JP2013152121A - 食品用の簡易型高感度放射能測定装置及び該装置を用いた測定方法 - Google Patents

食品用の簡易型高感度放射能測定装置及び該装置を用いた測定方法 Download PDF

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秀明 石原
Akemasa Kadota
明正 門田
Takashi Shimizu
孝志 清水
Masayuki Goto
昌幸 後藤
Yoshiaki Ando
嘉章 安藤
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Abstract

【課題】本発明は、簡単に精度良く、食品中に含まれる放射線、特にガンマ線を測定できる簡易型の放射能測定装置を提供することを目的とする。本発明はまた、調理済みの食品をそのまま測定できる、放射線、特にガンマ線の簡易型の放射能測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】放射能を測定すべき試料を入れる試料収納部、該試料収納部の少なくとも1面に対向して設置された少なくとも一つの略直方体のプラスチックシンチレーターからなる検出部、及び該検出部に接続され、該検出部から発生する光電子を増幅するための信号増幅部を含む試料中の放射性物質を測定する放射能測定装置が提供された。
【選択図】図2

Description

本発明は、放射能測定装置に関し、特には、簡易型の食品用放射能測定装置に関する。本発明はまた、調理済みの食品を直接測定することによる、食品中の放射能を測定する方法に関する。
環境中に存在する放射線は、一定以上のレベルを超えた場合は人体に影響を及ぼす恐れがあるため、その量をモニタすることが必要とされている。このような放射能レベルの測定は、主に、放射性物質を扱う者や放射性物質を管理する施設で行われている。
放射能測定器としては、簡単安価で現場で測定できるGMサーベイメーターから高価で設置型のゲルマニウム検出器まで幅広い製品が販売されている。
放射性物質を扱う個人の放射線被ばく線量を測定するためには、安価で軽量なフィルムバッチやガラス計測器が用いられている。放射性物質による表面汚染又は放射線の空間線量を測定するためには、GM計数管又はシンチレーションサーベイメーターなどが用いられている。
しかしながら、原子力発電所の事故やその他の放射性物質を取り扱う施設の事故が起こった場合は、広く環境中に放射性物質が拡散される恐れがあり、そのような場合は、放射性物質管理施設の従事者だけではなく、一般人の放射線による被害や影響が問題となる。放射線による人体への影響には外部被ばくと内部被ばくがあるが、一般人の放射線による被害においては、外部被ばくばかりでなく、内部被ばくの影響が特に懸念される。内部被ばくの影響を避けるためには、人が摂取する食品が放射性物質に汚染されていないことを確認することが必要であり、食品そのものの放射線を測定することが必要となる。
ウラン235などの核燃料物質を原子炉等で核分裂反応を起こすと種々の核分裂生成物が生じる。その中には自然界には存在しない放射性セシウム、ヨウ素、ストロンチウムなどが含まれる。半減期の短い放射性ヨウ素に比べ、半減期の長い放射性セシウムや放射性ストロンチウムの人体に影響が特に問題となることが知られている。放射性セシウムはβ−崩壊しその後662keVのガンマ線を出すことが知られている。人体に対する影響では放射性物質からのガンマ線による外部被ばくと食物等を通して人体に取り込まれる内部被ばくと分類される。外部被ばくに関してはサーベイメーターとして種々の製品が販売され、GM管式とシンチレーション式に大別される。シンチレーション検出技術を用いたものしては、原子力施設等における機器や建屋等の表面の放射性汚染を測定するための汚染検査装置が提案されている(特許文献1)。
放射線の強さを表す単位としては、Sv(シーベルト)とBq(ベクレル)が通常用いられている。GMサーベイメーターやNaI(TI)シンチレーションサーベイメーターは、放射能による人体への影響度合いを表すSv(シーベルト)という線量当量で表示される。一方、放射性物質が放射線を出す能力は、Bq(ベクレル)という単位が用いられる。
現在、内部被ばくでは各省庁から暫定規制値や規制値という形で公示されている。例えば、学校給食の食材に含まれる放射性物質は、40Bq/kg以下という安全目安が2011年11月30日文部科学省から17都道府県に対して通知が出されている。そのため、食品中の放射性物質の存在を測定する装置の開発が望まれている。
しかしながら、食品中に含まれる放射性物質の量を測定するためには、試料である食品から少量のサンプリングを行い、それを擂りつぶしたものを、各種放射性物質を測定できる放射能測定装置を用いて測定しているのが現状である。このような測定装置は高価であり、また専門の検査機関において用いられているため測定結果を得るまでに時間がかかるなどの問題がある。そのため食品においては非常に少ないサンプリングしか放射能測定をできていないのが実情である。
特に、お弁当や給食用食材を含む一般用食材は、肉、魚、穀類、野菜、加工食品、乳製品種々の形状がある。更に、食材は生、焼く、煮る、蒸かすという未処理・処理をした後、食べやすい大きさに加工される。これら食材に含まれる放射能を効率良く測るには、細かく分断して容器に高密度に入る形状にする、又はミキサー等で粉砕ゲル状高密度にして容器に入れる等が必要であった。しかしこれらの作業は、手間がかかる上、放射能に汚染されていなかったとしても、その食材は食することができず無駄なっていた。
そのため、食品を供給する給食センター、スーパー、又は個人農家などが、簡単に精度良く放射能、特にガンマ線を計測することができる、安価な放射能測定装置が望まれていた。また、食品の形状によらず簡易に放射能、特にガンマ線を測定できる放射能測定装置が望まれていた。
しかし前述のゲルマニウム半導体検出器やNaI(Tl)シンチレーション検出器を用いた場合は、核種分析できるが大きな結晶を作ることができず、また大きくなることによってコスト高になるという問題がある。また、ゲルマニウム半導体検出器やNaI(Tl)シンチレーション検出器を用いた場合は、通常、測定に数十分から1時間以上を要し、最低でも15分以上の測定時間が必要であった。一方、プラスチックシンチレーション検出器は、大面積の検出器はできるが、ガンマ線の感度は密度に比例するためプラスチックのように比重が1程度のものはほとんどが通り抜けてしまい、ガンマ線に対する感度が低いという問題がある。
特開2001−013250
本発明は、簡単に精度良く、食品中に含まれる放射線、特にガンマ線を測定できる簡易型の放射能測定装置を提供することを目的とする。
本発明はまた、食品の形状によらず、簡易に放射線、特にガンマ線を測定できる放射能測定装置を提供することを目的とする。
本発明はまた、調理済みの食品をそのまま測定できる、放射線、特にガンマ線の簡易型の放射能測定装置を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意努力を重ねた結果、一定の厚み以上のプラスチックシンチレーションを検出部に用い、そして、放射線各種の選定を行わず一定以上のエネルギーを持つガンマ線を全て計測し、測定対象のない場合のバックグランド線量をマイナスすることにより、試料(例えば、食品(調理済みの食品を含む))中の放射能を測定することができることを見いだし、本発明を完成した。
本発明は以下の通りである。
(1)試料中の放射性物質を測定する放射能測定装置であって、
a.放射能を測定すべき試料を入れる試料収納部、
b.該試料収納部の少なくとも1面に対向して設置された、少なくとも一つのプラスチックシンチレータからなる検出部、及び
c.該検出部に接続され、該検出部から発生する光電子を増幅するための信号増幅部、
を含み、ここで
該プラスチックシンチレータの断面積はそれと対向する試料収納部の断面積と略同じであり、試料収納部と対向する該プラスチックシンチレータの面は、一辺の長さが20〜100cmであり、かつ
該面と直行するプラスチックシンチレータの厚みは、少なくとも3cm以上である、
、放射能測定装置。
(2)前記プラスチックシンチレータが、前記試料収納部の下に配置されている上記(1)に記載の放射能測定装置。
(3)前記プラスチックシンチレータが、前記試料収納部の下部面及び両側面に対向して配置されている上記(2)に記載の放射能測定装置。
(4)前記プラスチックシンチレータが、一辺がそれぞれ30〜100cmで、厚みが5cm以上の略直方体である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の放射能測定装置。
(5)前記試料が食品であって、測定のための前処理を行っていない食品である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の放射能測定装置。
(6)前記食品が調理済み食品である、上記(5)に記載の放射能測定装置。
(7)さらに、前記試料収納部の少なくとも一つの面の外側にバックグランドのガンマ線を遮断する鉛又は鉄シールドが配置されている上記(1)〜(6)に記載の放射能測定装置。
(8)前記シールドが、試料収納部の6面の全てに対向して配置されている上記(7)に記載の放射測定装置。
(9)さらに、測定された数値(X軸がチャンネル数でありY軸がカウント数である)をスペクトル解析し、X軸をチャンネル数からエネルギー値に変換し、エネルギー値を持って放射性セシウムの測定範囲の上下限を決定するための演算部を含む、上記(1)〜(8)に記載の放射能測定装置。
(10)上記(1)〜(9)に記載の放射能測定装置を用いて、食品中の放射性物質の全量を測定する方法。
(11)食品が食材及び/又は調理済み食品である上記(10)に記載の方法。
(12)a.試料を入れずに、少なくとも30秒の測定を、インターバルをあけて少なくとも5回繰り返してバックグランドのガンマ線値を決定する工程、
b.試料を試料収納部に入れて、1〜10分間放射能を測定する工程、及び
c.得られた測定値からバックグランドの数値を引き食品中の放射性物質の全量を決定する工程、
を含む、上記(1)〜(9)に記載の放射能測定装置を用いて、食品中の放射性物質の全量を測定する方法。
本発明の装置により、簡単に精度良くガンマ線を測定でき、測定試料が、行政が定めた基準値以下(例えば、学校給食の食材に含まれる放射性物資の基準値である40Bq/kg以下)であることが短時間(例えば、5分以内)で確認出来る。
本発明の装置は、給食センターなど口に入る物を簡易な操作にて短時間で精度良く計測できる。また、より多くの物を測定することが可能となり、現在行われているすりつぶしが必要ないので、計測後の食材を無駄することなしに放射能を測定できる。
本発明の装置は、試料が、40Bq/kg基準値以下であること測定できるので、一般食品の測定にも用いることができる。(平成24年4月に厚生労働省が公示した、一般食品の新暫定基準値は、一般食品100Bq/kg、乳製品・乳児用食品50Bq/kg、水10Bq/kgである)。
図1は、本発明の装置を用いて放射能を測定する際の例示的なシステム構成を示している。 図2は、本発明の装置の一態様の概略図を表したものであり、消費者が通常取扱う量の食品、例えば、給食などの食品やスーパーなのでの購入品の放射能を測定するための装置の概略図を示している。 図3は、図2の検出器の本体内に配置されたシステムの概略図を示したものである。 下図は、プラスチックシンチレータによるCs137ガンマ線エネルギースペクトルを示している。図中のグレーの部分は放射性セシウムエネルギー範囲を示しており、上図は、微分スペクトルを示している。 プラスチックシンチレータによる上限しきい値の決定を示している。参照エネルギーはK40(1.46Mev)である。
本発明の装置により測定される放射線はガンマ線であるが、主として、セシウムから放出されるガンマ線を測定する。ガンマ線を放出する放射性セシウムは、Cs134(605keV)、Cs137(662keV)、Cs134(796keV)が主な核種とエネルギーである。
放射性ヨウ素もガンマ線を放出するが、半減期が短く、食品等の汚染に関しては、現在では問題視されていない。また、β核種である放射性ストロンチウムは、化学分離の必要がありかつ測定が困難である上に、微量であるので、食品等の環境汚染における大規模な放射能測定の対象としては向かない。
本発明の装置は、検出部にプラスチックシンチレータを用いてガンマ線を検出することを特徴とする。プラスチックシンチレータは、種々の形状に加工することが容易である。本発明において用いられるプラスチックシンチレータの形状は、その横断面の形状が略正方形又は略長方形であるものが、装置の製造及びコスト等の点から好ましい。
本発明の装置においては、プラスチックシンチレータは、その断面積がそれと対向する試料収納部の断面積と同じ又は略同じであることが好ましく、試料収納部と対向するプラスチックシンチレータの面は、一辺の長さが20〜100cm、好ましくは30cm〜60cmである。また、プラスチックシンチレータの厚みは、少なくとも3cm以上、好ましくは少なくとも5cm以上であり、実用上問題がない範囲で厚い方が好ましい。本発明に用いるプラスチックシンチレータの形状は、適当な光収率を得るために、直方体であることが望ましい。即ち、上記の試料収納部の面と対向するプラスチックシンチレータの面は、正方形又は略正方形、或いは長方形又は略長方形であることが望ましい。
例えば、本発明の装置において、30cmx30cmx5cm又は60cmx60cmx5cmのプラスチックシンチレータを用いることができる。プラスチックシンチレータは、市販されているので、目的の大きさのものを注文して入手すればよい。例えば、ELJEN社より購入することができる。
本発明の装置は、少なくとも一つのプラスチックシンチレータからなる検出部を有する。検出部が一つの場合は、試料収納部の下に配置するのが好ましい。検出部は、複数設置することもでき、例えば、試料収納部の両側面に沿って配置することもできるが、少なくとも一つは試料収納部の下部に配置することが好ましい。感度を極力あげるために、試料収納部の全6面に沿って配置することもできる。
本発明の装置では、放射線を受けた際に検出部から発生する光電子を収束し、増幅するための増幅部が検出部に接続されている。増幅部としては、例えば光電子増倍管を用いることができる。光電子増倍管も市販のものを用いることができ、例えば、浜松ホトニクス社より購入できる。
本発明の装置を用いて放射能を測定する際の例示的なシステム構成を図1に示す。
プラスチックシンチレータとは、ポリスチレンなどのプラスチックの中に有機発光物質が溶かし込まれているものであり、電子やミューオンなどの荷電粒子が通過すると蛍光を発する。プラスチックシンチレータはまた、応答がns のオーダーでありシグナルの立ち上がり、立ち下がりとも非常に良く、また形状の加工が簡単である。プラスチックシンチレータは、光量がNaI に比べて少ないので、比較的エネルギー分解能が良くないが、本発明の装置では、上記の大きさを有するプラスチックシンチレータを用いることにより、十分な感度を達成した。
計数制御回路は、光電子増倍管からの信号を電気的に増幅するリニアアンプ、コンプトン散乱のエッジより求めたエネルギー帯だけを計数するためのディスクリミネーター(波高分別回路)、計数回路、計測時間監視回路、USB制御回路から構成されることができる。光電子増倍管からの微弱電流は、例えば、約10倍のリニアアンプにより負極性の信号に変換される。例えば、80keV〜800keV間の信号だけを10分間カウントできる。その結果得られた計数結果は、USBインターフェースを通じてパソコンから読み出すことができるように構成することができる。また10分間の計測中でも途中におけるカウント値を読み出すこともできる。
以下に、計数制御回路の一実施態様を示す。
(1)リニアアンプ
光電子倍増管から出力される負極性信号を約10倍に増幅する。入力インピーダンスは50Ωである。入力はダイオードクランプにて保護されています。増幅率:約10倍、周波数帯域:約80MHz。
(2)ウィンドウディスクリミネータ
リニアアンプから出力される信号の波高分別を行う。Cs137のコンプトンエッジから算出できる一定のエネルギー幅で波高分別を行うために、LOWER LEVEL、UPPER LEVELの閾値(スレッショルドレベル)を設定することができる。低レベルしきい値:−2mV〜―2000mV、高レベルしきい値:−2mV〜―2000mV、最小入力信号幅:5n秒、最大繰返し周波数:100MHz、出力信号:TTL正論理信号、
(3)高速計数回路
ディスクリミネタで出力されるTTL信号をカウントするための回路である。最大繰返し周波数は100MHzで、32ビット幅のカウンタを2個有する。計測が開始されると、計測時間制御回路からの1秒ごとに出力されるラップ信号を使用して、1秒ごとの計数値をパソコンに送信することができる。入力信号:TTL正論理信号、最小入力信号幅:5n秒、最大繰返周波数:100MHz、最大カウント数:32BIT(4、294、967、296カウント)。
(4)計測時間制御回路
測定時間の管理を行う。測定時間は900秒で、時間精度は1μ秒以下である。1秒ごとにラップ時間信号を出力する。計測が終了すると計数回路は停止する。計測時間:15分(900秒)、計測時間精度:1μ秒、ラップタイム:1秒ごと。
(5)USB制御回路
パソコンと通信をするためのインターフェース回路である。コマンド解析、計測制御、通信制御を行う。パソコンからはUSB機器として認識され、API関数を通じて通信を行う。通信手順は下図の通りある。コマンド解析マイコン:PIC、USBドライブIC:FT2232H、USB規格:USB2.0準拠。
本発明の装置においては、自然放射線(バックグランド)による影響を少なくするため、鉄や鉛によるシールドを試料収納部の外側に設けることができる。シールドは、側面試料収納部の下部面や側面等の一部の面の外側に設けることもできるが、下部面及び側面の外側に設けるのが好ましく、全6面の外側に設けるのがさらに好ましい。
本発明の測定装置を用いて食品等の放射能測定を行う場合の測定時間は、1〜15分で十分であり、多くの場合は、10分未満の測定時間で十分な測定ができる。
本発明の装置を用いた放射能測定機器の概略図を図2に示す。本体1には、上記したシステム構成が内蔵されている。測定試料又は測定試料の入った容器7は、蓋2、側部4及び下部5からなる試料収納部内に収納される。図2においては、試料収納部は蓋2、側部4及び下部5により構成されているが、例えば、上部のみの蓋から、又は側部のみに蓋から試料を入れるように構成しても良い。プラスチックシンチレータからなる検出部は下部5の下に配置され、試料から発する放射線を検出する。固定バー3を設けて測定中試料が動かないように固定することも可能である。蓋2,側部4又は下部5は、それ自身が鉛から作られる又はその内側に鉛からなる部材を配置することにより、シールドを構成することができ、それによりバックグランドのガンマ線量を下げ、検出感度を上げることが可能である。測定装置は、USBインターフェースを介してPC8に接続され、計測及び制御が行われる。
図3は、図2の本体内に配置されたシステムの概略図を示している。本体11内に、プラスチックシンチレータ12、それに接続された光電子増倍管16、高圧電源15、制御回路13及びAC−DC電源14が配置され、コンパクトな放射能測定機器を構成している。
給食用の食材又は調理済み食品の放射線量を測定するための装置の仕様の一例を以下にしめす。
検出システム:
ELJEN社製30cmx30cmx5cmプラスチックシンチレーション検出器(試料収納部の下に配置)
浜松ホトニクス社製 φ1.5インチ光電子増倍管
テクノランド社製8ch高圧電源・アンプ/ディスクリ・電荷積分型ADC
検出サイズ:30cm[W]x30cm[D]x6cm[H](約5リットル相当)
測定時間:1〜30分
検出限界:20Bq/kg
筺体:200mm[H]x700mm[W]x500[D]
シールド:上面を除き10mm厚の鉛シールド。
本発明の装置を用いた測定方法では、測定された数値(X軸がチャンネル数でありY軸がカウント数である)をスペクトル解析し、X軸をチャンネル数からエネルギー値に変換し、エネルギー値を持って放射性セシウムの測定範囲の上下限を決定した。上限はバックグラウンドガンマ線のカリウム40(1.46MeV)を基準とした。下限は回路系、光電子増倍管のノイズを切るために80〜100keVとした。
具体的には以下の方法により行った。
(1)NaI(Tl)シンチレーション検出器の光電ピークからコンプトンのエネルギーを求める。
(2)コンプトン端を検出するためにスペクトルを微分し、エネルギーを2から決定する(図4)。
(3)上下限のしきい値に相当する電圧をウィンドウディスクリミネータに設定する(図5)。
上記のような構成を取ることにより、本発明に装置においては、シンチレータとガンマ線の距離に対する減衰率を考察することにより、サンプル試料を擂りつぶすことなく試料を測定可能である。
また、本発明の装置は、各種の選定を行わず一定以上のエネルギーを持つガンマ線を全て計測し、測定対象のない場合のバックグランド線量をマイナスすることで、試料(例えば、食品(調理済みの食品を含む))中の放射能を測定することができる。その結果、簡易で安価な装置で、高精度の測定を可能とした。更に、本発明の装置で食材を測定する場合は、あらゆる形状の食材をそのまま測定でき、食材を細かく切断する又は擂りつぶす必要がない。
本発明はまた、本発明の装置を用いた食品中の放射性物質の全量を測定する方法でもある。本発明の装置を用いた食品中の放射能測定においては、以下の工程を行うことにより、より高精度で測定が可能となる。
a.試料を入れずに、少なくとも30秒の測定を、インターバルをあけて少なくとも5回繰り返してバックグランドのガンマ線値を決定する工程、
b.試料を試料収納部に入れて、1〜10分間放射能を測定する工程、及び
c.得られた測定値からバックグランドの数値を引き食品中の放射性物質の全量を決定する工程。
本発明はまた、本発明の装置を用いて上記工程を行う放射能の測定方法でもある。
図2及び図3に示された構成に従って、食品、特に給食用食品の測定のための装置を作製した。仕様は以下の通りである。
(1)ELJEN社製 30cm×30cm×5cm プラスチックシンチレータ
(2)浜松ホトニクス社製 φ1.5インチ光電子増倍管(PMT)
(3)高圧電源 EMCO社製 −1.0KV高圧電源
(4)リニアアンプ+ウィンドウディスクリミネータ(テクノランドコーポレーション社製)
(5)計数回路(テクノランドコーポレーション社製)
(6)USBドライブ(テクノランドコーポレーション社製)
(7)使用パソコン ASUS社製 ノートパソコン Windows(登録商標)7
(8)標準測定容器 ポリプロピレン容器 岩崎工業社製 306mm×242mm×H103mm
この装置を用いて以下の手順により放射能を測定した。
光電子倍増管のバイアス電圧を900Vに設定。ウィンドウコンパレータのしきい値を、LOW LEVEL=−300mV;UPPER LEVEL=−1.20Vに設定。標準線源として、放射能標準ガンマ線源 Cs137(日本アイソトープ協会製)を用いた(校正年月日:2011年5月16日(証明書番号11−0210号)、校正結果:1030Bq(核種純度99%以上))
バックグランドは、測定容器に水を5Kg入れ、10分間のカウント数を3回計測した。3回の平均値をバックグランドの計数値とした。
次いで、水が入った測定容器内にCs137標準線源をいれた。線源の位置は、5Kgの水の重心付近とした(底から約3.5cm)。10分間のカウント数を4回計測し、バックグランド計数値を差引し増加数を計測数とした。
結果を以下の表に示す。
Figure 2013152121
この結果より、5Kgのサンプルで100Bqの試料に対する計数率は3456/600秒(1秒間あたりでは、5.76CPS)となり、1Kgあたりでは20Bqの判別が可能であった。これにより、本発明の装置及び方法により有意に放射能を測定できることが示された。
本発明の装置及び方法は、簡単に精度良く、食品中に含まれる放射線、特にガンマ線を測定するのに有用である。
1 本体
2 蓋
3 固定バー
4 試料収納部側部
5 試料収納部下部
6 取手
7 試料容器
8 PC
11 本体部
12 プラスチックシンチレータ
13 制御回路
14 AC−DC電源
15 高圧電源
16 光電子増倍管

Claims (12)

  1. 試料中の放射性物質を測定する放射能測定装置であって、
    a.放射能を測定すべき試料を入れる試料収納部、
    b.該試料収納部の少なくとも1面に対向して設置された、少なくとも一つのプラスチックシンチレータからなる検出部、及び
    c.該検出部に接続され、該検出部から発生する光電子を増幅するための信号増幅部、
    を含み、ここで
    該プラスチックシンチレータの断面積は、それと対向する試料収納部の断面積と略同じであり、スチックシンチレータの断面積はそれと対向する試料収納部の断面積と略同じであり、該試料収納部と対向する該プラスチックシンチレータの面は、一辺の長さが20〜100cmであり、かつ
    該面と直行するプラスチックシンチレータの厚みは、少なくとも3cm以上である、
    放射能測定装置。
  2. 前記プラスチックシンチレータが、前記試料収納部の下に配置されている請求項1に記載の放射能測定装置。
  3. 前記プラスチックシンチレータが、前記試料収納部の下部面及び両側面に対向して配置されている請求項2に記載の放射能測定装置。
  4. 前記プラスチックシンチレータが、一辺がそれぞれ30〜100cmで、厚みが5cm以上の略直方体である、請求項1〜3のいずれかに記載の放射能測定装置。
  5. 前記試料が食品であって、測定のための前処理を行っていない食品である、請求項1〜4のいずれかに記載の放射能測定装置。
  6. 前記食品が調理済み食品である、請求項5に記載の放射能測定装置。
  7. さらに、前記収納部の少なくとも一つの面の外側にバックグランドのガンマ線を遮断する鉛又は鉄シールドが配置されている請求項1〜6のいずれかに記載の放射能測定装置。
  8. 前記シールドが、試料収納部の6面の全てに対向して配置されている請求項7に記載の放射測定装置。
  9. さらに、測定された数値(X軸がチャンネル数でありY軸がカウント数である)をスペクトル解析し、X軸をチャンネル数からエネルギー値に変換し、エネルギー値を持って放射性セシウムの測定範囲の上下限を決定するための演算部を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の放射能測定装置。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の放射能測定装置を用いて、食品中の放射性物質の全量を測定する方法。
  11. 食品が調理済み食品である請求項10に記載の方法。
  12. a.試料を入れずに、少なくとも30秒の測定を、インターバルをあけて少なくとも5回繰り返してバックグランドのガンマ線値を決定する工程、
    b.試料を試料収納部に入れて、1〜10分間放射能を測定する工程、及び
    c.得られた測定値からバックグランドの数値を引き食品中の放射性物質の全量を決定する工程、
    を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の放射能測定装置を用いて、食品中の放射性物質の全量を測定する方法。
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