JP2013146957A - 電子機器における発熱制限制御装置、発熱制限制御方法及び電子機器 - Google Patents

電子機器における発熱制限制御装置、発熱制限制御方法及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】アクチュエーターの蓄熱量に応じて開始される発熱制限制御を解除する第2の制御値を適切に設定して、電源の過熱を適切に抑えることができる電子機器における発熱制限制御装置、発熱制限制御方法及び電子機器を提供する。
【解決手段】モーター負荷情報・ヘッド稼働率情報から、休止時間TWP・解除温度dToffを確定する(S1)。モーター制御用のPWM信号のデューティ比から各モーターの電流値、実効電流、発熱量、発熱温度を順に計算する(S2〜S5)。さらに発熱フラグFn=1にする条件が成立するか否かをモーター毎に判定し、発熱フラグFnをその判定結果に応じた値にする(S6〜S8)。発熱フラグFn=1であれば、休止率WMnを計算し、休止率WMnをキャリッジモーターの前回の駆動時間TMcrに乗算して休止時間TWMnを計算する。TWMnとTWPのうち一番長い休止時間をキャリッジモーターの駆動前に設定する(S13)。
【選択図】図11

Description

本発明は、電動モーター等のアクチュエーターと電源を備えた電子機器において、アクチュエーターと電源との発熱を制限する制御を行う電子機器における発熱制限制御装置、発熱制限制御方法及び電子機器に関する。
例えば特許文献1には、プリンターにおいて電源装置と電動モーターとの発熱を制限する技術が開示されている。このプリンターでは、キャリッジモーター及び紙送りモーター等の電動モーターの各蓄熱量と、電源装置の蓄熱量とを求める。そして、電動モーターの蓄熱量に応じた蓄熱レベルと、電源装置の蓄熱量に応じた蓄熱レベルとを求め、各蓄熱レベルを比較して最高蓄熱レベルを特定し、その特定した最高蓄熱レベルに応じた休止時間を設定する。そして、最高蓄熱レベルに応じた休止時間の経過を待ち、その後に所定の印刷動作の制御を開始する。このため、電源装置及び全てのモーターが必要とする十分な休止時間を確保し、それらの温度を制御することができる。
ここで、特許文献1に記載のプリンターでは、電源装置の蓄熱量を求めるために、電動モーターの印加電圧、デューティ比、電動モーターの回転数、定格電圧での回転速度、電動モーターの内部抵抗を用いて、電動モーターを流れる瞬時電流を演算する。そして、瞬時電流の二乗に計測時間を乗算して各モーターの瞬時電力値を求め、各モーターの瞬時電力の合計値を、電源装置の放熱を考慮して積算することで、電源装置の蓄熱値を演算する。
また、特許文献2には、電動モーターの発熱制限制御を行う構成のプリンターが開示されている。このプリンターでは、電動モーターの電流値から算出された発熱温度ΔTsumが閾値ΔT1,ΔT2,ΔT3(但しΔT1<ΔT2<ΔT3)を超えると、その超えた閾値に応じた休止時間T1wait,T2wait,T3wait(但しT1wait<T2wait<T3wait)をそれぞれ設定する。発熱制限制御が開始された後、発熱温度が解除閾値に降下したら発熱制限制御が解除される。この特許文献2のプリンターでは、解除閾値ΔTstdは発熱制限制御を開始する閾値ΔT1,ΔT2,ΔT3よりも低い値に設定されている(ΔTstd<ΔT1)。また、特許文献2に記載のプリンターでは電源装置の発熱は考慮されていない。
特開2008−30217号公報 特開2003−159857号公報(例えば段落[0105],[0110]等、図19)
ところで、特許文献1に記載のプリンターでは、電動モーターのデューティ比等を用いて、電動モーターを流れる瞬時電流を演算し、さらに瞬時電流から各モーターの瞬時電力値を演算する演算処理が必要であった。さらに各モーターの瞬時電力の合計値を、電源装置の放熱を考慮して積算することで、電源装置の蓄熱値を演算する演算処理も必要であった。このため、CPU等の演算処理の負担が大きかった。
また、特許文献2では、電動モーターの過熱を抑制できるが、電源装置の過熱を抑えることはできなかった。
さらに、電動モーターは経時変化によってベルト等の動力伝達部材の摺動摩擦の変化や、キャリッジモーターであればキャリッジに搭載されたインクカートリッジのインク残量の違いによる重量の変化などによって、モーターにかかる負荷(モーター負荷)が変化する。このとき、モーター負荷が大きいほど電動モーターにはより多くの電流が流れることになり、電源装置にもより多くの電流が流れることになる。ところで、発熱制限制御を解除する解除温度が一定である場合、例えば解除温度をモーター負荷が大きいときに合わせて低めに設定すると、モーター負荷が小さいときに、発熱制限制御が開始された後、速やかに解除温度に到達せず不要な休止が比較的長期に亘り入ることになる。また、反対に、解除温度をモーター負荷が小さいときに合わせて高めに設定すると、モーター負荷が大きいときに、発熱制限制御が開始された後、直ぐに発熱制限が解除され、電源装置が比較的高めの温度で発熱し続ける。このような問題は、電動モーターに限ることではなく、記録ヘッドの稼働率の違いにより記録ヘッドを流れる電流の違いによっても変化する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、アクチュエーターの蓄熱量に応じて開始される発熱制限制御を解除する際の第2の制御値を適切に設定して、電源の過熱を適切に抑えることができる電子機器における発熱制限制御装置、発熱制限制御方法及び電子機器を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の態様の一つは、電子機器に備えられた1つ以上のアクチュエーターのうち発熱制限対象とする少なくとも1つと電源との発熱を制限する電子機器における発熱制限制御装置であって、前記発熱制限対象のアクチュエーターの電流値に基づいて当該アクチュエーターの蓄熱量に関する蓄熱情報の値を演算する演算部と、前記蓄熱情報の値が第1の制御値よりも大きければ休止すると判定し、前記蓄熱情報の値が第2の制御値以下であれば休止を解除すると判定する判定部と、前記判定部が休止すると判定した場合、少なくとも1つの前記アクチュエーターの駆動の合間に休止を入れる発熱制限制御を開始するとともに、当該発熱制限制御の実行中に前記蓄熱情報の値が第2の制御値以下になると前記発熱制限制御を終了する制御部と、前記第2の制御値を補正する補正部と、を備えたことを要旨とする。
上記構成によれば、判定部は、蓄熱情報の値が第1の制御値よりも大きければ休止すると判定し、蓄熱情報の値が第2の制御値以下であれば休止を解除すると判定する。制御部は、判定部が休止すると判定した場合、少なくとも1つのアクチュエーターの駆動の合間に休止を入れる発熱制限制御を開始し、その開始した発熱制限制御の実行中に蓄熱情報の値が第2の制御値以下になれば当該発熱制限制御を終了する。このとき、発熱制限制御の解除タイミングを決める第2の制御値は補正部による補正が可能なので、発熱制限制御を適切なタイミングで解除できる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記補正部は、少なくとも1つの前記アクチュエーターの負荷に基づいて前記第2の制御値を補正することが好ましい。
上記構成によれば、第2の制御値は、補正部により、少なくとも1つのアクチュエーターの負荷に基づいて補正される。よって、アクチュエーターの負荷の大小に拘わらず、発熱制限制御を適切なタイミングで解除できる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記電子機器は、前記アクチュエーターとして電動モーターと媒体に記録を行う記録ヘッドとを備えた記録装置であって、前記補正部は、前記記録ヘッドの稼働率に関する稼働率情報に基づいて前記第2の制御値を補正することが好ましい。
上記構成によれば、電動モーター(アクチュエーター)と記録ヘッドとを備えた記録装置において、第2の制御値は、補正部により、記録ヘッドの稼働率に関する稼働率情報に基づいて補正される。よって、記録ヘッドの稼働率の大小が考慮された適切なタイミングで発熱制限制御を解除できる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記補正部は、少なくとも1つの前記アクチュエーターの負荷と前記記録ヘッドの稼働率情報とに基づいて前記第2の制御値を補正することが好ましい。
上記構成によれば、第2の制御値は、補正部により、少なくとも1つのアクチュエーターの負荷と記録ヘッドの稼働率情報とに基づいて補正される。よって、アクチュエーターの負荷と記録ヘッドの稼働率とが考慮された適切なタイミングで発熱制限制御を解除できる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記蓄熱情報の値に基づいて第1の休止時間を取得する第1の休止時間取得部と、少なくとも1つの前記アクチュエーターの負荷に基づいて第2の休止時間を取得する第2の休止時間取得部と、前記第1の休止時間と前記第2の休止時間とのうち一番長いものを休止時間として設定する休止時間設定部と、を更に備えていることが好ましい。
上記構成によれば、蓄熱情報の値に基づいて第1の休止時間が第1の休止時間取得部により取得される。また、少なくとも1つのアクチュエーターの負荷に基づいて第2の休止時間が第2の休止時間取得部により取得される。第1の休止時間と第2の休止時間とのうち一番長いものが休止時間として休止時間設定部により設定される。よって、少なくとも1つのアクチュエーターの負荷が考慮された適切な休止時間が選択されるので、適切な発熱制限制御を行うことができる。例えばアクチュエーターの負荷が大きいと、電源を流れる電流が多く電源が過熱し易いが、アクチュエーターの負荷に基づく第2の休止時間が選択されることにより電源の過熱を効果的に抑えることが可能になる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記電子機器は、前記アクチュエーターとして電動モーターと媒体に記録を行う記録ヘッドとを備えた記録装置であって、前記蓄熱情報の値に基づいて第1の休止時間を取得する第1の休止時間取得部と、前記記録ヘッドの稼働率に関する稼働率情報に基づいて第2の休止時間を取得する第2の休止時間取得部と、前記第1の休止時間と前記第2の休止時間とのうち一番長いものを休止時間として設定する休止時間設定部と、を更に備えていることが好ましい。
上記構成によれば、電動モーター(アクチュエーター)と記録ヘッドとを備えた記録装置(電子機器)において、第1の休止時間は、蓄熱情報の値に基づいて第1の休止時間取得部により取得される。また、第2の休止時間は、記録ヘッドの稼働率情報に基づいて第2の休止時間取得部により取得される。そして、第1の休止時間と第2の休止時間とのうち一番長いものが休止時間として休止時間設定部により設定される。よって、記録ヘッドの稼働率情報が考慮された適切な休止時間が選択されるので、適切な発熱制限制御を行うことができる。例えば記録ヘッドの稼働率が大きいと、電源を流れる電流が多く電源が過熱し易いが、記録ヘッドの稼働率情報に基づく第2の休止時間が選択されることにより電源の過熱を効果的に抑えることが可能になる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記第2の休止時間取得部は、少なくとも1つの前記アクチュエーターの負荷と前記記録ヘッドの稼働率情報とに基づいて第2の休止時間を取得することが好ましい。
上記構成によれば、第2の休止時間は、少なくとも1つのアクチュエーターの負荷と記録ヘッドの稼働率情報とに基づいて取得される。よって、アクチュエーターの負荷と記録ヘッドの稼働率とが考慮された適切な休止時間の休止が入る適切な発熱制限制御を行うことができる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記稼働率情報は、前記記録ヘッドの記録解像度を規定する記録モードであることが好ましい。
上記構成によれば、稼働率情報が記録解像度を規定する記録モード(稼働率情報)なので、記録ヘッドの稼働率を演算しなくても、第2の制御値を記録ヘッドの稼働率に応じた適切な値に補正できる。また、第2の休止時間取得部を有する構成においては、さらに記録ヘッドの稼働率を演算しなくても、適切な第2の休止時間を取得できる。
本発明の態様の一つである発熱制限制御装置では、前記記録ヘッドは画像データに基づいて記録動作を行う構成であり、前記稼働率情報は、前記画像データに基づいて算出される前記記録ヘッドの稼働率であることが好ましい。
上記構成によれば、稼働率情報は、記録ヘッドが記録動作を行うときに用いられる画像データに基づいて算出される記録ヘッドの稼働率そのものであるので、この稼働率に基づいて適切な第2の制御値を取得できる。
本発明の態様の一つは、電子機器であって、1つ以上の前記アクチュエーターと、前記アクチュエーターに電力を供給する電源と、上記発明に係る前記発熱制限制御装置と、を備えたことを要旨とする。
上記構成によれば、電子機器は上記発明に係る発熱制限制御装置を備えるので、上記発明と同様の作用効果を得ることができる。
本発明の態様の一つは、電子機器に備えられた1つ以上のアクチュエーターのうち発熱制限対象とする少なくとも1つと電源との発熱を制限する電子機器における発熱制限制御方法であって、前記発熱制限対象のアクチュエーターの電流値に基づいて当該アクチュエーターの蓄熱量に関する蓄熱情報の値を演算する蓄熱演算ステップと、前記蓄熱情報の値が第1の制御値よりも大きければ休止すると判定し、前記蓄熱情報の値が第2の制御値以下であれば休止を解除すると判定する判定ステップと、前記判定ステップで休止すると判定した場合、少なくとも1つの前記アクチュエーターの駆動の合間に休止時間の休止を入れる発熱制限制御を開始するとともに、当該発熱制限制御の実行中に前記蓄熱情報の値が第2の制御値以下になると前記発熱制限制御を終了する制御ステップと、前記第2の制御値を補正する補正ステップと、を備えたことを要旨とする。上記方法によれば、発熱制限制御装置に係る発明と同様の作用効果を得ることができる。
第1実施形態におけるプリンターの斜視図。 プリンターの要部を示す斜視図。 プリンターの電気的構成を示すブロック図。 モーター負荷測定を説明するためのモーター電流のグラフ。 プリンターの機能構成を示すブロック図。 電源休止時間テーブルを示す図。 解除温度テーブルを示す図。 (a)は発熱温度と閾値との差分ΔdTを示すグラフ、(b)は差分ΔdTと待機時間との対応関係を示すグラフ。 モーター負荷に対する休止時間及びスループットの関係を示すグラフ。 モーター負荷に対する解除温度及び電源電流低下割合の関係を示すグラフ。 発熱制限制御を示すフローチャート。 (a)は時間経過に対する発熱温度の推移を示すグラフ、(b)は時間経過に対する休止時間の推移を示すグラフ。 モーター負荷「小」の場合における時間経過に対する発熱温度の推移を示すグラフ。 モーター負荷「大」の場合における時間経過に対する発熱温度の推移を示すグラフ。 第2実施形態における電源休止時間テーブルを示す図。 同じく解除温度テーブルを示す図。 変形例における閾値の補正方法を説明するグラフ。
(第1実施形態)
以下、本発明の電子機器を、記録装置の一例であるインクジェット式プリンターに具体化した第1実施形態を、図1〜図14を用いて説明する。
図1に示すように、電子機器の一例であるインクジェット式プリンター(以下、単に「プリンター11」という。)は、略四角箱状の本体12の前面上部に操作パネル13を備え、その操作パネル13の下側には複数枚の用紙Pを収容可能な給紙カセット14が本体12に挿抜可能な状態で装着されている。プリンター11は、給紙カセット14から給送された用紙Pに印刷を施し、印刷後の用紙Pを本体12の前面中段位置に設けられた排紙トレイ15上に排出する。
操作パネル13は、プリンター11に各種の指示等を入力するために操作される操作部16と、各種メニューや画像などが画面に表示される表示装置17とを備えている。操作部16には、電源スイッチ16a、印刷開始スイッチ16b及び選択スイッチ16c等が設けられている。例えば表示装置17に表示されるメニューにおいて選択スイッチ16cを操作して各種の項目を選択することで、印刷対象の画像の選択及び印刷条件の設定などを行うことができる。また、本体12の前面側端部(図1では右端部)には、USBメモリーUMを挿抜可能なUSBポート18と、メモリーカードMCを挿抜可能なカードスロット19とが設けられている。
次にプリンター11の内部構成について説明する。図2に示すように、プリンター11は、上側と前側が開口する略四角箱状の本体フレーム20を有し、この本体フレーム20の図2における左右の側壁間に架設された所定長さを有するガイド軸21には、キャリッジ22が主走査方向Xに往復移動可能な状態で設けられている。本体フレーム20の背板内面に取着された一対のプーリー23には無端状のタイミングベルト24が巻き掛けられており、キャリッジ22はタイミングベルト24の一部に固定されている。図2における右側のプーリー23にはキャリッジモーター25の駆動軸(出力軸)が連結されており、キャリッジモーター25が正逆転駆動されてタイミングベルト24が正転・逆転することにより、キャリッジ22は主走査方向Xに往復移動する。
キャリッジ22の下部にはインクジェット式の記録ヘッド26が設けられている。キャリッジ22の上部には、例えば黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のインクがそれぞれ収容された複数個(例えば4個)のインクカートリッジ27が装填されている。記録ヘッド26のノズル形成面(下面)には、インク色毎に複数個(例えば180個)のノズルが列状に配列されてなるノズル列がインク色と同数列(本例では4列)形成されている。各インクカートリッジ27から供給されたインクは、インク色別のノズルからそれぞれ噴射される。また、キャリッジ22の移動経路の下方位置には、記録ヘッド26と用紙Pとの間隔(ギャップ)を規定する支持台28が主走査方向Xに延びるように設けられている。なお、記録ヘッド26が噴射可能なインク色は4色に限らず、3色、5〜8色でもよい。
また、キャリッジ22の背面側には、キャリッジ22の移動量に比例する数のパルスを出力するリニアエンコーダー29がガイド軸21に沿って延びるように設けられている。プリンター11ではリニアエンコーダー29から出力されるパルス信号に基づいてキャリッジ22の位置制御及び速度制御が行われる。また、リニアエンコーダー29から出力されるパルス信号から記録ヘッド26の噴射タイミング信号も生成される。このため、記録ヘッド26により用紙Pに主走査方向Xに一定のドットピッチ(画素ピッチ)で画像が印刷される。
また、本体フレーム20の図2における右側下部には、給送モーター31と搬送モーター32とが配設されている。給送モーター31は、給紙カセット14内に複数枚セットされた用紙Pを1枚ずつ給送する不図示の給紙ローラー(例えばピックアップローラー)を駆動する。搬送方向Y(副走査方向)に支持台28を挟んだその上流側と下流側には、それぞれ搬送ローラー対33と排出ローラー対34とが配置されている。搬送ローラー対33は、搬送モーター32の動力で回転駆動する搬送駆動ローラー33aと、搬送駆動ローラー33aに当接して連れ回りする搬送従動ローラー33bとから構成される。また、排出ローラー対34は、搬送モーター32の動力で回転駆動する排出駆動ローラー34aと、排出駆動ローラー34aに当接して連れ回りする排出従動ローラー34bとから構成される。搬送モーター32が回転駆動されることで搬送駆動ローラー33a及び排出駆動ローラー34aが駆動され、用紙Pは両ローラー対33,34に挟持(ニップ)された状態で副走査方向Yに搬送される。
プリンター11では、キャリッジ22を主走査方向Xに往復動させながら記録ヘッド26のノズルから用紙Pにインクを噴射する印字動作と、用紙Pを副走査方向Yに所定の搬送量で搬送する送り動作とを交互に繰り返すことで、用紙Pに文書や画像等の印刷が施される。なお、本実施形態では、キャリッジモーター25、給送モーター31及び搬送モーター32により、アクチュエーターの一例がそれぞれ構成される。
図2においてキャリッジ22の移動経路上の一端位置(図2では右端位置)が、キャリッジ22が非印刷時に待機するホーム位置(ホームポジション)となっている。ホーム位置に配置されたキャリッジ22の直下には、記録ヘッド26に対してクリーニングを含むメンテナンスを行うメンテナンス装置35が配設されている。なお、本実施形態の搬送モーター32は、メンテナンス装置35の動力源ともなっている。
次にプリンター11の電気的構成を図3に基づいて説明する。図3に示すように、プリンター11はコントローラー39を備える。コントローラー39は、電源の一例としての電源装置40、コンピューター41(マイクロコンピューター)、表示駆動回路42、ヘッド駆動回路43及びモーター駆動回路44〜46を備える。コンピューター41には、入力系として、操作部16、USBインターフェイス(以下、「USBI/F47a」と記す。)、カードインターフェイス(以下、「カードI/F47b」と記す。)及びリニアエンコーダー29をはじめとする各種のセンサー29,48、49が接続されている。また、コンピューター41には、出力系として、表示駆動回路42、ヘッド駆動回路43及びモーター駆動回路44〜46が接続されている。
電源装置40は、商業用交流電源50からの交流電圧を変圧して整流等することで一次電圧(例えば30〜60ボルトの範囲内の所定値)を生成し、さらに一次電圧を降圧して二次電圧(例えば15〜25ボルトの範囲内の所定値)を生成している。一次電圧は主にモーター駆動回路44〜46に印加され、二次電圧はヘッド駆動回路43に印加される。さらに二次電圧を降圧した出力電圧(例えば5〜20ボルトの範囲内の所定値)が表示駆動回路42に印加される。また、二次電圧を降圧した出力電圧(例えば3〜6ボルトの範囲内の所定値)が、コンピューター41及び各種センサー29,48,49に供給される。
コンピューター41が各駆動回路42〜46に制御信号を出力することにより、表示装置17、記録ヘッド26、各モーター25,31,32に、制御信号に応じた駆動電圧が印加される。換言すれば、表示装置17、記録ヘッド26、各モーター25,31,32には、制御信号に応じた電流が流れる。コンピューター41は表示駆動回路42に制御信号として表示制御信号(表示データと制御信号)を出力することにより表示装置17には表示データに応じた電流が流れる。また、コンピューター41はヘッド駆動回路43に制御信号としてヘッド制御データを出力することにより、記録ヘッド26にはヘッド制御データに応じた電流が流れる。さらにコンピューター41が各モーター駆動回路44〜46に制御信号として例えばPWM(pulse width modulation)信号を出力することにより、各モーター25,31,32にはPWM信号のデューティ比(PWM信号の周期に対するパルス幅の比)に応じた電流が流れる。
ここで、プリンター11に備えられたセンサーには次のものがある。キャリッジモーター25の回転量に比例するパルス数をもつパルス信号を出力するリニアエンコーダー29、給送途中の所定位置で用紙Pの先端を検知する紙検出センサー48、搬送モーター32の回転量に比例するパルス数をもつパルス信号を出力するロータリーエンコーダー49などである。
コンピューター41は、CPU51、ASIC52、RAM53及び不揮発性メモリー54を備えている。CPU51は、不揮発性メモリー54に記憶された制御プログラム(例えばファームウェア用プログラム)を実行することにより、印刷系・操作系・表示系等の各種制御を司る。特に本実施形態では、CPU51が不揮発性メモリー54に記憶された図11にフローチャートで示す発熱制限制御用プログラムを実行することにより、電源装置40及びモーター25,31,32の発熱温度をなるべく限界温度(規格許容温度)以下に抑えるように各々の発熱を制限する発熱制限制御を行う。また、RAM53には、印刷データ及びCPU51の演算結果などが一時的に記憶される。
また、図3に示すように、不揮発性メモリー54には、電源休止時間テーブルT1及び解除温度テーブルT2が記憶されている。これらのテーブルT1,T2は、発熱制限制御で使用される。ここで、本実施形態における発熱制限制御では、モーター25,31,32の電流値から計算した発熱温度dTsumMn(但しnは3つのモーター25,31,32を区別する添字であってn=1,2,3)に基づいて、モーター25,31,32及び電源装置40をそれぞれの限界温度以下に適切な温度勾配で降下させるためにキャリッジモーター25の駆動前に設定すべき休止時間TWMn,TWPを演算する。そして、演算した休止時間TWMn,TWPのうち一番長いものを休止時間TWとしてキャリッジモーター25の駆動前に設定する。このとき電源装置40の発熱温度をなるべく電源限界温度以下に抑えるための電源休止時間TWPは、各モーター25,31,32のモーター負荷MLと記録ヘッド26のヘッド稼働率Hdとに基づいて電源休止時間テーブルT1(図6参照)を参照して決定される。発熱制限制御が一旦開始されると、その発熱制限制御は発熱温度dTsumMnが解除温度dToffを超えているうちは継続され、発熱温度dTsumMnが下降して解除温度dToffに達すると解除される。この解除温度dToffは、モーター負荷MLとヘッド稼働率Hdとに基づいて解除温度テーブルT2(図7参照)を参照することにより決定される。
CPU51は、表示駆動回路42を介して表示装置17に接続されている。CPU51は、プリンター11の状態や操作の有無を監視し、その監視内容に応じた表示制御信号を表示駆動回路42に出力することにより表示装置17の表示部に、メニューや印刷条件設定画面、印刷画像、報知画像などを表示する。
CPU51は、ヘッド駆動回路43を介して記録ヘッド26に接続されている。CPU51は、ホスト装置(図示せず)から受信した印刷データを展開して得られたヘッド制御データ(ビットマップデータ)と噴射制御信号とをヘッド駆動回路43に出力することにより、記録ヘッド26にノズル毎に設けられた噴射駆動素子(例えば圧電素子)に噴射駆動パルス(電圧パルス)を印加する。噴射駆動素子は、印加された噴射駆動パルスに応じた振動をノズルと連通するインク室に与えてインク室を膨張・圧縮させることによりノズルからインク滴を噴射する。
また、CPU51は、モーター駆動回路44を介してキャリッジモーター25に接続されている。CPU51は、モーター駆動回路44にPWM信号を出力することによりキャリッジモーター25を駆動制御する。このとき、キャリッジモーター25にはPWM信号のデューティ比に応じた駆動電圧が印加され、この駆動電圧に応じた電流が流れる。
また、CPU51は、モーター駆動回路45を介して給送モーター31に接続されている。CPU51は、モーター駆動回路45にPWM信号を出力することにより給送モーター31を駆動制御する。このとき、給送モーター31にはPWM信号のデューティ比に応じた駆動電圧が印加され、この駆動電圧に応じた電流が流れる。また、CPU51は、モーター駆動回路46を介して搬送モーター32に接続されている。CPU51は、モーター駆動回路46にPWM信号を出力することにより搬送モーター32を駆動制御する。このとき、搬送モーター32にはPWM信号のデューティ比に応じた駆動電圧が印加され、この駆動電圧に応じた電流が流れる。なお、各モーター25,32には、CPU51が各モーター駆動回路44,46に出力する方向指令信号に応じた向きの電流が流れ、各モーター25,32は方向指令信号に応じて正転又は逆転する。なお、CPU51は、クリーニング実施条件が成立したときには、メンテナンス装置35を駆動させるために搬送モーター32を逆転させる。
CPU51は、リニアエンコーダー29からのパルス信号を基にキャリッジ22の移動方向、すなわちキャリッジ22が往動か復動かを把握する。CPU51は、キャリッジ22の位置を管理する不図示のCRカウンターを備え、キャリッジ22が原点位置にあるときにCRカウンターをリセットする。そして、キャリッジ22の往動時にパルスエッジを検知する度にCRカウンターの計数値をインクリメントするとともに、その復動時にパルスエッジを検知する度にCRカウンターの計数値をデクリメントすることにより、その計数値から主走査方向Xにおけるキャリッジ位置を把握する。キャリッジモーター25の速度制御は、キャリッジ22の起動位置を基準とするキャリッジ位置と速度指令値との対応関係を示す速度制御テーブル(図示せず)を参照して、キャリッジ位置に対応する速度指令値を取得し、その速度指令値に応じたデューティ比のPWM信号を生成してモーター駆動回路44に出力することにより行われる。
CPU51は、予め決められた給送用の速度プロファイルに従って用紙Pを給送するための速度指令値に応じたデューティ比のPWM信号をモーター駆動回路45に出力することにより、給送モーター31を駆動制御する。また、CPU51は、給送中に紙検出センサー48が用紙Pの先端を検知した際に不図示の第1搬送カウンターをリセットし、その後、第1搬送カウンターがロータリーエンコーダー49から入力するパルス信号のパルスエッジ数を計数することにより、その計数値から用紙Pの搬送位置を認識する。また、CPU51は、用紙Pの搬送開始時に不図示の第2搬送カウンターをリセットし、この第2搬送カウンターがロータリーエンコーダー49から入力するパルス信号のパルスエッジ数を計数することにより、その計数値から用紙Pの搬送開始位置からの搬送位置を認識する。
不揮発性メモリー54には、用紙Pの搬送過程における速度プロファイルを決める搬送位置と速度指令値との対応関係を示す搬送用速度制御テーブル(図示せず)が、各目標搬送速度(定速度)毎に複数記憶されている。CPU51は、要求搬送量に応じた目標搬送速度の搬送用速度制御テーブルを選択し、その選択した搬送用速度制御テーブルを参照してその時々の搬送位置に応じた速度指令値を取得し、その速度指令値に応じたデューティ比のPWM信号をモーター駆動回路46に出力する。これにより搬送モーター32は要求搬送量に応じた目標搬送速度で搬送用の速度プロファイルに従って速度制御される。
各モーター駆動回路44〜46は、例えば複数個のトランジスターを有するスイッチング回路を備えており、PWM信号に基づいてトランジスターをオン・オフさせることで、各モーター25,31,32にPWM信号のデューティ比に応じた駆動電圧を印加する。そして、各モーター25,31,32には、その印加された駆動電圧に応じたモーター電流が流れる。つまり、モーター電流はPWM信号のデューティ比に比例する値となる。
図5は、CPU51が図11に示す発熱制限制御用プログラムを含む所定のプログラムを実行することによりコンピューター41内に構築される機能ブロックを示す。図5に示すように、コンピューター41は、主制御部60、表示制御部61、ヘッド制御部62、キャリッジ制御部(以下、「CR制御部63」と記す。)、給送制御部(以下、「ASF制御部64」と記す。)、搬送制御部(以下、「PF制御部65」と記す。)及び発熱制限制御部66を備える。
主制御部60は、プリンター11の印刷系、操作系、表示系などの各種制御を統括的に司る。主制御部60は、ホスト装置から受信した印刷データ中に印刷条件情報の1つとして含まれる印刷モードを管理する印刷モード管理部60aを備える。
表示制御部61は、表示駆動回路42を介して表示装置17の表示制御を行う。詳しくは、表示制御部61は、主制御部60の指示に従い、各種の画像の表示データを表示駆動回路42に出力することにより、表示装置17に印刷画像、メニュー画面及び報知画面などを表示させる。
ヘッド制御部62は、ヘッド駆動回路43を介して記録ヘッド26を制御する。詳しくは、ヘッド制御部62は、主制御部60の指示に従い、印刷データに含まれる印刷画像データを所定のヘッド対応形式に変換したヘッド制御データと噴射制御データとをヘッド駆動回路43に出力することにより、記録ヘッド26のインク噴射制御を行う。ヘッド制御データは1ドットが例えば2ビットで表されたビットマップデータであり、そのドット値は印刷ドットサイズに応じて、大ドット「11」、中ドット「10」、小ドット「01」、噴射なし「00」の値をもつ。ヘッド駆動回路43には、電圧の異なる複数の電圧パルスを含む駆動信号が噴射タイミングと同周期で入力されている。噴射制御データは、ドット値と駆動信号中の選択すべき電圧パルスとの対応関係を示すデータである。ヘッド駆動回路43中のノズル毎のスイッチ回路は、ヘッド制御部62から入力したヘッド制御データのドット値と噴射制御データとに基づき所定のタイミングでオンすることで駆動信号中の指定の電圧パルスを選択し、その選択した電圧パルスが噴射駆動素子に印加される。これにより噴射駆動素子は電圧パルスに応じた量だけ振動板を変位させ、その振動板の変位に応じたサイズのインク滴が記録ヘッド26のノズルから噴射される。このように記録ヘッド26のノズルからはヘッド制御データの各ドット値(2ビット値)に応じたサイズのインク滴が噴射される。なお、記録ヘッド26から噴射されるインク滴のサイズ(すなわちドットサイズ)は大・中・小の3種類に限定されず、1種類、2種類(大と小)、4種類以上であってもよい。
CR制御部63は、PWM信号を生成するPWM回路(図示せず)を内蔵する。CR制御部63は、不揮発性メモリー54に記憶されたキャリッジ用速度制御テーブルを参照して、キャリッジ位置に応じた速度指令値を取得し、その速度指令値に応じたデューティ比のPWM信号をPWM回路により生成する。そして、CR制御部63は、その生成したPWM信号をモーター駆動回路44に出力することによりキャリッジモーター25を駆動制御する。
ASF制御部64は、PWM信号を生成するPWM回路(図示せず)を内蔵する。ASF制御部64は、不揮発性メモリー54に記憶された給送用速度テーブルを参照して、給送位置に応じた速度指令値を取得し、その速度指令値に応じたデューティ比のPWM信号をPWM回路により生成する。そして、ASF制御部64は、その生成したPWM信号をモーター駆動回路45に出力することにより給送モーター31を駆動制御する。
PF制御部65は、PWM信号を生成するPWM回路(図示せず)を内蔵する。PF制御部65は、不揮発性メモリー54に記憶された搬送用速度制御テーブルを参照して、搬送位置に応じた速度指令値を取得し、その速度指令値に応じたデューティ比のPWM信号をPWM回路により生成する。そして、PF制御部65は、その生成したPWM信号をモーター駆動回路46に出力することにより搬送モーター32を駆動制御する。
発熱制限制御部66は、プリンター11が電源投入直後に実行する初期設定動作において、各モーター25,31,32の負荷(モーター負荷)を測定する負荷測定部70を備える。負荷測定部70は、CR制御部63、ASF制御部64及びPF制御部65に、予め決められた設定速度プロファイルに従って試動させる指示を送る。CR制御部63は、負荷測定部70からの指示に従ってキャリッジモーター25を駆動してキャリッジ22を設定速度プロファイルに従って主走査方向Xに試走させる。また、ASF制御部64は、負荷測定部70からの指示に従って給送モーター31を設定速度プロファイルに従って所定回転量だけ試動させる。さらにPF制御部65は、負荷測定部70からの指示に従って搬送モーター32を設定速度で所定回転量だけ試動させる。
各モーター25,31,32は印刷時に使用される複数のうちの1つの速度プロファイルで駆動され、このとき各モーター25,31,32には図4に示すプロファイルのモーター電流IMnが流れる。負荷測定部70は、各制御部63〜65が出力するPWM信号又はPWM信号を生成するための指令値(例えば速度指令値)を取得する。このとき、負荷測定部70は、モーターの回転開始位置からの回転量(例えばエンコーダーパルスエッジ数)に応じて設定速度プロファイル中の定速領域のうち特にモーター電流IMnが安定するモーター負荷測定区間(図4参照)でモーター25,31,32のモーター電流IMnを逐次取得する。そして、負荷測定部70は、モーター25,31,32毎に逐次取得した複数のモーター電流IMnの平均値をそれぞれ計算し、各平均電流値を各モーター25,31,32のモーター負荷MLとして取得する。モーター負荷MLは各モーター25,31,32及び動力伝達系の経年変化や湿度などの環境などに依存して変化する。また、キャリッジモーター25のモーター負荷は、インクカートリッジ27のインク残量によっても変化する。また、給送モーター31のモーター負荷は、給紙カセット14中の用紙群の積載厚さの違いによって給紙ローラーが用紙表面を押す付勢力が違うので、給紙カセット中の用紙の積載厚さに依存しても変化する。そして、モーター負荷MLが大きい場合は、モーター25,31,32を目標速度で駆動させるために、より多くのモーター電流IMnが流れ、電源装置40がより発熱し易くなる。
また、発熱制限制御部66は、キャリッジモーター25の発熱温度dTsumM1を演算するCR蓄熱量演算部71、給送モーター31の発熱温度dTsumM2を演算するASF蓄熱量演算部72、及び搬送モーター32の発熱温度dTsumM3を演算するPF蓄熱量演算部73を備える。ここで、発熱温度dTsumMnとは、プリンター11が電源オンされてからモーター25,31,32に流れた電流により発熱したモーター25,31,32の温度上昇分の温度である。よって、発熱温度dTsumMnは、プリンター11の電源オン時からモーター25,31,32に蓄熱された蓄熱量に比例する値をもつ。
なお、プリンター11の電源オン時における初期温度(例えば室温)に、プリンター11が電源オンされてからモーター25,31,32に流れた電流により発熱したモーター25,31,32の温度上昇分(つまり発熱温度dTsumMn)を加えた温度T(℃)を、発熱温度dTsumに替えて採用し、発熱制限制御を行ってもよい。この場合、プリンター11の電源オフ後も一定時間の間は温度Tの計算を継続し、一定時間内に次回の電源オンがなされれば、その計算した温度Tを初期温度とする構成も採用できる。このように蓄熱量に関する蓄熱情報は、モーター25,31,32等のアクチュエーターの温度T(℃)でもよいし、発熱温度に替えて蓄熱量そのものを採用してもよい。
また、発熱制限制御部66は、各蓄熱量演算部71〜73の演算結果である発熱温度dTsumMnが各々の閾値dTmaxMn(但しn=1,2,3)を超えるか否かを判定する第1〜第3判定部74〜76と、第1〜第3判定部74〜76の各判定結果に応じた休止時間TWMn(但しn=1,2,3)をそれぞれ演算する第1〜第3休止時間演算部77〜79とを備える。さらに発熱制限制御部66は、ヘッド稼働率情報を取得するヘッド稼働率取得部80と、解除温度dToffを取得する解除温度取得部81と、電源休止時間TWPを取得する電源休止時間取得部82とを備える。
また、発熱制限制御部66は、各休止時間演算部77〜79の演算結果である各休止時間TWMnと、電源休止時間取得部82が取得した電源休止時間TWPとを比較してそのうち一番長いものを休止時間TWとして決定する比較部83、及び比較部83が決定した休止時間TWをキャリッジモーター25の駆動前に休止を入れる待ち時間として設定する休止時間設定部84とを備える。なお、本実施形態では、各蓄熱量演算部71〜73がそれぞれ演算部の一例を構成し、第1〜第3判定部74〜76がそれぞれ判定部の一例を構成する。また、各休止時間演算部77〜79が第1の休止時間取得部の一例を構成し、電源休止時間取得部82が第2の休止時間取得部の一例を構成する。さらに解除温度取得部81が補正部の一例を構成する。そして、発熱温度dTsumMn(但しn=1,2,3)が蓄熱情報の一例となる。また、閾値dTmaxMnが第1の制御値の一例に相当し、解除温度dToffが第2の制御値の一例に相当する。
上述のとおり、CR制御部63、ASF制御部64及びPF制御部65は、各々が生成したPWM信号をモーター駆動回路44〜46にそれぞれ出力することで、各モーター25,31,32を速度制御する。このとき各モーター25,31,32の電流値は、これらの制御のために出力されたPWM信号のデューティ比に比例する。このため、本実施形態では、各モーター25,31,32の発熱温度の計算に使用する各電流値を取得するため、各制御部63〜65は単位時間(例えば1ミリ秒)毎にそれぞれ対応する各蓄熱量演算部71〜73へPWM信号のデューティ比を送る。
そして、各蓄熱量演算部71〜73は、単位時間(例えば1ミリ秒)毎に各制御部63〜65から取得したPWM信号のデューティ比を基に各モーター25,31,32のモーター電流値IMn(但しn=1,2,3)を計算する。モーター電流値IMnは、式 IMn=IMnmax×D により与えられる。ここで、IMmaxはモーター最大電流値、Dはデューティ比(=パルス幅/PWM周期)である。なお、本実施形態では、キャリッジモーター25の電流値IM1、給送モーター31の電流値IM2、搬送モーター32の電流値IM3とする。
そして、単位時間毎の電流値I(IMn等)を基に60秒毎の実効電流値Ieを計算する。実効電流値Ieは次式で表される。
Ie=√{(I12・t+I22・t+…+Ik2・t)/60} … (1)
ここで、tは単位時間であり、例えば1ミリ秒である。上記(1)式中のIに、モーター電流値IMnを代入することにより、各モーター25,31,32の実効電流値Ieを計算する。
さらに各蓄熱量演算部71〜73は、実効電流値Ieに基づいて各モーター25,31,32の60秒間の発熱量を演算する。一般に発熱量はQ=J・Wで与えられる。ここで、Jはある仕事Wを発熱に換算する係数である。また、仕事W=I・R・tで与えられるので、発熱量Qは、Q=I・R・t・Jとなる。ここで、Rはモーターの巻線の抵抗(定数)である。本実施形態では、発熱量Qを以下の(2)式に従って計算する。
Q=J・R・Ie2・60 … (2)
なお、JとRは定数で、Q∝I・tの関係があるので、I・tを発熱量Qとみなしてもよい。
次に各蓄熱量演算部71〜73は、発熱量Qを基に発熱温度dTsumを演算する。単位時間(例えば60秒)当たりの発熱温度dTnew は、発熱量Qを温度に変換する変換係数Kaを用いて、dTnew =Ka・Qにより計算される。発熱温度dTsum が放熱曲線に沿って下降し60秒後に達する発熱温度dTold は、放熱係数Kを用いて、dTold =K・dTsum で表される。よって、モーターの最新の発熱温度dTsum (総発熱温度)は、前回の発熱温度dTsum に放熱係数Kを掛けた値に、最新(直近60秒間)の発熱温度dTnew を加えることにより、以下の(3)式で与えられる。
dTsum =K・dTsum +dTnew … (3)
ここで、放熱係数Kは、キャリッジ駆動中の発熱系であるか、キャリッジ停止中の放熱系であるかによって異なる値をとる。本実施形態では、一例として直近の所定時間内におけるキャリッジ移動回数Ncrを計数し、キャリッジ移動回数Ncrが設定回数No以上のときは発熱系の放熱係数Kを使用し、キャリッジ移動回数Ncrが設定回数No未満のときは、放熱系の放熱係数Kを使用する。なお、この発熱温度dTsum はモーター25、31,32の通電による蓄熱量を発熱温度に変換した値に相当する。このため、前回の蓄熱量に今回の発熱量を加算すると、今回の蓄熱量が求まることになるので、今回の蓄熱量を求めてからこの蓄熱量を温度に換算して発熱温度を求めてもよい。つまり、蓄熱量dQsum =K・dQsum +dQnew を演算し、蓄熱量dQsumを温度に変換する変換係数Kaを乗じて、発熱温度dTsumを演算する。各蓄熱量演算部71〜73は、モーターの発熱温度dTsumMn(但しn=1,2,3)を演算すると、その演算した発熱温度dTsumMnをそれぞれ第1〜第3判定部74〜76に送る。
第1〜第3判定部74〜76は、発熱温度dTsumMnがそれぞれの閾値dTmaxMn(但しn=1,2,3)を超えたか否かを判定する。すなわち、第1判定部74は、キャリッジモーター25の発熱温度dTsumM1が第1閾値dTmaxM1を超えたか否かを判定する。第2判定部75は、給送モーター31の発熱温度dTsumM2が第2閾値dTmaxM2を超えたか否かを判定する。第3判定部76は、搬送モーター32の発熱温度dTsumM3が第3閾値dTmaxM3を超えたか否かを判定する。また、第1〜第3判定部74〜76は、発熱温度dTsumMnのうち少なくとも1つが対応する閾値dTmaxMを超えたことを条件に開始される発熱制限制御の実行中に、発熱温度dTsumMnが解除温度dToff以下になったか否かを判定する判定処理も行う。詳しくは、第1〜第3判定部74〜76は、発熱温度dTsumMnがそれぞれの閾値dTmaxMを超えたときに開始される発熱制限制御の実行条件(以下「発熱制限実行条件」という。)が成立していることを発熱フラグFn(但しn=1,2,3)=1として管理する。そして、第1〜第3判定部74〜76は、dTsumMn>dTmaxMn(第1条件)と、発熱フラグFn=1かつdTsumMn>dToff(第2条件)とのうちいずれか一方が成立しているときに発熱フラグFn=1とし、第1条件及び第2条件が共に不成立のときに発熱フラグFn=0にする。
第1〜第3休止時間演算部77〜79は、それぞれ対応する第1〜第3判定部74〜76の判定結果である発熱フラグFnの値に応じたそれぞれモーター休止時間TWMn(つまりTWM1,TWM2,TWM3)を演算する。詳しくは、第1〜第3休止時間演算部77〜79は、モーター休止時間TWMnを、式 TWMn=TMcr・WMnにより計算する。ここで、TMcrは、キャリッジモーター25が前回1パス分の駆動を行ったときの駆動時間である。このキャリッジモーター25の1パス分の駆動時間TMcrは、コンピューター41が備える不図示のタイマーにより計時する。また、WMnは、モーター休止時間TWMnを決めるための休止率である。本実施形態では、前回のキャリッジモーター25の駆動時間TMcrが長いほど、キャリッジモーター25の駆動前に設定すべき休止時間TWMnを長くするように、駆動時間TMcrに対する休止時間TWMnの率を表す休止率WMnを設定している。なお、発熱フラグFn=0の場合は、休止率WMnは「0」に設定される。
ここで、休止率WMn(>0)の決め方を説明する。図8(a)は、時間tと発熱温度dTsumとの関係を示す。図8(a)に示すように、例えば時刻tnでの発熱温度dTsum(tn)が閾値dTmaxを超えている場合に、その超えた差分ΔdT(=dTsum−dTmax)(>0)が大きいほど、休止時間TWMnを長く設定するようにしている。すなわち、図8(b)に示すように、各休止時間演算部77〜79は、差分ΔdTの一次関数の式 Wp=A・ΔdT+Bにより休止率Wpを計算する。詳しくは、各休止時間演算部77〜79は、休止率WMnを、式 WMn=An・ΔdT+Bnにより計算する。ここで、WMn(但しn=1,2,3)はモーター25,31,32毎の休止率であり、定数An,Bn(但しn=1,2,3)は、モーター25,31,32毎の定数である。そして、各休止時間演算部77〜79は、キャリッジモーター25の前回の駆動時間TMcrに休止率WMnを乗じて、休止時間TWMn(=TMcr・WMn)を計算する。こうして各休止時間演算部77〜79は各休止時間TWM1,TWM2,TWM3を算出すると、各休止時間TWM1,TWM2,TWM3を比較部83へ送る。
一方、ヘッド稼働率取得部80は、記録ヘッド26がノズル毎に有する720個(=180個/色×4色)の噴射駆動素子(例えば圧電素子)の稼働率であるヘッド稼働率Hd(ヘッドデューティ比)に関するヘッド稼働率情報を取得する。記録ヘッド26の電流値Ihは、印刷モード及び印刷画像データから決まるヘッド稼働率Hdに応じて変化する。本実施形態のヘッド稼働率取得部80は、印刷画像データは考慮せず、ヘッド稼働率情報を印刷モードで代用する。
ここで、印刷モードには、印刷品質よりも印刷速度を優先するドラフト印刷モード、印刷速度よりも印刷品質を優先する高画質印刷モード、ドラフト印刷モードと高画質印刷モードとの中間の普通印刷モードとがある。本実施形態では、印刷モードによって記録ヘッド26の印刷解像度(記録解像度)が規定される。ドラフト印刷モードは、印刷解像度が低く、記録ヘッド26がノズルから噴射する単位時間当たりの噴射回数(噴射頻度)が相対的に少なくなる(つまり噴射周期が長い)ので、ヘッド稼働率が相対的に低くなる傾向にある。また、高画質印刷モードは、印刷解像度が高く、記録ヘッド26の単位時間当たりの噴射回数(噴射頻度)が相対的に多い(つまり噴射周期が短い)ので、ヘッド稼働率が相対的に高くなる傾向にある。そして、普通印刷モードは、印刷解像度がドラフト印刷モードと高画質印刷モードとの略中間で、記録ヘッド26の単位時間当たりの噴射回数(噴射頻度)も中ぐらい(つまり噴射周期も中ぐらい)なので、ヘッド稼働率が中ぐらいになる傾向にある。
電源休止時間取得部82は、モーター負荷MLとヘッド稼働率情報とに基づいて電源休止時間TWPを取得する。ヘッド稼働率情報として印刷モードを採用する本実施形態では、電源休止時間取得部82は、モーター負荷MLと印刷モードとを基に図6に示す電源休止時間テーブルT1を参照し、モーター負荷MLと印刷モードとに応じた電源休止時間TWPを取得する。ここで、図6に示すように、電源休止時間TWPは、モーター負荷MLが大きいほど長く、かつヘッド稼働率Hdの大きい印刷モードほど長くなるように設定されている。図9に示すグラフは、モーター負荷MLと電源休止時間TWPとの関係を示すもので、電源休止時間TWPはモーター負荷MLが大きいほど長くなるように設定されている。この電源休止時間テーブルT1は各モーター25,31,32に対応して1つずつ用意されている。
図5に示す解除温度取得部81は、モーター負荷MLとヘッド稼働率情報とに基づいて解除温度dToffを取得する。ヘッド稼働率情報として印刷モードを採用する本実施形態では、解除温度取得部81は、モーター負荷MLと印刷モードとを基に、図7に示す解除温度テーブルT2を参照して解除温度dToffを取得する。換言すれば、補正部の一例である解除温度取得部81は、モーター負荷MLと印刷モードとを基に、解除温度テーブルT2を参照して解除温度dToffを選択することで、第2制御値の一例である解除温度dToffを補正する。ここで、図7に示すように、解除温度dToffは、モーター負荷MLが大きいほど高く、かつヘッド稼働率Hdの小さい印刷モードほど高くなるように設定されている。図10に示すグラフは、モーター負荷MLと解除温度dToffとの関係を示すもので、解除温度dToffはモーター負荷MLが大きいほど高くなるように設定されている。これは、モーター負荷MLが大きいほどモーター電流IMnが電源電流Ipに占める割合が大きく、キャリッジモーター25の休止によって他のモーター31,32が休止するときのその休止中における電源電流低下割合(%)が大きいからである。この解除温度テーブルT2は各モーター25,31,32に対応して1つずつ用意されている。
比較部83は、各休止時間TWM1,TWM2,TWM3,TWPを比較し、このうち一番長いものを休止時間TWとして決定する。比較部83は、決定した休止時間TWを休止時間設定部84に設定する。
CR制御部63は、休止時間設定部84に設定された休止時間TWを読込み、キャリッジモーター25の駆動前に休止時間TWを設定することで、その駆動前に休止時間TWを待った後にキャリッジモーター25の駆動を開始するようになっている。この休止時間TWの待ち(休止)が入ることにより、電源装置40及び各モーター25,31,32の発熱が制限される。ここで、キャリッジモーター25及び記録ヘッド26による印字動作と、給送モーター31及び搬送モーター32による搬送動作とは、主制御部60の指示に従って各制御部62〜65がシーケンス制御を行うことで交互に実施される。このため、発熱制限対象の1つであるキャリッジモーター25の駆動前に休止時間TWの休止が入ることは、他の発熱制限対象である給送モーター31及び搬送モーター32の駆動の合間に休止時間TWの休止を入れることにもなっている。なお、発熱制限制御の開始後、発熱温度dTsumが解除温度dToffまで降下すると、発熱制限制御が解除され、CR制御部63はキャリッジモーター25をその駆動前に休止を入れないように駆動制御する。
次に、本実施形態のプリンター11の作用を説明する。
プリンター11は電源オンされると、コンピューター41内の負荷測定部70は、初期動作の1つとしてモーター負荷MLを測定する負荷測定処理を行う。詳しくは、負荷測定部70は、各制御部63〜65に負荷測定処理を指示し、指示された各制御部63〜65はモーター25,31,32を駆動させて定速領域における一定電流となる領域の電流値をPWM信号のデューティ比から逐次演算し、これら逐次演算した電流の平均値を演算し、この電流平均値をモーター負荷MLとする。測定されたモーター負荷MLは、RAM53に記憶される。なお、初期動作中においてモーター25,31,32を駆動しているときには、図11中のステップS2〜S5の処理と同様の処理が行われ、初期動作中にもモーター25,31,32の駆動によるモーター発熱温度dTsumMnが演算される。
そして、初期動作終了後、図11にフローチャートで示される発熱制限制御用プログラムを実行する。プリンター11の電源オン中において、ホスト装置から印刷データを受信すると、プリンター11はその受信した印刷データに基づく印刷を開始する。コントローラー39内のコンピューター41は、印刷データを解釈して得たコマンドに従って、用紙Pの給送、搬送、記録及び排紙を制御する。まず給送のコマンドに従って、給送モーター31及び搬送モーター32を駆動して用紙Pを印刷開始位置まで給送する。給送後、キャリッジ22が主走査方向Xに移動しながら記録ヘッド26からインク滴を噴射して用紙Pに1パス分の記録を行う記録動作と、用紙Pを次の記録位置まで要求搬送量だけ搬送する搬送動作とが交互に行われ、用紙Pへの印刷データに基づく画像の印刷が進められる。
プリンター11の印刷動作中における記録ヘッド26及び各モーター25,31,32は、それぞれを駆動させるために流れる電流Ih,IMnによりそれぞれ発熱する。このとき電源装置40には、記録ヘッド26及び各モーター25,31,32を流れる各電流Ih,IMnの合計にほぼ等しい電源電流Ipが流れ、電源装置40も発熱する。本実施形態では、電源装置40及び各モーター25,31,32の発熱をなるべく限界温度以下に抑えるように発熱制限制御が行われる。なお、電源電流Ipには、表示装置17、コンピューター41、USBI/F47a、カードI/F47b及びセンサー29,48,49等の非動力系の負荷を流れる電流も含まれる。
以下、発熱制限制御について図11に基づいて説明する。なお、図11のフローチャートでは、処理サイクルの異なるステップも一部混在している。
まずステップS1では、モーター負荷情報及びヘッド稼働率情報から、休止時間TWP及び解除温度dToffを確定する。ここで、負荷測定部70は、初期動作で測定した各モーター25,31,32のモーター負荷MLを、モーター負荷情報として解除温度取得部81及び電源休止時間取得部82に送る。また、ヘッド稼働率取得部80は、主制御部60の印刷モード管理部60aが印刷データ中の印刷条件情報から取得して管理する印刷モードを印刷モード管理部60aから取得し、その取得した印刷モードをヘッド稼働率情報として解除温度取得部81及び電源休止時間取得部82に送る。
そして、電源休止時間取得部82は、モーター負荷MLと印刷モードとを基に、電源休止時間テーブルT1(図6)を参照して、電源休止時間TWPを取得する。印刷モードには、ヘッド稼働率Hdの小さいドラフト印刷モード、ヘッド稼働率Hdの中ぐらいの普通印刷モード、ヘッド稼働率Hdの大きい高画質印刷モードの3つがある。電源休止時間取得部82は、モーター負荷MLが大きいほど、かつヘッド稼働率Hdの大きい印刷モードほど、より長い電源休止時間TWPを確定する。この電源休止時間TWPは、電源装置40の発熱温度が限界温度を超えた場合でも、その発熱温度を速やかに電源上限温度以下に降下させることが可能な休止時間である。
また、解除温度取得部81は、モーター負荷MLと印刷モードとを基に、解除温度テーブルT2(図7)を参照して、解除温度dToffを取得する。このとき、解除温度取得部81は、モーター負荷MLが大きいほど、かつヘッド稼働率Hdの小さい印刷モードほど、より高い解除温度dToffを確定する。
次のステップS2では、単位時間(1ミリ秒)毎にモーター電流を計算する。各蓄熱量演算部71〜73が、各制御部63〜65から取得したPWM信号のデューティ比に基づきモーター電流値IMnを計算する。
ステップS3では、モーター実効電流を計算する(60秒毎)。このモーター実効電流IeMnは、モーター電流値IMnを用いて前記(1)式に基づいて計算する。
次のステップS4では、モーター発熱量を計算する(60秒毎)。このモーター発熱量QMnは、モーター実効電流値IeMnを用いて前記(2)式に基づいて計算する。
ステップS5では、モーター発熱温度dTsumMnを計算する(60秒毎)。このモーター発熱温度dTsumMnは、モーター発熱量QMnを用いて前記(3)式に基づいて計算する。以上のステップS2〜S5の演算処理は、各蓄熱量演算部71〜73が行う。
ステップS6では、発熱フラグを確定する(60秒毎)。すなわち、第1〜第3判定部74〜76が、各モーター25,31,32に対応する発熱フラグFn(但しn=1,2,3)を「1」にすべき発熱制限実行条件が成立するか否かを判定する。詳しくは、各判定部74〜76が、発熱温度dTsumMnが閾値dTmaxMnよりも大きい(dTsumMn>dTmaxMn)という第1条件と、発熱フラグF=1かつ発熱温度dTsum>dToffという第2条件とのうちいずれか一方が成立するか否かを判定する。ここで、第1条件は、発熱制限制御の開始条件であり、第2条件は、発熱制限制御実行中において解除条件が不成立であることを判定する条件である。第1条件と第2条件が共に不成立(つまり発熱制限実行条件が不成立)であればステップS7に進み、第1条件と第2条件とのうちいずれか一方が成立(つまり発熱制限実行条件が成立)すればステップS8に進む。なお、この発熱フラグの確定処理は、各モーター25,31,32の発熱温度dTsumMn(n=1,2,3)毎に行われる。
ステップS7では、発熱フラグFn=0にする。
ステップS8では、発熱フラグFn=1にする。
ステップS9では、発熱フラグFn=1であるか否かを判定する休止判定を行う(60秒毎)。この休止判定は各判定部74〜76が行う。Fn=0であればステップS10に進み、Fn=1であればステップS11に進む。なお、この休止判定処理は発熱フラグFn(n=1,2,3)毎に行われる。
ステップS10では、休止率WMn=0を設定する。
一方、ステップS11では、休止率WMn=An・ΔdTn+Bnを計算する。すなわち、差分ΔdTn=dTsumMn−dTmaxMnを求め、この差分ΔdTnを上記一次関数の式に代入して休止率WMnを計算する。
そして、ステップS12では、モーター休止時間TWMn=TMcr・WMnを計算する。このとき、休止率WMn=0の場合は、モーター休止時間TWMn=0になる。
ステップS13は、休止時間設定処理でキャリッジモーター25の駆動毎に行われる。この休止時間設定では、ステップS12で60秒毎に計算された各モーター休止時間TWMnと、ステップS1で確定された電源休止時間TWPとのうち一番長いものを休止時間TWとしてキャリッジモーター25の駆動前に設定する。
このため、発熱温度dTsumMnのうち少なくとも1つが対応する閾値dTmaxMnを超えた場合、キャリッジモーター25の駆動前に休止時間TW(>0)が設定される。この結果、キャリッジモーター25は休止時間TWの休止を待った後にその駆動が開始される。ところで、プリンター11の印刷動作中に記録ヘッド26、モーター25,31,32及び電源装置40を流れる各電流は、印刷モードや印刷画像データ等に依存する。このため、記録ヘッド26、モーター25,31,32及び電源装置40の各発熱温度も、印刷モードや印刷画像データ等に依存する。また、モーター25,31,32の発熱温度dTsumMnが閾値dTmaxMnを超えたときに設定されるモーター休止時間TWMnは、差分ΔdT(=dTsumMn−dTmaxMn)に応じた値とされる。このようにモーター休止時間TWMnと電源休止時間TWPとの大小関係は、上記の種々の要因及びプリンター11の機種の要因などに依存する。
例えば電源休止時間TWPがモーター休止時間TWMnよりも長い場合、電源休止時間TWPが休止時間TWとして設定される。この電源休止時間TWPは、電源装置40の発熱温度が電源限界温度を超えてもその発熱温度が比較的速やかに電源限界温度以下に降下するように、モーター負荷MLと印刷モードとに応じた値に設定されている。すなわち、モーター負荷MLが大きいほど、かつヘッド稼働率の小さい印刷モードほど、長い電源休止時間TWPが選択されるように電源休止時間TWPが補正される。この結果、電源休止時間TWPが休止時間TWに設定されることにより、仮に電源装置40の発熱温度が電源限界温度を超えていても、比較的速やかに限界温度以下に降下する。また、モーター休止時間TWMnのうちの少なくとも1つが電源休止時間TWPよりも長い場合、モーター休止時間TWMnのうち一番長い1つが休止時間TWとして設定される。そして、キャリッジモーター25の駆動前にこの休止時間TWの休止が入ることで、モーター25,31,32のうち発熱温度dTsumMnが閾値dTmaxMnを超えた少なくとも1つの発熱温度は比較的速やかにその限界温度以下に降下する。このとき差分ΔdTに応じたモーター休止時間TWMnが休止時間TWとして設定されるため、各モーター25,31,32の発熱温度dTsumMnを比較的速やかに限界温度以下に降下させることができる。また、このときの休止時間TWは電源休止時間TWPよりも長いので、仮に電源装置40の発熱温度が電源限界温度を超えていても、キャリッジモーター25の駆動前にその休止時間TW(>TWP)の休止が入ることで、電源装置40の発熱温度も比較的速やかに電源限界温度以下に降下する。
例えばモーター25,31,32の発熱温度dTsumMnが閾値dTmaxMnを超えると(S6でdTsumMn>dTmaxMnが成立)、発熱フラグFn=1とされ、キャリッジモーター25の駆動前に休止時間TWの休止を入れる発熱制限制御が開始される。この発熱制限制御の開始から暫くすると、発熱温度dTsumMnが閾値dTmaxMn以下に降下する。このとき、ステップS6では、第1条件(dTsumMn>dTmaxMn)が不成立となるが、第2条件(Fn=1かつdTsumMn>dToff)が成立するため、発熱フラグFn=1が継続され、発熱制限制御は継続される。なお、本実施形態では、発熱温度dTsumMnの低下と共に差分ΔdTが小さくなり、仮に発熱制限制御開始時にモーター休止時間TWMnが休止時間TWとして設定されていても、発熱温度降下途中で休止時間TWが電源休止時間TWPに切り替わる。もちろん、発熱制限制御開始時の設定休止時間を制御の終了まで維持する構成を採用しても構わない。
そして、発熱温度dTsumMnが解除温度dToffに達すると(dTsumMn≦dToff)、ステップS6において第1条件と第2条件が共に不成立となり(S6で否定判定)、発熱フラグFn=0とされる。この場合、休止判定(S9)の結果、ステップS10に進んで休止率WMn=0とされるため、モーター休止時間TWMn=0とされる(S12)。この結果、キャリッジモーター25の駆動前に休止時間TW(>0)の休止を入れる発熱制限制御が解除される。
図12(a)は、発熱制限制御が行われたときの時間と発熱温度との関係を示すグラフである。図12は、搬送モーター32の発熱温度dTsumM3が閾値dTmax3を超えて発熱制限制御開始条件が成立し、このときモーター負荷MLと印刷モード(ヘッド稼働率情報)とに基づいて選択された電源休止時間TWPが休止時間TWとして設定された例である。図12(a)に示すように、発熱制限制御が開始されてから時間の経過と共に、電源装置40の発熱温度は電源限界温度以下まで比較的速やかに確実に降下し、電源限界温度以下に収まっている。なお、図12(a)のグラフにおいて電源装置40の発熱温度は、発熱制限制御上計算されない値であり、同グラフではシミュレーション結果を示す。
また、図12(b)は、発熱制限制御の際に設定された休止時間TWを示す。図12(b)のグラフから分かるように、発熱温度dTsumが閾値dTmaxを超えると、休止時間TWが設定される。図12(b)の例では、モーター休止時間TWMnよりも長い電源休止時間TWPが設定され、キャリッジモーター25の駆動前に電源休止時間TWPの休止が入る発熱制限制御が行われる。この例では、休止時間TWは1秒前後で推移している。図12(b)のグラフにおいて破線で示す休止時間(約4秒)が設定可能な上限時間であり、上限時間に比べかなり短い休止時間TWで推移している。このため、発熱制限制御実行中も、ユーザーにとってプリンター11の動作に違和感がない。なお、例えば特許文献2に記載のプリンターのようにモーターのみを対象とする発熱熱制限制御では、モーターの発熱温度から決まる休止時間を、電源装置の発熱を抑える分の余裕時間を見込んで長めに設定しておく必要があり、例えば上限時間付近の休止時間が設定されることになっていた。
図13及び図14は、モーター負荷の大小の違いに応じて設定される解除温度が適切であることを説明するグラフである。図13に示すように、モーター負荷「小」の場合は、解除温度テーブルT2(図7)を参照して解除温度dToffが相対的に低く設定される。モーター負荷「小」の場合は、休止の際の電源電流低下割合(%)が小さくても(図10参照)、解除温度dToffが相対的に低く設定されることで、電源装置40の発熱温度は電源限界温度以下まで比較的速やかに降下する。また、図14に示すように、モーター負荷「大」の場合は、解除温度テーブルT2を参照して解除温度dToffが相対的に高く設定される。モーター負荷「大」の場合は、このように解除温度dToffが相対的に高くても、休止の際の電源電流低下割合(%)が大きいので(図10参照)、電源装置40の発熱温度は電源限界温度以下まで比較的速やかに降下する。このため、電源装置40の発熱温度が電源限界温度を超えた状態が比較的長く続く事態を回避できる。
また、電源休止時間TWPの適切性についてもシミュレーションした。モーター負荷「小」の場合は、電源休止時間テーブルT1(図6)を参照して相対的に短い電源休止時間TWPが設定される。モーター負荷「小」の場合、電源装置40を流れる電流が相対的に少なく電源装置40は発熱しにくいので、電源休止時間TWPが短くても電源装置40の発熱温度は電源限界温度以下まで比較的速やかに降下した。また、モーター負荷「大」の場合は、電源休止時間テーブルT1を参照して相対的に長い電源休止時間TWPが設定される。モーター負荷「大」の場合、電源装置40を流れる電流が相対的に多く電源装置40が発熱し易いが、電源休止時間TWPが長いので、電源装置40の発熱温度は電源限界温度以下まで比較的速やかに降下した。これらの場合、比較部83が仮にモーター休止時間TWMn(>TWP)を休止時間TWとして設定しても、このときの休止時間TWは電源休止時間TWPよりも長いので、電源休止時間TWPが休止時間TWとして選択された場合に比べ、電源装置40の温度はより速やかに限界温度まで降下することになる。
以上詳述したように本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)解除温度dToffを補正するので、各モーター25,31,32の発熱制限制御を適切なタイミングで終了(解除)できる。例えばモーター負荷MLが大きいほど解除温度dToffを高くした。よって、モーター負荷MLが大きいことが原因で、発熱温度が必要な温度に降下したにも拘わらず発熱制限制御が解除されない事態を回避できる。また、モーター負荷MLが小さいことが原因で、発熱制限制御が早期に解除されてしまう事態を回避できる。
(2)ヘッド稼働率情報として印刷モードを採用し、ヘッド稼働率の大きい印刷モードほど解除温度を低くした。よって、ヘッド稼働率の大きい印刷モード(例えば高画質印刷モード)で発熱制限が早期に解除されてしまう事態を回避できる。また、ヘッド稼働率の小さい印刷モード(例えばドラフト印刷モード)で、発熱温度が必要なだけ降下しているにも拘わらず発熱制限が解除されない事態を回避できる。
(3)解除温度dToffを、モーター負荷と印刷モード(ヘッド稼働率情報)とに基づいて、モーター負荷MLが大きいほど解除温度dToffを高くし、ヘッド稼働率の大きい印刷モードほど解除温度dToffを低くした。よって、発熱制限制御を、モーター負荷と印刷モードとが考慮された適切なタイミングで解除できる。この結果、発熱制限が早期に解除されてしまい限界温度を超える温度が長期に継続されたり、発熱温度が必要以上に降下したりする不都合を回避できる。
(4)休止時間TWPをモーター負荷MLに基づいて設定するので、各モーター25,31,32及び電源装置40の発熱制限制御を適切に行うことができる。例えばモーター負荷MLが大きいほど休止時間TWを長くした。よって、モーター負荷MLが大きい場合に、発熱制限制御開始後、電源装置40の発熱温度が速やかに限界温度以下に降下しない事態を回避できる。また、モーター負荷MLが小さい場合に、電源装置40の過熱を抑えるために過剰に長い休止時間TWPが設定され、印刷スループットが低下する事態を回避できる。
(5)記録ヘッド26のヘッド稼働率情報として印刷モードを採用し、ヘッド稼働率の大きい印刷モードほど休止時間TWPを長くした。よって、印刷モードが考慮された適切な休止時間を選択して、電源装置40の過熱を抑えることができる。例えばヘッド稼働率の大きい印刷モードで休止時間TWが不足して、発熱制限制御開始後、発熱温度が限界温度以下になかなか降下しない事態を回避できる。また、ヘッド稼働率の小さい印刷モード(例えばドラフト印刷モード)で、休止時間TWが過剰に長くなり、印刷スループットが低下する事態を回避できる。
(6)特に休止時間TWPを、モーター負荷と印刷モード(ヘッド稼働率情報)とに基づいて、モーター負荷MLが大きいほど休止時間TWPを長くし、かつヘッド稼働率の大きい印刷モードほど休止時間TWPを長くした。よって、発熱制限制御開始後、発熱温度が限界温度以下になかなか降下しない事態を回避できる。
(7)電源装置40の発熱温度が電源限界温度を超えた場合にその発熱温度が比較的速やかに電源限界温度以下に降下しうる電源休止時間TWPが選択される電源休止時間テーブルT1を用意した。そして、比較部83が各モーター25,31,32の発熱温度dTsumMnから決まる休止時間TWMnと電源休止時間TWPとのうち一番長いものを休止時間TWとして設定する。よって、電源装置40の発熱温度が電源限界温度を超えた状態が長く継続する事態を回避できる。
(8)記録ヘッド26の稼働率情報として印刷モードを採用したので、記録ヘッド26の稼働率Hdを演算する演算処理が不要である。このため、発熱制限制御を行ううえでCPU51の負担を軽減できる。
(9)各モーター25,31,32の各発熱温度dTsumMnが各々の閾値dTmaxMnを超えたときに、その差分ΔdT(=dTsumMn−dTmaxMn)に応じた休止率WMnを、式 WMn=An・ΔdT+Bnにより計算する。このため、発熱温度dTsumMnが閾値dTmaxMnを超えた差分ΔdTが大きいほど、より長い休止時間TWMnを設定できる。このとき、休止時間TW(秒)を、前回のキャリッジモーター25の1パス分の駆動時間TMcr(秒)に休止率WMnを乗じて計算する(TW=TMcr・WMn)。よって、キャリッジモーター25の前回の駆動による発熱量に応じたより適切な長さの休止時間TWを、今回のキャリッジモーター25の駆動前に設定できる。このため、発熱温度dTsumを適切な温度下降曲線に沿うように降下させることができる。この結果、発熱温度dTsumMnが限界温度を超える期間を比較的短くでき、電源装置40及び各モーター25,31,32を適切な発熱温度で使用できる。
(10)各モーター25,31,32の電流値はモーター制御用のPWM信号のデューティ比から計算するので、電流センサーを不要にできる。また、各モーター25,31,32の電流値からそれぞれの発熱温度dTsumMnを計算するので、温度センサーを不要にできる。従って、プリンター11における検出系の部品点数を少なくして比較的構成を簡単にでき、かつプリンター11の製造コストを比較的安価に抑えることができる。
(第2実施形態)
次に第2実施形態を図15及び図16に基づいて説明する。この第2実施形態のプリンター11は、ヘッド稼働率取得部80がヘッド稼働率Hdを計算して取得する例である。
記録ヘッド26は、第1実施形態で説明したように、3種類のサイズでインク滴を打ち分けて、3種類のサイズのドットを形成する。このとき、1つのノズルに着目した場合、記録ヘッド26にノズル毎に設けられた噴射駆動素子(圧電素子)には、ドットサイズが大きいほど高い電圧の電圧パルスが印加される。このため、噴射駆動素子1個当たりに流れる電流の電流値は、ドットサイズが大きいほど高くなる。本実施形態では、噴射駆動素子の電流値は、ドットサイズ毎に予め分かっている。この既知の電流値を、ドットサイズが大ドット「11」のときの電流値Il、中ドット「10」のときの電流値Im、小ドット「01」のときの電流値Isとする。
ヘッド駆動回路43には、噴射駆動素子と対応するスイッチング素子(図示せず)がノズルと同数内蔵されている。ヘッド駆動回路43には噴射周期毎に駆動パルス信号が入力され、この駆動パルス信号はヘッド駆動回路43内の各スイッチング素子に印加される。駆動パルス信号には、噴射周期の区間内に電圧の異なる複数のパルスが含まれ、本例では時系列の順に第1パルスと第2パルスとの2種類が含まれる。このため、各スイッチング素子には、噴射周期毎に、駆動パルス信号の第1パルスと第2パルスが順次印加される。このとき、スイッチング素子には、噴射周期に同期して、大ドット「11」、中ドット「10」、小ドット「01」、噴射なし「00」で示されるドット値が入力される。各スイッチング素子には、第1パルスが印加されたタイミングでドット値の下1桁が入力され、第2パルスが印加されたタイミングで上1桁が入力さる。スイッチング素子はドット値の各桁の値が「1」のときにオンし、「0」のときにオフする。このため、スイッチング素子がドット値に基づきオン・オフすることで、噴射駆動素子には第1パルスと第2パルスのうちドット値に応じたパルスが印加される。
すなわち、噴射駆動素子には、ドット値が「00」(噴射なし)のときは第1及び第2パルスが共に印加されず、「01」(小ドット)のときは第1パルス(低電圧パルス)のみが印加され、「10」(中ドット)のときは第2パルス(高電圧パルス)のみが印加され、「11」(大ドット)のときは第1及び第2パルスが共に印加される。これにより噴射駆動素子に対応するノズルからは、ドット値が「00」のときは噴射されず、「01」のときは小ドットの量でインク滴が噴射され、「10」のときは中ドットの量でインク滴が噴射され、「11」のときは大ドットの量でインク滴が噴射される。
ノズル列を構成する180個のノズルに対応する180個の噴射駆動素子には、ドット値「00」のときは電流が流れず、ドット値「01」のときは電流Isが流れ、ドット値「10」のときは電流Imが流れ、ドット値「11」のときは電流Ilが流れる(Is<Im<Il)。噴射周期は、印刷モードに応じて決められる。1回の噴射周期で、全て(180個×4色)の噴射駆動素子を流れる電流の電流値は、印刷モードとヘッド制御データ(ドット値)とに基づき決まることになる。
ここで、ヘッド稼働率とは、印刷画像データの全ドット値が大ドット「11」であり、記録ヘッド26の全て(例えば180個×4色)のノズルから最大の噴射力(ドットサイズ「大」)で噴射を行ったときの噴射1回当たりの総電流値を、最大ヘッドデューティHmax(「1」)とする。また、全ノズルのうち印刷に使用される使用ノズル毎の噴射駆動素子に印加されるドット値に応じた電流値を全使用ノズル数で総和した噴射1回当たりの総電流値を、ヘッドデューティHとする。この場合、1噴射周期当たりのヘッドデューティ比Hdは、Hd=H/Hmaxで表される。噴射周期Tjは印刷モードに応じて決まり、高画質印刷モード時の噴射周期を「1」とすると、単位時間当たりのヘッドデューティ比Hdは、Hd=H/(Hmax・Tj)で示される。
ヘッド稼働率取得部80は、例えばヘッド制御データの複数パス分〜1頁分のヘッドデューティ比Hdを計算する。ヘッド稼働率取得部80は、ヘッド制御部62から複数パス分又は1頁分ずつヘッド制御データを受け取り、その受け取ったヘッド制御データ中の各ドットのドット値に基づいてヘッドデューティ比Hd(ヘッド稼働率情報)を演算する。このヘッドデューティ比Hdは、単位時間当たりに記録ヘッド26を流れるヘッド電流値Ihに比例する。なお、ヘッドデューティ比Hdに単位時間当たりの最大ヘッド電流値Ihmax(デューティ比=1のときのヘッド電流値)を乗じて、記録ヘッド26の単位時間毎のヘッド電流値Ih(Ih=Hd・Ihmax)をヘッド稼働率情報としてもよい。
本実施形態では、ヘッド稼働率「0」から最大値「1」までの全範囲を複数の範囲に区分し、ヘッド稼働率が複数の範囲のうちどの範囲に属するかを判断して、ヘッド稼働率の指標とする。ヘッド稼働率が小さい側から大きい側へ向かって各範囲に、例えば1,2,3,…の指標を付す。本例では説明の便宜上、図15に示すように、小・中・大の3段階の指標を採用した例で説明する。もちろん、4段階以上(例えば5段階又は10段階)の指標も採用できる。また、指標に変換せずヘッド稼働率Hdをそのままヘッド稼働率情報として採用してもよい。
電源休止時間取得部82は、モーター負荷MLとヘッド稼働率Hdとを基に、図15に示す電源休止時間テーブルT11を参照して電源休止時間TWPを取得する。取得した電源休止時間TWPは比較部83に送られる。
解除温度取得部81は、モーター負荷MLとヘッド稼働率Hdとを基に、図16に示す解除温度テーブルT12を参照して解除温度dToffを取得する。取得した解除温度dToffは、判定部74〜76のうち発熱温度dTsumMnが閾値dTmaxMnを超えたと判定した判定部に送られる。なお、モーター負荷MLとヘッド稼働率情報とに基づく電源休止時間TWP及び解除温度dToffの取得方法は、テーブルを参照する構成に替え、図9に示すモーター負荷MLと電源休止時間TWPとの対応関係を示すグラフ線、及び図10に示すモーター負荷MLと解除温度dToffとの対応関係を示すグラフ線の各計算式を、ヘッド稼働率Hdの複数の区分毎に用意し、ヘッド稼働率Hdに対応する区分に対応する計算式を用いて電源休止時間TWP及び解除温度dToffを算出する構成も採用できる。
よって、比較部83は、モーター休止時間TWMn(但し、n=1,2,3)及び電源休止時間TWPの計4個の休止時間を入力する。そして、比較部83は、第1実施形態と同様に各休止時間TWMn(但し、n=1,2,3),TWPを比較し、そのうち一番長いものを休止時間TWとしてキャリッジモーター25の駆動前に設定する。こうして発熱制限制御では、キャリッジモーター25の駆動前に休止時間TWの休止が入ることで、発熱温度dTsumMnが低下する。このとき電源休止時間TWPが休止時間TWとして採用された場合、この電源休止時間TWPは、モーター負荷MLが大きいほど高く設定され、かつヘッド稼働率Hdが大きいほど高く設定される。つまり、そのプリンター11のモーター負荷ML及びそのときの記録ヘッド26のヘッド稼働率Hdに応じた適切な休止時間TWが設定される。このため、モーター25,31,32のうち発熱温度dTsumMnが閾値dTmaxMnを超えた少なくとも1つのモーターの発熱温度が比較的速やかに閾値温度以下に降下するとともに、電源装置40の発熱温度が比較的速やかに電源限界温度以下に降下する。
また、解除温度dToffは、モーター負荷MLとヘッド稼働率Hdとに基づいて設定される。つまり、解除温度dToffは、モーター負荷MLが大きいほど高く設定され、かつヘッド稼働率Hdが大きいほど高く設定される。このため、そのプリンター11のモーター負荷ML及びそのときの記録ヘッド26のヘッド稼働率Hdに応じた適切な解除温度dToffが設定される。従って、発熱温度dTsumMnが閾値dTmaxMnを超えた少なくとも1つのモーターの発熱温度が閾値温度以下に一旦は下がったものの閾値温度からさほど下がり切らないうちに発熱制限が解除されて再び温度上昇しその発熱温度が再び閾値を超えるという閾値付近での温度の上昇・下降を繰り返す現象も発生しにくい。
すなわち、発熱制限が入ると、電源装置40の発熱温度は降下して閾値以下になり、さらにその発熱温度は降下し続け、適度に降下した段階で発熱制限が解除される。このため、発熱制限が解除されて再び電源装置40の温度が上昇しても閾値を超えるまでの温度にはなりにくい。
この第2実施形態によれば、第1実施形態における効果(1)〜(7),(9),(10)と同様又は同種の効果の他、以下の効果が得られる。
(11)稼働率情報は、記録ヘッド26が記録動作を行うときに用いるヘッド制御データ(画像データ)に基づいて算出される記録ヘッド26の稼働率そのものである。よって、稼働率情報として印刷モードを採用する第1実施形態に比べ、記録ヘッド26の稼働率に応じたより適切な解除温度dToff(第2の制御値)を取得できる。よって、過熱した電源装置40を速やかにかつ無駄なく限界温度以下の温度に降下させることができる。
なお、上記実施形態は以下のような形態に変更することもできる。
・発熱温度dTsumMnが超えた際に発熱制限制御を開始する閾値(開始温度)を補正する構成を採用できる。図17に示すように、発熱温度dTsumが、限界温度よりも高い温度に設定された1回目の閾値dTmax1を超えると、発熱制限制御を開始する。発熱制限制御実行により発熱温度dTsumが降下し、その降下した発熱温度dTsumが解除温度dToffに達すると、発熱制限制御が解除される。この解除により発熱温度dTsumが再び上昇するが、この2回目以降は閾値を1回目の閾値dTmax1よりも低い閾値dTmax2に補正する。そして、発熱温度dTsumが補正後の閾値dTmax2を超えると、発熱制限制御が開始される。このため、2回目以降においては発熱温度dTsumが限界温度を超えることを抑制できる。
・前記各実施形態において、各モーター25,31,32を流れる電流の電流値IMnを電流センサーにより測定してもよい。
・第2の制御値(解除温度dToff)は補正の前後において第1の制御値(閾値dTsumMn(開始温度))と同じ値をとる場合があってもよい。
・電源休止時間TWPと解除温度dToffのうち少なくとも一方を、モーター負荷MLとヘッド稼働率情報とのうち一方のみに基づいて選択する構成でもよい。電源休止時間TWPと解除温度dToffの両方を、モーター負荷MLのみ、又はヘッド稼働率情報のみに基づいて選択する構成を採用できる。
・蓄熱情報の一例である発熱温度dTsumMnが閾値dTmaxMnを超えない場合は、休止なしとし、休止率及び休止時間の計算を省いてもよい。この場合、発熱温度dTsumが閾値を超えた場合に計算された発熱温度dTsumが複数ある場合に限り比較部83が一番長いものを決定して、休止時間設定部84に設定する構成としてもよい。
・判定部は無くてもよい。例えば蓄熱情報の一例としての発熱温度dTsumMnと休止時間TWMnとの対応関係を示すテーブルをメモリーに記憶しておき、発熱温度dTsumMnを基にテーブルを参照して休止時間TWMnを取得してもよい。この場合、テーブルにおいて閾値未満の発熱温度dTsumに対応する休止時間に「0」を設定すればよい。
・蓄熱情報(例えば発熱温度dTsum)に基づいて休止時間を演算する場合、不揮発性メモリー54に記憶された発熱温度dTsumと休止率Wpとの対応関係と示すテーブルを参照して、発熱温度dTsumに対応する休止率Wpを取得し、その取得した休止率Wpに前回のキャリッジ駆動時間TMcrを乗じて休止時間TWを求める構成でもよい。この場合、閾値を超える発熱温度dTsumについては、発熱温度dTsumと閾値との差分が大きいほど高い休止率Wpが選択されるようにテーブルを作成することが望ましい。
・複数の閾値を設定し、複数の閾値のうち発熱温度dTsumが超えた最大の閾値に応じた休止率Wpを設定する構成も採用できる。また、複数の閾値のうち発熱温度dTsumが超えた最大の閾値に応じた休止時間TWを設定する構成も採用できる。
・休止時間をアクチュエーター(例えばキャリッジモーター25)の前回の駆動時間によらず一定値としてもよい。
・アクチュエーターの駆動の前後のうち少なくとも一方に休止時間を設定すればよい。例えばキャリッジモーターの駆動後に休止時間を設定してもよいし、キャリッジモーターの駆動の前と後の両方にそれぞれ必要な休止時間の例えば半分ずつを設定してもよい。
・駆動の前後のうち少なくとも一方に休止時間を設定するアクチュエーターは、キャリッジモーター25に限定されず、搬送モーター32でもよい。また、休止対象のアクチュエーターを複数とし、必要な休止時間の休止を各アクチュエーター間で分散させてもよい。例えば第1実施形態において、キャリッジモーター25と搬送モーター32の両方に休止時間を設定し、各モーター25,32をそれぞれの駆動の合間に休止させてもよい。
・閾値は限界温度付近に設定することに限定されず、限界温度よりもかなり低温側に設定し、アクチュエーター及び電源装置が各々の限界温度を超えない温度範囲で使用されうる発熱制限制御を行う構成も採用できる。
・電子機器として、印刷機能に加えスキャナー機能及びコピー機能を備える複合型のプリンターを採用してもよい。この場合、原稿を読み取る読取ヘッドを走査させるスキャナーモーターを、各モーター25,31,32と共に発熱制限対象のアクチュエーターの1つとしてもよい。
・複合機において、印刷時とスキャン時とコピー時との間で休止対象のアクチュエーターを切り換えてもよい。例えば印刷時にはキャリッジモーター25と搬送モーター32のうち少なくとも一方に休止時間を設定し、スキャン時はスキャナーモーターに休止時間を設定し、さらにコピー時には、キャリッジモーター25と搬送モーター32とスキャナーモーターのうち少なくとも1つに休止時間を設定する。また、キャリッジモーター25と搬送モーター32のうち少なくとも一方に休止時間を設定する構成において、さらに給送モーター31にも休止時間を設定することで休止をさらに分散させてもよい。
・発熱制限対象のアクチュエーターは、モーター25,31,32の3つに限定されず、例えばキャリッジモーター25のみ、給送モーター31のみ、搬送モーター32のみを発熱制限対象としてもよいし、キャリッジモーター25と搬送モーター32の2つを発熱制限対象としてもよい。さらに記録ヘッド26を発熱制限対象として上記の構成又は前記各実施形態に追加してもよいし、記録ヘッド26のみを発熱制限対象とすることもできる。記録ヘッド26を発熱制限対象とする場合、例えばヘッド稼働率Hdに基づいて記録ヘッド26の電流値を取得し、この電流値を基に実効電流値を求め、さらに実効電流値に基づいて記録ヘッド26の発熱温度dTsumHを演算する。そして、発熱温度dTsumHが閾値dTmaxHを超えると、その差分に応じた休止率を演算し、その休止率に前回のキャリッジモーター25の駆動時間TMcrを乗じることによりヘッド休止時間TWHを演算する。そして、比較部83により、休止時間TWMn,TWH,TWPのうち一番長いものを休止時間TWとして休止時間設定部84に設定する。
・表示装置17及びセンサー29,48,49などの非動力系の負荷を流れる電流も考慮して、休止時間TW及び解除温度dToffを補正してもよい。例えば主制御部60が消費電力モードを管理し、普通モード、省電力モード、自動電源オフモードなどの消費電力モードに応じて休止時間TW及び解除温度dToffを補正してもよい。
・さらにUSBI/F47a及びカードI/F47bなどの非動力系の負荷を流れる電流も考慮して、休止時間TW及び解除温度dToffを補正してもよい。USBI/F47aへのUSBメモリーUM等のUSB機器の接続の有無をUSBモードで管理するとともに、カードI/F47bへのメモリーカードMCの接続の有無をMCモードで管理する。USBI/F47aとカードI/F47bなどの非動力系の負荷は、USB機器やメモリーカードMC等の外部記憶媒体が接続されているときに起動して待機中よりも多くの電流が流れ、このとき電源装置40にその分の電流が余分に流れている。このため、USB機器又はメモリーカードの接続の有無を各モードに基づいて判定し、接続が有るときには、電源休止時間TWPをその分長く設定し、解除温度dToffをその分低く設定する構成とする。
・前記各実施形態では、電子機器を液体噴射装置の1つであるインクジェット式プリンターに具体化したが、液体噴射装置に適用する場合、プリンターに限定されず、インク以外の他の液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体を含む)を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液体噴射装置でもよい。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。さらに、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために熱硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。このように媒体(記録媒体)は、素子や配線等がインクジェットで形成される基板でもよい。液体噴射装置が噴射する「液体」には、液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体、流状体などが含まれる。
・記録ヘッド26はインクジェット記録方式に限定されず、ドットインパクト記録方式でもよい。また、記録装置は、シリアルプリンターに限定されず、ラインプリンターでもよい。なお、電子機器がプリンターである場合、媒体は用紙に限定されず、樹脂製のフィルム、金属箔、金属フィルム、樹脂と金属の複合体フィルム(ラミネートフィルム)、織物、不織布、セラミックシートなどであってもよい。さらに媒体はシート状であることに限定されず立体物でもよい。
・電子機器は、プリンター及び複合機に限定されない。1つ以上のアクチュエーターと、アクチュエーターに電力を供給する電源装置(電源)とを備えた電子機器であれば足りる。特に電子機器の動作中にアクチュエーターのうち少なくとも1つが駆動対象物を繰り返し移動又は変位させるために駆動される構成の電子機器に有効である。例えばスキャナーでもよい。さらに半導体チップや基板に電子部品を実装するために電子部品を把持する把持部に実装のための動作をさせる部品実装装置、半導体チップやウェハ、基板等の搬送対象物を把持して搬送元から搬送先まで搬送経路に沿って移動する把持部を備えた搬送装置などであってもよい。これらの場合、繰り返し駆動されるアクチュエーターの駆動前に休止時間の待ちを入れることで、アクチュエーター及び電源装置(電源)の発熱制限制御を行うことができる。
・アクチュエーターは電動モーター及び記録ヘッド(圧電素子等の噴射駆動素子)に限定されない。ソレノイド、圧電アクチュエーター、電動シリンダーなどでもよい。また、電動モーターは超音波モーターでもよい。さらに電動モーターは回転式に限定されず、直動式のリニアモーターでもよい。このように本実施形態のアクチュエーターとは、電力が供給されることにより対象物を移動又は変位させるように駆動されるものをいう。
前記実施形態及び変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(1)電子機器に備えられた1つ以上のアクチュエーターと電源との発熱を制限する電子機器における発熱制限制御装置であって、前記アクチュエーターのうち少なくとも1つを発熱制限対象とし、当該発熱制限対象のアクチュエーターの電流値に基づいて当該アクチュエーターの蓄熱量に関する蓄熱情報を演算する演算部と、前記蓄熱情報に基づいて第1の休止時間を取得する第1の休止時間取得部と、少なくとも1つの前記アクチュエーターの負荷に基づいて第2の休止時間を取得する第2の休止時間取得部と、前記第1の休止時間と前記第2の休止時間とのうち一番長いものを休止時間として設定する休止時間設定部と、少なくとも1つの前記アクチュエーターを駆動の合間に前記休止時間の休止を入れるように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする電子機器における発熱制限制御装置。この構成によれば、第2の休止時間は、少なくとも1つのアクチュエーターの負荷に基づいて取得されるので、第2の休止時間が選択されることにより過熱した電源の温度を効果的に降下させることができる。
11…電子機器の一例であるプリンター、16…操作部、17…表示装置、22…キャリッジ、25…発熱制限対象のアクチュエーター及び電動モーターの一例としてのキャリッジモーター、26…記録ヘッド、31…発熱制限対象のアクチュエーター及び電動モーターの一例としての給送モーター、32…発熱制限対象のアクチュエーター及び電動モーターの一例としての搬送モーター、40…電源の一例としての電源装置、51…CPU、52…ASIC、53…RAM、54…不揮発性メモリー、60…主制御部、60a…印刷モード管理部、62…ヘッド制御部、63…制御部の一例としてのCR制御部、64…ASF制御部、65…PF制御部、66…発熱制限制御部、71…演算部の一例としてのCR蓄熱量演算部、72…演算部の一例としてのASF蓄熱量演算部、73…演算部の一例としてのPF蓄熱量演算部、74…判定部の一例としての第1判定部、75…判定部の一例としての第2判定部、76…判定部の一例としての第3判定部、77…第1の休止時間取得部の一例としての第1休止時間演算部、78…第1の休止時間取得部の一例としての第2休止時間演算部、79…第1の休止時間取得部の一例としての第3休止時間演算部、81…補正部の一例である解除温度取得部、82…第2の休止時間取得部の一例としての電源休止時間取得部、83…休止時間設定部の一例を構成する比較部、84…休止時間設定部の一例を構成する休止時間設定部、IMn,IM1,IM2,IM3…電流値の一例であるモーター電流値、dQsum…蓄熱量、dTsumMn…蓄熱情報の一例であるモーターの発熱温度、dTmaxMn…第1の制御値の一例である閾値、dToff…第2の制御値の一例である解除温度、Hd…記録ヘッドの稼働率の一例であるヘッド稼働率、P…媒体の一例である用紙。

Claims (11)

  1. 電子機器に備えられた1つ以上のアクチュエーターのうち発熱制限対象とする少なくとも1つと電源との発熱を制限する電子機器における発熱制限制御装置であって、
    前記発熱制限対象のアクチュエーターの電流値に基づいて当該アクチュエーターの蓄熱量に関する蓄熱情報の値を演算する演算部と、
    前記蓄熱情報の値が第1の制御値よりも大きければ休止すると判定し、前記蓄熱情報の値が第2の制御値以下であれば休止を解除すると判定する判定部と、
    前記判定部が休止すると判定した場合、少なくとも1つの前記アクチュエーターの駆動の合間に休止を入れる発熱制限制御を開始するとともに、当該発熱制限制御の実行中に前記蓄熱情報の値が第2の制御値以下になると前記発熱制限制御を終了する制御部と、
    前記第2の制御値を補正する補正部と、
    を備えたことを特徴とする電子機器における発熱制限制御装置。
  2. 前記補正部は、少なくとも1つの前記アクチュエーターの負荷に基づいて前記第2の制御値を補正することを特徴とする請求項1に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  3. 前記電子機器は、前記アクチュエーターとして電動モーターと媒体に記録を行う記録ヘッドとを備えた記録装置であって、
    前記補正部は、前記記録ヘッドの稼働率に関する稼働率情報に基づいて前記第2の制御値を補正することを特徴とする請求項1に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  4. 前記補正部は、少なくとも1つの前記アクチュエーターの負荷と前記記録ヘッドの稼働率情報とに基づいて前記第2の制御値を補正することを特徴とする請求項3に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  5. 前記蓄熱情報の値に基づいて第1の休止時間を取得する第1の休止時間取得部と、
    少なくとも1つの前記アクチュエーターの負荷に基づいて第2の休止時間を取得する第2の休止時間取得部と、
    前記第1の休止時間と前記第2の休止時間とのうち一番長いものを休止時間として設定する休止時間設定部と、
    を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  6. 前記電子機器は、前記アクチュエーターとして電動モーターと媒体に記録を行う記録ヘッドとを備えた記録装置であって、
    前記蓄熱情報の値に基づいて第1の休止時間を取得する第1の休止時間取得部と、
    前記記録ヘッドの稼働率に関する稼働率情報に基づいて第2の休止時間を取得する第2の休止時間取得部と、
    前記第1の休止時間と前記第2の休止時間とのうち一番長いものを休止時間として設定する休止時間設定部と、
    を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  7. 前記第2の休止時間取得部は、少なくとも1つの前記アクチュエーターの負荷と前記記録ヘッドの稼働率情報とに基づいて第2の休止時間を取得することを特徴とする請求項6に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  8. 前記稼働率情報は、前記記録ヘッドの記録解像度を規定する記録モードであることを特徴とする請求項3、4、6、7のいずれか一項に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  9. 前記記録ヘッドは画像データに基づいて記録動作を行う構成であり、
    前記稼働率情報は、前記画像データに基づいて算出される前記記録ヘッドの稼働率であることを特徴とする請求項3、4、6、7のいずれか一項に記載の電子機器における発熱制限制御装置。
  10. 1つ以上の前記アクチュエーターと、
    前記アクチュエーターに電力を供給する電源と、
    請求項1乃至9のいずれか一項に記載の前記発熱制限制御装置と、
    を備えたことを特徴とする電子機器。
  11. 電子機器に備えられた1つ以上のアクチュエーターのうち発熱制限対象とする少なくとも1つと電源との発熱を制限する電子機器における発熱制限制御方法であって、
    前記発熱制限対象のアクチュエーターの電流値に基づいて当該アクチュエーターの蓄熱量に関する蓄熱情報の値を演算する演算ステップと、
    前記蓄熱情報の値が第1の制御値よりも大きければ休止すると判定し、前記蓄熱情報の値が第2の制御値以下であれば休止を解除すると判定する判定ステップと、
    前記休止ステップで休止すると判定した場合、少なくとも1つの前記アクチュエーターの駆動の合間に休止時間の休止を入れる発熱制限制御を開始するとともに、当該発熱制限制御の実行中に前記蓄熱情報の値が第2の制御値以下になると前記発熱制限制御を終了する制御ステップと、
    前記第2の制御値を補正する補正ステップと、
    を備えたことを特徴とする電子機器における発熱制限制御方法。
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