JP2013151600A - 捺染用インクジェットインク - Google Patents

捺染用インクジェットインク Download PDF

Info

Publication number
JP2013151600A
JP2013151600A JP2012012757A JP2012012757A JP2013151600A JP 2013151600 A JP2013151600 A JP 2013151600A JP 2012012757 A JP2012012757 A JP 2012012757A JP 2012012757 A JP2012012757 A JP 2012012757A JP 2013151600 A JP2013151600 A JP 2013151600A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
pigment
carboxyl group
glycol
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012012757A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Furue
誠 古江
Toru Saito
徹 齋藤
Masakazu Ohashi
正和 大橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2012012757A priority Critical patent/JP2013151600A/ja
Publication of JP2013151600A publication Critical patent/JP2013151600A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】本発明は捺染品質や洗濯堅牢性に優れ、テキスタイル用として高い摩擦堅牢性や追従性を備えた捺染用インクジェットインクを提供することにある。
【解決手段】少なくとも顔料と、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂と、オキサゾリン基含有樹脂と、水と、を含む、捺染用インクジェットインク。
【選択図】なし

Description

本発明は、摩擦堅牢性および追従性に優れる印捺物が得られる捺染用インクジェットインクに関する。
インクジェット方式を用いたデジタル捺染は、スクリーン捺染に対して工程の簡素化や小ロット対応が容易であり、低エネルギー低コストで捺染製品を提供できる技術である。テキスタイル向けインクジェット用インクとしては染料インクが主流であるが、布帛の前処理や捺染後の加熱、後処理が簡略化できる顔料インクは、インクジェット方式によるデジタル捺染の特長をより際立たせるものである。
しかし、顔料インクは印刷媒体の表面近傍に顔料粒子が残存することで高い発色性を実現する特性上、摩擦堅牢性能が低くなる傾向がある。特に、捺染用途では捺染部の摺動による色落ちや色移りを抑制する高い摩擦堅牢性能が要求されている。また、洗濯やドライクリーニングによる捺染部の色落ち、離脱した色材によるクリーニング液の汚染といった、所謂洗濯堅牢性の課題もある。これらの性能は、インク中の顔料濃度の低減により、見かけ上改善することが可能であるが、捺染部の発色が低下する現象を招く。即ち、テキスタイル向けインクジェット用顔料インクにおいては、発色性に代表される捺染品質と、摩擦堅牢性および洗濯堅牢性との両立が大きな課題となっている。
このような課題を解決するために、特許文献1および特許文献2では、顔料インクに対してオキサゾリン含有樹脂を添加することが提案されている。
特開2010−156089号公報 特開2010−155959号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載のインクでは、定着樹脂としてアクリルを用いるため摩擦堅牢性が不十分という課題があった。
したがって、本発明の目的の一つは、洗濯堅牢度を低下させることなく、摩擦堅牢性および追従性に優れた印捺物を実現できるインクジェット捺染用インクを提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
(適用例1)
少なくとも顔料と、カルボキシル基含有ポリカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂と、オキサゾリン基含有樹脂と、水と、を含む、捺染用インクジェットインクである。
(適用例2)
前記顔料が白色顔料である、適用例1に記載の捺染用インクジェットインク。
(適用例3)
前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の破断点伸度が200%以上400%以下である、適用例1または2に記載の捺染用インクジェットインクである。
(適用例4)
前記オキサゾリン基含有樹脂のガラス転移温度が、−60℃以上−20℃以下である、適用例1〜3のいずれか一例に記載の捺染用インクジェットインクである。
(適用例5)
前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂が、カルボキシル基を含有する、適用例1〜4のいずれか一例に記載の捺染用インクジェットインクである。
(適用例6)
下記一般式(1)で表されるオキサゾリン基モル量(A)を、下記一般式(2)で表されるカルボキシル基モル量(B)で除した(A)/(B)が、0.3以上1.4以下である、適用例1〜5のいずれか一例に記載の捺染用インクジェットインク。
オキサゾリン基モル量(A)=(オキサゾリン基含有樹脂の固形分濃度)×(オキサゾリン基量) …(1)
カルボキシル基モル量(B)=(カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の固形分濃度)×(カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の酸価)/56.1 …(2)
1.捺染用インクジェットインク
本発明のインクは少なくとも顔料と、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂と、オキサゾリン基含有樹脂と、水と、を含む。
以下、各成分について説明する。
1.1.顔料
本例で用いるインクは、顔料を含む。顔料は、白色インク、黒色インク、カラーインク等のインクの種類に応じて、適宜決定することができる。
白色インク用の顔料として、酸化チタンや酸化亜鉛等の遮蔽性の高いものを使用することができる。なかでも、高い遮光性が得られる点から、酸化チタンがより好ましい。酸化チタンとしては、従来からインクジェット用インクに使用されているもので、ルチル型、アナターゼ型等の各種の酸化チタンが使用できる。
黒色インク用の顔料として、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類が好ましいが、銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料を用いることもできる。
また、カラーインク用の顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、93、94、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、153、155、180、185、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、202、206、209、219、C.I.ピグメントバイオレット19、23、C.I.ピグメントオレンジ36、43、64、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が使用できる。
このように、種々の顔料を用いることができる。
顔料の添加量は、0.5%以上30%以下が好ましく、1.0以上15質量%以下がより好ましい。0.5%以下の添加量では、印字濃度が確保できなくなり、また30質量%以上の添加量では、インクの粘度増加や粘度特性に構造粘性が生じ、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が悪くなる傾向になる。
本例で用いることができる顔料の平均粒径は、インクに用いる顔料の種類に応じて適宜決定することができる。ブラック及びカラー顔料を用いる場合、その平均粒径は50nm以上1μm以下が好ましい。50nm未満では印捺物の発色性が低下する。また、1μmを超えると定着性が低下する。ブラックおよびカラー顔料の場合は、より好ましくは70nm以上230nm以下、さらに好ましくは80nm以上130nm以下である。
他方、白色顔料の場合、その平均粒径は100nm以上600nm以下が好ましく、より好ましくは200nm以上500nm以下である。100nm未満では隠蔽性が低くなり、白色の発色性が低下する。1μmを超えると定着性が低下し、インクジェットヘッドからの吐出安定性が低下する。
また、本明細書において、「平均粒径」とは体積基準における累積50%粒子径を意味し、光散乱法で測定する。
本例で用いる顔料の分散形態は、分散剤を利用するもの、樹脂により顔料を被覆したもの、或いは表面処理を施すものを用いることができる。表面処理を施した顔料とは、親水性付与剤によって表面に多数の親水性基を、直接または間接的に結合させて水性溶媒中に分散可能とした顔料である。表面処理顔料の表面に結合される親水性基としては、スルホン基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、リン酸基、第四級アンモニウム、およびそれらの塩等が挙げられる。新水性基付与剤としては、例えば、スルホン基を付与するものとして、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、クロロ硫酸、フルオロ硫酸、アミド硫酸、スルホン化ピリジン塩、スルファミン酸等を、カルボキシル基を付与するものとして、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等の次亜ハロゲン酸塩等を用いることができる。また、上記の化学的処理の他に、真空プラズマ処理等のような物理的酸化によりカルボキシル基を付与する方法もある。また、市販の表面処理を施した、自己分散型顔料を利用することも可能である。樹脂により被覆された顔料とは、酸析法、転相乳化法、ミニエマルション重合法などにより、形成した樹脂層で包含された顔料であり、分散安定性が向上する。
また、上記顔料は、分散機を用いて分散するが、分散機としては市販の種々の分散機を用いることができる。好ましくはコンタミが少ないという観点から、非メディア分散がよい。その具体例としては、湿式ジェットミル(ジーナス社)、ナノマーザー(ナノマーザー社)、ホモジナイザー(ゴーリン社)、アルティマイザー(スギノマシン社)およびマイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社)などが挙げられる。
上記分散に用いる樹脂は、2重結合を有するアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基あるいはアリル基を有するモノマーやオリゴマー類を用いた樹脂を用いることができる。
上記分散に用いる樹脂は、親水性を付与するため、また、多価金属イオンによる凝集作用により発色性を向上させるためにカルボキシル基を備えていることが好ましい。カルボキシル基は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等を用いることができる。これらは1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができるが、好ましくは、アクリル酸および/またはメタクリル酸である。
上記分散に用いる樹脂は、アクリレートとアクリル酸との全モノマー質量に対する比率が80%以上であるモノマー組成物の共重合体であることが好ましい。80%未満では、印捺物上のインクの定着性が低下する。アクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、フェノールEO変性アクリレート、N-ビニルピロリドン、イソボロニルアクリレート、ベンジルアクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、2−ヒドロキシエチル−3−フェノキシプロピルアクリレートなど市販のアクリレートを用いることができる。好ましくは、ベンジルアクリレートおよび/またはブチルアクリレートを用いる。さらに好ましくは、ベンジルアクリレートを全モノマー質量の40%以上80%以下含有するモノマーの共重合体である。ベンジル基を有するアクリル系モノマー及びメタクリル系モノマーの総量が40%未満では、布帛上での印捺物の発色性が低下し、80%を超えると分散安定性を得られにくくなる。なお、ベンジル基含有水分散性樹脂は、ベンジルアクリレートおよびベンジルメタクリレート以外のモノマーは、アクリル酸および/またはメタクリル酸と他のアクリレートおよび/またはメタクリレートであることが好ましい。
上記分散に用いる樹脂は、溶液重合や乳化重合等公知の方法により得ることができる。また、上記分散に用いる樹脂とは別に、インク中で顔料分散体を安定に分散させるために、分散安定剤として水分散性または水溶解性の樹脂や界面活性剤を添加することもできる。
1.2.カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂
本例で用いるインクは、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂を含む。これにより、摩擦堅牢性に優れた印捺物を得ることができる。また、上記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の破断点伸度は200%以上400%以下であることが好ましく、前記の範囲とすることで摩擦堅牢性がより一層優れたものとなる。
また、上記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算質量平均分子量が100000以上1000000以下であることが好ましい。この範囲内にあることにより、印捺物の顔料の定着性が向上する。また、インクに含有されるカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の平均粒径は光散乱法で測定する。光散乱法によるインクに含有されるカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の粒径は30nm以上500nm以下が好ましく、60nm以上300nm以下がより好ましい。30nm未満では印捺物の定着性が低下し、500nmを超えると分散安定が不安定になる。また、顔料定着液をインクジェット印刷する場合は、インクジェットヘッドからの吐出が不安定になりやすい。
次いで、上記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂を作製するためのモノマーとして用いることのできる、ポリオール、鎖延長剤、ポリイソシアネートおよびポリアミンについて説明する。
1.2.1.ポリオール
ポリオールとして、ヒドロキシル基を2個以上含有する化合物であって、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の直鎖脂肪族グリコール;ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族分岐グリコール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリブチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多官能グリコール;が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができ、さらに2種以上の共重合体として使用することもできる。
また、本例においてはポリエステルポリオールを用いることもできる。例えば以下に挙げるグリコール類やエーテル類と2価のカルボン酸やカルボン酸無水物とを脱水縮合させる等公知の方法により得ることができる。ここでは、本例に使用可能なポリエステルポリオールの作製に使用される具体的な化合物を挙げる。飽和もしくは不飽和のグリコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の直鎖脂肪族グリコール;ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族分岐グリコール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリブチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多官能グリコール等の各種グリコール類が挙げられる。
また、エーテル類としては、例えば、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類が挙げられる。
また、2価のカルボン酸や酸無水物としては、例えば、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の二塩基酸またはこれらに対応する酸無水物やダイマー酸、ひまし油およびその脂肪酸等が挙げられる。これらを用いて脱水縮合により得られるポリエステルポリオール類の他に、環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類も挙げられる。
本例に使用し得るポリエステルポリオールは、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とを脱水縮合させたポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)−alt−(アジピン酸)](クラレポリオールP2010、クラレ社製)等が市販されている。
さらに、本例で用いることのできるポリカーボネートポリオールは、一般に多価アルコールとジメチルカーボネートとの脱メタノール縮合反応、多価アルコールとジフェニルカーボネートの脱フェノール縮合反応、または、多価アルコールとエチレンカーボネートの脱エチレングリコール縮合反応などの反応を経て生成される。これらの反応で使用される多価アルコールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の飽和もしくは不飽和の各種グリコール類、1,4−シクロヘキサンジグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール等が挙げられる。
本例に使用し得るポリカーボネートポリオールは例えば、1,6−ヘキサンジオールを主成分とした共重合体(PES−EXP815、日本ポリウレタン工業社製)等が市販されている。
また、ポリテトラメチレンエーテルグリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール等の多価アルコールの1種又は2種以上にテトラヒドロフランを開環重合により付加して得られるものが挙げられる。これらの環状エーテルは単独で又は2種以上を併用して使用することができ、さらに上記環状エーテルを2種以上使用した共重合体も使用可能である。例えば、テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールの共重合体(PTXG−1800、旭化成社製)等が市販されている。
さらに、本例においては使用できるポリオールとして例えば、アクトコールEP3033(三井化学ウレタン社製)、PREMINOL7003(旭硝子社製)、PREMINOL7001(旭硝子社製)、アデカポリエーテルAM302(旭電化社製)等が市販されている。
1.2.2.鎖延長剤
本例においては鎖延長剤として、以下のものを使用することができる。例えば、ポリオールとして、ヒドロキシル基を2個以上含有する化合物であって、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の直鎖脂肪族グリコール;ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族分岐グリコール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリブチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多官能グリコール;が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができ、さらに2種以上の共重合体として使用することもできる。
1.2.3.ポリイソシアネート
また、本例で使用することができるポリイソシアネートとして、イソシアネート基を2個以上含有する化合物であって、以下のようなものである。例えば、ジエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、2,6−ビス(イソシアナトメチル)デカヒドロナフタレン、リジントリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、3−(2’−イソシアネートシクロヘキシル)プロピルイソシアネート、トリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェート、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,2’−ビス(4−イソシアネートエニル)プロパン、トリフェニルメタントリイソシアネート、ビス(ジイソシアネートトリル)フェニルメタン、4,4’,4”−トリイソシアネート−2,5−ジメトキシフェニルアミン、3,3’−ジメトキシベンジジン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトベンゼン)、1,1’−メチレンビス(3−メチル−4−イソシアナトベンゼン)、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス((2−イソシアナト−2−プロピル)ベンゼン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエン、ビス(イソシアナトメチル)ジシクロペンタジエン、ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5−ジイソシアネートメチルノルボルネン、ビス(イソシアナトメチル)アダマンタン、3,4−ジイソシアネートセレノファン、2,6−ジイソシアネート−9−セレナビシクロノナン、ビス(イソシアナトメチル)セレノファン、3,4−ジイソシアネート、−2,5−ジセレノラン、ダイマー酸ジイソシアネート、1,3,5−トリ(1−イソシアナトヘキシル)イソシアヌル酸、2,5−ジイソシアナトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアナトメチル−4−イソシアネート−2−チアブチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(3−イソシアネート−2−チアプロピル)1,4−ジチアン、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、1,5−ジイソシアネート−2−イソシアナトメチル−3−チアペンタン、1,2,3−トリス(イソシアナトエチルチオ)プロパン、1,2,3−(イソシアナトメチルチオ)プロパン、1,1,6,6−テトラキス(イソシアナトメチル)−2,5−ジチアヘキサン、1,1,5,5−テトラキス(イソシアナトメチル)−2,4−ジチアペンタン、1,2−ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、1,5−ジイソシアネート−3−イソシアナトメチル−2,4−ジチアペンタン等があげられる。これらポリイソシアネート類のビュレット型反応による2量体、これらポリイソシアヌレート類の環化3量体およびこれらのポリイソシアネート類とアルコールもしくはチオールの付加物等が挙げられる。さらには、上記ポリイソシアネート類のイソシアネート基の一部又は全部をイソチオシアネート基に変えた化合物をあげることができる。これらは単独でも2種類以上を混合して用いることができる。
(ポリアミン)
本例で使用することができるポリアミンとしては、1級または2級のアミノ基を2個以上含有する化合物であって、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ピペラジン、マレイン酸ヒドラジド等が挙げられる。
1.3.オキサゾリン含有樹脂
本例に係るインクは、オキサゾリン基含有樹脂を含む。オキサゾリン基含有樹脂を含むことにより、インクに含まれる樹脂同士の架橋、あるいは、インクに含まれる樹脂と被印捺物との架橋により、優れた摩擦堅牢性を奏する。また、オキサゾリン基含有樹脂と前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂とを併用することにより、優れた追従性が得られる。
オキサゾリン含有樹脂は、水性エマルジョンになっているものまたは水溶性樹脂になっているものが好ましい。たとえば、新中村化学製NKLinkerFX、日本触媒工業製エポクロスK−2010、エポクロスK−2020、エポクロスK−2030などが市販されている。
また、本例に係るインクにおけるオキサゾリン基含有樹脂の含有量は、下記一般式(1)で表されるオキサゾリン基モル量(A)を、下記一般式(2)で表されるカルボキシル基モル量(B)で除した(A)/(B)が、追従性を確保する観点から0.3以上であることが好ましく、摩擦堅牢性低下を回避する観点から1.4以下であることが好ましい。
オキサゾリン基モル量(A)=(オキサゾリン基含有樹脂の固形分濃度)×(オキサゾリン基量) …(1)
カルボキシル基モル量(B)=(カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の固形分濃度)×(カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の酸価)/56.1 …(2)
1.4.有機溶媒
本例に係るインクには、有機溶媒が含有されてもよい。有機溶媒としては、水溶性有機溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒であれば、インク組成物の吐出安定性を向上させたり、インク特性を変化させたりすることなく粘度を容易に変更させたりすることができる。以下、本例に係るインクに用いることができる有機溶媒について説明する。
1.4.1.1,2−アルキレングリコール
本例に係るインクは、1,2−アルキレングリコールを含んでなることが好ましい。1,2−アルキレングリコールを用いることで、印刷物や印捺物のにじみが低減し、印刷品質が向上する。1,2−アルキレングリコールの例としては、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオールのように、炭素数5または6の1,2−アルキレングリコールが好ましい。中でも、炭素数6の1,2−ヘキサンジオールおよび4−メチル−1,2−ペンタンジオールが好ましい。また、1,2−アルキレングリコールの添加量は0.3%以上30%以下が好ましく、より好ましくは0.5%以上10%以下である。
1.4.2.グリコールエーテル
本例に係るインクは、グリコールエーテルを含んでなることが好ましい。これにより、印刷物や印捺物のにじみが低減する。グリコールエーテルとしては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノブチルエーテルから選択される一種または二種以上を用いることが好ましい。また、グリコールエーテルの添加量は、0.1%以上20%以下が好ましく、より好ましくは0.5%以上10%以下である。
1.4.3.その他の有機溶媒
本例に係るインクは、上記した成分以外の有機溶媒を用いてもよい。例えば、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等)、アミン類(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等)、一価アルコール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、2,2′−チオジエタノール、アミド類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド等)、複素環類(2−ピロリドン等)、アセトニトリル等が挙げられる。水溶性有機溶媒量としては、全インク質量に対して1以上60質量%以下が好ましい。
1.5.界面活性剤
本例に係るインクには、界面活性剤が含有されてもよい。以下、本例に係るインクに用いることができる界面活性剤について説明する。
1.5.1.アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤
本例に係るインクは、アセチレングリコール系界面活性剤またはアセチレンアルコール系界面活性剤の少なくとも1種を含んでなることが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤またはアセチレンアルコール系界面活性剤の少なくとも1種を用いることで、さらににじみが低減し、印刷品質が向上する。また、これらの添加により、印字の乾燥性が向上し、高速印刷が可能となる。
アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールおよび2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキシド付加物、2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールおよび2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキシド付加物から選ばれた1種以上が好ましい。これらは、エアプロダクツ(英国)社のオルフィン104シリーズ、オルフィンE1010などのEシリーズ、日信化学製サーフィノール(登録商標)465あるいはサーフィノール61などとして入手可能である。
本例においては、上記1,2−アルキレングリコールと、上記アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の少なくとも1種と、上記グリコールエーテルとからなる群から選択される一種または二種以上を用いることでよりにじみが低減する。
本例に係るインクは、上記した成分以外の界面活性剤を用いてもよく、例えば、陽イオン性、陰イオン性、両性、ノニオン性のいずれも用いることができる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、花王株式会社製エマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(例えば、三洋化成株式会社製ニューポールPE−62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
これらの界面活性剤を使用する場合、単独又は2種類以上を混合して用いることができ、インク全質量に対して、0.001以上1.0質量%以下の範囲で添加することにより、インクの表面張力を任意に調整することができるので好ましい。
本例ではカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂あるいは顔料の平均粒径としては、光散乱法を用いた市販の粒径測定機により求めることができる。具体的粒径測定装置としては、例えば大塚化学株式会社製ELSシリーズ、日機装株式会社製マイクロトラックシリーズやナノトラックシリーズ、マルバーン社製ゼーターサイザーシリーズ、等を挙げることができる。
1.6.その他の成分
本例に係るインクは、その放置安定性の確保、インクジェットヘッドからの安定吐出のため、目詰まり改善のためあるいはインクの劣化防止のため等の目的で保湿剤、溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート等種々の添加剤を適宜添加することもできる。
2.1.印捺物の製造に係る工程
本発明の印捺物の製造方法は、前記の捺染用インクジェットインクを布帛にインクジェット印刷工程と、前記インクジェット印刷工程によって得られた印刷物を、110℃以上200℃以下で1分以上熱処理する加熱工程とを有する。
熱処理工程での加熱温度が110℃未満では印捺物の定着性が向上しない。また、200℃を超えると布帛や顔料や樹脂等自体が劣化してしまう。加熱温度は、好ましくは120℃以上170℃以下である。また、加熱時間は1分以上を要する。1分未満では顔料定着液が含んでなるオキサゾリン含有樹脂の反応が十分に進まない。好ましくは2分以上である。
2.2.その他の工程
本発明に係る印捺物の製造方法は、前記のインクジェット印刷工程に先立って、布帛に前処理液を付与する前処理工程を有していてもよい。前処理の付与は公知の手段を用いることが可能であり、例えば、各種の塗工手段、噴霧手段、インクジェット印刷手段等が挙げられる。
布帛の前処理液は、多価金属塩または有機酸の少なくとも1種を含有することが好ましい。以下に前処理液に含まれる成分について説明する。
前処理液に含まれる多価金属塩としては、例えば、Ca、Mg等のアルカリ土類金属塩が挙げられ、例えば、CaCl2、Ca(OH)2、(CH3COO)2Ca、MgCl2、Mg(OH)2、(CH3COO)2Mgが挙げられる。中でも、Caの塩類が好ましい。前処理液に含まれる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸等が挙げられ、中でも酢酸が好ましい。前処理液中における多価金属塩または有機酸の含有量は特に限定されず、例えば前処理液中に0.1〜40質量%程度である。
また、前処理液は、媒体として水を含む。必要に応じて、有機溶媒を含んでいてもよく、前記捺染用インクジェットインク組成物に記載した水および有機溶媒が使用できる。
さらに、摩擦堅牢性に優れた印捺物が得られる点から、ガラス転移温度が0℃以下の樹脂を含んでいても良い。前記樹脂は、前記金属塩と混合した際に凝集または析出しない限り、特に限定されない。
2.3.インクジェット素子
また、インク組成物を布帛に印刷する際は、ピエゾ素子のような、インクが加熱され難い電歪素子を用いることが好ましい。サーマルヘッドのような、インクの加熱が起こる場合は、顔料定着液中のカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂や、インク中の顔料の分散などに用いる樹脂が変質して吐出が不安定になりやすいからである。印捺物の製造にように、その工程において大量のインクを長時間に亘って吐出させることが要求される場合は、加熱が起こるヘッドは好ましくない。
3.印捺物
本発明の印捺物は、上述した印捺物の製造方法により得られるものである。
4.実施例
4.1.白色インク組成物の調製
下記表1及び表2の組成に従い各成分を混合し、各インクを調製した。各インクは、白色顔料分散液、顔料分散樹脂、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂、有機溶媒、多価アルコール、界面活性剤およびイオン交換水を混合撹拌し、孔径5μmの金属フィルターにてろ過、真空ポンプを用いて脱気処理をして、実施例1〜実施例5および比較例1と2の各白色インク組成物を得た。表中に記載されている濃度の単位は、質量%であり、白色顔料分散液、顔料分散樹脂、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂についてはいずれも固形分換算濃度である。
白色顔料分散液は、市販品「NanoTek(R) Slurry」(シーアイ化成株式会社製)を用いた。NanoTek(R) Slurryは、平均粒子径360nmの二酸化チタン粒子を固形分濃度15%の割合で含むスラリーである。
界面活性剤には、アセチレングリコール系界面活性剤であるサーフィノール104と、サーフィノール465(Air Products and Chemicals Inc.製)とを使用した。
顔料分散樹脂には、スチレンアクリル系樹脂「YS1274」(星光PMC株式会社製)を使用した。
カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂には、破断点伸度が異なるカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂1と2と、アクリル樹脂1とを使用した。なお、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂1と2、アクリル樹脂1は定法により合成し、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂1と2は、それぞれ、スーパーフレックス150とスーパーフレックス470(いずれも第一工業製薬社製)とを使用し、アクリル樹脂1はモビニール966A(ニチゴー・モビニール社製)を使用した。
架橋剤には、オキサゾリン基含有樹脂であるエポクロスK−2010、エポクロスK−2020(いずれも日本触媒工業製)を使用した。
Figure 2013151600
4.2.印捺物の作製
実施例1〜5および比較例1と2で作製したインクを用い、インクジェットプリンター(PX−G930、セイコーエプソン社)を使用して、Ca塩を含む前処理液で前処理を行った布帛にベタ印捺を行った。その後、160℃で1分間、熱処理することで、印捺物を作製した。なお、布帛の前処理は、Ca塩を含む前処理液を付着させ、乾燥させることで行った。
4.3.評価
4.3.1.摩擦堅牢性
上記の「4.2.印捺物の作製」で得られた各印捺物の摩擦堅牢性を評価した。摩擦堅牢性試験は、学振式摩擦堅牢性試験機AB−301S(テスター産業株式会社製)を用いて、荷重200gで100回擦ることで実施した。摩擦布は、白インクの捺染に用いた黒色綿ブロードを用いた。摩擦試験前後の印捺物に波長457nmの光を照射した際の光の反射率をGretag Macbeth TM SPM50を用いて測定し(測色点は30点)、下記式(3)から算出される白色度減少率により評価した。
白色度減少率(%)=100−(試験後反射率)/(試験前反射率)×100 …(3)
評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示す。
AA:白色度減少率が10%未満。
A:白色度減少率が10%以上15%未満。
B:白色度減少率が15%以上20%未満。
C:白色度減少率が20%以上。
4.3.2.ドライクリーニング性
また、上記の「4.2.印捺物の作製」で得られた各印捺物のドライクリーニング性を評価した。ドライクリーニング試験は、JIS L0860のB法に準拠して評価した。評価結果を表2に示す。
4.3.3.追従性
実施例1〜5、比較例1と2の各印捺物の5回引っ張り伸ばして(各回とも印捺物が伸びきるまで引っ張る)、塗布膜の割れ、剥離を目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示す。
A:塗布膜の割れ、剥離が見られない。
B:塗布膜の剥離は見られないが、割れが発生する。
C:塗布膜の割れ、剥離が見られる。
Figure 2013151600
摩擦堅牢性の結果
表2は摩擦堅牢性評価の結果を示すものである。表2の結果から、破断点伸度200%以上400%以下のウレタン樹脂を添加することで、良好な結果が得られることが分かる。
追従性の結果
表2は摩擦堅牢性評価の結果を示すものである。これより、オキサゾリン基モル量(A)を、カルボキシル基モル量(B)で除した(A)/(B)が、0.3以上1.4以下であり、オキサゾリン基含有樹脂のガラス転移温度が、−60℃以上−20℃以下である場合に良好な結果が得られることが分かる。
ドライクリーニング性の結果
表2はドライクリーニング性の評価結果を示すものである。これより、オキサゾリン基モル量(A)を、カルボキシル基モル量(B)で除した(A)/(B)が、0.3以上1.4以下である場合に良好な結果が得られることが分かる。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (6)

  1. 少なくとも顔料と、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂と、オキサゾリン基含有樹脂と、水と、を含む、捺染用インクジェットインク。
  2. 前記顔料が白色顔料である、請求項1に記載の捺染用インクジェットインク。
  3. 前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の破断点伸度が200%以上400%以下である、請求項1または2に記載の捺染用インクジェットインク。
  4. 前記オキサゾリン基含有樹脂のガラス転移温度が、−60℃以上−20℃以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の捺染用インクジェットインク。
  5. 前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂が、カルボキシル基を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の捺染用インクジェットインク。
  6. 下記一般式(1)で表されるオキサゾリン基モル量(A)を、下記一般式(2)で表されるカルボキシル基モル量(B)で除した(A)/(B)が、0.3以上1.4以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の捺染用インクジェットインク。
    オキサゾリン基モル量(A)=(オキサゾリン基含有樹脂の固形分濃度)×(オキサゾリン基量) …(1)
    カルボキシル基モル量(B)=(カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の固形分濃度)×(カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の酸価)/56.1 …(2)
JP2012012757A 2012-01-25 2012-01-25 捺染用インクジェットインク Pending JP2013151600A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012012757A JP2013151600A (ja) 2012-01-25 2012-01-25 捺染用インクジェットインク

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012012757A JP2013151600A (ja) 2012-01-25 2012-01-25 捺染用インクジェットインク

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013151600A true JP2013151600A (ja) 2013-08-08

Family

ID=49048209

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012012757A Pending JP2013151600A (ja) 2012-01-25 2012-01-25 捺染用インクジェットインク

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013151600A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2918646B1 (en) * 2014-03-13 2017-08-16 Ricoh Company, Ltd. Ink, inkjet recording method, and recorded matter
JP6321275B1 (ja) * 2017-08-21 2018-05-09 サカタインクス株式会社 捺染用白色インクジェットインク組成物
JP6321273B1 (ja) * 2017-08-08 2018-05-09 サカタインクス株式会社 捺染用インクジェットインク組成物
JP2019206628A (ja) * 2018-05-29 2019-12-05 東洋インキScホールディングス株式会社 インクジェットインキ及びその印刷物
JP2020023168A (ja) * 2018-07-31 2020-02-13 株式会社リコー 画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成物
US10753036B2 (en) 2016-09-30 2020-08-25 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Overcoat and image forming method
US10753037B2 (en) 2016-09-30 2020-08-25 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Overcoat and image forming method
JP2020158725A (ja) * 2019-03-28 2020-10-01 セイコーエプソン株式会社 水性インクジェット用組成物および記録物の製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999052966A1 (fr) * 1998-04-15 1999-10-21 Mikuni Shikiso Kabushiki Kaisha Dispersion aqueuse de pigment, son procede de production et encre a base d'eau la contenant
WO2009051003A1 (ja) * 2007-10-18 2009-04-23 Riso Kagaku Corporation 捺染インクジェット用インク
JP2009215506A (ja) * 2008-03-12 2009-09-24 Riso Kagaku Corp 捺染インクジェット用インク
JP2011074319A (ja) * 2009-10-01 2011-04-14 Seiko Epson Corp インクジェット記録用インク組成物
JP2011513049A (ja) * 2008-02-29 2011-04-28 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 改善された摩擦堅牢度を有する基材

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999052966A1 (fr) * 1998-04-15 1999-10-21 Mikuni Shikiso Kabushiki Kaisha Dispersion aqueuse de pigment, son procede de production et encre a base d'eau la contenant
WO2009051003A1 (ja) * 2007-10-18 2009-04-23 Riso Kagaku Corporation 捺染インクジェット用インク
JP2011513049A (ja) * 2008-02-29 2011-04-28 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 改善された摩擦堅牢度を有する基材
JP2009215506A (ja) * 2008-03-12 2009-09-24 Riso Kagaku Corp 捺染インクジェット用インク
JP2011074319A (ja) * 2009-10-01 2011-04-14 Seiko Epson Corp インクジェット記録用インク組成物

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2918646B1 (en) * 2014-03-13 2017-08-16 Ricoh Company, Ltd. Ink, inkjet recording method, and recorded matter
US10753037B2 (en) 2016-09-30 2020-08-25 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Overcoat and image forming method
US10753036B2 (en) 2016-09-30 2020-08-25 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Overcoat and image forming method
JP6321273B1 (ja) * 2017-08-08 2018-05-09 サカタインクス株式会社 捺染用インクジェットインク組成物
WO2019031321A1 (ja) * 2017-08-08 2019-02-14 サカタインクス株式会社 捺染用インクジェットインク組成物
JP2019031611A (ja) * 2017-08-08 2019-02-28 サカタインクス株式会社 捺染用インクジェットインク組成物
US11566141B2 (en) 2017-08-08 2023-01-31 Sakata Inx Corporation Inkjet ink composition for textile printing
JP2019035057A (ja) * 2017-08-21 2019-03-07 サカタインクス株式会社 捺染用白色インクジェットインク組成物
CN110997830A (zh) * 2017-08-21 2020-04-10 阪田油墨股份有限公司 印花用白色喷墨油墨组合物
WO2019039411A1 (ja) * 2017-08-21 2019-02-28 サカタインクス株式会社 捺染用白色インクジェットインク組成物
JP6321275B1 (ja) * 2017-08-21 2018-05-09 サカタインクス株式会社 捺染用白色インクジェットインク組成物
US11623998B2 (en) 2017-08-21 2023-04-11 Sakata Inx Corporation White inkjet ink composition for textile printing
EP3674373A4 (en) * 2017-08-21 2021-08-18 Sakata INX Corporation WHITE INKJET INK COMPOSITION FOR TEXTILE PRINTING
JP2019206628A (ja) * 2018-05-29 2019-12-05 東洋インキScホールディングス株式会社 インクジェットインキ及びその印刷物
JP2020023168A (ja) * 2018-07-31 2020-02-13 株式会社リコー 画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成物
JP2020158725A (ja) * 2019-03-28 2020-10-01 セイコーエプソン株式会社 水性インクジェット用組成物および記録物の製造方法
JP7293797B2 (ja) 2019-03-28 2023-06-20 セイコーエプソン株式会社 水性インクジェット用組成物および記録物の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5891589B2 (ja) インクセット、捺染方法
JP2013151600A (ja) 捺染用インクジェットインク
JP5577851B2 (ja) 前処理液、捺染方法および印捺物
EP2390406B1 (en) Ink set and textile printing method
CN105040441B (zh) 喷墨印染方法
US8328340B2 (en) Ink for inkjet printing
JP5947712B2 (ja) インクジェット捺染方法及び布状繊維製品
JP6454096B2 (ja) 画像形成方法及び布状繊維製品
US20090226678A1 (en) Liquid composition for making pigment fixed, ink set, method for producing ink jet recorded matter on fabric and ink jet recorded matter on fabric
JP2013060513A (ja) 捺染用白色インクジェットインク
US20180305863A1 (en) Ink-Jet Printing Process
JP2018135445A (ja) 捺染用インクセット及び捺染物の製造方法
US20220186060A1 (en) Fluid set
JP2017214668A (ja) インクジェット捺染方法
JP2014162875A (ja) 水系顔料分散物、その製造方法及びインクジェット記録用インク
US20230265303A1 (en) White inkjet ink
JP2013071957A (ja) インクジェット捺染用インクセット、および捺染方法
EP3924548B1 (en) Fixer fluids
JPWO2017110744A1 (ja) 水系インクおよびインクジェット捺染方法
US20230151234A1 (en) White inkjet ink
JP6650126B2 (ja) 捺染剤及び布帛物
JP2014162876A (ja) 水系顔料分散物、その製造方法及びインクジェット記録用インク
JP7154431B2 (ja) 着色樹脂粒子分散物、インク、インクセット、インクジェット捺染方法、油溶性染料の製造方法、及び捺染物
US20210246328A1 (en) Fixer composition
US20230002633A1 (en) Multi-fluid kit for inkjet textile printing

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20150107

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150901

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151028

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20151222