JP2013151925A - インジェクタ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成にてインジェクタによる開弁時間を高精度に制御し得るインジェクタ制御装置を提供する。
【解決手段】第3トランジスタ43のゲート−ドレイン間に配置されるツェナーダイオード44aを有し当該ゲート−ドレイン間の電圧をクランプ電圧Vclでクランプするクランプ回路44が設けられている。そして、第3トランジスタ43のオフ後に測定される補正用クランプ電圧Vclaが基準電圧よりも低い場合には噴射設定期間Tが基準期間Toよりも短く補正され、補正用クランプ電圧Vclaが基準電圧よりも高い場合には噴射設定期間Tが基準期間Toよりも長く補正される。
【選択図】図8
【解決手段】第3トランジスタ43のゲート−ドレイン間に配置されるツェナーダイオード44aを有し当該ゲート−ドレイン間の電圧をクランプ電圧Vclでクランプするクランプ回路44が設けられている。そして、第3トランジスタ43のオフ後に測定される補正用クランプ電圧Vclaが基準電圧よりも低い場合には噴射設定期間Tが基準期間Toよりも短く補正され、補正用クランプ電圧Vclaが基準電圧よりも高い場合には噴射設定期間Tが基準期間Toよりも長く補正される。
【選択図】図8
Description
本発明は、インジェクタ制御装置に関するものである。
従来、インジェクタ(電磁弁)を駆動するインジェクタ制御装置は、インジェクタの開弁を精度よく早めるために、励磁制御部および保持制御部を備えている。励磁制御部は、インジェクタを開弁するために必要な過励磁電流をインジェクタのアクチュエータ(ソレノイドコイルやピエゾ素子等)に供給するものである。この励磁制御部は、入力される制御信号に応じて第1トランジスタをオン/オフ制御することで、アクチュエータに対してバッテリ電圧を昇圧した高電圧を第1トランジスタを介して印加して過励磁電流を供給する。また、保持制御部は、設定された噴射設定期間に応じてインジェクタの開弁状態を保持するために必要な保持電流をアクチュエータに供給するものである。この保持制御部は、過励磁時間の経過後であって入力される制御信号に応じて第2トランジスタをスイッチング制御することで、アクチュエータに対して、バッテリ電圧を降圧して得られた低電圧またはバッテリ電圧そのものを第2トランジスタを介して印加して保持電流を供給する。また、インジェクタ制御装置は、アクチュエータに流れるインジェクタ電流を遮断する際に、電流を速くオフするための第3トランジスタを備えている。この第3トランジスタは、入力される制御信号がオンの期間中は、常時オン状態にされており、制御信号がオフするタイミングでオフ状態にされる。
このように構成されるインジェクタ駆動装置について、開弁状態時に噴射される燃料の噴射量の精度を高めた装置として、下記特許文献1に開示されるインジェクタ駆動装置が知られている。このインジェクタ駆動装置は、エンジンの吸入空気量に対して演算した燃料の噴射量を与える噴射時間を基本駆動時間として演算し、駆動開始タイミングでインジェクタに電源電圧を印加してインジェクタの駆動を開始する。そして、インジェクタに流れる駆動電流の波形からインジェクタの開弁が開始されるタイミングを開弁タイミングとして推定し、駆動開始タイミングから開弁タイミングまでの経過時間を開弁時間として計測する。そして、吸入空気量に対して演算された噴射量とインジェクタから実際に噴射される燃料量との差を零に近づけるように、開弁時間に応じて基本駆動時間を補正してインジェクタの実駆動時間を演算し、駆動開始タイミングからの経過時間が実駆動時間に達したときにインジェクタの駆動を終了する。
これにより、ソレノイドコイル(アクチュエータ)の抵抗値の変化や電源電圧の変動によりインジェクタの開弁が完了するまでの時間が変動する場合であっても、その変動分を補償する分だけインジェクタを駆動する時間を補正することで、インジェクタから実際に噴射される燃料の量と吸入空気量に対して演算された噴射量との間の誤差が少なくなり、噴射量精度が高まることとなる。
ところで、インジェクタ制御装置では、インジェクタ電流の電流値が所定値(以下、開弁電流値という)に達するとインジェクタが開弁し、噴射設定期間が終了して第3トランジスタへオフ信号が入力され、インジェクタ電流の電流値が所定値(以下、閉弁電流値という)以下となるとインジェクタが閉弁する。そして、第3トランジスタへオフ信号が入力された後のインジェクタ電流の下がり方は、実際にはオフ信号の入力から次のように遅れが生じる。
第3トランジスタのゲート−ドレイン間にはクランプ用のツェナーダイオードが接続(配置)されており、第3トランジスタへオフ信号が入力されると、オン時にアクチュエータに蓄えられたエネルギーによってツェナーダイオードを介して、第3トランジスタが再度オン状態となりアクチュエータにインジェクタ電流が流れる。このようにアクチュエータに蓄えられたエネルギーが消費されて、インジェクタ電流の電流値が閉弁電流値以下となると、インジェクタが閉弁する。つまり、インジェクタ電流の電流値が閉弁電流値以下となるまで、インジェクタから燃料が噴射され続けることとなる。
しかしながら、クランプ電圧は、主にツェナーダイオードのツェナー電圧により決まり、このツェナー電圧は、製造誤差や温度等に起因してばらつくため、このクランプ電圧の変化に応じて、アクチュエータに流れるインジェクタ電流の電流値が閉弁電流値以下となるまでの時間が変動する。このため、同じ噴射設定期間としても、制御信号オフからインジェクタ電流の電流値が閉弁電流値以下となり燃料噴射が停止されるまでの実際の噴射時間がばらついてしまうという問題がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成にてインジェクタによる噴射時間を高精度に制御し得るインジェクタ制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、設定された噴射設定期間(T)に応じた時間に電圧を印加することでインジェクタ(50)を駆動制御するインジェクタ制御装置(10)であって、前記インジェクタの高電位側に接続される高電位側トランジスタ(41,42)と、前記インジェクタの低電位側に接続される低電位側トランジスタ(43)と、前記噴射設定期間に応じて前記高電位側トランジスタおよび前記低電位側トランジスタのオンオフ状態を制御する制御手段(20)と、前記低電位側トランジスタのゲート−ドレイン間に配置されるツェナーダイオード(44a)を有し当該ゲート−ドレイン間の電圧をクランプ電圧(Vcl)でクランプするクランプ回路(44)と、前記クランプ電圧を測定する測定手段(11)と、前記低電位側トランジスタのオフ後に前記測定手段により測定される補正用クランプ電圧(Vcla)が基準電圧よりも低い場合には前記噴射設定期間を基準期間(To)よりも短く補正し、当該補正用クランプ電圧が前記基準電圧よりも高い場合には前記噴射設定期間を前記基準期間よりも長く補正する補正手段(11)と、を備えることを特徴とする。
なお、特許請求の範囲および上記手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
なお、特許請求の範囲および上記手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
請求項1の発明では、低電位側トランジスタのゲート−ドレイン間に配置されるツェナーダイオードを有し当該ゲート−ドレイン間の電圧をクランプ電圧でクランプするクランプ回路が設けられている。そして、補正手段により、低電位側トランジスタのオフ後に測定手段により測定される補正用クランプ電圧が基準電圧よりも低い場合には噴射設定期間が基準期間よりも短く補正され、補正用クランプ電圧が基準電圧よりも高い場合には噴射設定期間が基準期間よりも長く補正される。
補正用クランプ電圧が基準電圧よりも低くなる場合には、インジェクタのアクチュエータに蓄えられるエネルギーの消費速度が小さくなり、低電位側トランジスタのオフ後にインジェクタ電流の電流値が上記閉弁電流値以下となるまでの時間(以下、エネルギー消費時間という)、すなわち、実際の噴射期間が長くなる。また、補正用クランプ電圧が上記基準電圧よりも高くなる場合には、アクチュエータに蓄えられるエネルギーの消費速度が大きくなり、エネルギー消費時間が短くなることから実際の噴射期間が短くなる。
そこで、本発明では、補正用クランプ電圧が基準電圧よりも低くなるために実際の噴射期間が長くなる場合には、噴射設定期間が基準期間よりも短く補正される。このため、補正用クランプ電圧が基準電圧よりも低いときの実際の噴射期間(短く補正された噴射設定期間から開弁までの時間を減算してエネルギー消費時間を加算した時間)と、補正用クランプ電圧が基準電圧のときの実際の噴射期間(基準期間から開弁までの時間を減算してエネルギー消費時間を加算した時間)との差が小さくなり、噴射時間(開弁時間)のばらつきを抑制することができる。また、本発明では、補正用クランプ電圧が基準電圧よりも高くなるために実際の噴射期間が短くなる場合には、噴射設定期間が基準期間よりも長く補正される。このため、補正用クランプ電圧が基準電圧よりも高いときの実際の噴射期間(長く補正された噴射設定期間から開弁までの時間を減算してエネルギー消費時間を加算した時間)と、補正用クランプ電圧が基準電圧のときの実際の噴射期間(基準期間から開弁までの時間を減算してエネルギー消費時間を加算した時間)との差が小さくなり、噴射時間(開弁時間)のばらつきを抑制することができる。
したがって、燃料噴射量を実測するセンサ等を要することなく、簡易な構成にてインジェクタによる噴射時間を高精度に制御することができる。
したがって、燃料噴射量を実測するセンサ等を要することなく、簡易な構成にてインジェクタによる噴射時間を高精度に制御することができる。
請求項2の発明では、記憶手段には、噴射設定期間を基準期間に対して変化させるための補正値と補正用クランプ電圧とが関係付けられたマップが予め記憶されており、補正手段は、上記マップに基づいて低電位側トランジスタのオフ後に測定手段により測定される補正用クランプ電圧に応じた補正値を求め、この補正値に基づいて噴射設定期間を基準期間に対して補正する。このように予め記憶されたマップを用いて補正値が求められるので、当該補正値を用いた噴射設定期間の補正を容易に実施することができる。
請求項3の発明では、マップは、補正用クランプ電圧と基準期間に対する実際の噴射期間との関係を実測して設定されるため、当該マップを用いた噴射設定期間の補正精度が高められて、噴射時間のばらつきを確実に抑制することができる。
請求項4の発明では、補正手段は、複数回の噴射に1度、補正用クランプ電圧に応じて噴射設定期間を補正し、制御手段は、補正手段により噴射設定期間が補正されると、次に噴射設定期間が補正されるまで、当該補正された噴射設定期間に基づいて高電位側トランジスタおよび低電位側トランジスタのオンオフ状態を制御する。
これにより、噴射毎に補正された噴射設定期間に基づいて高電位側トランジスタおよび低電位側トランジスタのオンオフ状態を制御する場合と比較して、補正等に関する処理負荷を軽減することができる。
請求項5の発明では、測定手段は、低電位側トランジスタのオフ後であってツェナーダイオードのツェナー電圧が安定した後に、補正用クランプ電圧を測定する。低電位側トランジスタのオフ直後では、本来のツェナー電圧を超える電圧が発生する場合もあり、ツェナー電圧が安定しない場合がある。そこで、ツェナー電圧が安定した後に測定手段により補正用クランプ電圧を測定することで、上記エネルギー消費時間に影響する補正用クランプ電圧を精度良く測定できるので、補正手段による噴射設定期間の補正精度が高められて、噴射時間のばらつきを確実に抑制することができる。
以下、本発明のインジェクタ制御装置を具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すインジェクタ制御装置10は、車両に搭載されるものであり、ガソリンエンジン,ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下、単にエンジンという)における複数の気筒毎に設けられた複数のインジェクタ50をそれぞれ個別に駆動制御するものである。インジェクタ制御装置10は、各インジェクタ50のアクチュエータ(ソレノイドコイルやピエゾ素子であり、ここではソレノイドコイルを採用する、図示省略)への通電状態(通電時間)によって、各インジェクタ50をそれぞれ開閉させてエンジンへの燃料の噴射量を制御する。
図1に示すインジェクタ制御装置10は、車両に搭載されるものであり、ガソリンエンジン,ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下、単にエンジンという)における複数の気筒毎に設けられた複数のインジェクタ50をそれぞれ個別に駆動制御するものである。インジェクタ制御装置10は、各インジェクタ50のアクチュエータ(ソレノイドコイルやピエゾ素子であり、ここではソレノイドコイルを採用する、図示省略)への通電状態(通電時間)によって、各インジェクタ50をそれぞれ開閉させてエンジンへの燃料の噴射量を制御する。
インジェクタ50は、例えば、気筒内に直接燃料を噴射する直噴型のインジェクタであり、4気筒エンジンの場合は4個のインジェクタ50が設けられる。なお、直噴型のインジェクタとは、エンジンの気筒に燃料を直接噴射するインジェクタを示すものである。また、図1では、複数のインジェクタ50のうちの一つを図示している。
当該インジェクタ50は、ソレノイドコイルに通電されると、このソレノイドコイルにより弁体が開弁位置に移動する。これにより、インジェクタ50が開弁状態となり、燃料を噴射可能な状態となる。また、インジェクタ50は、ソレノイドコイルへの通電が停止(遮断)されると、このソレノイドコイルにより弁体が閉弁位置に移動する。これにより、インジェクタ50が閉弁状態となり、燃料の噴射が停止される。
図1に示すように、インジェクタ制御装置10は、マイコン11と、直噴制御IC(以下、単に制御ICとも称する)20と、スイッチング手段(第1トランジスタ41、第2トランジスタ42、第3トランジスタ43)とを備えて構成されている。
マイコン11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、発振回路、及び記憶内容が書き換え可能な不揮発性メモリ(例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュROM)などを備えて構成される周知のマイクロコンピュータである。マイコン11は、CPUが予めROMに格納されたプログラムなどを読み出して、RAMを一時的記憶部として用いつつ演算処理を実行することで後述する駆動制御処理等を実行する。
マイコン11は、エンジン回転数、アクセル開度、エンジン水温など、各種センサ(図示省略)にて検出されるエンジンの運転情報に基づいて、駆動制御処理を実行することで、後述するように気筒毎に設定された噴射設定期間に応じたパルス幅のパルス信号である噴射指令信号を生成して制御IC20に出力する。
このように噴射指令信号が出力されている間(言い換えると、噴射指令を示す信号のレベルがハイの間)、インジェクタ50のソレノイドコイルが通電される。つまり、マイコン11は、エンジンの運転情報に基づいて、気筒毎にインジェクタ50のソレノイドコイルへの通電期間を設定し、この設定した通電期間に応じた噴射指令信号(パルス信号)を出力する。すなわち、噴射指令信号は、そのパルス持続時間(パルス幅)が設定した通電期間と同等であり、インジェクタ50への通電期間を示す信号とも言い換えることができる。
制御IC20は、励磁制御部21、保持制御部22、INJスイッチ制御部23、モニタ部24などの機能ブロックを備えている。制御IC20は、マイコン11からの噴射指令信号と、後述するように計測されたソレノイドコイルを流れる電流(インジェクタ電流)の電流値とに基づいて、各トランジスタ41〜43に対してオン信号(ハイレベルの駆動信号)又はオフ信号(ローレベルの駆動信号)をそれぞれ出力する。このように出力される各信号に応じて、各トランジスタ41〜43が制御されることで、インジェクタ50のソレノイドコイルに対して第1電源31又は第2電源32から電圧が印加(供給)される。なお、制御IC20は、特許請求の範囲に記載の「制御手段」の一例に相当し得る。
第1電源31は、バッテリ(図示省略)のバッテリ電圧を昇圧して得られた高電圧を供給する電源であり、DC/DCコンバータなどのスイッチング電源を採用することができる。第2電源32は、バッテリ電圧を降圧して得られた低電圧を供給する電源であり、DC/DCコンバータなどのスイッチング電源を採用することができる。つまり、第1電源31は、第2電源32よりも高電圧を発生する高電圧発生手段であり、第2電源32は、第1電源31よりも低電圧を発生する低電圧発生手段である。なお、第2電源32は、バッテリ電圧を直接供給するものであってもよい。
第1トランジスタ41は、第1電源31とインジェクタ50の高電位側との間に接続されて、第1電源31の高電圧をインジェクタ50に印加する際にオン制御される。第2トランジスタ42は、第2電源32とインジェクタ50の高電位側との間に接続されて、第2電源32の低電圧をインジェクタ50に印加する際にスイッチング制御される。第3トランジスタ43は、インジェクタ50の低電位側に接続されて、第1電源31または第2電源32の電圧をインジェクタ50に印加する際にオン制御される。本実施形態では、これら各トランジスタ41〜43には、MOSFETが採用されているが、これに限らず、バイポーラトランジスタ等のスイッチング素子が採用されてもよい。なお、第1トランジスタ41および第2トランジスタ42は、特許請求の範囲に記載の「高電位側トランジスタ」の一例に相当し、第3トランジスタ43は、特許請求の範囲に記載の「低電位側トランジスタ」の一例に相当し得る。
第3トランジスタ43のゲート−ドレイン間には、ツェナーダイオード44aおよびダイオード44bを有するクランプ回路44が設けられている。このクランプ回路44は、第3トランジスタ43のゲート−ドレイン間の電圧をクランプ電圧Vclでクランプする機能を有するものである。このクランプ電圧Vclは、第3トランジスタ43のドレイン端子の電圧に基づいて測定される。
ツェナーダイオード44aは、そのカソードが第3トランジスタ43のドレインに接続されており、当該第3トランジスタ43のオフ時に、インジェクタコイルの電圧によりカソード側からアノード側へツェナー電流が流れることで第3トランジスタ43をオンさせて、インジェクタコイルに蓄積されていたエネルギーを消費させる消弧用ツェナーダイオードとして機能するものである。
ダイオード44bは、そのアノードがツェナーダイオード44aのアノードに接続され、カソードが第3トランジスタ43のゲートに接続されている。このダイオード44bは、制御IC20から第3トランジスタ43のゲートに供給されるオン信号、すなわち、ハイレベルの駆動信号が当該第3トランジスタ43のドレインへの回り込みを防止するように機能するものである。
なお、ツェナーダイオード44aとダイオード44bとの配置の入れ替え、つまりツェナーダイオード44aのアノードを第3トランジスタ43のゲートに接続し、カソードをダイオード44bのカソードに接続し、ダイオード44bのアノードを第3トランジスタ43のドレインに接続してもよい。
なお、ツェナーダイオード44aとダイオード44bとの配置の入れ替え、つまりツェナーダイオード44aのアノードを第3トランジスタ43のゲートに接続し、カソードをダイオード44bのカソードに接続し、ダイオード44bのアノードを第3トランジスタ43のドレインに接続してもよい。
励磁制御部21は、第1トランジスタ41のゲートにオン信号又はオフ信号を出力することによって、第1トランジスタ41をオン又はオフさせる。また、保持制御部22は、第2トランジスタ42のゲートにオン信号又はオフ信号を出力することによって、第2トランジスタ42をオン又はオフさせる。また、INJスイッチ制御部23は、第3トランジスタ43のゲートにオン信号又はオフ信号を出力することによって、第3トランジスタ43をオン又はオフさせる。
励磁制御部21により第1トランジスタ41がオンされ、INJスイッチ制御部23により第3トランジスタ43がオンされると、インジェクタ50に対して第1電源31から高電圧が印加される。そして、この印加状態から励磁制御部21により第1トランジスタ41がオフされることで、インジェクタ50に対する第1電源31からの高電圧の印加が停止される。
INJスイッチ制御部23により第3トランジスタ43がオン制御されている間に、保持制御部22により第2トランジスタ42がオンされると、インジェクタ50に対して第2電源32から低電圧が印加される。そして、この印加状態からINJスイッチ制御部23により第3トランジスタ43がオフされることで、インジェクタ50に対する第2電源32からの低電圧の印加が停止される。
モニタ部24は、第3トランジスタ43に接続されたシャント抵抗Rの両端に生じる電圧降下に基づいて、インジェクタ50に流れるインジェクタ電流の電流値Iをモニタ(計測)する電流検出手段として機能する。
また、モニタ部24は、後述する開弁制御時に、インジェクタ電流の電流値が第1トランジスタ41をオフするための所定値(第1閾値)に達したか否かを判定する。そして、モニタ部24は、インジェクタ電流の電流値が第1閾値に達したと判定すると、インジェクタ電流の電流値が第1閾値に達したことを示す第1信号を励磁制御部21に送信する。
また、モニタ部24は、後述する保持制御時に、インジェクタ電流の電流値が第2トランジスタ42をオンするための所定値(第2閾値)に達したか否かを判定する。そして、モニタ部24は、インジェクタ電流の電流値が第2閾値に達したと判定すると、インジェクタ電流の電流値が第2閾値に達したことを示す第2信号を保持制御部22に送信する。
また、モニタ部24は、保持制御時に、インジェクタ電流の電流値が第2トランジスタ42をオフするための所定値(第3閾値)に達したか否かを判定する。そして、モニタ部24は、インジェクタ電流の電流値が第3閾値に達したと判定すると、インジェクタ電流の電流値が第3閾値に達したことを示す第3信号を保持制御部22に送信する。
次に、上述のように構成されるインジェクタ制御装置10の処理動作に関して説明する。まず、図2(A)〜(D)の波形図に基づいて、駆動制御の基本的な処理に関して説明する。図2は、本実施形態における駆動制御処理に応じて出力される各信号等を示す波形図であり、図2(A)は噴射指令信号を示し、図2(B)は励磁制御部21が第1トランジスタに出力する信号を示し、図2(C)は保持制御部22が第2トランジスタに出力する信号を示し、図2(D)はインジェクタ電流を示す。
マイコン11は、イグニッションスイッチ(IGSW)がオンになると、スターターモータ(図示省略)を回転させることによってエンジンを始動させる。その際、マイコン11は、各インジェクタ50を駆動制御するための駆動制御処理を実施することで、図2(A)に示すように、インジェクタ50を開閉弁させるための噴射設定期間を設定し、この設定された噴射設定期間に応じた噴射指令信号を制御IC20に対して送信する。
マイコン11は、イグニッションスイッチ(IGSW)がオンになると、スターターモータ(図示省略)を回転させることによってエンジンを始動させる。その際、マイコン11は、各インジェクタ50を駆動制御するための駆動制御処理を実施することで、図2(A)に示すように、インジェクタ50を開閉弁させるための噴射設定期間を設定し、この設定された噴射設定期間に応じた噴射指令信号を制御IC20に対して送信する。
一方、噴射指令信号を受信した制御IC20の励磁制御部21は、第1トランジスタ41にオン信号を出力して第1トランジスタ41をオンさせる(図2(B)のt1)。また、噴射指令信号を受信したINJスイッチ制御部23は、第3トランジスタ43にオン信号を出力して第3トランジスタ43をオンさせる(図示省略)。つまり、制御IC20は、ハイレベルの噴射指令信号を受信すると、第1トランジスタ41と第3トランジスタ43とを同時にオンさせる。
このように第1トランジスタ41と第3トランジスタ43がオンすると、インジェクタ50のソレノイドコイルには、第1電源31から電圧が印加されることで、インジェクタ電流が流れ(図2(D)のt1)、その電流値Iが時間の経過に伴って徐々に大きくなる。そして、インジェクタ電流の電流値Iが所定値(インジェクタ50が開弁する電流値:開弁電流値)に達すると、インジェクタ50が開弁状態となる。インジェクタ制御装置10は、このように第1トランジスタ41と第3トランジスタ43とを同時にオンさせることによって、インジェクタ50を開弁させる。
また、モニタ部24は、このインジェクタ電流の電流値Iを求めるとともに、インジェクタ電流の電流値Iが第1閾値に達したか否かを判定する。そして、モニタ部24は、インジェクタ電流の電流値Iが第1閾値に達したと判定すると(図2(D)のt2)、インジェクタ電流の電流値Iが第1閾値に達したことを示す第1信号を励磁制御部21に送信する。
励磁制御部21は、モニタ部24から上記第1信号を受信すると、第1トランジスタ41にオフ信号を出力して第1トランジスタ41をオフさせる(図2(B)のt2)。
ここで、第1電源31は、高電圧を発生(供給)するように構成されているため、インジェクタ50(ソレノイドコイル)に流れるインジェクタ電流の電流値Iは、比較的早くインジェクタ50が開弁する電流値に達する。従って、インジェクタ50を高速で開弁させることができる。つまり、インジェクタ50の開弁応答を早めることができる。換言すると、インジェクタ50を高速駆動させることができる。このように、図2(D)のt1からt2の間は、励磁制御部21による開弁制御によってインジェクタ50の駆動制御が行われる。
インジェクタ制御装置10は、上記開弁制御により第1トランジスタ41と第3トランジスタ43とをオンさせてインジェクタ50を開弁させた後は、インジェクタ50の開弁状態を保持(維持)する保持制御を実施する。
上述のように励磁制御部21によって第1トランジスタ41がオフされると、インジェクタ電流は徐々に低下していく(図2(D)のt2からt3)。モニタ部24は、このように低下するインジェクタ電流の電流値Iが第2閾値に達したか否かを判定する。そして、モニタ部24は、インジェクタ電流の電流値Iが第2閾値に達したと判定すると(図2(D)のt3)、インジェクタ電流の電流値Iが第2閾値に達したことを示す第2信号を保持制御部22に送信する。
保持制御部22は、モニタ部24から上記第2信号を受信すると、第2トランジスタ42にオン信号を出力して第2トランジスタ42をオンさせる(図2(C)のt3)。これにより、第2トランジスタ42がオンすると、インジェクタ50のソレノイドコイルには、第2電源32から電圧が印加されることでインジェクタ電流が流れる。このインジェクタ電流は、時間の経過に伴って徐々に大きくなる(図2(D)のt3からt4)。
ここで、上述のように第2電源32は、低電圧を発生(供給)するように構成されているため、第2トランジスタ42をオンさせることで、インジェクタ50(ソレノイドコイル)には比較的小さな電流値のインジェクタ電流(開弁保持電流)が流れる。この開弁保持電流の電流値は、インジェクタ50の開弁状態を保持するのに必要な電流値である。
モニタ部24は、上述のように大きくなるインジェクタ電流の電流値Iが第3閾値に達したか否かを判定する。そして、モニタ部24は、インジェクタ電流の電流値Iが第3閾値に達したと判定すると(図2(D)のt4)、インジェクタ電流の電流値Iが第3閾値に達したことを示す第3信号を保持制御部22に送信する。
保持制御部22は、モニタ部24から上記3信号を受信すると、第2トランジスタ42にオフ信号を出力して第2トランジスタ42をオフさせる(図2(C)のt4)。これにより、第2トランジスタ42がオフされると、インジェクタ電流は徐々に低下していく(図2(D)のt4からt5)。モニタ部24は、このように低下するインジェクタ電流の電流値Iが第2閾値に達したか否かを判定する。そして、モニタ部24は、インジェクタ電流の電流値Iが第2閾値に達したと判定すると(図2(D)のt5)、インジェクタ電流の電流値Iが第2閾値に達したことを示す第2信号を保持制御部22に送信する。
保持制御部22は、以降同様に、モニタ部24で求められたインジェクタ電流の電流値Iと第2閾値及び第3閾値とを比較して、第2トランジスタ42のオン及びオフを繰り返し行う。つまり、保持制御時においては、保持制御部22は、インジェクタ電流の電流値Iが、インジェクタ50の開弁状態を保持するのに必要な電流値となるように、第2トランジスタ42のオン及びオフが繰り返されるスイッチングが行われる。インジェクタ制御装置10は、このように第2トランジスタ42のスイッチングが行われることによって、インジェクタ50の開弁状態を保持する。
そして、INJスイッチ制御部23は、噴射指令信号がオフ(噴射指令を示す信号のレベルがロー)になると(図2(A)のt6)、第3トランジスタ43にオフ信号を出力して第3トランジスタ43をオフさせる(図示省略)。このように第3トランジスタ43のゲートにオフ信号が入力されると、オン時にインジェクタ50のソレノイドコイルに蓄えられたエネルギーによってツェナーダイオード44aを介して、第3トランジスタ43が再度オン状態となりインジェクタ50のソレノイドコイルにインジェクタ電流が流れる。このようにソレノイドコイルに蓄えられたエネルギーが消費されて、インジェクタ電流の電流値Iが徐々に低下して所定値(インジェクタ50が閉弁する電流値:閉弁電流値)以下となると、インジェクタ50が閉弁状態となる(図2(D)のt7)。
このようにインジェクタ制御装置10は、インジェクタ50を開弁してエンジンに燃料を噴射する場合、開弁制御時には大電流値の開弁電流をインジェクタ50のソレノイドに通電して開弁動作を速める。そして、開弁完了後の保持制御時には開弁状態の維持に必要な小電流値の開弁保持電流に切り替え、この開弁保持電流をソレノイドに所定時間(噴射指令信号がオフになるまで)通電させて噴射量を制御する。
なお、本実施形態においては、モニタ部24が、インジェクタ電流の電流値Iが第1〜第3閾値に達したか否かを判定するとともに、インジェクタ電流の電流値Iが各閾値に達したことを励磁制御部21又は保持制御部22に通知する例を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。インジェクタ電流の電流値Iが第1〜第3閾値の夫々に達したか否かを判定するとともに、インジェクタ電流の電流値Iが各閾値に達したことを励磁制御部21又は保持制御部22に通知する手段であれば採用することができる。
次に、本発明の特徴的構成について図を用いて詳細に説明する。図3は、ツェナーダイオード44aにおける温度とツェナー電圧との関係を示すグラフである。図4は、第3トランジスタ43のオフ後のクランプ電圧Vclが基準電圧である場合の波形図であって、図4(A)は噴射指令信号を示し、図4(B)はクランプ電圧を示し、図4(C)はインジェクタ電流を示す。図5は、第3トランジスタ43のオフ後のクランプ電圧Vclが基準電圧よりも低い場合の波形図であって、図5(A)は噴射指令信号を示し、図5(B)はクランプ電圧を示し、図5(C)はインジェクタ電流を示す。図6は、第3トランジスタ43のオフ後のクランプ電圧Vclが基準電圧よりも高い場合の波形図であって、図6(A)は噴射指令信号を示し、図6(B)はクランプ電圧を示し、図6(C)はインジェクタ電流を示す。図7は、駆動制御処理にて使用される補正用クランプ電圧Vclaと補正値ΔTとの関係の一例を示すマップである。
上述したように噴射指令信号がオフになったことから第3トランジスタ43にオフ信号が入力されると、インジェクタ50のソレノイドコイルに蓄えられたエネルギーによってクランプ用のツェナーダイオード44aを介して第3トランジスタ43が再度オン状態となり、ソレノイドコイルにインジェクタ電流が流れることで上記エネルギーが消費されて、インジェクタ50が閉弁する。
クランプ回路44のクランプ電圧Vclは、主にツェナーダイオード44aのツェナー電圧により決まり、このツェナー電圧は、製造誤差や温度等に起因してばらつく。例えば、図3に例示するように、温度が上昇するとツェナー電圧、すなわちクランプ電圧Vclが増加するように変化する。そうすると、第3トランジスタ43のオフ後のクランプ電圧Vclの変化に応じて、ソレノイドコイルに流れるインジェクタ電流の電流値Iが閉弁電流値以下となるまでの時間が変動するため、同じ噴射設定期間としても、噴射指令信号がオンになってからインジェクタ電流の電流値Iが閉弁電流値以下となり燃料噴射が停止されるまでの実際の噴射時間(以下、実噴射期間という)がばらついてしまう。
例えば、噴射設定期間Tが3.5msに設定されており、第3トランジスタ43にオフ信号が入力された後でのクランプ電圧Vclが想定される基準電圧(例えば、91V)である場合に、図4に例示するように、第3トランジスタ43にオフ信号が入力された後にインジェクタ電流の電流値Iが所定の時間(以下、エネルギー消費時間という)で上記閉弁電流値以下となるとする。この場合、基準電圧時におけるエネルギー消費時間をT1e、実噴射期間をT1sとすると、実噴射期間T1sは、噴射設定期間Tから開弁までの時間Tdを減算してエネルギー消費時間T1eを加算した時間になる(図4参照)。
一方、第3トランジスタ43にオフ信号が入力された後でのクランプ電圧Vclが例えば88Vで上記基準電圧よりも低い場合には、インジェクタ50のソレノイドコイルに蓄えられるエネルギーの消費速度が小さくなり、この場合のエネルギー消費時間をT2eとすると、エネルギー消費時間T2eがエネルギー消費時間T1eよりも長くなる。すなわち、図5に例示するように、実噴射期間T2sが実噴射期間T1sよりも長くなり、燃料噴射量が基準値よりも増大してしまう。
また、第3トランジスタ43にオフ信号が入力された後でのクランプ電圧Vclが例えば95Vで上記基準電圧よりも高い場合には、インジェクタ50のソレノイドコイルに蓄えられるエネルギーの消費速度が大きくなり、この場合のエネルギー消費時間をT3eとすると、エネルギー消費時間T3eがエネルギー消費時間T1eよりも短くなる。すなわち、図6に例示するように、実噴射期間T3sが実噴射期間T1sよりも短くなり、燃料噴射量が基準値よりも減少してしまう。
そこで、本実施形態におけるインジェクタ制御装置10では、マイコン11により実施される駆動制御処理において、第3トランジスタ43にオフ信号が入力された後のクランプ電圧Vclを補正用クランプ電圧Vclaとして測定し、この測定された補正用クランプ電圧Vclaに基づいて、実際の噴射時間のばらつきを抑えるように噴射設定期間Tを補正する。すなわち、補正用クランプ電圧Vclaが上記基準電圧よりも低い場合には噴射設定期間Tを基準期間Toよりも短く補正し、補正用クランプ電圧Vclaが上記基準電圧よりも高い場合には噴射設定期間Tを基準期間Toよりも長く補正する。
具体的には、例えば、第3トランジスタ43にオフ信号が入力された後の補正用クランプ電圧Vclaと基準期間Toに対する実噴射期間との関係を実測することで、補正用クランプ電圧Vclaに応じて基準期間Toを補正するための補正値ΔTを設定し、図7に例示するように、補正値ΔTと補正用クランプ電圧Vclaとが関係付けられたマップ(図表)を予めROM等に記憶しておく。そして、上記マップに基づいて測定された補正用クランプ電圧Vclaに応じた補正値ΔTを求めて、この補正値ΔTに基づいて、噴射設定期間Tを基準期間Toに対して補正する。なお、マイコン11のROMは、特許請求の範囲に記載の「記憶手段」の一例に相当し得る。
以下、マイコン11により実施される駆動制御処理の流れについて、図を用いて詳細に説明する。図8は、マイコン11により実施される駆動制御処理の流れを例示するフローチャートである。図9は、補正用クランプ電圧Vclaが基準電圧よりも低いことから噴射設定期間Tが基準期間Toよりも短く補正された場合の波形図であって、図9(A)は噴射指令信号を示し、図9(B)はクランプ電圧を示し、図9(C)はインジェクタ電流を示す。図10は、補正用クランプ電圧Vclaが基準電圧よりも高いことから噴射設定期間Tが基準期間Toよりも長く補正された場合の波形図であって、図10(A)は噴射指令信号を示し、図10(B)はクランプ電圧を示し、図10(C)はインジェクタ電流を示す。なお、図8に示すフローチャートは、IGSWがオンになるとスターターモータ(図示省略)が回転することによってエンジン(内燃機関)が始動し、このIGSWがオンの間実行される処理に関するものである。
まず、マイコン11では、IGSWがオンになると、ステップS101に示す基準期間設定処理がなされる。この処理では、入力されるアクセル開度情報等の運転情報に基づいて、補正用クランプ電圧Vclaが上記基準電圧である場合に設定すべき基準期間To(例えば3.5ms)が算出され、この算出された基準期間Toに等しくなるように噴射設定期間が設定される。続いて、ステップS103に示す判定処理にて、噴射開始タイミングか否かについて判定され、噴射開始タイミングになると(S103でYes)、ステップS105に示す噴射指令信号出力処理がなされる。この処理では、上述のように設定された噴射設定期間に応じた噴射指令信号が制御IC20に出力される。
次に、ステップS107に示すクランプ電圧測定処理がなされて、クランプ回路44におけるクランプ電圧Vclが補正用クランプ電圧Vclaとして測定されると、ステップS109に示す補正値算出処理がなされる。この処理では、上述した図7に例示するマップに基づいて、測定された補正用クランプ電圧Vclaに応じた補正値ΔTが算出される。例えば、測定された補正用クランプ電圧Vclaが88Vであれば、上記マップから補正値ΔTとして−0.3msが算出される。また、例えば、測定された補正用クランプ電圧Vclaが95Vであれば、上記マップから補正値ΔTとして0.4msが算出される。なお、ステップS107に示すクランプ電圧測定処理を実施するマイコン11は、特許請求の範囲に記載の「測定手段」の一例に相当し得る。
このように補正値ΔTが算出されると、ステップS111に示す噴射設定期間補正処理がなされる。この処理では、噴射設定期間Tが、上述のように算出された補正値ΔTに基づいて基準期間Toに対して補正される。なお、ステップS111に示す噴射設定期間補正処理を実施するマイコン11は、特許請求の範囲に記載の「補正手段」の一例に相当し得る。
具体的には、基準期間Toが3.5msに設定されている場合、補正値がΔT=−0.3ms(Vcl=88V)と算出されると、噴射設定期間Tが3.2(=3.5−0.3)msに補正される。すなわち、補正用クランプ電圧Vclaが上記基準電圧よりも低い場合には、図9に例示するように、噴射設定期間Tが基準期間Toよりも短く補正される。
また、補正値がΔT=0.4ms(Vcl=95V)と算出されると、噴射設定期間Tが3.9(=3.5+0.4)msに補正される。すなわち、補正用クランプ電圧Vclaが上記基準電圧よりも高い場合には、図10に例示するように、噴射設定期間Tが基準期間Toよりも長く補正される。
そして、IGSWがオフでなければ(S113でNo)、上記ステップS101からの処理がなされて、上述のように算出された基準期間Toを補正値ΔTに基づいて噴射設定期間Tが補正され、このように補正された噴射設定期間Tに応じた噴射指令信号が制御IC20に出力される。これにより、上述のように補正されたときの実噴射期間Tsとベースとなる実噴射期間T1sとの差が小さくなり、噴射時間(開弁時間)のばらつきを抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態に係るインジェクタ制御装置10では、第3トランジスタ43のゲート−ドレイン間に配置されるツェナーダイオード44aを有し当該ゲート−ドレイン間の電圧をクランプ電圧Vclでクランプするクランプ回路44が設けられている。そして、第3トランジスタ43のオフ後に測定される補正用クランプ電圧Vclaが基準電圧よりも低い場合には噴射設定期間Tが基準期間Toよりも短く補正され、補正用クランプ電圧Vclaが基準電圧よりも高い場合には噴射設定期間Tが基準期間Toよりも長く補正される。
このように、補正用クランプ電圧Vclaが基準電圧よりも低くなるために実噴射期間が長くなる場合には、噴射設定期間Tが基準期間Toよりも短く補正される。このため、補正用クランプ電圧Vclaが基準電圧よりも低いときの実噴射期間(短く補正された噴射設定期間Tから開弁までの時間Tdを減算してエネルギー消費時間を加算した時間)と、補正用クランプ電圧Vclaが基準電圧のときの実噴射期間(基準期間Toから開弁までの時間Tdを減算してエネルギー消費時間を加算した時間)との差が小さくなり、噴射時間(開弁時間)のばらつきを抑制することができる。また、補正用クランプ電圧Vclaが基準電圧よりも高くなるために実噴射期間が短くなる場合には、噴射設定期間Tが基準期間Toよりも長く補正される。このため、補正用クランプ電圧Vclaが基準電圧よりも高いときの実噴射期間(長く補正された噴射設定期間Tから開弁までの時間Tdを減算してエネルギー消費時間を加算した時間)と、補正用クランプ電圧Vclaが基準電圧のときの実噴射期間(基準期間Toから開弁までの時間Tdを減算してエネルギー消費時間を加算した時間)との差が小さくなり、噴射時間(開弁時間)のばらつきを抑制することができる。
したがって、燃料噴射量を実測するセンサ等を要することなく、簡易な構成にてインジェクタ50による噴射時間を高精度に制御することができる。
したがって、燃料噴射量を実測するセンサ等を要することなく、簡易な構成にてインジェクタ50による噴射時間を高精度に制御することができる。
また、マイコン11のROMには、噴射設定期間Tを基準期間Toに対して変化させるための補正値ΔTと補正用クランプ電圧Vclaとが関係付けられたマップが予め記憶されており(図7参照)、上記マップに基づいて第3トランジスタ43のオフ後に測定される補正用クランプ電圧Vclaに応じた補正値ΔTが求められ、この補正値ΔTに基づいて噴射設定期間Tが基準期間Toに対して補正される。このように予め記憶されたマップを用いて補正値ΔTが求められるので、当該補正値ΔTを用いた噴射設定期間Tの補正を容易に実施することができる。
さらに、上記マップは、補正用クランプ電圧Vclaと基準期間Toに対する実際の噴射期間との関係を実測して設定されるため、当該マップを用いた噴射設定期間Tの補正精度が高められて、噴射時間のばらつきを確実に抑制することができる。なお、上記マップは、上述のように実測されることで設定されることに限らず、例えば、補正用クランプ電圧Vclaと基準期間Toに対する噴射期間との関係を少なくとも一部を数値解析を利用することで設定されてもよい。
上記実施形態の第1変形例として、マイコン11により実施される駆動制御処理では、各噴射毎に補正用クランプ電圧Vclaに応じて噴射設定期間Tを補正することに限らず、複数回の噴射に1度、補正用クランプ電圧Vclaに応じて噴射設定期間Tを補正してもよい。すなわち、噴射設定期間Tが補正されると、次に噴射設定期間Tが補正されるまで、当該補正された噴射設定期間Tに基づいて各トランジスタ41〜43のオンオフ状態が制御される。
これにより、噴射毎に補正された噴射設定期間Tに基づいて各トランジスタ41〜43のオンオフ状態を制御する場合と比較して、補正等に関するマイコン11の処理負荷を軽減することができる。
上記実施形態の第2変形例として、マイコン11により実施される駆動制御処理では、上記ステップS107にて示すクランプ電圧測定処理を、第3トランジスタ43のオフ後であってツェナーダイオード44aのツェナー電圧が安定した後に、実施することができる。
図11は、第3トランジスタ43のオフ直後におけるツェナーダイオードのツェナー電圧の時間変化を示す図である。
第3トランジスタ43のオフ直後(噴射設定期間終了直後)では、図11に例示するように、本来のツェナー電圧を超える電圧が発生する場合もあり、ツェナー電圧が安定しない場合がある。そこで、ツェナー電圧が所定値(図11の符号Vz)にて安定した後に(図11の符号ta参照)、上記クランプ電圧測定処理によりクランプ電圧Vclを補正用クランプ電圧Vclaとして測定する。これにより、上記エネルギー消費時間に影響する補正用クランプ電圧Vclaを精度良く測定できるので、噴射設定期間Tの補正精度が高められて、噴射時間のばらつきを確実に抑制することができる。この場合、複数回の噴射に1度、ツェナー電圧が所定値にて安定した後に測定される補正用クランプ電圧Vclaに応じて噴射設定期間Tを補正することで、上記第1変形例と同等の効果を奏する。
第3トランジスタ43のオフ直後(噴射設定期間終了直後)では、図11に例示するように、本来のツェナー電圧を超える電圧が発生する場合もあり、ツェナー電圧が安定しない場合がある。そこで、ツェナー電圧が所定値(図11の符号Vz)にて安定した後に(図11の符号ta参照)、上記クランプ電圧測定処理によりクランプ電圧Vclを補正用クランプ電圧Vclaとして測定する。これにより、上記エネルギー消費時間に影響する補正用クランプ電圧Vclaを精度良く測定できるので、噴射設定期間Tの補正精度が高められて、噴射時間のばらつきを確実に抑制することができる。この場合、複数回の噴射に1度、ツェナー電圧が所定値にて安定した後に測定される補正用クランプ電圧Vclaに応じて噴射設定期間Tを補正することで、上記第1変形例と同等の効果を奏する。
なお、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)補正値ΔTは、図7に例示するマップに基づいて第3トランジスタ43のオフ後に測定される補正用クランプ電圧Vclaに応じて算出されることに限らず、例えば、予め設定される関係式等に基づいて第3トランジスタ43のオフ後に測定される補正用クランプ電圧Vclaに応じて算出されてもよい。
(1)補正値ΔTは、図7に例示するマップに基づいて第3トランジスタ43のオフ後に測定される補正用クランプ電圧Vclaに応じて算出されることに限らず、例えば、予め設定される関係式等に基づいて第3トランジスタ43のオフ後に測定される補正用クランプ電圧Vclaに応じて算出されてもよい。
(2)各トランジスタ41〜43として、MOSFETが採用されることに限らず、ベース端子(ゲート端子)に入力される制御信号に応じてオンオフ制御されるトランジスタが採用されてもよい。
10…インジェクタ制御装置
11…マイコン(測定手段,補正手段,記憶手段)
20…制御IC(制御手段)
41…第1トランジスタ(高電位側トランジスタ)
42…第2トランジスタ(高電位側トランジスタ)
43…第3トランジスタ(低電位側トランジスタ)
44…クランプ回路,44a…ツェナーダイオード
50…インジェクタ
T…噴射設定期間,To…基準期間,ΔT…補正値
Vcl…クランプ電圧,Vcla…補正用クランプ電圧
11…マイコン(測定手段,補正手段,記憶手段)
20…制御IC(制御手段)
41…第1トランジスタ(高電位側トランジスタ)
42…第2トランジスタ(高電位側トランジスタ)
43…第3トランジスタ(低電位側トランジスタ)
44…クランプ回路,44a…ツェナーダイオード
50…インジェクタ
T…噴射設定期間,To…基準期間,ΔT…補正値
Vcl…クランプ電圧,Vcla…補正用クランプ電圧
Claims (5)
- 設定された噴射設定期間(T)に応じた電圧を印加することでインジェクタ(50)を駆動制御するインジェクタ制御装置(10)であって、
前記インジェクタの高電位側に接続される高電位側トランジスタ(41,42)と、
前記インジェクタの低電位側に接続される低電位側トランジスタ(43)と、
前記噴射設定期間に応じて前記高電位側トランジスタおよび前記低電位側トランジスタのオンオフ状態を制御する制御手段(20)と、
前記低電位側トランジスタのゲート−ドレイン間に配置されるツェナーダイオード(44a)を有し当該ゲート−ドレイン間の電圧をクランプ電圧(Vcl)でクランプするクランプ回路(44)と、
前記クランプ電圧を測定する測定手段(11)と、
前記低電位側トランジスタのオフ後に前記測定手段により測定される補正用クランプ電圧(Vcla)が基準電圧よりも低い場合には前記噴射設定期間を基準期間(To)よりも短く補正し、当該補正用クランプ電圧が前記基準電圧よりも高い場合には前記噴射設定期間を前記基準期間よりも長く補正する補正手段(11)と、
を備えることを特徴とするインジェクタ制御装置。 - 前記噴射設定期間を前記基準期間に対して変化させるための補正値(ΔT)と前記補正用クランプ電圧とが関係付けられたマップが予め記憶される記憶手段(11)を備え、
前記補正手段は、前記記憶手段に記憶される前記マップに基づいて前記低電位側トランジスタのオフ後に前記測定手段により測定される前記補正用クランプ電圧に応じた前記補正値を求め、この補正値に基づいて前記噴射設定期間を前記基準期間に対して補正することを特徴とする請求項1に記載のインジェクタ制御装置。 - 前記マップは、前記補正用クランプ電圧と前記基準期間に対する実際の噴射期間との関係を実測して設定されることを特徴とする請求項2に記載のインジェクタ制御装置。
- 前記補正手段は、複数回の噴射に1度、前記補正用クランプ電圧に応じて前記噴射設定期間を補正し、
前記制御手段は、前記補正手段により前記噴射設定期間が補正されると、次に前記噴射設定期間が補正されるまで、当該補正された噴射設定期間に基づいて前記高電位側トランジスタおよび前記低電位側トランジスタのオンオフ状態を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインジェクタ制御装置。 - 前記測定手段は、前記低電位側トランジスタのオフ後であって前記ツェナーダイオードのツェナー電圧が安定した後に、前記補正用クランプ電圧を測定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインジェクタ制御装置。
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-
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