以下、まず遊技機の一種であるスロットマシンの基本構成の形態について図面に基づいて詳細に説明し、その後、本発明の遊技機の技術的特徴部分である演出体ユニットおよびその制御処理について説明する。
図1はスロットマシンの正面図、図2はスロットマシンの前面扉を閉じた状態の斜視図、図3はスロットマシンの前面扉を開いた状態の斜視図、図4は前面扉の背面図、図5は筐体内部の正面図である。
図1〜図5に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、図3及び図5に示すように、木製板状に形成された天板11a、底板11b、背板11c、左側板11d及び右側板11eからなり、隣接する各板11a〜11eが接着等の固定手段によって固定されることにより、全体として前面を開放した箱状に形成されている。なお、各板11a〜11eは木製のパネルによって構成する以外に、合成樹脂製パネル又は金属製パネルによって構成してもよいし、合成樹脂材料又は金属材料によって一体の箱状に形成することによって構成してもよい。
以上のように構成された筐体11は、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に対し釘を打ち付ける等して取り付けられる。
筐体11の前面側には、前面開閉扉としての前面扉12が開閉可能に取り付けられている。すなわち、筐体11の左側板11dには、図5に示すように、上下一対の支軸25a,25bが設けられている。支軸25a,25bは上方に向けて突出された先細り形状の軸部を備えている。一方、前面扉12には、図4に示すように、各支軸25a,25bに対応して当該支軸25a,25bの軸部が挿入される挿入孔を備えた支持金具26a,26bが設けられている。そして、各支軸25a,25bの上方に支持金具26a,26bを配置させた上で前面扉12を降下させることにより、支持金具26a,26bの挿入孔に支軸25a,25bの軸部が挿入された状態とされる。これにより、前面扉12は筐体11に対して両支軸25a,25bを結ぶ上下方向へ延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、その回動によって筐体11の前面開放側を開放したり閉鎖することができるように構成されている。
前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置によって開放不能な施錠状態とされる。また、図1に示すように、前面扉12の右端側上部には解錠操作部たるキーシリンダ20が設けられている。キーシリンダ20は施錠装置と一体化されており、キーシリンダ20に対する所定のキー操作によって前記施錠状態が解除されるように構成されている。そこで、施錠装置を含むロック機構について概略を説明する。
前面扉12の右端側、すなわち前面扉12の開閉軸の反対側には、その裏面に施錠装置が設けられている。施錠装置は、図1、図3及び図4に示すように、上下方向に延び前面扉12に固定された基枠と、基枠の上部から前面扉12の前方に延びるように設けられたキーシリンダ20と、基枠に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆21とを備えている。そして、施錠装置のうちキーシリンダ20だけが前面扉12の前方に突出した状態で設けられている。キーシリンダ20が設けられる位置は前面扉12の中でも肉厚の薄い上部位置とされており、その結果、全長の短い汎用性のあるキーシリンダ20を採用することができる。なお、本実施の形態では、キーシリンダ20として、不正解錠防止機能の高いオムロック(商標名)が用いられている。連動杆21は、キーシリンダ20に差し込んだキーを時計回りに操作することで下方へ移動される。連動杆21には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具22が設けられており、筐体11に対して前面扉12を閉鎖した際には、鉤金具22が筐体11側の係止金具23に係止されて施錠状態となる。なお、鉤金具22には施錠状態を維持する側へ付勢するコイルバネ等の付勢部材が設けられている。キーシリンダ20に対してキーが時計回りに操作されると、連動杆21が下方に移動し、前記付勢部材の付勢力に抗して鉤金具22が移動されることにより当該鉤金具22と係止金具23との係止状態が解除され、筐体11に対する前面扉12の施錠状態が解除される。
前面扉12の中央部上寄りには、図1及び図2に示すように、遊技者に遊技状態を報知する表示パネル(「装飾体」と表現することもある。)30が設けられている。表示パネル30には、縦長の3つの表示窓31L,31M,31Rが横並びとなるように形成されている。表示窓31L,31M,31Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓31L,31M,31Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。なお、各表示窓31L,31M,31Rを1つにまとめて共通の表示窓としてもよい。さらに表示パネル30の左右には裏面側から照らされて明るく表示されることで、遊技者の興趣を向上させる演出等を行うための絵柄等が描かれている。
この表示パネル30の裏面には、表示パネルの各表示窓31L,31M,31Rから後述するリールの絵柄を視認することができるよう、その中央部が開口するほぼ矩形枠形のパネルユニット201が固定されている(図3、図4参照)。
表示パネル30の裏面側にはランプ、7セグメント表示、LED、液晶表示等を行う各種表示装置が配置されており、各種表示装置のほとんどは、各々所定のプリント基板(表示パネル用基板220(220R,220M,220L))上にLED(光源)等が一体的に取り付けられて形成されている。そして各種表示装置を配したプリント基板がパネルユニットの枠型に固定されることで各種表示装置が表示パネルの裏面に配置されてパネルユニットが構成される(図6参照)。
図6にパネルユニットの分解斜視図を示した。このパネルユニット201は、中央部を開口するほぼ矩形枠形の枠型体203と、各種表示装置(図示せず)などが配置された表示パネル用基板220から構成され、表示パネル用基板220は枠型体203の裏面側に固定されている。
この枠型体203は複数の各種表示装置の台座となるものであるが、各表示装置の光が他の表示領域に漏れないようにするための機能も有している。図で示したスロットマシン用のパネルユニット201では、表示パネルに描かれた絵柄に対応するように、枠型体203の左右の部分のランプハウジング205が6つの区画Sに分割されている。各区画には裏面側から取り付けられた表示パネル用基板220上の表示装置(図示せず)がそれぞれ配置されるようになっている。ここで、この区画は照射された絵柄に隣接する絵柄には光が届かないように仕切り板(壁面)によって仕切られて形成されている。
そしてスロットマシン等の機種変更や表示パネルに傷がついたり破損した場合などに、筐体や前面扉ごと交換することなくその表示パネルのみを簡単に交換出来るように、表示パネルは前面扉に対して着脱自在に構成されている。
図3等に示すように、筐体11は分割横板40によりその内部が上下2分割されており、分割横板40の上部には、可変表示手段を構成するリールユニット41が取り付けられている。リールユニット41は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール42L,中リール42M,右リール42Rを備えている。なお、各リール42L,42M,42Rは少なくとも無端状に構成されていればよく、円筒状(円環状)に限定されるものではない。
各リール42L,42M,42Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール42L,42M,42Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール42L,42M,42Rが各表示窓31L,31M,31Rと1対1で対応している。従って、各リール42L,42M,42Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓31L,31M,31Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール2L,42M,42Rが正回転すると、各表示窓31L,31M,31Rを通じてリール42L,42M,42Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
これら各リール42L,42M,42Rは、それぞれがモータプレート53に固定されたリール駆動モータ(ステッピングモータ)61L,61M,61R(図8参照)に連結されており、各リール駆動モータの駆動により各リール42L,42M,42Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。
各リール42L,42M,42Rは、円筒状の枠を形成するリール枠50と、その外周面において無端状に巻かれた帯状のリールテープとを備えている。そして、その巻かれた状態を維持するように、リールテープの長辺両側に沿って形成された一対のシール部を介してリール枠50に貼付されている。前記リールテープの外周面には、識別情報としての絵柄が等間隔ごとに多数印刷されている。
各リール42L,42M,42Rの各リールテープ上には、その長辺方向(周回方向)に複数個、具体的には21個の絵柄が描かれている。従って、所定の位置においてある絵柄から次の絵柄へ切り替えるにはリール駆動モータ61L,61M,61Rが24パルス(=504パルス÷21絵柄)を生成する。そのためリールインデックスセンサ55(図8、図9参照)の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの絵柄が表示窓31(31L,31M,31R)から視認可能な状態となっているかを認識したり、任意の絵柄をリール表示窓31から視認可能な状態としたりする制御を行うことができる。
各リール42L,42M,42Rに付された絵柄のうち、表示窓31L,31M,31Rを介して全体を視認可能な絵柄数は、主として表示窓31L,31M,31Rの上下方向の長さによって決定される所定数に限られている。本実施形態では各リール3個ずつとされている。このため、各リール42L,42M,42Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の絵柄が遊技者に視認可能な状態となる。
また、各リール42L,42M,42Rには、リールテープを内側から照らすバックライト装置100L,100M,100Rが、図7〜図9に示すように、各リール42L,42M,42Rの内側面側に配置され、所定のモータプレート53(53L,53M,53R)にネジ106により固定されている。
バックライト装置100L,100M,100Rは、図7〜図9に示すように、各リール42L,42M,42Rと1対1に対応させて取り付けられており、左バックライト装置100L、中バックライト装置100M及び右バックライト装置100Rから構成される。各バックライト装置100L,100M,100Rは、リールユニット41内において、前述したように、各リール42L,42M,42Rに対応させて配置されたモータプレート53の側面の表示パネル側に取り付けられている。そして、各バックライト装置100L,100M,100Rは、上下方向にみて同じ位置に配置されている。
図10は左バックライト装置100Lの正面図である。なお各バックライト装置100L,100M,100Rがいずれも同一構造であるため、左バックライト装置100Lを代表として描いている。
図10に示すように、左バックライト装置100Lは、前方側が開放された箱形状であって上下方向の長さ及び左右方向の長さが表示窓31L(図1)とほぼ同じ長さであるベース101Lを備えている。ベース101Lは、その開口領域を区切る隔壁が等間隔に上下に2個形成されていることにより、第1開口領域102L、第2開口領域103L及び第3開口領域104Lが上・中・下段に並ぶ構成となっている。そして、前面扉12を閉じた状態においては、各開口領域102L,103L,104Lはそれぞれ表示窓31Lの上・中・下段に対応した位置の後方に位置することとなる。具体的には、第1開口領域102Lは表示窓31Lの上段付近の後方に位置し、第2開口領域103Lは表示窓31Lの中段付近の後方に位置し、第3開口領域104Lは表示窓31Lの下段付近の後方に位置する。また、第1開口領域102Lの開口前面は若干上方を向いており、第3開口領域104Lの開口前面は若干下方をむいている。従って、ベース101Lの側面は表示パネル30側に向けて膨らんだ円弧状となっている。
これら各開口領域102L,103L,104Lには、LEDからなる4個ずつのバックライト105が前方に向けて起立するように配設されている。そして、各開口領域102L,103L,104Lにおけるバックライト105は、所定間隔を隔てて上下2列に分けて2個ずつ配置されており、各列のバックライト105は所定間隔を隔てて水平となるように並んでいる。即ち、左バックライト装置100Lには、第1開口領域102Lの上の列である第1ラインL1及び下の列である第2ラインL2並びに第2開口領域103Lの上の列である第3ラインL3及び下の列である第4ラインL4並びに第3開口領域104Lの上の列である第5ラインL5及び下の列である第6ラインL6というように、隔壁を挟んで上下方向に合計6列のバックライト105のラインが存在することとなる。そして、中バックライト装置100M及び右バックライト装置100Rにも合計6列のバックライト105のラインが存在しており、上述したように、各バックライト装置100L,100M,100Rは、上下方向にみて同じ位置に配置されているので、各バックライト装置100L,100M,100Rの各ラインL1〜L6は、それぞれ同一ライン上に位置することなる。即ち、ラインL1は、各バックライト装置100L,100M,100Rの第1開口領域102L,102M,102Rの上の列に配設された合計6個のバックライト105を水平に結んだラインということになる。他の各ラインL2〜L6についても同様である。また、各バックライト105は、ラインL1〜L6ごとに制御される。従って、ラインL1〜L6ごとにバックライト105の点灯及び消灯が行われる。
各ラインL1〜L6上のバックライト105が点灯することにより、各リール42L,42M,42Rのリールテープのそれぞれ異なる位置が後方から赤色に照らされることとなる。なお、上述したように、各ベース101L,101M,101Rが隔壁により3つの開口領域102〜104に区分されている。従って、第1ラインL1及び第2ラインL2上のバックライト105が点灯した場合には、表示窓31L,31M,31Rの上段に対応した位置付近のリールテープの内側面のみが照らされ、表示窓31L,31M,31Rの中段及び下段に対応した位置付近のリールテープの内側面は照らされない。これは他のラインL3〜L6上のバックライト105が点灯した場合も同様である。上述したように、リールテープは照射された光をある程度透過することができる材質の材料により形成されているので、バックライト105によってリールテープが後方から照らされると、リールテープを透過した光が表示窓31L,31M,31Rを介して遊技者に視認される。これにより、遊技者に当該光が照射されている部分のリールテープの外側面が、赤くなっていることを視認させることができ、リールテープの光が照射されている部分に付されている絵柄を他の部分に付されている絵柄よりも強調することができる。例えば、ラインL1及びラインL2上のバックライト105が点灯することにより、表示窓31L,31M,31Rの上段に対応した位置付近のリールテープが赤くなり、表示窓31L,31M,31Rの上段に対応した位置付近のリールテープに付されている絵柄を強調することができる。また、各リール42L,42M,42Rが回転しているときは、点灯しているバックライト105の前方を通過するリールテープに付された絵柄が強調されることとなる。なお、各バックライト装置100L,100M,100Rのバックライト105は、後述する同期変動が行われる際に所定のパターンで点灯され、同期変動が行われない際は基本的に消灯している。この同期変動が行われていない間の各リール42L,42M,42Rのリールテープに付された絵柄を照らす光源として、図示しないフロントライトが前面扉12の背面側であって表示窓31L,31M,31Rの上方に配設されている。また各バックライト装置100L,100M,100Rのバックライト105の代わりに、たとえば液晶装置を光源として用いることによって、リールテープに付されている絵柄を後ろ側から照らしてこれを強調してやることもできる。
表示パネル30には、図1に示すように、各表示窓31L,31M,31Rを結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが付されている。勿論、最大組合せライン数を6以上としてもよく、5未満としてもよく、所定条件に応じて最大組合せライン数を変更するようにしてもよい。これら各組合せラインに対応して、表示窓31L,31M,31R群の正面から見て左側には有効ライン表示部32,33,34が設けられている。第1有効ライン表示部32は組合せラインのうち中央の横ライン(中央ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第2有効ライン表示部33は組合せラインのうち上下の横ライン(上ライン及び下ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第3有効ライン表示部34は組合せラインのうち一対の斜めライン(右下がりライン及び右上がりライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に絵柄が所定の組合せで停止した場合に入賞となり、予め定められたメダル払出処理や特定遊技への移行処理などが実行される。
次に、各リール42L,42M,42Rに付される絵柄について説明する。
図11には、左リール42L,中リール42M,右リール42Rのそれぞれに巻かれるリールテープに描かれた絵柄配列が示されている。同図に示すように、各リール42L,42M,42Rにはそれぞれ21個の絵柄が一列に設けられている。各リール42L,42M,42Rに対応して番号が1〜21まで付されているが、これは説明の便宜上付したものであり、リール42L,42M,42Rに実際に付されているわけではない。但し、以下の説明では当該番号を使用して説明する。
絵柄としては、ビッグボーナスゲームに移行するための第1特別絵柄としての「7」絵柄(例えば、左リールテープ第20番目)と「青年」絵柄(例えば、左リールテープ19番目)とがある。また、レギュラーボーナスゲームに移行するための第2特別絵柄としての「BAR」絵柄(例えば、左リールテープ第14番目)がある。また、リプレイゲームに移行するための第3特別絵柄としての「リプレイ」絵柄(例えば、左リールテープ第11番目)がある。また、小役の払出が行われる小役絵柄としての「スイカ」絵柄(例えば、左リールテープ第9番目)、「ベル」絵柄(例えば、左リールテープ第8番目)、「チェリー」絵柄(例えば、左リールテープ第4番目)がある。そして、各リール42L,42M,42Rに巻かれるリールテープにおいて、各種絵柄の数や配置順序は全く異なっている。
ここで、入賞となった場合の各絵柄に関する払出枚数について説明する。小役絵柄に関し、「スイカ」絵柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には15枚のメダル払出、「ベル」絵柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には8枚のメダル払出、左リール42Lの「チェリー」絵柄が有効ライン上に停止した場合には2枚のメダル払出が行われる。即ち、中リール42M及び右リール42Rの「チェリー」絵柄はメダル払出と無関係である。また、「チェリー」絵柄に限っては、他の絵柄との組合せとは無関係にメダル払出が行われるため、左リール42Lの複数の有効ラインが重なる位置(具体的には上段又は下段)に「チェリー」絵柄が停止した場合には、その重なった有効ラインの数を乗算した分だけのメダル払出が行われることとなり、結果として本実施の形態では4枚のメダル払出が行われる。
また、その他の絵柄に関しては、第1特別絵柄(ビッグボーナス絵柄)の組合せである「7」絵柄又は「青年」絵柄が同一絵柄にて有効ライン上に左・中・右と揃った場合には15枚のメダル払出、第2特別絵柄(レギュラーボーナス絵柄)の組合せである「BAR」絵柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合にも15枚のメダル払出が行われる。なお、本実施形態においては、例えば「7」絵柄と「チェリー」絵柄とが同時に成立する場合が生じ得るが、かかる場合におけるメダル払出は15枚である。これは、1回のメダル払出における上限枚数が15枚に設定されているためである。
更に、第3特別絵柄の組合せである「リプレイ」絵柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合にはメダル払出は行われない。その他の場合、即ち有効ライン上に左リール42Lの「チェリー」絵柄が停止せず、また有効ライン上に左・中・右と同一絵柄が揃わない場合には、一切メダル払出は行われない。
表示パネル30の下方左側には、図1に示すように、各リール42L,42M,42Rを一斉(同時である必要はない)に回転開始させるために操作されるスタートレバー71が設けられている。スタートレバー71はリール42L,42M,42Rを回転開始、すなわち可変表示を開始させるべく操作される開始操作手段又は始動操作手段を構成する。スタートレバー71は、遊技者がゲームを開始するときに手で押し操作するレバーであり、手が離れたあと元の位置に自動復帰する。メダルが投入されているときにこのスタートレバー71が操作されると、各リール42L,42M,42Rが一斉に回転を始める。
スタートレバー71の右側には、回転している各リール42L,42M,42Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップボタン72,73,74が設けられている。各ストップボタン72,73,74は停止対象となるリール42L,42M,42Rに対応する表示窓31L,31M,31Rの直下にそれぞれ配置されている。ストップボタン72,73,74はリール42L,42M,42Rの回転に基づく可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。各ストップボタン72,73,74は、各リール42L,42M,42Rが定速回転となると停止させることが可能な状態となり、かかる状態中には図示しないランプが点灯表示されることによって停止操作が可能であることが報知され、回転が停止すると消灯されるようになっている。
表示窓31L,31M,31Rの下方右側には、投資価値としてのメダルを投入するためのメダル投入口75が設けられている。メダル投入口75は投資価値を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴う点に着目すれば、投資価値を直接入力する直接入力手段を構成するものともいえる。
メダル投入口75から投入されたメダルは、図3、図4及び図12に示すように、前面扉12の背面に設けられたセレクタ83によって貯留用通路81か排出用通路82のいずれかへ導かれる。セレクタ83には、後述するメダル通路切替部材84が設けられ、そのメダル通路切替部材84の状態に応じてメダルの通過方向が排出用通路82側か、貯留用通路81側かで切り替えられるようになっている。貯留用通路81に導かれたメダルは、筐体11の内部に収納されたホッパ装置91へと導かれる。一方、排出用通路82に導かれたメダルは、前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口17からメダル受け皿18へと導かれ、遊技者に返却される。
図12は、セレクタ83の内部構造を示す図である。なお、図中の2点鎖線は、理解を容易なものとするためにメダルの通過経路を示したものである。セレクタ83には、メダル投入口75から投入されたメダルを貯留用通路81へ導くための案内通路85が形成されている。案内通路85は、メダルが1列で通行可能なようにして、図の上端部から右下部にかけて弧を描くような曲線状に形成されている。より詳しくは、セレクタ83を構成するセレクタボディには、図の手前側に突出する突条85aが設けられており、その突条85aに沿って案内通路85が形成されている。これにより、案内通路85に到達したメダルは、突条85a上を転がるようにして下流方向へ流れることとなる。
メダル通路切替部材84は、案内通路85の上流部に設けられ該案内通路85に対して出没可能な通路切替片84aと、この通路切替片84aを動作させるためのソレノイド(図示略)とを有している。ソレノイドの非励磁時には案内通路85内に通路切替片84aが突出し、貯留用通路81へのメダルの流れが阻害される。これにより、メダルは前記突条85aを乗り越えるようにして下方に落下し、排出用通路82に導かれる。また、ソレノイドの励磁時には案内通路85外に通路切替片84aが没する。これにより、メダルは案内通路85に沿って流れ、貯留用通路81に導かれる。
通路切替片84aの下流側には、メダルの通過を検出する第1投入メダル検出センサ86と、第2投入メダル検出センサ87とが案内通路85の上流下流に並ぶようにして近接配置されている(少なくとも1時期において同一メダルを同時に検出する状態が生じる程度の近接状態とする)。メダル通路切替部材84のソレノイド非励磁時には、メダルは案内通路84の途中から下方に落下するため、各投入メダル検出センサ86,87によりメダルの通過が検出されることがない。一方、メダル通路切替部材84のソレノイド励磁時には、各投入メダル検出センサ86,87によりメダルの通過が順次検出される。
メダルを遊技者に付与する払出手段としてのホッパ装置91は、図3及び図5に示すように、メダルを貯留する貯留タンク92と、メダルを遊技者に払い出す払出装置93とより構成されている。払出装置93は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、排出用通路82の中央右部に設けられた開口94へメダルを排出し、排出用通路82を介してメダル受け皿18へメダルを払い出すようになっている。また、ホッパ装置91の右方には、貯留タンク92内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するための予備タンク95が設けられている。ホッパ装置91の貯留タンク92内部には、この貯留タンク92から予備タンク95へとメダルを排出する誘導プレート96が設けられている。したがって、誘導プレート96が設けられた高さ以上にメダルが貯留された場合、かかるメダルが予備タンク95に貯留されることとなる。
メダル投入口75の下方には、ボタン状の返却スイッチ76が設けられている(図1参照)。返却スイッチ76は、メダル投入口75に投入されたメダルがセレクタ83内に詰まった際に押されるスイッチであり、このスイッチが押されることによりセレクタ83が機械的に連動して動作され、当該セレクタ83内に詰まったメダルがメダル排出口17より返却されるようになっている。
図3および図5に示した筐体11の内部においてホッパ装置91の左方には、電源ボックス121が設けられている。電源ボックス121は、電源スイッチ122やリセットスイッチ123や設定キー挿入孔124などを備えている。電源スイッチ122は、主制御装置131を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。
リセットスイッチ123は、スロットマシン10の各種状態をリセットするためのスイッチである。本スロットマシン10は各種データのバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、例えば遊技ホールの営業が終了する場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、リセットスイッチ123を押しながら電源スイッチ122をオンすると、バックアップデータがリセットされるようになっている。また、電源スイッチ122がオンされている状態でリセットスイッチ123を押した場合には、エラー状態がリセットされる。
設定キー挿入孔124は、ホール管理者などがメダルの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が設定キーを設定キー挿入孔124へ挿入して操作することにより、スロットマシン10の設定状態(当選確率設定処理)を「設定1」から「設定6」まで変更できるようになっている。
リールユニット41の上方には、図5に示すように、主制御装置131が筐体11の背板11cに取り付けられている。主制御装置131は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを一時的に記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路等を含む主基板を具備しており、主基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックスに収容されて構成されている。
図1に示すように、表示窓31L,31M,31Rの下方左側には、投資価値としてのクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するためのボタン状の第1クレジット投入スイッチ77が設けられている。また、第1クレジット投入スイッチ77の左方には当該スイッチ77よりも小さなボタン状のスイッチとして、第2クレジット投入スイッチ78及び第3クレジット投入スイッチ79が設けられている。第2クレジット投入スイッチ78はクレジットされた仮想メダルを一度に2枚投入するためのものであり、第3クレジット投入スイッチ79は仮想メダルを1枚投入するためのものである。各クレジット投入スイッチ77〜79は前記メダル投入口75とともに投資価値を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴うのに対し各クレジット投入スイッチ77〜79は貯留記憶に基づく仮想メダルの投入という動作を伴うに過ぎない点に着目すれば、投資価値を間接入力する間接入力手段を構成するものともいえる。
なお、第1クレジット投入スイッチ77は、1ゲームにつき投入できるメダル最大数(3枚)に達していないことを促すため、図示しない発光部材としてのランプが内蔵されている。当該ランプは、第1クレジット投入スイッチ77のスイッチ操作が有効である状況時において点灯されて当該スイッチ77の操作を促すが、クレジットされた仮想メダルが存在しない場合や既に3枚のメダル投入がなされている状況下では消灯される。ここで、上記点灯に代えて、点滅させてメダル投入の促しを遊技者に一層分かり易くしてもよい。
スタートレバー71の左側には、ボタン状の切換スイッチ80が設けられている。切換スイッチ80は、1度押されるとオン状態になり、もう1度押されるとオフ状態になり、その後押下操作が行われるごとにオンオフが切り替わるトグル式に構成されている。切換スイッチ80は、メダル投入口75に必要量より多く投入された投入メダルや、所定の遊技の結果遊技者に返還される獲得メダルの取扱形式を変更するために操作される。
切換スイッチ80がオン状態のときには、所定の最大値(例えばメダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルがクレジットメダルとして貯留記憶されるように設定された「クレジットモード」となる。切換スイッチ80がオフ状態のときには、余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルを現実のメダルとして払い出すように設定された「ダイレクトモード」となる。なお、クレジットモードからダイレクトモードに切り換えられた際にクレジットメダルがある場合には、その分のクレジットメダルが現実のメダルとして払い出される。このように、遊技者はクレジットモードとダイレクトモードとを切り換えることにより自身の好みに応じた形式で遊技を実行することができる。かかる切換スイッチ80は投入価値及び遊技価値の取扱形式を切り換える切換操作手段を構成する。また、クレジットされた仮想メダルを現実のメダルとして払い出すという機能に着目すれば、切換スイッチ80は貯留記憶された遊技価値を実際に払い出すための精算操作手段を構成するものともいえる。なお、切換スイッチ80の操作により「クレジットモード」と「ダイレクトモード」とを切り換えるように構成する他、常に「クレジットモード」としておき切換スイッチ80が操作されると貯留記憶された仮想メダルを払い出すだけの精算スイッチとして機能させてもよい。
表示パネル30の表示窓31L,31M,31R下方には、クレジットモード時に有効化されて貯留記憶されたメダル数を表示する残数表示部35と、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等の特別遊技状態の際に例えば残りのゲーム数等を表示するゲーム数表示部36と、獲得メダルの枚数を表示する獲得枚数表示部37とがそれぞれ設けられている。これら表示部35〜37は7セグメント表示器によって構成されているが、液晶表示器等によって代替することは当然可能である。
ここで、メダルがベットされる手順について説明する。ダイレクトモード、クレジットモードのいずれのモードにおいても、遊技の開始時にメダル投入口75からメダルが投入されるとベットとなる。
すなわち、1枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、第1有効ライン表示部32が点灯し、そしてこれに対応する中央ラインが有効ラインとなり、2枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第2有効ライン表示部33が点灯すると共に、これに対応する上ライン及び下ラインを含む合計3本の組合せラインがそれぞれ有効ラインとなり、3枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第3有効ライン表示部34が点灯し、そしてこれに対応する一対の斜めラインを含む合計5本の組合せライン全てが有効ラインとなる。
また、4枚以上のメダルがメダル投入口75に投入されると、3枚を超える余剰メダルは、そのときのモードがダイレクトモードであればセレクタ83により排出用通路82への切替がなされてメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。一方、クレジットモードであればスロットマシン内部に貯蓄されると共に残数表示部35に貯蓄枚数が表示される。この貯留枚数には上限枚数が決められており(例えば50枚)、それを越える枚数のメダルが投入されたときにはメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。
また、クレジットモードにて遊技が行われ且つ残数表示部35に貯留枚数が表示されている場合には、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際にも仮想メダルが投入されたこととなりベットとなる。
第3クレジット投入スイッチ79が押された際には、仮想メダルが1枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が1つディクリメントされ、第1有効ライン表示部32が点灯して中央ラインが有効ラインとなる。第2クレジット投入スイッチ78が押された際には、仮想メダルが2枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が2つディクリメントされ、第1有効ライン表示部32および第2有効ライン表示部33が点灯して合計3本の組合せラインが有効ラインとなる。第1クレジット投入スイッチ77が押された際には、仮想メダルが3枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が3つディクリメントされ、全ての有効ライン表示部32〜34が点灯して合計5本の組合せラインが有効ラインとなる。
なお、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際に投入されるべき仮想メダルが貯留されていない場合、例えば残数表示部35の表示が2のときに第1クレジット投入スイッチ77が押された場合等には、残数表示部35の数値が全てディクリメントされて0となり、投入可能な仮想メダル分だけベットされる。
前面扉12の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ14と、遊技者に例えば映像などの演出効果向上のための各種情報を与える補助表示部15とが設けられている。補助表示部15は、本実施形態では表示内容の多様化及び表示演出の重厚化を意図して液晶表示装置(液晶パネル)によって構成されているが、ドットマトリックス表示器等の他の表示装置を使用してもよい。補助表示部15は、遊技の進行に伴って表示による演出を実行するためのものである。そして、各リール42L,42M,42Rによる遊技を主表示部によるものと考えることができることから、本実施形態では補助表示部と称している。補助表示部15の表示は表示パネル30の表示窓31L,31M,31Rと同程度の面積を有する矩形状をしており、補助表示部15の背面には上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部を駆動させるための表示制御装置111が設けられている。なお、上部ランプ13及びスピーカ14の位置や数は特に以上説明したものに限られない。
メダル受け皿18の上方には、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート16が装着されている。また、メダル受け皿18の左方には、手前側下方に反転可能な灰皿19が設けられている。
以上に説明したスロットマシンはいわゆる1枚賭の機種であるが、スロットマシンにはその他にも図13に正面図で示した機種のようないわゆる3枚賭専用のものもある。このスロットマシンでは上記した組合せラインは付されているものの、図1のスロットマシンのように有効ライン表示部は設けられていない。そしてその代わりにこの部分(表示窓31Lの左側)には、その上半分のスペースにキャラクタなどの絵柄52aが描かれ、下半分のスペースには「左」「中」「右」の文字が書かれた3つの表示領域である指示表示部51L,51M,51Rが設けられている。この指示表示部51L,51M,51Rは遊技者に対して当選した役を揃えるための指示を与えるための表示であり、ストップボタン72,73,74の押し順をガイドすべく所定の順番で明るく表示されるようになっている。また表示窓31Rの右側の領域には遊技者の興趣を向上させるための絵柄52bが描かれており、この絵柄も遊技中所定のタイミングで明るく表示されるようになっている。なおこのスロットマシン10は3枚賭専用の機種であるため、図1等に示した第2クレジット投入スイッチ78や第3クレジット投入スイッチ79は設けられておらず、第1クレジット投入スイッチ77のみが設けられている。
そして、実際のメダル3枚が投入されるかクレジットされた仮想メダルが3枚分投入されて初めて、スタートレバー71の操作により各リール42L,42M,42Rが回転を開始するようになっている。ここで3枚賭専用の機種であっても当然、通常のスロットマシンでメダルを3枚投入した時と同様に、中央ライン、上ライン、下ライン、一対の斜めラインの合計5本の組合せラインの全てが有効ラインとなっている。それ以外の点については通常のスロットマシンと3枚賭専用スロットマシンとで特に大きく異なる点はない。
なお上述のように3枚賭専用のスロットマシンでは、第2クレジット投入スイッチや第3クレジット投入スイッチがその外装には設けられていないが、その内部構造としては各スイッチに対応可能となっているため、必要に応じて操作パネル59の交換や一部改変などによりスイッチを設けてやることができるようになっている。
このスロットマシンは、図1や図13で説明したような基本構造のスロットマシン10などの遊技機に、今までにない新たな演出効果を付与することで遊技の興趣をさらに高めることができるようになっている。
すなわちこのスロットマシンは、演出動作を行う役物などの演出体と遊技機本体側(演出体を除く遊技機本体部分のことであり、実際には後述する枠体部分を意味する)との電気的接続なしに独立して演出体(以下「独立演出体」という。)を動かしたり独立演出体の付属物の発光や動きを制御することを可能とし、また、見栄えの悪い配線を排除してキャラクタなどをあしらった独立演出体の動きの制約をなくして、独立演出体が視認領域内であたかも浮いているようにこれを動かすことができるようにしたものである。なお配線を排除すれば当然配線が曲げ伸ばしの繰り返しの屈曲ストレスや他の部分と接触して擦れることによる断線や破断が発生することはない。
以下、このスロットマシンの特徴的部分である演出体ユニットなどの構造について詳細に説明する。
図14〜図17に遊技機の正面に取り付けられる演出体ユニット500の斜視図を示した。なおこの演出体ユニット500には補助表示装置15となる液晶表示装置やその他の付属物が後ろ側から取り付けられて、その後に遊技機の前面扉12に取り付けられるが、本説明で用いた各図では液晶表示装置等は省略して表現している。
この演出体ユニット500は、遊技機正面の液晶表示装置と、その画面を覆うように取り付けられる本体部510と、本体部上で演出動作を行う独立演出体550とから構成されている。
演出体ユニット500の本体部510は中央部に開口を有し演出体ユニットの外形をなす枠体512と、枠体の開口部に取り付けられるガイド板514と、ガイド板との間に一定の隙間空間を形成するように間隔をあけて枠体に取り付けられるカバー板516と、ガイド板を枠体に対してスライド移動させるための切換装置518とを備えている。
ガイド板514は液晶表示装置の矩形の画面よりも一回り程度大きな大きさで5mm程度の厚みの無色透明の樹脂製の略矩形平板であり、液晶表示装置の画面と僅かな隙間をあけて画面を覆うことができるように枠体の開口部部分に取り付けられている。そして液晶表示装置の画面と対面する面の裏面には、左右に横断する上中下段の3条のレール溝522(522a,522b,522c)(ガイド部)が形成されている。このレール溝522は後述する独立演出体550をこれに沿って動かすためのガイドとなるもので、その幅及び深さは共に3mm程度となっている。そして上中下段の3条のレール溝522は、それぞれが交差することなく、その左右両端部が1cmづつ離れて平行(水平)に並ぶ一方、その中央部が、上段のレール溝522aは上向きに湾曲し、中段のレール溝522bは一直線に伸び、下段のレール溝522cは下向きに湾曲して形成されている。なおレール溝522の数や道筋は上記に限られるものではなく、独立演出体550を動かしたい任意の道筋に形成することができ、例えば4条以上のレール溝を形成したり、レール溝の道筋を交差させたりすることも可能である。
またガイド板514の右側辺の下側には後述する切換装置518の歯車519とラック−ピニオン式に噛み合う凹凸歯515が形成されている。そして独立演出体550は切換装置518による切り換え動作により、演出の種類によってこれらのレール溝522(522a,522b,522c)のいずれかを選択的にたどることができるようになっている。
カバー板516は枠体の大きさより一回り小さな無色透明のガラス製の矩形平板であり、ガイド板との間に1cm程度の幅の空間が形成されるように間隔をあけて枠体512の前面側に取り付けられており、枠体にカバー板が取り付けられることで演出体ユニット500の前面が構成される。
なお遊技機10の前面扉にその裏側から演出ユニット500が取り付けられると液晶表示装置の画面部分のみが前面パネル(前面扉の上部前面を構成する意匠パネル)の窓から表出しその他の部分は前面パネルの絵柄等の後ろに隠れるようになっているため、後述する切換装置518や待機位置にある時の独立演出体550などが遊技者から見えることはない。
枠体512は、液晶表示装置の矩形の画面を見ることができるように画面と同じ大きさの開口部が形成された有色の矩形枠であり、枠体を構成する上下左右4辺のうち左右下の3辺は幅が広く、上辺は幅が狭くなって形成されている。またこの枠体512の左右の辺には開口部を覆うようにして上記ガイド板514を上下に滑らかにスライド移動可能な状態で嵌め込むための差込み溝(図示せず)がその縦方向に形成されている。そしてこの枠体512の左右2辺の前面中央部には、それぞれ幅方向(水平方向)に伸びる1本のレール溝522’が刻まれている。このレール溝522’は下記の切換装置518を用いてガイド板514を上下動させることで、上記ガイド板の3条のレール溝522(522a,522b,522c)のうちのいずれかと一連するように滑らかに段差なくつながって一本のレール溝をなすようになっている。
さらに枠体512の左辺のレール溝522’の左端近傍には、あとで説明する独立演出体550に電力を供給し指令信号を伝達するための接続端子台524が設けられている。
図17に拡大して斜視図で示した切換装置518は、制御装置からの電力の供給により駆動する切換用モータ520と切換用モータの軸に取り付けられた歯車519等から構成されて枠体512の右辺下部に組み込まれており、上記ガイド板514の右側辺下側の凹凸歯515と噛み合わせた歯車519が回転することで、図の状態からガイド板を上側に2cmの範囲でスライド移動させることができるようになっている。したがってガイド板514が一番下まで下がった状態では枠体512の左右の辺に形成されたレール溝522’はガイド板の上段のレール溝522aとつながり、ガイド板が1cmせり上がった状態では枠体の左右の辺に形成されたレール溝はガイド板の中段のレール溝522bとつながり、ガイド板が一番上まで上がった状態(2cmせり上がった状態)では枠体の左右の辺に形成されたレール溝はガイド板の下段のレール溝522cとつながって一本のレール溝をなすこととなる。
図18(a)に独立演出体550を底面側から見た斜視図を、図18(b)に独立演出体の内部構造を説明するための図を示した。この独立演出体550は高さが1cm程度で全長5cm程度、全幅2cm程度の大きさを有する略直方体形状をした車両のような形状をしたいわゆる演出用役物であり、底面556側に4つの主車輪552が同一方向を向けて取り付けられている。そして独立演出体550の天面554は底面556と平行する平板となっており、そこにはキャラクタの絵柄などが描かれている(図示せず)。また独立演出体550の底面556には下方に4mm程度の長さで伸びる突起部558が独立演出体の長手方向に所定間隔をあけた2箇所に並んで設けられており、図19に示したように、これらの突起部558が上記ガイド板のレール溝522および枠体のレール溝522’に落とし込まれることで、独立演出体はレール溝に沿って動くようになっている。
ここで独立演出体550は、ガイド板514とカバー板516との間に形成された空間内で、その主車輪552がガイド板514と接触しながら回転し、またその天面554がカバー板516と接触して摺動することで、両板に挟まれながらレール溝522,522’に沿って滑らかに動くことができる。そのためこの突起部558の先端は球体のごとき形状となっており、レール溝522,522’との摩擦抵抗ができるだけ少なくなるようになっている。なおこの突起部558をレール溝522,522’内で溝方向に回転する車輪などにしてやってもよい。さらに独立演出体550の天面554に従車輪を設け、カバー板516と天面とが直接接触しないようにしてやることも好ましい(図示せず)。
また図18に示したように、この独立演出体550の天面554と底面556の間には、主車輪552を回転させるモータ562(演出実行部)、モータに電力を供給する充電池564(充電部)、モータの回転等の演出動作を制御するための記憶装置を包含した中央処理装置566(演出制御部)などが設けられており、また、この独立演出体が枠体512の左辺のレール溝522’の左端位置(この位置を「待機位置」という。)に来た際に、上記接続端子台524の接点と接触して遊技機本体側と独立演出体とを電気的に接続する接続端子572(電力供給部および指令信号伝達部)が設けられている。すなわち図20に斜視図で示したように、枠体512の接続端子台524と独立演出体550の接続端子572とは、独立演出体が待機位置まで移動した際に、接地線(グランド線)、プラス線、指令信号線の3つの接点が接触することで電気的接続が行われるようになっている。
そして図21の演出体ユニットの回路図で示したように、独立演出体550が待機位置にあるときにはその接続端子572が遊技機本体側の接続端子台524に接触し、遊技機本体側の接地線およびプラス線が独立演出体の充電池564と電気的に接続されることで回路が形成され、これにより充電池への充電が行われる。また独立演出体550が待機位置にあるときには、遊技機本体側の接地線と指令信号線が独立演出体の中央処理装置566と電気的に接続されることで回路が形成され、遊技機本体側から独立演出体のモータ562の回転を制御するための指令信号が中央処理装置に伝達されて一時的に記憶される。この指令信号は、モータ562の回転速度および回転方向を時間と関連付けたプログラムデータであり、中央処理装置566の制御によって、独立演出体550に所定のタイミングおよび所定の速度で、レール溝522,522’に沿って前進や後進による演出動作を行わせることができる。
遊技機本体側には電源基板582および電源基板に接続されて電力の供給を受けるサブ制御基板584が備えられ、このサブ制御基板から伸びた配線が枠体512の接続端子台524につながれている。なおサブ制御基板584には接続端子台524に独立演出体550の接続端子572が接触して通電状態にあるか否かを判断するためのセンサ586が設けられており、このセンサによって独立演出体が待機位置にあり遊技機本体側と独立演出体との電気的接触がなされているときのみ、独立演出体の充電池564に電力を供給しまた指令信号を伝達するようになっている。
なお中央処理装置566の記憶装置に独立演出体550を所望の動作で動かすための様々な制御パターンをプリセットして記憶させておくことで、指令信号線を通じて独立演出体の中央処理装置に伝達する指令信号をプリセットした制御パターンのいずれか一つを選択するための単なるトリガー信号とすることもできる。この場合、トリガー信号を受信した中央処理装置566は、これをきっかけに所定の制御パターンを中央処理装置566の記憶装置から呼び出し、その制御パターンにしたがって主車輪552を回転させて独立演出体550に演出動作をさせることとなる。
また詳細な説明は省略するが、他の演出実行部として、独立演出体550の天面554などにLEDなどの光源を設けたり、独立演出体の天面部分全体や独立演出体に取り付けた可動小物を回転や振動させる他のモータを設けたりして、これを上記モータ562の制御と同様に、独立演出体が待機位置にあるときに指令信号を遊技機本体側から中央処理装置に伝達して一時的に記憶させ、これを基にした制御によって光源を所定のタイミングで点灯・点滅させたり、他のモータを所定の方向に回転や振動等させたりすることもできる。もちろん光源の点滅パターンや他のモータの制御パターンをプリセットしておくことで、指令信号を単なるトリガー信号とすることができることも上記と同様である。
以上のように構成された演出体ユニット500によれば、独立演出体550が待機位置にあるときには常時その充電池564に充電が行われており、また例えばリーチアクションなどの演出において独立演出体を動作させようとする場合には、指令信号線を通じて指令信号を独立演出体の中央処理装置566に伝達してその記憶装置に所望の演出動作を行わせるため制御パターンを一時的に記憶させた後に、独立演出体のモータ562をその制御パターンに基づき駆動させることで、独立演出体は待機位置を離れて独立走行を始める。
ここで枠体512に設けた切換装置518の制御を独立演出体550の走行開始前に行い、ガイド板514を上下方向にスライドさせることで、独立演出体が走行する道筋となる上中下段のいずれかのレール溝522(522a,522b,522c)の選択が行われる。なお独立演出体550は枠体512の左側の待機位置からガイド板514を横断して枠体の右側に走行し、それから再びガイド板を横断して枠体左側の待機位置に戻る往復動作を行うが、その往路と復路は同じレール溝522を通って同じ道筋を辿ってもよいし、独立演出体が枠体の右側位置にあるときに切換装置518によってガイド板を上下方向いずれかにスライド移動させることで、往路と復路で異なるレール溝を通って異なる道筋を辿るようにしてやってもよい。
このように本実施の演出体ユニット500を用いた遊技機10によれば、キャラクタなどの独立演出体550を遊技機本体側との配線接続なしで所望の動作をさせることができ、遊技の興趣を高めることが可能となる。なお独立演出体550は遊技機10の表面の視覚領域であればどの位置で動かしてやってもよいが、本実施例のように液晶表示装置の画面の前側で動くようにし、例えば画面に表示されたアニメーションと関連付けて独立演出体を動作させることで、その特徴を最大限活用して遊技の興趣をより一層高めることができる。
上記では独立演出体550はガイド板514に形成したレール溝522をたどるようにして動くものであるが、独立演出体の動く道筋のバリエーションをより多様化すべく、独立演出体自体に舵取り機能を持たせたものとしてやることもできる。
この場合、枠体512に切換装置518を設けることやレール溝522’を形成すること、ガイド板514にレール溝522や切換装置の歯車519と噛み合う凹凸歯515を形成してやることは必要なく、ガイド板が上下にスライド移動可能となっている必要もない。すなわちガイド板514およびカバー板516は1cm程度の隙間を空けた状態で共に枠体512に固定されており、その隙間内において独立演出体550が所定の範囲で自由に動くことができるようになっている。
図22に独立演出体に舵取り機能を持たせた演出体ユニット500を正面側から見た斜視図を示した。独立演出体550が走行することができる所定の範囲は枠体512により規制されており、枠体の左辺部分を除きほぼ枠体の外周縁近傍まで自由に走行することができる一方、枠体の左辺部分では独立演出体が左方へ走行すると枠体左辺中央部分に設けた接続端子台524に強制的に導かれるように走行できる範囲が接続端子台に向かってテーパー状に狭まっている。すなわち枠体の左辺部分では独立演出体550の主車輪552が越えることができない段差562が接続端子台524に向かってテーパー状に形成されている。そのため独立演出体550が枠体512の左辺左端まで走行してきた際には、独立演出体が待機位置に自然に導かれてその接続端子572が接続端子台524と電気的に接続されることとなる。なお待機位置にある独立演出体550は振動等の影響でその接続端子が接続端子台から外れてしまうことのないよう、安定した状態で静置できるようになっている。
ここで上記のガイド溝に沿って独立演出体に走行動作をさせるものは、1つのモータ562を制御することで主車輪552を駆動して独立演出体550の前進後進のみを制御するものであったが、舵取り機能を持たせた独立演出体では主車輪の左右の前輪(または後輪)用にそれぞれ独立してモータを設け、その2つのモータの回転を制御することで独立演出体を舵取り制御可能となっている。なお2つのモータ552を設ける以外にも、独立演出体550にステアリング機構を設け、その舵角を制御するようにしてやってもよい。またこの独立演出体550には、上記のもののような突起部は設けられていない。
そしてこの演出体ユニット500でも、上記のガイド溝に沿って独立演出体に走行動作をさせるものと同様に、独立演出体550が待機位置にあるときに、その充電池562への充電と中央処理装置566への指令信号の伝達が行われる。この指令信号は左右の車輪用の各モータ562の回転速度および回転方向を時間と関連付けたもので中央処理装置566に一時的に記憶してもよいし、または左右の車輪用の各モータについてプリセットした所望の制御パターン(回転速度および回転方向を時間と関連付けたもの)を呼び出すためのトリガー信号であってもよいことも上記と同様である。
さらに独立演出体550にLEDなどの光源を設けたり、独立演出体の天面自体や独立演出体に設けた可動小物を回転や振動させる他のモータを設けたりして演出効果をさらに高めることが好ましいことも上記と同様である。
この演出体ユニット500によれば、ガイド板514とカバー板516との間に挟まれた独立演出体550を、レール溝522を用いることなく制御パターンにしたがって自由に走行させることができるため、多種多様な道筋でこれを走行させることで今までにない新たな演出効果を付与して遊技の興趣をさらに高めることができる。
なお、演出体ユニットの各構成は前述したものに限るものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができるのは勿論である。例えば独立演出体550に自走機構を設けず、独立演出体をカバー板516中央に固定し、また枠体512側が障子が開くようにして独立演出体から離隔することで、独立演出体が遊技機本体側との電気的接続がない状態で、演出実行部としてのLEDなどの光源を所定のタイミングで点灯・点滅させたり、可動小物を回転や振動させたりするようにすることもできる。
次に、スロットマシン内部の制御基板収納ボックス内に配設されているメイン制御基板およびサブ制御基板等について図23及び図24等に基づいて説明する。図23は、スロットマシン10のメイン制御基板1150等の構成を説明するブロック図、図24は、スロットマシン10のサブ制御基板584等の構成を説明するブロック図である。
メイン制御基板1150は、遊技の主な制御処理を行うものであり、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU1151と、そのMPU1151に接続されると共にセンサ類やスイッチ類などの各種の入出力手段に接続された入出力ポート1152が搭載され、本発明のメイン制御部を構成している。
MPU1151には、MPU1151により実行されるコイン検出プログラム1153a等の制御プログラムや固定値データを記憶したROM1153と、そのROM1153内に記憶される制御プログラムの実行にあたって各種のデータを一時的に記憶するためのメモリであるRAM1154と、割込回路、タイマ回路、データ送受信回路等の各種回路等が内蔵されている。
コイン検出プログラム1153aは、例えば切換スイッチ80が操作されてコインの排出が開始されたときに、ホッパ装置91のコイン検出センサ1114cから出力された検出信号に基づいてコインの排出と認識して、コイン排出コマンドを生成するように構成されている。
RAM1154は、切換スイッチ80の操作により貯留モードとされたときに、セレクタ83の第1投入コイン通過検出センサ86、第2投入コイン通過検出センサ87から出力された検出信号に基づき認識したコインの枚数及び入賞により獲得したコインの枚数を予め設定された枚数、例えば50枚までの枚数を電子的に記憶し、本発明のコイン数記憶部を構成するコイン数記憶エリア1154aを有している。
そして、後述する図25〜図28に示されたフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM1153内に記憶されている。
入出力ポート1152には、切換スイッチ80、スタートレバー71、ストップボタン72,73,74、コイン検出センサ1114c、第1投入コイン通過検出センサ86、第2投入コイン通過検出センサ87、有効ライン表示部(1〜3枚ベットランプ)32,33,34、残数表示部35、ゲーム数表示部36、獲得枚数表示部37、サブ制御基板584、外部集中端子板1167等が接続されている。
サブ制御基板584は、メイン制御基板1150と別個に設けられメイン制御基板1150から送信されるコマンドを受信して遊技以外の補助的な制御処理を行うものであり、本発明のサブ制御部を構成する。サブ制御基板584は、上部ランプ13による点灯・点滅及びスピーカ14から報知音等の出力制御、表示用制御基板1166を制御して液晶ディスプレイ(補助表示部)15上に演出表示等を行うように構成されている。
サブ制御基板584には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU1161と、そのMPU1161に接続されると共にセンサ類やスイッチ類などの各種の入出力手段に接続され、メイン制御基板1150から送信されるコマンドを受信する入出力ポート1162が搭載されている。
MPU1161には、MPU1161により実行される排出コイン数判定プログラム1163a、報知制御プログラム1163b(排出コイン数判定プログラムの機能を含めても良い)等の制御プログラムや基準排出コイン数、基準コイン排出報知時間、上部ランプ用発光テーブル、報知音テーブル等の固定値データを記憶したROM1163と、そのROM1163内に記憶される制御プログラムの実行にあたって各種のデータ、例えば排出コイン数(後述する排出コイン数カウンタ1165によりカウントされたカウント数)を一時的に記憶するためのメモリであり、排出コイン数記憶エリア1164aを有するRAM1164と、割込回路、タイマ回路、データ送受信回路等の各種回路と、切換スイッチ80の操作に基づきコインの排出が開始されてからコインの排出が終了するまでの間にメイン制御部1150から送信されてきたコイン排出コマンドに基づきコインの排出枚数をカウントし、コイン数カウント部を構成する排出コイン数カウンタ1165等の各種カウンタ等が内蔵されている。図29〜図33に示されたフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM1163内に記憶されている。
入出力ポート1162には、発光制御コントローラ1121a、報知音出力コントローラ1122a、表示用制御基板1166、外部集中端子板1168等が接続されており、表示用制御基板1166との間ではデータ等を双方向に送受信可能に構成されている。発光制御コントローラ1121aは、MPU1161によりROM1163の上部ランプ用発光テーブルから読み出された上部ランプ用発光データに基づいて上部ランプ13のLEDを発光制御するように構成され、上部ランプ13と共に照明手段を形成する。報知音出力コントローラ1122aは、MPU1161によりROM1163の報知音テーブルから読み出された報知音データに基づいてスピーカ14から報知音を出力するように構成され、スピーカ14と共に報知音出力手段を形成する。
電源基板1170は、電源ボックス121内に設けられており、メイン制御基板1150の他に、スロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部1171と、電源断の発生を監視する停電監視回路1172等の各種回路を備えている。スロットマシン10の電源オフ後には、電源基板1170の電源部1171からRAM1154にバックアップ電圧が供給される。
停電監視回路1172は、停電等の発生による電源断時(電源スイッチ122のオフによる電源断を含む)に、メイン制御基板1150のNMI端子、入出力ポート1152及びサブ制御基板584のNMI端子へ停電信号を出力するための回路である。停電監視回路1172は、電源基板1170から出力される最も大きい電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号を出力するように構成されている。停電信号の出力に基づいて、メイン制御基板1150は、停電の発生を認識し、停電時処理を実行するように構成されている。なお、停電監視回路1172の停電信号は、メイン制御基板1150及びサブ制御基板584のNMI端子に代えて、INT端子に入力されるように構成しても良い。
また電源基板1170は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。例えば、本実施の形態において30msecの間は、駆動電源が出力されるように構成されている。よって、メイン制御基板1150は、停電時処理を正常に実行することができる。また、停電監視回路1172を、電源基板1170ではなく、例えばメイン制御基板1150に設けるようにしても良い。
次に、図25〜図28に示すフローチャートを参照して、メイン制御基板1150で行われる各処理について説明する。メイン制御基板1150で行われる処理として、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的(本実施の形態では、1.49ms周期)に起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号の入力により起動されるNMI割込処理が設定されている。以下の説明では、便宜上、NMI割込処理とタイマ割込処理について説明し、その後にメイン処理について説明する。
図25は、NMI割込処理の一例を示すフローチャートである。停電の発生等により電源が遮断されると、停電監視回路1172から停電信号が出力されてメイン制御基板1150のMPU1151に対して出力される。NMI端子を介して停電信号を受信したMPU1151によりNMI割込処理が即座に実行される。なお、上述したようにメイン制御基板1150においてNMI端子に代えてINT端子を設ける構成とした場合には、停電監視回路1172の停電信号はINT端子に入力される。
NMI割込処理では、まずステップS101において、MPU1151内に設けられた使用レジスタのデータをRAM1154内に設けられたスタックエリアへ退避する。次に、ステップS102では、停電フラグをRAM1154内に設けられた所定のワークエリアにセットする。その後、ステップS103にてスタックエリアへ退避させたデータを再びMPU1151に搭載の使用レジスタ復帰させて本ルーチンの処理を終了する。なお、使用レジスタのデータを破壊せずに停電フラグをセット処理可能な場合には、スタックエリアへの退避及び復帰処理を省略することができる。
図26は、メイン制御基板1150で定期的(本実施の形態では1.490ms毎)に実行されるタイマ割込処理のフローチャートである。このタイマ割込処理では、例えば、切換スイッチ80の操作状態読み込み処理、ホッパ装置91のコイン検出センサ1114c、セレクタ83のコイン通過検出センサ86、87等の各種センサの監視処理等が行われる。
まずステップS201に示すレジスタ退避処理では、通常処理(図28参照乞う)で使用している全レジスタの値をスタックエリアへ退避させる。ステップS202では、停電フラグがオンされているか否かを確認し、停電フラグがオンされている場合(ステップS202においてYes)、図6のNMI割込処理で説明した通り停電の発生であるので、ステップS203に進み停電時処理を実行する。
本実施の形態において、ステップS203の停電時処理は、タイマ割込処理のうち特にレジスタ退避処理(ステップS201)の直後に行われることから、他の割込処理を中断することなく実行可能である。従って、例えば各種のコマンドの送信処理中やスイッチの状態(オン又はオフ)の読み込み処理中等のように、各々の処理に割り込んで停電時処理が実行されることはないことから、このようなタイミングで停電時処理が実行されることを考慮した停電時処理のプログラムを作成する必要がない。これにより、停電時処理のプログラムを簡略化して、プログラム容量を削減可能となる。
一方、停電フラグがオンされていなければ(ステップS202においてNo)、停電は発生していないので、ステップS204以降の処理が行われる。
ステップS204では、誤動作の発生を監視するウォッチドッグタイマの値を初期化するウォッチドッグタイマクリア処理を行う。そして、ステップS205では、MPU1151自身に対して割込許可を出す割込終了宣言処理を行う。ステップS206では、筐体2に収納された各回転ドラム11の回胴モータ(ステッピングモータ)を回転駆動させる回胴モータ制御処理を行う。ステップS207では、各種スイッチのオン・オフ状態を読み込むスイッチ状態読み込み処理を行う。
ステップS208では、各種センサの状態を読み込んで、読み込み結果が正常であるか否かを監視するセンサ監視処理を行う。ステップS209では、各カウンタやタイマの値を減算するタイマ減算処理を行う。ステップS210では、IN・OUTカウンタ処理を行う。ステップS211では、サブ制御基板584へコマンドを送信するコマンド出力処理を行う。
ステップS212において、残数表示部35、ゲーム数表示部36及び獲得枚数表示部37にそれぞれ表示されているセグメントデータを設定するセグメントデータ設定処理を行ってから、ステップS213において、セグメントデータを各表示部26〜28にそれぞれ供給して数字、記号等を表示するセグメントデータ表示処理を行う。ステップS214では、入出力ポート1152から出力データを出力するポート出力処理を行う。
そして、これらの処理の実行後には、ステップS215において、スタックエリアへ退避させた各レジスタの値をそれぞれの対応のレジスタへ復帰させ、ステップS216にて次回のタイマ割込の発生を許容する割込許可処理を行って、タイマ割込処理を終了する。
図27は、電源投入時にメイン制御基板1150で実行される起動処理のフローチャートである。電源スイッチ122がオン操作されてスロットマシン10の電源が投入されると(停電からの復旧による電源入を含む)、この処理が実行される。まず、初期化処理として、スタックポインタの値を設定し(ステップS301)、割込モードを設定し(ステップS302)、そしてCTC・内蔵レジスタの設定処理を行う(ステップS303)。
初期化処理が終了すると、ステップS304では、設定キーが設定キースイッチ13cに挿入されているか否かを判定する。設定キースイッチ13cがオンされている場合(ステップS304においてYes)、ステップS305に進み、強制的RAMクリア処理を実行して、RAM1154の全ての内容を0クリアする。その後、ステップS306で6段階確率設定処理を実行する。6段階確率設定処理では、遊技の当選確率が6段階に切り替えられ、後述する遊技に関わる主要な制御を行う通常処理(図28参照乞う)に移行する。
一方、ステップS304において設定キースイッチ13cがオンされていない場合(ステップS304においてNo)、ステップS307に進み、6段階確率設定値の設定値が正常かどうかを判定する。具体的には、1〜6の範囲の正常な設定値であり、0又は7以上でないかどうかを判定する。設定値が正常である場合(ステップS307においてYes)、ステップS308に進み、復電フラグがセットされているかどうかを確認する。復電フラグを確認した場合(ステップS308においてYes)、ステップS309に進み、RAM判定値が正常であるかいないかを確認する。具体的には、RAM1154のチェックサム値を調べ、RAM判定値を加味したチェックサムの値が正常の0であるかどうかを確認する。RAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合(ステップS309においてYes)、RAM1154のデータは正常であると判定する。
ステップS309においてRAM判定値が正常であると判定した場合、ステップS310に進み、バックアップエリアに保存されたスタックポインタの値をMPU1151のスタックポインタに書き込み、スタックの状態を電源断の前の状態に復帰させる。次に、ステップS311において、復電処理の実行を伝える復電コマンドを設定する。その後、ステップS312にて遊技状態として打ち止め及び自動精算設定処理を行い、続いてステップS313にて切換スイッチ80等のスイッチ状態の初期化を行う。以上の処理の終了後、ステップS314において停電フラグをリセットし、電源断前の番地に戻る。具体的には、タイマ割込処理に復帰し、ウォッチドッグタイマクリア処理(ステップS204)が実行される。
一方、ステップS307〜ステップS309のいずれかのステップにおいてNoであった場合、RAM1154のデータが破壊されている等の異常が発生しているので、ステップS315以降の処理に進み、動作禁止処理を行う。具体的には、ステップS315において、次回のタイマ割込処理を禁止し、その後、ステップS316において、入出力ポート1152内の全ての出力ポートをクリアして、入出力ポート1152に接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御する。そして、ステップS317に進んで、エラー表示を行ってバックアップエラーの発生を報知して、無限ループに入る。
図28は、図27に示すフローチャートに基づき電源投入後のメイン処理が行われた後にメイン制御基板1150のMPU1151により行われる通常処理のフローチャートである。本ルーチンは、メイン制御基板1150のMPU1151により繰り返し行われるスロットマシン10の主要な制御処理であり、電源投入後に設定キースイッチ13cがオフの場合(ステップS304においてNo)、前回の電源断時の番地に復帰する。一方、電源の投入後に設定キースイッチ13cがオンされている場合(ステップS304においてYes)、図27に示す強制的RAMクリア処理(ステップS305)及び6段階確率設定処理(ステップS306)が行われてから本ルーチンのステップS401に移行する。
まずステップS401では、初期化処理として本ルーチンにおいて割込を許可する割込許可の設定が行われて、ステップS402において遊技状態として打ち止め及び自動精算設定処理が行われ、例えば電源ボックス121に設けられた打ち止め有無スイッチ、自動精算有無スイッチ(それぞれ図示せず)の状態をRAM1154の所定領域に格納してから、以下に説明する繰り返しルーチンに移行する。
ステップS403ではRAM初期化処理が行われ、RAM1154において1回の遊技で使用される領域(RAM1154の1回遊技用領域)をクリアする処理が行われる。本ステップでは、例えば、発生したエラーに関する情報、入賞図柄(ハズレを含む)、入賞ライン、入賞獲得コイン数等の入賞間に関する情報、遊技で用いた乱数、回転ドラム11の回転に関する情報等がクリアされる。
RAM1154の初期化処理が行われると、ステップS404に進み、スタートレバー71の操作が行われたかを判定する始動装置ON待ち処理が行われる。本ステップで、スタートレバー71が操作されていない場合、MPU1151は制御処理を行うことなく本ルーチンは待機する。ステップS404の処理では、スタートレバー71の操作が行われるまでルーチンが待機しているので、種々の処理が行われる。
例えば、上述のようにスタートレバー71が操作されないことにより所定時間に亘って遊技が行われなかった場合、液晶ディスプレイ15上で行われるデモに移行するためのタイマ設定処理を行う。また、当該遊技が再遊技である場合、コインの自動投入処理を行う(残数表示部35に表示されている数値は変わらない)。一方、再遊技でない場合には、ホッパ装置91の横に設けられた満杯センサ(図示せず)からの検出信号に基づきコインの満杯を判定する処理を行う。
このような処理の後、タイマ割込処理の中でセンサ監視処理が行われており(ステップS208)、上述したようにホッパ装置91のコイン検出センサ1114c、セレクタ83の第1投入コイン通過検出センサ86と第2投入コイン通過検出センサ87、補助タンク14aの補助タンクセンサ等を監視していることから、これらのセンサで異常が発生した場合には、エラー報知を行うためのセンサエラー報知処理を行う。
センサエラーが発生していないか、又は所定のセンサエラー報知処理を行った後、切換スイッチ80が操作されたのかどうかの判断がなされる。切換スイッチ80が操作されたものと判定した場合、コインの排出開始にかかる精算排出開始コマンドを生成し、貯留コインの排出を行うべく貯留コイン排出処理に移行する。
MPU1151により行われる貯留コイン排出処理では、例えばRAM1154のコイン数記憶エリア1154aに電子的に記憶されているコイン数を読み出し、読み出した数値をホッパ装置91のコイン検出センサ1114cの検出信号に基づいて1ずつ減算していく。そして、コイン数記憶エリア1154aのコイン数が1ずつ減算する毎にコイン排出コマンドをサブ制御基板584に送信できるようにRAM1154のリングバッファに格納する。そして、読み出されたコイン数記憶エリア1154aの数値がゼロとなったときに、ホッパ装置91から排出が終了したものと認識する。このとき、コインの精算終了にかかる精算排出終了コマンドを生成してRAM1154に格納する。
そして、コイン投入口34からコインの投入があった場合には、投入枚数の判定処理がなされる。例えば、セレクタ83の第1投入コイン通過検出センサ86と第2投入コイン通過検出センサ87の検出信号に基づき適正な検出信号であれば、1枚のコインとして認識する。また、この段階で、コイン排出報知等の所定の演出が行われている場合、MPU1151によるコインの認識をもって所定の演出を強制的に終了させるコマンド(例えば、コイン排出報知強制終了コマンド)を生成する。
そして、例えば、コイン投入口34から1枚〜3枚のコインが投入されるか、又はいずれかのベットボタン31〜33が操作されて、投入されたコインの枚数が規定数に到達した後、スタートレバー71の操作がなされたものと判定した場合には、コインの受け入れを禁止する処理が行われる。例えば、セレクタ83の切替片44aをコイン通路42に突出させて、コイン受入禁止中に投入されたコインを排出用通路9に誘導し、前面扉3のコイン払出口7からコイン受け皿16に排出させる処理が行われる。或いは、ベットボタン31〜33のいずれかのベットボタンが操作されても、ベットボタンの操作と判定しないような処理が行われる。そして、コイン受入禁止処理を行って本ステップの処理を終了する。或いは、この段階でも未だにスタートレバー71の操作がなされていない場合には、上述のセンサエラー処理から繰り返して行う。
このようにして、エラーが発生するか、コインの精算排出が開始されるか、セレクタ83の切替片44aの出没処理が行われるか、又はコインの投入等が行われると、サブ制御基板584にコマンドを送信するために各々の処理で生成されたコマンドがRAM1154のリングバッファに格納される。
ステップS404でスタートレバー71が操作されると、ステップS405に進み、乱数作成処理が行われる。具体的には、ステップS404でスタートレバー71の操作がMPU1151により認識されると、メイン制御基板1150に搭載された発振器の所定周期に基づきカウントするフリーランニングカウンタ(図示せず)のカウント数をハードウエア的にラッチし、所定のタイミングでMPU1151が乱数値として読み出すことによって作成される。このようにしてMPU1151に読み出された乱数値はRAM1154に格納される。
乱数が作成されると、ステップS406に進んで6段階確率設定処理(ステップS306)で設定された設定値に応じて決められた当選確率に基づき内部抽選処理が行われる。内部抽選処理とは、ステップS405においてRAM1154に格納された乱数値に基づいて、ROM1153に予め設定されている入賞テーブルの数値範囲との対比によって入賞しているのか否かを決定する処理である。
内部抽選処理で使用される入賞テーブルには、コインの払い出しが比較的多いビッグボーナス(以下、BBと称する)、レギュラーボーナス(以下、RBと称する)等の入賞役、これらの入賞役と対称的に、コインの払い出しが比較的少ないチェリー等の入賞役(通常、複数種類の入賞役が設定され「小役」と称されている)、このような入賞役に該当せずコインの払い出しが行われないハズレ、そしてコインの払い出し自体は行われないが、コインを投入することなく次の遊技を一回に限り行うことができる再遊技役等の複数種類の入賞役が設定されている。各々の入賞役に対して、その入賞役に当選する割合が、フリーランニングカウンタにより生成される所定の範囲の乱数に所定の数値範囲にて設定されている。各々の入賞役は、6段階確率設定処理(ステップS306)において設定された当選確率(「設定1」〜「設定6」)に基づいて数値範囲を変えて設定されている。例えば、当選確率の設定値の数字が小さくなるほど、ハズレ以外の入賞役の数値範囲が狭くなるように設定されている。そして、現在設定されている設定値と、内部抽選によって得られた結果をRAM1154の所定のワークエリアに格納する。
MPU1151において内部抽選処理が行われると、ステップS407に進んで回胴回転初期化処理が行われる。回胴回転初期化処理では、ステップS406の内部抽選結果に基づき回転ドラム11の回転制御で用いられるドラム制御テーブルの中からテーブル番号を決定する。
そして、ステップS408において前回の回転ドラム11の回転開始から4.1秒が経過したかどうかの4.1秒経過待ち処理が行われ、具体的には、設定された4.1秒タイマの数値がゼロとなっているかどうかの確認がなされる。本ステップで4.1秒が経過していない場合には、現在の遊技状態を表す状態コマンド(以下、単に「状態コマンド」と称する。)をRAM1154に格納し、上部ランプ13等を通じてウエイト処理(即ち、4.1秒待ち)を報知する。
一方、4.1秒経過している場合には、次回の4.1秒経過待ち処理のために4.1秒タイマを設定すると共に、状態コマンドをRAM1154に格納し、タイマ割込制御処理の中で投入コインの枚数を出力できるように(ステップS210)所定の設定を行う。
その後、回転ドラム11のモータ制御初期化処理が行われ、回転ドラム11の回転に関するRAMの所定領域を回転開始用に設定する処理が行われる。このような設定が行われると、ステップS206の回胴モータ制御処理に基づき回胴用モータ(ステッピングモータ)の加速処理が実際に開始され、回転ドラム11の回転が開始される。
回転ドラム11が実際に回転開始すると、ステップS409に進み回胴回転処理が行われる。本ステップでは、回胴回転処理で用いるRAMの所定領域を初期化し(上述のステップS408)、回胴回転情報コマンドと状態コマンドを格納し、上述の回胴用モータの加速処理に基づき回転ドラム11が正常回転となるまで待機する。回転ドラム11の回転が正常回転か否かの判断は、回胴モータ制御処理(ステップS206)に基づき加速処理が終了した時点でのインデックス検出によって行われる。インデックス検出に基づき回転ドラム11の回転が正常回転になったものと判定された場合、スロットマシン10の設定状態が後述する所定の停止操作により回転ドラム11の回転を停止させることができる状態であると判定し、回転停止可能である旨の報知を行う。
回転ドラム11の回転が停止可能状態にある旨の報知は、ストップボタン72,73,74に内蔵されたランプの発光形態を変化させることにより行われる。例えば、ストップボタン72,73,74のランプの発光させる色を変更したり、消灯状態であったランプを点灯状態にすることにより報知が行われる。なお、このような報知は、ストップボタン72,73,74の操作が有効となったストップボタンのみにおいて行われる。
そして、有効となったストップボタン72,73,74が実際に操作されると、ステップS406の内部抽選処理で決定された停止図柄の組み合わせをステップS407で設定したテーブル番号に基づき回転ドラム11を停止させる処理を行う。本ステップにおいて回転ドラム11を、テーブル番号で設定されているとおりに停止させることは必ずしも必要なく、例えばストップボタン72,73,74の停止順序や停止位置に応じてテーブル番号を変更したり、強制的に回転ドラム11を引き込むような処理を行うように回転ドラム11のステッピングモータの駆動制御を行う。回転ドラム11が停止すると、停止した回転ドラム11に対応したストップボタン72,73,74の操作許可が無効となる。
このような回転ドラム11の停止処理は、全ての回転ドラム11が停止するまで行い、回転ドラム11の回転が停止する毎に対応するストップボタン72,73,74の操作許可を無効にして、全てのストップボタン72,73,74の操作許可が無効となって時点で本ステップを終了する。ステップS409では、回転ドラム11のいずれかのドラムが停止する毎に、回胴回転情報コマンド、停止図柄コマンドをRAM1154に格納する。
全ての回転ドラム11が停止すると、ステップS410に進んで入賞図柄判定処理が行われ、視認窓24を通じて認識可能な回転ドラム11の図柄がどのような組み合わせにて停止しているのかを判定する。
本ステップでは、まず遊技状態に応じて有効ラインを判断する。具体的には、5本ある有効ラインのうちのどのラインが有効なのか遊技状態に基づき判断する。例えば、遊技状態が通常遊技である場合、ベット数に応じて有効ラインが1ライン〜5ラインまでとなり、例えばベット数が3枚であると5ラインの全てが有効ラインとなる。また、遊技状態が役物遊技である場合、ベット数は1枚で1ラインのみが有効となる。
有効ラインの本数を認識すると、視認窓24を通じて認識可能な図柄(9マス分)が有効ライン上でどのような組み合わせにて停止しているのかを各有効ライン毎に判定する。視認窓24における絵柄は、各リールの各々の絵柄に付されている図柄番号に基づいて認識される。
各有効ライン毎の図柄の組み合わせを認識し、図柄が所定の入賞図柄にて揃っている場合には、入賞図柄として設定し、その入賞図柄に対応した払出枚数をホッパ装置91から払い出すことができるように所定の設定を行う。このとき、有効ライン上に複数の入賞図柄が揃っている場合には、各々の入賞図柄に対応した払出枚数を順次加算していく処理が行われるが、スロットマシン10は1回の払出枚数として規定数(通常15枚)のコインだけを払い出すように構成されているので、払出枚数を加算して規定数を超過したときには払出枚数を規定数に変更する処理が行われる。また、ステップS406の内部抽選処理により決定した入賞図柄以外の図柄が有効ライン上に停止した場合には、エラーとして認識する。
ステップS410において、認識した入賞図柄、入賞図柄が揃っていた有効ライン及びエラーが発生した場合にはエラーをそれぞれ入賞図柄コマンド、入賞ラインコマンド及びエラーコマンドとしてRAM1154に格納する。
次いで、ステップS411に進み、ステップS410において設定された払出枚数に基づき獲得したコインの払い出しが行われる。ステップS410において払出枚数が0枚である場合、ステップS411は行われることなく次のステップにスキップされる。
切換スイッチ80の操作により貯留モードとなっている場合には、スロットマシン10のクレジット機能により、RAM1154のコイン数記憶エリア1154aに50枚になるまで電子的に蓄積していき(残数表示部35に表示されている数値に1ずつ加算されて表示される)、50枚を超えた時点でホッパ装置91からコインを払い出す処理を行う。一方、支払モードとなっている場合には、本ステップにおいて認識した払出枚数分のコインがホッパ装置91から払い出される。
本ステップにおいて、獲得コインの払出にかかる払い出し開始コマンドと獲得した全てのコインの払い出し終了にかかる払出終了コマンドがそれぞれ払い出し種別コマンドとしてRAM1154に格納される。
そして、ステップS412に進んでステップS410の入賞図柄判定処理にて設定した入賞図柄について再遊技にかかる入賞図柄であるのかどうかを判定する。入賞図柄が再遊技でない場合には本ステップが行われることなくスキップされる。一方、入賞図柄として再遊技が設定されている場合、内部状態を再遊技に設定する等の必要な設定を行い、遊技状態が再遊技である状態コマンドをRAM1154に格納する。
現在の内部状態がBB又はRB中である場合、ステップS413に進んで役物作動中の処理を行う。BB中である場合、BB中の獲得することができるコインの上限の枚数等のチェックを行い、RB中である場合、RBの回数等のチェックを行う。これらのチェックを行うと、内部状態の変更、外部集中端子板1167の出力情報の変更等を行う。
そして、本ステップがBB中であり、このBB終了と判断した場合には、特別遊技制御終了コマンドをRAM1154に格納にした後、終了ディレイの処理、外部集中端子板1167の出力情報クリア処理、打ち止め/自動精算処理(後述するBB自動精算)を行い、BB用に使用されたRAM1154の領域をクリアして本ステップを終了する。
ステップS410の入賞判定処理で設定した入賞図柄がBB又はRBである場合には、ステップS414に進んで役物作動判定処理を行う。本ステップにおいて、入賞図柄がBBである場合、BB開始時のウエイト処理、RAM1154の初期化処理、BB中に獲得でいるコインの枚数の設定処理、外部集中端子板1167の出力情報の変更処理、RB開始処理等のBBを開始するに当たり必要な処理を行う。一方、RBである場合、RB最大ゲーム数コマンド、RBゲーム数コマンドをRAM1154に格納する。
そして、内部状態がBB中やRB中の場合には、ステップS415に進んでゲーム数表示設定処理を行う。具体的には、ステップS413又はステップS414においてチェックしたゲーム数をゲーム数表示部36に表示させる所定の処理を行う。なお、内部状態がBB又はRB以外のときには、ゲーム数表示部36の表示がクリアされる。そして、遊技終了後に、内部状態が変化している(BB中又はRB中での変化等)場合には、状態コマンドをRAM1154に格納する。
以上説明したルーチンを終了すると、再びステップS403に戻って本ルーチンが繰り返し行われる。
次に、図29〜図33に示すフローチャートを参照して、サブ制御基板584で行われる各処理について説明する。サブ制御基板584で行われる処理として、所定周期毎に行われるタイマ割込処理と、メイン制御基板1150からコマンドデータが送信されてきたときに行われるコマンド割込処理と、停電処理と、サブ制御基板584で主として行われるメイン処理が設定されている。以下の説明において、便宜上、タイマ割込処理、コマンド割込処理及び停電処理について説明し、その後にメイン処理について説明する。
図29は、サブ制御基板584のMPU1161により定期的(本実施の形態において1.0ms毎)に行われるタイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、サブ制御基板584において周期的に実行することによりRAM1164に割込回数を蓄積して、MPU1161により実行されるメイン処理でのタイマ処理(1msタイマ処理)に用いている(図32参照乞う)。
タイマ割込処理が開始されると、まずステップS501において、割込フラグの読み込みを行う。この処理は、本ルーチンの最後に読み込んだ割込フラグをクリアするために行われるものである。ステップS501において割込フラグが読み込まれると、ステップS502に進み、読み込まれた割込フラグが有効なフラグであるかどうかの確認がなされる。割込フラグが有効でない場合(ステップS502においてNo)、以下に説明する処理が行われることなく本ルーチンは終了する。
一方、割込フラグが有効である場合(ステップS502においてYes)、ステップS503に進んで、割込タイマカウンタに「+1」が加算されて、カウンタの値が更新される。割込タイマカウンタの値が更新されると、ステップS504に進み、次回の割込が行えるように割込フラグがクリアされて、タイマ割込処理を終了する。本ルーチンでは、1.0ms毎に割込があると、割込タイマカウンタのカウント数を単に「+1」ずつ加算していき、減算されない限り割込タイマカウンタの更新値はクリアされないように構成されている。
図30は、メイン制御基板1150からコマンドが送信されてきた場合に行われるコマンド割込処理の一例を示すフローチャートである。上述のように、サブ制御基板584は、メイン制御基板1150から送信されてくるコマンドに基づき上部ランプ13、スピーカ14等を制御するように構成され、メイン制御基板1150に対して所定のコマンドを送信できないことから、メイン制御基板1150からのコマンドを確実に受信する必要がある。このような理由から、本ルーチンは、サブ制御基板584においてメイン制御基板1150から送信されてきたコマンドを確実に受信するために設けられた制御処理であり、サブ制御基板584において行われる制御処理の中でも優先順位が高く設定されている。
まずステップS601において、受信したストローブが正常であるかどうかのチェックが行われる。本実施の形態においてメイン制御基板1150から送信される1のコマンドは2バイトで構成されていることから、1のコマンドの先の1バイト目が送信されてきたのかを確認する。これにより、例えば切換スイッチ80等の操作時に発生するチャタリング等のノイズに基づいて本ルーチンによる処理が行われることを防止することができる。
受信したストローブが正常である場合(ステップS601においてYes)、ステップS602において、送信されてきたコマンドの先頭の1バイトを取得する。そして、ステップS603に進んで、取得したコマンドデータが正常であるかどうかを判断する。
取得したコマンドデータが正常である場合(ステップS603においてYes)、ステップS604に進んで、取得したコマンドデータについて実際にコマンドを受信するコマンド受信処理が行われる。具体的には、コマンドデータの先頭の1バイト目を受信しているので、次の1バイトを受信してRAM1164の所定のエリアに格納する。上述のように、メイン制御基板1150から送信されてきたコマンドデータを確実に受信する必要があるので、コマンドデータが正常であると判定されたときには、確実に取り込み保持してMPU1161により行われるメインの処理(図33参照乞う)でコマンドデータの解析を行うことができるようにする。
例えば、メイン制御基板1150側から送信された切換スイッチ80の操作にかかるコマンド、その切換スイッチ80の操作に基づく精算排出開始コマンド、貯留コインの排出の終了にかかる精算排出終了コマンド、コイン排出コマンド等を本ルーチンによって受信する。なお、本ルーチンでは、メイン制御基板1150から送信されてきたコマンドは、RAM1164の所定ワークエリアに格納されるだけである。
ステップS604においてコマンド受信処理が終了すると、ステップS605に進んで、リトライカウンタにリトライ最大数を設定する。ステップS604において本ルーチンの目的であるメイン制御基板1150のコマンドデータを受信してサブ制御基板584のRAM1164に格納したので、リトライの最大数をリトライカウンタに設定する。
一方、ストローブが正常でない場合(ステップS601においてNo)、上述のようにノイズ等に起因する信号である可能性が高いのでコマンドデータの取得処理を行わずに、ステップS606に進んでステップS605と同様にリトライカウンタにリトライ最大数をセットする。
また、コマンドデータの取得時にコマンドデータが異常であると判定した場合(ステップS603においてNo)、ステップS607に進んで、リトライカウンタに+1を加算して更新する。
ステップS605〜ステップS607の各々のステップでリトライカウンタの処理を行うと、ステップS608においてリトライカウンタの値が最大値であるかどうかを判定する。上述のように、ステップS605及びステップS606においては、リトライカウンタにリトライ最大数がセットされることから、以下に説明する処理に移行する。一方、ステップS607を経由して移行してきた場合には、リトライカウンタにリトライ最大数(最大値)がセットされていない場合もあるので、リトライカウンタの値を読み出すことによって最大値まで到達しているかどうかを判定する。
リトライカウンタの値が最大値である場合(ステップS608においてYes)、ステップS609に進み、割込フラグ読み込み処理により割込クリアのための読み込みを行い、次いでステップS610に進んで、リトライカウンタの値をクリアし、最後にステップS611で割込フラグをクリアする。
一方、リトライカウンタの値が最大値に到達していない場合(ステップS608においてNo)、ステップS609〜ステップS611までの処理を行うことなく本ルーチンを終了する。リトライカウンタの値が最大値でないことから、最大値となるまで本ルーチンを繰り返すことにより、メイン制御基板1150からコマンドデータの取得を継続して行う。
図30に示したフローチャートに基づきコマンド割込処理を行うと、ステップS604におけるコマンドデータの受信処理に先立って、ステップS601の処理とステップS603の処理の2回に亘ってコマンドデータのチェックを行うことにより、ノイズを排除することができるので、メイン制御基板1150から送信されたコマンドデータを確実に受けることができる。また、ステップS604において一度でコマンドデータを受信できなくても、リトライカウンタの値が最大値となるまで本ルーチンを繰り返すことによりコマンドデータの確実な受信を可能にしている。
図31は、図25に示したNMI割込処理により停電処理が開始されるのに同期してサブ制御基板584において行われる停電処理の一例を示したフローチャートである。
まずステップS701において、外部RAM書き込み処理が行われると、ステップS702に進んで、電圧が復帰しているかどうかを判定する。上述したように、停電監視回路は電源基板の電圧を監視しており、所定の電圧(22ボルト)未満となった場合に停電監視回路からサブ制御基板584のNMI端子に停電信号が送信されるので、所定の電圧以上に電圧が復帰したのかどうかを監視している。電圧が復帰しない場合(ステップS702においてNo)、電圧が復帰するまで待機する。なお、停電信号はNMI端子に代えて、INT端子に送信されるようにしても良い。
一方、電圧が復帰した場合(ステップS702においてYes)、ステップS703に進んで、30ms待機して、更にステップS704に進み電圧が復帰したのかどうかを再び判定する。なお、本ステップの待機時間は、30msに限らずに種々の時間を設定可能である。
ステップS704では、ステップS702での処理と同様に電圧が所定の電圧に復帰したのかどうかを判定している。電圧が所定の電圧に復帰していない場合(ステップS704においてNo)、ステップS702と同様に電圧が復帰するまで待機する。
一方、電圧が所定の電圧に復帰した場合(ステップS704においてYes)、ステップS705に進み、起動処理を行って、以下に説明するメイン処理に移行する。
図32は、サブ制御基板584のMPU1161により行われるメイン処理の一例を示したフローチャートである。本ルーチンは、サブ制御基板584のMPU1161により繰り返し行われる主要な制御処理であり、メイン制御基板1150から送信されてきたコマンドを解析し、解析結果に基づいて上部ランプ13、スピーカ14等を制御するのに必要な設定を行う。
まずステップS801において、MPU1161により初期化処理が行われる。例えば、MPU1161から入出力ポート1162を介して上部ランプ13の点灯にかかる信号が出力されたり、表示用制御基板1166に液晶ディスプレイ15を表示させる信号を出力する。そして、ステップS802に進み、本ルーチンの主要な処理に先立ってスロットマシン10のシステム状態が電圧低下状態にあるのかどうかを判定する。
システム状態が電圧低下状態にある場合(ステップS802においてYes)、例えば電源スイッチ13bのオフ操作に基づきスロットマシン10が電源断となるべく処理が進行していると判断し、以下に説明するルーチンを行わず、図31のフローチャートで示した停電処理に移行する。
一方、システム状態が電圧低下状態でない場合(ステップS802においてNo)、ステップS803に進んで、割込タイマカウンタにカウント数が加算されているかどうかを判定する。図29に示したタイマ割込処理で説明したように、タイマ割込処理では1.0ms毎の周期で起動することによって割込タイマカウンタにカウント数が漸次加算されていることから、割込タイマカウンタのカウント数を読み出すことによって割込タイマカウンタが更新されているのかどうかを判定する。
割込タイマカウンタのカウント数が更新されている場合(ステップS803においてYes)、ステップS804に進んで、割込タイマカウンタのカウント数から「−1」を減算することによって、カウント数を更新する。そして、ステップS805において割込タイマカウンタから減算した1回分の1msの処理を1msタイマ処理として実行する。
ここで、1msタイマ処理について説明する。図33は、メイン処理の過程で行われる1 msタイマ処理の一例を示したフローチャートである。
まずステップS901では、起動時コマンドチェック処理が行われる。例えば、電源スイッチ13bのオン操作によりスロットマシン10が起動された後にRAM1154のデータが破壊されている等によってエラー表示がなされた場合(図27のステップS317)、メイン制御基板1150のMPU1151自身はエラー状態をサブ制御基板584に送信できず、また、サブ制御基板584側でも、メイン制御基板1150からコマンドデータの送信がない旨のコマンドをメイン制御基板1150に出力できない。従って、ステップS901では、所定時間、例えば2秒以内にメイン制御基板1150からのコマンドを受信しない場合、サブ制御基板584のMPU1161は、表示用制御基板1166を通じて液晶ディスプレイ15にエラー表示を行ったり、外部集中端子板1167を通じて遊技場のホールコンピュータにエラーの発生にかかる信号を送信したりする等して、エラーの発生を周囲に対して報知する制御を行う。
ステップS901において、起動時コマンドチェック処理により正常にコマンドの受信を認識すると、ステップS902に進んで、デバイス制御処理が行われる。具体的には、前回の1msタイマ処理において上部ランプ発光データ、報知音データ等の演出データの変更処理が行われた場合(後述のステップS907)、変更データに基づいて報知等が行えるように上部ランプ13、左右のスピーカ14等に変更データをセットする。例えば、MPU1161によりROM1163の報知音テーブルから音量を一段階大きくした内容の報知音データが読み出されて、スピーカ14の報知音出力コントローラ1122aにセットされる。
ステップS902のデバイス制御処理が行われると、ステップS903に進み、システム状態変更処理が行われる。システム状態には、例えば、電圧低下状態、初期化状態(液晶ディスプレイ15の初期化待ち状態を含む)等が含まれ、システム状態が変更されたことによりサブ制御基板584上で必要な設定処理が行われる。
次いで、ステップS904に進み、貯留コイン精算処理が行われる。貯留コインの排出である場合、メイン制御基板1150からのコマンドに基づいてサブ制御基板584のMPU1161は排出されているコインの枚数が基準排出コイン数に到達したのか否かについて判断する。
そして、ステップS905に進み、電圧低下チェック処理によりスロットマシン10の電圧状態のチェックが行われると、ステップS906に進み、10msタイマ処理が行われる。10msタイマ処理では、例えば上部ランプ13のLEDの上部ランプ発光用テーブル(LEDデータテーブル)を更新したり、上述のデバイス制御処理(ステップS902)の例示のように、変更された報知音データがセットされたら、報知音出力コントローラ1122aによりスピーカ14の音量を実際に変更したりする処理の他、後述する充電/停止処理、モータ駆動設定処理、LED・音声同期チェック処理、音声フェードアウト処理、デモ開始チェック処理などが行われる。
ここでは、10ms毎にタイマ処理を行うようにしているが、より長い周期毎に処理を行っても実際に行われるコイン排出報知制御に影響を与えないことから、例えば100ms程度のタイマ処理として行うようにしても良い。
ステップS906の10msタイマ処理が終了すると、ステップS907に進み、演出データ変更処理が行われる。ここでは、次回の1msタイマ処理において、スピーカ14の報知音を変更し、例えば、スピーカ14からの報知音を一段階大きくするような場合、当該報知音データに基づいて出力される報知音より一段階大きい報知音に関する報知音データをROM1163の報知音テーブルから取り出して次回の1msタイマ処理で報知音出力コントローラ1122aにセットできるように準備する。
このようにしてステップS901〜ステップS907までの一連の処理が行われると、本ルーチンは終了する。
図32のメイン処理の説明に戻り、ステップS805の1msタイマ処理が終了すると、ステップS806に進み、システム状態が電圧低下状態であるかどうかの判定がなされる。システム状態が電圧低下状態である場合(ステップS806においてYes)、ステップS802においてシステム状態が電圧低下状態であると判定したときと同様に停電処理に移行する。
一方、割込タイマカウンタにカウント数が加算されていない場合(ステップS803においてNo)及びシステム状態が電圧低下状態でない場合(ステップS806においてNo)、ステップS807に進んで、受信コマンドの有無を判定する。受信コマンドがない場合(ステップS807においてNo)、ステップS809に進んで乱数ベース値を加算することによって更新して、ステップS802に戻る。
一方、受信コマンドがある場合(ステップS807においてYes)、ステップS808に進み、受信コマンドチェック処理が行われ、メイン制御基板1150から送信されてきたコマンドの解析が行われる。
本ルーチンの受信コマンドチェック処理によるコマンドの解析では、最初に受信コマンド別の処理が行われ、受信したコマンドの種別を認識する。上述のように、メイン制御基板1150から送信されてきたコマンドは、サブ制御基板584のMPU1161によるコマンド割込処理によってRAM1164の所定のワークエリアに格納されていることから(図24参照乞う)、RAM1164のワークエリアからコマンドの先頭の1バイト目を読み出し、コマンドの種別を認識する。本実施の形態において、例えば、どのようなコマンドに基づいてホッパ装置91からコインを支払うのかをサブ制御基板584のMPU1161に認識させる払い出し種別情報が設定されている。
次に、コマンドの2バイト目を読み出し、払い出し種別情報に更にコマンドが設定されているのかを認識する。例えば、払い出し種別コマンドとして、貯留コイン排出コマンド、投入コイン排出コマンド、獲得コイン払い出しコマンド及び自動精算コマンドの4種類が設定されているので、この中のどのコマンドが送信されてきたのかを解析する。本実施の形態では、例えば、MPU1161は貯留コイン排出コマンド(切換スイッチ80の操作によりメイン制御基板1150から送信されてくるコマンド)であると解析している。
ステップS808の受信コマンドチェック処理により、受信したコマンドの解析が終了すると、ステップS809で乱数ベース値の更新が行われて、ステップS802に戻る。
以上に説明したメイン制御基板およびサブ制御基板による制御処理は一般的なスロットマシンについてのものであり本発明のスロットマシン(遊技機)にも共通する制御処理であるが、本発明のスロットマシンは前記したように図1や図13で説明したような基本構造のスロットマシンに、遊技機本体側との電気的接続なしに独立して独立演出体に演出動作を行わせるものであるため、一般的なスロットマシンでの制御処理に加え独立演出体に関する特別な制御処理が必要となる。そのため、図33〜図35に示したフローチャートを参照して、サブ制御基板で行われる各処理について説明する。
本発明のスロットマシンでは独立演出体は電力を蓄える充電部を備えており、独立演出体による演出動作は充電部から電力供給により独立演出体の主車輪を回転させるモータを駆動することによって行われるが、充電部への充電状況によっては所定の演出動作を完了させることができないことも考えられる。例えば電源投入直後や前回可動役物により長時間の演出動作を行った直後に、再び大当たりが出た場合などに充電部の充電量が十分でなく、所定の演出動作が完了できない虞がある場合などである。
このような場合にも独立演出体による演出動作に不具合が生じないように、メイン処理(図32)の過程で行われる図33に示した1msタイマ処理中での10msタイマ処理S906においては、上述したLEDデータテーブルの更新処理やスピーカ14の音量の変更処理(音声ボリュームチェック処理)等の一般的処理の他に、本発明のスロットマシンでは10msタイマ処理中のサブルーチンである特別処理として独立演出体の充電部への充電/停止処理が行われる。そしてすべての各種処理を完了した後にリターンによりメイン処理に戻り本ルーチンを終了し、メイン処理では引き続きステップS806のシステム状態が電圧低下状態であるかどうかの判定を行う。
図34に10msタイマ処理(ステップS906)の処理フローについてより詳細に示した。
10msタイマ処理では1msタイマ処理が1回行われるごとに10msタイマカウンタ(および割込みタイマカウンタ)が1カウント加算されて10msタイマカウンタの更新がなされる(ステップS1001)。そして10msタイマカウンタのカウント値がチェックされ(ステップS1002)、これが10以上である場合には10msタイマカウンタのカウンタ値を10だけ減算した後に10msタイマカウンタの更新が行われ(ステップS1003)、その後、次に説明する各種処理が行われる。一方、10msタイマカウンタのカウント値が10未満(実質的には9以下)である場合にはリターンにより1msタイマ処理に戻り本ルーチンを終了し、1msタイマ処理では引き続き演出データ変更処理(ステップS907)を行う。
10msタイマカウンタのカウント値が10以上であり、10msタイマカウンタの減算・更新が行われた後の各種処理としてまず、次に説明する独立演出体の充電部564へ充電を行うために接続端子台524への通電を制御する処理である充電/停止処理(ステップS1004)を行った後、その他の処理として、独立演出体に演出用データテーブルから選択した演出動作を出力用データバッファへのデータセットを行う処理などであるモータ駆動設定処理、LEDデータテーブルから出力用データバッファへのデータセットを行う処理などであるLEDデータテーブルの更新処理、ボーナス中のBGMとLED演出を同期させるための処理であるLED・音声同期チェック処理、BGM再生中に何も操作がなく放置された場合に30秒経過後にBGMの音量を小さくするための処理である音声フェードアウト処理、何の操作もなく放置された場合に60秒経過後にデモ演出を開始させるための処理であるデモ開始チェック処理、ボリュームつまみの値をチェックし音声のボリュームを変更させるための処理である音声ボリュームチェック処理などの処理を行う(ステップS1005)。
また本発明のスロットマシンの10msタイマ処理中のサブルーチンとして行われる上述の充電/停止処理の処理内容について図35に示した。
この充電/停止処理では、まず独立演出体が待機位置にあり、独立演出体550の接続端子572と遊技機本体側の枠体512の接続端子台524とが接触して電気的接続がなされているか否かを確認するために、ポジションデータが原点にあることを示しているかどうかの判定を行う(ステップS1101)。そしてポジションデータが原点にあることすなわち独立演出体が待機位置にあることが確認された場合には10msタイマカウンタのカウント値が減算された上で更新され(ステップS1102)、接続端子台から独立演出体の充電部に電力を供給する充電処理が行われる(ステップS1103)。またこの充電処理においては充電部への充電量の監視が行われ、充電部への充電が十分であると判断された場合には接続端子台への通電を遮断してやる処理が行われ、その後、リターンにより図34の10msタイマ処理に戻ることで本ルーチンを終了する。なお充電部への充電量が十分であるか否かの判断は、直接充電部の電圧を測定してやってもよいし独立演出体が待機位置に継続して待機している時間を基準にその充電量を判断してやってもよい。
一方、ポジションデータが原点にあることが確認されない場合には、充電中であるかどうか、すなわち接続端子台524への通電がなされているか否かの確認を行い(ステップS1104)、通電がなされている場合にはこれを遮断してやる(ステップS1105)。その後、リターンにより図34の10msタイマ処理に戻ることで本ルーチンを終了する。
以上は1msタイマ処理中の10msタイマ処理における一般的処理および特別処理である独立演出体への充電/停止処理ついての説明であるが、次に図32に示したメイン処理中の受信コマンドチェック処理S808、すなわちメイン制御基板からのコマンドをサブ制御基板が受信し、受信コマンド有りの判定をした場合に、サブ制御基板がその受信コマンドの解析を行う受信コマンドチェック処理であって、前述したもの以外の受信コマンドチェック処理の一つである演出判定処理について図36を用いて説明する。
受信コマンドチェック処理において、メイン制御基板からの抽選結果コマンドを受信したサブ制御基板はその演出判定処理でまずメインの抽選結果である成立役情報、すなわちビッグボーナスやレギュラーボーナス等の入賞役のいずれであるかの情報を取得するとともに、演出の種別を決定するための乱数の取得を行う(ステップS1201)。なおこの乱数は例えば1msごとにカウントを積み上げ0〜99のカウントを繰り返し行う内部カウンタが、遊技者によるスロットの始動操作のタイミングにおいてとるカウント値により取得するものとする。
これに続いて上記充電/停止処理において独立演出体のポジションデータが原点にあり、かつ、充電部への充電が十分であるか否かの判断を行う(ステップS1202)。
ここで充電部への充電が十分であるか否かの判断手法には様々なものが考えられるものの、本実施例では、独立演出体が充電部からの電力供給に演出動作を行ったのちに待機位置に戻ってからの待機時間すなわち待機位置での充電時間をサブ制御部がカウントし、この待機時間が所定の時間(例えば5分間)を経過している場合には充電部への充電が十分(満タン)であると判断する。なおその他の充電状況の判断手法としては、電力供給部を通じて送る充電電流の減少状態(または充電電圧の低下状態)をサブ制御部が監視し、所定の電流(電圧)以下となったときに充電部への充電が十分(満タン)であると判断する方法などがある。また遊技機への電源投入時には独立演出体はすでに待機位置にあるが、電源遮断時に充電部から放電がなされ十分な充電状況でない可能性もあるため、電源投入直後の最初の演出動作の種別選択時における充電部の充電量の判断は、電源投入からの経過時間を基準に所定の時間(例えば5分間)を経過している場合に充電部への充電が十分(満タン)であると判断するものとする。
そして充電部への充電が十分であり充電不足のフラグがない場合には通常の演出テーブルの選択を行うための処理を行う(ステップS1203)。一方、独立演出体のポジションデータが原点にない場合や充電部への充電が不十分である場合には、充電不足のフラグが立ち不足時用演出テーブルの選択を行うための処理を行う(ステップS1204)。通常の演出テーブルの選択処理か不足時用演出テーブルの選択処理を決定した後には、選択した演出テーブルを参照し取得した乱数に対応する演出データを取得し(ステップS1205)、次に説明するように図37に例示した演出テーブルから選択した演出選択に基づき取得した演出データのうち、液晶表示装置の画面表示、ランプ点滅、独立演出体の演出動作のいずれを行わせるかについての設定を行い、また受信コマンドチェック処理のその他の処理を行う(ステップS1206)ことで本ルーチンを終了する。
図37にビッグボーナスやレギュラーボーナス等の入賞役成立時の演出テーブルの一例を示した。この演出テーブルは、1msごとにカウントを積み上げ0〜99のカウントを繰り返し行う内部カウンタのカウンタ値と独立演出体の充電部の充電状況との関係で、液晶表示装置、ランプ、独立演出体のいずれに演出を行わせるかについて表している。
充電不足のフラグが立ち不足時用演出テーブルの選択を行う場合(充電中)、内部カウンタのカウンタ値が0〜49であるときには液晶表示装置の画面のみでの演出(演出A)を行わせ、カウンタ値が50〜99であるときには液晶表示装置の画面およびランプの点滅による演出(演出B)を行わせる。一方、充電が十分であり充電不足のフラグがなく通常の演出テーブルの選択を行う場合(満タン)、内部カウンタのカウンタ値が0〜19であるときには液晶表示装置の画面のみでの演出(演出A)を行わせ、カウンタ値が20〜49であるときには液晶表示装置の画面およびランプの点滅による演出(演出B)を行わせ、カウンタ値が50〜99であるときには液晶表示装置の画面およびランプの点滅に加え独立演出体の演出動作(演出C)をも行わせる。この演出動作Cの演出時間は例えば30秒程度とし、独立演出体はその間、充電部からの電力供給によりそのモータを駆動して演出動作を行う。
このように独立演出体の充電部への充電が十分な場合にのみ独立演出体に演出動作を行わせるようにすることで、充電部への充電不足により独立演出体がその演出動作の途中で停止してしまうような不具合を回避することができる。
図38に入賞成立時の演出テーブルの他の例を示した。図37の例では充電部の充電状況が充電中か満タンであるかの2種の区別および内部カウンタのカウンタ値によって、独立演出体に演出Aから演出Cのいずれを行わせるかを選択して決定していたが、図38の例では充電部が充電中である時の充電の程度(充電状況)をも判断することで3種(充電前半、充電後半、ほぼ満タン)の区別を行い、これと内部カウンタのカウンタ値とから独立演出体に演出Aから演出Dのいずれを行わせるかを選択して決定している。具体的には上記のように充電時間の経過や充電電流の減少などを基準に充電部への充電状況の判断を行い、その充電状況が0〜50%であり内部カウンタのカウンタ値が0〜49であるときには演出Aをカウンタ値が50〜99であるときには演出Bを行う。また充電状況が51〜90%であり内部カウンタのカウンタ値が0〜19であるときには演出Aをカウンタ値が20〜49であるときには演出Bをカウンタ値が50〜99であるときには演出C’を行う。さらに充電状況が91〜100%であり内部カウンタのカウンタ値が0〜19であるときには演出Aをカウンタ値が20〜49であるときには演出Bをカウンタ値が50〜69であるときには演出C’を行い、カウンタ値が70〜99であるときには演出Dを行う。ここで演出C’と演出Dは共に液晶表示装置の画面およびランプの点滅に加え独立演出体に演出動作を行わせるものであるが、例えば演出C’ではその演出動作時間を10秒、演出Dでは30秒といった具合に長短を設けている。これは充電部への充電が不十分(例えば半分以下)の場合には独立演出体に演出動作を行わせず、充電部への充電がある程度なされていれば(例えば51〜90%)比較的短時間の演出動作を独立演出体に行わせることができるようにし、また充電が十分なされていれば(例えば91%以上)長時間の演出動作をも独立演出体に行わせることができるようにすることで、独立演出体の演出動作のバリエーションを豊富化して演出動作選択の自由度を向上させるとともに、演出動作中に独立演出体が停止してしまうような事態を回避するためである。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく相互に組み合わせて適用してもよい。
また本発明は上記実施の形態とは異なるタイプの遊技機、具体的には遊技媒体として遊技球を用いる弾球式の遊技機いわゆるパチンコ機等に本発明を適応してもよい。例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機として本発明を実施するようにしても良い。
さらに、弾球式でない遊技機、例えば、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機として本発明を実施するようにしても良い。
以下に、本発明の背景技術および本発明が解決しようとする課題についてあらためて確認のため記載する。
例えばリールユニットを備えている遊技機の一種として、円筒の外周に複数の絵柄(図柄)が描かれている複数のリールをそれぞれ回転させるスロットマシンがある。
このスロットマシンでは、遊技者がメダルを投入して遊技開始時にスタートレバーを操作すると、リールユニットの左リール、中リール及び右リールが回転し始め、その後、適当なタイミングで左リール停止ボタン、中リール停止ボタン及び右リール停止ボタンを任意の順に押すことにより各リールを停止させる。そのときに各リールの絵柄の組み合わせに応じて、所定枚数のメダルを払い出したり遊技者にとって有利な遊技状態に移行したりする。
このようなスロットマシンの本体は、前面が開口する筐体とその前面開口に開閉自在に設けられる前面扉とから構成されており、その前面扉の前面中央部には、スロットマシン内部のリールの絵柄を目視するためのリール表示窓が形成され、また例えば装飾模様等が描画された表示パネルなどの装飾体(以下、「装飾体」を「表示パネル」と表現することが多い。)が設けられている。
この表示パネルの裏面側にはランプ、7セグメント表示、LED、液晶表示等を行う各種表示装置が配置された裏面側部材(パネルユニット)が取り付けられており、これらの各種表示装置は、表示パネルの裏面側から表示パネルを照らし表示パネルを透過させた光を目視させることで、遊技者の遊技の興趣を向上させる演出を行ったりスロットマシンの内部情報を表示したりするようになっている。
また、例えば表示パネルの上側、すなわち前面扉の前面上部には補助表示部としての液晶表示器(液晶パネル)が設けられており、この補助表示部に表示される動画などを遊技者に目視させることで、リール表示窓から見える各リールの絵柄の組み合わせや表示パネルの装飾模様の点灯・点滅等だけでなく、補助表示部に表示される動画による多様な演出によっても遊技の興趣を高めるようにした機種も多数存在する。
ここで例えば下記特許文献(特開2005−000540号公報)の「遊技台」のように、遊技機の演出の一つとして機種によってはこの補助表示部の前にスライド式の扉が設けこれを動かすことで画面を遮蔽したり、補助表示部の前にキャラクタなどの可動物が登場することで、遊技者の注意を喚起したり遊技性能を向上させる演出体を設けたものなどもある。しかし扉により画面を遮蔽したり補助表示部の前にキャラクタなどの可動物が登場させたりするだけでは遊技者に対してインパクトが少ないため、扉や可動物などの演出体にLED等の光源を載せたり、演出体の上で動く可動小物を載せたりすることで遊技の興趣をより高める工夫をしたものなどもあった。
しかしながらスライド扉や可動物を補助表示部の前で動かしたり、これら演出体に載せたLED光源を発光させたり可動小物を動かしたりするだけでは未だ十分なインパクトに欠けるため、さらに遊技の興趣を高めるための演出効果が模索されていた。
またスライド扉や可動物などの演出体を動かしたり、これらに設けたLED光源を発光させたり可動小物を動かしたりするためには、ハーネス(配線)を用いてこれらに遊技機本体側(遊技機のうち演出体以外の部分を指す)側から電力を供給してやる必要があるが、スライド扉や可動物などの演出体が動く際の配線の曲げ伸ばしの繰り返しの屈曲ストレスによる配線の断線や破断、配線が他の部分と接触して擦れることによる断線や破断が発生する可能性が高いといった問題があった。また可動小物を動かすためのハーネスは見栄えが悪いといった問題もあった。
これらの問題などを解決するために本願出願人は、例えば演出を行う役物などの演出体と遊技機本体側との電気的接続なしに独立して演出体(独立演出体)を動かしたり、独立演出体に載せたLED光源を発光させたり可動小物を動かしたりすることで、今までにない新たな演出効果を付与して遊技の興趣をさらに高めた遊技機を発案している。また独立演出体を採用したこの遊技機では、独立演出体と遊技機本体側とをつなぐ配線をなくすことで独立演出体の動作の制約を低減すると同時に屈曲ストレスや擦れによる配線の断線や破断も少なくすることができ、また見栄えもよくすることなどができるといった利点もある。
しかしながら遊技機本体側との電気的接続なしに独立演出体を動かすためには独立演出体自体に電源となる充電部が必要となるが、充電部からの電力の供給が不十分であると、独立演出体は所定の演出動作を完了することができない虞がある。そのため本発明では、充電部の充電状況に応じてその演出動作の制御を行うこととしている。
以下にまず本発明が適用される独立演出体を採用した遊技機の特徴について確認事項として説明する。
[遊技機1A]
電力を蓄える充電部と、遊技機本体の所定の待機位置において電力の供給を受け前記充電部に電力を送る電力供給部と、充電部からの電力供給により遊技者の視覚に訴える演出を行うことが可能な演出実行部と、該演出実行部による演出動作の制御を行う演出制御部と、を備えた独立演出体を有し、前記電力供給部が遊技機本体側の所定の待機位置から離隔して遊技機本体側からの電力供給が遮断された状態で、前記演出実行部が前記充電部からの電力供給により演出動作を行う、ことを特徴とする遊技機。
[遊技機2A]
遊技者の視覚に訴える演出を行うことが可能な演出実行部と、該演出実行部による演出動作の制御を行う演出制御部と、遊技機本体の所定の待機位置において遊技機本体側から前記演出制御部に指令信号を伝達するための指令信号伝達部と、を備えた独立演出体を有し、前記指令信号伝達部が遊技機本体側の所定の待機位置から離隔して遊技機本体からの指令信号の伝達が遮断された状態で、前記制御部が離隔前に受信した指令信号に基づき前記演出実行部の制御を行う、ことを特徴とする遊技機。
この遊技機1A又は2Aによれば、独立演出体が遊技機本体側の所定の待機位置から離隔し、遊技機本体側からの電力供給および/又は指令信号の伝達が遮断された状態であっても演出動作を行うことができるため、従来必要であった遊技機本体との電気的接続を行う配線を少なくして、独立演出体に今までにない新たな演出効果の付与を可能とすることができる。また独立演出体と遊技機本体側との電気的接続を行う配線が少なくなるため断線や破断の虞も低減する。
[遊技機3A]
上記遊技機1A又は2Aにおいて、前記独立演出体には自走機構が備えられており、独立演出体が遊技機本体側との電気的接続なしに遊技者の視認可能な領域において自走による演出動作を行う、ことを特徴とする遊技機。
独立演出体が遊技機本体側と単に離隔するだけではなく、独立演出体を電気的接続なしに自走させることで、さらに効果的に遊技の興趣を高めることができる。なお独立演出体には配線がつながれていないため、その自走動作の制限もほとんどない。
[遊技機4A]
上記遊技機3Aにおいて、前記独立演出体は透明又は半透明な平板材の表面に形成されたガイド部に沿って演出動作を行う、ことを特徴とする遊技機。
独立演出体をガイド部に沿って走行させることで、簡易かつ確実に独立演出体に所望の走行動作をさせることができる。
[遊技機5A]
上記遊技機3Aにおいて、前記独立演出体は空隙を設けて向かい合わせた透明又は半透明な2枚の平板材によって形成された空間内においてこれらに挟まれた状態で演出動作を行う、ことを特徴とする遊技機。
独立演出体を透明又は半透明な2枚の平板材の間に挟まれた状態で自走による演出動作を行うことようにすることで、上記遊技機4Aのようなガイド部を平板材に形成しなくとも、独立演出体自体の舵取り操作によって自由な道筋で独立演出体を自走させることができる。
[遊技機6A]
上記遊技機3A乃至5Aのいずれかにおいて、前記独立演出体は遊技機本体に設けられた液晶表示部の前側において演出動作を行う、ことを特徴とする遊技機。
独立演出体を液晶表示装置の画面の前側で動くようにし、例えば画面に表示されたアニメーションと関連付けて独立演出体を動作させることで、遊技の興趣を飛躍的に高めることができる。
[遊技機7A]
上記遊技機1A乃至6Aのいずれかにおいて、前記独立演出体は演出動作終了が終了すると遊技機本体側の所定の待機位置に戻るように制御される、ことを特徴とする遊技機。
演出動作が終了した独立演出体を待機位置に戻るように制御することで、充電部への充電や次の指令信号の受信に備えることができる。
以上のようにこれらの遊技機1A〜7Aでは、従来技術の特許文献の例で説明した遊技機等にはない新たな演出効果を付与することができ、遊技の興趣をより一層高めることができる。
次に上述した実施の形態から抽出される本発明の特徴である演出制御を行う本遊技機について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
[遊技機1B]
遊技の主な制御処理を行うメイン制御部と、該メイン制御部と別個に設けられ前記メイン制御部から送信されてくるコマンドに基づき前記遊技の主な制御処理以外の補助的な制御処理を行うサブ制御部と、電力を蓄える充電部と、遊技機本体の所定の待機位置において電力の供給を受け前記充電部に電力を送る電力供給部、充電部からの電力供給により遊技者の視覚に訴える演出を行うことが可能な演出実行部および該演出実行部による演出動作の制御を行う演出制御部を備えた独立演出体と、を有し、前記独立演出体が、前記サブ制御部からの送信されるコマンドに基づき遊技機本体側の所定の待機位置から離隔して遊技機本体側からの電力供給が遮断された状態で、前記演出実行部が前記充電部からの電力供給により所定の演出動作を行い、所定の演出動作の後に再び待機位置に戻る遊技機において、前記サブ制御部は前記充電部の充電状況に基づき選択可能な可動役物の演出動作の種別を選別する、ことを特徴とする遊技機。
[遊技機2B]
上記遊技機1Bにおいて、前記サブ制御部は、前記充電部の充電状況の判断を前回の演出動作終了後に待機位置に戻った独立演出体の待機時間を基準に行う、ことを特徴とする遊技機。
[遊技機3B]
上記遊技機1B又は2Bにおいて、前記サブ制御部は、前記充電部の充電状況の判断を前記電力供給部を通じて送る充電電流の減少状態を基準に行う、ことを特徴とする遊技機。
[遊技機4B]
上記遊技機2B又は3Bにおいて、前記サブ制御部は、電源投入直後の最初の演出動作の種別選択時における前記充電部の充電量の判断を、電源投入からの経過時間を基準に行う、ことを特徴とする遊技機。
[遊技機5B]
上記遊技機1B乃至4Bのいずれかにおいて、前記サブ制御部は、前記充電部の充電状況が所定値以上であると判断したときにのみ、可動役物が前記待機位置から離隔する演出動作の種別の選択を可能とする、ことを特徴とする遊技機。
[遊技機6B]
上記遊技機5Bにおいて、可動役物が待機位置から離隔する演出動作に、前記充電部の充電状況に対応して動作時間の異なる種別を設けた、ことを特徴とする遊技機。
因みに、遊技機1A乃至遊技機7Aの特徴的構成のいずれか1つ又はそれらの組み合わせを上記遊技機1B1乃至6Bに適用してもよいし、遊技機A1乃至遊技機A7、遊技機1B乃至遊技機7Bの特徴的構成を相互に組み合せてもよい。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
本発明は遊技機1B〜6Bのいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機である。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
本発明は上記遊技機1B〜6Bのいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機である。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードヘ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
本発明は上記遊技機1B〜6Bのいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機である。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手投(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。