JP2013154282A - 光触媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】可視光照射による空気浄化や抗菌、抗ウイルス等の光触媒活性が良好に発現し、さらに長期使用後でも膜物性が低下することがほとんどない光触媒体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂基材上に、光触媒物質に金属化合物が担持されている光触媒粒子を含有する光触媒層を有し、前記光触媒層の前記樹脂基材側から前記光触媒層の表面側に向かって、連続的または段階的に前記光触媒粒子の単位体積当たりの含有量が増加する、光触媒体およびその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、光触媒体およびその製造方法に関し、特に可視光照射によって空気浄化や抗菌、抗ウイルス等の光触媒活性が良好に発現し、さらに長期使用後にも光触媒層の物性が低下することがほとんどない光触媒体およびその製造方法に関する。
光触媒として、紫外線照射下で活性を発現する酸化チタンなどが広く知られているが、近年、住宅内部など紫外線照射量が少ない環境下での利用を目的として、可視光照射下で活性を発現する可視光応答型光触媒材料として、窒素ドープ酸化チタンや硫黄ドープ酸化チタン、酸化タングステンなどが見出されてきた。しかし、これらの可視光応答型光触媒は、可視光活性を有するものの、まだ十分な光触媒活性を得ることはできていなかった。この問題を解決するために、金属イオンをドープした酸化チタン表面に銅二価塩や鉄三価塩を担持した光触媒が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような光触媒を得るためには、高温での加熱焼成が必要であり、樹脂基材上に直接光触媒膜を形成することは困難であった。
一方、基材上に金属有機化合物を塗布した後、波長400nm以下のレーザー光を照射することで、高温での加熱焼成を行うことなく金属酸化物薄膜を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−104913号公報 特開2001−31417号公報
上記特許文献1の光触媒は、可視光活性が高いものの、樹脂基材上に光触媒層を形成するために、一度形成した光触媒粒子とバインダとの混合液を塗布、乾燥する必要がある。この方法では、生産性が低下するだけでなく、バインダに埋もれた光触媒粒子は有効に働かず、却って長時間の光照射により光触媒層が劣化し、基材からの膜はがれが起こりやすいことがわかった。
また、特許文献2の方法では、光触媒活性が高い光触媒体として金属化合物を担持させた光触媒を含む光触媒層を形成するために、複数の有機金属化合物を混合、塗布した後、波長400nm以下のレーザー光を照射している。しかし、この方法では、複数金属の混合酸化物粒子が出来るだけで、所望の金属酸化物を担持させた光触媒を含む光触媒層を形成することは出来ず、十分な光触媒活性が得られないという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、可視光照射による空気浄化や抗菌、抗ウイルス等の光触媒活性が良好に発現し、さらに長期使用後でも膜物性が低下することがほとんどない光触媒体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を積み重ねた。その結果、驚くべきことに、樹脂基材上に、光触媒物質に金属化合物が担持されている光触媒粒子を含有する光触媒層を有し、前記光触媒層の前記樹脂基材側から前記光触媒層の表面側に向かって、連続的または段階的に前記光触媒粒子の単位体積当たりの含有量が増加する、光触媒体により、上記課題が解決され得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.樹脂基材上に、光触媒物質に金属化合物が担持されている光触媒粒子を含有する光触媒層を有し、前記光触媒層の前記樹脂基材側から前記光触媒層の表面側に向かって、連続的または段階的に前記光触媒粒子の単位体積当たりの含有量が増加する、光触媒体。
2.前記光触媒粒子の単位体積当たりの含有量の増加は連続的である、上記1.に記載の光触媒体。
3.前記光触媒層が、フッ素ポリマーおよびケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種のバインダを含む、上記1.または2.に記載の光触媒体。
4.樹脂基材上に光触媒層を有する光触媒体の製造方法であって、金属酸化物および有機金属化合物を混合し混合液を調製する工程と、前記混合液を前記樹脂基材上に塗布し乾燥して塗膜を得る工程と、前記塗膜に波長200nm以下の真空紫外光を照射する工程と、を含む、光触媒体の製造方法。
5.前記混合液が、フッ素ポリマーおよびケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種のバインダを含む、上記4.に記載の製造方法。
6.前記金属酸化物が光触媒物質であり、前記有機金属化合物が前記光触媒物質上に担持される金属化合物の前駆体である、上記4.または5.に記載の製造方法。
7.上記1.〜3.のいずれか1つに記載の光触媒体、または上記4.〜6.のいずれか1つに記載の製造方法により得られる光触媒体を設けた、電子デバイス。
本発明によれば、可視光照射による空気浄化や抗菌、抗ウイルス等の光触媒活性が良好に発現し、さらに長期使用後でも膜物性が低下することがほとんどない光触媒体およびその製造方法が提供されうる。
実施例2で得られた光触媒体2の光触媒層中の酸化鉄の含有量を、XPS法により測定した結果を示すグラフである。
本発明は、樹脂基材上に、光触媒物質に金属化合物が担持されている光触媒粒子を含有する光触媒層を有し、前記光触媒層の前記樹脂基材側から前記光触媒層の表面側に向かって、連続的または段階的に前記光触媒粒子の単位体積当たりの含有量が増加する、光触媒体である。
上記のような光触媒層を有することにより、光触媒活性の向上と長期使用後の物性低下の抑制とが両立した光触媒体が得られる。
さらに、金属酸化物および有機金属化合物を含む混合液を樹脂基材上に塗布、乾燥した後、波長200nm以下の真空紫外光を照射する工程を含む本発明の光触媒体の製造方法は、非常に生産性が高く、連続生産に適しており、かつ可視光照射による光触媒活性が良好に発現し、長期使用後でも膜物性が低下することがほとんどない光触媒体を製造することができる。
以下、本発明の光触媒体の構成について、詳細に説明する。
<光触媒層>
本発明に係る光触媒層は、光のエネルギーを吸収して活性化し超親水性や、酸化還元反応などの作用を発揮する光触媒粒子を含む。
本発明の光触媒粒子は、光触媒機能を有する光触媒物質に対して、金属化合物が担持されている構造を有する。ここで、金属化合物が担持されているとは、光触媒物質に金属化合物が原子レベルで取り込まれた状態や、金属化合物の微粒子が光触媒物質の表面に付着した状態を含む。このような光触媒物質に対して金属化合物が担持されている状態は、走査型電子顕微鏡などにより観察することができる。前記金属化合物は、前記光触媒物質に対する助触媒としての機能を有する。
本発明で用いられる光触媒物質の具体例としては、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)等が挙げられる。これらの中でも、酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型の3種の結晶構造が知られており、光触媒物質としてはアナターゼ型が好適である。なお、酸化チタンの結晶構造は、例えば、X線回折スペクトルのピーク位置に基づいて同定することができる。これら光触媒物質は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
光触媒物質は、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。合成する方法としては、例えば、硫酸チタン等を加水分解して作る方法やチタンアルコキシドを加水分解して生成するゾルゲル法などの公知の方法で製造することができる。また、後述の本発明の光触媒体の製造方法のように、光触媒物質の前駆体となる有機金属化合物に対して、波長200nm以下の真空紫外光を照射することによっても、光触媒物質を得ることができる。
本発明に係る光触媒粒子は、可視光応答型光触媒であることが好ましい。可視光応答型光触媒としては、例えば、酸化タングステン(WO)や必要に応じて窒素、硫黄等をドープした酸化チタン(TiO)等の光触媒物質の表面に、酸化白金(PtO)、酸化金(Au)、酸化鉄(Fe)、および酸化銅(CuO)からなる群より選択される少なくとも1種の金属化合物を担持させた光触媒粒子が挙げられる。
酸化チタン粒子に窒素、硫黄等をドープする方法としては、例えば、200〜700℃の温度で、酸化チタン粒子を、尿素、アミノ酸、アンモニア、硫黄担体、チオウレア、メルカプタン、デカンチオール、およびチオアセトアミドからなる群より選択される少なくとも1種の窒素化合物または硫黄化合物と接触させる方法や、前記の窒素化合物および/または硫黄化合物を酸化チタン粒子の製造工程において混合する方法等が挙げられる。
ここで、ドープとは、酸化物結晶にドープ材料が原子レベルで取り込まれた状態を表し、例えば、XPS法(X線光電子分光法)でのピークのシフトにより確認できる。
光触媒粒子中の金属化合物の含有量は、金属化合物中の金属原子が光触媒物質に対して0.01〜10質量%となる量であることが好ましく、0.05〜1.0質量%となる量であることがより好ましい。
本発明の光触媒層においては、光触媒層の前記樹脂基材側から前記光触媒層の表面側に向かって、連続的または段階的に光触媒粒子の単位体積当たりの含有量が増加する。ここで、光触媒粒子の単位体積当たりの含有量が増加するとは、光触媒粒子自体の含有量が増加する場合だけなく、光触媒粒子自体の含有量は変わらないが担持されている金属化合物の光触媒物質に対する量が増加する場合も包含する。しかしながら、光触媒機能を高め、長期使用後の膜物性の低下を抑制するという観点から、光触媒粒子自体の含有量が増加することが好ましい。光触媒粒子の単位体積当たりの含有量は、X線光電子分光法(XPSまたはESCA)により測定することができる。また、本発明の効果をより効率的に得るという観点から、光触媒粒子の単位体積当たりの含有量の増加は、連続的であることが好ましい。
本発明に係る光触媒層は、膜の接着性を維持するために、バインダを含有することが好ましい。本発明で用いられるバインダとしては、光触媒粒子が有する光触媒機能による分解速度が極めて遅いバインダが好ましい。バインダの具体的な例としては、例えば、ビニルエーテル−フルオロオレフィンコポリマー、ビニルエステル−フルオロオレフィンコポリマー、四フッ化エチレン−パーフルオロフルオロスルフォニルエトキシプロピルビニルエーテルコポリマー等のフッ素ポリマー;ポリオルガノシロキサン、ケイ酸ナトリウム、コロイダルシリカ、ポリシラザン等のケイ素化合物、酢ビ−アクリルコポリマー等が好ましく挙げられる。これらバインダは、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。これらの中でも、フッ素ポリマーおよびケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。さらに、ポリオルガノシロキサンは、光触媒層を形成する際、波長200nm以下の真空紫外光の照射と同時に結晶化が促進され、光触媒層の接着性が向上するため、より好ましい。
光触媒層中のバインダの含有量は、光触媒物質に対して0.02〜1.5質量%であることが好ましく、0.05〜0.5質量%であることがより好ましい。
該光触媒層は、必要に応じて、他の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、イソシアネート系硬化剤、メラミン系硬化剤等の塗膜接着性を向上させる硬化剤、チタンカップリング剤等の光触媒粒子の凝集防止剤などが挙げられる。
光触媒層の膜厚は、50nm〜5μmが好ましく、100nm〜1μmがより好ましい。かような膜厚の範囲であれば、光触媒活性に優れ、透明性や膜物性に優れる。
<樹脂基材>
本発明に用いられる樹脂基材としては、高い光透過性を有していれば特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。樹脂基材の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、変性ポリエステル等の二軸延伸ポリエステルフィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド(PA)樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂基材であれば、本発明に係る樹脂基材に好ましく適用することができる。なお、該樹脂基材の材料は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。さらに、該樹脂基材は、単層でもまたは2層以上の複層であってもよい。
本発明に用いられる樹脂基材には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施したり易接着層を設けたりすることができる。表面処理や易接着層については、従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理等を挙げることができる。また、易接着層としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、またはエポキシ系共重合体を含む層を挙げることができる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるために2層以上の構成にしてもよい。
樹脂基材の厚さは、特に制限されないが、5〜200μmであることが好ましく、15〜150μmであることがより好ましい。
<下引き層>
本発明の光触媒層と樹脂基材との間には、下引き層を設けることが好ましい。本発明で用いられる下引き層としては、光触媒作用により分解されないために、無機材料を用いた下引き層がより好ましい。下引き層を設けることにより、基材の耐久性が高くなるだけでなく、基材と光触媒層との接着性が高くなるため、光触媒層表面の膜物性や光取り出し効率も高くなる。
下引き層に含まれる無機材料としては、例えば、アモルファス酸化チタン、シリカ、ポリシラザン、ポリシロキサンオリゴマー等が挙げられる。これら無機材料は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。下引き層の形成方法も特に制限されず、例えば、塗布法、スパッタ法等が挙げられる。中でも、無機材料としてポリシラザンを用いた場合、光触媒層用塗布液とポリシラザンを含む下引き用塗布液とを同時重層塗布してから真空紫外光を照射することにより、下引き層の形成と光触媒層の形成とが同時に出来、接着性および生産性がより向上するため、より好ましい。
下引き層の厚さは、特に制限されないが、30〜1000nmであることが好ましい。
(光触媒体の製造方法)
本発明の光触媒体の製造方法は、光触媒層の樹脂基材側から表面側に向かって、連続的または段階的に光触媒粒子の単位体積当たりの含有量が増加するように光触媒層を形成できれば、どのような方法でも構わない。例えば、光触媒粒子の濃度が異なる塗布液を樹脂基材側から順次塗布・乾燥し積層していく方法;金属酸化物および有機金属化合物を混合し混合液を調製する工程と、前記混合液を前記樹脂基材上に塗布し乾燥して塗膜を得る工程と、前記塗膜に波長200nm以下の真空紫外光を照射する工程と、を含む方法などが挙げられる。
しかしながら、生産性が高く、連続生産に適しており、かつ可視光照射による光触媒活性が良好に発現し、長期間使用しても膜物性がほとんど劣化しない光触媒体を製造するという観点から、金属酸化物および有機金属化合物を混合し混合液を調製する工程と、前記混合液を前記樹脂基材上に塗布し乾燥して塗膜を得る工程と、前記塗膜に波長200nm以下の真空紫外光を照射する工程と、を含む製造方法が好ましい。以下、このような好ましい光触媒体の製造方法について詳細に説明する。
<混合液を調製する工程>
本工程では、金属酸化物および有機金属化合物を溶媒中で混合し、混合液を調製する。
前記金属酸化物は、光触媒機能を有する光触媒物質または前記光触媒物質上に担持される金属化合物となる物質であり、前記有機金属化合物は、光触媒機能を有する光触媒物質の前駆体または前記光触媒物質上に担持される金属化合物の前駆体となる物質である。その形態としては、(1)前記金属酸化物が前記光触媒物質であり、前記有機金属化合物が前記金属化合物の前駆体である形態、(2)前記有機金属化合物が前記光触媒物質の前駆体であり、前記金属酸化物が前記金属化合物である形態が挙げられる。
上記(1)の形態で用いられる光触媒物質となる金属酸化物の具体例としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン等が挙げられる。また、上記(1)の形態で用いられる金属化合物の前駆体となる有機金属化合物の具体例としては、例えば、ナフテン酸鉄、アセチルアセトン鉄、2−エチルヘキサン酸鉄などの有機鉄化合物、ビス[(S)−2−ヒドロキシプロピオン酸]銅(II)、銅エトキシドなどの有機銅化合物等が挙げられる。
上記(2)の形態で用いられる、光触媒物質の前駆体となる有機金属化合物の具体例としては、例えば、オルトチタン酸テトラエチル、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンラクテート、チタンテトラアセチルアセトネート等の有機チタン化合物、タングステン(V)イソプロピルオキシド、タングステン(V)エトキシドなどの有機タングステン化合物等が挙げられる。また、上記(2)の形態で用いられる金属化合物となる金属酸化物の具体例としては、例えば、酸化白金(PtO)、酸化金(Au)、酸化鉄(Fe)、および酸化銅(CuO)からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
これらの形態のうち、光触媒物質への金属化合物の担持がより均一になり、より高い光触媒性能が得られるという観点から、(1)の形態が好ましい。
混合液の溶媒としては、例えば、トルエン、ヘキサン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなどのアルコ−ル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピルなどのエステル類等が挙げられる。
上記(1)の形態の場合、混合液中の金属酸化物の濃度は、30〜80質量%であることが好ましく、混合液中の有機金属化合物の濃度は、0.00003〜0.08質量%であることが好ましい。また、上記(2)の形態の場合、混合液中の金属酸化物の濃度は、0.00003〜0.08質量%であることが好ましく、混合液中の有機金属化合物の濃度は、30〜80質量%であることが好ましい。
バインダを有する光触媒層を得る場合には、前記混合液にバインダを添加する。バインダの具体例は、上記と同様であるので、ここでは説明を省略する。
また、上記のような製造方法においては、金属酸化物の結晶性が低いほうが、最終的に得られる光触媒粒子中の光触媒物質と金属化合物との結合性や、光触媒層の基材への接着性が向上するため、より好ましい。
<混合液を樹脂基材上に塗布し乾燥する工程>
本工程では、上記工程で調製した混合液を樹脂基材上に塗布し、乾燥する。これにより、混合液中の固形分からなる塗膜が得られる。
塗布方法は、特に制限されず、例えば、ナチュラルコーター、ナイフベルトコーター、フローティングナイフ、ロールコート、エアーナイフコート、ナイフオーバーロール、ナイフオンブランケット、スプレー、ディップ、キスロール、スクイーズロール、リバースロール、エアブレード、カーテンフローコーター、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、スピンコーター、ベーカーアプリケーターおよびグラビアコーター等の装置を用いる種々の塗布方法が挙げられる。
乾燥の条件も特に制限されないが、25〜200℃の温度で、5〜30分間乾燥することが好ましい。
なお、下引き層を設置する場合は、本工程の前に、予め設置しておいてもよいし、本工程において、下引き層用塗布液を前記混合液と同時重層塗布により樹脂基材上に塗布して設置してもよい。同時重層塗布の方法としては、例えば、米国特許第2,761,419号明細書、米国特許第2,761,791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。
<波長200nm以下の真空紫外光を照射する工程>
本工程では、上記で得られた塗膜に対して波長200nm以下の真空紫外光を照射する。これにより、当該塗膜が光触媒層へと変換される。
本工程は、化合物内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみによる作用により、原子の結合を直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温の条件で、光触媒層の形成を行う。本工程により、(a)有機金属化合物の酸化、(b)光触媒物質への金属化合物の担持、および(c)光触媒粒子の含有量を傾斜分布させることを同時に行うことができ、かつ生産性が高く、連続生産に適した製造方法となる。
真空紫外光としては、エキシマ光、Fレーザー等が挙げられるが、エキシマ光が好ましい。
真空紫外光の光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。Xe、Kr、Ar、Neなどの希ガスの原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は他の原子と結合して分子を作ることができる。希ガスがキセノンの場合には、
e+Xe→e+Xe
Xe+Xe+Xe→Xe +Xe
となり、励起されたエキシマ分子であるXe が基底状態に遷移するときに172nmのエキシマ光を発光する。エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。加えて、発光効率が他の希ガスよりも高いことや、大面積へ照射するためのランプを石英ガラスで作製できることから、Xeエキシマランプを好ましく使用することができる。
エネルギーの観点のみであれば、Arエキシマ光(波長126nm)が最も高いエネルギーを有する。しかしながら、Arエキシマ光は、石英ガラスでの吸収が無視できないほど大きくなるため、二酸化珪素ガラスではなく炭酸カルシウムガラスを用いる必要がある。しかし、炭酸カルシウムガラスは非常に割れやすく、大面積を照射するランプとしては製造が困難であるのが実情である。
Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。また、有機物の結合を解離させる波長の短い172nmの光のエネルギーは能力が高いことが知られている。この活性酸素や、オゾンと紫外線放射とが有する高いエネルギーによって、短時間で膜の改質を実現できる。したがって、波長185nm、254nmの発する低圧水銀ランプやプラズマ洗浄と比べて高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小、熱によるダメージを受けやすい有機材料やプラスチック基板などへの照射を可能としている。
エキシマ照射時の雰囲気としては、酸素濃度が0.001〜5体積%であることが好ましい。さらには、酸素濃度が0.01〜3体積%であると、性能が安定してより好ましい。酸素濃度が5体積%を超えると、結合の切断よりも活性酸素等を発生させる方にエネルギーを使用してしまい、0.001体積%未満に下げても、エキシマ光の照射効率は殆ど変化せず、改質効率および膜の組成制御性も変化せず、酸素を置換する時間も余計に必要となるため、生産性向上の効果が得られ難い。酸素以外のガスとしては、乾燥不活性ガスを用いることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスを用いることがより好ましい。酸素濃度の調整は、照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
ステージ温度については、熱をかけるとより反応が進みやすいため、ある程度高いことが好ましい。その場合の温度は、50℃以上でかつ樹脂基材のガラス転移点(Tg)+80℃以下の温度範囲が好ましく、50℃以上でかつ樹脂基材のTg+30℃以下の温度範囲が、樹脂基材を痛めずに光触媒層の反応性が良好になるため、より好ましい。
照射強度が高ければ、改質反応を短時間化することができる。また、内部まで侵入する光子の数も増加するため膜質の良化(高密度化)が可能である。但し、照射時間を長くしすぎると平面性の劣化や他の材料にダメージを与える場合がある。一般的には、照射強度と照射時間との積で表される積算光量で反応進行具合を考えるが、組成は同一でも、様々な構造形態をとる材料に於いては、照射強度の絶対値が重要になる場合もある。
積算照射エネルギーは、特に制限されないが、1000〜10000mJ/cmが好ましい。
(用途)
本発明の光触媒体は、環境浄化、脱臭、防汚、殺菌等の機能を有しており、これらの機能を必要とする用途に用いることができる。具体的には、電子デバイス、内装部材、空気清浄機などへの適用が好ましい。中でも、有機ELやLED、蛍光灯などの可視光光源を用いた電子デバイスが特に好ましい。可視光光源を用いた電子デバイスとは、照明、表示デバイス、ディスプレイなどで、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。なお、光触媒粒子の含有量の測定は、下記の方法で行った。
〔光触媒粒子の含有量測定〕
得られた光触媒層を、イオンエッチング法を用いて、表面から深さ方向にエッチングを行い、X線光電子分光分析装置(VGサイエンティフィック社製、ESCA LAB−200R)を用いて、光触媒層表面を0nmとして、10nm毎に金属化合物の量、または金属化合物が担持されている光触媒物質(光触媒粒子)の量を測定した。表面から樹脂基材までの10nm毎の測定値を平均した値に対する表面から10nmの位置の測定値の比率、および前記平均した値に対する樹脂基材から10nm手前側の測定値の比率を表1に示した。
(実施例1)
〔光触媒体の作製〕
チタンテトラ−2−エチルヘキソキシドの濃度が50質量%であるトルエン溶液に、酸化チタン(TiO)に対して鉄の割合が0.1質量%になるようにFe粒子を加え、さらにポリオルガノシロキサン(JSR株式会社製、グラスカ)をTiOに対して0.25質量%になるように加えて、光触媒層塗布液1を作製した。前記光触媒層塗布液1を、厚さ50μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム上に、乾燥後の膜厚が400nmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、150℃で10分間乾燥した後、下記の条件で真空紫外光を照射することにより、光触媒体1を作製した。
〔真空紫外光照射条件〕
実質的に水蒸気を除去し、酸素濃度が0.1体積%に維持されるように窒素と酸素とを適量供給した装置チャンバー内に、塗布液を乾燥した後の光触媒体を80℃、移動速度0.6mm/minで供給した。172nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマランプを用い、照射距離3mm、最大照度90mW/cm、積算照射エネルギー2000mJ/cmの条件でエキシマ光を照射した。このときの積算照射エネルギーの測定は、浜松ホトニクス株式会社製の紫外線積算光量計:C8026/H8025 UV POWER METERを用いた。また、測定に先立ち、Xeエキシマランプの照度を安定させるため、Xeエキシマランプ点灯後に10分間のエージング時間を設けた。
イオンエッチング法を用いたX線光電子分光分析装置(XPS法)により、光触媒体1を観察したところ、光触媒層中の酸化チタンの含有量が、樹脂基材側から光触媒層の表面側に向かって連続的に多くなっていることが確認できた。
(実施例2)
80℃の純水690mLに対して四塩化チタン水溶液(Ti含有量17.0質量%)60gを1g/minで滴下後、85℃で60分間攪拌し、得られたゾルを電気透析でpH4まで脱塩素処理を行い、さらに120℃で24時間乾燥し、酸化チタン(TiO)を作製した。作製したTiOの50質量%トルエン溶液に、TiOに対して鉄の割合が0.1質量%になるように、2−エチルヘキサン酸鉄を加え、さらにポリオルガノシロキサン(JSR株式会社製、グラスカ)をTiOに対して0.25質量%になるように加えて、光触媒層塗布液2を作製した。この光触媒層塗布液2を、PENフィルム上に乾燥後の膜厚が400nmになるように塗布し、150℃で10分間乾燥した後、光触媒体1と同様にして真空紫外光を照射して、光触媒体2を作製した。
図1は、光触媒体2の光触媒層中の酸化鉄含有量の厚み方向の変化を、上記の〔光触媒粒子の含有量測定〕(XPS法)により測定した結果を示すグラフである。図1から分かるように、酸化鉄の含有量が光触媒層の樹脂基材側から表面側に向かって連続的に多くなっていることが確認できた。
(実施例3)
PENフィルムに、下記のようなスパッタ法で予めシリカ下引き層を形成したこと以外は、実施例2と同様にして、光触媒体3を作製した。
〔シリカ下引き層形成(スパッタ法)〕
RFマグネトロンスパッタ装置を用い、純度99.9%以上のSiOターゲットを用い、さらに導入ガスはアルゴンおよび酸素を使用して、印加電力200W、13.56KHz、真空度8×10−4Pa(6×10−6Torr)、ガス圧3.07Pa(23mTorr)、ガス分配率 Ar/O=20/3、基体温度300℃の条件で、膜厚0.6μmのシリカ下引き層を作製した。
XPS法により光触媒体3を観察したところ、光触媒体2と同様に、酸化鉄の含有量が光触媒層の樹脂基材側から表面側に向かって連続的に多くなっていることが確認できた。
(実施例4)
下記のチタンアルコキシド加水分解縮合液を、乾燥時の膜厚が50nmになるようにPENフィルム上にスピンコーターを用いて塗布し、80℃で10分間乾燥して、アモルファス酸化チタンを含む下引き層を形成したこと以外は、実施例2と同様にして、光触媒体4を作製した。
(チタンアルコキシド加水分解縮合液)
エチルセロソルブ150gに、チタンテトライソプロポキシド(商品名:A−1、日本曹達株式会社製)75gを攪拌しながら滴下し、この溶液にエチルセロソルブ58g、蒸留水4.5g、60質量%濃硝酸13gを攪拌しながら滴下し、30℃で4時間攪拌することでチタンアルコキシド加水分解縮合液を得た。
XPS法により光触媒体4を観察したところ、光触媒体2と同様に、酸化鉄の含有量が光触媒層の樹脂基材側から表面側に向かって連続的に多くなっていることが確認できた。
(実施例5)
下記のポリシラザン塗布液を乾燥後の膜厚が200nmとなるようにPENフィルム上にワイヤレスバーを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥して下引き層を形成したこと以外は、実施例2と同様にして、光触媒体5を作製した。
〔ポリシラザン塗布液〕
無触媒のパーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NN120−20)と、アミン触媒を固形分で5質量%含有するパーヒドロポリシラザンの20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカ(登録商標)NAX120−20)とを、アミン触媒が固形分として1質量%になるように調製した後、総固形分量が5質量%になるようにジブチルエーテルで希釈して、ポリシラザン塗布液を作製した。
XPS法により光触媒体5を観察したところ、光触媒体2と同様に、酸化鉄の含有量が光触媒層の樹脂基材側から表面側に向かって連続的に多くなっていることが確認できた。
(実施例6)
2−エチルヘキサン酸鉄の代わりに銅エトキシドを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、光触媒体6を作製した。
XPS法により光触媒体6を観察したところ、光触媒体2と同様に、酸化銅の含有量が光触媒層の樹脂基材側から表面側に向かって連続的に多くなっていることが確認できた。
(実施例7)
ポリオルガノシロキサンの代わりに、フッ素ポリマー(旭硝子株式会社製、ルミフロン(登録商標)LF200)をTiOに対して0.1質量%を加え、さらに光触媒層塗布液2にイソシアネート系硬化剤 0.02質量%を加えたこと以外は、実施例2と同様にして、光触媒体7を作製した。
XPS法により光触媒体7を観察したところ、光触媒体2と同様に、酸化鉄の含有量が光触媒層の樹脂基材側から表面側に向かって連続的に多くなっていることが確認できた。
(実施例8)
ポリオルガノシロキサンの代わりに、酢ビ−アクリルコポリマー(DIC株式会社製、ボンコート(登録商標))を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、光触媒体8を作製した。
XPS法により光触媒体8を観察したところ、光触媒体2と同様に、酸化鉄の含有量が光触媒層の樹脂基材側から表面側に向かって連続的に多くなっていることが確認できた。
(実施例9)
ポリオルガノシロキサンを用いなかったこと以外は、実施例5と同様にして、光触媒体9を作製した。
XPS法により光触媒体9を観察したところ、光触媒体2と同様に、酸化鉄の含有量が光触媒層の樹脂基材側から表面側に向かって連続的に多くなっていることが確認できた。
(実施例10)
酸化チタン粒子としてアナターゼ型酸化チタン(石原産業株式会社製、ST−01)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、光触媒体10を作製した。
XPS法により光触媒体10を観察したところ、光触媒体2と同様に、酸化鉄の含有量が光触媒層の樹脂基材側から表面側に向かって連続的に多くなっていることが確認できた。
(実施例11)
酸化チタン(TiO)の代わりに下記のように作製した酸化タングステン(WO)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、光触媒体11を作製した。
〔酸化タングステンの作製〕
メタタングステン酸アンモニウム水溶液(日本無機化学工業株式会社製、MW−2)500gを110℃で18時間乾燥し、さらに500℃1時間焼成した後、洗浄、乾燥して酸化タングステン粒子を得た。
XPS法により光触媒体11を観察したところ、光触媒体2と同様に、酸化鉄の含有量が光触媒層の樹脂基材側から表面側に向かって連続的に多くなっていることが確認できた。
(実施例12)
アナターゼ型酸化チタン(石原産業株式会社製、ST−01)をアンモニア気流中(1SCCM)において、550℃で3時間アニールして窒素ドープ酸化チタン粒子を作製した。前記窒素ドープ酸化チタン粒子の10質量%水溶液に、FeCl・2HO(和光純薬工業株式会社製)を、TiOに対する鉄の割合が0.1質量%となるように加え、攪拌しながら90℃に加熱して1時間保持した。この水溶液を吸引濾過し、洗浄後、110℃で加熱乾燥することにより、酸化鉄が担持された酸化チタン粒子を得た。
実施例5と同様にポリシラザン塗布液を塗布、乾燥した後に、実施例1と同様に真空紫外光を照射して下引き層を形成したPENフィルム上に、前記の酸化鉄が担持された酸化チタン粒子を用いて下記処方で作製した光触媒層塗布液を、乾燥後の膜厚が100nmになるように塗布し、乾燥した。その後、下記光触媒層塗布液中の酸化チタンとポリオルガノシロキサンとの混合比率がそれぞれ5:8、8:5、および10:3(重量比)となるように作製した光触媒層塗布液を乾燥後の膜厚が各々100nmになるように順次塗布・乾燥し、合計400nmの光触媒層が形成された光触媒体12を得た。
〔光触媒層塗布液〕
酸化鉄が担持された酸化チタン 3g、ポリオルガノシロキサン(JSR株式会社製、グラスカ)10g、イソプロピルアルコール 22ml。
(比較例1)
酸化チタンとポリオルガノシロキサンとの混合比率が10:3(重量比)である光触媒層塗布液を、実施例12と同様にして下引き層を形成したPENフィルム上に乾燥後の膜厚が400nmになるように塗布し、乾燥することにより、光触媒体13を得た。
(比較例2)
オルトチタン酸テトラエチルの濃度が50質量%であるトルエン溶液を、PENフィルム上に乾燥時の膜厚が400nmになるように塗布し、150℃で10分間乾燥した後、実施例1と同様の方法で真空紫外光を照射して、光触媒体14を得た。
(比較例3)
オルトチタン酸テトラエチルの濃度が50質量%であるトルエン溶液に、TiOに対する鉄の割合が0.1質量%となるように2−エチルヘキサン酸鉄を加えたこと以外は、比較例2と同様にして、光触媒体15を作製した。
(光触媒体の評価)
光触媒性能および長期点灯後の膜安定性評価は、光触媒体上に、以下のようにして有機EL層を形成した有機EL照明装置を用いて行った。
〔有機EL層の作製〕
光触媒体の樹脂基板上(光触媒層が存在しない表面上)に、ITO(インジウムスズ酸化物:屈折率1.85)を100nmの厚さに製膜しパターニングを行った後、このITO導電性層を設けた基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製、Baytron(登録商標)P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒時の条件でスピンコート法により製膜した後、基板表面温度200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔注入層を設けた。
この基板を、窒素雰囲気下、JIS B 9920:2002に準拠して測定した清浄度がクラス100であり、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmであるグローブボックスへ移した。グローブボックス中にて下記の成分である正孔輸送層用塗布液を調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布した。この基板を、基板表面温度150℃で30分間加熱乾燥し、正孔輸送層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は20nmであった。
<正孔輸送層用塗布液>
モノクロロベンゼン 100g、ポリ−N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(ADS254BE:アメリカン・ダイ・ソース社製)0.5g。
次いで、発光層用塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、2000rpm、30秒の条件で塗布した。さらに基板表面温度120℃で30分加熱し、発光層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は40nmであった。なお、下記発光層用塗布液中の成分のうち、最も低いTgを示したのはH−Aであり、132℃であった。
<発光層用塗布液>
酢酸ブチル 100g、下記化学式(1)中のH−Aで示される化合物 1g、下記化学式(1)中のD−Aで示される化合物 0.11g、下記化学式(1)中のD−Bで示される化合物 0.002g、下記化学式(1)中のD−Cで示される化合物 0.002g。
次いで、電子輸送層用塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布した。さらに基板表面温度120℃で30分加熱し電子輸送層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は30nmであった。
<電子輸送層用塗布液>
2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール 100g、上記化学式(1)中のET−Aで示される化合物 0.75g。
次に、電子輸送層まで設けた基板を、大気曝露せずに、蒸着機に移動し4×10−4Paまで減圧した。なお、フッ化カリウムおよびアルミニウムは、それぞれタンタル製抵抗加熱ボートに入れ、蒸着機に取り付けておいた。
まず、フッ化カリウムの入った抵抗加熱ボートに通電し加熱し、基板上にフッ化カリウムからなる電子注入層を3nmの厚さで設けた。続いて、アルミニウムの入った抵抗加熱ボートに通電加熱し、蒸着速度1〜2nm/秒でアルミニウムからなる膜厚100nmの陰極を設けた。
〔光触媒性能〕
密閉容器にアセトアルデヒドガスを80〜100ppmになるように注入し、暗所で30分静置した。このあと、密閉容器内に有機EL照明装置を挿入し、23℃で24時間点灯した後のガス濃度をAとし、同様に密閉容器内で有機EL照明装置を点灯することなく23℃で24時間放置した後のガス濃度をBとした。ガス濃度AおよびBから、下記式のようにして光触媒性能を求めた。
光触媒性能(%)=(B−A)/B×100
〔長期点灯後膜安定性〕
上記光触媒性能の評価で用いたものと同様の有機EL照明装置を用いて、50℃、60%RHの条件下で720時間点灯し続けた後の光触媒層の接着性の評価を、JIS K5600−5−6(ISO2409):付着性−クロスカット法に準じて試験を行い、下記の分類に従って、5段階で評価した。数字が大きくなるほど、光触媒層のはがれが起きやすく、長期点灯後の膜物性が悪いことを示している。
各実施例および各比較例で得られた光触媒体の評価結果を表1に示す。
上記表1から明らかなように、本発明の光触媒体は、光触媒活性が良好に発現し、長期点灯後も膜物性の低下や輝度の低下がほとんど起こらない。

Claims (7)

  1. 樹脂基材上に、光触媒物質に金属化合物が担持されている光触媒粒子を含有する光触媒層を有し、
    前記光触媒層の前記樹脂基材側から前記光触媒層の表面側に向かって、連続的または段階的に前記光触媒粒子の単位体積当たりの含有量が増加する、光触媒体。
  2. 前記光触媒粒子の単位体積当たりの含有量の増加は連続的である、請求項1に記載の光触媒体。
  3. 前記光触媒層が、フッ素ポリマーおよびケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種のバインダを含む、請求項1または2に記載の光触媒体。
  4. 樹脂基材上に、光触媒層を有する光触媒体の製造方法であって、
    金属酸化物および有機金属化合物を混合し混合液を調製する工程と、
    前記混合液を前記樹脂基材上に塗布し乾燥して塗膜を得る工程と、
    前記塗膜に波長200nm以下の真空紫外光を照射する工程と、
    を含む、光触媒体の製造方法。
  5. 前記混合液が、フッ素ポリマーおよびケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種のバインダを含む、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記金属酸化物が光触媒物質であり、前記有機金属化合物が前記光触媒物質上に担持される金属化合物の前駆体である、請求項4または5に記載の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光触媒体、または請求項4〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られる光触媒体を設けた、電子デバイス。
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