JP2013151100A - 液体供給システムおよび液体噴射装置 - Google Patents

液体供給システムおよび液体噴射装置 Download PDF

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勝 小橋
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陽一 山田
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Abstract

【課題】液体容器の液体中に空気導入口から空気が導入されて発生する気泡が、液体の流れに乗って噴射ヘッドに侵入することを抑制する。
【解決手段】液体容器内の液体収容室の空気導入口と流出口との間に、液体を通過させるフィルターを設ける。このフィルターの目の最大径φは、液体の表面張力をσ、流出口から噴射ヘッドまでの液体流路の長さをL、液体流路の平均内径をD、流出口から流出する液体の最大流量をAとして、φ<(DπLσ2.20/966.2A)0.41の関係を満たし、且つ、0<φ40μmの範囲内にあるものとする。こうすれば、フィルターを通過した気泡を、噴射ヘッドに到達する前に液体流路内で自己圧壊により消滅させることができるので、噴射ヘッドへの気泡の侵入を抑制することが可能となる。
【選択図】図4

Description

本発明は、液体供給システムおよび液体噴射装置に関する。
液体噴射装置の一例として、インクなどの液体を噴射ヘッドから噴射することで画像等
を印刷する、いわゆるインクジェットプリンターが知られている。噴射ヘッドから噴射さ
れる液体は、インクタンクなどの専用の液体容器に収容されており、この液体容器から噴
射ヘッドに液体が供給される。液体容器と噴射ヘッドとを単純に接続チューブ等で接続す
る場合には、液体容器内の液面よりも噴射ヘッドが低い位置にあると、水頭圧によって噴
射ヘッドから液体が漏れ出てしまうことがある。このため、液体容器内の液面よりも噴射
ヘッドの位置を高くしておく必要があり、液体容器の形状や噴射ヘッドに対する配置が制
約される。
そこで、「マリオットの瓶」の原理を利用して、液体容器内の液面よりも低い位置に噴
射ヘッドを配置しても噴射ヘッドから液体が漏れ出ない液体容器が提案されている(特許
文献1)。この液体容器では、上部が大気に開放されていない代わりに、大気開放通路を
介して大気と連通する空気導入口が液体容器の底部に開口している。液体容器の流出口か
ら液体が流出すると、上部が密閉された状態の液体容器では内部圧力が低下する(負圧が
増大する)ので、空気導入口から液体中に空気(気泡)が流入して液体容器内の負圧が解
除される。これを繰り返しながら、液体容器内の液体が流出口から一定の流量で流出する
。このような液体容器では、大気圧がかかる空気導入口に対する噴射ヘッドの高さによっ
て水頭圧が決まるので、空気導入口よりも噴射ヘッドの位置を高く設定しておけば、液体
容器内の液面の高さに関係なく、水頭圧で噴射ヘッドから液体が漏れ出ることを防止でき
る。
特開2011−240705号公報
しかし、こうしたマリオットの瓶の原理を利用した液体容器からインクジェットプリン
ターなどの液体噴射装置に液体を供給すると、噴射ヘッドから液体が適切に噴射されない
不具合(いわゆるドット抜け)が発生することがあるという問題があった。これは、次の
ような理由によるものである。先ず、空気導入口から液体容器の液体中に気泡が流入する
際には、液体と空気との界面が空気導入口を覆い、この界面が大気開放通路内の空気から
引きちぎられて気泡化することによって、空気導入口の径に応じた大きさの通常の気泡と
、この通常の気泡に比べて遥かに小さいマイクロバブルと呼ばれる微小な気泡が発生する
。また、通常の気泡が浮力で浮き上がり、液体容器内の液面で泡が重なり合って弾ける際
にも液体中にマイクロバブルが発生する。こうしたマイクロバブルは浮力が小さく、液体
の流れの影響を受け易いので、流出口から流出する液体の流れに乗ってマイクロバブルが
噴射ヘッドに入り込んでしまうと、噴射ヘッドから液体が適切に噴射されずドット抜けが
生じる。
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、
液体容器の液体中に空気導入口から空気が導入されて発生する気泡が液体の流れに乗って
噴射ヘッドに侵入することを抑制可能な技術の提供を目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の液体容器は次の構成を採用
した。すなわち、
噴射ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置に供給される前記液体を収容する液体容器
と、前記液体容器から前記噴射ヘッドに向けて前記液体が流れる液体流路とを有する液体
供給システムであって、
前記液体容器は、
前記液体を収容可能な液体収容室と、
前記液体流路が接続され、前記液体収容室内の液体が流出する流出口と、
前記液体収容室を大気と連通させる空気通路と、
前記液体収容室の液体中に前記空気通路から空気を導入する空気導入口と、
前記液体収容室内に設けられ、該液体収容室内の液体を前記空気導入口側から前記流
出口側に通過させるフィルターと
を備え、
前記フィルターは、
前記フィルターの目の最大径φが、0<φ≦40μmの範囲内にあり、且つ、
前記液体の23℃における表面張力をσ、
前記流出口から前記噴射ヘッドまでの前記液体流路の長さをL、
前記液体流路の平均内径をD、
前記流出口から流出する前記液体の最大流量をA
としたときに、
φ<(DπLσ2.20/966.2A)0.41
の関係を満たしていることを要旨とする。
このような本発明の液体供給システムでは、液体収容室の液体が流出口から液体噴射装
置の噴射ヘッドに向けて流出することにより液体収容室内の圧力が低下すると、大気と連
通する空気通路を通って供給される空気が空気導入口から液体収容室の液体中に気泡とな
って流入する。また、液体収容室内には、液体を空気導入口側から流出口側に通過させる
フィルターが設けられている。このフィルターの目の最大径φは、0<φ40μmの範囲
内にあり、且つ、φ<(DπLσ2.20/966.2A)0.41の関係を満たして
いる。尚、σは液体の23℃における表面張力、Lは流出口から噴射ヘッドまでの液体流
路の長さ、Dは液体流路の平均内径、Aは流出口から流出する液体の最大流量を表すもの
とする。
空気通路の空気が空気導入口から液体収容室の液体中に気泡となって流入する際には、
空気導入口の径に応じた大きさの通常の気泡の他に、通常の気泡に比べて遥かに小さい(
直径が数十μm程度の)マイクロバブルと呼ばれる微小な気泡が発生する。こうしたマイ
クロバブルは、流出口から流出する液体の流れに乗って噴射ヘッドに入り込むと、噴射ヘ
ッドから液体が適切に噴射されない不具合の原因となる。そこで、液体収容室の空気導入
口と流出口との間にフィルターを設けておけば、液体を通過させながら、マイクロバブル
が流出口に向かうことを抑制することができる。
また、特に直径が40μm以下のマイクロバブルでは、時間の経過とともに縮小して自
然に消滅する現象(自己圧壊)が見られる。詳しくは後述するが、直径Rのマイクロバブ
ルが自己圧壊で消滅するまでの時間T1は、T1=241.55R2.41/σ2.20
と表すことができる。一方、流出口から流出する液体の流れに乗ってマイクロバブルが噴
射ヘッドに到達するまでの時間T2は、T2=DπL/4Aと表すことができる。そし
て、フィルターを通過したマイクロバブルの直径Rはフィルターの目の最大径φよりも小
さくなっていることから、フィルターを通過したマイクロバブル(最大で直径φ)が自己
圧壊で消滅するまでの時間T1が、流出口から流出したマイクロバブルが噴射ヘッドに到
達するまでの時間T2よりも短ければ(T1<T2)、流出口から流出したマイクロバブ
ルは、噴射ヘッドに到達する前に液体流路内で自己圧壊により消滅することになる。つま
り、上記のT1およびT2の各々の関係式を、T1<T2に代入することにより得られる
φ<(DπLσ2.20/966.2A)0.41の関係を満たし、且つ、0<φ≦4
0μmの範囲内となるように、適切な目の大きさ(最大径φ)のフィルターを設置するこ
とによって、フィルターを通過したマイクロバブルが噴射ヘッドに到達することを抑制す
ることができ、結果として、マイクロバブルの侵入に起因して噴射ヘッドから液体が適切
に噴射されない不具合を防止することができる。
上述した本発明の液体供給システムでは、液体収容室内のフィルターを疎水性の材料を
用いて形成してもよい。
疎水性の材料で形成されたフィルターの表面は、水溶性の液体で濡れ難く、親水性のフ
ィルターに比べて液体中の気泡(空気)との親和性が高いので、フィルターによる気泡(
マイクロバブル)の捕捉力を向上させ、気泡が流出口に向かうことを抑制するのに好適で
ある。
また、こうした本発明の液体供給システムでは、液体流路の途中に、液体の通過方向に
直交する面で切断した断面積が一端で増加し他端で減少する拡幅部を設けてもよい。
液体流路を一定の流量で流れる液体の流速は、液体流路の断面積が増加することにより
遅くなる(例えば、液体流路の断面積が2倍になると、液体の流速は1/2となる)。ま
た、液体流路を流れる液体の流速は、液体流路の断面の中心で最も速く、中心から外れて
液体流路の内壁に近いほど遅くなる傾向にある。従って、液体流路の途中に拡幅部を設け
ておけば、この拡幅部では、液体の流速が拡幅部に入る直前よりも遅くなるので、液体の
流れに乗って移動するマイクロバブルに浮力が働き易くなる。そして、液体流路の中心部
を流れていたマイクロバブルが浮き上がって液体流路の内壁に近づくと、中心部よりもマ
イクロバブルの移動速度が遅くなる。これにより、マイクロバブルが噴射ヘッドに到達す
るまでの時間を遅らせることができるので、噴射ヘッドに到達する前にマイクロバブルを
自己圧壊で消滅させるのに好適である。
また、本発明は、上述した本発明の何れかの液体供給システムを備える液体噴射装置の
態様で把握することもできる。
このような本発明の液体噴射装置では、液体収容室で発生するマイクロバブルが液体の
流れに乗って噴射ヘッドに侵入することが抑制されるので、マイクロバブルの侵入に起因
して噴射ヘッドから液体が適切に噴射されない不具合を防止することができる。
いわゆるインクジェットプリンターを例として本実施例の液体噴射装置の大まかな構成を示した説明図である。 インクジェットプリンターの大まかな内部構造を示した説明図である。 インクタンクにインクを充填するために、インクジェットプリンターからタンクケースを取り外した状態を示した説明図である。 タンクケース内に設けられたインクタンクの構成を示した断面図である。 空気室の空気が連絡通路を通って空気導入口からインク室のインク中に気泡となって流入する様子を示した説明図である。 マイクロバブルが自己圧壊する過程を示した説明図である。 純水中における空気の気泡の直径と、その気泡が自己圧壊により消滅するまでの時間との関係を示したグラフである。 気泡の内外の圧力差と、気泡が自己圧壊するまでの時間との関係を示したグラフである。 気泡の直径と、気泡の自己圧壊までの時間との関係を、表面張力の大きさを変えて比較したグラフである。 近似式の係数と、表面張力との関係を示したグラフである。 変形例の接続チューブをインクの通過方向に沿って切断した断面図である。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施
例を説明する。
A.インクジェットプリンターの構成:
B.インクタンクの構成:
C.インク室で発生する気泡:
D.フィルターの目の大きさ:
E.変形例:
A.インクジェットプリンターの構成 :
図1は、いわゆるインクジェットプリンターを例として本実施例の液体噴射装置の大ま
かな構成を示した説明図である。図示したインクジェットプリンター10は、略箱形の外
観形状をしており、前面のほぼ中央には前面カバー11が設けられ、その左隣には複数の
操作ボタン15が設けられている。前面カバー11は下端側で軸支されており、上端側を
手前に倒すと、印刷媒体としての印刷用紙2が排出される細長い排紙口12が現れる。ま
た、インクジェットプリンター10の背面側には、図示しない給紙トレイが設けられてお
り、給紙トレイに印刷用紙2をセットして操作ボタン15を操作すると、給紙トレイから
供給された印刷用紙2が所定量ずつ紙送りされて、内部で印刷用紙2の表面に画像等が印
刷された後、排紙口12から印刷用紙2が排出されるようになっている。
また、インクジェットプリンター10の上面側には上面カバー14が設けられている。
上面カバー14は、奥側で軸支されており、手前側を持ち上げて上面カバー14を開くと
、インクジェットプリンター10の内部の状態を確認したり、あるいはインクジェットプ
リンター10の修理などを行ったりすることが可能となっている。
さらに、インクジェットプリンター10の図中の左側面には、箱形形状のタンクケース
100が設けられている。タンクケース100の内部には4つのインクタンク102が設
けられており、これらインクタンク102に収容されているインクがインクジェットプリ
ンター10に供給されて印刷に用いられるようになっている。本実施例のインクジェット
プリンター10では、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、黒色の4種類のインクを用い
てカラー画像を印刷可能であり、インクの種類毎にインクタンク102が設けられている
。尚、タンクケース100の側面(インクジェットプリンター10から遠い側の面)には
、確認窓140が設けられており、タンクケース100内に設けられた4つのインクタン
ク102を目視可能となっている。また、インクタンク102は透明あるいは半透明な樹
脂材料で形成されているため、インクタンク102内のインクの残量を目視によって確認
することができる。
図2は、インクジェットプリンター10の大まかな内部構造を示した説明図である。図
示されているように、インクジェットプリンター10の内部には、印刷用紙2上で往復動
するキャリッジ20が設けられている。キャリッジ20の底面側(印刷用紙2を向いた側
)には、複数の噴射ノズルが形成された噴射ヘッド22が搭載されており、噴射ノズルか
ら印刷用紙2に向かってインクが噴射される。本実施例のインクジェットプリンター10
では、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、黒色の4種類のインクを用いることから、キ
ャリッジ20に搭載された噴射ヘッド22には、インクの種類毎に噴射ノズルが設けられ
ている。
キャリッジ20は、図示しない駆動機構によって駆動されて、ガイドレール28にガイ
ドされながら印刷用紙2上で往復動を繰り返す。また、インクジェットプリンター10に
は、印刷用紙2を紙送りするための図示しない紙送機構も設けられており、キャリッジ2
0が往復動する動きに合わせて印刷用紙2が少しずつ紙送りされていく。そして、キャリ
ッジ20が往復動する動きと、印刷用紙2が紙送りされる動きとに合わせて、噴射ヘッド
22の噴射ノズルからインクを噴射することによって、印刷用紙2に画像等が印刷される
噴射ヘッド22の噴射ノズルから噴射される4種類のインク(シアン色、マゼンタ色、
イエロー色、黒色)は、タンクケース100内に設けられた4つのインクタンク102に
それぞれ収容されている。各インクタンク102内のインクは、インクの種類毎に設けら
れた接続チューブ104を介して、キャリッジ20の噴射ヘッド22に供給される。尚、
インクタンク102の詳細な構成については、後ほど別図を用いて説明する。また、本実
施例のインクタンク102は、本発明の「液体容器」に相当し、本実施例のインクタンク
102および接続チューブ104は、本発明の「液体供給システム」に相当している。
また、キャリッジ20をガイドレール28に沿って印刷用紙2の外側まで移動させた位
置には、ホームポジションと呼ばれる領域が設けられている。ホームポジションには、キ
ャップ30が設けられており、このキャップ30は図示しない昇降機構によって上下方向
に移動可能となっている。インクジェットプリンター10が画像等を印刷していない間は
、キャリッジ20をホームポジションに移動させて、キャップ30を上昇させると、キャ
ップ30が噴射ヘッド22の底面側に押し当てられて噴射ノズルを覆うように閉空間が形
成されるので、噴射ヘッド22内のインクが乾燥することを防止できる。また、キャップ
30には、吸引チューブ32を介して吸引ポンプ34が接続されており、噴射ヘッド22
の底面側にキャップ30を押し当てた状態で吸引ポンプ34を作動させることで、噴射ヘ
ッド22へのインクの初期充填を行ったり、噴射ヘッド22内の劣化したインク(乾燥し
て増粘したインクなど)を吸い出したりすることも可能である。
更に、インクジェットプリンター10の内部には、インクジェットプリンター10の全
体の動作を制御する制御部40が搭載されている。キャリッジ20を往復動させる動作や
、印刷用紙2を紙送りする動作や、噴射ノズルからインクを噴射する動作や、正常に印刷
可能なようにメンテナンスを実行する動作などは、全て制御部40によって制御されてい
る。
図3は、インクタンク102にインクを充填するために、インクジェットプリンター1
0からタンクケース100を取り外した状態を示した説明図である。本実施例のインクタ
ンク102を収納するタンクケース100は、インクジェットプリンター10の側面に設
けられた台座150に対して着脱可能に構成されており、台座150に取り付けられる側
の面(取付面)が開放されている。また、タンクケース100は、台座150に取り付け
られた状態で上面側を覆う上蓋カバー146が、台座150から遠い側の端部で回動可能
に軸支されている。タンクケース100を台座150から取り外して取付面が上方を向く
ようにタンクケース100を倒すと、各インクタンク102に設けられた注入口124の
開口面が鉛直上方を向くとともに、上蓋カバー146が水平方向に回動した状態となる。
この状態でインクタンク102の注入口124を開栓してインクの充填を行う。
インクタンク102にインクを充填したら、注入口124を密栓した後、タンクケース
100を起こして台座150に取り付ける。タンクケース100の取付面には、2箇所に
フック148が立設されており、また、台座150には、フック148に対応する位置に
引掛部152が設けられている。タンクケース100を持ち上げてフック148の位置と
引掛部152の位置とを合わせ、タンクケース100を設置面に降ろすと、フック148
と引掛部152とが係合してタンクケース100が台座150に取り付けられた状態とな
る。一方、タンクケース100を台座150から取り外す際には、タンクケース100を
上方に持ち上げることによって、容易にフック148と引掛部152との係合を解くこと
ができる。
B.インクタンクの構成 :
図4は、タンクケース100内に設けられたインクタンク102の構成を示した断面図
である。図4には、タンクケース100が台座150に取り付けられており、インクタン
ク102内のインクをインクジェットプリンター10に供給している状態(使用状態)が
示されている。図示されているように、インクタンク102の内部には、隔壁112によ
って仕切られた空気室114とインク室116とが隣り合わせて設けられている。これら
空気室114およびインク室116は、連絡通路118によって空気室114の底部とイ
ンク室116の底部とが連通している。尚、本実施例のインク室116は、本発明の「液
体収容室」に相当しており、本実施例の空気室114および連絡通路118は、本発明の
「空気通路」に相当している。
空気室114は、隔壁112と向き合う側壁の上部に大気開放口122が設けられてお
り、大気に開放されているので、空気室114内は大気圧となっている。一方、インクを
収容するインク室116の上部は、大気開放されておらず、密閉された状態となっている
。インク室116内のインクには重力がかかっており、液面116Lが下がろうとすると
、インク室116の上部の空気相では体積が増大することになるので、圧力が大気圧より
も小さくなる(負圧になる)。この負圧とインクによる圧力(水圧)とを足し合わせた圧
力が空気室114の大気圧と釣り合うことによって、インク室116のインクが空気室1
14に流れ込まないようになっている。
また、インク室116の底部には、流出口128が設けられており、この流出口128
は、出口通路130を介して接続チューブ104と接続されている。インクジェットプリ
ンター10でインクが消費されて流出口128からインクが流出すると、インク室116
内では液面116Lが下がって空気相の圧力が低下する(負圧が増大する)。すると、イ
ンク室116と空気室114との圧力の釣り合いが崩れるので、空気室114から引き込
まれた空気が連絡通路118を通り、インク室116の底部に開口する空気導入口120
からインク中に気泡となって流入する。これにより、インク室116の圧力が上昇する(
負圧が緩和される)ことから、インク室116と空気室114とで圧力が再び釣り合う。
尚、本実施例の出口通路130および接続チューブ104は、本発明の「液体流路」に相
当している。
このような構成のインクタンク102では、「マリオットの瓶」の原理により、大気圧
がかかる空気導入口120と噴射ヘッド22との高さの差によって水頭圧が決まり、イン
ク室116内の液面116Lの高さとは関係なく、空気導入口120の位置を噴射ヘッド
22よりも低く設定しておけば、水頭圧によって噴射ヘッド22の噴射ノズルからインク
が漏れ出ることはない。本実施例のインクジェットプリンター10では、噴射ノズルから
インクを噴射した際に噴射ヘッド22内に発生する負圧によってインク室116のインク
を吸い上げるようになっており、噴射ヘッド22の負圧に応じた一定の流量で流出口12
8からインクが供給される。
また、インク室116の内部には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの疎
水性材料を用いて形成されたフィルター132が設けられており、このフィルター132
によって、インク室116が空気導入口120側と流出口128側とに二分されている。
フィルター132はインクを通過させ、流出口128からインクが流出すると、空気導入
口120側のインクがフィルター132を通って流出口128側に移動するので、フィル
ター132を境に空気導入口120側と流出口128側とで液面116Lの高さが異なる
ことはない。尚、インク室116内のフィルター132の役割については後ほど詳しく説
明する。
さらに、インク室116の上部には、空気室114よりも一段高く形成された部分があ
り、この部分の空気室114側の側壁には、注入口124が開口面を水平方向に向けて設
けられている。図4に示した使用状態では、注入口124は栓部材126によって密栓さ
れており、インク室116の上部(空気相)は密閉状態となっている。図3を用いて前述
したように、インクタンク102にインクを充填する際には、注入口124の開口面が鉛
直上方を向くようにタンクケース100を倒して行う。この倒した状態では、空気室11
4がインク室116の上方に位置することになり、注入口124の栓部材126を外して
インク室116にインクを充填しても、空気室114にインクが流れ込むことはない。ま
た、インクタンク102を倒した状態でインク室116に規定量のインクを充填した際の
インクの液面116Lは、噴射ヘッド22よりも低い位置に設定されているので、インク
の充填中に水頭圧によって噴射ヘッド22の噴射ノズルからインクが漏れ出ることもない
。そして、インクを充填したら、注入口124を栓部材126で密栓した後、タンクケー
ス100を起こして台座150に取り付けると、図4に示したように、インク室116と
空気室114とで圧力が釣り合った状態となる。
以上のように、マリオットの瓶の原理を利用したインクタンク102では、流出口12
8からのインクの流出に伴って空気室114の空気が連絡通路118を通って空気導入口
120からインク室116のインク中に気泡となって流入することにより、インク室11
6内のインクの液面116Lの高さに関係なく、噴射ヘッド22の負圧に応じた一定の流
量で流出口128からインクが供給される。その結果、インクジェットプリンター10の
噴射ヘッド22から正確な分量のインクを噴射することが可能となる。また、本実施例の
インクタンク102では、インク室116の空気導入口120と流出口128との間にフ
ィルター132を設けて、このフィルター132の目の大きさを適切に設定しておくこと
によって、インク室116内で発生する気泡が噴射ヘッド22に侵入することを抑制でき
、結果として、気泡の侵入に起因して噴射ヘッド22から液体が適切に噴射されない不具
合(いわゆるドット抜け)を防止することが可能となっている。以下では、この点につい
て詳しく説明するが、その準備として、先ずインク室116内で発生する気泡について説
明する。
C.インク室で発生する気泡 :
図5は、空気室114の空気が連絡通路118を通って空気導入口120からインク室
116のインク中に気泡となって流入する様子を示した説明図である。図5に示したイン
クタンク102では、インク室116の底面に空気導入口120が鉛直上方を向いて開口
しており、インク室116のインクが空気導入口120から連絡通路118に流入して連
絡通路118内でインクと空気との界面118Lが形成される。前述したように、流出口
128からインクが流出すると、インク室116内のインクの液面116Lが下がること
によってインク室116の上部の空気相の圧力が低下(負圧が増大)するので、インク室
116の圧力が全体として低下し、図5(a)に示すように、連絡通路118内のインク
と空気との界面118Lはインク室116側に引き寄せられる。
インク室116の圧力が低下していくと、図5(b)に示すように、インクと空気との
界面118Lが空気導入口120の全体を覆った状態となる。この状態からインク室11
6の圧力がさらに低下すると、図4(c)に示すように、界面118Lが連絡通路118
内の空気から引きちぎられるように気泡化し、空気導入口120の口径に応じた大きさの
通常の気泡(以下、通常気泡と呼ぶ)と、通常気泡に比べて遥かに小さく直径が数十μm
程度の微小な気泡(以下、マイクロバブルと呼ぶ)とが発生する。
インク室116のインク中に気泡が流入することによって、インクの液面116Lが上
がりインク室116の空気相の圧力が上昇(負圧が減少)するので、インク室116の全
体の圧力も上昇(復元)する。また、インク室116に気泡が流入するのと同時に、イン
ク室116のインクが空気導入口120から連絡通路118に流入し、図5(d)に示す
ように、連絡通路118内にインクと空気との界面118Lが再び形成される。そして、
流出口128からインクが流出することによって再びインク室116の圧力が低下すると
、図5(a)に示したように、界面118Lがインク室116側に引き寄せられる。
また、このようにして周期的にインク室116のインク中に発生する通常気泡には浮力
がはたらき、通常気泡が浮き上がることにより、インク室116内のインクの液面116
Lに泡が発生する(図4参照)。そして、こうした泡が液面116Lで重なり合うなどし
て弾けると、インク中(液面116Lよりも下方)に微小な気泡(マイクロバブル)が発
生する。
以上のように、マリオットの瓶の原理を利用したインクタンク102では、空気が空気
導入口120からインク室116のインク中に流入して通常気泡が発生すると同時に、マ
イクロバブルが発生する。また、通常気泡が浮力で浮き上がってインクの液面116Lで
泡が弾ける際にもインク中にマイクロバブルが発生する。こうしたマイクロバブルは、通
常気泡に比べて浮力が小さく、インク室116内のインクの流れの影響を受け易いという
特性がある。そして、流出口128から流出するインクの流れに乗ってマイクロバブルが
噴射ヘッド22に入り込むと、噴射ヘッド22の噴射ノズルからインクが適切に噴射され
なくなってしまい、いわゆるドット抜けが生じる。
そこで、本実施例のインクタンク102では、インク室116の空気導入口120と流
出口128との間にフィルター132を設けることにより、インクは通過可能としながら
、通常気泡やマイクロバブルが流出口128に向かうことを抑制している。前述したよう
に、フィルター132は疎水性材料を用いて形成されており、これにより、フィルター1
32の表面はインクで濡れ難く、インク中の気泡(空気)との親和性が増すので、気泡(
マイクロバブル)の捕捉を向上させるのに好適である。尚、このようにフィルター132
の表面でマイクロバブルを捕捉すると、複数が重なり合って大きな気泡に成長することに
より浮力がはたらくようになるので、浮き上がらせることができる。また、特に直径が4
0μm以下のマイクロバブルは、時間の経過とともに縮小して自然に消滅すること(自己
圧壊)が知られており、フィルター132の目の大きさを次のように適切に設定しておく
ことによって、マイクロバブルがフィルター132を通過したとしても、通過したマイク
ロバブルが噴射ヘッド22に侵入することを防止可能となっている。
D.フィルターの目の大きさ :
図6は、マイクロバブルが自己圧壊する過程を示した説明図である。先ず、図6(a)
には、23℃の純水中における空気の気泡の大きさ(直径)の時間変化を測定した結果が
示されている。図示されているように、直径40μmの気泡(マイクロバブル)は、時間
の経過とともに縮小していき、所定時間(127s)が経過すると消滅する。
図6(b)に示すように、気泡は気液界面で取り囲まれており、この気液界面には表面
張力が作用する。表面張力は、表面積を小さくしようと働く力であり、気泡内部の気体を
加圧するように作用する。ここで、表面張力による気泡の内圧と外圧との圧力差ΔPは、
表面張力をσ、気泡の直径をRとして、
ΔP=4σ/R (ヤング・ラプラスの式)
で表すことができる。つまり、気泡の内圧は気泡の大きさに反比例する。
表面張力によって気泡内の気体の圧力が上昇すると、ヘンリーの法則に従って気体は周
囲の液体に溶解し易くなる。そして、気液界面で気体が液体に溶解することによって気泡
が縮小すると、上述のヤング・ラプラスの式で表されるように気泡内の気体の圧力がさら
に上昇する。これを繰り返すことによって気泡はどんどん縮小していき、最終的には気体
が液体に完全に溶解して気泡が消滅する。
図7は、純水中における空気の気泡の直径Rと、その気泡が自己圧壊により消滅するま
での時間T1との関係を示したグラフである。この図7のグラフは、図6(a)のグラフ
から気泡の大きさ(直径R)毎に自己圧壊までの時間T1を読み取ってグラフ化したもの
である。当然のことながら、気泡の直径Rが大きいほど、自己圧壊までに要する時間T1
は長くなる。また、図7のグラフは、純水中の気泡が自己圧壊する場合であり、インク中
の気泡とは異なっている。すなわち、インクには、印刷用紙などへの浸透を高めるために
、界面活性剤が含まれているのが一般的であり、インクの表面張力は純水に比べて小さく
なっている。そのため、インク中では、純水中に比べて気泡内の気体が表面張力によって
加圧され難く、気泡が自己圧壊するまでに要する時間が長くなる。
ここで、23℃の純水の表面張力σは73mN/mであり、前述したヤング・ラプラス
の式を用いると、気泡の直径Rから、気泡の内圧と外圧との圧力差ΔP(=4σ/R)を
計算することができる。例えば、純水中の気泡の直径Rが40μmであれば圧力差ΔPは
0.07kgf/cmであり、純水中の気泡の直径Rが20μmであれば圧力差ΔPは
0.15kgf/cmである。
図8は、気泡の内外の圧力差ΔPと、気泡が自己圧壊するまでの時間T1との関係を示
したグラフである。この図8のグラフは、ヤング・ラプラスの式を用いて、図7のグラフ
における気泡の直径Rを、気泡の内外の圧力差ΔPに変換したものである。図8のグラフ
から明らかなように、気泡が自己圧壊で消滅する直前には、気泡内の気体(空気)の圧力
が急激に高まる。また、図8のグラフにおいて、気泡の自己圧壊までの時間T1(y軸)
を、気泡の内外の圧力差ΔP(x軸)の関数として、近似式を求めると、
T1=0.2271/ΔP2.41 近似式(1)
と表すことができる。
上記の近似式(1)を用いて、気泡の内外の圧力差ΔPと、気泡の自己圧壊までの時間
T1との関係を、表面張力σが30mN/mの場合、40mN/mの場合、50mN/m
の場合のそれぞれに適用し、さらに再びヤング・ラプラスの式を用いて、先程とは逆に気
泡の内外の圧力差ΔPを、気泡の直径R(=4σ/ΔP)に変換すれば、それぞれの表面
張力σにおける気泡の直径Rと、気泡の自己圧壊までの時間T1との関係を求めることが
できる。
図9は、気泡の直径Rと、気泡の自己圧壊までの時間T1との関係を、表面張力σを変
えて比較したグラフである。図9のグラフには、表面張力σ=30mN/mの場合が破線
で示され、σ=40mN/mの場合が一点鎖線で示され、σ=50mN/mの場合が二点
鎖線で示されている。また、図7に示した純水(σ=73mN/m)の場合が実線で示さ
れている。前述したように表面張力σが小さくなると、気泡内の気体が加圧され難くなる
ので、気泡の直径Rが同じであっても、表面張力σが小さいほど、気泡が自己圧壊するま
での時間T1が長くなっている。また、図9のグラフにおいて、気泡の自己圧壊までの時
間T1(y軸)を、気泡の直径R(x軸)の関数として、それぞれの表面張力σについて
近似式を求めると、
(σ=30mN/m) T1=0.14R2.41 近似式(2)
(σ=40mN/m) T1=0.07R2.41 近似式(3)
(σ=50mN/m) T1=0.04R2.41 近似式(4)
(σ=73mN/m) T1=0.02R2.41 近似式(5)
と表すことができる。
図10は、近似式(2)〜(5)の係数Kと、表面張力σとの関係を示したグラフであ
る。図10のグラフにおいて、近似式(2)〜(5)の係数K(y軸)を、表面張力σ(
x軸)の関数として、近似式を求めると、
K=241.55/σ2.20 近似式(6)
と表すことができる。そして、近似式(6)を近似式(2)〜(5)の係数として代入す
ることにより、気泡の自己圧壊までの時間T1は、気泡の直径Rおよび表面張力σの2つ
を変数として、
T1=241.55R2.41/σ2.20 式(A)
と表すことができる。
一方、インクタンク102の流出口128から噴射ヘッド22までのインク流路(出口
通路130および接続チューブ104)の体積Vは、インク流路の長さをL、インク流路
の平均内径をDとして、
V=(D/2)πL=DπL/4
と表すことができる。そして、流出口128から流出するインクの最大流量をAとすると
、流出口128から流出するインクの流れに乗って気泡が噴射ヘッド22に到達するまで
の時間T2は、
T2=V/A=DπL/4A 式(B)
と表すことができる。
そして、気泡の自己圧壊までの時間T1が、流出口128から流出した気泡が噴射ヘッ
ド22に到達するまでの時間T2よりも短ければ、気泡が噴射ヘッド22に侵入すること
を防止することができる。すなわち、上記の式(A)および式(B)の2つの式から、
T1<T2
241.55R2.41/σ2.20<DπL/4A
2.41<DπLσ2.20/966.2A
R<(DπLσ2.20/966.2A)0.41 式(c)
を満たす直径Rの気泡(マイクロバブル)であれば、たとえ流出口128から流出したと
しても、噴射ヘッド22に到達する前に自己圧壊で消滅するので、噴射ヘッド22に侵入
することを防止できる。
前述したように、本実施例のインクタンク102では、インク室116の空気導入口1
20と流出口128との間にフィルター132が設けられており、フィルター132の目
の最大径をφとすると、フィルター132を通過した気泡(マイクロバブル)の直径Rは
、フィルター132の目の最大径φよりも小さくなっている。また、気泡の自己圧壊は、
特に直径が40μm以下のマイクロバブルにおいて見られる現象である。従って、上記の
式(c)の気泡の直径Rをフィルター132の目の最大径φに置き換えて、
φ<(DπLσ2.20/966.2A)0.41 式(d)
を満たし、且つ、0<φ≦40μmの範囲内となるように適切な目の大きさφのフィルタ
ー132を設置しておけば、フィルター132を通過したマイクロバブルが噴射ヘッド2
2に侵入することはなく、マイクロバブルの侵入に起因して噴射ヘッド22からインクが
適切に噴射されない不具合(ドット抜け)を防止することができる。
E.変形例 :
以下では、上述した実施例の変形例について説明する。尚、変形例の説明にあたっては
、上述の実施例と同様の構成部分については、先に説明した実施例と同様の符号を付し、
その詳細な説明を省略する。
図11は、変形例の接続チューブ104をインクの通過方向に沿って切断した断面図で
ある。図示されているように、変形例の接続チューブ104の内径(断面積)は一律では
なく、接続チューブ104の一部に他の部分よりも内径(断面積)が大きい拡幅部104
wが設けられている。
前述したように、インク室116内のインクは、噴射ヘッド22の負圧に応じた一定の
流量で流出口128から供給される。また、インクと共に流出口128から流出した気泡
(マイクロバブル)は、図11(a)に示すように、インクの流れに乗って移動する。こ
こで、接続チューブ104内を流れるインクの流速(マイクロバブルの移動速度)は、接
続チューブ104の断面の中心で最も速く、中心から離れて接続チューブ104の内壁に
近づくほど遅くなる傾向にある。尚、図11中の矢印の長さは、接続チューブ104内の
マイクロバブルの移動速度を表している。
図11(b)に示すように、接続チューブ104内を流れるインクの流れに乗ってマイ
クロバブルが拡幅部104wに達すると、拡幅部104wでは断面積が広がるので、一定
の流量で流れるインクの流速は、拡幅部104wに入る直前よりも低下する。こうしてイ
ンクの流速が低下すると、マイクロバブルには浮力が働き易くなる。そのため、接続チュ
ーブ104の中心部を流れていたマイクロバブルは、浮力で浮き上がることにより、接続
チューブ104の中心から外れて内壁に近づくことになる。前述したように、接続チュー
ブ104内のインクの流速は、中心よりも内壁に近いほど遅くなることから、図11(c
)に示すように拡幅部104w内のマイクロバブルは、浮き上がることによって移動速度
が低下する。
以上に説明したように、変形例の接続チューブ104には、拡幅部104wが設けられ
ており、接続チューブ104内のインクの流れに乗って移動するマイクロバブルは、拡幅
部104wに達すると、浮き上がることで移動速度が低下する。これにより、マイクロバ
ブルが噴射ヘッド22に到達するまでの時間を遅らせることができるので、噴射ヘッド2
2に到達する前にマイクロバブルを自己圧壊で消滅させるのに好適である。
以上、各種の実施形態を説明したが、本発明は上記すべての実施形態に限られるもので
はなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
例えば、インク室116内のフィルター132を設置する位置は、空気導入口120と
流出口128との間でインクを通過させるようになっていればよく、実施例の態様に限ら
れるわけではない。例えば、流出口128を覆うように設置しておいてもよい。ただし、
フィルター132によってインクの流れの抵抗が増加することから、前述した実施例のよ
うにインク室116を二分する態様で面積が大きいフィルター132を設置しておけば、
フィルター132を通過するインクの流量を確保するのに好適である。
10…インクジェットプリンター、 20…キャリッジ、 22…噴射ヘッド、
100…タンクケース、 102…インクタンク、 104…接続チューブ、
114…空気室、 116…インク室、 118…連絡通路、
120…空気導入口、 122…大気開放口、 124…注入口、
126…栓部材、 128…流出口、 130…出口通路、
132…フィルター

Claims (4)

  1. 噴射ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置に供給される前記液体を収容する液体容器
    と、前記液体容器から前記噴射ヘッドに向けて前記液体が流れる液体流路とを有する液体
    供給システムであって、
    前記液体容器は、
    前記液体を収容可能な液体収容室と、
    前記液体流路が接続され、前記液体収容室内の液体が流出する流出口と、
    前記液体収容室を大気と連通させる空気通路と、
    前記液体収容室の液体中に前記空気通路から空気を導入する空気導入口と、
    前記液体収容室内に設けられ、該液体収容室内の液体を前記空気導入口側から前記流
    出口側に通過させるフィルターと
    を備え、
    前記フィルターは、
    前記フィルターの目の最大径φが、0<φ≦40μmの範囲内にあり、且つ、
    前記液体の23℃における表面張力をσ、
    前記流出口から前記噴射ヘッドまでの前記液体流路の長さをL、
    前記液体流路の平均内径をD、
    前記流出口から流出する前記液体の最大流量をA
    としたときに、
    φ<(DπLσ2.20/966.2A)0.41
    の関係を満たしている液体供給システム。
  2. 請求項1に記載の液体供給システムであって、
    前記フィルターは、疎水性の材料を用いて形成されている液体供給システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載の液体供給システムであって、
    前記液体流路の途中には、前記液体の通過方向に直交する面で前記液体流路を切断した
    断面積が一端で増加し他端で減少する拡幅部が設けられている液体供給システム。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の液体供給システムを備えた液体噴射装置
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