JP2013149441A - p型ZnOの作製方法、ZnOエレクトロルミネッセンス半導体素子 - Google Patents

p型ZnOの作製方法、ZnOエレクトロルミネッセンス半導体素子 Download PDF

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Abstract

【課題】従来より作製が困難とされていたp型ZnOの作製方法を提供する。
【解決手段】n型ZnO基板で構成したn層11と、n型ZnO基板に窒素をp型ドーパントとしてインプラントした擬似p層12とを形成し、順方向バイアス電圧を印加することによりn層11及び擬似p層12に拡散電流を発生させ、発生された拡散電流により生じるジュール熱に基づいて何れか1以上の擬似p層12にインプラントした窒素のドーパント分布を変化させることを繰り返すとともに、順方向バイアス電圧により活性層における伝導帯と価電子帯に反転分布を生じさせ、変化後の窒素のドーパント分布に基づいて近接場光が発生した箇所では、反転分布を形成している伝導帯中の電子を非断熱過程に基づいて複数段階で誘導放出させることにより、拡散電流を減少させてジュール熱を低下させ、擬似p層12中の窒素のドーパント分布を固定させて当該擬似p層12をp型ZnOとする。
【選択図】図5

Description

本発明は、p型ZnOの作製方法、並びにZnO半導体膜に関し、青色から紫外線に渡る波長の光に関わる発光素子をZnOで実現することが可能なp型ZnOの作製方法、並びにZnO半導体膜に関する。
青色から紫外線域の発光素子の材料としては、従来ではInGaN、GaNをはじめとする化合物半導体で構成される。このような化合物半導体を得るためには、高価な結晶成長装置が必要であり、添加物の多くがレアマテリアルであることから高価である。このため、InGaN、GaNに替わる材料として、これらに近いバンドギャップを有するZnOを利用したエレクトロルミネッセンス(EL)素子の研究開発が盛んに行われている。このZnOは、地球上に豊富で安価な資源である。また、このZnOは、単結晶ウェハーが得られ、更には、ガラス基板上にも1軸結晶配向した膜を形成できるなど、合成が容易であるという利点を有する。
このようなEL素子の作製のためには、pn接合の形成が不可欠である。n型ZnOは、n型半導体であり、アルミニウムなどのIII族元素やハロゲン元素をドープすることで容易に作製することができる。
しかしながら、p型半導体であるp型ZnOは、従来より製造が困難であるものとされている。また特許文献1には、p型ZnOである窒素ドープZnOが開示されているが、窒素は脱離しやすいため、安定性が不十分である。安定なp型ZnOの作製手法は確立していないのが現状であった。
特開2005−217035号公報
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、従来より作製が困難とされていたp型ZnOの作製方法を新たに提供するものであり、またかかるp型ZnOの作製方法によって作製されたZnO半導体膜を提供するものである。
本発明を適用したp型ZnOの作製方法は、n型ZnO基板で構成したn層と、上記n型ZnO基板に窒素をp型ドーパントとしてインプラントした擬似p層とを形成し、順方向バイアス電圧を印加することにより上記n層及び上記擬似p層に拡散電流を発生させ、上記発生された拡散電流により生じるジュール熱に基づいて何れか1以上の上記擬似p層にインプラントした窒素のドーパント分布を変化させることを繰り返すとともに、上記順方向バイアス電圧により上記活性層における伝導帯と価電子帯に反転分布を生じさせ、上記変化後の窒素のドーパント分布に基づいて近接場光が発生した箇所では、上記反転分布を形成している上記伝導帯中の電子を非断熱過程に基づいて複数段階で誘導放出させることにより、上記拡散電流を減少させて上記ジュール熱を低下させ、上記擬似p層中の窒素のドーパント分布を固定させて当該擬似p層をp型ZnOとして構成することを特徴とする。
このとき、上記順方向バイアス電圧の印加時において、少なくとも上記擬似p層に対して外部から紫外帯域〜青色帯域における何れかの波長の誘導光を照射するようにしてもよい。
また、p型ZnOの作製方法により作製されたp型ZnOをp層としたZnOエレクトロルミネッセンス半導体素子として具体化されるものであってもよい。
上述した構成からなる本発明によれば、インプラントされている窒素の多くがアクセプターとして機能すべき結晶内の位置に固定されていないため、p層として安定的に機能しない擬似p層において順方向バイアス電圧を印加することで、ジュール熱が発生することによる擬似p層の流動性を増加させる。そして、擬似p層内におけるn層近傍のドーパントの分布がランダムに変化し、ある特有のドーパント分布が形成された場合に近接場光が発生する。そして、当該近接場光が発生した領域においては、誘導放出により発光が生じる。このような近接場光の発生による発光が生じる領域においては、流動性が低下して加工が停止し、ドーパントの分布が固定されることとなる。そして、このドーパントが固定された状態においては、順方向バイアス電圧を印加した際において発光が生じるものであることから、いわゆるpn接合としての機能を発揮することとなる。つまり擬似p層内におけるn層近傍のドーパントがアクセプターとして機能すべき結晶内の位置に移動し、固定されたことを意味する。
擬似p層12は、当初からZnOで構成されているが、その擬似p層12内におけるドーパントとしての窒素が、アクセプターとして機能すべき結晶内の位置に移動した場合、ZnOは、p型半導体として機能することとなる。
特に本発明では、擬似p層内におけるn層近傍をジュール熱に基づいて一度流動させた後に、p型半導体としての機能が発揮しえる状態へドーパントを移動させて固化させている。これにより、拡散されて固定後のドーパントは、ZnO中においてp型半導体としての機能を発揮しえる状態で安定的に固定されるものである。このため、擬似p層を、本来的なp型半導体としての機能を発揮するp層に変化させることが可能となる。即ち、本発明によれば、p型ZnOを安定的に製造することが可能となる。
本発明を適用したp型ZnOの作製装置の構成図である。 n層と、擬似p層のエネルギーバンド図である。 ドーパントの分布変化が生じた後の例を示す図である。 非断熱過程を原子同士の結合をバネで置き換えたモデルで示した図である。 (a)は、電子密度の差異に基づく反転分布が擬似p層内におけるn層近傍に形成された例を、また(b)は、伝導帯中の電子を近接場光による非断熱過程に基づいて放出させることによる発光させる例を示す図である。 この入射される光の波長に応じて図6に示すような、中間に位置する振動順位が形成されることになる。 微細領域Aとほぼ同一分布の微細領域Bが形成される例を示す図である。
以下、本発明を適用したp型ZnOの作製方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用したp型ZnOの作製装置10の構成図である。この作製装置10は、pn接合体1と、このpn接合体1に対して電圧を印加するための電源41とを備えている。
pn接合体1は、ZnOからなり、n層11と、擬似p層12とを有している。n層11は、n型ZnO基板で構成したn型半導体である。このn層11は、n型ZnO基板に対してアルミニウムなどのIII族元素やハロゲン元素をドープすることで得られるものである。
擬似p層12は、n型ZnO基板に窒素をp型ドーパントとして高密度、高エネルギーでインプラントしたものである。この擬似p層12は、例えば700KeV、表面から500nm付近においてそのドーピング密度は1019程度とされていてもよい。ちなみにドーパントとしての窒素は、安定性に欠けるため、擬似p層12は、いわゆるp型半導体としての振る舞いを安定的に起こさない場合が多い。つまり、この擬似p層12中におけるドーパントとしての窒素は、その多くがアクセプターとして機能すべき結晶内の位置に固定されていない。但し、あくまでp型ドーパントとして窒素を添加していることから擬似的なp層としての擬似p層12として定義する。
本発明を適用したp型ZnOの作製方法では、かかるpn接合体1における擬似p層12のZnO中のドーパントのとしての窒素のドーパント分布を変化させる。ここでいうドーパント分布の変化は、例えば、当初インプラントされた窒素の位置を変化させるもの、或いはそのインプラントされた窒素を拡散させるもの等、アニーリングにより生じるあらゆる現象を含む概念である。
擬似p層12中において、窒素からなるドーパント14がインプラントされている。しかし、このドーパントの分布は不安定なものであり、いわゆるp型半導体としての機能を発揮することができないものとなっている。
実際にはpn接合体1に対して順方向バイアス電圧を印加する。その結果、以下のメカニズムに基づいて、本発明所期のp型ZnOを作製することが可能となる。
図2は、n層11と、擬似p層12のエネルギーバンド図を示している。順方向バイアス電圧が負荷されると、擬似p層12中の正孔がn層11側へと移動し、n層11中の電子が擬似p層12側へと移動していく。その結果、互いの電子と正孔が打ち消しあうことで拡散電流が流れる。そして、順方向バイアス電圧が高い場合にこの電子の移動に伴うジュール熱が発生する。このジュール熱の特に大きな発生部位は、大きな電位差を生じるn層11と擬似p層12との界面を中心にしたものであるが、少なくとも擬似p層12中におけるn層11近傍においても、大きな電位差が生じる。この順方向バイアス電圧をより高くしていくことにより、擬似p層12内におけるn層11近傍においてアバランシェ降伏を起こし、一気に電流が流れていくことになる。その結果、ジュール熱による発熱が、かかるアバランシェ降伏により促進されることになる。
このジュール熱が発生する結果、擬似p層12内の特にn層11近傍において流動性が増加し、そのドーパント14の分布が変化することになる。上述した順方向バイアス電圧を負荷し続けることにより、かかるドーパント14の分布変化が継続して生じることになる。
図3は、このドーパント14の分布変化が生じた後の例である。ジュール熱が発生することにより、擬似p層12内の特にn層11近傍において流動性が増加する結果、擬似p層12内におけるn層11近傍のドーパントの分布がランダムに変化することになる。かかる表面形状やドーパントの分布の変化が繰り返して起こる結果、例えば、微細領域Aにおいてある特有のドーパント分布が形成される。この微細領域Aにおける特有のドーパント分布は、入射された光に基づいて近接場光が発生する上でより適した分布である。この特有のドーパント分布を形成させるための条件は確定されるものではなく、ジュール熱の発生に伴う擬似p層12内におけるn層11近傍のドーパントのランダムな変化の結果、ある確率の下で偶然に形成されるものである。
このような、微細領域Aにおける特有のドーパント分布が形成されたときに、上述した順方向バイアス電圧を更に負荷し続けると、当該特有のドーパント分布において近接場光が発生する。ここでいう近接場光は、仮想的な電磁場の意味も含まれていることから、仮想的な電磁場が形成されていることが近接場光の発生を意味するものとして解される。この近接場光の発生は、特に誘導光が無い状態の下であっても、順方向電流注入時には注入された電荷の自然放出およびそれを元とした誘導放出によって発生することになる。この近接場光が発生することにより以下に説明する非断熱過程が生じる。ちなみに、この近接場光の発生位置は、特有のドーパント分布が生じた箇所で発生するが、それ以外の箇所においても当然に発生する場合がある。
この非断熱過程とは、図4に示すように、原子同士の結合をバネで置き換えたモデルで考えることができる。一般に伝搬光の波長は分子の寸法に比べると遥かに大きいため、分子レベルでは空間的には一様な電場とみなせる。その結果、図4(a)に示すように、バネで隣り合う電子は同振幅、同位相で振動させられる。ZnOの原子核は重いため、この電子の振動には追従できず、伝搬光では分子振動は極めて起こりにくい。このように伝搬光では、分子振動が電子の励起過程に関わることを無視することができるため、この過程を断熱過程という。
一方、近接場光の空間的な電場勾配は非常に急峻に低下する。このため近接場光では隣り合う電子に異なる振動を与えることになり、図4(b)に示すように、この異なる電子の振動により重い原子核も振動させられる。近接場光が分子振動を起こすことは、エネルギーが分子振動の形態を取ることに相当するため、近接場光では、振動準位を介した励起過程(非断熱過程)が可能となる。このように原子核の振動準位を介した励起過程は、通常の光学応答である断熱過程に対し、原子核が応答し動くため、非断熱過程という。
また、上述した順方向バイアス電圧を印加させ続けることにより、伝導帯における電子密度n1が、下位準位にある正孔密度n2と比較して圧倒的に高くなる。その結果、伝導帯と下位準位との間で、図5(a)に示すように、かかる電子密度の差異に基づく反転分布が擬似p層12内におけるn層11近傍に形成される。次に、この形成された反転分布により、伝導帯中の電子を近接場光による非断熱過程に基づいて、伝導帯中の電子を、バンドギャップの中間に位置する振動準位に仮想的に遷移させることができる。この電子が非断熱過程に基づいて振動準位に遷移できたのは、その箇所において近接場光が発生していたため実現できたものである。この近接場光は、ジュール熱による流動によってある確率の下で生じたドーパントの変化によって生じたものである。振動準位に遷移した電子は、この近接場光によって仮想的に生じた仮想場(ドレストフォトン−フォノン準位)を廻り、その後振動準位から伝導帯へと戻ることになる。この伝導帯に戻った電子は、拡散電流によるジュール熱に寄与する。
このように近接場光が単に発生した段階では、伝導帯中の電子を振動準位に仮想的に遷移させて再度伝導帯に戻ることを繰り返すこととなる。伝導帯に戻った電子は、ジュール熱に寄与することとなり、ジュール熱は下がることなく、擬似p層12内におけるn層11近傍のドーパントの分布変化が継続して生じることになる。
またジュール熱によるドーパントの分布変化が生じた結果、更に近接場光の発生態様が変化した場合には、ある確率の下で図5(b)に示すように、伝導帯中の電子を近接場光による非断熱過程に基づいて、バンドギャップの中間に位置する振動準位に仮想的に遷移させてそこから電子を放出させることによる発光させる。また、かかる近接場光に基づいて伝導帯中の電子を複数段階で誘導放出させることにより発光させる。
その結果、このpn接合体1から係る電子の放出による発光を実現することが可能となる。当該特有のドーパント分布においては引き続き近接場光が発生するため、非断熱過程を生じさせることが可能となる。この非断熱過程による誘導放出においては、振動準位を介し電子を放出させる。このとき、バンドギャップ幅に相当する吸収端波長よりも長波長である光でも伝導帯中の電子を多段階で遷移させて放出させることができ、その結果、伝導体中の電子を減少させることが可能となる。
このような非断熱過程による多段階の誘導放出が生じることにより、伝導帯における電子密度n1が減少する。その結果、かかる近接場光が発生する特有のドーパント分布が形成された領域については、n層13へと移動する電子の量は減少することになり、拡散電流が低下する。そして、当該特有のドーパント分布が形成された領域についてはジュール熱が低下することになる。即ち、誘導放出は、電子や正孔のエネルギーを奪うものとなり、擬似p層12内におけるn層11近傍の流動性が低下する。その結果、擬似p層12内におけるn層11近傍については、ドーパントの分布の変化が抑制されることになる。かかるドーパント分布はそのまま変化することなく固定されることになる。
また、図5(b)に示すように発光が生じた場合、その発光に基づいて、特有のドーパント分布による近接場光が発生しやすくなる。その発生した近接場光により、さらに各部における非断熱過程が生じやすくなり、特有のドーパント分布の固定化並びに発光が促進されることとなる。
また、上述の如き順方向バイアス電圧を印加し続けることにより、上述したメカニズムが継続的に生じる。
微細領域Aは、そのまま近接場光が発生し続けて、上述した非断熱過程による誘導放出が継続して生じる結果、温度が低下し、かかる形状の状態でそのまま固定され続ける。また、微細領域A以外の箇所は、近接場光が発生しないため冷却されることなく、そのままジュール熱が発生することにより、この擬似p層12内におけるn層11近傍の流動性が増加する結果、擬似p層12内におけるn層11近傍のドーパントの分布がランダムに変化する。このランダムなドーパント分布の変化の結果、図6に示すように、微細領域Aとほぼ同一分布の微細領域Bが形成される場合もある。この微細領域Bにおける特有のドーパント分布は、微細領域Aと同様に、近接場光が発生する上でより適した分布である。この特有のドーパント分布を形成させるための条件は確定されるものではなく、ジュール熱の発生に伴う擬似p層12内におけるn層11近傍のドーパントのランダムな変化の結果、ある確率の下で偶然に形成されるものである。
このような、微細領域Bにおける特有のドーパント分布が形成されたときに、上述した順方向バイアス電圧を更に負荷し続けると、当該特有のドーパント分布において近接場光が発生する。この近接場光の発生は、特に誘導光が無い状態の下であっても、順方向電流注入時には注入された電荷の自然放出およびそれを元とした誘導放出によって発生することになる。この近接場光が発生することにより、この微細領域Bにおいても同様な非断熱過程が生じる。
微細領域Bについても、非断熱過程による多段階の誘導放出が生じることにより、拡散電流が低下する。そして、当該特有のドーパント分布が形成された微細領域Bについてはジュール熱が低下することになり、流動性が低下する。その結果、微細領域Bについても、擬似p層12内におけるn層11近傍については、ドーパントの分布の変化が抑制されることになる。かかるドーパント分布はそのまま変化することなく固定されることになる。
かかる処理が繰り返し実行されると、理想的には、順方向バイアス電圧が印加された場合に近接場光が好適に発生する微細領域A、Bと同一のドーパント分布が数多く作り出されることとなる。ドーパント分布の変化が抑制され、流動性の向上による加工が停止することとなる。その結果、発光効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
このように本発明では、インプラントされている窒素の多くがアクセプターとして機能すべき結晶内の位置に固定されていないため、p層として安定的に機能しない擬似p層12において順方向バイアス電圧を印加することで、ジュール熱が発生することによる擬似p層12の流動性を増加させる。そして、擬似p層12内におけるn層11近傍のドーパントの分布がランダムに変化し、ある特有のドーパント分布が形成された場合に近接場光が発生する。そして、当該近接場光が発生した領域においては、誘導放出により発光が生じる。このような近接場光の発生による発光が生じる領域においては、流動性が低下して加工が停止し、ドーパントの分布が固定されることとなる。
そして、このドーパントが固定された状態においては、順方向バイアス電圧を印加した際において発光が生じるものであることから、いわゆるpn接合としての機能を発揮することとなる。つまり擬似p層12内におけるn層11近傍のドーパントがアクセプターとして機能すべき結晶内の位置に移動し、固定されたことを意味する。
擬似p層12は、当初からZnOで構成されているが、その擬似p層12内におけるドーパントとしての窒素が、アクセプターとして機能すべき結晶内の位置に移動した場合、ZnOは、p型半導体として機能することとなる。このため、擬似p層12内における近接場光が好適に発生する微細領域A、Bは、いわゆるp型のZnOに変化したものといえる。
特に本発明では、擬似p層12内におけるn層11近傍をジュール熱に基づいて一度流動させた後に、p型半導体としての機能が発揮しえる状態へドーパントを移動させて固化させている。これにより、拡散されて固定後のドーパントは、ZnO中においてp型半導体としての機能を発揮しえる状態で安定的に固定されるものである。このため、擬似p層12を、本来的なp型半導体としての機能を発揮するp層に変化させることが可能となる。即ち、本発明によれば、p型ZnOを安定的に製造することが可能となる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。実際に順方向バイアス電圧を印加する際において、更に誘導光を、少なくとも擬似p層12内におけるn層11近傍に対して入射させるようにしてもよい。その結果、この入射される光の波長に応じて図6に示すような、中間に位置する振動順位が形成されることになる。電子は、この中間に位置する振動順位へ一度遷移した後に、誘導放出により下位準位へと遷移するが、実際に発光波長は、かかる中間に位置する振動順位と基底順位との間のバンドギャップ差に依存する。そして、この中間に位置する振動順位は、外部から照射される誘導光の波長に大きく依存することとなる。
図7は、得られたpn接合体1について実際の出力光のスペクトル分布を示している。この例では、407nmの波長からなる誘導光を照射している。その結果、出力光のスペクトル分布は、図7に示すように390nmを中心としたピークを有するものとなっている。即ち出力光のスペクトル分布は、入射される誘導光と波長と非常に近いものとなっている。このため、出力光の波長は、入射される誘導光の波長に基づくものであるといえる。
この誘導光として紫外帯域から青色帯域における何れかの波長の光を照射するようにしてもよい。これにより、得られる得られたpn接合体1は、紫外帯域から青色帯域における波長の光を出射するデバイスとして構成することが可能となる。
また、本発明は得られたpn接合体1におけるp層に相当するp型ZnOを切り出して使用するようにしてもよいし、またかかるp型ZnOをp層としたZnOエレクトロルミネッセンス半導体素子として使用するようにしてもよいことは勿論である。
1 pn接合体
10 p型ZnOの作製装置
11 n層
12 擬似p層
14 ドーパント
41 電源

Claims (3)

  1. n型ZnO基板で構成したn層と、上記n型ZnO基板に窒素をp型ドーパントとしてインプラントした擬似p層とを形成し、
    順方向バイアス電圧を印加することにより上記n層及び上記擬似p層に拡散電流を発生させ、
    上記発生された拡散電流により生じるジュール熱に基づいて何れか1以上の上記擬似p層にインプラントした窒素のドーパント分布を変化させることを繰り返すとともに、上記順方向バイアス電圧により上記活性層における伝導帯と価電子帯に反転分布を生じさせ、
    上記変化後の窒素のドーパント分布に基づいて近接場光が発生した箇所では、上記反転分布を形成している上記伝導帯中の電子を非断熱過程に基づいて複数段階で誘導放出させることにより、上記拡散電流を減少させて上記ジュール熱を低下させ、上記擬似p層中の窒素のドーパント分布を固定させて当該擬似p層をp型ZnOとして構成すること
    を特徴とするp型ZnOの作製方法。
  2. 上記順方向バイアス電圧の印加時において、少なくとも上記擬似p層に対して外部から紫外帯域〜青色帯域における何れかの波長の誘導光を照射すること
    を特徴とする請求項1記載のp型ZnOの作製方法。
  3. 請求項1又は2記載のp型ZnOの作製方法により作製されたp型ZnOをp層としたことを特徴とするZnOエレクトロルミネッセンス半導体素子。
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