジル、ピロロピラジニル、ピラゾロピラジニル、イミダゾピラジニル、チエノピラジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロチエニル等が挙げられる。
非芳香族複素環基としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1乃至4個含有する3乃至7員(好ましくは4乃至7員、より好ましくは5又は6員)の単環式非芳香族複素環基及び縮合非芳香族複素環基が挙げられる。該縮合非芳香族複素環基としては、例えば、これら3乃至7員の単環式非芳香族複素環基に対応する環と、1又は2個の窒素原子を含む5又は6員の芳香族複素環(例、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリジン、ピリミジン)、1個の硫黄原子を含む5員の芳香族複素環(例、チオフェン)及びベンゼン環から選ばれる1又は2個の環が縮合した環から誘導される基、並びに該基の部分飽和により得られる基等が挙げられる。
非芳香族複素環基の好適な例としては、
アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジル、モルホリニル(例、モルホリノ)、チオモルホリニル、ピペラジニル、ヘキサメチレンイミニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、イミダゾリニル、ジオキソリル、ジオキソラニル、ジヒドロオキサジアゾリル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、チオピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフリル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、テトラヒドロピリミジニル、ジヒドロトリアゾリル、テトラヒドロトリアゾリル等の単環式非芳香族複素環基;
ジヒドロインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロベンゾジオキセピニル、テトラヒドロベンゾフラニル、クロメニル、ジヒドロクロメニル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ジヒドロフタラジニル、ヘキサヒドロフロピロリル等の縮合非芳香族複素環基;
等が挙げられる。
非芳香族複素環基は、架橋されていてもよい。架橋非芳香族複素環基の好適な例としては、(1S,4S)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル等が挙げられる。
本明細書中、前記「複素環基」は、置換可能な位置に1乃至3個の置換基を有していてもよい。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
本明細書中、「置換アミノ基」とは、アミノ基の2個の水素原子のうちの少なくとも1個が水素原子以外の基で置換された基を意味する。「置換アミノ基」を構成する置換基としては、後述の「ジ置換アミノ基」を構成する置換基として例示した基が挙げられる。
本明細書中、「置換アミノ基」とは、アミノ基の2個の水素原子のうちの少なくとも1個が水素原子以外の基で置換された基を意味し、2個の水素原子の両方が置換基により置換されている場合には、該置換基は、同一又は異なっていてもよい。「置換アミノ基」を構成する置換基としては、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons刊(1980)に記載のアミノ基の保護基等を使用し得、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C6−10アリール基、複素環基、C7−14アラルキル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、アシル基(例、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C2−6アルケニルオキシ−カルボニル基、C6−10アリール−カルボニル基、C7−14アラルキル−カルボニル基、C6−10アリールオキシ−カルボニル基、C7−14アラルキルオキシ−カルボニル基、C1−6アルキルスルホニル基、C6−10アリールスルホニル基、モノ若しくはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、フタロイル基等)、トリ置換シリル基等の基が挙げられる。上記の置換基は、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等でそれぞれ更に置換されていてもよい。当該ジ置換アミノ基の2個の置換基の具体例としては、それぞれ独立して、メチル、エチル、イソプロピル、ベンジル、フェニル、ピリジル、メトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ピバロイル、ベンゾイル、ナフトイル、tert−ブトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、ベンズヒドリル、トリチル、フタロイル、アリルオキシカルボニル、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、o−ニトロベンゼンスルホニル、トリメチルシリルエトキシカルボニル、ジメチルカルバモイル等が挙げられ、好ましくは、それぞれハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい、メチル、フェニル、メトキシ、アセチル、ベンゾイル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル等である。
「置換アミノ基」の別の好適な例としては、置換されていてもよい環状アミノ基が挙げられる。
本明細書中、「環状アミノ基」とは、アミノ基の窒素原子と共に形成される飽和又は部分不飽和の含窒素非芳香族複素環基を意味する。「環状アミノ基」としては、アミノ基の窒素原子の他の環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を有していてもよく、4乃至7員(好ましくは5又は6員)の単環式含窒素非芳香族複素環基及び縮合含窒素非芳香族複素環基が挙げられる。「環状アミノ基」の例としては、例えば、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジル、アゼパニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロピリミジニル、ジヒドロトリアゾリル、テトラヒドロトリアゾリル等の4ないし7員の単環式含窒素非芳香族複素環基、該単環式含窒素非芳香族複素環と1又は2個の炭素環(例、ベンゼン環、ビシクロ環(例、ノルボルネン等)等)が縮合した環基等が挙げられる。
「環状アミノ基」の好適な例としては、例えば、それぞれ置換されていてもよい、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジル、アゼパニル、モルホリニル(モルホリノ基)、チオモルホリニル(チオモルホリノ基)等が挙げられ、好ましくは、モルホリニル、ピペリジル又はピロリジルである。
本明細書中、「C7−14アラルキル」とは、「C1−4アルキル基」に「C6−10アリール基」が置換した基を意味し、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、(ナフチル−1−イル)メチル、(ナフチル−2−イル)メチル、1−(ナフチル−1−イル)エチル、1−(ナフチル−2−イル)エチル、2−(ナフチル−1−イル)エチル、2−(ナフチル−2−イル)エチル、ビフェニリルメチル等が挙げられる。
本明細書中、「アルコキシ基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1以上のアルコキシ基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C1−6アルコキシ基である。
本明細書中、「C1−6アルコキシ基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜6のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。中でも、C1−4アルコキシ基が好ましい。
本明細書中、「C6−10アリールオキシ基」とは、酸素原子に「C6−10アリール基」が結合した基を意味し、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。中でも、フェノキシ基が好ましい。
本明細書中、「置換メルカプト基」としては、例えば、それぞれ置換されていてもよい、C1−20アルキル基、C2−20アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−10アリール基、C7−14アラルキル基、アシル基(例、C1−20アルキル−カルボニル基、C6−10アリール−カルボニル基、C1−20アルキルスルホニル基、C6−10アリールスルホニル基等)、置換されていてもよいシリル基(例、トリC1−4アルキルシリル基等)、複素環基等から選ばれる置換基で置換されたメルカプト基が挙げられる。
「置換メルカプト基」の好適な例としては、例えば、製造時の取扱い易さの観点から無臭チオール由来の基が挙げられる。具体的には、例えば、Node, M. et al., Tetrahedron Lett., 2001, 42, 9207に記載のドデシルチオ基、4−ドデシルフェニルチオ基等が好ましく、市販品から誘導可能なドデシルチオ基が特に好ましい。
本明細書中、「アシル基」とは、例えば、ホルミル基、C1−20アルキル−カルボニル基、C1−20アルコキシ−カルボニル基、C3−10シクロアルキル−カルボニル基、C3−10シクロアルキルオキシ−カルボニル基、C7−14アラルキル−カルボニル基、C7−14アラルキルオキシ−カルボニル基、C6−10アリール−カルボニル基、C6−10アリールオキシ−カルボニル基、カルバモイル基(−CONH2)、モノ若しくはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基、モノ若しくはジ−C3−10シクロアルキル−カルバモイル基、モノ若しくはジ−複素環カルバモイル基、C1−20アルキルスルホニル基、C6−10アリールスルホニル基、環状アミノカルボニル基、複素環カルボニル基、チオカルバモイル基(−CSNH2)、モノ若しくはジ−C1−6アルキルチオカルバモイル基、モノ若しくはジ−C3−10シクロアルキルチオカルバモイル基、環状アミノカルボニル基、複素環カルボニル基、スルファモイル基(−S(O)2NH2)、モノ若しくはジ−C1−6アルキルスルファモイル基、モノ若しくはジ−C3−10シクロアルキルスルファモイル基、環状アミノスルホニル基、複素環スルホニル基等を包含する基を意味する。
「アシル基」の好適な例としては、置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニル基(例、アセチル、ピバロイル等)、置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル−カルボニル基(例、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル等)、置換されていてもよいC3−10シクロアルキルオキシ−カルボニル基、置換されていてもよいC6−10アリール−カルボニル基(例、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル等)、置換されていてもよいC6−10アリールオキシ−カルボニル基、置換されていてもよいC7−14アラルキルオキシ−カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、1−ナフチルメチルオキシカルボニル、2−ナフチルメチルオキシカルボニル)、置換されていてもよいジ(C1−6アルキル)カルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル等)、置換されていてもよいC1−20アルキルスルホニル基(例、メタンスルホニル等)、置換されていてもよいC6−10アリールスルホニル基(例、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル等)、置換されていてもよいジ(C1−6アルキル)スルファモイル基(例、ジメチルスルファモイル等)、置換されていてもよい環状アミノカルボニル基(例、ピロリジルカルボニル、ピペリジルカルボニル、モルホリニルカルボニル等)、置換されていてもよい環状アミノスルホニル基(例、ピロリジルスルホニル、ピペリジルスルホニル、モルホリニルスルホニル等)、置換されていてもよい複素環カルボニル基(例、ピリジルカルボニル等)等が挙げられる。中でも、アセチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイル、メタンスルホニル、ドデシルスルホニル、ドデシルスルフィニル、トリフルオロメタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル、ジメチルカルバモイル等のアシル基が特に好ましい。
本明細書中、「環状アミノカルボニル基」又は「環状アミノスルホニル基」とは、含窒素非芳香族複素環基の環構成窒素原子にカルボニル又はスルホニルが結合したものであり、例えば、ピロリジニルカルボニル基、ピペリジルカルボニル基、モルホリニルカルボニル基、ピロリジニルスルホニル基、ピペリジルスルホニル基、モルホリニルスルホニル基、等が挙げられる。「環状アミノ」としては、前記「置換されていてもよい環状アミノ基」における「環状アミノ基」として例示した「第2級環状アミノ基」が挙げられる。
本明細書中、「複素環カルボニル基」又は「複素環スルホニル基」の複素環としては、前記「複素環基」として例示した「芳香族複素環基」及び「非芳香族複素環基」が挙げられる。
本明細書中、「C1−6アルキル−カルボニル基」とは、カルボニル基に「C1−6アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、ペンチルカルボニル、イソペンチルカルボニル、ネオペンチルカルボニル、ヘキシルカルボニル等が挙げられる。中でも、C1−4アルキル−カルボニル基が好ましく、アセチル基が特に好ましい。
本明細書中、「C6−10アリール−カルボニル基」とは、カルボニル基に「C6−10アリール基」が結合した基を意味し、例えば、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル等が挙げられる。中でも、ベンゾイル基が好ましい。
本明細書中、「C1−6アルコキシ−カルボニル基」とは、カルボニル基に「C1−6アルコキシ基」が結合した基を意味し、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル等が挙げられる。中でも、C1−4アルコキシ−カルボニル基が好ましい。
本明細書中、「C6−10アリールオキシ−カルボニル基」とは、カルボニル基に「C6−10アリールオキシ基」が結合した基を意味し、例えば、フェノキシカルボニル、1−ナフチルオキシカルボニル、2−ナフチルオキシカルボニル等が挙げられる。中でも、フェノキシカルボニル基が好ましい。
本明細書中、「C7−14アラルキルオキシ−カルボニル基」とは、カルボニル基に「C7−14アラルキルオキシ基」が結合した基を意味し、例えば、ベンジルオキシカルボニル、1−ナフチルメチルオキシカルボニル、2−ナフチルメチルオキシカルボニル等が挙げられる。中でも、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。
本明細書中、「アルキルスルフィニル基」とは、スルフィニル基(−S(O)−)に「アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec−ブチルスルフィニル、tert−ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニル、イソペンチルスルフィニル、ネオペンチルスルフィニル、ヘキシルスルフィニル、ヘプチルスルフィニル、オクチルスルフィニル、ノニルスルフィニル、デシルスルフィニル、ウンデシルスルフィニル、ドデシルスルフィニル等のC1−20アルキルスルフィニル基が挙げられる。中でも、ドデシルスルフィニル基が好ましい。
本明細書中、「アリールスルフィニル基」とは、スルフィニル基(−S(O)−)に「アリール基」が結合した基を意味し、例えば、フェニルスルフィニル、1−ナフチルスルフィニル、2−ナフチルスルフィニル等のC6−10アリールスルフィニル基が挙げられる。中でも、フェニルスルフィニル基が好ましい。
本明細書中、「アルキルスルホニル基」とは、スルホニル基(−S(O)2−)に「アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル、ノニルスルホニル、デシルスルホニル、ウンデシルスルホニル、ドデシルスルホニル等のC1−20アルキルスルホニル基が挙げられる。中でも、ドデシルスルホニル基が好ましい。
本明細書中、「アリールスルホニル基」とは、スルホニル基(−S(O)2−)に「アリール基」が結合した基を意味し、例えば、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル、2−ナフチルスルホニル等のC6−10アリールスルホニル基が挙げられる。中でも、フェニルスルホニル基が好ましい。
本明細書中、「アルキルスルホニロキシ基」とは、−S(O)2−O−の硫黄原子に「アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、メチルスルホニロキシ、エチルスルホニロキシ、プロピルスルホニロキシ、イソプロピルスルホニロキシ、ブチルスルホニロキシ、イソブチルスルホニロキシ、sec−ブチルスルホニロキシ、tert−ブチルスルホニロキシ、ペンチルスルホニロキシ、イソペンチルスルホニロキシ、ネオペンチルスルホニロキシ、ヘキシルスルホニロキシ等のC1−6アルキルスルホニロキシ基が挙げられる。中でも、C1−4アルキルスルホニロキシ基が好ましい。「アルキルスルホニロキシ基」としては、ハロゲン原子により置換されていてもよいメチルスルホニロキシ基(例、トリフルオロメタンスルホニロキシ基)が特に好ましい。
本明細書中、「アリールスルホニロキシ基」とは、−S(O)2−O−の硫黄原子に「アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、フェニルスルホニロキシ、1−ナフチルスルホニロキシ、2−ナフチルスルホニロキシ等が挙げられる。中でも、フェニルスルホニロキシ基が好ましい。「アリールスルホニロキシ基」としては、メチル基により置換されていてもよいフェニルスルホニロキシ基(例、ベンゼンスルホニロキシ基、p−トルエンスルホニロキシ基)が特に好ましい。
本明細書中、「アルキルスルホナート」とは、−SO3 −に「アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、メチルスルホナート、エチルスルホナート、プロピルスルホナート、イソプロピルスルホナート、ブチルスルホナート、イソブチルスルホナート、sec−ブチルスルホナート、tert−ブチルスルホナート、ペンチルスルホナート、イソペンチルスルホナート、ネオペンチルスルホナート、ヘキシルスルホナート等が挙げられる。中でも、C1−4アルキルスルホナートが好ましい。「置換されていてもよいアルキルスルホナート」としては、ハロゲン原子により置換されていてもよいメチルスルホナート(例、トリフルオロメタンスルホナート)が特に好ましい。
本明細書中、「アリールスルホナート」とは、−SO3 −に「アリール基」が結合した基を意味し、例えば、フェニルスルホナート、1−ナフチルスルホナート、2−ナフチルスルホナート等のC6−10アリールスルホナートが挙げられる。中でも、フェニルスルホナートが好ましい。「置換されていてもよいアリールスルホナート」における「アリールスルホナート」としては、メチル基により置換されていてもよいフェニルスルホナート(例、ベンゼンスルホナート、p−トルエンスルホナート)が特に好ましい。
本明細書中、「トリ置換シリル基」とは、同一又は異なる3個の置換基(例、C1−6アルキル基、C6−10アリール基等)により置換されたシリル基を意味し、当該基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよい」とは、特に規定する場合を除き、1個以上の置換基を有していてもよいことを意味し、該「置換基」としては、(1)ハロゲン原子、(2)ニトロ基、(3)シアノ基、(4)ヒドロキシ基、(5)置換アミノ基、(6)オキソ基、(7)チオキソ基、(8)置換メルカプト基、(9)C1−6アルキル基、(10)C3−8シクロアルキル基、(11)C3−8シクロアルケニル基、(12)C2−8アルケニル基、(13)C2−8アルキニル基、(14)C1−6アルコキシ基、(15)C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基、(16)C1−6アルキレンジオキシ基、(17)C6−10アリール基、(18)C6−10アリールオキシ基、(19)C7−14アラルキル基、(20)C7−14アラルキルオキシ基、(21)C1−6アルコキシ−カルボニル基、(22)C7−14アラルキルオキシ−カルボニル基、(23)C1−6アルキル−カルボニル基、(24)C6−10アリール−カルボニル基、(25)C1−6アルキル−カルボニルオキシ基、(26)C6−10アリール−カルボニルオキシ基、(27)C6−10アリールオキシ−カルボニル基、(28)C1−6アルキルスルホニル基、(29)C6−10アリールスルホニル基、(30)ホルミル基、(31)アジド基、(32)C1−20アルキルチオ基、(33)C6−10アリールチオ基、(34)ジ(C1−6アルキル)カルバモイル基、(35)トリ置換シリル基、(36)ウレイド基、(37)環状アミノカルボニル基、(38)環状アミノスルホニル基、(39)ジアルキルホスホノ基、(40)アミジノオキシ基等が挙げられる。中でも、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、メチレンジオキシ、C1−6アルコキシ−カルボニル、ベンジルオキシカルボニル、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ベンジル、トリチル、フェニル、フェノキシ、ナフチル、アジド、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルアミノ、tert−ブトキシカルボニルアミノが好ましい。また、複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
上記置換基は、さらに上記置換基で置換されていてもよい。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1乃至5個、より好ましくは1乃至3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
本明細書中、「求核化合物」とは、孤立電子対をもつ化合物、またはアニオン類を意味し、該「求核化合物」としては、例えば、アルコール類、チオール類、アミン類、セレノール類、ホスフィン類、フェノール類、芳香族化合物、アミド類、β−ジカルボニル化合物等が挙げられ、中でも、アルコール類、芳香族化合物、アミド類等が好ましく、アルコール類が特に好ましい。
(本発明の化合物)
本発明の化合物は、下記式(I)で表されるトリアジン化合物(化合物(I))である。
式(I):
[式中、
R1及びR2は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基を示すか、又はR1及びR2は、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換されていてもよい環状アミノ基を形成し;
Arは、置換されていてもよい芳香環基を示し;
X1及びX2が、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基または立体的に嵩高い炭化水素基を示し、且つX1及びX2の少なくとも一方は、立体的に嵩高い炭化水素基を示し;ならびに
Y−は、求核性がないか、又は求核性が低い対アニオンを示す。]
で表される化合物である。
以下、化合物(I)の各基について説明する。
R1及びR2は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基を示すか、又は
R1及びR2は、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換されていてもよい環状アミノ基を形成する。
R1及びR2は、それぞれ独立して、好ましくは、置換されていてもよいC1−6アルキル基であるか、又は
R1及びR2は、好ましくは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいモルホリノ基、置換されていてもよいチオモルホリノ基、置換されていてもよいピペリジル基若しくは置換されていてもよいピロリジル基を形成する。
R1及びR2は、それぞれ独立して、より好ましくは、C1−4アルキル基(例、メチル基、エチル基等)であるか、又は
R1及びR2は、更に好ましくは、それらが結合する窒素原子と一緒になってモルホリノ基若しくはピペリジル基を形成する。
R1及びR2は、特に好ましくは、それらが結合する窒素原子と一緒になってモルホリノ基を形成する。
Arは、芳香環基を示す。該芳香環環基は、前述した置換基により置換されていてもよく、複数の置換基を有する場合、それらは、同一でも異なっていてもよい。
Arは、好ましくは、置換されていてもよいC6−10アリール基である。
Arは、より好ましくは、置換されていてもよいフェニルであり、特に好ましくは、C1−4アルキル基又はC1−4アルコキシ基により置換されていてもよいフェニル基である。
X1及びX2は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基(好ましくは、C1−4アルキル基、より好ましくは、メトキシ基)、置換されていてもよいアリールオキシ基(好ましくは、置換されていてもよいフェノキシ基)または立体的に嵩高い炭化水素基を示し、且つX1及びX2の少なくとも一方は、立体的に嵩高い炭化水素基を示す。
X1及びX2は、好ましくは、それぞれ独立して、立体的に嵩高い炭化水素基を示す。
X1及びX2は、より好ましくは、それぞれ独立して、置換されていてもよい第2級若しくは第3級アルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルケニル基又は置換されていてもよいアリール基である。
X1及びX2は、更に好ましくは、それぞれ独立して、置換されていてもよい第2級C3−8アルキル基(例、イソプロピル基)、置換されていてもよい第3級C4−8アルキル基(例、t−ブチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルペンチル基、t−アミル基)、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基(例、1−メチルシクロヘキサン−1−イル基、アダマンチル基等)である。
X1及びX2は、特に好ましくは、t−ブチル基である。
Y−は、求核性がないか、又は求核性が低い対アニオンを示し、好ましくは、例えば、置換されていてもよいアルキルスルホナート、置換されていてもよいアリールスルホナート、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、テトラフェニルボラート、およびアルセナートからなる群より選択される対アニオンである。
Y−は、より好ましくは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−4アルキルスルホナート(例、トリフルオロメタンスルホナート)、ペルクロラート、またはテトラフルオロボラートであり、特に好ましくは、トリフルオロメタンスルホナートである。
化合物(I)としては、以下の化合物が好適である。
[化合物(IA)]
R1及びR2が、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1−6アルキル基であるか、又はR1及びR2が、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいモルホリノ基、置換されていてもよいチオモルホリノ基、置換されていてもよいピペリジル基若しくは置換されていてもよいピロリジル基を形成し;
Arが、置換されていてもよいC6−10アリール基であり;
X1及びX2が、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1−4アルコキシ基、置換されていてもよいフェノキシ基、置換されていてもよい第2級若しくは第3級アルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルケニル基又は置換されていてもよいアリール基であり、且つX1及びX2の少なくとも一方が、置換されていてもよい第2級若しくは第3級アルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルケニル基又は置換されていてもよいアリール基であり;ならびに
Y−が、置換されていてもよいアルキルスルホナート、置換されていてもよいアリールスルホナート、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、テトラフェニルボラート及びアルセナートからなる群より選択される対アニオンである、化合物(I)。
[化合物(IB)]
R1及びR2が、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1−6アルキル基であるか、又はR1及びR2が、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換されていてもよいモルホリノ基、置換されていてもよいチオモルホリノ基、置換されていてもよいピペリジル基若しくは置換されていてもよいピロリジル基を形成し;
Arが、置換されていてもよいC6−10アリール基であり;
X1及びX2が、それぞれ独立して、置換されていてもよい第2級若しくは第3級アルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルケニル基又は置換されていてもよいアリール基であり;ならびに
Y−が、置換されていてもよいアルキルスルホナート、置換されていてもよいアリールスルホナート、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、テトラフェニルボラート及びアルセナートからなる群より選択される対アニオンである、化合物(I)。
[化合物(IC)]
R1及びR2が、それぞれ独立して、C1−4アルキル基(例、メチル基若しくはエチル基)であるか、又はR1及びR2が、それらが結合する窒素原子と一緒になってモルホリノ基若しくはピペリジル基を形成し;
Arが、置換されていてもよいフェニル基であり;
X1及びX2が、それぞれ独立して、置換されていてもよい第2級C3−8アルキル基、置換されていてもよい第3級C4−8アルキル基又は置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基であり;ならびに
Y−が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−4アルキルスルホナートである、化合物(I)。
[化合物(ID)]
R1及びR2が、それらが結合する窒素原子と一緒になってモルホリノ基を形成し;
Arが、C1−4アルキル基又はC1−4アルコキシ基により置換されていてもよいフェニル基(例、1〜3個のメチル基又はメトキシ基により置換されていてもよいフェニル基)であり;
X1及びX2が、それぞれ独立して、イソプロピル基、t−ブチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルペンチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキサン−1−イル基又はアダマンチル基であり;ならびに
Y−が、トリフルオロメタンスルホナートである、化合物(I)。
(化合物(I)の合成)
化合物(I)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のような反応を経て合成することができる。
原料化合物は、特に述べない限り、市販品として容易に入手できるか、或いは、自体公知の方法(Hintermann, L. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2008, 47, 8246-8250; Yamada, K. et al., Chem. Eur. J., 2014, 20, 12274-12278)又はこれらに準ずる方法に従って製造することができる。
なお、以下の反応式中の各工程で得られた化合物は、反応液のままか粗生成物として次の反応に用いることもできる。あるいは、該化合物は常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの通常の分離手段により容易に精製することができる。
本発明の化合物(I)は、例えば、以下の製造方法1または2により製造することができる。
(製造方法1)
[式中、Xは、ハロゲン原子を示し、Mは、金属原子または4級アンモニウム基を示し、Yは、前記Y−に対応する基を示し、R3は、置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を示す。他の記号は、前記と同義である。]
工程1
当該工程は、塩化シアヌル(化合物(1a))の3個のクロロ基のうちの1個をX1で置換した後、更にもう1個のクロロ基をX2で置換することにより、化合物(1b)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、化合物(1a)をグリニャール試薬(X1MgX及びX2MgX)と反応させることにより行われる。
X1MgX及びX2MgXの使用量は、化合物(1a)1モルに対して、通常それぞれ1〜1.2モルである。なお、X1及びX2が同一の基である場合は、対応するグリニャール試薬を2〜2.4モル(好ましくは、2.1モル)使用すればよい。
溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテル(DME)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム(diglyme))等のエーテル類が挙げられ、中でもTHFが特に好ましい。
工程2
当該工程は、化合物(1b)のクロロ基をヒドロキシ基へと変換することにより、化合物(1c)(若しくはその互変異性体である化合物(1c’))を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、カルボン酸塩および3級アミンを用いて行われる。
カルボン酸塩および3級アミンの使用量は、化合物(1b)1モルに対して、通常1〜3モルであり、好ましくは、1〜2モルである。
カルボン酸塩としては、カルボン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩であればよく、カルボン酸の種類は問わない。具体的には、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸テトラエチルアンモニウム等が挙げられるが、実用的観点から、酢酸ナトリウムが特に好ましい。
3級アミンとしては、化合物(1b)と反応して脱水縮合能を有するトリアジニルアンモニウム塩を形成するものであればよく、具体的には、例えば、4−メチルモルホリン、メチルピペリジン、ジエチルメチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、キヌクリジン、メチルピロリジン等が挙げられ、中でも4−メチルモルホリンが特に好ましい。
溶媒としては、反応基質を溶解するものであればよく、例えば、THF等のエーテル類、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、アルコール系溶媒、水、水−アルコール系混合溶媒等が挙げられ、中でもアルコール系溶媒若しくは水−アルコール系混合溶媒が好ましい。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール(2−プロパノール)、ブタノール、tert−ブタノールが挙げられ、中でもメタノールが特に好ましい。
反応温度は、通常−30〜120℃、好ましくは0〜100℃である。
反応時間は、通常0.1〜30時間である。
工程3
当該工程は、化合物(1c)(若しくは化合物(1c’))のヒドロキシ基を置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ基または置換されていてもよいアリールスルホニルオキシ基(R3SO2−O基)へと変換することにより、化合物(1d)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、アルキルスルホニル化剤またはアリールスルホニル化剤を用いて行われ、塩基の存在下で行うのが好ましい。
該アルキルスルホニル化剤またはアリールスルホニル化剤としては、置換されていてもよいアルキルスルホン酸無水物、置換されていてもよいアルキルスルホン酸ハロゲン化物(クロリド、ブロミドまたはヨージド)、置換されていてもよいアリールスルホン酸無水物、置換されていてもよいアリールスルホン酸ハロゲン化物等が挙げられる。該アルキルスルホニル化剤またはアリールスルホニル化剤の使用量は、化合物(1c)(若しくは化合物(1c’))1モルに対して、通常1〜3モルであり、好ましくは、1〜2モルである。該アルキルスルホニル化剤またはアリールスルホニル化剤としては、トリフルオロメタンスルホニル化剤が好ましく、中でも、トルフルオロメタンスルホン酸無水物が特に好ましい。
塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(N−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン)、ピリジン、ピコリン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、テトラメチルグアニジン等の有機塩基類等が挙げられ、中でもトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が好ましい。
該塩基の使用量は、化合物(1c)(若しくは化合物(1c’))1モルに対して、通常1〜3モルであり、好ましくは、1〜2モルである。
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;1,4−ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、ジグリム等のエーテル類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類が挙げられ、中でもジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類が特に好ましい。
反応温度は、通常−30〜120℃、好ましくは0〜100℃である。
反応時間は、通常0.1〜30時間である。
工程4
当該工程は、化合物(1d)と式:
[式中の各記号は、前記と同義である。]で表されるアリールメチルアミン
との反応により、Y−が置換されていてもよいアルキルスルホナートまたは置換されていてもよいアリールスルホナートである化合物(I)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、アリールメチルアミンを用いて行われる。
該アリールメチルアミンの使用量は、化合物(1d)1モルに対して、通常1〜3モルであり、好ましくは、1〜2モルである。
溶媒としては、例えば、1,4−ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、ジグリム等のエーテル類が挙げられ、中でもテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類が好ましく、2種のエーテル類の混合溶媒(例えば、テトラヒドロフラン−ジエチルエーテル混合溶媒等)が特に好ましい。
反応温度は、通常−78〜40℃、好ましくは−40〜20℃である。
反応時間は、通常0.1〜30時間である。
工程5
当該工程は、化合物(1b)とアリールメチルアミンとの反応により、Y−が置換されていてもよいアルキルスルホナートおよび置換されていてもよいアリールスルホナート以外の求核性のない対アニオンである化合物(I)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、MY存在下、アリールメチルアミンを用いて行われる。
該アリールメチルアミンの使用量は、化合物(1b)1モルに対して、通常1〜3モルであり、好ましくは、1〜2モルである。
MYで表される反応剤におけるMは、金属原子、または4級アンモニウム基を示し、具体的には、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、金、銀等の貴金属、タリウム等の重金属、テトラメチルアンモニウム基等が挙げられ、中でも好ましくは、ナトリウムまたは銀である。
MYで表される反応剤におけるYは、前記Y−に対応する基のうち、置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ基および置換されていてもよいアリールスルホニルオキシ基以外の求核性のない基を示し、具体的には、例えば、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、テトラフェニルボラート、アルセナート等が挙げられる。
該MYの使用量は、化合物(1b)1モルに対して、通常1〜3モルであり、好ましくは、1〜2モルである。
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;1,4−ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、ジグリム等のエーテル類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;それらの混合溶媒等が挙げられ、中でもジクロロメタンが特に好ましい。
反応温度は、通常−30〜100℃、好ましくは0〜40℃である。
反応時間は、通常0.1〜30時間である。
(製造方法2)
[式中、R4は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基を示す。他の記号は、前記と同義である。]
工程6
当該工程は、塩化シアヌル(化合物(1a))の3個のクロロ基のうちの1個をX1(立体的に嵩高い炭化水素基)で置換することにより、化合物(1e)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、化合物(1a)をグリニャール試薬(X1MgX)と反応させることにより行われる。
X1MgXの使用量は、化合物(1a)1モルに対して、通常それぞれ1〜1.2モルである。
溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテル(DME)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム(diglyme))等のエーテル類が挙げられ、中でもTHFが特に好ましい。
工程7
当該工程は、化合物(1e)の2個のクロロ基のうちの1個をOR4で置換することにより、化合物(1f)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、塩基の存在下、化合物(1e)をR4OHと反応させることにより行われる。
R4OHの使用量は、化合物(1e)1モルに対して、通常1〜1.2モルである。
塩基としては、例えば、水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン(NMM)、N,N−ジメチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、テトラメチルグアニジン、1,10−フェナントロリン等の有機塩基類等が挙げられ、中でも水素化ナトリウム又は1,10−フェナントロリンが好ましい。
該塩基の使用量は、化合物(1e)1モルに対して、通常1〜1.5モルである。
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;1,4−ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、diglyme等のエーテル類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の尿素類等が挙げられ、中でもTHFが特に好ましい。
反応温度は、通常−78℃〜120℃、好ましくは−10℃〜80℃、より好ましくは0℃〜60℃である。
反応時間は、通常0.1〜30時間である。
工程8
当該工程は、化合物(1f)のクロロ基をヒドロキシ基へと変換することにより、化合物(1g)(若しくはその互変異性体である化合物(1g’))を製造する工程である。
本工程は、前記製造方法1の工程2と同様の反応条件下で行うことができる。
工程9
当該工程は、化合物(1g)(若しくは化合物(1g’))のヒドロキシ基を置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ基または置換されていてもよいアリールスルホニルオキシ基(R3SO2−O基)へと変換することにより、化合物(1h)を製造する工程である。
本工程は、前記製造方法1の工程3と同様の反応条件下で行うことができる。
工程10
当該工程は、化合物(1h)と式:
[式中の各記号は、前記と同義である。]で表されるアリールメチルアミン
との反応により、Y−が置換されていてもよいアルキルスルホナートまたは置換されていてもよいアリールスルホナートである化合物(I)を製造する工程である。
本工程は、前記製造方法1の工程4と同様の反応条件下で行うことができる。
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体等の異性体を有する場合には、いずれか一方の異性体も混合物も化合物(I)に包含される。例えば、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、ラセミ体から分割された光学異性体も化合物(I)に包含される。これらの異性体は、自体公知の合成手法、分離手法(例、濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶)によりそれぞれを単品として得ることができる。
化合物(I)は、溶媒和物であっても、無溶媒和物であってもよい。
化合物(I)はまた、同位元素(例、3H,14C等)などで標識されていてもよい。
さらに、化合物(I)は、重水素変換体であってもよい。
本発明の化合物(I)は、固体として得られ、安定で取扱いが容易であるので、以下に示すように、各種求核化合物のアリールメチル化剤、特にベンジル化剤、として有用である。
(化合物(I)を用いる求核化合物のアリールメチル化方法)
本発明の化合物(I)は、各種求核化合物(例えば、アルコール、チオール、アミン、セレノール、ホスフィン、芳香族化合物(例えば、置換されていてもよいベンゼン類、置換されていてもよいナフタレン類、置換されていてもよいアントラセン類、置換されていてもよいインドール類、置換されていてもよいピロール類等)、アミド、β−ジカルボニル化合物(例えば、β−ジケトン類、β−ケトエステル類、β−ジエステル等)等)のC−またはO−アリールメチル化剤、特にベンジル化剤として使用することができる。例えば、以下のように実施することができる。
以下に化合物(I)を用いる求核化合物のアリールメチル化方法の代表例として、アルコールのアリールメチル化方法について説明する。一方、アルコール以外の求核化合物として、アミド化合物を用いると、同様の反応条件下でアミド基の開裂反応が進行し、対応するベンジルエステル体を収率良く与えることは、後述する実験例5に記載の通りである。
[式中、Rは、置換されていてもよいアルキル基を示し、他の記号は、前記と同義である。]
アルコール類のアリールメチル化反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中、アルコール類(R−OH)を化合物(I)と反応させることにより進行する。本反応は、必要に応じて塩基存在下で行ってもよい。
当該アリールメチル化方法に使用する溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、DME、THF、ジグリム、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、またはそれらの混合溶媒が好ましく、中でもDME、ジクロロメタン又はDME−ジクロロメタン(1:1〜1:9)混合溶媒が特に好ましい。
化合物(I)の使用量は、アルコール類1モルに対して、通常1〜1.2モルであり、好ましくは、1.2モルである。
反応温度は、通常室温〜40℃であり、好ましくは40℃である。
反応時間は、通常0.1〜24時間である。
当該アリールメチル化方法を塩基存在下で実施する場合に使用する塩基としては、反応系中で発生する対アニオン(Y−)の共役酸を中和できるものであれば特に限定されない。該塩基の具体例としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属;酸化マグネシウム;トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、テトラメチルグアニジン等の有機塩基類等が挙げられるが、実用的観点から、炭酸水素ナトリウムまたは酸化マグネシウムが特に好ましい。
該塩基の使用量は、化合物(I)1モルに対して、通常1〜1.2モルである。すなわち、対アニオン(Y−)の共役酸の中和目的のみに使用されるので、反応条件としては中性条件である。好適な塩基である炭酸水素ナトリウムまたは酸化マグネシウムは、上記好適な溶媒には溶解しないが、アリールメチル化反応の化学収率等に影響を及ぼさない。
本発明のアリールメチル化方法によれば、DPT−BMを使用した場合と比較して、ベンジル基転位等の副反応を抑制できる(後述する実験例6の交差実験結果参照)ので、中性緩和な条件下、反応液中の化合物(I)の濃度に依らず、化学量論量の化合物(I)の使用(求核化合物1モルに対して、ほぼ1モルの化合物(I)の使用)によりアリールメチル化を収率良く行うことができる。
以下に実施例及び実験例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
反応は、Merck 60 F254 シリカゲルプレート(厚さ0.25mm)を用いて、薄層クロマトグラフィーによりモニターした。
1H及び13C−NMRスペクトルは、JEOL ECS400またはECS600を用い、重クロロホルムまたは重メタノールを溶媒として測定した。1H−NMRについてのデータは、化学シフト(δppm)、多重度(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、dd=ダブルダブレット、dt=ダブルトリプレット、brs=ブロードシングレット、sep=セプテット)、カップリング定数(Hz)、積分及び割当てとして報告する。
高分解能質量スペクトル解析(HRMS)は、JEOL JMS-SX102Aを用いて実行した。
融点(mp)測定は、柳本微量融点測定器を用いて行った。
元素分析は、Yanaco CHN Corder MT−5を用いて実行した。
分取薄層クロマトグラフィーは、Merck 60 F254 シリカゲルプレート(厚さ0.5mm)を用いて行った。フラッシュクロマトグラフィーは、関東化学株式会社(日本、東京)のシリカゲル60Nを用いて行った。
以下の実施例中の「室温」は通常約10℃ないし約30℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、収率についてはmol/mol%を、その他については重量%を示す。
以下の実施例において、化合物(I)の合成に使用した原料化合物である2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン(塩化シアヌル)は、市販品(東京化成工業株式会社製)をそのまま使用した。その他の原料化合物は、市販品をそのまま使用するか、又は自体公知の方法(Hintermann, L. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2008, 47, 8246-8250; Yamada, K. et al., Chem. Eur. J., 2014, 20, 12274-12278)若しくはこれらに準ずる方法に従って製造することができる。
(実施例1)
4−(4,6−ジ−t−ブチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(I−1))の合成
(1)2,4−ジ−t−ブチル−6−クロロ−1,3,5−トリアジンの合成
塩化シアヌル(4.18g,22.7mmol)とヨウ化銅(0.15g,0.77mmol)のテトラヒドロフラン(23 mL)溶液に、Grignard反応剤(t−ブチルマグネシウムクロリド、0.50M,91.0mL,45.4mmol)を窒素雰囲気下,0℃で滴下した。滴下終了後、4時間反応撹拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(100 mL)で希釈した後、ジエチルエーテルで抽出を行った。有機層を蒸留水で洗浄後,硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9:1)にて分離精製し、2,4−ジ−t−ブチル−6−クロロ−1,3,5−トリアジン(4.89g,収率95%)を得た。
収率95%、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.37(s,18H);
mp:55.5−55.9℃。
(2)2,4−ジ−t−ブチル−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン
(実際の化学構造は、互変異性体である4,6−ジ−t−ブチル−1,3,5−トリアジン−2−オンであることが1H−NMRデータより分かった)の合成
2,4−ジ−t−ブチル−6−クロロ−1,3,5−トリアジン(2.50g,11.0mmol)のイソプロピルアルコール/蒸留水(8:2)(37mL)混合溶液に、酢酸ナトリウム(1.81g,22.0mmol)を加え、次に0℃でN−メチルモルホリン(2.15mL,12.5mmol)を滴下した。滴下終了後、17時間撹拌し、濃縮した。得られた固体残渣を0℃の0.1M塩酸(50mL)、次いで蒸留水で洗浄し、4,6−ジ−t−ブチル−1,3,5−トリアジン−2−オン(2.17g,収率95%)を得た。
収率95%、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.34(s,9H),1.40(s,9H),12.02(brs,1H)。
(3)2,4−ジ−t−ブチル−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,3,5−トリアジンの合成
2,4−ジ−t−ブチル−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン(2.18g,10.4mmol)のジクロロメタン(35mL)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.15mL,12.5mmol)を−20℃で滴下した後に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.06mL,12.5mmol)を−20℃で滴下した。滴下終了後、15分間撹拌し、蒸留水(100mL)で希釈した後、ジクロロメタンで抽出を行った。有機層を,0.5M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)にて分離精製を行い、2,4−ジ−t−ブチル−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,3,5−トリアジン(3.23g、収率92%)を得た。
収率92%、淡黄色油状物;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.39(s,18H)。
(4)4−(4,6−ジ−t−ブチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナートの合成
2,4−ジ−t−ブチル−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,3,5−トリアジン(1.12g,3.28mmol)のジエチルエーテル(6.6mL)溶液に、N−ベンジルモルホリン(0.60mL,3.61mmol)を0℃で滴下した。滴下終了後、室温まで昇温し、15時間撹拌した後、0℃でジエチルエーテル(30mL)を加え、希釈した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで3回洗浄後、化合物(I−1)(1.48g,収率87%)を得た。
収率87%、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.30(s,18H),3.38−3.52(m,2H),4.13−4.24(m,2H),4.50−4.69(m,4H),5.22(s,2H),6.83−6.92(m,2H),7.18−7.28(m,2H),7.33−7.42(m,1H)
(実施例2)
4−(4,6−ジ−t−ブチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−ベンジルピペリジニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(I−2))の合成
実施例1の(3)で得られた2,4−ジ−t−ブチル−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,3,5−トリアジン(0.66g,1.93mmol)のジエチルエーテル(3.9mL)溶液に、N−ベンジルピペリジン(0.37mL,2.12mmol)を0℃で滴下した。滴下終了後、同温で19時間撹拌した。反応液を室温まで昇温し、7時間撹拌した後、0℃でジエチルエーテル(30mL)を加え、希釈した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで3回洗浄後、化合物(I−2)(0.89g,収率90%)を得た。
収率90%、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.31(s,18H),1.49−1.35(m,2H),1.65−1.75(m,1H),1.88−2.08(m,3H),4.33−4.46(m,2H),4.53−4.64(m,2H),5.06(s,2H),6.77−6.84(m,2H),7.16−7.25(m,2H),7.31−7.39(m,1H)。
(実施例3)
N−ベンジル−N−(4,6−ジ−t−ブチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N,N−ジメチルアンモニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(I−3))の合成
2,4−ジ−t−ブチル−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,3,5−トリアジン(0.72g,2.10mmol)のジエチルエーテル(4.2mL)溶液に、N,N−ジメチルベンジルアミン(0.21mL,2.31mmol)を0℃で滴下した。反応液を0℃で17時間撹拌後、室温まで昇温し、更に69時間撹拌した。反応液に0℃でジエチルエーテル(20mL)を加え、希釈した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで3回洗浄後、化合物(I−3)(0.77g,収率77%)を得た。
収率77%、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.35(s,18H),3.79(s,6H),5.19(s,2H),6.88−6.96(m,2H),7.21−7.30(m,2H),7.34−7.43(m,1H)。
(実施例4)
N−(4,6−ジ−t−ブチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−(p−トリルメチル)ピペリジニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(I−4))の合成
2,4−ジ−t−ブチル−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,3,5−トリアジン(0.10g,0.30mmol)のジエチルエーテル(0.60mL)溶液に、N−(p−トリルメチル)ピペリジン(0.06mL,0.33mmol)を−10℃で滴下した。滴下終了後、反応溶液を同温で36時間撹拌した後に、0℃まで昇温して8時間反応させた。ジエチルエーテル(1mL)を加え、希釈した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで3回洗浄後、化合物(I−4)(0.14g,収率87%)を得た。
収率87%、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.30(s,18H),1.27−1.48(m,2H),1.63−1.76(m,1H),1.89−2.08(m,3H),2.26(s,3H),4.31−4.44(m,2H),4.53−4.63(m,2H),5.01(s,2H),6.63−6.71(m,2H),6.96−7.03(m,2H)。
(実施例5)
4−(4−t−ブチル−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(I−5))の合成
(1)2−t−ブチル−4−クロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジンの合成
塩化シアヌル(3.13g,17.0mmol)のテトラヒドロフラン(17mL)溶液に、Grignard反応剤(t−ブチルマグネシウムブロミド、0.57M,30.7mL,17.5mmol)を窒素雰囲気下、−10℃で滴下した。滴下終了後、1時間反応させ、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)で希釈した後、エーテルで抽出を行った。抽出した有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた残渣を10mLのTHFに溶解させ、続いてナトリウムメトキシド(13.1mmol)を含むTHF懸濁液(15mL)を窒素雰囲気下、0℃で滴下した。滴下終了後、3時間反応させ、1M塩酸(15mL)で希釈した後,酢酸エチルで抽出を行った。抽出した有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた油状残渣を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=99:1)にて分離精製を行った。2−t−ブチル−4−クロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン(3.78g,2段階収率71%)を得た。
収率71%、無色油状物;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.37(s,9H),4.09(s,3H);
13C−NMR(100MHz,CDCl3);δ 28.56,39.76,55.73,171.28,171.99,190.12;
HRMS(DART):計算値(C8H13Cl1N3O1(M+H+)):202.0747;実測値:202.0767。
(2)2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジンの合成
2−t−ブチル−4−クロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン(1.62g,5.09mmol)の2−プロパノール/蒸留水(8:2)(17mL)混合溶液に、酢酸ナトリウム(0.84g,10.2mmol)を加え、次にN−メチルモルホリン(0.62mL,5.60mmol)を滴下した。滴下終了後、1時間撹拌し、濃縮した。得られた固体残渣を0℃の0.1M塩酸(20mL)、次いで蒸留水で洗浄し、2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン(0.63g,収率67%)を得た。
収率67%、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.34(s,1H),1.42(s,8H),4.05(s,3H),12.02(br s,1H)。
(3)2−t−ブチル−4−メトキシ−6−トリフルオロメタンスルホニロキシ−1,3,5−トリアジンの合成
2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン(0.60g,3.27mmol)のジクロロメタン(11mL)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.68mL,3.93mmol)を−20℃で滴下し、次にトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.65mL,3.93mmol)を−20℃で滴下した。滴下終了後、20分間撹拌し,蒸留水(40mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を、0.1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムをで乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9:1)にて分離精製し、2−t−ブチル−4−メトキシ−6−トリフルオロメタンスルホニロキシ−1,3,5−トリアジン(0.95g,収率92%)を得た。
収率92%、淡黄色油状物;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.38(s,9H),4.12(s,3H)。
(4)4−(4−t−ブチル−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(I−5))の合成
2−t−ブチル−4−メトキシ−6−トリフルオロメタンスルホニロキシ−1,3,5−トリアジン(0.14g,0.45mmol)のジエチルエーテル(0.9mL)溶液に、N−ベンジルモルホリン(0.08mL,0.50mmol)を−15℃で滴下した。滴下終了後、30分間撹拌した。反応溶液を0℃まで昇温し、14.5時間撹拌後、0℃でジエチルエーテル(2 mL)を加え、希釈した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで3回洗浄し、化合物(I−5)(0.13g,収率60%)を得た。
収率60%、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.19(s,9H),3.49−3.62(m,2H),4.10−4.18(m,2H),4.19(s,3H),4.36−4.49(m,2H),4.51−4.61(m,2H),5.16(s,2H),6.98−7.06(m,2H),7.23−7.31(m,2H),7.34−7.43(m,1H)。
(実施例6)
N−ベンジル−N−(4,6−ジ−フェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N,N−ジメチルアンモニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(I−6))の合成
(1)2−ヒドロキシ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンの合成
2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(0.15g,0.56mmol)のアセトニトリル/蒸留水(7:3)(3.7mL)混合溶液に、ギ酸ナトリウム(0.08g,1.12mmol)を加え、次に、N−(1−オクチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イルメチル)−N,N−ジメチルアミン(0.03mg,0.17mmol)のアセトニトリル溶液(1.9mL)を滴下した。滴下終了後、14時間撹拌し、濃縮した。得られた固体残渣を0℃の0.1M塩酸(20 mL)、次いで蒸留水で洗浄した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=9:1)で2回精製し、2−ヒドロキシ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(0.62g,収率55%)を得た。
収率55%、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.49−7.60(m,4H),7.61−7.71(m,2H),8.04−8.13(m,4H)。
(2)N−ベンジル−N−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N,N−ジメチルアンモニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(I−6))の合成
2−ヒドロキシ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(0.08g,0.31mmol)のジクロロメタン/1,4−ジオキサン(7:3)(3.1mL)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.11mL,0.62mmol)を−20℃で滴下し、次にトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.01mL,0.62mmol)を−20℃で滴下した。滴下終了後、38.5時間撹拌し、反応溶液を蒸留水(30mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を0.1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮し、固体残渣を得た。得られた固体残渣を重クロロホルム(1.0mL)に溶解し、窒素雰囲気下、N−ベンジルモルホリン(0.02g,0.11mmol)と内部標準物質[n−エイコサン(0.03g,0.11mmol)]の重クロロホルム(0.5mL)溶液を−20℃で滴下した。反応溶液を同温で4.5時間撹拌後、反応溶液を一部採取し、1H−quantitative NMR(定量NMR;以下、qNMRという。)により、化合物(I−6)(収率12%、2段階での収率)を同定・定量した。
(実施例7)
4−(4−t−ブチル−6−フェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(I−7))の合成
(1)2−t−ブチル−4−フェノキシ−1,3,5−トリアジンの合成
塩化シアヌル(2.32g,12.6mmol)とヨウ化銅(0.13g,0.63mmol)のテトラヒドロフラン(43mL)溶液に、Grignard反応剤(t−ブチルマグネシウムクロリド、0.63M,20.0mL,12.6mmol)を窒素雰囲気下、0℃で滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)で希釈した後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮し、油状残渣を得た。得られた油状残渣をジクロロメタン(14mL)に溶解し、窒素雰囲気下、フェノール(1.19g,12.6mmol)のジクロロメタン溶液(3mL)、続いてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.21mL,12.6mmol)を0℃で滴下した。反応溶液を同温で1.5時間撹拌後、室温まで昇温した。更に、フェノール(0.56g,6.30mmol)のジクロロメタン溶液(3mL)とN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.11mL,6.30mmol)を窒素雰囲気下、室温で滴下し、1.5時間反応させた。反応溶液を0℃に冷却後、0.1M塩酸(50mL)を加え、ジクロロメタンで抽出をした。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=19:1)にて分離精製し、更にヘキサンから再結晶し、2−t−ブチル−4−フェノキシ−1,3,5−トリアジン(1.83g,二段階での収率55%)を得た。
収率55%(2段階での収率)、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.33(s,9H),7.14−7.23(m,2H),7.27−7.33(m,1H),7.39−7.48(m,2H)。
(2)2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−6−フェノキシ−1,3,5−トリアジンの合成
2−t−ブチル−4−クロロ−6−フェノキシ−1,3,5−トリアジン(1.09g,4.12mmol)の2−プロパノール/蒸留水(8:2)(13mL)混合溶液に、酢酸ナトリウム(0.63g,8.25mmol)を加えた後に、N−メチルモルホリン(0.50mL,4.53mmol)を滴下した。滴下終了後、15分間撹拌し、濃縮した。得られた固体残渣を0℃の0.1M塩酸(50mL)、次いで蒸留水で洗浄し、2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−6−フェノキシ−1,3,5−トリアジン(0.95 g,収率94%)を得た。
収率94%、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.30(s,1H),1.40(s,8H),7.14−7.31(m,3H),7.35−7.45(m,2H)。
(3)2−t−ブチル−4−フェノキシ−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,3,5−トリアジンの合成
2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−6−フェノキシ−1,3,5−トリアジン(0.71g,2.87mmol)のジクロロメタン(9.6mL)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.59mL,3.45mmol)を−20℃で滴下し、次にトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.57mL,3.45mmol)を−20℃で滴下した。滴下終了後、30分間撹拌し,0℃まで昇温して20分間反応させた。反応溶液を蒸留水(30mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を、0.1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン/酢酸エチル=9:1)にて分離精製し、2−t−ブチル−4−フェノキシ−6−トリフルオロメタンスルホニル−1,3,5−トリアジン(0.99g,収率91%)を得た。
収率91%、黄色油状物;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.35(s,9H),7.15−7.23(m,2H),7.28−7.37(m,1H),7.41−7.50(m,2H)。
(4)4−(4−t−ブチル−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナ−ト(化合物(I−7))の合成
2−t−ブチル−4−フェノキシ−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,3,5−トリアジン(0.10g,0.27mmol)のジエチルエ−テル(0.54mL)溶液に、N−ベンジルモルホリン(0.05mL,0.30mmol)を−20℃で滴下した。滴下終了後、12.5時間撹拌した。反応溶液を−10℃まで昇温し、2時間撹拌後、さらに0℃で10時間反応させた。反応溶液に0℃でジエチルエ−テル(2mL)を加えて希釈し、析出した固体をろ取し、エ−テルで3回洗浄し、化合物(I−7)(0.11g,収率73%)を得た。
収率73%、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 1.25(s,9H),3.55−3.41(m,2H),4.13−4.03(m,2H),4.37−4.26(m,2H),4.56−4.43(m,2H),5.15(s,2H),7.04−6.94(m,4H),7.57−7.28(m,6H)。
(実施例8)
N−ベンジル−N−(4,6−ジ−o−トリル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N,N−ジメチルアンモニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(I−8))の合成
(1)2−クロロ−4,6−ジ(o−トリル)−1,3,5−トリアジンの合成
t−ブチルマグネシウムクロリドに換えて、o−トリルマグネシウムクロリドを使用した以外は、実施例1の(1)と同様の方法により、2−クロロ−4,6−ジ(o−トリル)−1,3,5−トリアジンを合成した。
収率40%、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 2.75(s,6H),7.34(d,J=7.3Hz,1H),7.36(t,J=7.8Hz,1H),7.46(td,J=7.3,1.4Hz,1H),8.20(dd,J=7.8,1.4Hz,1H)。
(2)2−ヒドロキシ−4,6−ジ(o−トリル)−1,3,5−トリアジンの合成
2−クロロ−4,6−ジ(o−トリル)−1,3,5−トリアジン(2.13g,7.21mmol)の2−プロパノール/蒸留水(8:2)(71mL)混合溶液に,酢酸ナトリウム(1.20g,14.4mmol)を加え、次にN−メチルモルホリン(0.88mL,7.93mmol)を滴下した。滴下終了後、91時間撹拌し、濃縮した。得られた固体残渣を0℃の0.1M塩酸(70mL)、次いで蒸留水で洗浄し、固体を得た。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:1、続いてクロロホルム/メタノール=9:1)にて分離精製を行い、2−ヒドロキシ−4,6−ジ(o−トリル)−1,3,5−トリアジン(1.73g,収率86%)を得た。
収率86%、淡黄色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 2.68(s,6H),7.29−7.40(m,4H),7.41−7.51(m,2H),7.83−8.02(m,2H)。
(3)2,4−ジ(o−トリル)−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,3,5−トリアジンの合成
2−ヒドロキシ−4,6−ジ(o−トリル)−1,3,5−トリアジン(1.43g,5.17mmol)のジクロロメタン(17mL)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.06mL,6.20mmol)を0℃で滴下後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.00mL,6.20mmol)を0℃で滴下した。滴下終了後、1時間撹拌し、蒸留水(100mL)で希釈した後、ジクロロメタンで抽出を行った。有機層を、0.5M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9:1)にて分離精製を行い、ヘキサンから再結晶して2,4−ジ(o−トリル)−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,3,5−トリアジン(1.62g,収率76%)を得た。
収率76%、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 2.79(s,6H),7.33−7.43(m,4H),7.45−7.54(m,2H),8.26−8.35(m,2H)。
(4)N−ベンジル−N−(4,6−ジ−o−トリル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−N,N−ジメチルアンモニウム トリフルオロメタンスルホナート(化合物(I−8))の合成
2,4−ジ−o−トリル−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,3,5−トリアジン(0.10g,0.25mmol)のジエチルエーテル/テトラヒドロフラン(5:3)(0.81mL)混合溶液に、N,N−ジメチルベンジルアミン(0.03mL,0.28mmol)を−50℃で滴下した。滴下終了後、反応溶液を同温で15時間撹拌し、−15℃まで昇温して24時間反応させた。反応溶液を0℃まで昇温して8.5時間撹拌後、室温まで昇温し60時間反応させ、ジエチルエーテル(2mL)を加え、希釈した。析出した固体をろ取し、ジエチルエーテルで3回洗浄することにより、化合物(I−8)(0.06g,収率44%)を得た。
収率77%、白色固体;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 2.61(s,6H),3.88(s,6H),5.37(s,2H),7.09−7.18(m,2H),7.22−7.33(m,2H),7.34−7.47(m,5H),7.50−7.60(m,2H),8.22−8.32(m,2H)。
(実験例1)
化合物(I)(化合物(I−1))を用いるアルコール類(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)のベンジル化反応
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(0.03g,0.23mmol)、酸化マグネシウム(0.01g,0.27mmol)とモレキュラーシーブス5A(MS5A)(0.03g)のジメトキシエタン(1.13mL)溶液に、化合物(I−1)(0.14g,0.27mmol)を室温で加えた。反応溶液を40℃まで昇温し、5時間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水(2 mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=8:2、続いてヘキサン/酢酸エチル=7:3)にて分離精製を行い、油状残渣を得た。得られた油状残渣に内部標準物質としてクマリン(0.03g,0.23mmol)を加えて、1H−qNMRにより、ジエチレングリコールベンジルメチルエーテル(収率95%)を定量した。
(実験例2)
化合物(I−1)を用いるl−メントールのベンジル化反応
使用するアルコールをl−メントールに換えた以外は、実験例1と同様の方法により、l−メントールのベンジルエーテルを収率91%で得た。
(実験例3)
化合物(I−5)を用いるジエチレングリコールモノメチルエーテルのベンジル化反応
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(0.02g,0.14mmol)、酸化マグネシウム(0.01g,0.17mmol)とモレキュラーシーブス5A(0.02g)のジメトキシエタン(0.71mL)溶液に、化合物(I−5)(0.08g,0.17mmol)を室温で加えた。反応溶液を40℃まで昇温し、9.5時間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水(1mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=8:2、続いてヘキサン/酢酸エチル=7:3)にて分離精製を行い、油状残渣を得た。得られた油状残渣に内部標準物質としてクマリン(0.02g,0.14mmol)を加えて、1H−qNMRにより、ジエチレングリコールベンジルメチルエーテル(収率89%)を定量した。
(実験例4)
化合物(I−7)を用いるジエチレングリコールモノメチルエーテルのベンジル化反応
ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル(0.01g,0.12mmol)、酸化マグネシウム(0.01g,0.15mmol)とモレキュラ−シ−ブス5A(0.02g)のジメトキシエタン(0.61mL)溶液に、化合物(I−7)(0.08g,0.15mmol)を室温で加えた。反応溶液を40℃まで昇温し、8.5時間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水(1mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン/酢酸エチル=8:2、続いてヘキサン/酢酸エチル=7:3)にて分離精製を行い、油状残渣を得た。得られた油状残渣に内部標準物質としてクマリン(0.02g,0.12mmol)を加えて、1H−qNMRにより、ジエチレングリコ−ルベンジルメチルエ−テル(収率85%)を定量した。
(実験例5)
化合物(I−1)を用いる2−プロピルペンタンアミドの開裂反応
2−プロピルペンタンアミド(0.03g,0.20mmol)とモレキュラ−シ−ブス5A(0.03g)のジメトキシエタン(1.00mL)溶液に、化合物(I−1)(0.12g,0.24mmol)を室温で加えた。反応溶液を40℃まで昇温し、4時間撹拌後、濃縮した。得られた固体残渣にジメトキシエタン/蒸留水(1:1)(4.0mL)混合溶液を加えて16.5時間撹拌後、酢酸エチル(3.0mL)で希釈・抽出した。有機層を、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた固体残渣をカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン/ジエチルエ−テル=19:1)にて分離精製を行い、2−プロピルペンタン酸ベンジル(0.04g,収率78%)を得た。
収率78%、無色油状物;
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 0.88(t,J=7.0Hz,6H),1.28(tq,J=7.0,7.0Hz,4H),1.36−1.50(m,2H),1.54−1.70(m,2H),2.42(tt,J=8.9,4.0Hz,1H),5.12(s,2H),7.28−7.41(m,5H)。
(実験例6)
交差実験(公知のDPT−BMと共存させた場合に、本願発明の化合物のトリアジン環の窒素原子へのベンジル基の転位が起こらないことを示す実験)
4,6−ジ−t−ブチル−1,3,5−トリアジン−2−イル−モルホリン(0.03g,0.10mmol)の重クロロホルム(1mL)溶液に、4−(4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−ベンジルモルホリニウム トリフルオロメタンスルホナート(DPT−BM)(0.06g,0.10mmol)を室温で加えた。反応溶液を同温で14時間撹拌後、1H−NMR測定を行い、DPT−BMのベンジル基が、4,6−ジ−t−ブチル−1,3,5−トリアジン−2−イル−モルホリンと4,6−ジフェノキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル−モルホリンに転位した比率を求めた。
その結果、4,6−ジ−t−ブチル−1,3,5−トリアジン−2−イル−モルホリンのトリアジン環窒素原子へのベンジル基の転位は殆ど進行せず、DPT−BMのトリアジン環窒素原子への転位が一方的に進行することが分かった。
以上の結果より、化合物(I)をアリールメチル化剤として使用することにより、DPT−BMの課題であったベンジル基の分子内転位等の副反応を顕著に抑制することが出来るので、化学量論量(求核化合物1モルに対して、1モル)の化合物(I)の使用により中性緩和な条件下で求核化合物のアリールメチル化反応が収率良く進行することが分かった。