JP6073599B2 - エレクトロルミネッセンス素子の作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エレクトロルミネッセンス素子の作製方法に関し、特に赤外領域の光源として実用化する上で好適なエレクトロルミネッセンス素子の作製方法に関するものである。
近年、軽量・薄型の面発光型素子としてエレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子という)が注目されている。このEL素子は、電界印加時に、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子との再結合エネルギーにより蛍光性物質が発光する原理を利用した素子である。EL素子は、主としてモバイル機器等の各種機器のディスプレイの発光素子等に用いられる。
これらEL素子には、蛍光体粒子を有機高分子材料からなるバインダー中に分散させ発光層とする分散型EL素子や、薄膜発光層の両側あるいは片側に絶縁層を設けた薄膜型EL素子とがあるが、その大半は、GaAs、GaNを初めとする無機半導体で作製される。これら無機半導体は、効率よく発光させるために、また発光波長の調整のために、Inが添加される。このような無機半導体を得るためには、高価な結晶成長装置が必要になり、またシリコン素子よりもはるかに高価なIn等のレアマテリアルを添加物として使用する。このため、従来においてはEL素子を大量に作製することになれば、その分レアマテリアルの資源を浪費することになり、資源枯渇問題を引き起こす原因にもなる。
従って、近年においては、発光材料として有機化合物を用いた有機EL素子も普及してきている(例えば特許文献1参照。)。しかしながら、この有機EL素子は、発光材料として用いる有機化合物の寿命が短い等、解決すべき問題点も多く、やはり大出力、高信頼性が求められる分野においては、有機EL素子よりもむしろ無機半導体を発光材料として用いることが望ましいものといえる。そして、実際に、この無機半導体を発光材料として用いたEL素子を光通信に使用する場合、光損失の少ない近赤外光を発光させることがより望ましいものといえる。
特開平10−036829号公報
T. Kawazoe、 K. Kobayashi、 S. Takubo、 and M. Ohtsu、 J. Chem. Phys.、 Vol.122、 No.2、January 2005、 pp.024715 1-5
シリコンは、近赤外においてバンドギャップを持つ無機半導体であるが、あくまで間接型半導体であるため、近赤外EL素子としては望ましいものとはいえない。また、特に近年においてシリコンを微結晶化したポーラスシリコンによるEL素子が提案されているが、これらの発光効率もやはり1%に満たない。このため、あくまでシリコンを発光材料として用いるEL素子において近赤外における発光効率を向上させることが可能な技術が従来より望まれていた。これと同様に波長550nm領域では無機半導体化合物であるGaPが用いられているが、GaPもシリコンと同様に間接型半導体であるためそのEL素子としての発光効率は0.1%程度である。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、シリコンなど間接型半導体を発光材料として用いるEL素子において発光効率を向上させることが可能なエレクトロルミネッセンス素子の作製方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明に係るエレクトロルミネッセンス素子の作製方法は、p層及びn層を含む半導体層を備えるエレクトロルミネッセンス素子の作製方法において、順方向バイアス電圧を印加するとともに、上記半導体層における吸収端波長よりも短波長の光を照射することにより、上記p層と上記n層の接合部に対して光吸収に基づく発熱を生じさせ、当該発熱に基づいて何れか1以上の上記層の表面形状及び/又はドーパント分布を変化させることを繰り返させ、上記変化後の表面形状及び/又はドーパント分布に基づいて近接場光が発生した箇所では、上記バイアス電圧に基づいて生成される上記伝導帯中の電子を非断熱過程に基づいて複数段階で誘導放出させることにより発光させるとともに、当該発光に伴って上記発熱を抑制することにより、上記変化後の表面形状及び/又はドーパント分布を固定させることを特徴とする。
上述した構成からなる本発明によれば、シリコンを発光材料として用いるEL素子において近赤外における発光効率を向上させることが可能なエレクトロルミネッセンス素子を提供することが可能となる。
本発明を適用したEL素子の構成例を示す図である。 n層とp層からなる半導体層の接合部のエネルギーバンド図である。 半導体層の接合部のエネルギーバンドの詳細な構成を示す図である。 (a)は、熱発生前におけるn層とp層の接合部の微視的な形状の例を示す図であり、(b)は、熱を発生させた後におけるn層とp層の接合部の微視的な形状の例を示す図である。 非断熱過程を説明するための、原子同士の結合をバネで置き換えたモデルを示す図である。 非断熱過程に基づく多段階誘導放出について説明するための図である。 非断熱過程を継続して生じさせた場合におけるメカニズムについて説明するための図である。 本発明を適用したEL素子における電圧−電流特性を示す図である。
以下、本発明を適用したエレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子という。)及びその作製方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用したEL素子1の構成を示している。このEL素子1は、N型半導体層(n層)13、n層13との間でpn接合を構成するP型半導体層(p層)14、n層13とp層14との間に形成される接合層35とを備えている。このn層13〜p層14までを半導体層30という。p層14には、電源2が接続されており、使用時には、p層14側が正電圧、n層13側が負電圧となるように順方向にバイアス電圧が負荷されることになる。但し、このバイアス電圧は、微弱なものであってもよい。
n層13は、いわゆるシリコン等の基板等で構成されるがこれに限定されるものではなく、他の間接型半導体であってもよい。ここで代表的な間接型無機化合物にはSi以外に,GaP,AlGaAs(混晶比に依存)、AlP、AlAs, Ge, SiC, PbS, PbTe, TIO2, GaS, AlSb, C(ダイヤモンド), BNなどがあり、本手法はそのすべてに応用可能である。
p層14は、例えばホウ素等をp型ドーパントとして高密度、高エネルギーでインプラントしたものとして構成される。このp層14は、例えば700KeV、表面から500nm付近においてそのドーピング密度は1019とされていてもよい。
このようなEL素子1を作製する際には、p層及びn層に順方向バイアス電圧を印加するとともに、この半導体層30に対して光を照射する。その結果、以下のメカニズムに基づいて、本発明所期のEL素子1を作製することが可能となる。
図2は、n層13〜p層14からなる半導体層30のエネルギーバンド図を示している。半導体層30に対して光を照射した場合において、照射した光が、価電子帯と伝導帯とのエネルギー差に相当する吸収端波長よりも短い場合には、当該エネルギー差以上のエネルギーをもつため、半導体層30において光吸収される。この光吸収に応じて、伝導帯には電子が、価電子帯には、正孔が多数に亘り生成されることになる。
図3は、接合層35における価電子帯と伝導帯のそれぞれのエネルギーバンドの詳細を示しているが、伝導帯において励起されて生成された電子は、当該伝導帯上を移動して、最もエネルギー準位の低い方へ集中することとなる。同様に、価電子帯において生成された正孔は、当該価電子帯上を移動して、最もエネルギー準位の高い方へと集中することとなる。
このような光吸収が生じた場合、エネルギーを吸収する分において発熱が生じることとなる。この発熱の特に大きな発生部位は、接合層35やn層13やp層14の表面等である。また照射する光強度をより高くしていくことにより、発熱は促進されることになる。
このような光吸収に伴う発熱が発生する結果、接合層35やn層13やp層14における流動性が増加し、その表面形状及び/又はドーパントの分布が変化することになる。上述した順方向バイアス電圧を負荷し続けることにより、かかる表面形状及び/又はドーパントの分布変化が継続して生じることになる。
図4(a)は、かかるジュール熱発生前におけるn層13とp層14の接合部35の微視的な形状の例である。n層13とp層14の接合界面には、ナノオーダーの微細な凹凸が形成されている。
図4(b)は、光吸収に伴う発熱が生じた後におけるn層13とp層14の接合部35の微視的な形状の例である。光吸収に伴う発熱が生じることにより、このn層13とp層14の接合部35の流動性が増加する結果、n層13やp層14等の表面形状やドーパントの分布がランダムに変化することになる。かかる表面形状やドーパントの分布の変化が繰り返して起こる結果、例えば、ある特有の微細形状Aがこのn層13とp層14との界面において形成される。この微細形状Aは、入射された光に基づいて近接場光が発生する上でより適した形状である。この微細形状Aを形成させるための条件は確定されるものではなく、光吸収に伴う発熱によるn層13やp層14等の表面形状やドーパントのランダムな変化の結果、ある確率の下で偶然に形成されるものである。なお、この近接場光は、n層13とp層14との界面に発生する場合に限定されるものではなく、EL素子1を構成する何れか1以上の層の表面形状及び/又はドーパント分布を変化させるものであればよい。
このような微細形状Aが形成されたときに、上述した光照射を更に続けると、当該微細形状Aの主として角部において近接場光が発生する。ここでいう、近接場光は、仮想的な電磁場の意味も含まれていることから、仮想的な電磁場が形成されていることが近接場光の発生を意味するものとして解される。この近接場光の発生は、照射する光が、いわゆる誘導光となって生じる場合もあれば、特に誘導光が無い状態の下であっても、順方向電流注入時には注入された電荷の自然放出及びそれを元とした誘導放出によって発生することになる。この近接場光が発生することにより以下に説明する非断熱過程が生じる。ちなみに、この近接場光の発生位置は、当該微細形状Aに対応したn層13とp層14の界面のみならず、他の箇所で発生することも当然起こりえる。
この非断熱過程とは、図5に示すように、原子同士の結合をバネで置き換えたモデルで考えることができる。一般に伝搬光の波長は分子の寸法に比べると遥かに大きいため、分子レベルでは空間的には一様な電場とみなせる。その結果、図5(a)に示すように、バネで隣り合う電子は同振幅、同位相で振動させられる。感光性樹脂膜12の原子核は重いため、この電子の振動には追従できず、伝搬光では分子振動は極めて起こりにくい。このように伝搬光では、分子振動が電子の励起過程に関わることを無視することができるため、この過程を断熱過程という(非特許文献1参照。)。
一方、近接場光の空間的な電場勾配は非常に急峻に低下する。このため近接場光では隣り合う電子に異なる振動を与えることになり、図5(b)に示すように、この異なる電子の振動により重い原子核も振動させられる。近接場光が分子振動を起こすことは、エネルギーが分子振動の形態を取ることに相当するため、近接場光では、振動準位を介した励起過程(非断熱過程)が可能となる。このように原子核の振動準位を介した励起過程は、通常の光学応答である断熱過程に対し、原子核が応答し動くため、非断熱過程という(非特許文献1参照。)。
また、上述した順方向バイアス電圧を印加させ続けることにより、伝導帯には電子がn層13側からp層14側にかけて移動することになる。その結果、この伝導帯中を移動してくる電子を近接場光による非断熱過程に基づいて、ある確率の下で図6に示すように、伝導帯中の電子を近接場光による非断熱過程に基づいて、伝導帯中の電子を、バンドギャップの中間に位置する振動準位に仮想的に遷移させてそこから電子を放出させることによる発光させることができる。また、かかる近接場光に基づいて伝導帯中の電子を複数段階で誘導放出させることにより発光させることができる。
その結果、このEL素子1から係る電子の放出による発光を実現することが可能となる。当該微細形状Aにおいては引き続き近接場光が発生するため、非断熱過程を生じさせることが可能となる。この非断熱過程による誘導放出においては、振動準位を介し電子を放出させる。このとき、バンドギャップ幅に相当する吸収端波長よりも長波長である波長の光でも伝導帯中の電子を多段階で遷移させて放出させることができる。
仮に順方向バイアス電圧を負荷することなく、光照射のみ行った場合には、上述したメカニズムに基づいて近接場光を発生させることができるものの、複数段階で誘導放出させるための電子を確保することができないため、発光させることができない。このため、順方向バイアス電圧の印加は、例えそれが微弱なものであっても、必要となる。この順方向バイアス電圧の印加により、伝導帯に電子を生成することができ、これを誘導放出に用いることで、上述の発光を実現することが可能となる。
なお、このような非断熱過程による多段階の誘導放出が生じ、発光が生じることにより、かかる近接場光が発生する微細形状Aについては、照射光による光吸収そのものを打ち消すことができる。これは、光吸収により生じる電子と正孔が、光放出により再び結合するように遷移しようとする結果、微細形状Aに基づいて近接場光が発生した箇所については、光放出(発光)により、光吸収に基づく発熱を抑制することが可能となる。その結果、近接場光が発生する微細形状Aについては、温度が低下することになる。そして、この微細形状Aについては、表面形状及び/又はドーパントの分布の変化が抑制されることになる。微細形状Aはそのまま変化することなく固定されることになる。
また、図6に示すように発光が生じた場合、その発光に基づいて、表面形状及び/又はドーパントの分布による近接場光が発生しやすくなる。その発生した近接場光により、さらに各部における非断熱過程が生じやすくなり、微細構造Aの固定化並びに発光が促進されることとなる。
また、上述の如き光を照射し続けるとともに、順方向バイアス電圧を印加し続けることにより、上述したメカニズムが継続的に生じる。図7(a)に示すように、微細形状Aは、そのまま近接場光が発生し続けて、順方向バイアス電圧に基づいて流れる電子が、上述した非断熱過程により継続的に誘導放出される結果、温度が低下し、かかる形状の状態でそのまま固定され続ける。また、微細形状A以外の箇所は、近接場光が発生しないため冷却されることなく、そのまま光吸収に伴う発熱が生じることにより、このn層13とp層14の接合部35の流動性が増加する結果、n層13やp層14等の表面形状又はドーパントの分布がランダムに変化する。このランダムな変化の結果、図7(a)に示すように微細形状Aとほぼ同一形状の微細形状Bが形成される場合もある。かかる場合に光を入射させると、当該微細形状Bにおいて近接場光が発生することになる。そして、この微細形状Bについても同様に非断熱過程による誘導放出が生じる結果、温度が低下し、かかる形状の状態でそのまま固定され続ける。即ち、EL素子1において近接場光が好適に発生する領域が微細形状Aのみならず微細形状Bの分も増加したことになる。
かかる処理が繰り返し実行されると、理想的には図7(b)に示すように、n層13とp層14との界面において微細形状Aと同一の形状が数多く形成されることになる。これは、光照射が行われた場合に近接場光が好適に発生する微細形状Aと同一の形状が数多く作り出されたEL素子1として構成することが可能となる。その結果、発光効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
なお、この微細形状Aは、あくまで表面形状に依拠したものであるが、これに限定されるものではなく、ジュール熱の発生に伴うn層13やp層14等のドーパントの変化の結果、表面形状が変化していなくても、近接場光が好適に発生する条件になる場合がある。かかるn層13やp層14等のドーパントが近接場光が好適に発生可能なように変化した場合においても、上述した微細形状Aの形成と同様な効果が得られる。即ち、光放出により、光吸収に伴う発熱量を低下させることにより、ドーパント分布を固定させることを繰り返し実行することになる。
次に、上述した本発明を適用した受光素子の作製方法に基づいて作製されたEL素子1による動作について説明をする。
上述したようにEL素子1は、その作製の段階において、光が照射された場合に近接場光が好適に発生する、例えば微細構造A、B等を始めとした領域が広く形成されている。作製したEL素子1を実際に動作させる場合には、このようなEL素子1に対して、上述の如き光を照射することなく、順方向バイアス電圧を印加するようにしてもよい。その結果、既に好適に近接場光を発生し得る形状が作り込まれていることから、順方向バイアス電圧を印加すると、これに基づいて図7(b)に示すように、近接場光が多くの領域において発生する。そして、図6に示すように、その発生した近接場光による非断熱過程により、伝導帯にある電子が多段階で誘導放出されて発光することになる。このとき、順方向バイアス電圧の強度を更に増大させるとアバランシェ降伏が生じて更に発光量が大きくなる。
図8は、本発明を適用したEL素子1における電圧−電流特性を示している。電圧を高くするにつれて、近接場光の発生箇所が多くなり、伝導帯にある電子が多段階で誘導放出される頻度が高くなり、その結果、電流が増加してくるのが示されている。
上述したように、本発明では、光を照射するとともに、順方向バイアス電圧を印加することによりp層14とn層13の接合部35に光吸収を生じさせ、光吸収による発熱に基づいてEL素子1を構成する何れか1以上の層の表面形状及び/又はドーパント分布を変化させることを繰り返し実行する。
そして、変化後の表面形状及び/又はドーパント分布に基づいて近接場光が発生した箇所では、伝導帯中の電子を非断熱過程に基づいて複数段階で誘導放出させることにより、光吸収による発熱量を減少させて温度を下げ、表面形状及び/又はドーパント分布を固定させる。
また変化後の表面形状及び/又はドーパント分布に基づいて近接場光が発生しない箇所では、光吸収による熱を発生させ続けて当該表面形状及び/又は当該ドーパント分布を変化させることを、近接場光による非断熱過程で発光するまで繰り返す。
これにより、本発明では、接合部35のバンドギャップ幅に対応した吸収端波長より長波長である光を放出させることができる。仮に、n層13がシリコンであれば、そのシリコンによる発光波長としての近赤外域の光をも発光させることが可能となる。
また、本発明を適用したEL素子1の作製方法では、特に大掛かりな装置を必要とすることなく、希望の波長に対して感度の優れた受光素子を安価で作成することが可能となる。
この波長帯は上記のSi,GaP,AlGaAs(混晶比に依存)、AlP、AlAs, Ge, SiC, PbS, PbTe, TIO2, GaS, AlSb, C(ダイヤモンド), BNなど用いる間接遷移型無機材料の種類を変更することによっても紫外から赤外光まで広く対応可能である。
なお、上述した実施の形態では、EL素子1の製造と、EL素子1の使用とを分けて行う場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。EL素子1の使用時において、図1に示す構成からなるEL素子1を準備する。この段階では、あくまで近接場光を発生する上で好適な微細構造A、Bは殆ど形成されていない。このようなEL素子1に対して、微弱な順方向バイアス電圧を印加するとともに、半導体層30における吸収端波長よりも短波長の光を照射する。その結果、上述したプロセスに基づいて、p層13とn層14の接合部35において光吸収に基づく発熱を生じさせ、当該発熱に基づいて何れか1以上の層13、14、35の表面形状及び/又はドーパント分布を変化させることを繰り返させる。その結果、上述したように、近接場光を生成する上で好適な、表面形状及び/又はドーパント分布を増加させることができ、誘導放出に基づく発光量を増加させることで、光吸収による発熱量を減少させて温度を下げ、表面形状及び/又はドーパント分布を固定させる。この状態で、EL素子1は、近接場光を生成する上で好適な、表面形状及び/又はドーパント分布が相当な量に亘り形成されている。
その後、光の照射を停止し、EL素子1に対して、順方向バイアス電圧を印加する。。その結果、既に好適に近接場光を発生し得る形状が作り込まれていることから、発生した近接場光による非断熱過程により、伝導帯にある電子が多段階で誘導放出されて発光させることが可能となる。
このように本発明では、EL素子1の使用時において誘導光としての光を照射し、近接場光を発生させる上で好適な表面形状及び/又はドーパント分布が相当な量に亘り形成された後に、光の照射を停止して、順方向バイアス電圧に基づいて発光させるようにしてもよいことは勿論である。
1 EL素子
2 電源
13 n層
14 p層
30 半導体層
35 接合部

Claims (2)

  1. p層及びn層を含む半導体層を備えるエレクトロルミネッセンス素子の作製方法において、
    順方向バイアス電圧を印加するとともに、上記半導体層における吸収端波長よりも短波長の光を照射することにより、上記p層と上記n層の接合部に対して光吸収に基づく発熱を生じさせ、当該発熱に基づいて何れか1以上の上記層の表面形状及び/又はドーパント分布を変化させることを繰り返させ、
    上記変化後の表面形状及び/又はドーパント分布に基づいて近接場光が発生した箇所では、上記バイアス電圧に基づいて生成される上記伝導帯中の電子を非断熱過程に基づいて複数段階で誘導放出させることにより発光させるとともに、当該発光に伴って上記発熱を抑制することにより、上記変化後の表面形状及び/又はドーパント分布を固定させること
    を特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の作製方法。
  2. 上記p層がシリコン基板であり、上記n層がそのシリコン基板にインプラントされたホウ素である半導体層に対して上記プロセスを実行すること
    を特徴とする請求項1記載のエレクトロルミネッセンス素子の作製方法。
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