JP2013143534A - 実装状態判別装置および実装状態判別方法 - Google Patents
実装状態判別装置および実装状態判別方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】複数のコンデンサが並列接続される回路において各コンデンサが実装状態であるか非実装状態であるかを判別する判別処理を種類の異なる数多くの回路に対して行う際の処理効率を向上させる。
【解決手段】複数のコンデンサが並列接続される回路に対する交流信号の供給に伴って検出される検出信号に基づいて測定された位相差(電気的パラメータ)の周波数特性に基づいて各コンデンサが実装状態であるか非実装状態であるかを判別する判別処理を実行する処理部を備え、処理部は、判別処理において、交流信号の周波数の上昇に伴って位相差が上昇に転じる転換点(Pt1〜Pt3)の有無を特定し、特定した転換点の数と回路に実装されるべきコンデンサの数とが同数のときに各コンデンサが実装状態であると判別する。
【選択図】図5
【解決手段】複数のコンデンサが並列接続される回路に対する交流信号の供給に伴って検出される検出信号に基づいて測定された位相差(電気的パラメータ)の周波数特性に基づいて各コンデンサが実装状態であるか非実装状態であるかを判別する判別処理を実行する処理部を備え、処理部は、判別処理において、交流信号の周波数の上昇に伴って位相差が上昇に転じる転換点(Pt1〜Pt3)の有無を特定し、特定した転換点の数と回路に実装されるべきコンデンサの数とが同数のときに各コンデンサが実装状態であると判別する。
【選択図】図5
Description
本発明は、複数のコンデンサが並列接続される回路におけるコンデンサの実装状態および非実装状態を判別する実装状態判別装置および実装状態判別方法に関するものである。
この種の実装状態判別方法として、特開2004−221574号公報において出願人が開示したバイパスコンデンサの実装・非実装検査方法(以下、「実装検査方法」ともいう)が知られている。この実装検査方法では、2つのハンダパッド間にバイパスコンデンサ(以下、単に「コンデンサ」ともいう)が実装されているか否かを検査する際に、電圧発生部に接続されているプローブ(以下、「第1プローブ」ともいう)をGNDパターン側のハンダパッドに接触させ、電圧計に接続されている2つのプローブの一方(以下、「第2プローブ」ともいう)を電源パターン側のハンダパッドに接触させる。次いで、電圧計に接続されている2つのプローブの他方(以下、「第3プローブ」ともいう)を、電源パターン側のハンダパッドに接続されているスルーホールや導体パターン上における第2プローブの接触位置から離間した位置に接触させる。続いて、電圧発生部に電圧を発生させて、第1プローブを介してGNDパターン側のハンダパッドに電圧を供給させる。この場合、コンデンサが各ハンダパッド間に実装されているときには、コンデンサを介して第2プローブおよび第3プローブの間に電流が流れるため、その間の電圧が電圧計によって測定される。すなわち、電圧計の読み値VがV≠0となる。一方、コンデンサが各ハンダパッド間に実装されていないときには、第2プローブおよび第3プローブの間に電流が流れないため、電圧計の読み値VはV=0となる。つまり、この実装検査方法では、電圧計の読み値からコンデンサの実装および非実装を把握することが可能となっている。また、この実装検査方法では、複数のコンデンサが並列接続されている場合において、各コンデンサについて上記の手順で検査することで、各コンデンサの実装および非実装を個別に把握することが可能となっている。
一方、この方法では、各コンデンサを実装させるためのハンダパッド、およびハンダパッドに接続されているスルーホールや導体パターンに各プローブを接触させる必要があるため、並列接続されている複数のコンデンサの全ての実装および非実装を個別に把握するためには、これらのハンダパッド、スルーホールおよび導体パターンが基板の表面に露出している必要がある。このため、これらが露出していない基板(例えば、コンデンサや導体パターンが内装されている内装基板)に対してこの実装検査方法による検査を行うのは困難なことがある。
このような、課題を解決可能な技術として、出願人は、次のような新たな実装状態判別方法を開発している。この実装状態判別方法では、複数のコンデンサが並列接続された判別対象の回路に対して周波数を変化させつつ交流信号を供給し、その際に検出される検出信号および交流信号に基づいて、両信号の位相差を各周波数毎に測定する。次いで、各コンデンサが正しく実装された良品の回路について同じ手順で測定した各周波数毎の測定値に予め決められた値を加算した上限値、および各測定値から予め決められた値を減算した下限値で画定される基準範囲を規定して、判別対象の回路について測定した各測定値がこの基準範囲内であるか否かを判別する。ここで、複数のコンデンサが並列接続された回路では、各コンデンサと各コンデンサに等価的に接続されたインダクタンス成分(コンデンサに接続された導体パターン等がこれに相当する)とによってコンデンサの数と同数の共振回路が構成される。また、コンデンサの容量やインダクタンスの値が異なるときには各共振回路の共振周波数が異なる。
一方、このような複数の共振回路を有する回路に対して、上記したように周波数を変化させつつ交流信号を供給したときには、各共振回路の各共振周波数に近い周波数において位相差が急激に上昇に転じる(反転する)点(以下、この点を「転換点」ともいう)が現れることが知られている。このため、例えば、回路に実装されるべき各コンデンサの1つが非実装の状態では、そのコンデンサによって構成される共振回路の共振周波数に近い周波数において転換点が現れずに、測定値が基準範囲外となる。このため、この新たな実装状態判別方法では、共振周波数に近い周波数における測定値が基準範囲内であるか否かを判別することで、各コンデンサを実装させるためのハンダパッドなどが基板の表面に露出していない場合においても実装および非実装を判別することが可能となっている。
ところが、出願人が開発している新たな実装状態判別方法には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、この実装状態判別方法では、測定した測定値が基準範囲内であるか否かを判別することで、各コンデンサの実装および非実装を判別している。一方、複数のコンデンサが並列接続されて互いに種類の異なる回路を数多く有している基板の各回路に対してこの実装状態判別方法による判別を行う際には、各回路毎に上記の基準範囲を規定する必要がある。このため、この実装状態判別方法には、種類の異なる数多くの回路に対して判別の処理を行う際には、判別の処理に先立ち、各回路毎に基準範囲を規定する処理を行う必要があるため、処理効率の向上が困難であるという課題がありこの点の改善が望まれている。
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、複数のコンデンサが並列接続される回路において各コンデンサが実装状態であるか非実装状態であるかを判別する判別処理を種類の異なる数多くの回路に対して行う際の処理効率を向上し得る実装状態判別装置および実装状態判別方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の実装状態判別装置は、複数のコンデンサが並列接続される回路に対する交流信号の供給に伴って検出される検出信号に基づいて当該回路についての電気的パラメータを当該交流信号の周波数毎に測定する測定部と、当該測定された電気的パラメータの周波数特性に基づいて前記各コンデンサが実装状態であるか非実装状態であるかを判別する判別処理を実行する処理部とを備えた実装状態判別装置であって、前記処理部は、前記判別処理において、前記周波数の上昇に伴って前記電気的パラメータが上昇に転じる転換点の有無を特定し、当該特定した転換点の数と前記回路に実装されるべき前記コンデンサの数とが同数のときに前記各コンデンサが実装状態であると判別する。
また、請求項2記載の実装状態判別装置は、請求項1記載の実装状態判別装置において、前記処理部は、前記周波数の上昇に伴う前記電気的パラメータの上昇率が予め決められた下限率以上でかつ予め決められた上限率以下の点を前記転換点として特定する。
また、請求項3記載の実装状態判別装置は、請求項1または2記載の実装状態判別装置において、前記処理部は、前記コンデンサを含んで構成される共振回路における共振周波数が含まれる予め決められた周波数範囲を対象として前記転換点の有無を特定する。
また、請求項4記載の実装状態判別方法は、複数のコンデンサが並列接続される回路に対する交流信号の供給に伴って検出される検出信号に基づいて当該回路についての電気的パラメータを当該交流信号の周波数毎に測定し、当該測定した電気的パラメータの周波数特性に基づいて前記各コンデンサが実装状態であるか非実装状態であるかを判別する判別処理を実行する実装状態判別方法であって、前記判別処理において、前記周波数の上昇に伴って前記電気的パラメータが上昇に転じる転換点の有無を特定し、当該特定した転換点の数と前記回路に実装されるべき前記コンデンサの数とが同数のときに前記各コンデンサが実装状態であると判別する。
また、請求項5記載の実装状態判別方法は、請求項4記載の実装状態判別方法において、前記周波数の上昇に伴う前記電気的パラメータの上昇率が予め決められた下限率以上でかつ予め決められた上限率以下の点を前記転換点として特定する。
また、請求項6記載の実装状態判別方法は、請求項4または5記載の実装状態判別方法において、前記コンデンサを含んで構成される共振回路における共振周波数が含まれる予め決められた周波数範囲を対象として前記転換点の有無を特定する。
請求項1記載の実装状態判別装置および請求項4記載の実装状態判別方法では、複数のコンデンサが並列接続される回路における各コンデンサの実装状態および非実装状態を判別する判別処理において、周波数の上昇に伴って電気的パラメータが上昇に転じる転換点の有無を特定し、特定した転換点の数と回路に実装されるべきコンデンサの数とが同数のときに各コンデンサが実装状態であると判別する。このため、この実装状態判別装置および実装状態判別方法によれば、電気的パラメータの測定値が基準範囲内であるか否かを判別することで各コンデンサの実装状態および非実装状態を判別する構成および方法とは異なり、基準値を用いることなくこの判別を行うことができる。したがって、この実装状態判別装置および実装状態判別方法によれば、種類の異なる数多くの回路に対して判別処理を行う場合において、各回路毎の基準範囲を規定する煩雑な処理を不要とすることができるため、処理効率を十分に向上させることができる
請求項2記載の実装状態判別装置および請求項5記載の実装状態判別方法では、周波数の上昇に伴う電気的パラメータの上昇率が予め決められた下限率以上でかつ予め決められた上限率以下の点を転換点として特定する。したがって、この実装状態判別装置および実装状態判別方法によれば、例えば、回路の電気的特性に起因して電気的パラメータが緩やかに上昇するその上昇率よりも下限率を高い値に規定し、ノイズ等の影響によって電気的パラメータが急峻に上昇するその上昇率よりも上限率を低く規定することで、これらの緩やかな上昇や急峻な上昇が転換点として誤って特定される事態を防止することができる結果、判別処理の精度を十分に向上させることができる。
また、請求項3記載の実装状態判別装置および請求項6記載の実装状態判別方法によれば、コンデンサを含んで構成される共振回路における共振周波数が含まれる予め決められた周波数範囲を対象として転換点の有無を特定することにより、電気的パラメータを測定した全ての周波数を対象として転換点の有無を特定する構成および方法と比較して、転換点を特定する処理の処理時間を十分に短縮することができる。
以下、添付図面を参照して、実装状態判別装置および実装状態判別方法の実施の形態について説明する。
最初に、実装状態判別装置1の構成について図1を参照して説明する。
実装状態判別装置1は、図1に示すように、測定部2、記憶部3、処理部4および表示部5を備え、図2に示す回路基板13における一対の導体パターン11,12によって互いに並列接続されるべき複数(本例では一例として3個)のコンデンサ21a〜21c(以下、区別しないときには「コンデンサ21」ともいう)の実装状態(各コンデンサ21a〜21cが実装状態であるか非実装状態であるか)を判別する。この場合、各導体パターン11,12は、同図に示すように、予め規定されたパターン形状で回路基板13に形成されている。本例では一例として、導体パターン11は、回路基板13の内層グランドパターンとして平面状のパターン形状に形成されている。一方、導体パターン12は、電源ラインとして直線状のパターン形状に形成されている。また、各コンデンサ21a〜21cは、図2,3に示すように、各導体パターン11,12における予め規定された位置に接続されている。この場合、各コンデンサ21a〜21cは、一例として、導体パターン11にはビア14aおよびランド15を介して接続され、導体パターン12にはビア14bおよびランド15を介して接続されている。以下、ビア14a,14bを特に区別しないときには、「ビア14」ともいう。
測定部2は、図1,2に示すように一対のプローブ6,7を介して、各導体パターン11,12上に1つずつ規定された一対の測定点P1,P2(本例では、図2に示すように、ビア14a,14bを介して導体パターン11,12に接続されたランド15上に規定された測定点P1,P2)に接続される。また、測定部2は、各プローブ6,7から各導体パターン11,12間に、つまり導体パターン11,12とコンデンサ21a〜21cとによって構成される回路C(図2,3参照)に対して、周波数をスイープ(変化)させつつ測定用の交流信号(一例として、交流定電流であって、以下「測定用信号S1」ともいう)を供給すると共に、これに伴って各導体パターン11,12間に発生する検出信号S2(この例では、交流電圧)をプローブ6,7を介して検出する。また、測定部2は、測定用信号S1の位相と検出信号S2の位相との位相差を周波数毎に測定する。つまり、測定部2は、測定用信号S1の周波数の変化に伴う位相差の変化(位相差の周波数特性)を測定する。また、測定部2は、周波数毎に測定した位相差(位相差の周波数特性)を示す特性データD1を処理部4に出力する。
記憶部3は、一例として半導体メモリやハードディスク装置を用いて構成されて、処理部4のための動作プログラムおよび後述する判別用データD2を記憶する。
処理部4は、一例としてCPUを用いて構成され、上記した周波数特性の測定を測定部2に対して実行させる測定処理を実行する。また、処理部4は、測定部2から出力される特性データD1、および記憶部3に記憶されている判別用データD2に基づき、コンデンサ21が実装状態であるか非実装状態であるかを判別する判別処理を実行する。また、処理部4は、判別処理の結果を表示部5に表示させる表示処理を実行する。
次に、回路Cについての位相差の周波数特性(測定用信号S1の周波数の変化に伴う位相差の変化)について、具体的に説明する。
図2,3に示すように、複数(本例では3個)のコンデンサ21a〜21cが各導体パターン11,12間に実装されている回路Cは、図4に示す等価回路として表される。なお、この等価回路において、L1〜L3は、各コンデンサ21a〜21cと各導体パターン11,12とを接続する各ビア14のインダクタンス(コンデンサに等価的に接続されたインダクタンス成分)を表し、またL4,L5は、各コンデンサ21a〜21c間を接続する各導体パターン11,12のインダクタンスを表している。
ここで、この回路Cのように、複数のコンデンサ21a〜21cが並列接続されているときには、各コンデンサ21a〜21cと各コンデンサ21a〜21cに接続されたインダクタンス成分(上記の等価回路におけるインダクタンスL1〜L5)とによってコンデンサ21a〜21cと同数(この例では、3つ)の共振回路が構成される。また、コンデンサの容量やインダクタンスの値が異なるときには各共振回路の共振周波数fsが異なる。なお、回路Cに実装されるべき各コンデンサ21a〜21cの全てが実装状態である場合におけるコンデンサ21aに対応する共振周波数fsを「共振周波数fs1」ともいい、コンデンサ21bに対応する共振周波数fsを「共振周波数fs2」ともいい、コンデンサ21cに対応する共振周波数fsを「共振周波数fs3」ともいう(図5参照)。
また、各コンデンサ21a〜21cの静電容量が同一の場合にも、各測定点P1,P2から各コンデンサ21a〜21cまでの導体パターン11,12の長さが相違して、インダクタンスL4,L5が相違するため、これに起因して、各コンデンサ21a〜21cと各インダクタンス成分とによって構成される各共振回路の共振周波数fsが異なることとなる。
共振周波数fsが互いに異なる複数の共振回路を有する上記の回路Cに対して周波数を変化させつつ測定用信号S1としての交流信号を供給し、測定用信号S1の供給に伴って発生する検出信号S2の位相と測定用信号S1の位相との位相差(回路Cについての電気的パラメータ)を測定した場合、その位相差の周波数特性(測定用信号S1の周波数の変化に伴う位相差の変化)には、各共振回路の各共振周波数fsに近い周波数において位相差が急激に上昇に転じる転換点Pt1〜Pt3(図5参照:以下、区別しないときには「転換点Pt」ともいう)が現れる。つまり、位相差の周波数特性には、コンデンサの数(共振回路の数)と同数の転換点Ptが現れる。
図5に示す周波数特性図は、上記の等価回路においてコンデンサ21aの静電容量が1μF、コンデンサ21bの静電容量が0.5μF、コンデンサ21cの静電容量が0.1μFで、各導体パターン11,12のインダクタンスL4,L5が20nH、各ビア14のインダクタンスL1,L2,L3が10nHのときに、測定部2によって測定される測定用信号S1の位相と検出信号S2の位相との位相差の周波数特性を表している。
具体的には、XY平面におけるX軸(図5における左右方向の軸)を周波数の座標軸に規定し、Y軸(同図における上下方向の軸)を位相差(電気的パラメータ)の座標軸に規定したときの周波数の変化に伴う位相差の変化を示す波形曲線CL1を図示している。なお、後述する図6〜図12においても、図5と同様にして、XY平面におけるX軸を周波数の座標軸に規定しY軸を位相差の座標軸に規定したときの周波数の変化に伴う位相差の変化を示す波形曲線CL1を図示している。また、図5〜図12において、各コンデンサ21a〜21cを「21a」「21b」「21c」の符号で示すと共に、実装状態を「○」、非実装状態を「×」で示す。
図5の周波数特性図から明らかなように、コンデンサ21a〜21cが正しく実装されている回路C(図4の等価回路)についての位相差の周波数特性には、コンデンサ21a〜21cの数と同数(この例では、3つ)の転換点Pt1〜Pt3が各共振周波数fs1〜fs3に近い周波数(具体的には、各共振周波数fs1〜fs3よりもそれぞれやや低い周波数)において現れている。なお、本例のように各コンデンサ21a〜21cの静電容量が互いに相違する場合には、原則として、静電容量の小さなコンデンサ21ほど対応する共振周波数fsが高くなる。
また、図5の周波数特性図から明らかなように、周波数の低い順に見て最初に現れた転換点Pt(以下、「最初の転換点Pt」ともいう)、つまり実装状態の各コンデンサ21の中で静電容量が最も大きいコンデンサ21に対応する転換点Pt(この例では、コンデンサ21aに対応する転換点Pt1)において、位相差が−90°〜−80°の値から急激に上昇に転じる。また、この周波数特性図から明らかなように、周波数の低い順に見て2番目以降に現れた転換点Pt(以下、「2番目以降の転換点Pt」ともいう:この例では、コンデンサ21b,21cに対応する転換点Pt2,Pt3)の周波数よりもやや低い周波数において位相差が70°〜80°の値から20°〜30°急激に下降し、その転換点Ptにおいて急激に上昇に転じる。
一方、各コンデンサ21a〜21cのいずれかが非実装状態のときの位相差の周波数特性には、実装状態のコンデンサ21に対応する転換点Ptのみが現れ、非実装状態のコンデンサ21に対応する転換点Ptは現れない。例えば、コンデンサ21a,21bが実装状態で、コンデンサ21cが非実装状態のときの位相差の周波数特性についてのシミュレーション結果を図6に示す。同図の周波数特性図から明らかなように、この例では、実装状態のコンデンサ21a,21bに対応する転換点Pt1,Pt2のみが現れ、非実装状態のコンデンサ21cに対応する転換点Pt3は現れない。
また、図7に示すように、コンデンサ21aが実装状態で、コンデンサ21b,21cが非実装状態のときには、コンデンサ21aに対応する転換点Pt1のみが現れ、コンデンサ21cに対応する転換点Pt2,Pt3は現れない。また、図8に示すように、コンデンサ21a,21cが実装状態で、コンデンサ21bが非実装状態のときには、コンデンサ21a,21cに対応する転換点Pt1,Pt3のみが現れ、コンデンサ21bに対応する転換点Pt2は現れない。
また、図9に示すように、コンデンサ21b,21cが実装状態で、コンデンサ21aが非実装状態のときには、コンデンサ21b,21cに対応する転換点Pt2,Pt3のみが現れ、コンデンサ21aに対応する転換点Pt1は現れない。また、図10に示すように、コンデンサ21cが実装状態で、コンデンサ21a,21bが非実装状態のときには、コンデンサ21cに対応する転換点Pt3のみが現れ、コンデンサ21a,21bに対応する転換点Pt1,Pt2は現れない。また、図11に示すように、コンデンサ21bが実装状態で、コンデンサ21a,21cが非実装状態のときには、コンデンサ21bに対応する転換点Pt2のみが現れ、コンデンサ21a,21cに対応する転換点Pt1,Pt3は現れない。さらに、図12に示すように、全てのコンデンサ21a〜21cが非実装状態のときには、各転換点Pt1〜Pt3のいずれも現れない。
このため、位相差の周波数特性(図5〜図12に示す波形曲線CL1)における転換点Ptを特定し、特定した転換点Ptの数(以下「特定数」ともいう)と回路Cに実装されるべきコンデンサ21の数(この例では、3つ:以下「規定数」ともいう)とを比較することで、各コンデンサ21が実装状態であるか非実装状態であるかを判別することができる。具体的には、特定数と規定数とが同数のときには、各コンデンサ21が実装状態であると判別し、特定数が規定数よりも少ないときには、規定数から特定数を差し引いた数(以下、「差分値」ともいう)と同じ数のコンデンサ21が非実装状態であると判別する。
ここで、上記した位相差の上昇率をR1、測定用信号S1の周波数をfm(Hz)、位相差をθ(°)とすると、上昇率R1は、一例として、次の式(1)で規定することができる。
R1=α×Δθ/Δ(log10fm)・・・・式(1)
(αは係数であって、図5〜図12の例では0.011:Δは上昇分を示す符号)
この場合、この実装状態判別装置1および実装状態判別方法では、この上昇率R1が予め決められた下限率RL1以上でかつ予め決められた上限率RU1以下の点を転換点Ptとして特定する処理(以下、「特定処理」ともいう)を実行する。
R1=α×Δθ/Δ(log10fm)・・・・式(1)
(αは係数であって、図5〜図12の例では0.011:Δは上昇分を示す符号)
この場合、この実装状態判別装置1および実装状態判別方法では、この上昇率R1が予め決められた下限率RL1以上でかつ予め決められた上限率RU1以下の点を転換点Ptとして特定する処理(以下、「特定処理」ともいう)を実行する。
具体的には、この実装状態判別装置1および実装状態判別方法では、一例として、下限率RL1が1.73(tan60°)に規定され、上限率RU1が11.43(tan85°)に規定されている。つまり、図5に示すように、周波数を「log10」(常用対数)で示す座標軸(X軸)と位相差を「°」で示す座標軸(Y軸)とによって規定されるXY平面に周波数の変化に伴う位相差の変化を示す波形曲線CL1を描いたときに、波形曲線CL1における接線の傾きが60°以上で85°以下となる波形曲線CL1上の点を転換点Ptとして特定している。このように特定処理を実行することで、回路Cの電気的特性に起因する位相差の緩やかな上昇や、ノイズ等の影響による位相差の急峻な上昇が転換点Ptとして誤って特定される事態を防止することが可能となっている。
一方、各コンデンサ21a〜21cにそれぞれ対応する各共振周波数fsは、非実装状態のコンデンサ21の有無、コンデンサ21a〜21cの静電容量のばらつき、および各ビア14および導体パターン11,12のインダクタンスのばらつきなどによって変動し、この共振周波数fsの変動によって転換点Ptが現れるべき周波数も変動するが、その変動はある程度の範囲内に限られる。このため、この実装状態判別装置1および実装状態判別方法では、実装されるべき全てのコンデンサ21が実装状態である回路C(良品の回路C)における各共振周波数fs1〜fs3をそれぞれ含む予め決められた幅の周波数範囲fr(以下、コンデンサ21aに対応する周波数範囲frを「周波数範囲fr1」ともいい、コンデンサ21bに対応する周波数範囲frを「周波数範囲fr2」ともいい、コンデンサ21cに対応する周波数範囲frを「周波数範囲fr3」ともいう:図5参照)を設定し、その周波数範囲frだけを対象として特定処理を実行する。このような構成および方法を採用することで、全ての周波数を対象として特定処理を実行する構成および方法と比較して、特定処理を短時間で実行することが可能となっている。なお、上記した周波数範囲fr、下限率RL1および上限率RU1を示すデータは、判別用データD2として記憶部3に記憶されている。
次に、一例として、3つのコンデンサ21a〜21cが実装されるべき回路C(図2参照)における各コンデンサ21が実装状態であるか非実装状態であるかを、実装状態判別装置1を用いて判別する実装状態判別方法について、図面を参照して説明する。
なお、回路Cを構成するこの導体パターン11,12、ビア14および各コンデンサ21a〜21cは、上記したように図4に示す等価回路で表され、また、同図に示される各コンデンサ21a〜21cの静電容量はそれぞれ1μF、0.5μF、0.1μFであり、各ビア14のインダクタンスL1,L2,L3は10nHであり、各導体パターン11,12のインダクタンスL4,L5は20nHであるものとする。
この実装状態判別装置1では、処理部4が、測定処理を実行する。この測定処理では、処理部4は、測定部2に対して周波数特性を測定させる。この場合、測定部2は、プローブ6,7を介して入出力される測定用信号S1の位相と検出信号S2の位相との位相差を測定用信号S1の周波数毎に測定し、測定したこの周波数特性を示す特性データD1を処理部4に出力する。
次いで、処理部4は、判別処理を実行する。この判別処理では、処理部4は、測定部2から出力された特性データD1によって特定される位相差の周波数特性と記憶部3から読み出した判別用データD2とに基づき、回路Cにおいて、コンデンサ21a〜21cが実装状態であるか非実装状態であるかを判別する。具体的には、処理部4は、判別用データD2に基づいてコンデンサ21aに対応する周波数範囲fr1〜fr3を特定すると共に、下限率RL1および上限率RU1を特定する。
続いて、処理部4は、特性データD1に基づき、測定用信号S1の周波数の上昇に伴って位相差が急激に上昇に転じる転換点Ptの有無を特定する特定処理を実行する。この特定処理では、処理部4は、周波数範囲fr1〜fr3を対象として、上記式(1)で規定される上昇率R1が下限率RL1として規定されている1.73以上で、かつ上限率RU1として規定されている11.43以下となる点、つまり、波形曲線CL1における接線の傾きが60°以上でかつ85°以下となる波形曲線CL1上の点を検索する。この場合、処理部4は、一例として、周波数範囲fr1〜fr3における波形曲線CL1を低い周波数から高い周波数に向けて順に微分し、その微分値が下限率RL1と上限率RU1との間の値となったときの周波数を上記の点とする。また、処理部4は、このような点を検出したときには、その点を転換点Ptとして特定し、特定した転換点Ptの数をカウントする。
次いで、処理部4は、特定した転換点Ptの数(特定数)と実装されるべきコンデンサ21a〜21cの数(規定数:この例では3)とを比較する。この場合、図5に示すように、3つの転換点Ptを特定したとき、つまり、特定数と規定数とが同数との条件を満たすときには、処理部4は、各コンデンサ21a〜21cが実装状態であると判別する。一方、図6〜図12に示すように、特定数と規定数とが同数との条件を満たさないときには、各コンデンサ21a〜21cのいずれかが非実装状態である(具体的には、差分値と同じ数のコンデンサ21が非実装状態である)と判別する。次いで、処理部4は、表示処理を実行して、上記の判別結果を表示部5に表示させる。この場合、各コンデンサ21a〜21cのいずれかが非実装状態であると判別したときには、非実装状態のコンデンサ21の数(差分値と同じ数)を判別結果と共に表示させてもよい。
このように、この実装状態判別装置1および実装状態判別方法では、複数のコンデンサ21が並列接続される回路Cにおける各コンデンサ21の実装状態および非実装状態を判別する判別処理において、周波数の上昇に伴って位相差(電気的パラメータ)が上昇に転じる転換点Ptの有無を特定し、特定した転換点Ptの数と回路Cに実装されるべきコンデンサ21の数とが同数のときに各コンデンサ21が実装状態であると判別する。このため、この実装状態判別装置1および実装状態判別方法によれば、位相差の測定値が基準範囲内であるか否かを判別することで各コンデンサ21の実装状態および非実装状態を判別する構成および方法とは異なり、基準値を用いることなくこの判別を行うことができる。したがって、この実装状態判別装置1および実装状態判別方法によれば、種類の異なる数多くの回路に対して判別処理を行う場合において、各回路毎の基準範囲を規定する煩雑な処理を不要とすることができるため、処理効率を十分に向上させることができる
また、この実装状態判別装置1および実装状態判別方法では、周波数の上昇に伴う位相差(電気的パラメータ)の上昇率R1が予め決められた下限率RL1以上でかつ予め決められた上限率RU1以下の点を転換点Ptとして特定する。したがって、この実装状態判別装置1および実装状態判別方法によれば、例えば、回路Cの電気的特性に起因して位相差が緩やかに上昇するその上昇率よりも下限率RL1を高い値に規定し、ノイズ等の影響によって位相差が急峻に上昇するその上昇率よりも上限率RU1を低く規定することで、これらの緩やかな上昇や急峻な上昇が転換点Ptとして誤って特定される事態を防止することができる結果、判別処理の精度を十分に向上させることができる。
また、この実装状態判別装置1および実装状態判別方法によれば、コンデンサ21を含んで構成される共振回路における共振周波数fsが含まれる予め決められた周波数範囲frを対象として転換点Ptの有無を特定することにより、位相差を測定した全ての周波数を対象として転換点Ptの有無を特定する構成および方法と比較して、転換点Ptを特定する処理の処理時間を十分に短縮することができる。
なお、実装状態判別装置1および実装状態判別方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、下限率RL1および上限率RU1として規定した上記の値は一例であって、任意に変更することができる。また、ノイズの影響が少ないときには、下限率RL1のみを規定して、上昇率R1が下限率RL1以上の点を転換点Ptとして特定する構成および方法を採用することもできる。
また、波形曲線CL1を微分した微分値が下限率RL1と上限率RU1との間の値となったときの点、つまり上昇率R1の瞬時値が下限率RL1と上限率RU1との間の値となったときの点を転換点Ptとして特定する構成および方法について上記したが、例えば、周波数が予め決められた微少範囲分だけ上昇したときの位相差の上昇分をその微少範囲で除した値(つまり、微少範囲における上昇率R1の平均値)が下限率RL1と上限率RU1との間の値となったときに、その微少範囲におけるいずれかの点(微少範囲における最小周波数の点、微少範囲における中間の周波数の点、および微少範囲における最大周波数の点などの任意の点)を転換点Ptとして特定する構成および方法を採用することもできる。
また、測定用信号S1の位相と検出信号S2の位相との位相差(電気的パラメータの一例)を測定用信号S1の周波数毎に測定し、判別処理において、位相差の周波数特性(波形曲線CL1)における転換点Ptを特定し、特定した転換点Ptの数と回路Cに実装されるべきコンデンサ21の数とを比較することで、各コンデンサ21が実装状態であるか非実装状態であるかを判別する構成および方法について上記したが、測定点P1,P2間のインピーダンス(電気的パラメータの他の一例)を測定用信号S1の周波数を変化させつつ各周波数毎に(インピーダンスの周波数特性を)測定して、判別処理において、インピーダンスの周波数特性(例えば、図13に示す波形曲線CL2)における転換点Ptを特定し、特定した転換点Ptの数と回路Cに実装されるべきコンデンサ21の数とを比較することで、各コンデンサ21が実装状態であるか非実装状態であるかを判別する構成および方法を採用することもできる。以下、この構成および方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記した実装状態判別装置1および実装状態判別方法と同じ構成要素については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。なお、図13〜図20において、各コンデンサ21a〜21cを「21a」「21b」「21c」の符号で示すと共に、実装状態を「○」、非実装状態を「×」で示す。
まず、回路Cについてのインピーダンスの周波数特性(測定用信号S1の周波数の変化に伴うインピーダンスの変化)について説明する。図13に示す周波数特性図は、上記の等価回路(図4参照)の測定点P1,P2において測定部2によって測定されるインピーダンスの周波数特性を表している。具体的には、XY平面におけるX軸を周波数の座標軸に規定すると共にY軸をインピーダンスの座標軸に規定したときの周波数の変化に伴うインピーダンスの変化を示す波形曲線CL2を図示している。この周波数特性図から明らかなように、コンデンサ21a〜21cが正しく実装されている回路Cについてのインピーダンスの周波数特性には、コンデンサ21a〜21cの数と同数(この例では、3つ)の転換点Pt4〜Pt6(以下、区別しないときには「転換点Pt」ともいう)が各共振周波数fs1〜fs3において現れている。
また、図13の周波数特性図から明らかなように、この例では、各転換点Pt4〜Pt6の周波数よりもやや低い周波数においてインピーダンスの値が急激に下降し、各転換点Pt4〜Pt6において急激に上昇に転じる。
一方、各コンデンサ21a〜21cのいずれかが非実装状態のときのインピーダンスの周波数特性には、実装状態のコンデンサ21に対応する転換点Ptのみが現れ、非実装状態のコンデンサ21に対応する転換点Ptは現れない。例えば、コンデンサ21a,21bが実装状態で、コンデンサ21cが非実装状態のときのインピーダンスの周波数特性についてのシミュレーション結果を図14に示す。同図の周波数特性図から明らかなように、この例では、実装状態のコンデンサ21a,21bに対応する転換点Pt4,Pt5のみが現れ、非実装状態のコンデンサ21cに対応する転換点Pt6は現れない。
また、図15に示すように、コンデンサ21aが実装状態で、コンデンサ21b,21cが非実装状態のときには、コンデンサ21aに対応する転換点Pt4のみが現れ、コンデンサ21cに対応する転換点Pt5,Pt6は現れない。また、図16に示すように、コンデンサ21a,21cが実装状態で、コンデンサ21bが非実装状態のときには、コンデンサ21a,21cに対応する転換点Pt4,Pt6のみが現れ、コンデンサ21bに対応する転換点Pt5は現れない。また、図17に示すように、コンデンサ21b,21cが実装状態で、コンデンサ21aが非実装状態のときには、コンデンサ21b,21cに対応する転換点Pt5,Pt6のみが現れ、コンデンサ21aに対応する転換点Pt4は現れない。
また、図18に示すように、コンデンサ21cが実装状態で、コンデンサ21a,21bが非実装状態のときには、コンデンサ21cに対応する転換点Pt6のみが現れ、コンデンサ21a,21bに対応する転換点Pt4,Pt5は現れない。また、図19に示すように、コンデンサ21bが実装状態で、コンデンサ21a,21cが非実装状態のときには、コンデンサ21bに対応する転換点Pt5のみが現れ、コンデンサ21a,21cに対応する転換点Pt4,Pt6は現れない。さらに、図20に示すように、全てのコンデンサ21a〜21cが非実装状態のときには、各転換点Pt4〜Pt6のいずれも現れない。
このため、インピーダンスの周波数特性(図13に示す波形曲線CL2)における転換点Ptを特定し、特定した転換点Ptの数(以下「特定数」ともいう)と回路Cに実装されるべきコンデンサ21の数(この例では、3つ:以下「規定数」ともいう)とを比較することで、各コンデンサ21が実装状態であるか非実装状態であるかを判別することができる。具体的には、特定数と規定数とが同数のときには、各コンデンサ21が実装状態であると判別し、特定数が規定数よりも少ないときには、その差分値の数と同じ数のコンデンサ21が非実装状態であると判別する。
ここで、上記した上昇率をR2、測定用信号S1の周波数をfm(Hz)、インピーダンスをZ(Ω)とすると、上昇率R2は、一例として、次の式(2)で規定することができる。
R2=β×Δ(log10Z)/Δ(log10fm)・・・・式(2)
(βは係数であって、図13〜図20の例では0.64:Δは上昇分を示す符号)
この場合、この実装状態判別装置1および実装状態判別方法では、この上昇率R2が予め決められた下限率RL2以上でかつ予め決められた上限率RU2以下の点を転換点Ptとして特定する特定処理を実行する。
R2=β×Δ(log10Z)/Δ(log10fm)・・・・式(2)
(βは係数であって、図13〜図20の例では0.64:Δは上昇分を示す符号)
この場合、この実装状態判別装置1および実装状態判別方法では、この上昇率R2が予め決められた下限率RL2以上でかつ予め決められた上限率RU2以下の点を転換点Ptとして特定する特定処理を実行する。
具体的には、この実装状態判別装置1および実装状態判別方法では、一例として、下限率RL2が1.73(tan60°)に規定され、上限率RU2が11.43(tan85°)に規定している。つまり、図13に示すように、周波数を「log10」(常用対数)で示す座標軸(X軸)とインピーダンスを「log10」で示す座標軸(Y軸)とによって規定されるXY平面に周波数の変化に伴うインピーダンスの変化を示す波形曲線CL2を描いたときに、波形曲線CL2における接線の傾きが60°以上で85°以下となる波形曲線CL2上の点を転換点Ptとして特定している。このように特定処理を実行することで、回路Cの電気的特性に起因するインピーダンスの緩やかな上昇や、ノイズ等の影響によるインピーダンスの急峻な上昇が転換点Ptとして誤って特定される事態を防止することが可能となっている。
また、上記したように、各コンデンサ21a〜21cにそれぞれ対応する各共振周波数fsが変動し、この共振周波数fsの変動によって転換点Ptが現れるべき周波数も変動するが、その変動はある程度の範囲内に限られるため、この実装状態判別装置1および実装状態判別方法では、実装されるべき全てのコンデンサ21が実装状態である回路C(良品の回路C)における各共振周波数fs1〜fs3をそれぞれ含む予め決められた幅の周波数範囲fr(以下、コンデンサ21aに対応する周波数範囲frを「周波数範囲fr4」ともいい、コンデンサ21bに対応する周波数範囲frを「周波数範囲fr5」ともいい、コンデンサ21cに対応する周波数範囲frを「周波数範囲fr6」ともいう:図13参照)を設定し、その周波数範囲frだけを対象として特定処理を実行する。このような構成および方法を採用することで、全ての周波数を対象として特定処理を実行する構成および方法と比較して、特定処理を短時間で実行することが可能となっている。なお、上記した周波数範囲fr、下限率RL2および上限率RU2を示すデータは、判別用データD2として記憶部3に記憶されている。
この実装状態判別装置1および実装状態判別方法においても、インピーダンスの周波数特性を示す特性データD1と判別用データD2とに基づき、回路Cにおいて、コンデンサ21a〜21cが実装状態であるか非実装状態であるかを判別する判別処理を実行する。具体的には、処理部4が、判別用データD2に基づいてコンデンサ21aに対応する周波数範囲fr4〜fr6を特定すると共に、下限率RL2および上限率RU2を特定する。
続いて、処理部4は、特性データD1に基づき、測定用信号S1の周波数の上昇に伴ってインピーダンスが急激に上昇に転じる転換点Ptの有無を特定する特定処理を実行する。この特定処理では、処理部4は、周波数範囲fr4〜fr6を対象として、上記式(2)で規定される上昇率R2が下限率RL2(1.73)以上で、かつ上限率RU2(11.43)以下となる点、つまり、波形曲線CL2における接線の傾きが60°以上でかつ85°以下となる波形曲線CL2上の点を検索する。この場合、処理部4は、一例として、周波数範囲fr4〜fr6における波形曲線CL2を低い周波数から高い周波数に向けて順に微分し、その微分値が下限率RL2と上限率RU2との間の値となったときの周波数を上記の点とする。また、処理部4は、このような点を検出したときには、その点を転換点Ptとして特定し、特定した転換点Ptの数をカウントする。
次いで、処理部4は、特定した転換点Ptの数(特定数)と実装されるべきコンデンサ21a〜21cの数(規定数:この例では3)とを比較する。この場合、図13に示すように、3つの転換点Ptを特定したとき、つまり、特定数と規定数とが同数との条件を満たすときには、処理部4は、各コンデンサ21a〜21cが実装状態であると判別する。一方、図14〜図20に示すように、特定数と規定数とが同数との条件を満たさないときには、各コンデンサ21a〜21cのいずれかが非実装状態である(具体的には、差分値と同じ数のコンデンサ21が非実装状態である)と判別する。次いで、処理部4は、表示処理を実行して、上記の判別結果を表示部5に表示させる。この場合、各コンデンサ21a〜21cのいずれかが非実装状態であると判別したときには、非実装状態のコンデンサ21の数(差分値と同じ数)を判別結果と共に表示させてもよい。
この構成および方法においても、基準値を用いることなく各コンデンサ21の実装状態および非実装状態を判別することができるため、種類の異なる数多くの回路に対して判別処理を行う場合において、各回路毎の基準範囲を規定する煩雑な処理を不要とすることができるため、処理効率を十分に向上させることができる
また、この構成および方法においても、周波数の上昇に伴うインピーダンス(電気的パラメータ)の上昇率R2が下限率RL2以上でかつ上限率RU2以下の点を転換点Ptとして特定するため、例えば、回路Cの電気的特性に起因してインピーダンスが緩やかに上昇するその上昇率よりも下限率RL2を高い値に規定し、ノイズ等の影響によってインピーダンスが急峻に上昇するその上昇率よりも上限率RU2を低く規定することで、これらの緩やかな上昇や急峻な上昇が転換点Ptとして誤って特定される事態を防止することができる結果、判別処理の精度を十分に向上させることができる。
また、この構成および方法においても、共振周波数fsが含まれる周波数範囲frを対象として転換点Ptの有無を特定するため、インピーダンスを測定した全ての周波数を対象として転換点Ptの有無を特定する構成および方法と比較して、転換点Ptを特定する処理の処理時間を十分に短縮することができる。
なお、下限率RL2および上限率RU2として規定した上記の値は一例であって、任意に変更することができる。また、ノイズの影響が少ないときには、下限率RL2のみを規定して、上昇率R2が下限率RL2以上の点を転換点Ptとして特定する構成および方法を採用することもできる。
また、例えば、周波数が予め決められた微少範囲分だけ上昇したときのインピーダンスの上昇分をその微少範囲で除した値(つまり、微少範囲における上昇率R1の平均値)が下限率RL2と上限率RU2との間の値となったときに、その微少範囲におけるいずれかの点(微少範囲における最小周波数の点、微少範囲における中間の周波数の点、および微少範囲における最大周波数の点などの任意の点)を転換点Ptとして特定する構成および方法を採用することもできる。
1 実装状態判別装置
2 測定部
4 処理部
21a〜21c コンデンサ
C 回路
fr1〜fr6 周波数範囲
fs1〜fs3 共振周波数
Pt1〜Pt6 転換点
R1,R2 上昇率
RL1,RL2 下限値
RU1,RU2 上限値
S1 測定用信号
S2 検出信号
2 測定部
4 処理部
21a〜21c コンデンサ
C 回路
fr1〜fr6 周波数範囲
fs1〜fs3 共振周波数
Pt1〜Pt6 転換点
R1,R2 上昇率
RL1,RL2 下限値
RU1,RU2 上限値
S1 測定用信号
S2 検出信号
Claims (6)
- 複数のコンデンサが並列接続される回路に対する交流信号の供給に伴って検出される検出信号に基づいて当該回路についての電気的パラメータを当該交流信号の周波数毎に測定する測定部と、当該測定された電気的パラメータの周波数特性に基づいて前記各コンデンサが実装状態であるか非実装状態であるかを判別する判別処理を実行する処理部とを備えた実装状態判別装置であって、
前記処理部は、前記判別処理において、前記周波数の上昇に伴って前記電気的パラメータが上昇に転じる転換点の有無を特定し、当該特定した転換点の数と前記回路に実装されるべき前記コンデンサの数とが同数のときに前記各コンデンサが実装状態であると判別する実装状態判別装置。 - 前記処理部は、前記周波数の上昇に伴う前記電気的パラメータの上昇率が予め決められた下限率以上でかつ予め決められた上限率以下の点を前記転換点として特定する請求項1記載の実装状態判別装置。
- 前記処理部は、前記コンデンサを含んで構成される共振回路における共振周波数が含まれる予め決められた周波数範囲を対象として前記転換点の有無を特定する請求項1または2記載の実装状態判別装置。
- 複数のコンデンサが並列接続される回路に対する交流信号の供給に伴って検出される検出信号に基づいて当該回路についての電気的パラメータを当該交流信号の周波数毎に測定し、当該測定した電気的パラメータの周波数特性に基づいて前記各コンデンサが実装状態であるか非実装状態であるかを判別する判別処理を実行する実装状態判別方法であって、
前記判別処理において、前記周波数の上昇に伴って前記電気的パラメータが上昇に転じる転換点の有無を特定し、当該特定した転換点の数と前記回路に実装されるべき前記コンデンサの数とが同数のときに前記各コンデンサが実装状態であると判別する実装状態判別方法。 - 前記周波数の上昇に伴う前記電気的パラメータの上昇率が予め決められた下限率以上でかつ予め決められた上限率以下の点を前記転換点として特定する請求項4記載の実装状態判別方法。
- 前記コンデンサを含んで構成される共振回路における共振周波数が含まれる予め決められた周波数範囲を対象として前記転換点の有無を特定する請求項4または5記載の実装状態判別方法。
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