JP2013153618A - 電気自動車の制御方法および制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 アクセルのONからOFFへの操作や、OFFからONへの操作によって、ローラクラッチ締結時にショックトルクと異音が生じることを防止できる電気自動車の制御方法および制御システムを提供する。
【解決手段】 モータ軸に連結された入力軸と各変速段のギヤ列との間に2ウェイ型のローラクラッチを介在させた変速機を備える電気自動車に適用する。アクセルのONからOFFへの操作時、およびOFFからONへの操作時のいずれか一方または両方の操作時に、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とする制御であるクリープ制御を行うことで、前記ローラクラッチのローラを常に駆動側に締結させる。
【選択図】 図8

Description

この発明は、電気自動車において、アクセル操作に対応するクリープ制御、および電動モータの回生制動を行う電気自動車の制御方法および制御システムに関する。
電気自動車の駆動装置として、電動モータ、変速機、および差動装置(デファレンシャル)を介し駆動輪に動力を伝達する車両用モータ駆動装置がある。変速機の変速段の切換には、例えば2ウェイ型のローラクラッチが用いられる。
この車両用モータ駆動装置を使用すると、走行条件に応じて変速機の変速比を切り換えることにより、駆動および回生時において、効率の高い回転数およびトルク領域で電動モータを使用することが可能となる。また、適切な変速比とすることで、高速走行時の変速機の回転部材の回転速度が下がり、変速機の動力損失が低減して車両のエネルギ効率を向上させることができる。このような車両用モータ駆動装置として、例えば特許文献1や特許文献2に記載のものが知られている。
特開2011−57030号公報 特開平8−168110号公報
特許文献1等に記載の車両用モータ駆動装置においては、変速切換を行う際に、変速機の目標変速段のローラクラッチ係合時、大きな変速ショックトルクと異音が生じる課題がある。特に、目標変速段の摩擦板と外輪間の当接完了時に、変速機の第2シャフトの回転数と外輪の回転数に大きな回転数差があると、大きな変速ショックトルクと異音が生じる。そこで、変速ショックトルクを低減するための変速制御方法が提案されている。
このような変速制御方法として、変速切換時の車速と選択された目標変速段の変速比に基き、電動モータの目標回転数を算出して、電動モータの目標回転数に応じて電動モータの出力を制御する技術が提案されている(例えば、特願2011−123433号)。この提案例は、トルク制御と回転数制御の二つのフィードバック制御を切り換える制御法である。
しかし、アクセルのONからOFFへの操作や、OFFからONへの操作によって、ローラクラッチ締結時にショックトルクと異音が生じるという課題がある。
この課題は、具体的には次の課題(1),(2)である。
なお、この明細書において、
正方向:電動モータを駆動する時に、ローラクラッチが締結している方向とする。
負方向:電動モータを回生する時、ローラクラッチが締結している方向とする。
回生制御方法:機械エネルギーを電気エネルギーとして吸収する目的とした制御技術である。
(1)アクセルのONからOFFへの操作や、OFFからONへの操作によって、ローラクラッチ締結時にショックトルクと異音が生じる。アクセルを踏んだ状態で、車を走らせると、ローラクラッチが正方向に締結している状態で、トルク制御により、電動モータを駆動する状態になる。その後、アクセルを抜くと現変速段のローラクラッチの締結が解除される状態になる可能性がある。一旦、現変速段のローラクラッチの締結が解除された場合、再びアクセルを踏むと、ローラクラッチが再度正方向に素早く締結するので、ショックトルクと異音が生じる。
(2)回生制御を行うためには、ローラクラッチを負方向に締結する必要となる。トルク制御方法により、ローラクラッチを負方向に締結すると、同様に締結ショックと異音が生じやすい。
この発明の目的は、アクセルのONからOFFへの操作や、OFFからONへの操作によって、ローラクラッチ締結時にショックトルクと異音が生じることを防止できる電気自動車の制御方法および制御システムを提供することである。
この発明の他の目的は、回生制動を行うときに、ローラクラッチの締結ショックと異音が生じることを防止できるようにすることである。
この発明の電気自動車の制御方法は、制御対象となる電気自動車が、互いに変速比が異なる複数の変速段のギヤ列LA,LBと、走行用の電動モータ3の出力軸であるモータ軸4に連結された入力軸7と前記各変速段のギヤ列LA,LBとの間にそれぞれ介在し断続の切換が可能な各変速段の2ウェイ型のローラクラッチ16A,16Bと、これら各ローラクラッチ16A,16Bの断続の切換を行う変速比切換機構40とを有する変速機5を備え、
前記各ローラクラッチ16A,16Bは、内輪16A,16Bと外輪23,23間に設けられた各楔状空間Sにローラ20が介在し、保持器21A,21Bにより各ローラ20を楔状空間の広がり部分に保持させることで切断状態となり、各ローラ20が楔状空間Sの狭まり部分に係合することで接続状態となる構成であり、
前記変速比切換機構40は、保持器21A,21Bに連結されて回転する摩擦板35A,35Bの外輪23,23への接触と離間とを変速切換アクチュエータ47によるシフト部材45の進退によって切り換える機構である、
電気自動車における変速制御方法において、
アクセルのONからOFFへの操作時、およびOFFからONへの操作時のいずれか一方または両方の操作時に、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とする制御であるクリープ制御を行うことで、前記ローラクラッチのローラを常に駆動側に締結させることを特徴とする。前記閾値は設計により適宜定める。
この方法によると、アクセルのON,OFF間の切り換え時に、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とするため、ローラクラッチのローラを常に駆動側に締結させることができ、そのため、ローラクラッチ締結時に生じるショックトルクと異音を低減させることができる。
この発明方法において、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回るとアクセル開度信号を前記開度閾値以上とする制御は、車両走行速度の全速度領域であって良い。この場合、常に、アクセルのON,OFF間の切り換えによってローラクラッチ締結時に生じるショックトルクと異音を低減させることができる。
この発明方法において、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とする制御につき、アクセルOFF時に回生制御を行い、回生指令トルクが回生時用の閾値を下回ると、この回生時用の閾値の負トルクを入力して、ローラクラッチのローラを常に非駆動側に締結させるようにしても良い。
この場合に、前記回生制御を実施する車速は、定められた車速以上とするのが良い。
この発明方法において、アクセル開度信号がクリープ正トルク閾値を下回って一定時間経過した後、トルク制御から回転数制御へ切換えてローラクラッチを駆動側方向から非駆動側方向へ締結させるのが良い。
この場合に、アクセル開度信号がクリープ正トルク閾値を下回って一定時間経過した後、トルク制御から回転数制御へ切換えてローラクラッチを駆動側方向から非駆動側方向へ締結させる制御につき、ローラクラッチの締結方向を切換える制御を各変速段にて行うのが良い。
このローラクラッチの締結方向を切換える制御を各変速段にて行うについては、例えば、ローラクラッチの締結方向切換時に、回転数差と制限電流、回転数制御実施時間のマップを、変速ECUのROM等のメモリに設定しておき、マップの値を用いて前記回転数制御を実施する。
この発明方法において、回生制動の開始につき、現変速段のローラクラッチが正方向から負方向へ締結した後、回転数制御からトルク制御へ切換えて回生制動を行うのが良い。
この場合に、現変速段のローラクラッチが正方向から負方向へ締結した後、回転数制御からトルク制御へ切換えて回生制動を行うにつき、現変速段のローラクラッチ締結時の制限電流または制限トルクから回生指令トルクに向けて、トルク制御にてn回補間制御し、回生指令値の信号との誤差を縮めていく追跡過程で、誤差がある閾値以内になると、n回補間制御を終了するのが良い。
この発明方法において、回生制動につき、回生指令トルクがクリープ負トルク閾値の絶対値(正)を下回ると、クリープ負トルク閾値の絶対値(正)として、締結時の制限電流からクリープ負トルク閾値の絶対値(正)への補間制御を実施しながら、回生制御を行い、回生制御中には、電動モータのq軸電流(トルク成分)の方向は負であるのが良い。
この発明方法において、回生指令トルク値に従い回生制御実施中、アクセル開度信号が(クリープ正トルク閾値+閾値トルクA)を上回った状態で一定時間経過した場合に、回生制御を停止するのが良い。
この場合に、回生指令トルク値に従い回生制御実施中、アクセル開度信号が(クリープ正トルク閾値+閾値トルクA)を上回った状態で一定時間経過した場合に、回生制御を停止するにつき、一定時間に、アクセル開度信号が(クリープ正トルク+閾値トルクA)を上回った場合に、一定時間をリセットし、アクセル信号が(クリープ正トルク+ 閾値トルクA)を上回った時点から待ち時間を数え始めるのが良い。
この発明方法において、回生指令トルク値に従って回生制御を実施中に、車速が一定車速を下回った場合に、直ちに回生制御を停止するのが良い。
この発明方法において、回生制御の停止後、回生指令トルクから締結時の制限電流または制限トルクに向けて、トルク制御にて、n回補間制御を実施するのが良い。
この場合に、n回補間制御の完了後、トルク制御から回転数制御へ切換時に、変速ECUのROM等のメモリに設定された回転数差と制限電流、回転数制御実施時間のマップの値を用いて回転数制御を実施するのが良い。
この場合に、上記回転数制御の完了後、回転数制御からトルク制御へ切換え、現変速ローラクラッチの締結の制限電流または制限トルクからアクセル開度信号に向け、n回補間制御を実施するのが良い。
この発明方法において、車両の電源を起動時および停車時に、シフト操作部材のシフトレンジ信号に基づいてローラクラッチをトルク制御により、駆動側または非駆動側の楔空間に締結させる制御において、前回のシフト操作部材のシフトレンジに応じて、予め変速ECUのROM等のメモリに設定された制御トルクと制限時間のデータを取込み、数段階に分けて前記クリープ制御を実施するのが良い。
この発明方法において、シフト操作部材のシフトレンジがドライブレンジの場合、現変速段のローラクラッチを駆動側楔空間に締結させ、電動モータのq軸電流(トルク成分)の方向は正であるのがよい。
この発明方法において、シフト操作部材のシフトレンジがリバースレンジの場合、現変速段のローラクラッチを非駆動側楔空間に締結させ、電動モータのq軸電流(トルク成分)の方向は負であるのが良い。
この発明の電気自動車の制御システムは、制御対象となる電気自動車が、互いに変速比が異なる複数の変速段のギヤ列LA,LBと、走行用の電動モータ3の出力軸であるモータ軸4に連結された入力軸7と前記各変速段のギヤ列LA,LBとの間にそれぞれ介在し断続の切換が可能な各変速段の2ウェイ型のローラクラッチ16A,16Bと、これら各ローラクラッチ16A,16Bの断続の切換を行う変速比切換機構40とを有する変速機5を備え、
前記各ローラクラッチ16A,16Bは、内輪18A,18Bと外輪23,23間に設けられた各楔状空間Sにローラ20が介在し、保持器21A,21Bにより各ローラ20を楔状空間の広がり部分に保持させることで切断状態となり、各ローラ20が楔状空間Sの狭まり部分に係合することで接続状態となる構成であり、
前記変速比切換機構40は、保持器21A,21Bに連結されて回転する摩擦板35A,35Bの外輪23,23への接触と離間とを変速切換アクチュエータ47によるシフト部材45の進退によって切り換える機構である、
電気自動車における制御システムにおいて、
アクセルのONからOFFへの操作時、およびOFFからONへの操作時のいずれか一方または両方の操作時に、ローラクラッチ16A,16Bの締結時に生じるショックトルクと異音を低減させるために、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とすることで、前記ローラクラッチ16A,16Bのローラ20を常に駆動側に締結させるクリープ制御手段81を設けたことを特徴とする。
この構成によると、アクセルのON,OFF間の切り換え時に、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とするため、ローラクラッチ16A,16Bのローラ20を常に駆動側に締結させることができ、そのため、ローラクラッチ16A,16Bの締結時に生じるショックトルクと異音を低減させることができる。
この発明システムにおいて、前記クリープ制御手段81は、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が開度閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記開度閾値以上とする制御を、車両走行速度の全速度領域で行うのが良い。
この発明システムにおいて、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とする制御につき、アクセルOFF時に回生制御を行い、回生指令トルクが回生時用の閾値を下回ると、この回生時用の閾値の負トルクを入力して、ローラクラッチ16A,16Bのローラ20を常に非駆動側に締結させる回生時制御手段83を設けることが好ましい。
この発明システムにおいて、前記クリープ制御手段81は、アクセル開度信号がクリープ正トルク閾値を下回って一定時間経過した後、トルク制御から回転数制御へ切換えてローラクラッチ16A,16Bを駆動側方向から非駆動側方向へ締結させるのが良い。
この場合に、前記クリープ制御手段81は、アクセル開度信号がクリープ正トルク閾値を下回って一定時間経過した後、トルク制御から回転数制御へ切換えてローラクラッチを駆動側方向から非駆動側方向へ締結させる制御につき、ローラクラッチ16A,16Bの締結方向を切換える制御を各変速段にて行うのが良い。
この発明の電気自動車の制御方法は、互いに変速比が異なる複数の変速段のギヤ列と、走行用の電動モータの出力軸であるモータ軸に連結された入力軸と前記各変速段のギヤ列との間にそれぞれ介在し断続の切換が可能な各変速段の2ウェイ型のローラクラッチと、これら各ローラクラッチの断続の切換を行う変速比切換機構とを有する変速機を備え、前記各ローラクラッチは、内輪のカム面と外輪間に設けられた各楔状空間にローラが介在し、各ローラが楔状空間の狭まり部分に係合することで接続状態となり、保持器により各ローラを楔状空間の広がり部分に位置させることで切断状態となる構成であり、前記変速比切換機構は、保持器に連結されて回転する摩擦板の外輪への接触と離間とを変速切換アクチュエータによるシフト部材の進退によって切り換える機構である、電気自動車における制御方法において、
アクセルのONからOFFへの操作時、およびOFFからONへの操作時のいずれか一方または両方の操作時に、ローラクラッチ締結時に生じるショックトルクと異音を低減させるために、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とする制御であるクリープ制御を行うことで、前記ローラクラッチのローラを常に駆動側に締結させるため、アクセルのONからOFFへの操作や、OFFからONへの操作によって、ローラクラッチ締結時にショックトルクと異音が生じることを防止できる。
この発明方法において、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とする制御につき、アクセルOFF時に回生制御を行い、回生指令トルクが回生時用の閾値を下回ると、この回生時用の閾値の負トルクを入力して、ローラクラッチのローラを常に非駆動側に締結させるようにした場合は、回生制御を行うときに、ローラクラッチの締結ショックと異音が生じることを防止できる。
この発明の電気自動車の制御システムは、この発明方法と同じ制御対象の電気自動車を制御する制御システムであって、アクセルのONからOFFへの操作時、およびOFFからONへの操作時のいずれか一方または両方の操作時に、ローラクラッチ締結時に生じるショックトルクと異音を低減させるために、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とすることで、前記ローラクラッチのローラを常に駆動側に締結させるクリープ制御手段を設けたため、アクセルのONからOFFへの操作や、OFFからONへの操作によって、ローラクラッチ締結時にショックトルクと異音が生じることを防止できる。
この発明システムにおいて、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とする制御につき、アクセルOFF時に回生制御を行い、回生指令トルクが回生時用の閾値を下回ると、この回生時用の閾値の負トルクを入力して、ローラクラッチのローラを常に非駆動側に締結させるようにした場合は、回生制御を行うときに、ローラクラッチの締結ショックと異音が生じることを防止できる。
この発明の一実施形態に係る制御方法,制御システムを適用する電気自動車の概略図である。 同実施形態に係る制御方法,制御システムを適用するハイブリッド車の概略である。 図1,図2に示す車両の車両用モータ駆動装置の断面図である。 同車両用モータ駆動装置の減速比切換機構の断面図である。 同制御システムの概略ブロック図である。 同車両用モータ駆動装置のインバータ装置の構成図である。 同電気自動車のレバー操作パネルの説明図である。 同制御方法におけるレバー操作に伴うクリープ制御についてのフローチャートである。 同車両用モータ駆動装置のインバータ制御装置のブロック図である。 同制御方法,制御システムにおけるクリープ制御と回生制御の特性図である。 同電気自動車の制御システムの概念構成のブロックである。 図4の一部の拡大断面図である。 図4のXIII -XIII線に沿った断面図である。 図4のXIV-XIV 線に沿った断面図である。 図4のXV-XV 線に沿った断面図である。 同車両用モータ駆動装置のシフト機構を示す断面図である。 図4の減速比切換機構におけるローラクラッチ等の分解斜視図である。
以下、この発明の実施形態にかかる電気自動車の変速制御方法を説明する。図1は、左右一対の前輪1を車両用モータ駆動装置Aで駆動される駆動輪とし、左右一対の後輪2を従動輪とした電気自動車EVを示す。
図2は、左右一対の前輪1をエンジンEによって駆動される主駆動輪とし、左右一対の後輪2を車両用モータ駆動装置Aで駆動される補助駆動輪としたハイブリッド自動車HVを示す。ハイブリッド自動車HVには、エンジンEの回転を変速するトランスミッションTと、トランスミッションTから出力された回転を左右の前輪1に分配するディファレンシャルDとが設けられている。この実施形態の変速制御方法および変速制御装置は、図1,図2の車両用モータ駆動装置Aに適用される。
図3に示すように、車両用モータ駆動装置Aは、走行用の電動モータ3と、電動モータ3の出力軸4の回転を変速して出力する変速機5と、その変速機5から出力された回転を図1に示す電気自動車EVの左右一対の前輪1に分配し、または、図2に示すハイブリッド車の左右一対の後輪2に分配するディファレンシャル6とを有する。
変速機5は、変速段数が2段であって、図3に示すように、互いに変速比が異なる複数(この例では2列)の変速段のギヤ列LA,LBと、電動モータ3の出力軸であるモータ軸4に連結された入力軸7と前記各変速段のギヤ列LA,LBにそれぞれ介在し断続の切換が可能な各変速段の2ウェイ型のローラクラッチ16A,16Bと、これら各ローラクラッチ16A,16Bの断続の切換を行う変速比切換機構40とを有する。
変速機5および変速比切換機構40については、ここでは変速制御方法・装置の理解に必要な範囲で簡単に説明し、変速制御方法・装置の説明の後に、詳細に説明する。
変速機5は、モータ軸4の回転が入力される入力軸7と、入力軸7に対して間隔をおいて平行に配置された出力軸8と、上記各ギヤ列LA,LBとを有する平行軸常時噛合型変速機である。1速ギヤ列LAの入力ギヤ9Aおよび2速ギヤ列LBの入力ギヤ9Bが入力軸に一体に設けられ、1速ギヤ列LAの出力ギヤ10Aおよび2速ギヤ列LBの出力ギヤ10Bが出力軸8の外周に回転自在に設置されている。これら各出力ギヤ10A,10Bと出力軸8の間に、前記ローラクラッチ16A,16Bが介在させてある。
各ローラクラッチ16A,16Bは、図17に示す2速のローラクラッチ16Bの例で説明するように、外周面が多角形状とされた内輪18Bの外周の平面状の各カム面19と外輪23の内周の円筒面間に設けられた各楔状空間Sにローラ20が介在する。楔状空間Sは、円周方向の両側が狭まり、円周方向の中央が広がり部分となる。各ローラクラッチ16A,16Bは、各ローラ20が楔状空間Sの狭まり部分に係合することで接続状態となり、保持器21Bにより各ローラ20を楔状空間Sの広がり部分に位置させることで切断状態となる構成である。
外輪23は、外周部が前記出力ギヤ10A,10Bとされている。内輪18A,18Bは、スプライン等により出力軸8に対して相対回転不能に設けられる。円滑な相対回転、つまり空転を可能とするため、外輪23を構成する出力ギヤ10A,10Bと内輪18A,18Bとの間には、ローラクラッチ16A,16B以外に軸受15(図3,図4)が設けられる。
変速比切換機構40は、図4に示すように、ローラクラッチ16A,16Bの保持器21A,21Bに連結されて回転する環状の摩擦板35A,35Bの外輪23への接触と離間とを変速切換アクチュエータ47による、シフト部材であるシフトフォーク45の進退によって切り換える機構である。シフト機構41は、変速比切換機構40のうちの、摩擦板35A,35Bを動作される機構部分であり、変速切換アクチュエータ47とシフトフォーク45により構成される。
変速切換アクチュエータ47は、シフト用の電動モータであり、その出力軸47aの回転を、送りねじ機構48によりシフトロッド46の直動運動に変換し、シフトロッド46に取り付けたシフトフォーク45を軸方向に移動させる。シフトフォーク45の移動により、シフトスリーブ43およびシフトリング34が移動する。シフトリング34が摩擦板35A,35Bを、クラック外輪23(出力ギヤ10A,10B)の側面に押し付ける。これにより、カム面付きの内輪18A,18Bと外輪23とが相対回転する場合に、摩擦板35A,35Bと外輪23との間に摩擦力(トルク)が作用し、保持器21A,21Bを介してローラ20を楔状空間Sの狭まり部分に押し込むことができる。
なお、保持器21A,21Bは内輪18A,18Bに対して回転自在であるが、スイッチばね22A,22B(図16,図18)により、内輪18A,18Bのカム面19(図17)の中央、つまり楔状空間Sの広がり部分であ中立位置とポケット21aの円周方向中央とが一致するように付勢される。摩擦板35A,35Bは、上記スイッチばね22A,22Bにより、保持器21A,21Bと共に回転可能なように連結されている。
図5は、車両用モータ駆動装置Aを制御する制御システムを示すブロック図である。この制御システムは、統合ECU60、変速ECU61、およびインバータ装置62を有する。統合ECU60、変速ECU61、およびインバータ装置62の3者間の信号転送はCAN通信(コントローラー・エリア・ネットワーク)で行われる。
統合ECU60は、車載全ての電子制御装置間の協調制御を行う電子制御装置であり、アクセルペダル63のアクセル開度センサ63a、ブレーキペダル91のブレーキ開度センサ91a、ステアリングホイール92の操舵角センサ92a、変速段を手動で切り替えるシフトレバー93のレバー位置センサ93aに接続されている。統合ECU60は、これらアクセル開度センサ63a、ブレーキ開度センサ91a、操舵角センサ92a、レバー位置センサ93aの検出したアクセル開度信号、ブレーキ開度信号、操舵角信号、およびレバー位置信号を、変速ECU61に送信する機能、並びにこれらの4種の信号および他の各種のセンサ等の信号によって前記協調制御を行う機能を備える。
変速ECU61は、ECU60から送信された各種信号や、直接に変速ECU61に入力された各種信号により、自動変速の制御を行う電子制御装置であり、各種入力信号に基づいて変速判断を行ない、変速機5の変速切換アクチュエータ47とインバータ装置62に指令を出す。また、変速ECU61は、クリープ制御と回生制御の実施時に制御指令を作り、インバータ装置へ62に送信する機能を持つ。
変速ECU61は、次の各機能(1)〜(8)を備える。
(1)車速度センサ94および加速度センサ95から、車速と車両の加減速度の検出信号を受け、統合ECU60からアクセル開度信号を受け取り、自動変速の判断を行う。
(2)急ブレーキと判断した場合は、自動変速を行わない。
(3)急ハンドルと判断した場合は、自動変速を行わない。
(4)統合ECU60からシフトレバー93の位置信号を受け取り、電動モータのクリープ制御を実施する。
(5)運転者により操作される第1〜第3の操作スイッチ96〜98の操作に応じた制御を行う。
第1の操作スイッチ96:自動/手動変速の切換用トグルスイッチである。
第2の操作スイッチ97:タクトスイッチであり、上記の第1の操作スイッチ96が手動変速で設定された場合のみ、有効とする。第2の操作スイッチ97を押すと、シフトアップ変速が実施される。
第3の操作スイッチ98:タクトスイッチであり、上記の第1の操作スイッチ96が手動変速で設定された場合のみ、有効とする。第3の操作スイッチ98を押すと、シフトダウン変速が実施される。
(6)表示部99へ、車速、電動モータ回転数、トルク指令値等を表示させる。表示部99は、液晶表示装置等の画像を表示する装置、または指針で表示する装置である。
(7)変速切替アクチュエータ47のシフト位置を、変速機5に付けられたシフト位置センサ68から検出する機能とインバータから電動モータ3の回転数を取得する機能を備える。
(8)インバータ装置62にトルク指令または回転数指令と変速指令を送信する機能、および変速機5に付けられた変速切替アクチュエータ47を駆動する機能を備える。
変速ECU61には、自動変速モードと手動変速モードの変速モードがプログラムされており、自動変速モードと手動変速モードは、運転者による前記第1の操作スイッチ96の操作によって切り替えられる。
この実施形態の変速制御方法および変速制御装置は、変速ECU61による自動変速モードにおける制御に係る。変速ECU61は、図16に示す各種の機能達成手段(81〜86)を有しているが、これらの手段については後に説明する。
図5において、インバータ装置62は、バッテリ69から直流電力が供給されて、電動モータ3に交流のモータ駆動電力を供給するとともに、その供給電力を変速ECU61からの信号に基づいて制御する。インバータ装置62には、電動モータ3に設けられた回転検出装置であるレゾルバ66から、電動モータ3の回転数を示す信号が入力される。またインバータ装置62は、電力を回生するための制御を行う機能を備えている。
インバータ装置62は、電動モータ3を駆動する機能、およびレゾルバ66から電動モータ3の回転角信号を得る機能を備える。インバータ装置62は、図6に示すように、IGBTモジュールからなるインバータ71と、このインバータ71を制御するインバータ制御回路72とで構成される。インバータ71と、U,V,W相の上側アームスイッチング素子Up,Vp,Wpと、U,V,W相の下側アームスイッチング素子Un,Vn,Wnの接続点に電動モータ3の各相(U,V,W相)の端子を接続したものである。インバータ71には、3相180度通電型(正弦波通電)の交流電力を出力するように、インバータ制御回路72から各スイッチング素子Up,Vp,Wp,Un,Vn,Wnに開閉指令が与えられる。
電動モータ3は、3相の正弦波通電により、転流を行っている。電動モータ3は、IPMモータ(埋込永久磁石同期モータ)である。IPM電動モータ3の駆動のためには大電流が必要であり、インバータ71内の前記各スイッチング素子には、IGBT (Insulated Gate Bipolar Transistor)が使用されている。低騒音、高効率、高トルク等の要求に対して、上記のように、IPM電動モータ3の駆動方式は180度通電型(正弦波通電) が使用される。
図7は、シフトレバー操作パネル75の構成を示す。運転手がシフトレバー93を手動操作することによって、周知の例と同様に、P(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)、2速(セカンド)、1速(ロウ)の各レンジを切り換えることができる。シフトレバー操作パネル75は、このように切り換えられるどのレンジに現在あるかを示す表示装置である。シフトレバー操作パネル75におけるレンジ選択情報は統合ECU60に入力される。1速レンジは1速段状態である。なお、シフトレバー操作パネル75は、タッチパネル形式の入力手段を兼ねて、シフトレバー93に代えて運転者により操作される操作手段としても良い。
図8は、シフトレバー93の操作に伴いクリープ制御を実施するフローチャートである。このフローチャートは、車両起動時および停止時(タイヤが回転していない状態)に、シフトレバー93の操作に伴いクリープ制御を実施するフローチャートである。
同図の制御流れの説明の前に、このクリープ制御の解決課題を説明する。アクセルのONからOFFや、OFFからONへの操作によって、ローラクラッチ締結時にショックトルクと異音が生じる。アクセルを踏んだ状態で、車を走らせると、ローラクラッチを正方向に締結している状態で、トルク制御により、電動モータを駆動する状態になる。その後、アクセルを抜くと現変速段のローラクラッチの締結が解除される状態になる可能性がある。一旦、現変速段のローラクラッチの締結が解除された場合、再びアクセルを踏むと、ローラクラッチが再度正方向に素早く締結するので、締結ショックと異音が生じる。図8の制御によると、このような課題が解消される。
このフローチャート実行手順を説明する。レバー操作時の状況は、次の各場合である。
(1) 前回:R, 現在:R
(2) 前回:notR 現在:R
(3) 前回:D 現在:D
(4) 前回:notD 現在:D
(上記のDは:Dor2 or 1レンジとする)
変速ECU61のROM等からなるメモリ83に、上記の四つ状況に応じて、制御トルクと制限時間のマップ84が設定されている。制御トルクと制限時間は、それぞれ3段階に分けて、設定されている。マップ84からデータを取り込んで、クリープ制御を実施する。
第1ステップ:Rレンジかどうかの判断を一定時間、例えば0.5秒間以内に行う(S1,S2)。
YESの場合:前回のシフトレバー93(図5)のレンジはRレンジかどうかを判断する(S3)。
この判断でYESの場合:変速ECU61の上記メモリ83に設定されているマップ84から制御トルクBと制御時間Bを取込んで、3段階に分けて、トルク制御を行う(S4)。
S3の判断でN0の場合:マップ84から制御トルクAと制御時間Aを取り込んで、3段階に分けて、トルク制御を行う(S5)。
その後、現在レンジを変速ECU61のメモリ83に記録してから(S6)、リアルタイムでアクセル信号Tを導入し、電動モータをトルク制御により駆動させる(S7)。電動モータ3のq軸電流 8ルク成分)の方向は負である。
S1の判断で、N0の場合:第2ステップ(S8)へジャンプする。
第2ステップ:Dor2 or 1レンジかどうかの判断を0.5秒間以内に行う(S8,S9)。
YESの場合:前回のシフトレバー93のレンジはDor2 or Lレンジかどうかを判断する(S10)。
この判断でYESの場合:変速ECU61のメモリ83に設定されているマップ84 から制御トルクDと制御時間Dを取込んで、3段階に分けてトルク制御を行う(S11)。
N0の場合:マップ84から制御トルクCと制御時間Cを取り込んで、3段階に分けてトルク制御を行う(S12)。
その後、現在レンジを変速ECU61のメモリ83に記録してから(S6)、リアルタイムでアクセル信号Tを導入し、電動モータをトルク制御により駆動させる(S7)。電動モータのq軸電流( トルク成分) の方向は正である。
S9の判断でN0の場合:ステップ3へジャンプする。
第3ステップ(S13):PorNレンジかどうかの判断を瞬時に行う(S13)。
YESの場合:トルク指令値をゼロに設定し、トルク制御を行う(S14)。
NOの場合:フローチャートをリターンさせる。
図9は、電動モータ3と、インバータトルク制御、インバータ回転数制御のブロック図を示す。このインバータ制御回路72は、トルク制御と回転数制御とに切り換えて制御可能としてあり、トルク制御と回転数制御とも、フィードバック制御で、かつベクトル制御である。変速時はトルク制御と回転数制御とを行い、変速時以外のときはトルク制御を行う。
アクセル信号と電動モータ回転数に応じて、最大トルク制御テーブル〈図示せず〉から、相応なトルク指令値を算出する。算出されたトルク指令値に基づき、電動モータの相電流(Ia)と電流位相角( β) の指令値を生成する。 Ia とβの値に基づき、d 軸電流( 界磁成分)O_Idとq 軸電流( トルク成分)O_Iqに分けて電流のベクトル制御およびフィードバック制御を行う。
同図のインバータ制御回路72の構成を、トルク制御方法の概要と共に説明する。
制御回路72は、アクセル信号(トルク指令)と電動モータ回転数を取得して、電流指令部101で電流指令値を作成する。電流指令部101には、トルク制御時は、アクセル信号から変速ECU61のトルク指令部110で生成されたトルク指令が入力される。なお、図15における変速ECU61のトルク指令部110および速度指令部106は、変速ECU61の構成要素のうち、トルク指令および速度指令を出力する手段を総称して示している。
電流指令部101は、このトルク指令と、レゾルバ66で検出された電動モータ回転数とから、定められた規則に従って電流指令値を作り出す。具体的には、アクセル信号(トルク指令)と電動モータ回転数に応じて、変速ECU61またはインバータ制御回路72に設けられた最大トルク制御テーブル(図示せず)を参照し、相応なトルク指令値を算出する。算出されたトルク指令値に基づき、電動モータ3の相電流(Ia)と電流位相角(β)の指令値を生成する。これら相電流Iaと電流位相角βの指令値に基づき、d軸電流(界磁成分)O_Idと、q軸電流(トルク成分)O_Iqに分けて電流のベクトル制御およびフィードバック制御を行う。
O_Id = Ia * sinβ
O_Iq = Ia * cosβ
電流PI制御部102は、電流指令部101から出力されたd軸電流O_Id、q軸電流O_Iqの値と、モータ電流および回転子角度から3相・2相変換部104で計算された2相電流Id,Iqとから、PI制御による電圧値による制御量Vd,Vqを算出する。前記3相・2相変換部104では、電流センサ105で検出される電動モータのu相電流(Iu)とw相電流(Iw)の検出値から、次式、Iv=- (Iu+Iw)、で求められるv相電流(Iv)を算出し、Iu,Iv,1wの3相電流からId,Iq の2相電流に変換する。この変換に使われる電動モータ3の回転子角度は、レゾルバ66から取得する。
2相・3相変換部103は、入力された2相の制御量Vd,Vqに基づき、3相のPWMデューティVu,Vv,Vwに変換する。変換に使われるモータ回転子の回転角は、次のパルスの発生位置(角度)での値となるように、予測計算部111の計算で、Θ+ΔΘ(ΔΘ=Θ- OId_Θ)式から求められる予測値を使用している。
ここで、Θ:現サンプリング時間での回転子の回転角度(電気角)
OId_Θ:前サンプリング時間での回転子の回転角度(電気角)
である。
電力変換部62aは、PWMデューティVu,Vv,Vwに従ってインバータ71(IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor) )をPWM制御し、電動モータ3を駆動する。
同図のインバータ制御回路72による回転数制御を説明する。
速度指令部106は、インバータ制御回路72に対して速度指令を与える手段であり、変速ECU61に設けられている。速度指令部106は、変速時の車速と選択された目標変速段の変速比に基づき、電動モータ3の目標回転数を算出する。算出した目標回転数は、速度指令としてインバータ装置62のインバータ制御回路72に指示される。
また、電動モータ3の回転子角度をレゾルバ66から取得し、実際の電動モータ3の回転数を速度計算部108で算出する。速度指令部106の速度指令と、速度計算部108で算出した実際の電動モータ回転数の差分を比較部109で求め、その差分に対つき、制御部107でPID制御(比例積分微分制御)、あるいはPI制御(比例積分制御)を行い、制御量をトルク指令として、電流指令部101に入力する。回転数制御時、この速度計算部108の速度指令に基づくトルク指令が、トルク指令部110からのトルク指令に代えて電流指令部101に入力される。
回転数制御では、電動モータ3の目標回転数は1msec間隔で計算され、変速中に車速が急に変化しても、変速の目標回転数は車速の変化を追及できる特徴をもつ。それによって、変速ショックを低減することができる。
なお、図9において、インバータ制御回路72は、速度制御部73と、トルク制御部74とに分けて説明している。
トルク制御部74は、インバータ制御回路72のうち、トルク制御により電動モータ3の制御の機能を果たす部分であり、図9の電流指令部101、電流PI制御部102、2相・3相変化部103、3相・2相変化部104、速度計算部108、および予測部111を含む。
速度制御部73は、インバータ制御回路72のうち、速度制御により電動モータ3の制御の機能を果たす部分であって、比較部109と、制御部107とを有し、トルク制御部74の電流制御部101へトルク指令を与え、その後の制御をトルク制御部74で行わせる。
図10は、クリープ制御と回生制御の特性図を示す。同図において、各用語は次の意味である。
正方向:電動モータ3を駆動する時、ローラクラッチ16A,16Bが締結している方向とする。
負方向:電動モータ3を回生する時、ローラクラッチ16A,16Bが締結している方向とする。
ハンチング現象:ある動作を頻繁に繰返す行う現象。
クリープ制御:電動モータ3へのトルク指令値(正)がクリープ正トルク閾値或いは負トルク閾値の絶対値(正)を下回ったら、クリープ正トルク閾値或いは負トルク閾値で、電動モータを駆動させる制御。
クリープ正トルクの場合:電動モータ3のq 軸電流( トルク成分) の方向は正である。
クリープ負トルクの場合:電動モータ3のq 軸電流( トルク成分) の方向は負である。
いずれにしても、回生トルクの指令値或いはクリープトルクの指令値が正であることとする。
また、クリープ正トルク閾値と負トルク閾値はそれぞれ一定の値とする。
この特性図の概要説明をする。
t0→t1間:現変速段のローラクラッチ16A,16bが正方向に締結している状態で、トルク制御により、電動モータ3を駆動させている。その時の時速は、定められた時速、例えば20km/h以上とする。
t1→t2間:アクセルを抜く動作である。
t2→t3間:アクセル開度信号がクリープ正トルク閾値を下回ったら、クリープ正トルク閾値として、電動モータ3を駆動させる。この時、実際のアクセル開度信号が破線のような動きになっている。更に、t2-t3 の間に、アクセル開度の信号がクリープ正トルク閾値を下回った状態で一定時間を保てば、ローラクラッチを正方向から負方向へ締結する制御を行う。もし、t2-t3 の間に、アクセル開度信号が一旦(クリープ正トルク+閾値トルクA )を上回ったら、上記の負方向に締結する制御を行わない。その代わりに、t2-t3 間の待ち時間をリセットする。アクセル開度信号がクリープ正トルクを下回った時の時間をt2として、再びt3に向けて、待ち時間を数え始める。
特記:アクセル開度信号が一旦(クリープ正トルク+ 閾値トルクA )を上回った・・・について。
クリープ正トルクに閾値トルクAを設定する理由:ヒステリシス機能を持たせ、ノイズ等からの影響でハンチング現象を起こることを減らす目的である。
t3→t5間:トルク制御から回転数制御へ切替、回転数制御により、ローラクラッチ16A,16Bを正方向から負方向へ締結させる時間。この時間は変速ECU61のメモリ83に設定されている。
t3→t5間の中、t3→t4間が、実際にローラクラッチ16A,16Bが正方向から負方向へ締結する時間。t4→t5間が、ローラクラッチ16A,16Bが負方向に締結した状態で回転数制御を継続する時間。
特記:減速機5の作動状況により、実際にはローラクラッチ16A,16Bの締結時間にばらつきがあることを考慮し、回転数制御を実施する時間を実際の締結時間より大目に設定している。つまり、実際の締結時間t3→t4がt3→t5を上回らないように、回転数制御を行う。逆に、上回ったら、ローラクラッチ16A,16Bが負方向に締結していない状態で、回転数制御からトルク制御への切り替え動作が行われ、その結果、ショックトルクと異音が生じる。
さらに、1速でクリープ制御から回生制御への切り替える場合、2速でクリープ制御から回生制御への切り替える場合の二つの切り換えルートがある。変速段に応じて、回転数制御を実施する時に、差回転数と制限電流は、例えば5km/h間隔で1速と2速に分けて、制御マップ85が変速ECU61のメモリ83に設定されている。回転数制御実施時に、制御マップ85から差回転数と制御電流の値を取り込んで、ローラクラッチ16A,16Bの締結動作を行う。
t5→t6間:回転数制御をトルク制御に切り替え、現変速ローラクラッチ16A,16Bの締結時の制限電流(制限トルク)から回生指令トルクに向け、トルク制御にて、n回補間制御を実施する時間。t5は回転数制御からトルク制御へ切り換える時刻である。補間制御はn回補間であるため、補間値が回生指令の信号を常に追跡することができる。補間値は回生指令値の信号との誤差を縮めていく追跡過程の中、誤差がある閾値以内になると、追跡動作を完了させ、n回補間制御も完了させる。
特記:図示の例は、締結時の制限電流(制限トルク)値がクリープ負トルク閾値と同一値である例。異なる場合として、t5で、回生指令トルクがクリープ負トルク閾値の絶対値(正)を下回る場合、回生指令トルクをクリープ負トルク閾値の絶対値(正)として、締結時の制限電流からクリープ負トルク閾値の絶対値(正)への補間制御を実施しながら、回生制御を行う。回生制御実施中は、電動モータのq軸電流(トルク成分)の方向は負である。
t6→t7間:回生トルク指令値に従って、回生制御を実施する時間。この時、実際のアクセル開度信号が破線のような動きになっている。アクセル開度信号が(クリープ正トルク+閾値トルクA)を上回った状態で一定の時間を経過した後(t7 時) に、回生制御を停止させ、補間制御を経由して、ローラクラッチ16A,16Bを負方向から正方向へ締結する制御を行う。
特記:t7時に車速が、定められた速度、例えば20km/hを下回ったら、直ちに回生制御を停止させる。
t7→t8間:現変速段のローラクラッチ16A,16Bを回生指令トルクから締結時の制限電流(制限トルク)に向け、トルク制御にて、n回補間制御を実施する時間。t8はトルク制御から回転数制御へ切り換える時刻である。
t8→t10 間:ローラクラッチ16A,16Bを負方向から正方向へ締結させるために、電動モータ3を回転数制御する時間。この時間は変速ECU61のメモリ に設定されている。
t8→t10 間の中、t8→t9間は実際にローラクラッチ16A,16Bが負方向から正方向へ締結する時間。
t9→t10 間:ローラクラッチ16A,16Bが正方向に締結した状態で回転数制御を継続する時間。
特記:減速機5の作動状況により、実際にはローラクラッチ16A,16Bの締結時間にばらつきがあることを考慮し、回転数制御の実施時間を実際の締結時間より大目に設定している。つまり、実際の締結時間t8→t9がt8→t10 を上回らないように、回転数制御を行う。逆に、上回ったら、ローラクラッチ16A,16Bが正方向に締結していない状態で、回転数制御からトルク制御への切り替え動作が行われ、その結果、ショックトルクと異音が生じる。
さらに、1速で回生制御からクリープ制御への切り替える場合、2速で回生制御からクリープ制御への切り替える場合の二つ切り換えルートがあり、変速段に応じて、回転数制御を実施する時に、差回転数と制限電流を、定められた間隔、例えば5km/h間隔で1速と2速に分けて、制御マップ85か変速ECU61のメモリ83に設定されている。回転数制御実施時に、制御マップ85から差回転数と制御電流の値を取り込んで、ローラクラッチの締結動作を行う。
t10 →t11 間:現変速ローラクラッチ16A,16Bの締結時の制限電流(制限トルク) からアクセル開度信号に向けて、トルク制御にて、n回補間制御を実施させる時間。t10 は回転数制御からトルク制御への切り換える時刻である。補間制御はn回補間であるため、補間値がアクセル開度の信号を常に追跡することができる。補間値はアクセル開度の信号との誤差を縮めていく追跡過程の中、誤差がある閾値以内になったら、追跡動作を完了させ、n回補間制御も完了させる。
特記:図示の例は、締結時の制限電流(制限トルク) 値がクリープ正トルク閾値と同一値である例。異なる場合として、t10 で、アクセル開度信号がクリープ正トルク閾値を下回る場合、指令トルクをクリープ正トルク閾値として、締結時の制限電流からクリープ正トルク閾値への補間制御を実施しながら、トルク制御を行う。トルク制御中、電動モータ3のq軸電流( トルク成分) の方向は正である。
t11 →:補間制御の追跡動作が完了してから、アクセル開度の信号に従って、ローラクラッチ16A,16Bが正方向に締結した状態で、トルク制御により、電動モータ3を駆動させる。
以上は、クリープ制御と回生制御を行う手順であり、この手順を繰り返し実施することで、自動車の駆動と回生を実現している。
次に、この電気自動車の制御システム、特にその変速ECU61につき、図11のブロック図を参照して説明する。制御対象となる電気自動車は、上記実施形態の変速制御方法を適用する図1〜図7と共に前述した電気自動車である。
この電気自動車の変速制御装置は、上記実施形態の変速制御方法を実施する装置であって、上記変速ECU61に、変速の基本的な制御を行う手段である変速制御手段80が設けられている。この変速ECU61に、次のクリープ制御手段81および回生時制御手段82を設け、かつ変速ECU61のROM等からなるメモリ83のパラメータ等記憶領域83aに、各閾値や設定値、マップ84,85を記憶させている。以下の説明、および上記実施形態の制御方法で用いた各閾値およびマップ84,85は、このメモリ83のパラメータ等記憶領域83aに設定されている。回生時制御手段82は、補間手段86を有していて、以下の説明、および上記実施形態の制御方法につき説明した補間の制御を行う。なお、変速ECU61は、変速制御手段80により、自動変速時以外の電動モータ3の制御はトルク制御として、トルク指令をインバータ制御装置72へ出力し、変速時にトルク制御と回転数制御を切換る。
クリープ制御手段81は、その基本的な機能として、アクセルのONからOFFへの操作時、およびOFFからONへの操作時のいずれか一方または両方の操作時に、ローラクラッチ16A,16Bの締結時に生じるショックトルクと異音を低減させるために、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とすることで、前記ローラクラッチ16A,16Bのローラ20を常に駆動側に締結させる。
このように、アクセルのON,OFF間の切り換え時に、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とするため、ローラクラッチ16A,16Bのローラを常に駆動側に締結させることができ、そのため、ローラクラッチ16A,16Bの締結時に生じるショックトルクと異音を低減させることができる。
このクリープ制御手段81は、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が開度閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記開度閾値以上とする制御を、車両走行速度の全速度領域で行うようにしても良い。
回生時制御手段82は、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とする制御につき、アクセルOFF時に回生制御を行い、回生指令トルクが回生時用の閾値を下回ると、この回生時用の閾値の負トルクを入力して、ローラクラッチのローラを常に非駆動側に締結させる。この回生制御を行う車速は、定められた車速以上とするのが良い。
クリープ制御手段81は、詳しくは図8のフローチャートと共に前述したシフトレバー93の操作に伴う制御を行う。また、クリープ制御手段81および回生時制御手段82は、それぞれ上記実施形態の制御方法説明したクリープ制御に係る各制御および回生制御に係る各制御、特に図10等と共に説明したクリープ制御に係る各制御および回生制御に係る各制御を行う。
クリープ制御手段81および回生時制御手段82の制御内容につき、これらの手段の制御として前述した内容以外の内容を整理すると、次の制御を行う。
前記クリープ制御手段81は、アクセル開度信号がクリープ正トルク閾値を下回って一定時間経過した後、トルク制御から回転数制御へ切換えてローラクラッチを駆動側方向から非駆動側方向へ締結させる。
この場合に、クリープ制御手段81は、アクセル開度信号がクリープ正トルク閾値を下回って一定時間経過した後、トルク制御から回転数制御へ切換えてローラクラッチを駆動側方向から非駆動側方向へ締結させる制御につき、ローラクラッチ16A,16Bの締結方向を切換える制御を各変速段にて行うのが良い。
このローラクラッチ16A,16Bの締結方向を切換える制御を各変速段にて行うについては、例えば、ローラクラッチの締結方向切換時に、回転数差と制限電流、回転数制御実施時間のマップ84を、変速ECUのROM等のメモリ83に設定しておき、マップ84の値を用いて前記回転数制御を実施する。
前記回生時制御手段82は、回生制動の開始につき、現変速段のローラクラッチ16A,16Bが正方向から負方向へ締結した後、回転数制御からトルク制御へ切換えて回生制動を行うのが良い。この場合に、現変速段のローラクラッチ16A,16Bが正方向から負方向へ締結した後、回転数制御からトルク制御へ切換えて回生制動を行うにつき、補間制御手段86により、現変速段のローラクラッチ16A,16Bの締結時の制限電流または制限トルクから回生指令トルクに向けて、トルク制御にてn回補間制御し、回生指令値の信号との誤差を縮めていく追跡過程で、誤差がある閾値以内になると、n回補間制御を終了するのが良い。
前記回生時制御手段82は、回生制動につき、回生指令トルクがクリープ負トルク閾値の絶対値(正)を下回ると、クリープ負トルク閾値の絶対値(正)として、締結時の制限電流からクリープ負トルク閾値の絶対値(正)への補間制御を実施しながら、回生制御を行い、回生制御中には、電動モータのq軸電流(トルク成分)の方向は負であるのが良い。
前記回生時制御手段82は、回生指令トルク値に従い回生制御実施中、アクセル開度信号が(クリープ正トルク閾値+閾値トルクA)を上回った状態で一定時間経過した場合に、回生制御を停止するのが良い。
この場合に、回生指令トルク値に従い回生制御実施中、アクセル開度信号が(クリープ正トルク閾値+閾値トルクA)を上回った状態で一定時間経過した場合に、回生制御を停止するにつき、一定時間に、アクセル開度信号が(クリープ正トルク+閾値トルクA)を上回った場合に、一定時間をリセットし、アクセル信号が(クリープ正トルク+ 閾値トルクA)を上回った時点から待ち時間を数え始めるのが良い。
回生時制御手段82は、回生指令トルク値に従って回生制御を実施中に、車速が一定車速を下回った場合に、直ちに回生制御を停止するのが良い。
回生時制御手段82は、回生制御の停止後、回生指令トルクから締結時の制限電流または制限トルクに向けて、トルク制御にて、n回補間制御を実施するのが良い。
この場合に、n回補間制御の完了後、トルク制御から回転数制御へ切換時に、変速ECUのメモリ83に設定された回転数差と制限電流、回転数制御実施時間のマップ84の値を用いて回転数制御を実施するのが良い。
この場合に、上記回転数制御の完了後、回転数制御からトルク制御へ切換え、現変速ローラクラッチの締結の制限電流または制限トルクからアクセル開度信号に向け、n回補間制御を実施するのが良い。
前記クリープ制御手段81および回生時制御手段82は、車両の電源を起動時および停車時に、シフトレバー93のシフトレンジ信号に基づいてローラクラッチ16A,16Bをトルク制御により、駆動側または非駆動側の楔空間に締結させる制御において、前回のシフトレバー93のシフトレンジに応じて、予め変速ECU61のメモリ83に設定された制御トルクと制限時間のデータを取込み、数段階に分けて前記クリープ制御を実施するのが良い。
また、シフトレバー93のシフトレンジがドライブレンジの場合、現変速段のローラクラッチ16A,16Bを駆動側楔空間に締結させ、電動モータのq軸電流(トルク成分)の方向は正であるのがよい。
シフトレバー93のシフトレンジがリバースレンジの場合、現変速段のローラクラッチ16A,16Bを非駆動側楔空間に締結させ、電動モータのq軸電流(トルク成分)の方向は負であるのが良い。
図3,4のモータ駆動装置の詳細を、図12〜図17と共に説明する。
図3において、モータ軸4は、入力軸7と同軸上に直列に配置されており、ハウジング11に固定された電動モータ3のステータ12で回転駆動される。入力軸7は、ハウジング11内に組込まれた対向一対の軸受13により回転可能に支持され、入力軸7の軸端はスプライン嵌合によってモータ軸4に接続されている。出力軸8は、ハウジング11内に組込まれた対向一対の軸受14により回転可能に支持されている。
1速入力ギヤ9Aと2速入力ギヤ9Bは軸方向に間隔をおいて配置され、入力軸7を中心として入力軸7と一体に回転するように入力軸7に固定されている。1速出力ギヤ10Aと2速出力ギヤ10Bも軸方向に間隔をおいて配置されている。
図4に示すように、1速出力ギヤ10Aは、出力軸8を貫通させる環状に形成され、軸受15を介して出力軸8で支持されており、出力軸8を中心として出力軸8に対して回転可能となっている。同様に、2速出力ギヤ10Bも、軸受15を介して出力軸8で回転可能に支持されている。
1速入力ギヤ9Aと1速出力ギヤ10Aは互いに噛合しており、その噛合によって1速入力ギヤ9Aと1速出力ギヤ10Aの間で回転が伝達するようになっている。2速入力ギヤ9Bと2速出力ギヤ10Bも噛合しており、その噛合によって2速入力ギヤ9Bと2速出力ギヤ10Bの間で回転が伝達するようになっている。2速入力ギヤ9Bと2速出力ギヤ10Bの減速比は、1速入力ギヤ9Aと1速出力ギヤ10Aの減速比よりも小さい。
1速出力ギヤ10Aと出力軸8の間には、1速出力ギヤ10Aと出力軸8の間でトルクの伝達と遮断の切換えを行なう1速の2ウェイローラクラッチ16Aが組込まれている。また、2速出力ギヤ10Bと出力軸8の間には、2速出力ギヤ10Bと出力軸8の間でトルクの伝達と遮断の切換えを行なう2速の2ウェイローラクラッチ16Bが組込まれている。
1速の2ウェイローラクラッチ16Aと2速の2ウェイローラクラッチ16Bは、左右対称の同一構成なので、2速の2ウェイローラクラッチ16Bを以下に説明し、1速の2ウェイローラクラッチ16Aについては、2速の2ウェイローラクラッチ16Bに対応する部分に同一の符号または末尾のアルファベットBをAに置き換えた符号を付して説明を省略する。
図12〜図14に示すように、2速の2ウェイローラクラッチ16Bは、2速出力ギヤ10Bの内周に設けられた円筒面17と、出力軸8の外周に回り止めした環状の2速カム部材18Bに形成されたカム面19と、カム面19と円筒面17の間に組み込まれたローラ20と、ローラ20を保持する2速保持器21Bと、2速スイッチばね22Bとからなる。カム面19は、円筒面17との間で周方向中央から周方向両端に向かって次第に狭くなる楔状空間Sを形成するような面であり、例えば、図13に示すように円筒面17と対向する平坦面である。
図4、図17に示すように、2速保持器21Bは、ローラ20を収容する複数のポケット21aが周方向に間隔をおいて形成された円筒部24と、円筒部24の一端から径方向内方に延び出す内向きフランジ部25とを有する。内向きフランジ部25の径方向内端は、2速カム部材18Bの外周で周方向にスライド可能に支持され、この周方向のスライドによって、2速保持器21Bは、カム面19と円筒面17の間にローラ20を係合させる係合位置とローラ20の係合を解除する中立位置との間で出力軸8に対して相対回転可能となっている。また、2速保持器21Bの内向きフランジ部25は軸方向両側への移動が規制され、これにより2速保持器21Bが軸方向に非可動とされている。
図13に示すように、各カム面19は、回転中心を含む仮想平面に対して対称に形成され、これにより、各カム面19と円筒面17の間に配置されたローラ20は、正転方向と逆転方向の両方向で係合可能となっている。すなわち、電動モータ3が発生するトルクにより車両を前進させるときは、2速保持器21Bを出力軸8に対して正転方向に相対回転させることにより、2速保持器21Bに保持されたローラ20を、カム面19と円筒面17の間の正転方向側の空間狭まり部分に係合させ、そのローラ20を介して2速出力ギヤ9Bと出力軸8の間で正転方向のトルクを伝達することが可能となっており、一方、電動モータ3が発生するトルクにより車両を後退させるときは、2速保持器21Bを出力軸8に対して逆転方向に相対回転させることにより、2速保持器21Bに保持されたローラ20を、カム面19と円筒面17の間の逆転方向側の空間狭まり部分に係合させ、そのローラ20を介して2速出力ギヤ9Bと出力軸8の間で逆転方向のトルクを伝達することが可能となっている。
図14、図17に示すように、2速スイッチばね22Bは、鋼線をC形に巻いたC形環状部26と、C形環状部26の両端からそれぞれ径方向外方に延出する一対の延出部27,27とからなる。C形環状部26は、2速カム部材18Bの軸方向端面に形成された円形のスイッチばね収容凹部28に嵌め込まれ、一対の延出部27,27は、2速カム部材18Bの軸方向端面に形成された径方向溝29に挿入されている。
径方向溝29は、スイッチばね収容凹部28の内周縁から径方向外方に延びて2速カム部材18Bの外周に至るように形成されている。2速スイッチばね22Bの延出部27は、径方向溝29の径方向外端から突出しており、その延出部27の径方向溝29からの突出部分が、2速保持器21Bの円筒部24の軸方向端部に形成された切欠き30に挿入されている。径方向溝29と切欠き30は同じ幅に形成されている。
延出部27,27は、径方向溝29の周方向で対向する内面と、切欠き30の周方向で対向する内面にそれぞれ接触しており、その接触面に作用する周方向の力によって2速保持器21Bを中立位置に弾性保持している。
すなわち、2速保持器21Bを出力軸8に対して相対回転させて、図14に示す中立位置から周方向に移動させると、径方向溝29の位置と切欠き30の位置が周方向にずれるので、一対の延出部27,27の間隔が狭まる方向にC形環状部26が弾性変形し、その弾性復元力によって2速スイッチばね22Bの一対の延出部27,27が径方向溝29の内面と切欠き30の内面を押圧し、その押圧によって2速保持器21Bを中立位置に戻す方向の力が作用するようになっている。
図4に示すように、1速カム部材18Aと2速カム部材18Bの出力軸8に対する回り止めは、スプライン嵌合によって行なわれている。1速カム部材18Aのカム面19と2速カム部材18Bのカム面19は同数かつ同位相となっている。また、1速カム部材18Aと2速カム部材18Bは、出力軸8の外周に嵌合した一対の止め輪31によって軸方向に非可動となっている。1速カム部材18Aと2速カム部材18Bの間には間座32が組み込まれている。
1速の2ウェイローラクラッチ16Aと2速の2ウェイローラクラッチ16Bは、変速アクチュエータ33により選択的に係合することができるようになっている。
図12に示すように、変速アクチュエータ33は、1速出力ギヤ10Aと2速出力ギヤ10Bの間に軸方向に移動可能に設けられたシフトリング34と、1速出力ギヤ10Aとシフトリング34の間に組み込まれた1速摩擦板35Aと、2速出力ギヤ10Bとシフトリング34の間に組み込まれた2速摩擦板35Bとを有する。
ここで、1速摩擦板35Aと2速摩擦板35Bは、左右対称の同一構成なので、2速摩擦板35Bを以下に説明し、1速摩擦板35Aについては、2速摩擦板35Bに対応する部分に同一の符号または末尾のアルファベットBをAに置き換えた符号を付して説明を省略する。
2速摩擦板35Bには、2速保持器21Bの切欠き30に係合する突片36が設けられ、この突片36と切欠き30の係合によって、2速摩擦板35Bが2速保持器21Bに回り止めされている。2速保持器21Bの切欠き30は、2速摩擦板35Bの突片36を軸方向にスライド可能に収容しており、このスライドによって、2速摩擦板35Bは、2速保持器21Bに回り止めされた状態のまま、2速出力ギヤ10Bの側面に接触する位置と離反する位置との間で、2速保持器21Bに対して軸方向に移動可能となっている。
2速摩擦板35Bの突片36の先端に凹部37が形成されて、間座32の外周には、凹部37に係合する凸部38が形成されている。そして、凹部37と凸部38は、2速摩擦板35Bが2速出力ギヤ10Bの側面から離反した位置にある状態では、凹部37と凸部38が係合することで、2速摩擦板35Bを間座32を介して出力軸8に回り止めし、このとき、2速摩擦板35Bに回り止めされた2速保持器21Bが中立位置に保持されるようになっている。また、2速摩擦板35Bが2速出力ギヤ10Bの側面に接触する位置にある状態では、凹部37と凸部38の係合が解除することで、2速摩擦板35Bの回り止めが解除されるようになっている。
2速摩擦板35Bと2速カム部材18Bの間には、軸方向に圧縮された状態で2速離反ばね39Bが組み込まれており、この2速離反ばね39Bの弾性復元力によって2速摩擦板35Bが2速出力ギヤ10Bの側面から離反する方向に付勢されている。
2速離反ばね39Bは、間座32の外周に沿って巻回されたコイルスプリングであり、その一端が2速ワッシャ39Bを介して2速カム部材18Bの軸方向端面で支持されている。2速ワッシャ39Bは、2速カム部材18Bの軸方向端面の径方向溝29を覆うように環状に形成されている。
シフトリング34は、1速摩擦板35Aを押圧して1速出力ギヤ10Aの側面に接触させる1速シフト位置SP1fと、2速摩擦板35Bを押圧して2速出力ギヤ10Bの側面に接触させる2速シフト位置SP2fとの間で軸方向に移動可能に支持されている。また、シフトリング34を1速シフト位置SP1fと2速シフト位置SP2fの間で軸方向に移動させるシフト機構41が設けられている。シフト機構41は、前述のように変速比切換機構40の一部を構成する。
図15、図16に示すように、シフト機構41は、シフトリング34を転がり軸受42を介して回転可能に支持するシフトスリーブ43と、そのシフトスリーブ43の外周に設けられた環状溝44に係合する二股状のシフトフォーク45と、シフトフォーク45が固定されたシフトロッド46と、シフトモータである変速切換アクチュエータ47と、変速切換アクチュエータ47の回転をシフトロッド46の直線運動に変換する運動変換機構48(送りねじ機構等)とからなる。
図16に示すように、シフトロッド46は、出力軸8に対して間隔をおいて平行に配置され、ハウジング11内に組み込まれた一対の滑り軸受49で軸方向にスライド可能に支持されている。シフトリング34とシフトスリーブ43の間に組み込まれた転がり軸受42は、シフトリング34とシフトスリーブ43のいずれに対しても軸方向に非可動となるように組み付けられている。
このシフト機構41は、変速切換アクチュエータ47の回転が運動変換機構48により直線運動に変換されてシフトフォーク45に伝達し、そのシフトフォーク45の直線運動が転がり軸受42を介してシフトリング34に伝達することにより、シフトリング34を軸方向に移動させる。
図12に示すように、シフトフォーク45と環状溝44の間の両側の軸方向隙間には、軸方向に圧縮可能な予圧ばね50が組み込まれている。これにより、シフトリング34で1速摩擦板35Aを押圧して1速出力ギヤ10Aの側面に接触させるときに、シフトスリーブ43に対するシフトフォーク45の軸方向の相対位置を調節することによって予圧ばね50のばね力を調節し、1速摩擦板35Aと1速出力ギヤ10Aの接触面間の摩擦力を調整することが可能となっている。また、シフトリング34で2速摩擦板35Bを押圧して2速出力ギヤ10Bの側面に接触させるときも、2速摩擦板35Bと2速出力ギヤ10Bの接触面間の摩擦力を調整することが可能となっている。
図3に示すように、出力軸8には、出力軸8の回転をディファレンシャル6に伝達するディファレンシャル駆動ギヤ51が固定されている。
ディファレンシャル6は、一対の軸受52で回転可能に支持されたデフケース53と、デフケース53の回転中心と同軸にデフケース53に固定され、ディファレンシャル駆動ギヤ51に噛合するリングギヤ54と、デフケース53の回転中心と直角な方向にデフケース53に固定されたピニオン軸55と、ピニオン軸55に回転可能に支持された一対のピニオン56と、その一対のピニオン56に噛合する左右一対のサイドギヤ57とからなる。左側のサイドギヤ57には、左側の車輪に接続されたアクスル58の軸端部が接続され、右側のサイドギヤ57には、右側の車輪に接続されたアクスル58の軸端部が接続されている。出力軸8が回転するとき、出力軸8の回転はディファレンシャル駆動ギヤ51を介してデフケース53に伝達され、そのデフケース53の回転がピニオン56とサイドギヤ57を介して左右の車輪に分配される。
以下に、車両用モータ駆動装置Aの動作例を説明する。
まず、図12に示すように、1速摩擦板35Aが1速出力ギヤ10Aの側面から離反し、かつ、2速摩擦板35Bも2速出力ギヤ10Bの側面から離反した状態では、1速保持器21Aは1速スイッチばね22Aの弾性力により中立位置に保持され、2速保持器21Bも2速スイッチばね22Bの弾性力により中立位置に保持されるので、1速の2ウェイローラクラッチ16Aはローラ20の係合が解除された状態となり、2速の2ウェイローラクラッチ16Bもローラ20の係合が解除された状態となる。
この状態では、図3に示す電動モータ3の駆動により入力軸7が回転しても、1速の2ウェイローラクラッチ16Aと2速の2ウェイローラクラッチ16Bによって回転の伝達が遮断されるので、1速出力ギヤ10Aおよび2速出力ギヤ10Bは空転し、入力軸7の回転は出力軸8に伝達されない。
次に、シフト機構41を作動させて、図12に示すシフトリング34を1速出力ギヤ10Aに向けて移動させると、1速摩擦板35Aが1速出力ギヤ10Aの側面に接触し、その接触面間の摩擦力によって1速摩擦板35Aが出力軸8に対して相対回転し、この1速摩擦板35Aに回り止めされた1速保持器21Aが1速スイッチばね22Aの弾性力に抗して中立位置から係合位置に移動するので、1速保持器21Aに保持されたローラ20が、円筒面17とカム面19の間の楔状空間Sの狭まり部分に押し込まれて係合した状態となる。
この状態では、1速出力ギヤ10Aの回転は、1速の2ウェイローラクラッチ16Aを介して出力軸8に伝達され、出力軸8の回転が、ディファレンシャル6を介してアクスル58に伝達される。その結果、図1に示す電気自動車EVにおいては、駆動輪としての前輪1が回転駆動され、図2に示すハイブリッド車HVにおいては補助駆動輪としての後輪2が回転駆動される。
次に、シフト機構41の作動により、シフトリング34を1速シフト位置から2速シフト位置に向かって軸方向移動させると、1速摩擦板35Aと1速出力ギヤ10Aの接触面間の摩擦力が小さくなるので、1速スイッチばね22Aの弾性力により1速保持器21Aが係合位置から中立位置に移動し、この1速保持器21Aの移動によって1速の2ウェイローラクラッチ16Aの係合が解除される。
シフトリング34が2速シフト位置に到達すると、2速摩擦板35Bがシフトリング34で押圧されて2速出力ギヤ10Bの側面に接触し、その接触面間の摩擦力によって2速摩擦板35Bが出力軸8に対して相対回転し、2速摩擦板35Bに回り止めされた2速保持器21Bが2速スイッチばね22Bの弾性力に抗して中立位置から係合位置に移動するので、2速保持器21Bに保持されたローラ20が、円筒面17とカム面19の間の楔状空間Sの狭まり部分に押し込まれて係合した状態となる。
この状態では、2速出力ギヤ10Bの回転は、2速の2ウェイローラクラッチ16Bを介して出力軸8に伝達され、出力軸8の回転がディファレンシャル6を介してアクスル58に伝達される。
同様に、シフトリング34を2速シフト位置から1速シフト位置に軸方向移動させることにより、2速の2ウェイローラクラッチ16Bの係合を解除して、1速の2ウェイローラクラッチ16Aを係合させることができる。
ところで、1速の2ウェイローラクラッチ16Aを係合解除するときに、1速の2ウェイローラクラッチ16Aを介してトルクが伝達していると、そのトルクがローラ20を円筒面17とカム面19の間の楔状空間Sの狭まり部分に押し込むように作用し、1速の2ウェイローラクラッチ16Aの係合解除が妨げられる。そのため、シフト機構41の作動により、シフトリング34が1速シフト位置SP1fから2速シフト位置SP2fに向かって軸方向移動を開始したときに、1速摩擦板35Aが、1速出力ギヤ10Aの側面から既に離反しているにもかかわらず、1速の2ウェイローラクラッチ16Aの係合が解除されない可能性がある。
このため、1速の2ウェイローラクラッチ16Aを確実に係合解除するためには、シフト機構41の作動により、1速摩擦板35Aを1速出力ギヤ10Aの側面から離反させるだけでなく、電動モータ3の出力を制御して、入力軸7と出力軸8の間で伝達するトルクを変化させる必要がある。2速の2ウェイローラクラッチ16Bを係合解除するときも同様である。
そこで、上記制御システムでは、図15に示す変速制御装置により、電動モータ3と変速切換アクチュエータ47を制御し、この制御により1速の2ウェイローラクラッチ16Aまたは2速の2ウェイローラクラッチ16Bの係合を解除するときの動作の信頼性を確保している。
1…前輪
2…後輪
3…電動モータ
4…モータ軸
5…変速機
6…ディファレンシャル
7…入力軸
8…出力軸
9A,9B入力ギヤ
10A,10B…出力ギヤ
16A,16B…ローラクラッチ
17…円筒面
19…カム面
20…ローラ
18A,18B…内輪
21A,21B…保持器
22A,22B…スイッチばね
23…外輪
34…シフトリング
35A,35B…摩擦板
39A,39B…離反ばね
40…変速比切換機構
41…シフト機構
47…変速切換アクチュエータ
45…シフトフォーク(シフト部材)
73…速度制御部
74…トルク制御部
60…統合ECU
61…変速ECU
62…インバータ装置
71…インバータ
72…インバー制御回路
41…シフト機構
81…クリープ制御手段
82…回生時制御手段
83…シンクロ制御手段
A…車両用モータ駆動装置
EV…電気自動車
HV…ハイブリッド自動車
LA,LB…ギヤ列

Claims (24)

  1. 互いに変速比が異なる複数の変速段のギヤ列と、走行用の電動モータの出力軸であるモータ軸に連結された入力軸と前記各変速段のギヤ列との間にそれぞれ介在し断続の切換が可能な各変速段の2ウェイ型のローラクラッチと、これら各ローラクラッチの断続の切換を行う変速比切換機構とを有する変速機を備え、
    前記各ローラクラッチは、内輪のカム面と外輪間に設けられた各楔状空間にローラが介在し、各ローラが楔状空間の狭まり部分に係合することで接続状態となり、保持器により各ローラを楔状空間の広がり部分に位置させることで切断状態となる構成であり、
    前記変速比切換機構は、保持器に連結されて回転する摩擦板の外輪への接触と離間とを変速切換アクチュエータによるシフト部材の進退によって切り換える機構である、
    電気自動車における制御方法において、
    アクセルのONからOFFへの操作時、およびOFFからONへの操作時のいずれか一方または両方の操作時に、ローラクラッチ締結時に生じるショックトルクと異音を低減させるために、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とする制御であるクリープ制御を行うことで、前記ローラクラッチのローラを常に駆動側に締結させる、
    ことを特徴とする電気自動車の制御方法。
  2. 請求項1において、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とする制御は、車両走行速度の全速度領域である電気自動車の制御方法。
  3. 請求項1において、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とする制御につき、アクセルOFF時に回生制御を行い、回生指令トルクが回生時用の閾値を下回ると、この回生時用の閾値の負トルクを入力して、ローラクラッチのローラを常に非駆動側に締結させる電気自動車の制御方法。
  4. 請求項3において、前記回生制御を実施する車速は、一定車速以上とする電気自動車の制御方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、アクセル開度信号がクリープ正トルク閾値を下回って一定時間経過した後、トルク制御から回転数制御へ切換えてローラクラッチを駆動側方向から非駆動側方向へ締結させる電気自動車の制御方法。
  6. 請求項5において、アクセル開度信号がクリープ正トルク閾値を下回って一定時間経過した後、トルク制御から回転数制御へ切換えてローラクラッチを駆動側方向から非駆動側方向へ締結させる制御につき、ローラクラッチの締結方向を切換える制御を各変速段にて行う電気自動車の制御方法。
  7. 請求項6において、ローラクラッチの締結方向を切換える制御を各変速段にて行うにつき、ローラクラッチの締結方向切換時に、回転数差と制限電流、回転数制御実施時間のマップをメモリに設定しておき、マップの値を用いて前記回転数制御を実施する電気自動車の制御方法。
  8. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、回生制動の開始につき、現変速段のローラクラッチが正方向から負方向へ締結した後、回転数制御からトルク制御へ切換えて回生制動を行う電気自動車の制御方法。
  9. 請求項8において、現変速段のローラクラッチが正方向から負方向へ締結した後、回転数制御からトルク制御へ切換えて回生制動を行うにつき、現変速段のローラクラッチ締結時の制限電流または制限トルクから回生指令トルクに向けて、トルク制御にてn回補間制御し、回生指令値の信号との誤差を縮めていく追跡過程で、誤差がある閾値以内になると、n回補間制御を終了する電気自動車の制御方法。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、回生制動につき、回生指令トルクがクリープ負トルク閾値の絶対値(正)を下回ると、クリープ負トルク閾値の絶対値(正)として、締結時の制限電流からクリープ負トルク閾値の絶対値(正)への補間制御を実施しながら、回生制御を行い、回生制御中には、電動モータのq軸電流(トルク成分) の方向は負である電気自動車の制御方法。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、回生指令トルク値に従い回生制御実施中、アクセル開度信号が(クリープ正トルク閾値+閾値トルクA)を上回った状態で一定時間経過した場合に、回生制御を停止する電気自動車の制御方法。
  12. 請求項11において、回生指令トルク値に従い回生制御実施中、アクセル開度信号が(クリープ正トルク閾値+閾値トルクA)を上回った状態で一定時間経過した場合に、回生制御を停止するにつき、一定時間に、アクセル開度信号が(クリープ正トルク+閾値トルクA)を上回った場合に、一定時間をリセットし、アクセル信号が(クリープ正トルク+ 閾値トルクA)を上回った時点から待ち時間を数え始める電気自動車の制御方法。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、回生指令トルク値に従って回生制御を実施中に、車速が一定車速を下回った場合に、直ちに回生制御を停止する電気自動車の制御方法。
  14. 請求項1ないし請求項13のいずれか1項において、回生制御の停止後、回生指令トルクから締結時の制限電流または制限トルクに向けて、トルク制御にて、n回補間制御を実施する電気自動車の制御方法。
  15. 請求項14において、n回補間制御の完了後、トルク制御から回転数制御へ切換時に、メモリに設定された回転数差と制限電流、回転数制御実施時間のマップの値を用いて回転数制御を実施する電気自動車の制御方法。
  16. 請求項15において、上記回転数制御の完了後、回転数制御からトルク制御へ切換え、現変速ローラクラッチの締結の制限電流または制限トルクからアクセル開度信号に向け、n回補間制御を実施する電気自動車の制御方法。
  17. 請求項1ないし請求項16のいずれか1項において、車両の電源を起動時および停車時に、シフト操作部材のシフトレンジ信号に基づいてローラクラッチをトルク制御により、駆動側または非駆動側の楔空間に締結させる制御において、前回のシフト操作部材のシフトレンジに応じて、(予め変速ECU のROM )メモリに設定された制御トルクと制限時間のデータを取込み、数段階に分けて前記クリープ制御を実施する電気自動車の制御方法。
  18. 請求項1ないし請求項17のいずれか1項において、シフト操作部材のシフトレンジがドライブレンジの場合、現変速段のローラクラッチを駆動側楔空間に締結させ、電動モータのq軸電流(トルク成分)の方向は正である電気自動車の制御方法。
  19. 請求項1ないし請求項17のいずれか1項において、シフト操作部材のシフトレンジがリバースレンジの場合、現変速段のローラクラッチを非駆動側楔空間に締結させ、電動モータのq軸電流(トルク成分)の方向は負である電気自動車の制御方法。
  20. 互いに変速比が異なる複数の変速段のギヤ列と、走行用の電動モータの出力軸であるモータ軸に連結された入力軸と前記各変速段のギヤ列との間にそれぞれ介在し断続の切換が可能な各変速段の2ウェイ型のローラクラッチと、これら各ローラクラッチの断続の切換を行う変速比切換機構とを有する変速機を備え、
    前記各ローラクラッチは、内輪のカム面と外輪間に設けられた各楔状空間にローラが介在し、各ローラが楔状空間の狭まり部分に係合することで接続状態となり、保持器により各ローラを楔状空間の広がり部分に位置させることで切断状態となる構成であり、
    前記変速比切換機構は、保持器に連結されて回転する摩擦板の外輪への接触と離間とを変速切換アクチュエータによるシフト部材の進退によって切り換える機構である、
    電気自動車における制御システムにおいて、
    アクセルのONからOFFへの操作時、およびOFFからONへの操作時のいずれか一方または両方の操作時に、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とすることで、前記ローラクラッチのローラを常に駆動側に締結させるクリープ制御手段を設けたことを特徴とする電気自動車の制御方法。
  21. 請求項20において、前記クリープ制御手段は、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が開度閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記開度閾値以上とする制御を、車両走行速度の全速度領域で行う電気自動車の制御システム。
  22. 請求項20において、前記クリープ制御手段により、トルク制御で走行中に、アクセル開度信号が閾値を下回ると、アクセル開度信号を前記閾値以上とする制御につき、アクセルOFF時に回生制御を行い、回生指令トルクが回生時用の閾値を下回ると、この回生時用の閾値の負トルクを入力して、ローラクラッチのローラを常に非駆動側に締結させる回生時制御手段を設けた電気自動車の制御システム。
  23. 請求項20ないし請求項22のいずれか1項において、前記クリープ制御手段は、アクセル開度信号がクリープ正トルク閾値を下回って一定時間経過した後、トルク制御から回転数制御へ切換えてローラクラッチを駆動側方向から非駆動側方向へ締結させる電気自動車の制御システム。
  24. 請求項23において、前記クリープ制御手段は、アクセル開度信号がクリープ正トルク閾値を下回って一定時間経過した後、トルク制御から回転数制御へ切換えてローラクラッチを駆動側方向から非駆動側方向へ締結させる制御につき、ローラクラッチの締結方向を切換える制御を各変速段にて行う電気自動車の制御システム。
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