JP2013152195A - 物体の形状測定方法及び測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
転がり軸受の構成部品である軌道輪や転動体などの形状変位を計測する形状測定装置において、形状が単純な円筒面ではない測定対象物を測定する際、測定子のストローク方向が被測定面に垂直でないことによる測定誤差が発生していた。
【解決手段】
変位センサ6の測定子7のストローク方向を被測定面に垂直な状態に維持し、測定対象物12を回転させて変位センサ6にて円周方向の形状を測定しつつ、変位センサ6を母線形状に沿って回転軸方向に移動させ、測定対象物の3次元形状データを取得し、上記格納手段に格納する。これによって測定誤差を補正するために複雑な演算を行う必要なく高精度な輪郭形状を求めることができるため、正確な真円度やウェービネスの値を得ることが可能となる。
【選択図】図1

Description

この発明は物体の形状測定装置に関し、詳しくは断面が円形形状の測定対象物を回転手段に保持し、該回転手段により測定対象物を回転させながら測定手段を介して測定対象物の真円度やウェービネス(表面うねり)等の形状データを計測する形状測定装置に関する。
従来より、転がり軸受の構成部品である軌道輪(内輪及び外輪)や転動体などの真円度やウェービネス等、微小な形状変位を計測する形状測定装置としては、スピンドル(回転手段)上に測定対象物を保持して該スピンドルを回転させ、測定対象物の近傍に配設された測定子(測定手段)によって測定対象物の形状データを計測する装置が知られている。
例えば、特許文献1はワイヤソーに用いる溝付きローラの溝形状を測定する装置に関するものである。具体的には、測定子の先端径を使用するワイヤと同じ大きさにして、被測定面の溝に落ち込む軌跡を検出器にて測定することで溝形状と溝底の位置を得ている。特許文献2はエレベータのロープ巻き上げ機に使用する溝付きローラの溝形状を測定する装置に関するものである。具体的には、溝付きローラを回転させつつ表面に接触させた測定子をローラの軸方向に移動させ、溝の形状を測定するものである。
特許文献3は測定子のストローク方向が鉛直方向に固定されている輪郭形状測定機で3次曲面の形状を測定する方法に関するものである。具体的には、測定手段(測長器、変位計等)の出力信号を測定子先端の曲率半径(先端R)の中心の移動量とみなし、被測定点近傍の複数の測定データから被測定面の法線ベクトルを求めて、測定子と被測定面の接触点から測定子先端Rの中心との距離及び方向を算出するというものである。
特開平9−323318公報 特開2009−198198公報 特開平11−257945公報
しかしながら、従来の装置は測定対象物の形状に係わらず測定子のストローク方向は一定であるため、形状が単純な円筒面ではない測定対象物、例えば転がり軸受の部品である内外輪の溝形状や球面ころ、円錐ころ等の形状を測定する際、測定子のストローク方向が被測定面に垂直でないことによる測定誤差が発生していた。
特許文献1および特許文献2に記載されている装置では、被測定面の角度が変わると測定子の先端の球または円筒と被測定面との接触角度が変わるため、対象物の正確な形状を得るには検出器の出力を補正する必要がある。仮に先端Rが十分に小さければ接触角度が変わることによる測定誤差は無視できるレベルまで小さくなるが、被測定面の法線方向と測定子のストローク方向が異なることによる測定誤差は残る。また、鋭利な測定子で被測定面を走査した場合、被測定面を傷付ける恐れがある他、誤った操作を行って測定子と被測定面とが衝突した場合、測定子が破損しやすいという問題がある。測定子による物理的な接触測定ではなく、極小のスポット径を持つレーザ変位計などの非接触測定手段を用いれば誤操作による破損の可能性は小さくなるが、非接触測定は被測定面に異物や油分の付着があると測定値が大きく変化することから、対象物の洗浄や空調管理など測定環境の整備が必要となる。
特許文献3に記載されている方法は上記の測定誤差を補正するものであるが、高精度に輪郭形状を求めるには測定子の先端Rの真球度を検定しなければならない。一般的に真球度の測定は直交する3つの赤道平面の真円度を測定するため、測定子の先端Rのように単体の球ではない部分の真球度を測定するのは困難を伴う。
本発明は前述の課題を鑑みたものであり、主に軸受の外輪、内輪、転動体(玉やころ)の真円度やウェービネスの測定において、測定誤差を補正するために複雑な演算を行う必要なく高精度な輪郭形状を求めることを目的とする。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)測定子のストローク方向を被測定面の法線方向と一致させた状態に維持し、測定対象物を回転させて測定手段にて円周方向の形状を測定しつつ、測定手段を予め登録された測定対象物の母線形状に沿って回転軸方向に移動させることにより、測定対象物の3次元的な測定データを取得する形状測定方法。
(2)測定対象物を保持しながら回転駆動する回転手段と、測定対象物の表面形状を測定する測定手段と、該測定手段を測定対象物の回転軸方向及び径方向に移動させる移動手段と、測定手段により検出された多数の測定データを格納する格納手段と、該測定データを所望の形式に演算する演算手段を備えた形状測定装置において、上記の形状測定方法にて測定するため測定手段の測定子のストローク方向を変化させる角度調整機構を有し、該角度調整機構により測定子のストローク方向を被測定面の法線方向と一致させた状態に維持しつつ、測定手段を予め登録された測定対象物の母線形状に沿って移動させることを特徴とする形状測定装置。
本発明は前述の課題を鑑みたものであり、主に軸受の外輪、内輪、転動体(玉やころ)の真円度や表面うねり測定において、測定手段の測定子ストローク方向を被測定面の法線方向と常に一致させることを特徴とする。これによって測定誤差を補正するために複雑な演算を行う必要なく高精度な輪郭形状を求めることができるため正確な真円度やウェービネスの値を得ることが可能となる。
本発明に係る測定装置を示す模式図である。 本発明に係る測定装置の動作手順を示すフローチャートである。 本発明に係る測定装置において球面ころの形状測定を行う場合の測定開始点を示している。 本発明に係る測定装置において球面ころの形状測定を行う場合の測定終了点を示している。 本発明に係る測定装置において円錐ころの形状測定を行う場合の測定開始点を示している。 本発明に係る測定装置において円錐ころの形状測定を行う場合の測定終了点を示している。 本発明に係る測定装置において軸受内輪の溝の形状測定を行う場合の測定開始点を示している。 本発明に係る測定装置において軸受内輪の溝の形状測定を行う場合の測定終了点を示している。 本発明において実施の形態2に係る測定装置の構成図である。
以下、本発明に係る測定方法及び測定装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明に係る測定装置の概略図であり、例として球面ころを測定する状態を表している。本図では説明を分かりやすくするため装置の土台部分や図示されている部品を取り付けるための支持部材等は省略している。
図1において測定装置は測定対象物12(以下、測定ワークと呼ぶ)を保持し、回転させるための主軸と、検出器を保持し移動させる測定部からなる。主軸は測定ワークを保持するマグネットチャック9と、該マグネットチャックを回転自在に保持するスピンドル10と、該スピンドルを回転させる主軸回転用モータ11と、該モータ11の角度を検出する角度検出器14からなる。主軸回転用モータ10は制御装置1によって制御され、測定が開始されると一定の速度で回転する。回転速度は任意に設定できる。測定部は被測定面の変位を検出する変位センサ6と、該センサを直交する2つの方向に移動させる直交ステージ3と、直交ステージ3の角度を変化させる角度調整モータ8からなる。直交ステージ3の移動方向は図1のように測定部を直立させた状態で測定ワークの軸方向及び径方向となるよう取り付けられており、制御装置1の指令に従って軸方向駆動モータ5と径方向駆動モータ4により駆動される。
直交ステージ3はリニアガイド、ボールねじ、モータ等により構成される一般的な自動ステージを用いてもよい。角度調整モータ8については位置決め精度が高いサーボモータが好ましい。直交ステージ3と角度調整モータ8は、被測定面の法線方向に測定子7のストローク方向が一致するよう制御装置1によって位置と角度を制御される。
変位センサ6からの変位データと主軸の角度検出器14からの主軸角度データは演算装置2に送られ、演算装置2に内蔵された格納手段に格納される。変位センサ6には差動トランスを用いた変位センサ、レーザ変位センサ、光学式あるいは磁力を用いたスケール式変位センサなどを用いることができる。軸受部品の測定においては被測定面の汚れや油分の付着が考えられるのでレーザ等の非接触測定よりも接触測定である差動トランスまたはスケール式の変位センサが好ましい。主軸の角度検出器14は一般的なロータリエンコーダを用いることができる。主軸回転用のモータがサーボモータである場合には通常はモータ内にロータリエンコーダが内蔵されているのでその出力信号を利用することができる。
制御装置1は一般的にはプログラマブルコントローラ(いわゆるシーケンサ)が用いられる。演算装置2はパーソナルコンピュータを、データの格納手段13にはパーソナルコンピュータの内蔵ハードディスク装置を用いることができる。
変位センサ6で検出された変位データと、制御装置1による角度調整モータ8及び直交ステージ3の駆動データ及び角度検出器14の主軸角度データは演算装置2に入力される。
演算装置2は変位データとその他のデータとを表1に示すように関連付けした状態で格納手段13に格納する。
Figure 2013152195
本発明に係る測定装置の動作について、図1の構成図と測定手順を示す図2のフローチャートを用いて説明する。
測定作業を開始すると、まず制御装置1は各動作部分を原点に復帰させる。原点は任意に設定することもできるが、一般的には直交ステージ3については2つの移動ストロークのそれぞれ中央に、角度調整モータ8については変位センサを直立させる角度に、主軸については角度検出器14の角度が0度にある状態である(ステップS1)。
原点復帰が完了すると作業者は測定ワークの種類や型番を制御装置1に指示する(ステップS2)。指示の方法については演算装置2に付属のモニタ画面から選択する方法やバーコードを読み込むなどの方法を用いることができる。測定ワークが定まると制御装置1は演算装置2の格納手段13から測定ワークの形状データを取得する(ステップS3)。
作業者は測定ワークをマグネットチャックに取り付ける(ステップS4)。この作業はステップS2の前に行っても良い。取り付けが完了すると作業者は制御装置1に測定動作の開始を指示する(ステップS5)。
制御装置1は形状データを基に変位センサを測定開始点に移動させる(ステップS6)。図3は球面ころを測定する場合における測定開始点の位置を示している。測定開始点は軸方向については一般的には母線の端とするが任意に決められるものとする。径方向については変位センサの出力信号がプラスマイナス0となる点とするのが望ましい。
制御装置1が主軸を回転させ(ステップS7)、主軸の角度が予め設定されたデータ取り込み角度と一致すると演算装置2は変位センサから変位データを、制御装置1から直交ステージ及び角度調整モータの駆動データを、さらに角度検出器14から主軸角度データを取得し、表1に示すように関連付けて格納手段13に格納する。データ取り込み角度は360度を1周当たりの測定点数で割ったものであり、任意に設定可能である。1周当たりの測定点数は多いほど精密な測定が可能となるが測定データの容量が大きくなるので格納手段の容量を勘案して決めるのが良い。
主軸が360度回転したら制御装置1はステップS3で取得した形状データに基づき変位センサを母線形状に沿って軸方向に一定距離だけ移動させる。この時、測定子7のストローク方向が被測定面の法線方向と一致するよう、直交ステージと角度調整モータを必要な量だけ駆動する。駆動量は登録された形状データから制御装置1が算出する。軸方向の移動距離は小さいほど精密な測定が可能となるが測定データの容量が大きくなるので格納手段の容量を勘案して決めるのが良い。
ステップS8からステップS11まで繰り返し、変位センサが設定された測定終了位置に来たら測定終了とする。図4に球面ころの測定における測定終了位置を示す。測定終了位置に来たら制御装置1は各動作部分を原点復帰させる(ステップS13)。原点復帰が完了すると演算装置2が格納された測定データから真円度やウェービネス等の指標を算出し、測定結果として演算装置2の画面に表示する(ステップS14)。再測定の必要がなければ作業者が測定ワークをマグネットチャックから取り外し(ステップS15)、一連の測定作業は完了となる。再測定を行う場合はステップS6から行う。
ステップS12が完了した時点で、格納手段13には測定ワークの外周面形状についての3次元的な測定データが格納されている。作業者は演算装置12の操作画面において任意の位置で該測定データを切断することができ、回転軸に直角な方向に切断すれば真円度やウェービネスが得られ、回転軸に沿って切断すれば母線形状に関して登録された形状データからのずれ量が得られる。
図5は円錐ころの測定における測定開始点を、図6は測定終了点を例示している。円錐ころの測定では、変位センサ6を母線に沿って移動させる際に変位センサ6の角度を変える必要はない。
図7は軸受内輪の溝形状を測定する場合における測定開始点を、図8は測定終了点を例示している。
(実施の形態2)
図9は円筒ころや円錐ころ等、母線形状が直線となる測定ワークにおいて、さらに高精度に形状測定を行うための構成を示している。
変位センサ6の両隣りにレーザ等を用いた距離計13及び14を設け、測定ワークの表面までの距離を2箇所で測定することで変位センサ6を被測定面に垂直に保つことができ、登録された形状データのみを基に変位センサ6の角度を設定するよりも高精度な測定ができる。
1 制御装置
2 演算装置
3 直交ステージ
4 径方向駆動モータ
5 軸方向駆動モータ
6 変位センサ
7 測定子
8 角度調整モータ
9 マグネットチャック
10 スピンドル
11 主軸回転用モータ
12 測定ワーク
13 格納手段
14 主軸の角度検出器
15 距離計1
16 距離計2
17 レーザ光1
18 レーザ光2

Claims (2)

  1. 測定手段の測定子ストローク方向を被測定面の法線方向と一致させた状態に維持し、測定対象物を回転させて測定手段にて円周方向の形状を測定しつつ、予め登録された測定対象物の母線形状に沿って測定手段を回転軸方向に移動させることにより測定対象物の形状データを取得する形状測定方法。
  2. 測定対象物を保持しながら回転駆動する回転手段と、該回転手段により回転している測定対象物の表面形状に関する測定データを検出する測定手段と、該測定手段を測定対象物の回転軸方向及び径方向に移動させる移動手段と、測定手段により検出された多数の測定データを格納する格納手段と、該測定データを所望の形式に演算する演算装置を備えた形状測定装置において、測定手段の測定子のストローク方向を変化させる角度調整機構を有し、請求項1の測定方法にて測定するため該角度調整機構により測定子のストローク方向を被測定面の法線方向と一致させた状態に維持しつつ、測定手段を測定対象物の母線形状に沿って移動させることを特徴とする形状測定装置。
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