JP2013143490A - 長尺導電性基板の電解めっき方法および銅張積層板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 導電層を表面に有する長尺導電性基板をロールツーロール方式により搬送し、その長尺導電性基板の搬送経路に沿って複数の陽極を、長尺導電性基板と対向する位置に備えた電解めっき槽に満たされた電解めっき液への浸漬を繰り返し、その長尺導電性基板の導電層表面に電解めっきを施す長尺導電性基板の電解めっき方法において、長尺導電性基板は、搬送方向側の先端部に接続部を介して長尺絶縁性基板を備え、その長尺絶縁性基板を先頭に電解めっき槽へと搬送され、先頭の長尺絶縁性基板と接続部が電解めっき液に浸漬後、長尺導電性基板の導電層先端が電解めっき液へ浸漬した時から、その導電層先端が対向する陽極の長さの10%までの距離を移動する間に、その対向する陽極への通電を開始することを特徴とするものである。
【選択図】 図3
Description
そして、銅張積層板はフレキシブル配線基板に加工され、携帯電話など小型電子機器は勿論、液晶ディスプレイ等のドライバ回路のCOF(Chip on Film)実装で使用されている。
COF実装で用いられるフレキシブル配線基板は、2005年以前は配線ピッチ(隣接する配線の中心間距離)は40〜50μmが主流であったが、近年は微細配線加工が、配線ピッチが30μm以下となっている。
特許文献1と、その周辺技術を説明すると、2層銅張積層板を製造する際、樹脂フィルムのポリイミドフィルム表面に金属層を形成する方法としては、例えば、まず、スパッタリング法によりニッケル、クロム、ニッケルクロム合金等からなる下地金属層を形成し、その上に良導電性を付与するために銅薄膜層を形成して金属薄膜を得る。さらに、通常は、回路形成のための導電層を厚膜化するため、電解めっき法、又は電解めっきと無電解めっきを併用して銅めっき被膜層を形成するもので、特に2層銅張積層板は、COF実装に採用されている。
そこで、本発明は、微小凸の集中のない、平滑な銅めっき被膜層を形成する長尺導電性基板の電解めっき方法を提供すると共に、この長尺導電性基板の電解めっき方法を用いる銅張積層板の製造方法を提供するものである。
以下、この電解めっき装置1を用いて、長尺導電性基板に、長尺ポリイミドフィルムの表面に接着剤を介することなくスパッタリング法で金属薄膜を形成した金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムを用い、メタライジング法による銅張積層板の製造方法を例に本発明の長尺導電性基板の電解めっき方法を説明する。
図1に示すように、本発明方法を実施するためのロールツーロール方式の電解めっき装置1は、めっき槽11、巻出ロール12、搬送用ガイドロール13、不溶解性陽極(以下、説明の便宜上「陽極」と略称する)14a〜14h、巻取ロール15、給電ロール16a〜16eとから構成されている。なお、Fは金属薄膜付長尺ポリイミドフィルム(長尺導電性基板)、Sは銅被覆長尺ポリイミドフィルム(銅張積層板)である。
各陽極は、可溶性の陽極を用いても不溶性の陽極を用いても良く、さらに、各陽極は図1からもわかるように、搬送される金属薄膜付長尺ポリイミドフィルム(長尺導電性基板)と対向するように配置されている。
すなわち、陽極14aは、この陽極14aに接続した制御用電源と、給電ロール16aと、金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF(長尺導電性基板)とにより電解めっき回路を構成するものである。陽極14b、14c、14d、14e、14f、14g、14hについても同様に電解めっき回路を構成している。
また、電解めっき装置1には、金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF(長尺導電性基板)の張力を制御する制御ロール等の長尺ポリイミド(樹脂)フィルムの搬送に用いる公知の各種装置や、めっき液の攪拌や供給等の公知の各種装置を追加することもできる。
金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF(長尺導電性基板)は、巻出ロール12より幅方向を略水平にして巻き出されて搬送され、給電ロール16aによりめっき槽11のめっき液中に浸漬するように搬送方向を変えられ、めっき槽11内の搬送用ガイドロール13により反転されてめっき槽11のめっき液面方向へ搬送方向を変えられる。さらに、隣接する給電ロール16b、搬送用ガイドロール13、給電ロール16c、搬送用ガイドロール13、給電ロール16d、搬送用ガイドロール13、給電ロール16eの順に搬送されることによりめっき液への浸漬が繰り返される。
最終的には、銅被覆長尺ポリイミドフィルムS(この状態では電解めっきが完了しているので銅張積層板となる)は巻取ロール15により巻き取られる。
長尺導電性基板(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF)は、電解めっき装置1内を搬送されて、銅薄膜層の表面に所望する膜厚の銅電解めっき層が形成されるが、そのため、長尺導電性基板(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF)は、電解めっき装置1に備えられた全ての陽極で電解めっきを行う必要がある。
通常、用いる長尺導電性基板(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF)の銅薄膜層の膜厚は、50nm〜1000nmであり、その単位面積あたりの抵抗値は10−1Ωである。
電解めっき装置1は、下流(搬出側:巻取ロール15側)に進むにつれて電流が上昇するように各陽極および各給電ロールでの制御が行われる為、長尺導電性基板(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF)を予め電解めっき装置1に仕掛けて運転を開始すると、給電ロール等の位置によっては銅薄膜層には大過剰な電流が流れることなり、銅電解めっき層の変色が発生する可能性があり、最悪の事態としては給電ロール等と長尺導電性基板(金属薄膜付長尺樹脂フィルムF)との焼き付き不具合を発生させることになってしまう。
このような配置では、長尺導電性基板(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF)は、長尺絶縁性基板に先導されて電解めっき装置1内を搬送されるので、最初の給電ロール16aから定常状態における電解めっきが可能となり、徐々に銅めっき被膜層の膜厚が増し、大過剰な電流が印可されることは無くなり、これら不具合を発生させることが無くなる。
図2(a)、(b)は長尺導電性基板と長尺絶縁性基板の重ね合わせ方が異なるもので、(a)は長尺導電性基板の給電ロール接触面側に長尺絶縁性基板が重なっている場合を示し、(b)は長尺導電性基板の基材側面に長尺絶縁性基板が重なっている場合を示すものである。
接続部20では長尺導電性基板(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF)と長尺絶縁性基板(PETフィルム)が、両面粘着テープ25で貼り合わせられていても良い(図2(a)参照)、また図2(b)のように接続部の機械的強度が維持できるならば、両面粘着テープは不要である。
特に、導電層(銅薄膜層)は、給電ロールに接触し電流が通電されているため、接続部20に導電性粘着テープを用いると通電をより安定させ異常放電を抑制する効果が期待できる。
その段差が100μmを越えると、巻取られた銅張積層板に転写することがあり、銅張積層板が変形することも懸念される。一方、裏面の樹脂基板(ポリイミド)側は電流が流れることは無いので段差による異常放電の心配は無い。
さらに、導電層(銅薄膜層)側の粘着テープの層厚(粘着層と基材(金属箔)の合計の厚み)は40μm以下が望ましい。
被覆層26としては、段差部(図2(a)では23b、(b)では23aの被覆に使用した粘着テープを連続して用いても良く、別途被覆しても良い。
このように接続部では、長尺導電性基板(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF)の導電層(銅薄膜層)は、長尺絶縁性基板が形成する段差部23b、又は長尺導電性基板が形成する段差部23aから逆搬送方向(図2の黒矢印で示す方向)に被覆層で覆われていることになり、段差部23a、23bを被覆する粘着テープ24Aにより生じる段差をなだらかにして、導電層(銅薄膜層)の銅の溶解を緩和することを可能とする。なお、上記効果を得る被覆層の長さは、電解めっき時の電解めっき層の損失量も考慮して適宜決めると良い。
さらに、導電性粘着テープの粘着層は、粘着剤にカーボンなどの導電性の粒子を練りこんだ形成された導電性粘着層である。
長尺絶縁性基板には、PETフィルムを例に挙げたが、材料はPETフィルムには限定されず、ロールツーロール方式で搬送できる柔軟性と、電解めっき液へ浸漬しても切断することが無い機械的強度を有すればよく、PET等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム等の樹脂フィルム等から適宜選択される。これらのうちPETフィルムが商業的に安価で入手も容易である。
また、長尺絶縁性基板の厚みは、長尺導電性基板の厚みとロールツーロール方式で搬送できる柔軟性を備えればよく、長尺導電性基板の厚みの0.3倍〜5倍の範囲で適宜選択可能である。
しかし、このような長尺導電性基板(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF)の搬送を行っても、銅電解めっき層に微小凸の集中部分が発生する箇所がある。
その微小凸の集中部分の箇所を考察すると、長尺導電性基板(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF)が浸漬されてからの対向する陽極への通電開始タイミングが遅れると、電解めっき浴槽内で無通電期間が生じ、その結果、導電層(銅薄膜層)等が溶解して通過するロール表面が汚染され、以降の電解銅めっき層に汚染物質が転写されることで、微小凸の集中部分が生じると考えられた。
一方、浸漬される前に通電が始まると銅皮膜が溶解されることは無いものの、過剰に電流が加わることで基板焼けが生じ、また給電ローラーにてスパークが生じる。
浸漬、通電の過程を、図3を用いて検討すると、PETフィルム等の長尺絶縁性基板32を先頭に搬送される長尺導電性基板(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF)31が電解めっき槽11に浸漬される過程は、両者の接続部30が、電解めっき液37に浸漬された後に導電層(銅薄膜層)先端の被覆部(図2の26)が途切れた露出表面(図示せず)が浸漬される(図3(a))。
例えば、陽極の長さが2mならば、導電層(銅薄膜層)先端の被覆部(図2の26)が途切れた露出表面が、始めて浸漬されてから、対向する陽極に対して20cm搬送されるまでの間に通電が開始されることである。
より望ましい陽極への通電開始タイミングの最大値は、対向する陽極が2mを越えたとしても、導電層(銅薄膜層)先端の被覆部(図2の26)が途切れた露出表面が、電解めっき液に浸漬されてから、対向する陽極に対して20cm搬送される間である。
本発明による銅張積層板は図4にその断面図を示すように、ポリイミドフィルム2の表面にニッケル−クロム系合金等の下地金属層3と銅薄膜層4と銅めっき被膜層5が積層されて構成されており、下地金属層3と銅薄膜層4の積層体を金属薄膜層6と称している。なお、銅めっき被膜層5は、無電解めっき法と併用して形成してもよい。
なお、無電解めっき法と電解めっき法を併用して銅めっき被膜層5を形成する場合には、金属薄膜層6の表面に銅を無電解めっきで成膜し、次に無電解めっきによる成膜の表面に電解めっきを行う。
引き続き、このポリイミドフィルム上にスパッタリング法によってクロムを20重量%含有する下地金属層を厚み20nm形成し、さらに銅薄膜層を厚み100nm形成して金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF(長尺導電性基板)を得た。
スパッタリングにはロールツーロール方式のスパッタリング装置を用いた。
使用した電解めっき液の基本的な組成は、pH1以下の硫酸銅溶液であり、これに銅めっき被膜の平滑性等を確保する目的で有機系の添加剤を所定量添加した。
搬送される基板と対向して設けられた陽極には溶解性の銅陽極を用い、陽極の金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF(長尺導電性基板)搬送方向に対する長さは2mとした。また、各陽極の電流密度は表1の通りであった。
作製した銅張積層板の微小凸を顕微鏡で測定した結果、高度差0.2〜1.0μm、水平距離1〜30μm微小凸の集中は発生しておらず、特性検査をクリアする良好な結果を得た。なお、サンプル数は500個である。
作製した銅張積層板の小凸を測定した結果、高度差0.2〜1.0μm、水平距離1〜30μm微小凸の集中は発生しておらず、特性検査をクリアする良好な結果を得た。なお、サンプル数は500個である。
各陽極との通電開始タイミングが30cm(陽極の長さの15%)とした以外は、実施例1と同様にして銅張積層板を得た。銅張積層板の凸を測定した結果、高度差0.2〜1.0μm、水平距離1〜30μm微小凸の集中が発生し、特性検査をクリアすることはできなかった。
各陽極との通電開始タイミングが−4cm(浸漬される前から通電)とした以外は、実施例1と同様にして銅張積層板を得た。
銅張積層板の微小凸を測定した結果、高度差0.2〜1.0μm、水平距離1〜30μm微小凸の集中が発生し、特性検査をクリアすることはできなかった。また、スパーク発生によりローラー周期の打痕が発生した為、製品とすることができなかった。
2 ポリイミドフィルム
3 下地金属層
4 銅薄膜層
5 銅めっき被膜層
6 金属薄膜層
11 めっき槽
12 巻出ロール
13 搬送用ガイドロール
14a〜14h (不溶解性)陽極
15 巻取ロール
16a〜16e 給電ロール
20 接続部
21 長尺導電性基板(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルム)端部
22 長尺絶縁性基板(PETフィルム)端部
23a (長尺導電性基板が形成する)段差部
23b (長尺絶縁性基板が形成する)段差部
24A (給電ロール接触面側を覆う被覆部)粘着性テープ
24B (給電ロール接触面の反対面側を覆う被覆部)粘着性テープ
25 両面粘着テープ
26 長尺導電性基板の給電ロール接触面側を覆う被覆部
30 接続部
31 長尺導電性基板
32 長尺絶縁性基板
37 電解めっき液
F 金属薄膜付長尺ポリイミドフィルム(長尺導電性基板)
S 銅被覆長尺ポリイミドフィルム(銅張積層基板)
Claims (5)
- 導電性の表面を備えた長尺導電性基板をロールツーロール方式により搬送し、前記長尺導電性基板の搬送経路に沿って複数の陽極を前記長尺導電性基板と対向する位置に備えた電解めっき槽に満たされた電解めっき液への浸漬を繰り返して、前記長尺導電性基板の導電層表面に電解めっきを施す長尺導電性基板の電解めっき方法において、
前記長尺導電性基板は、搬送方向側の先端部に接続部を介して長尺絶縁性基板を備え、先導する前記長尺絶縁性基板により前記電解めっき槽へと搬送され、
前記長尺絶縁性基板と前記接続部が前記電解めっき液に浸漬後、前記長尺導電性基板の導電層先端が電解めっき液へ浸漬した時から、前記導電層先端が対向する陽極の長さの10%までの距離を移動する間に、前記対向する陽極への通電を開始することを特徴とする長尺導電性基板の電解めっき方法。 - 前記長尺導電性基板における前記電解めっき液への浸漬、対向する陽極への通電による導電層表面への電解めっき工程が、長尺導電性基板の搬送経路に沿って設けられた長尺導電性基板に対向する複数の陽極毎に行われ、
前記対向する陽極への通電が、前記長尺導電性基板の導電層先端が電解めっき液へ浸漬した時から前記導電層先端が対向する陽極の長さの10%までの距離を移動する間に、前記対向する陽極への通電を開始することを特徴とする請求項1に記載の長尺導電性基板の電解めっき方法。 - 前記電解めっき液が、銅めっき液であることを特徴とする請求項1または2に記載の長尺導電性基板の電解めっき方法。
- 前記長尺導電性基板が、長尺樹脂フィルムの表面に接着剤を介することなくニッケル合金薄膜からなる下地金属層と、銅薄膜層の順に積層された金属薄膜付長尺樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1から3にいずれか1項に記載の長尺導電性基板の電解めっき方法。
- 長尺導電性基板表面に電解めっき方法により電解めっき被膜層を設けた銅張積層板の製造方法であって、
前記電解めっき方法が、請求項4記載の長尺導電性基板の電解めっき方法であることを特徴とする銅張積層板の製造方法。
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