JP2013152457A - 偏光板およびこれを用いた表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】表示装置のパネル表示時の色ムラの発生を抑制することができる偏光板を提供する。
【解決手段】本発明の一形態は、二色性物質を吸着した親水性高分子層と基材層との積層体が延伸処理されてなる延伸積層体を有する偏光板に関する。そして、本形態に係る偏光板は、基材層の、23℃の水中に24時間含浸したときの吸水率が1.0〜8.0質量%である点に特徴を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板およびこれを用いた表示装置に関する。
近年、表示装置の分野における技術革新は目覚ましく、液晶表示装置、有機EL表示装置などの表示装置の開発が進められ、数多くの製品が上市されるに至っている。
ここで、液晶表示装置の方式としては、通称TN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等がよく知られているが、なかでもIPS(インプレーンスイッチング;In-Plane Switching)モード型液晶表示装置(以下、単に「IPS型液晶表示装置」とも称する)は、液晶層および当該液晶層を挟持する一対の基板を有する液晶セルと、当該液晶セルの両側(視認側およびバックライト側)にそれぞれ配置された偏光板と、を備えるものである。このIPS型液晶表示装置は、現在、タブレット型表示装置やスマートフォンなどの携帯用機器に広く用いられている。IPS型液晶表示装置では、黒表示時に液晶層に含まれる液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向するため、IPS型液晶表示装置は黒表示性能に優れるという利点がある。また、IPS型液晶表示装置では、いわゆる光学補償フィルム(視野角拡大フィルム)を用いなくともある程度の高視野角を確保できるという利点もある。一方、IPS型液晶表示装置が備える液晶セルの光学的な特性上、斜め方向から画面を見たときに光漏れが発生し、表示画像のコントラストが低下するという問題があった。
液晶表示装置では一般に、このようなコントラストの低下を防止することを目的として、位相差フィルムが使用されているが、さらなる性能向上のために、様々な光学設計に対応可能な位相差フィルムが求められるようになってきている。また、上述したような携帯用機器に搭載される位相差フィルムについては、よりいっそうの薄型化、軽量化の要求も強い。
液晶表示装置の重要な構成部材の1つに、偏光板がある。偏光板は、偏光子と当該偏光子を保護するための偏光板保護フィルムとが積層されてなる構成を有する。偏光板の1つのタイプとして、いわゆる塗布型偏光板が知られているが、この塗布型偏光板は、加湿環境下においてカールが発生するという問題を抱えている。
従来、塗布型偏光板を薄型化した場合に、特に加湿環境下においてもカールの発生を防止できる技術として、基材層と親水性高分子層との積層体を延伸処理した延伸積層体の親水性高分子層に二色性物質を吸着させたものを偏光板として用いる技術が提案されている(特許文献1を参照)。ここで、特許文献1に記載の技術においては、基材層として透湿度の小さい(120g/m/24h以下の)ものが用いられることが好ましいとされており、このような低透湿性の基材層を構成する好ましい材料としては、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂および(メタ)アクリル樹脂が例示されている。
特開2009−98653号公報
本発明者は、上述した特許文献1に記載の技術について検討を行なった。その結果、特許文献1に記載の技術によって偏光板を構成した場合であっても、やはり偏光子を内側とする強いカールが発生することを見出した。これは、偏光子として機能する親水性高分子層の収縮力が、基材層の収縮力よりも強いことによるものと推測されている。
このように強いカールが発生しうる偏光板を用いて表示装置を構成する際には、偏光板と表示装置のパネルとを強力な粘着剤を介して貼合する必要がある。しかしながら、このようにして構成された表示装置のパネル点灯時には、色ムラが生じてしまうことも判明した。これは、強力な粘着剤を介してパネルと貼合された偏光板においては、依然として偏光子(親水性高分子層)に応力が残留してしまい、当該応力がうまく緩和されないことによるものと推測される。
そこで本発明は、表示装置のパネル表示時の色ムラの発生を抑制することができる偏光板を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行なった。その結果、親水性高分子層と基材層との積層体が延伸処理されてなる延伸積層体を有する偏光板において、基材層として吸水率が所定の範囲内の値となるものを採用することで上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.二色性物質を吸着した親水性高分子層と基材層との積層体が延伸処理されてなる延伸積層体を有する偏光板であって、
前記基材層の、23℃の水中に24時間含浸したときの吸水率が1.0〜8.0質量%である、偏光板;
2.前記基材層がセルロース系樹脂を含む、上記1に記載の偏光板;
3.前記セルロースエステル樹脂が、下記数式(1)〜(3):
式中、Aはアセチル基の置換度を表し、Bは炭素数3〜7のアシル基の置換度の総和を表す、
の関係を満たすアシル基置換度を有する、上記1または2に記載の偏光板;
4.前記親水性高分子層が、親水性高分子としてポリビニルアルコールを含む、上記1〜3のいずれか1項に記載の偏光板;
5.前記二色性物質がヨウ素である、上記1〜4のいずれか1項に記載の偏光板;
6.上記1〜5のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法であって、
前記基材層を溶融流延法により製膜する工程を含む、製造方法;
7.上記1〜5のいずれか1項に記載の偏光板、または上記6に記載の製造方法によって製造された偏光板を備えた表示装置。
本発明によれば、表示装置のパネル表示時の色ムラの発生を抑制することができる偏光板が提供される。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
≪偏光板≫
本発明の一形態は、二色性物質を吸着した親水性高分子層と基材層との積層体が延伸処理されてなる延伸積層体を有する偏光板に関する。そして、本形態に係る偏光板は、基材層の、23℃の水中に24時間含浸したときの吸水率が1.0〜8.0質量%である点に特徴を有する。
本形態に係る偏光板は、上述したように、親水性高分子層と基材層との積層体が延伸処理されてなる延伸積層体を有するものである。以下、当該延伸積層体の構成要素について、より詳細に説明する。
[親水性高分子層]
延伸積層体は、まず、親水性高分子層を備える。親水性高分子層は、親水性高分子を主成分として含有する層である。そして、本形態に係る偏光板において、親水性高分子層は二色性物質を吸着したものである。これにより、親水性高分子層は、本形態に係る偏光板において偏光子として機能することになる。
親水性高分子層を構成する親水性高分子について特に制限はないが、ポリビニルアルコール系材料が好ましく例示される。ポリビニルアルコール系材料としては、例えば、ポリビニルアルコールおよびその誘導体が挙げられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等があげられるほか、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸そのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものが挙げられる。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜10000程度が好ましく、1000〜10000がより好ましい。ケン化度は80〜100モル%程度のものが一般に用いられる。上記のほか、親水性高分子としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化物、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等が挙げられる。前記親水性高分子としては、ポリビニルアルコール系材料のなかでも、ポリビニルアルコールを用いるのが好ましい。
親水性高分子層は、上述した親水性高分子に加えて、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含有してもよい。可塑剤としては、ポリオールおよびその縮合物等が挙げられ、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。可塑剤等の使用量は特に制限されないが、親水性高分子層の全量100質量%に対して20質量%以下とするのが好ましい。
親水性高分子層に吸着される二色性物質の具体的な構成についても特に制限はないが、例えば、ヨウ素や有機染料等が挙げられる。有機染料としては、例えば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、エロー3G、エローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラック、等が用いられうる。なかでも、水溶性、工程適性という観点からは、二色性物質としてヨウ素が用いられることが好ましい。これらの二色性物質は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
親水性高分子層における二色性物質の吸着量についても特に制限はなく、従来公知の知見を参照して適宜設定することが可能である。
親水性高分子層の延伸後の厚みは特に制限されないが、好ましくは2〜10μmであり、より好ましくは2〜8μmである。当該厚みが下限値以上の値であれば、製造時の厚みばらつきの影響が小さくなり、外観不良が起こりにくくなるという利点がある。一方、当該厚みが上限値以下の値であれば、水溶液の乾燥性が良くなり、生産性が向上するという利点がある。なお、親水性高分子層の厚みの値としては、延伸した積層体の厚みから基材フィルムのみを同条件で延伸したフィルムの厚みを引くという手法により測定した値を採用するものとする。また、厚みの測定は膜厚計などを使用して行う。
[基材層]
延伸積層体はまた、基材層を備える。基材層は、延伸積層体(偏光板)の作製時において、親水性高分子層を作製するための基材として機能しうる。また、基材層は、本形態に係る偏光板において、偏光子を保護するための保護層(保護フィルム)として機能する。また、基材層と親水性高分子層との間に別の層を設けてもよい。
延伸積層体を構成する基材層は、23℃の水中に24時間含浸したときの吸水率が1.0〜8.0質量%である。当該吸水率は、好ましくは2.0〜5.0質量%であり、より好ましくは3.0〜5.0質量%である。なお、基材層の吸水率の値としては、以下の手法により測定した値を採用するものとする。
(基材層の吸水率の測定方法)
延伸積層体から基材層のみを分離し、これを23℃の水中に24時間含浸した後、水中から引き上げて基材層の質量(M1)を測定する。続いて、基材層に対して23℃55%RHにて24時間静置した後、基材層の質量(M0)を測定する。これらの測定結果から、下記数式(4)に従って、吸水率を算出する。
吸水率が上述の規定を満たすような基材層を用いて親水性高分子層との延伸積層体を構成し、これを偏光板として用いることで、表示装置のパネル表示時の輝度ムラの発生を抑制することができる。このような作用効果が達成されるメカニズムは完全には明らかではないが、基材層の吸水率を上述のように比較的大きいものとすることで、延伸積層体の作製時(例えば、染色処理時)に基材層が吸水して、親水性高分子層との間で収縮力が異なることに起因する応力が緩和され、その結果としてカールの発生が抑制されることによるものと推測される。
基材層を構成する材料について特に制限はなく、上述した比較的高い吸水率を達成できる材料であればいずれのものも用いられうる。好ましくは、基材層は延伸可能な樹脂材料から構成される。なかでも、好ましい実施形態において、基材層は、セルロース系樹脂を含有する。セルロース系樹脂の具体的な形態についても特に制限はないが、セルロースエステル、セルロースエーテル、カチオン化セルロース、各種ビニル単量体などの存在下で重合したセルロース系樹脂、各種ビニル単量体などとのグラフト重合体などが用いられる。
セルロースエステル樹脂の具体的な形態についても特に制限はないが、特に脆性の改善や透明性の観点から、下記数式(1)〜(3):
式中、Aはアセチル基の置換度を表し、Bは炭素数3〜7のアシル基の置換度の総和を表す、
の関係を満たすアシル基置換度を有するものであることが好ましい。
セルロースエステル樹脂の炭素数2〜7のアシル基の総置換度(A+B)が2.0以上であれば(すなわち、セルロースエステル分子の2,3,6位の水酸基の残度が1.0以下であれば)、基材層が偏光板保護フィルムとして機能する場合にもヘイズの上昇が防止される。また、アシル基総置換度(A+B)が2.0以上で、かつ、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.0以上であれば、脆性の低下が防止される。
セルロースエステル樹脂のアシル基置換度は、総置換度(A)が2.0〜3.0であり、アセチル基の置換度(A)が0.15〜2.0であり、炭素数が3〜7のアシル基の置換度(B)が1.2〜3.0であれば問題ないが、炭素数が3〜7以外のアシル基、すなわち、アセチル基や炭素数が8以上のアシル基の置換度の総計が1.3以下とされることが好ましい。また、セルロースエステル樹脂の炭素数2〜7のアシル基の総置換度(A+B)は、2.5〜3.0の範囲であることがさらに好ましい。
なお、前記アシル基は、脂肪族アシル基であっても、芳香族アシル基であってもよい。脂肪族アシル基の場合は、直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有してもよい。本発明におけるアシル基の炭素数は、アシル基の置換基を包含するものである。
セルロースエステル樹脂が、芳香族アシル基を置換基として有する場合、芳香族環に置換する置換基Xの数は0〜5個であることが好ましい。この場合も、上述した好ましい実施形態では、置換基を含めた炭素数が3〜7であるアシル基の置換度が1.0〜2.75となるように留意が必要である。例えば、ベンゾイル基は炭素数が7になるため、炭素を含む置換基を有する場合は、ベンゾイル基としての炭素数は8以上となり、炭素数が3〜7のアシル基には含まれないこととなる。
さらに、芳香族環に置換する置換基の数が2個以上のとき、これらは互いに同じでも異なっていてもよく、また、互いに連結して縮合多環化合物(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
セルロースエステル樹脂としては、特にセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートベンゾエート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらの中で特に好ましいセルロースエステル樹脂は、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースプロピオネートである。本発明では2種以上のセルロースエステル樹脂を混合して用いることもできる。
なお、アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することができる。また、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めたものである。
セルロースエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に脆性の改善の観点から好ましくは75000以上であり、75000〜300000の範囲であることがより好ましく、100000〜240000の範囲内であることがさらに好ましく、160000〜240000のものが特に好ましい。セルロースエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が75000を下回る場合は、耐熱性や脆性の改善効果が十分に得られない虞がある。
延伸積層体を構成する基材層の厚みについて特に制限はないが、好ましくは5〜60μmであり、さらに好ましくは5〜30μmである。当該厚みが5μm未満であると、偏光板としての強度が不十分となる虞がある。一方、当該厚みが30μmを超えると、パネルの反りが生じやすくなる虞がある。なお、基材層の厚みの値としては、基材フィルムのみを同条件で延伸したフィルムを作製するという手法により測定した値を採用するものとする。
なお、基材層は、偏光板保護フィルムとしての機能を損なわない限り、セルロースエステル樹脂以外の樹脂や添加剤を含有して構成されていてもよい。
基材層がセルロースエステル樹脂以外の樹脂を含む形態として、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂とが相溶状態で含まれる形態が例示される。かような形態については、国際公開第2011/121720号パンフレットや国際公開第2011/121817号パンフレットの開示内容などが参照されうる。
セルロースエーテル樹脂の具体的な形態についても特に制限はないが、セルロース分子中の2,3,6位の少なくとも1つの置換基に、エーテル結合を有する。ここで言うエーテル結合とは、炭素−酸素−炭素結合のことである。セルロースエーテルとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、光学フィルムとしての透明性、耐久性を確保するためには、エチルセルロースが最適である。エトキシル置換度は、1.9〜2.9の範囲であることが好ましく、溶融時の粘度の関係と耐湿熱環境の安定性のバランスから、2.2〜2.9の範囲であることが特に好ましい。また、エーテル置換度はASTM D4794−94に記載の方法にて定量することができる。セルロースエーテルの分子量としては、単独でフィルム化することができればよく、具体的には、数平均分子量Mnが、30,000≦Mn≦300,000(ポリスチレン換算)の範囲であればよく、さらに、好適には、50,000〜200,000のものが使用される。分子量が小さすぎると、フィルムが脆くなり、また、分子量が高すぎると、粘度高く、成形加工時の成形安定性が悪くなるため、製造上好ましくない。
基材層は、種々の添加剤を含みうる。
〈低分子量アクリルポリマー〉
基材層に添加されうる添加剤としては、まず、低分子量アクリルポリマーが挙げられる。当該低分子量アクリルポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500〜30000である。低分子量アクリルポリマーのなかでも分子内に芳香環および親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaを重合して得られた重量平均分子量500〜30000のポリマーX、または、分子内に芳香環および親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと分子内に芳香環を有さず親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量500〜30000のポリマーXを含有することが好ましい。ここで、分子内に芳香環および親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaとしては、後述するような(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、なかでもメタクリル酸メチル(MMA)が特に好ましい。また、分子内に芳香環を有さず親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとしては、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。XにおけるXa由来の構成単位とXb由来の構成単位との含有比率について特に制限はないが、Xa由来の構成単位:Xb由来の構成単位の質量比として、50:50〜95:5が好ましく、60:40〜90:10がより好ましく、70:30〜80:20が特に好ましい。
なお、上述したアクリルポリマーの重量平均分子量は、好ましくは1500〜20000であり、より好ましくは2000〜10000であり、特に好ましくは2500〜5000である。アクリルポリマーの重量平均分子量がかような範囲内の値であれば、揮発性と相溶性のバランスがとりやすいという利点がある。
また、上述したアクリルポリマーの基材層における含有量は、セルロースエステル樹脂100質量%に対して、好ましくは10〜40質量%であり、より好ましくは20〜30質量%である。
低分子量アクリルポリマー以外の添加剤としては、例えば、可塑剤、糖エステル化合物、リターデーション調整剤、着色剤などが挙げられる。
〈可塑剤〉
可塑剤の具体的な形態について特に制限はないが、例えば、ポリエステル系可塑剤が挙げられる。ポリエステル系可塑剤の具体的な構造について特に制限はなく、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤が用いることができる。ポリエステル系可塑剤としては、例えば、下記一般式(4)で表されるポリエステル化合物が挙げられる。
で表されるポリエステル化合物が挙げられる。
一般式(4)において、Bは、炭素数2〜6の直鎖または分岐のアルキレン基またはシクロアルキレン基を表し、Aは、炭素数6〜14の芳香環、または、炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基もしくはシクロアルキレン基を表し、Xは、水素原子または炭素数6〜14の芳香環を含むモノカルボン酸残基を表し、nは、1以上の自然数を表す。
一般式(4)で表されるポリエステル化合物は、芳香環(炭素数6〜14)または直鎖もしくは分岐のアルキレン基もしくはシクロアルキレン基(ともに炭素数2〜6)を有するジカルボン酸と、炭素数2〜6の直鎖または分岐のアルキレンジオールまたはシクロアルキレンジオールとの交互共重合により得られる交互共重合体である。芳香族ジカルボン酸と、直鎖または分岐のアルキレン基またはシクロアルキレン基を有するジカルボン酸とは、それぞれ単独で用いても、混合物として用いても構わないが、偏光板保護フィルムを構成する主成分の樹脂(例えば、セルロースエステル樹脂)との相溶性の点から、少なくとも芳香族ジカルボン酸が10%以上含まれることが好ましい。また、芳香環(炭素数6〜14)を有するモノカルボン酸で両末端を封止してもよい。
芳香環(炭素数6〜14)を有するジカルボン酸、つまり、炭素数6〜16の芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、等が挙げられる。そのなかでも好ましくは、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸である。
直鎖または分岐のアルキレン基またはシクロアルキレン基(炭素数2〜6)を有するジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、等が挙げられる。そのなかでも好ましくは、コハク酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である。
また、炭素数が2〜6の直鎖または分岐のアルキレンジオールまたはシクロアルキレンジオールとしては、例えば、エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。そのなかでも、好ましくはエタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオールである。
なかでも、Aが置換基を有していてもよいベンゼン環、ナフタレン環またはビフェニル環であることが、可塑性付与性能に優れるという観点から好ましい。ここで、ベンゼン環、ナフタレン環またはビフェニル環が有しうる「置換基」とは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基である。
ポリエステル化合物の両末端を封止する、芳香環(炭素数6〜14)を有するモノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、オルトトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、パラターシャリブチル安息香酸、ジメチル安息香酸、パラメトキシ安息香酸が挙げられる。そのなかでも好ましくは安息香酸、パラトルイル酸、パラターシャリブチル安息香酸である。
芳香族ポリエステル化合物は、常法により上述したジカルボン酸とアルキレンジオールまたはシクロアルキレンジオールとのポリエステル化反応またはエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によって容易に合成することができる。さらに、上述した芳香族モノカルボン酸を加えることで、両末端が封止されたポリエステル化合物を合成することができる。
以下に、本発明において用いられうる芳香族ポリエステル化合物を例示する。
基材層は、一般式(4)で表されるポリエステル化合物以外の可塑剤をさらに含有することができる。
一般式(4)で表されるポリエステル化合物以外の可塑剤としては特に限定されないが、好ましくは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤および多価アルコールエステル系可塑剤、エステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等から選択される。
そのうち、可塑剤を二種以上用いる場合は、少なくとも一種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に好ましく用いられる多価アルコールは次の一般式(a)で表される。
式中、R11はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、および/またはフェノール性ヒドロキシ基(水酸基)を表す。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。
特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースアセテートとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基あるいはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースアセテートとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル化合物としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
多価カルボン酸は次の一般式(b)で表される。
式中、R12は(m1+n1)価の有機基、m1は2以上の正の整数、n1は0以上の整数、COOH基はカルボキシ基、OH基はアルコール性またはフェノール性ヒドロキシ基を表す。
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸またはその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などを好ましく用いることができる。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物に用いられるアルコールとしては特に制限はなく公知のアルコール、フェノール類を用いることができる。
例えば炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコールまたはその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールまたはその誘導体なども好ましく用いることができる。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性またはフェノール性のヒドロキシ基(水酸基)を、モノカルボン酸を用いてエステル化しても良い。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上持つ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に酢酸、プロピオン酸、安息香酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物の分子量は特に制限はないが、分子量300〜1000の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースアセテートとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステルに用いられるアルコール類は一種類でも良いし、二種以上の混合であっても良い。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物の酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価を上記範囲にすることによって、リターデーションの環境変動も抑制されるため好ましい。
なお、酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシ基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
特に好ましい多価カルボン酸エステル化合物の例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
可塑剤は、基材層の全量100質量%に対して、0.1〜30質量%の量で含まれることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。
〈糖エステル化合物〉
基材層が糖エステル化合物をさらに含むことで、セルロースエステル樹脂の加水分解が防止されることから、フィルムの耐水性が向上しうる。
糖エステル化合物の一例としては、下記一般式(5):
で表される化合物が挙げられる。
一般式(5)において、Qは、単糖類または二糖類の残基を表し、Rは、脂肪族基または芳香族基を表し、mは、単糖類または二糖類の残基に直接結合している水酸基の数の合計であり、lは、単糖類または二糖類の残基に直接結合している−(O−C(=O)−R)基の数の合計であり、3≦m+l≦8であり、l≠0である。
一般式(5)で表される構造を有する化合物は、水酸基の数(m)、−(O−C(=O)−R)基の数(l)が固定された単一種の化合物として単離することは困難であり、式中のm、lの異なる成分が数種類混合された化合物となることが知られている。したがって、水酸基の数(m)、−(O−C(=O)−R)基の数(l)が各々変化した混合物としての性能が重要であり、本形態のようなセルロースアシレートフィルムの場合、ヘイズ特性に対し一般式(5)で表される構造を有し、かつm=0の成分とm>0の成分との混合比率が45:55〜0:100である化合物が好ましい。さらに性能的、コスト的により好ましくはm=0の成分とm>0の成分との混合比率が10:90〜0.1:99.9の範囲である。なお、上記のm=0の成分とm>0の成分は、常法により高速液体クロマトグラフィによって測定することが可能である。
上記一般式(5)において、Qは単糖類または二糖類の残基を表す。単糖類の具体例としては、例えばアロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソースなどが挙げられる。
以下に、一般式(5)で表される、単糖類残基を有する化合物の構造例を示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
二糖類の具体例としては、例えば、トレハロース、スクロース、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、イソトレハロースなどが挙げられる。
以下に、一般式(5)で表される、二糖類残基を有する化合物の構造例を示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
一般式(5)において、Rは、脂肪族基または芳香族基を表す。ここで、脂肪族基および芳香族基はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。
また、一般式(5)において、mは、単糖類または二糖類の残基に直接結合している水酸基の数の合計であり、lは、単糖類または二糖類の残基に直接結合している−(O−C(=O)−R)基の数の合計である。そして、3≦m+l≦8であることが必要であり、4≦m+l≦8であることが好ましい。また、l≠0である。なお、lが2以上である場合、−(O−C(=O)−R)基は互いに同じでもよいし異なっていてもよい。
Rの定義における脂肪族基は、直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数1〜25のものが好ましく、1〜20のものがより好ましく、2〜15のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビシクロオクチル、アダマンチル、n−デシル、tert−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ジデシルなどが挙げられる。
また、Rの定義における芳香族基は、芳香族炭化水素基でもよいし、芳香族複素環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが特に好ましい。芳香族複素環基としては、酸素原子、窒素原子または硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。複素環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族複素環基としては、ピリジン、トリアジン、キノリンが特に好ましい。
次に、一般式(5)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
(合成例:一般式(5)で表される化合物の合成例)
撹拌装置、還流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.8モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。次に、コルベン内を4×10Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。そして、次にトルエン1L、0.5質量%の炭酸ナトリウム水溶液300gを添加し、50℃で30分間撹拌後、静置して、トルエン層を分取した。最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×102Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、例示化合物1、例示化合物2、例示化合物3、例示化合物4、および例示化合物5の混合物を得た。得られた混合物をHPLCおよびLC−MASSで解析したところ、例示化合物1が7質量%、例示化合物2が58質量%、例示化合物3が23質量%、例示化合物4が9質量%、例示化合物5が3質量%であった。なお、得られた混合物の一部をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで、それぞれ純度100%の例示化合物1、例示化合物2、例示化合物3、例示化合物4、および例示化合物5を得た。
糖エステル化合物は、基材層の全量100質量%に対して、0.1〜30質量%の量で含まれることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。
〈リターデーション調整剤〉
基材層は、リターデーション調整剤を含んでもよい。リターデーション調整剤とは、その添加によってフィルムのリターデーション発現性を調整できる添加剤である。その具体的な構成について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。また、波長分散を調整する効果を同時に有するリターデーション調整剤も存在するが、これを用いてもよい。
本発明において用いられうるリターデーション調整剤としては、例えば、欧州特許第911,656A2号明細書に記載されているような、2つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物が挙げられる。また、2種以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環をも含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環を有する化合物が特に好ましい。
また、リターデーション調整剤の他の例として、特開2010−163482号公報に一般式(I)として開示されている化合物が挙げられる。当該一般式(I)の具体例は、同公報の段落「0052」〜「0058」に開示されている。また、特開2010−163483号公報に一般式(I)として開示されている化合物もまた、同様にリターデーション調整剤として用いられうる。当該一般式(I)の具体例は、同公報の段落「0054」〜「0068」に開示されている。
リターデーション調整剤は、基材層の全量100質量%に対して、0.1〜30質量%の量で含まれることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。
〈ポリエステル〉
基材層は、下記のポリエステルを含有することも好ましい。
(一般式(d)または(e)で表されるポリエステル)
基材層は、下記一般式(d)または(e)で表されるポリエステルを含みうる。
(式中、B1はモノカルボン酸を表し、Gは2価のアルコールを表し、Aは2塩基酸を表す。B1、G、Aはいずれも芳香環を含まない。mは繰り返し数を表す。)
(式中、B2はモノアルコールを表し、Gは2価のアルコールを表し、Aは2塩基酸を表す。B2、G、Aはいずれも芳香環を含まない。nは繰り返し数を表す。)
一般式(d)、(e)において、B1はモノカルボン酸成分を表し、B2はモノアルコール成分を表し、Gは2価のアルコール成分を表し、Aは2塩基酸成分を表し、これらによって合成されたことを表す。B1、B2、G、Aはいずれも芳香環を含まないことが特徴である。m、nは繰り返し数を表す。
B1で表されるモノカルボン酸としては、特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸等を用いることができる。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のものが挙げられるが、本発明はこれに限定されない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖のまたは側鎖を有する脂肪酸が好ましく用いられうる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースアシレートとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸とを混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
B2で表されるモノアルコール成分としては、特に制限はなく公知のアルコール類が用いられうる。例えば、炭素数1〜32の直鎖のまたは側鎖を有する脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールが好ましく用いられうる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。
Gで表される2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等が挙げられるが、これらのうちエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましく、さらに、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールが好ましく用いられる。
Aで表される2塩基酸(ジカルボン酸)成分としては、脂肪族2塩基酸、脂環式2塩基酸が好ましく、脂肪族2塩基酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等、特に、脂肪族ジカルボン酸としては炭素数4〜12のもの、これらから選ばれる少なくとも1つのものが使用されうる。つまり、2種以上の2塩基酸を組み合わせて使用してもよい。
m、nは繰り返し数を表し、1以上で170以下が好ましい。
(一般式(f)または(g)で表されるポリエステル)
基材層は、下記一般式(f)または(g)で表されるポリエステルを含みうる。
(式中、B1は炭素数1〜12のモノカルボン酸を表し、Gは炭素数2〜12の2価のアルコールを表し、Aは炭素数2〜12の2塩基酸を表す。B1、G、Aはいずれも芳香環を含まない。mは繰り返し数を表す。)
(式中、B2は炭素数1〜12のモノアルコールを表し、Gは炭素数2〜12の2価のアルコールを表し、Aは炭素数2〜12の2塩基酸を表す。B2、G、Aはいずれも芳香環を含まない。nは繰り返し数を表す。)
一般式(f)、(g)において、B1はモノカルボン酸成分を表し、B2はモノアルコール成分を表し、Gは炭素数2〜12の2価のアルコール成分を表し、Aは炭素数2〜12の2塩基酸成分を表し、これらによって合成されたことを表す。B1、G、Aはいずれも芳香環を含まない。m、nは繰り返し数を表す。なお、B1、B2は、前述の一般式(d)または(e)におけるB1、B2と同義である。また、G、Aは、前述の一般式(d)または(e)におけるG、Aの中で炭素数2〜12のアルコール成分または2塩基酸成分に相当する。
ポリエステルの数平均分子量は1000以上10000以下である。数平均分子量が1000未満では、高温高倍率延伸で破断が生じやすく、10000より大きいと相分離起因の白化が増加しやすい。
ポリエステルの重縮合は常法によって行われる。例えば、上記2塩基酸とグリコールとの直接反応、上記の2塩基酸またはこれらのアルキルエステル類、例えば2塩基酸のメチルエステルとグリコール類とのポリエステル化反応またはエステル交換反応により熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコールとの脱ハロゲン化水素反応のいずれかの方法により容易に合成することができるが、重量平均分子量がさほど大きくないポリエステルは直接反応により合成することが好ましい。
低分子量側に分布が高くあるポリエステルはセルロースアシレートとの相溶性が非常によく、フィルム形成後、透湿度も小さく、しかも透明性に富んだセルロースアシレートフィルムを得ることができる。分子量の調節方法は、特に制限なく従来の方法を使用できる。例えば、重合条件にもよるが、1価の酸または1価のアルコールで分子末端を封鎖する方法を用いる場合には、これらの1価の原料化合物の添加量を調整することで分子量を調節することができる。この場合、1価の酸の添加量を調整することが、ポリマーの安定性の観点から好ましい。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられるが、重縮合反応中には系外に留去されず、停止して反応系外に除去するときには留去し易いものを選ぶことが好ましい。なお、この目的で複数の化合物を混合使用してもよい。また、直接反応の場合には、反応中に生成する水の量により反応を停止するタイミングを計ることによっても重量平均分子量を調節できる。その他、仕込むグリコールまたは2塩基酸のモル数を偏らせることによっても分子量の調節が可能であるし、反応温度をコントロールして分子量を調節することもできる。
ポリエステルは、基材層の全量100質量%に対して、0.1〜30質量%の量で含まれることが好ましく、2〜20質量%の量で含まれることがより好ましい。
〈紫外線吸収剤〉
基材層は、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下である。なお、基材層が紫外線吸収剤を含む場合、当該紫外線吸収剤は2種以上含まれることが好ましい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖および側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等のチヌビン類があり、これらはいずれもBASFジャパン株式会社製の市販品であり好ましく使用できる。
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、である。このほか、1,3,5トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。また、無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル樹脂中にディゾルバーやサンドミルを使用して分散してからドープに添加すればよい。
紫外線吸収剤は、基材層の全量100質量%に対して、0.1〜15質量%の量で含まれることが好ましく、1〜10質量%の量で含まれることがより好ましい。
〈赤外線吸収剤〉
基材層は、赤外線吸収剤を含んでもよい。かような構成とすることにより、フィルムの逆波長分散性が調整されうる。
赤外線吸収剤は、750〜1100nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、800〜1000nmの波長領域に最大吸収を有することがさらに好ましい。また、赤外線吸収剤は、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
赤外線吸収剤としては、赤外線吸収染料または赤外線吸収顔料を用いることが好ましく、赤外線吸収染料を用いることが特に好ましい。
赤外線吸収染料には、有機化合物と無機化合物が含まれる。有機化合物である赤外線吸収染料を用いることが好ましい。有機赤外線吸収染料には、シアニン化合物、金属キレート化合物、アミニウム化合物、ジイモニウム化合物、キノン化合物、スクアリリウム化合物およびメチン化合物が含まれる。赤外線吸収染料については、色材、61〔4〕215−226(1988)、および化学工業、43−53(1986、5月)に記載がある。
赤外線吸収機能あるいは吸収スペクトルの観点で染料の種類を検討すると、ハロゲン化銀写真感光材料の技術分野で開発された赤外線吸収染料が優れている。ハロゲン化銀写真感光材料の技術分野で開発された赤外線吸収染料には、ジヒドロペリミジンスクアリリウム染料(米国特許5380635号明細書および特願平8−189817号明細書記載)、シアニン染料(特開昭62−123454号、同3−138640号、同3−211542号、同3−226736号、同5−313305号、同6−43583号の各公報、特願平7−269097号明細書および欧州特許0430244号明細書記載)、ピリリウム染料(特開平3−138640号、同3−211542号の各公報記載)、ジイモニウム染料(特開平3−138640号、同3−211542号の各公報記載)、ピラゾロピリドン染料(特開平2−282244号記載)、インドアニリン染料(特開平5−323500号、同5−323501号の各公報記載)、ポリメチン染料(特開平3−26765号、同4−190343号の各公報および欧州特許377961号明細書記載)、オキソノール染料(特開平3−9346号明細書記載)、アントラキノン染料(特開平4−13654号明細書記載)、ナフタロシアニン色素(米国特許5009989号明細書記載)およびナフトラクタム染料(欧州特許568267号明細書記載)が含まれる。これらの赤外線吸収剤は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
赤外線吸収剤は、基材層の全量100質量%に対して、0.1〜30質量%の量で含まれることが好ましく、2〜20質量%の量で含まれることがより好ましい。
〈マット剤(微粒子)〉
基材層には、取扱性を向上させるため、例えば二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などの微粒子をマット剤として含有させることが好ましい。なかでも二酸化珪素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましい。
微粒子の平均一次粒子径としては、20nm以下が好ましく、さらに好ましくは5〜16nmであり、特に好ましくは5〜12nmである。
これらの微粒子は0.1〜5μmの粒径の2次粒子を形成してフィルム中に含まれることが好ましく、好ましい平均粒径は0.1〜2μmであり、さらに好ましくは0.2〜0.6μmである。これにより、フィルム表面に高さ0.1〜1.0μm程度の凹凸を形成し、これによってフィルム表面に適切な滑り性を与えることができる。
本発明に用いられる微粒子の平均一次粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、粒子径を測定しその平均値をもって、平均一次粒子径とする。
微粒子の見かけ比重としては、70g/リットル以上が好ましく、さらに好ましくは90〜200g/リットルであり、特に好ましくは100〜200g/リットルである。見かけ比重が大きいほど、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましく、また、固形分濃度の高いドープを調製する際には、特に好ましく用いられる。
1次粒子の平均径が20nm以下、見かけ比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得ることができる。また例えばアエロジルR812、アエロジル200V、アエロジルR972V(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、それらを使用することができる。
上記記載の見かけ比重は、二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、このときの重さを測定し、下記式で算出したものである。
マット剤(微粒子)は、基材層の全量100質量%に対して、0.01〜5質量%の量で含まれることが好ましく、0.1〜3質量%の量で含まれることがより好ましい。
〈着色剤〉
基材層は、着色剤を含んでもよい。「着色剤」とは、染料や顔料を意味するが、本発明では、液晶画面の色調を青色調にする効果またはイエローインデックスの調整、ヘイズの低減を有するものが特に好ましい。着色剤としては各種の染料や顔料が使用可能であるが、特に、アントラキノン染料、アゾ染料、フタロシアニン顔料などが有効である。
着色剤は、基材層の全量100質量%に対して、0.01〜5質量%の量で含まれることが好ましく、0.1〜3質量%の量で含まれることがより好ましい。
以上、好ましい実施形態として基材層がセルロースエステル樹脂を含む形態について説明したが、本形態に係る偏光板において、基材層は、いわゆる「ゼロ位相差フィルム」であることが好ましい。偏光板保護フィルムとして機能する基材層がゼロ位相差フィルムであることにより、高倍率の延伸処理を行っても位相差が出ず、画像表示装置に組み込んだ際に虹ムラ等が発現しないという利点がある。なお、これを定量的に表現すれば、基材層は、下記数式(1)および下記数式(2):
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を表し、nzはフィルム厚み方向の屈折率を表し、dはフィルムの厚み(nm)を表す;屈折率は23℃、55%RHの環境下、波長590nmで測定)
でそれぞれ表されるRoおよびRthについて、
を満足することが好ましい。Roは、より好ましくは−4〜4であり、特に好ましくは−3〜3である。また、Rthは、より好ましくは−4〜4であり、特に好ましくは−3〜3である。なお、これらのRoおよびRthを上述した範囲内の値に制御するには、基材層の製造時において、フィルムの組成や延伸条件、リターデーション調整剤の種類や添加量などを適宜調節すればよい。
上述した親水性高分子層と基材層とは、接着剤を介して接着されてなることが好ましい。接着剤の具体的な構成について特に制限はなく、本発明の作用効果を損なわないものであればいずれの接着剤も用いられうる。接着剤の一例として、ポリビニルアルコール水溶液(いわゆる水糊)が挙げられる。
また、接着剤として光硬化性接着剤が用いられてもよい。光硬化性接着剤は、エポキシ化合物およびカチオン重合開始剤を含有するものであることが好ましい。
このような光硬化性接着剤に含まれるエポキシ化合物およびカチオン重合開始剤の具体的な構成や各成分の配合量についても特に制限はないが、接着性の観点からは、エポキシ化合物は多価エポキシ化合物(分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物)であることが好ましい。多価エポキシ化合物には、分子内に少なくとも2個のエポキシ基および芳香環を有する芳香族多価エポキシ化合物、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有し、そのうちの少なくとも1個が脂環式環に結合している脂環式多価エポキシ化合物、分子内に芳香環を有さず、エポキシ基とそれが結合する2個の炭素原子を含む環(通常はオキシラン環)の一方の炭素原子が別の脂肪族炭素原子に結合している脂肪族多価エポキシ化合物などがある。かような多価エポキシ化合物としては、例えば、下記一般式(A)〜(D)のいずれかで表されるものが挙げられる。
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、アルキル基またはハロゲン原子を表し、L、およびLは、それぞれ独立して2価の脂肪族の有機基を表し、Mは酸素原子または窒素原子を表し、Aはm価の連結基を表し、a、bおよびcは、それぞれ独立して0〜4の整数を表し、xおよびyは、それぞれ独立して0〜20の実数を表し、lは1または2を表し、mは2〜4の整数を表す。)
一般式(A)、(B)、(D)において、L、Lとしては例えば、
などが挙げられ、一般式(C)においてAとしては、
などが挙げられる。
、R、Rのアルキル基としては、炭素数1〜3が好ましく、ハロゲン原子としてはBr、Cl、Fなどが挙げられる。
以下、一般式(A)、(B)、(C)または(D)で表される多価エポキシ化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
化合物(IV−1)において、nは、0〜20の整数である。
なお、構造式中にある変数xおよびyは実数であり、各々0〜20の範囲であれば何でもよい。x、yが必ずしも整数とならないのは、数種類の整数値を有するエポキシ化合物がある比率で混合された状態であり、その平均値を示しているからである。これらの多価エポキシ化合物は単独で用いても、2種類以上組み合わせてもよい。
また、多価エポキシ化合物の他の例として、例えば、下記一般式(E)〜(O)のいずれかで表されるものが挙げられる。
(式中、R〜R25は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜R25がアルキル基の場合、脂環式環に結合する位置は1位〜6位の任意の数である。炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖でもよく、分岐を有していてもよく、脂環式環を有していてもよい。Yは、酸素原子または炭素原子数1〜20のアルカンジイル基を表し、Y〜Yは、それぞれ独立して、直鎖でもよく、分岐を有していてもよく、脂環式環を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルカンジイル基を表し、n、p、qおよびrは、それぞれ独立して、0〜20の実数を表す。)
これらのうち、一般式(F)で示される脂環式ジエポキシ化合物が、入手が容易なので好ましい。一般式(F)の脂環式ジエポキシ化合物は、3,4−エポキシシクロヘキシルメタノール(そのシクロヘキサン環に炭素数1〜6のアルキル基が結合していてもよい)と、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸(そのシクロヘキサン環に炭素数1〜6のアルキル基が結合していてもよい)とのエステル化物である。その具体例として、次のような化合物が挙げられる。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート〔一般式(F)において、R=R=H、n=0である化合物〕、
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート〔一般式(F)において、R=6−メチル、R=6−メチル、n=0である化合物〕など。
上述した多価エポキシ化合物や、必要に応じて添加されるオキセタン化合物(後述する)は、カチオン重合により硬化するものである。したがって、光硬化性接着剤には、光カチオン重合開始剤が配合されることが好ましいのである。この光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射によって、カチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始する。
かような光カチオン重合開始剤を配合することにより、常温での硬化が可能となり、偏光子の耐熱性や膨張または収縮による歪を考慮する必要が減少し、セルロースアシレートフィルムを良好に接着することができる。また、光カチオン重合開始剤は活性エネルギー線の照射で触媒的に作用するため、エポキシ化合物や後述するオキセタン化合物等に混合しても、保存安定性や作業性に優れる。活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物として、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、鉄−アレン錯体等を挙げることができる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、例えば、次のような化合物が挙げられる。
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレート等。
芳香族ヨードニウム塩としては、例えば、次のような化合物が挙げられる。
ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート等。
芳香族スルホニウム塩としては、例えば、次のような化合物が挙げられる。
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニル〔4−(フェニルチオ)フェニル〕スルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニル〔4−(フェニルチオ)フェニル〕スルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4,4’−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、
4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等。
鉄−アレン錯体としては、例えば、次のような化合物が挙げられる。
キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、
クメン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、
キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)−トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイド等。
これらの光カチオン重合開始剤は、それぞれ1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。これらのなかでも特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
光カチオン重合開始剤は、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、それぞれ商品名で、“カヤラッドPCI−220”、“カヤラッドPCI−620”(以上、日本化薬(株)製)、“UVI−6992”(ダウ・ケミカル社製)、“アデカオプトマーSP−150”、“アデカオプトマーSP−170”(以上、(株)ADEKA製)、“CI−5102”、“CIT−1370”、“CIT−1682”、“CIP−1866S”、“CIP−2048S”、“CIP−2064S”(以上、日本曹達(株)製)、“DPI−101”、“DPI−102”、“DPI−103”、“DPI−105”、“MPI−103”、“MPI−105”、“BBI−101”、“BBI−102”、“BBI−103”、“BBI−105”、“TPS−101”、“TPS−102”、“TPS−103”、“TPS−105”、“MDS−103”、“MDS−105”、“DTS−102”、“DTS−103”(以上、みどり化学(株)製)、“PI−2074”(ローディア社製)、“イルガキュア250”、“イルガキュアPAG103”、イルガキュアPAG108”、イルガキュアPAG121”、イルガキュアPAG203”(以上、BASFジャパン社製)、“CPI−100P”、“CPI−101A”、“CPI−200K”、“CPI−210S”(以上、サンアプロ(株)製)等を挙げられ、特に、ジフェニル〔4−(フェニルチオ)フェニル〕スルホニウムをカチオン成分として含む、ダウ・ケミカル社製の“UVI−6992”、サンアプロ(株)製の“CPI−100P”、“CPI−101A”、“CPI−200K”、“CPI−210S”が好ましい。
光カチオン重合開始剤の配合割合は、光硬化性接着剤全体を基準として、0.5〜20質量%の範囲とすることが好ましい。その割合が0.5質量%以上であれば、接着剤の硬化が十分に達成され、機械強度や接着強度が確保される。一方でその割合が20質量%以下であれば、硬化物中のイオン性物質の増加に伴う硬化物の吸湿性の上昇やそれによる耐久性能の低下が抑制される。
光硬化性接着剤は、上述した成分に加えて、必要に応じて、オキセタン化合物や不飽和化合物をさらに含んでもよい。また、光硬化性接着剤が不飽和化合物を含む場合には、光ラジカル重合開始剤をさらに含むことが好ましい。さらに他の成分としては、光増感剤、熱カチオン重合開始剤、ポリオール類、シランカップリング剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤、増感剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、色素、有機溶剤等が挙げられる。
上述したように、親水性高分子層と基材層とが積層されて延伸処理されてなる延伸積層体において、親水性高分子層は偏光子として機能し、基材層は偏光板保護フィルムとして機能する。これにより、上記延伸積層体は偏光板として用いられうるのである。ここで、偏光子として機能する親水性高分子層の、基材層とは反対側の面には、従来公知の偏光板保護フィルムがさらに貼合されていてもよい。このような偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルムが用いられうる。市販のセルロースエステルフィルムとしては、例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UA、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC(以上、コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社製)等が好ましく用いられる。あるいは、さらにディスコティック液晶、棒状液晶、コレステリック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることも好ましい。例えば、特開2003−98348号公報に記載の方法で光学異方性層を形成することができる。本発明に係る偏光板に組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができる。なお、液晶セルから遠い側に位置する偏光板保護フィルムとして、または、当該フィルム上には、表示装置の品質を向上する上で、他の機能性を有するフィルムを配置することも可能である。例えば、反射防止(アンチリフレクション(AR))、防眩(アンチグレア(AG))、耐キズ(ハードコート(HC))、低反射(ローリフレクション(LR))、ゴミ付着防止、輝度向上、帯電防止、防汚、バックコートのためにディスプレイとしての公知の機能層を構成物として含むフィルムが偏光板保護フィルムとして用いられうる。あるいは、汎用のTACフィルム等の偏光板保護フィルムの表面に、これらの機能層を含むフィルムを別途貼付してもよい。
上記のような構成を有する偏光板には、さらに一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することができる。プロテクトフィルムおよびセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を表示パネルへ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムはパネルへ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
≪偏光板の製造方法≫
本発明に係る偏光板(延伸積層体)の製造方法について特に制限はなく、従来公知の知見、および後述する実施例の欄の記載を参照しつつ、適宜製造が可能である。偏光板(延伸積層体)の製造方法の一例を挙げると、例えば、基材層に、親水性高分子を含有する水溶液を塗工した後に、乾燥することにより得ることができる。かかる塗工により、基材層と親水性高分子層とが基材層と親水性高分子層とが直接、または好ましくは光硬化性接着剤の層を介して積層することで基材層と親水性高分子層が一体化した状態の積層体が得られる。
基材層の作製方法について特に制限はなく、セルロースエステル樹脂を含むフィルムの作製方法に関する従来公知の知見を適宜参照すればよい。
基材層は、親水性高分子を含有する水溶液の塗工前に、予め延伸処理を施されたものであってもよい。延伸処理は、一軸延伸、二軸延伸、斜め延伸などでありうる。一軸延伸は、基材層の長手方向に対して行う縦延伸、基材層の幅方向に対して行う横延伸のいずれであってもよい。横延伸では、幅方向に延伸を行いながら、長手方向に収縮させることもできる。横延伸方式としては、例えば、テンターを介して一端を固定した固定端一軸延伸法や、一端を固定しない自由端一軸延伸法等があげられる。縦延伸方式としては、ロール間延伸方法、圧縮延伸方法、テンターを用いた延伸法等が挙げられる。延伸処理は多段で行うこともできる。なお、基材層に対する延伸処理が一軸延伸である場合には、縦延伸(MD方向への延伸)であることが好ましい。
また、基材層の延伸処理時の温度について特に制限はないが、好ましくは130〜200℃であり、より好ましくは150〜180℃である。また、基材層の延伸処理では、基材層の元長に対して、すべての方向の合計延伸倍率で1.1〜10倍の範囲になるように行うとよい。好ましくは2〜6倍、さらに好ましくは3〜5倍である。
親水性高分子を含有する水溶液は、親水性高分子の粉末または親水性高分子フィルムの粉砕物、切断物等を、適宜に加熱した水(熱水)に溶解することにより調製することができる。前記水溶液の基材層上への塗工は、塗工法は、ワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などを適宜に選択して採用できる。基材層が光硬化性接着剤の層を有する場合には当該層に、当該層を有しない場合には基材層に直接、前記水溶液を塗工する。なお、乾燥温度は、通常、50〜200℃、好ましくは80〜150℃であり、乾燥時間は、通常、5〜30分間程度である。
なお、本発明で用いる積層体は、基材層の形成材と親水性高分子層の形成材との共押出によっても形成することができる。かかる共押出により基材層と親水性高分子層とが一体化した状態の積層体を得てもよい。共押出にあたっては、基材層の材料および親水性高分子層の材料を、それぞれ各層の形成材として共押出機に仕込み、共押出される基材層および親水性高分子層の厚さが所望の範囲になるように制御することが好ましい。
続いて、上記で得られた延伸前の積層体に、延伸処理および二色性物質による染色処理を施す。前記各処理が施された延伸積層体は、前記親水性高分子層への延伸処理と、二色性物質による染色処理により、得られる親水性高分子層には二色性物質が吸着されて偏光子として機能するようになる。
延伸処理は、上記で得られた積層体に一軸延伸、二軸延伸、または斜め延伸を施すことにより行う。この延伸処理は多段で行うこともできる。なお、基材層が予め延伸処理されたものでなく、かつ、積層体の延伸処理が一軸延伸である場合には、当該一軸延伸は縦延伸(MD方向への延伸)であることが好ましい。一方、基材層が予め縦延伸(MD方向への延伸)されたものであり、かつ、積層体の延伸処理が一軸延伸である場合には、当該一軸延伸は横延伸(TD方向への延伸)であることが好ましい。
また、積層体の延伸処理時の温度について特に制限はないが、好ましくは130〜200℃であり、より好ましくは150〜180℃である。また、積層体の延伸処理では、積層体の元長に対して、すべての方向の合計延伸倍率で2〜15倍の範囲になるように行うとよい。好ましくは3〜10倍、さらに好ましくは3〜7倍である。
染色処理は、積層体の親水性高分子層に、二色性物質を吸着させることにより行う。二色性物質としては、上述した通りであるためここでは説明を省略する。染色処理は、例えば、二色性物質を含有する溶液(染色溶液)に積層体を浸漬することにより行う。染色溶液としては、二色性物質を溶媒に溶解した溶液が使用できる。溶媒としては、水が一般的に使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒がさらに添加されてもよい。染色溶液中の二色性物質の濃度としては、0.01〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.02〜7質量%の範囲にあることがより好ましく、0.025〜5質量%であることが特に好ましい。
また、二色性物質としてヨウ素を使用する場合、染色効率をより一層向上できることから、さらにヨウ化物を添加することが好ましい。このヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらヨウ化物の添加割合は、前記染色溶液において、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。なかでも、ヨウ化カリウムを添加することが好ましく、ヨウ素とヨウ化カリウムの割合(質量比)は、1:5〜1:100の範囲にあることが好ましく、1:6〜1:80の範囲にあることがより好ましく、1:7〜1:70の範囲にあることが特に好ましい。
染色溶液への積層体の浸漬時間は、特に限定されないが、通常は、15秒〜5分間の範囲であることが好ましく、1分〜3分間であることがより好ましい。また、染色溶液の温度は、10〜60℃の範囲にあることが好ましく、20〜40℃の範囲にあることがより好ましい。染色処理は、積層体の親水性高分子層に、二色性物質を吸着させて、二色性物質を配向させる。染色処理は、積層体の延伸処理の前、同時または後に施すことができるが、親水性高分子層に吸着させた二色性物質を良好に配向させる点から、染色処理は、積層体に延伸処理を施した後に行うのが好ましい。
≪表示装置≫
本発明に係る偏光板は、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置などの各種の表示装置に用いられうる。
例えば、本発明に係る偏光板を液晶表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた液晶表示装置を作製することができる。また、本発明に係る偏光板はリワーク性にも優れたものであることから、表示装置の生産性も大幅に向上しうる。なお、本発明の偏光板は、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPSなどの各種駆動方式の液晶表示装置に用いることができる。好ましくはVA(MVA、PVA)型、およびIPS型液晶表示装置である。特に、IPSモード型液晶表示装置に組み込まれることが好ましい。
IPSモード型液晶表示装置における液晶パネルの液晶層は、初期状態で基板面と平行なホモジニアス配向で、かつ基板と平行な平面で液晶層のダイレクターは電圧無印加時で電極配線方向と平行または幾分角度を有し、電圧印加時で液晶層のダイレクターの向きが電圧の印加に伴い電極配線方向と垂直な方向に移行し、液晶層のダイレクター方向が電圧無印加時のダイレクター方向に比べて45°電極配線方向に傾斜したとき、当該電圧印加時の液晶層は、まるで1/2波長板のように偏光の方位角を90°回転させ、出射側偏光板の透過軸と偏光の方位角が一致して白表示となる。
一般に、液晶層の厚みは一定であるが、横電界駆動であるため、液晶層の厚みに若干凹凸を設ける方がスイッチングに対する応答速度を上げることができるとも考えられるが、液晶層の厚みが一定でない場合であっても、その効果を最大限生かすことができるものであり、液晶層の厚みの変化に対して影響が少ない。液晶層の厚みは、2〜6μmであって、好ましくは3〜5.5μmである。本形態に係る液晶表示装置は、大型の液晶テレビに用いられるほか、タブレット型表示装置やスマートフォンなどの携帯用機器にも好ましく用いられうる。
なお、IPSモード型液晶セルの詳細について特に制限はなく、従来公知の他の技術的事項(例えば、特開2010−3060号公報など)を参照することで、本発明を実施してももちろんよい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
≪偏光板1の作製≫
(ポリビニルアルコール水溶液の調製)
親水性高分子からなるフィルムである(株)クラレ製のポリビニルアルコールフィルム(平均重合度2400,ケン化度99モル%、商品名:VF‐PS2400)を、1辺が5mm以下の小片に裁断し、95℃の熱水中に溶解して、濃度10質量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。
(光硬化性接着剤の調製)
下記を混合して光硬化性接着剤を作成した。
エポキシ化合物A(ビスフェノールA型エポキシ樹脂 jER−828(ジャパンエポキシレジン株式会社製);一般式(A)において、RおよびRがすべて水素原子であり、Lが−C(CH−であり、xが2である化合物) 38質量部
3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン アロンオキセタンOXT−211(東亞合成株式会社製) 56質量部
光カチオン重合開始剤 UVI−6992(ダウケミカル社製) 3質量部
プロピレンカーボネート 3質量部
(積層体の作製:親水性高分子層の形成)
基材層として、下記の表1に記載のフィルム1を準備した。なお、このフィルム1は、
下記素材を真空ナウターミキサーで80℃、1Torrで3時間混合しながらさらに乾燥し、得られた混合物を、二軸式押出機を用いて235℃で溶融混合しペレット化したペレットを原料に作製した。
セルロースエステル樹脂(セルロースアセテートプロピオネート:アシル基総置換度2.91、アセチル基置換度0.01、プロピオニル基置換度2.9、Mw=250000、100℃で3時間乾燥し水分率200ppm) 100質量部
チヌビン928(BASFジャパン(株)製) 1.1質量部
アデカスタブ PEP−36(株式会社ADEKA製) 0.25質量部
イルガノックス1010(BASFジャパン(株)製) 0.5質量部
スミライザーGS(住友化学(株)製) 0.24質量部
アエロジルR972V(日本アエロジル(株)製) 0.27質量部
得られたペレットを、70℃の除湿空気を5時間以上循環させて乾燥を行い、100℃の温度を保ったまま、次工程の一軸式押出機に導入した。
上記ペレットを、一軸押出機を用いてTダイから表面温度が90℃の第1冷却ロール上に溶融温度240℃でフィルム状に溶融押し出しし、100μmのキャストフィルムを得た。この際第1冷却ロール上でフィルムを2mm厚の金属表面を有する弾性タッチロールで押圧した。
(積層工程)
次いで、準備したセルロースエステルフィルム1上に、上記で調製したポリビニルアルコール水溶液を塗工した後、120℃にて10分間乾燥させて、厚み10μmのポリビニルアルコール塗膜からなる親水性高分子層を形成して、積層体を得た。
(延伸処理)
上記で得られた積層体をロールtoロールにて、140℃にて長手方向(MD方向)に延伸倍率5倍で延伸して、延伸積層体を得た。ここで、得られた延伸積層体から基材層を剥がし、吸水率を測定したところ、3.3%であった。
(染色処理)
上記で作製した延伸積層体を、張力を保持した状態で、30℃のヨウ素溶液(質量比:ヨウ素/ヨウ化カリウム/水=1/10/100)に60秒間浸漬した。その後、60℃にて4分間乾燥を行って、偏光板1を得た。なお、得られた偏光板1における基材層(フィルム1;延伸後)の厚みは20μmであった。また、偏光板1における親水性高分子層(延伸後)の厚みは2μmであった。
≪偏光板2〜52、59の作製≫
上述した偏光板1の作製と同様の手法により、偏光板2〜52および59を作製した。この際、下記の表1および表2に示すように、基材層を構成するフィルムとして表1に示すフィルム2〜25のいずれかを用い、延伸処理の条件を調節することで作製した。なお、表1および表2に記載の「鹸化処理」の欄が「あり」と記載されている偏光板は、積層体の作製:親水性高分子層の形成と積層工程の間に下記鹸化処理を行い偏光板を作製した。
(鹸化処理)
準備したセルロースエステルフィルム1を、50℃2.0NのKOH水溶液に60秒間浸漬し、その後水洗処理を行った。
≪偏光板53の作製≫
上記偏光板1の作製において、セルロースエステル樹脂をエトキシル基置換度2.52のエチルセルロースに変え、その他は表1および表2に示す条件で作製した以外は同様の方法で偏光板53を作製した。ここで、得られた延伸積層体から基材層を剥がし、吸水率を測定したところ、5.5%であった。
≪偏光板54の作製≫
上記偏光板1の作製において、セルロースエステル樹脂をエトキシル基置換度2.80のエチルセルロースに変え、その他は表1および表2に示す条件で作製した以外は同様の方法で偏光板54を作製した。ここで、得られた延伸積層体から基材層を剥がし、吸水率を測定したところ、4.9%であった。
≪偏光板55の作製≫
上記偏光板2の作製において、弾性タッチロールで押圧後、製膜されたフィルム2の表面にコロナ放電処理を施した。コロナ放電処理の条件は、コロナ出力強度2.0kW、ライン速度18m/分とした。次いで、延伸されたフィルムのコロナ放電処理面に、上記で調製した光硬化性接着剤を、硬化後の膜厚が約3μmとなるようにバーコーターで塗工して接着剤層を形成した。その後、上記で調製したポリビニルアルコール水溶液を塗工した後、120℃にて10分間乾燥させて、光硬化性接着剤の層の上に厚み10μmのポリビニルアルコール塗膜からなる親水性高分子層を形成して、積層体を得た。その後、下記表2に記載の条件で延伸処理を行った後、ベルトコンベア付き紫外線照射装置(ランプは、フュージョンUVシステムズ社製のDバルブを使用)を用いて、積算光量が750mJ/cmとなるように紫外線を照射し、接着剤層を硬化させ偏光板55を作製した。
≪偏光板56〜58の作製≫
下記の表1および表2に記載のように、フィルムおよび延伸条件を変えた以外は偏光板55の作製と同様の方法で偏光板56〜58を作製した。
≪偏光板60の作製≫
延伸後の基材層として、アクリル樹脂フィルム(ラクトン化ポリメチルメタクリレートフィルム、厚み80μm、Re=2nm、Rth=0nm)を用いたこと以外は、上述した偏光板1の作製と同様の手法により、偏光板59を作製した。なお、当該アクリル樹脂フィルムは、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂[共重合モノマーの質量比:メタクリル酸メチル/2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル=8/2;ラクトン環化率約100%]90質量部とアクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂(トーヨーAS AS20、東洋スチレン(株)製)10質量部との混合物((株)日本触媒製)を溶融流延した無延伸フィルムである。
なお、上記と同様の手法により得られた延伸積層体から基材層を剥がし、吸水率を測定したところ、0.3%であった。
≪偏光板61の作製≫
延伸後の基材層として、環状オレフィン樹脂(COP)フィルム(ARTON(登録商標)、JSR株式会社製、厚み80μm)を用いたこと以外は、上述した偏光板1の作製と同様の手法により、偏光板60を作製した。
なお、上記と同様の手法により得られた延伸積層体から基材層を剥がし、吸水率を測定したところ、0.01%であった。
≪液晶表示装置1〜58、67〜69の作製≫
上記で作製した偏光板1〜57のいずれかを用いて、液晶表示装置1〜58、67〜69を作製した。なお、液晶表示パネルとしては従来公知のIPSモード型液晶表示パネルを用いた。また、偏光板は、親水性高分子層の側が液晶表示パネルと向き合うように、アクリル系粘着剤を用いて当該パネルと貼り合わせた。
≪液晶表示装置59〜62の作製≫
上記で作製した偏光板4、8、24および28のそれぞれの、親水性高分子層の側の露出表面に、トリアセチルセルロースを主成分とする偏光板保護フィルム(コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社製、コニカミノルタタックKC−4CZ)を水性接着剤を介して貼着して、基材層/親水性高分子層/4CZの3層構成を有する偏光板を作製した。そして、このようにして得られた偏光板のいずれかを用いて、上記と同様にして液晶表示装置を作製した。この際、4CZの側が液晶表示パネルと向き合うように、偏光板を当該パネルと貼り合わせた。
≪液晶表示装置63〜66の作製≫
上記で作製した偏光板4、8、24および28のそれぞれの、親水性高分子層の側の露出表面に、上述したアクリル樹脂フィルム(ラクトン化ポリメチルメタクリレートフィルム)を140℃で長手、幅手方向にそれぞれ2.0倍延伸処理を行った延伸済みアクリルフィルムを水性接着剤を介して貼着して、基材層/親水性高分子層/延伸済みアクリルフィルムの3層構成を有する偏光板を作製した。そして、このようにして得られた偏光板のいずれかを用いて、上記と同様にして液晶表示装置を作製した。この際、延伸済みアクリルフィルムの側が液晶表示パネルと向き合うように、偏光板を当該パネルと貼り合わせた。
≪液晶表示装置の評価≫
上記で作製した液晶表示装置について、延伸積層体の状態でのカールの発生の有無・程度、および輝度ムラの発生の有無・程度を評価した。これらの結果を、カールの発生については下記の表2に、輝度ムラについては下記の表3に、それぞれ示す。
(延伸積層体の状態でのカールの発生)
得られた延伸積層体について、巻き形状(カールの発生の有無)を目視で観察した。なお、評価基準は以下の通りである:
◎:ほぼカールが発生しなかった
○:若干のカールが発生したが、問題ない
×:強いカールが発生した。
(輝度ムラ)
IPSモード型液晶表示装置を、バックライト点灯2時間後の黒表示での輝度ムラ(強弱)と、画像表示した際の影響を目視で評価した。なお、輝度ムラの評価結果については、○以上であれば問題ない:
◎:輝度ムラが見えない
○:弱い輝度ムラが見えるが画像表示で気にならない
×:輝度ムラが強く、画像表示でも気になる。
表2および表3に示す結果から、本発明によれば、親水性高分子層と基材層との延伸積層体からなるいわゆる塗布型偏光板において、作製時のカールの発生が防止され、その結果、パネル実装時の輝度ムラの発生も防止されうることが示される。

Claims (8)

  1. 二色性物質を吸着した親水性高分子層と基材層との積層体が延伸処理されてなる延伸積層体を有する偏光板であって、
    前記基材層の、23℃の水中に24時間含浸したときの吸水率が1.0〜8.0質量%である、偏光板。
  2. 前記基材層がセルロース系樹脂を含む、請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記セルロース系樹脂がセルロースエステル樹脂であることを特徴とする、請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 前記セルロースエステル樹脂が、下記数式(1)〜(3):
    式中、Aはアセチル基の置換度を表し、Bは炭素数3〜7のアシル基の置換度の総和を表す、
    の関係を満たすアシル基置換度を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
  5. 前記親水性高分子層が、親水性高分子としてポリビニルアルコールを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板。
  6. 前記二色性物質がヨウ素である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏光板。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法であって、
    前記基材層を溶融流延法により製膜する工程を含む、製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の偏光板、または請求項6に記載の製造方法によって製造された偏光板を備えた表示装置。
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