JP2013142375A - 電子制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】不揮発性メモリへの記録を適切な時期に自動的に開始する。
【解決手段】電子制御システム1は、電子制御装置2、センサ群5およびアクチュエータ群6を備える。電子制御装置2は、履歴情報を記録するEEPROM16を備える。CPU11は、複数の項目について異常を検出する診断部を提供する。CPU11は、さらに、検査期間の間中に、診断部が、すべての項目について異常を検出しない場合、EEPROM16への履歴情報の記録を許可する許可部を提供する。CPU11は、許可部に応答してEEPROM16への履歴情報の記録を制御する記録制御部を提供する。この構成によると、検査期間の間中に、すべての項目に一つも異常がない場合に、EEPROM16への履歴情報の記録が許可される。つまり、複数の項目に正常だけでなく、不定が含まれている場合であっても、EEPROM16への履歴情報の記録が許可される。
【選択図】図1

Description

本発明は、不揮発性メモリへ履歴情報を記録する電子制御装置に関する。
従来、機器の制御装置に不揮発性メモリを設け、種々の履歴情報を不揮発性メモリに記録する電子制御装置が知られている。例えば、車両用の電子制御装置においては、修理を支援するために、機器の異常が検出されたときの機器の作動状態を記録する電子制御装置が知られている。
車両のエンジン等を制御する電子制御装置は、車両の製造ラインにおいて、すべての機器の組付けが正常に完了していない状態で動作することがある。この場合、電子制御装置は、未組付けの部品を検出できないから、自己診断機能によって異常を検出することがある。さらに、電子制御装置は、その自己診断結果を不揮発性メモリに記憶することがある。この結果、不揮発性メモリには、不要な情報が蓄積される。不揮発性メモリは、給電の有無に関係なくデータを保持できるEEPROM、データフラッシュなどと呼ばれるメモリによって提供される。
従来、不要な情報の記録を抑制するために、特許文献1−3に開示される技術が知られている。例えば、特許文献1は、診断結果に基づき正常判定が所定回数に達した場合や所定時間が継続した場合に記録を開始するように構成された電子制御装置を開示している。また、特許文献2は、診断対象が正常状態と判定された時に記録を開始するように構成された電子制御装置を開示している。また、特許文献3は、外部装置から記録許可信号を受信すると記録を開始する電子制御装置を開示している。
特開2006−291730号公報 特開2009−36165号公報 特開2009−59334号公報
従来技術では、自己診断に関連する部品の組付けが完了していないことに起因して、診断結果が異常となり、組付けが完了していれば正常となる構成であった。しかし、関連部品の組付けが完了していても、診断許可条件が未だ成立していない状態では、全ての自己診断が完了したとは言えない場合がある。よって、自己診断の結果は、不定状態、または未定状態と呼ぶべき状態である。従来技術では、不定の項目があると記録が許可されないなど、電子制御装置が所期の機能を発揮できないおそれがあった。
例えば、車両の製造ラインで発生しない運転条件、例えば高速走行や高負荷運転など、を診断許可条件として持つ項目は、製造ラインでは不定状態となる。この結果、特許文献1および特許文献2の技術では、車両がすべての使用状態を経験するまで記録が開始されないおそれがある。このような不具合を回避するには、記録の開始を判定するために使用する項目を選定する必要がある。例えば、高速走行や高負荷運転などを条件とする項目を除外する必要があった。このような選定は、予め車両毎に実施する必要がある。しかし、多くのバリエーションに対応して項目を選定し、電子制御装置のプログラムを設定することは容易ではない。また、そのような措置は、設計段階、製造段階における工数を増加させ、コストを上昇させる。
また、特許文献3の技術では、車両の製造ラインに外部装置を設置し、記録許可信号を与えるための工程を設ける必要があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、不揮発性メモリへの記録を適切な時期に自動的に開始することができる電子制御装置を提供することである。
本発明の他の目的は、不揮発性メモリへの記録の開始を判定するための項目の選定や、外部装置からの記録許可信号を要することなく、上記記録開始の判定を実行することができる電子制御装置を提供することである。
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
請求項1に記載の発明は、履歴情報を記録する不揮発性メモリ(16)と、複数の項目について異常を検出する診断部(122、130)と、所定の期間の間中に、診断部が、すべての項目について異常を検出しない場合、不揮発性メモリへの履歴情報の記録を許可する許可部(123、124、125、144)と、許可部に応答して不揮発性メモリへの履歴情報の記録を制御する記録制御部(150)とを備えることを特徴とする。
この構成によると、所定の期間の間中に、すべての項目に一つも異常がない場合に、不揮発性メモリへの履歴情報の記録が許可される。つまり、複数の項目に正常だけでなく、不定が含まれている場合であっても、不揮発性メモリへの履歴情報の記録が許可される。よって、電子制御システムが正常に構築されていない製造工程においては、履歴情報の記録が許可されない。しかし、電子制御システムが正常に構築された後は、履歴情報の記録が許可される。したがって、電子制御システムが完全に構築されるまでの製造工程における不要な情報が不揮発性メモリに記録されることを抑制することができる。この結果、不揮発性メモリへの記録を適切な時期に自動的に開始することができる。また、不揮発性メモリへの記録の開始を判定するための項目の選定や、外部装置からの記録許可信号を要することなく、上記記録開始の判定を実行することができる。
請求項2に記載の発明は、許可部は、すべての項目について共通的に設けられ、診断部によって少なくとも一つの項目について異常が検出されたことを記憶する異常記憶部(144、FGst)と、期間の経過を判定する期間判定部(123)と、期間の経過後に、少なくとも一つの項目について異常が検出されたことを異常記憶部が示す場合、不揮発性メモリへの履歴情報の記録を禁止し、期間の経過後に、すべての項目について異常が検出されていないことを異常記憶部が示す場合、不揮発性メモリへの履歴情報の記録を許可する記憶判定部(124、125)とを備えることを特徴とする。
この構成によると、すべての診断の項目について共通的に設けられた異常記憶部によって、少なくとも一つの項目について異常が検出されたことが記憶される。この結果、少なくとも一つの項目について異常が検出された場合と、すべての項目について異常が検出されていない場合とに分岐して、記録の禁止と許可とを制御することができる。
請求項3に記載の発明は、期間は、センサ群(5)およびアクチュエータ群(6)を含む電子制御システムを構築した後の検査のための検査期間であることを特徴とする。
この構成によると、センサ群およびアクチュエータ群を含む電子制御システムを構築した後の検査期間において、不揮発性メモリへの記録開始を判定することができる。
請求項4に記載の発明は、検査期間は、起動信号が与えられてから、停止信号が与えられるまでの期間であることを特徴とする。
この構成によると、電子制御装置に起動信号が与えられてから、電子制御装置に停止信号が与えられるまでの期間に、診断が実行され、不揮発性メモリへの記録開始の許可が決定される。電子制御装置が起動状態にあるだけで、少なくともひとつのセンサまたはアクチュエータなどの機器との電気的な接続状態を診断し、その異常を検出することができる。
請求項5に記載の発明は、電子制御装置は、エンジンを備える車両のための電子制御装置であって、検査期間は、エンジンが始動されてから、エンジンが停止されるまでの期間であることを特徴とする。
この構成によると、エンジンが始動されてから停止されるまでの期間に、診断が実行され、不揮発性メモリへの記録開始の許可が決定される。エンジンが始動され、運転状態にある期間に診断可能となる機器の異常を検出することができる。
請求項6に記載の発明は、電子制御装置は、走行可能な車両のための電子制御装置であって、検査期間は、車両の走行開始から、車両の停止までの期間であることを特徴とする。
この構成によると、車両が走行している期間に、診断が実行され、不揮発性メモリへの記録開始の許可が決定される。車両が走行している期間に診断可能となる機器の異常を検出することができる。
請求項7に記載の発明は、履歴情報は、診断部によって検出された異常に関連する異常履歴情報を含むことを特徴とする。
この構成によると、異常に関連する情報が不揮発性メモリに記録される。
請求項8に記載の発明は、履歴情報は、電子制御装置の使用状態を示す使用履歴情報を含むことを特徴とする。
この構成によると、電子制御装置の使用状態を示す情報が不揮発性メモリに記録される。しかも、この構成では、電子制御システムが異常なく構築されている場合に、不揮発性メモリへの履歴情報の記録が許可されるから、製造工程における不要な使用履歴情報の記録を抑制することができる。
請求項9に記載の発明は、使用履歴情報は、電源電圧、使用期間、または使用環境の温度を含むことを特徴とする。
この構成によると、使用履歴を示す情報として、電源電圧を含むことができる。電源電圧は、その最大値および/または最小値を含むことができる。例えば、車両の電源としては、12Vまたは24Vが広く普及している。この構成によると、電子制御装置に供給された電源電圧を認識することができる。例えば、誤った電源電圧の供給を知ることができる。また、使用履歴を示す情報として、使用期間を含むことができる。使用期間は、使用時間、または車両用の電子制御装置においては車両の走行距離とすることができる。また、使用履歴を示す情報として、使用環境の温度を含むことができる。温度は、その最大値および/または最小値を含むことができる。温度は、大気の温度、エンジンの冷却水温度などを用いることができる。
なお、特許請求の範囲および上記手段の項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
本発明を適用した第1実施形態に係る車両用の電子制御システムを示すブロック図である。 第1実施形態の制御処理の一部を示すフローチャートである。 第1実施形態の制御処理の一部を示すフローチャートである。 第1実施形態の制御処理の一部を示すフローチャートである。 第1実施形態の作動の一例を示すタイムチャートである。 第1実施形態の作動の一例を示すタイムチャートである。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
図1において、車両用の電子制御システム1は、走行可能な車両に搭載され、車両のための制御システムを提供する。例えば、電子制御システム1は、車両のエンジン、電動などの駆動装置、車両のメータ、車両の空調装置などのための制御システムを提供する。
電子制御システム1は、ECU(電子制御装置)2と、センサ群(SNSR)5と、ひとつ以上のアクチュエータを含むアクチュエータ群(ACTR)6とを備える。電子制御システム1は、ECU2、センサ群5、およびアクチュエータ群6が正規の状態に接続され、それらが正規の機能を果たすことによって所定の制御を実行する。
ECU2は、車両に搭載されたバッテリ3から給電されて機能する。ECU2は、電源スイッチ4の投入に応答して所定の制御を実行するように構成されている。ECU2は、電源スイッチ4の投入に応答して所定の制御を開始し、電源スイッチ4の開成に応答して所定の制御を終了するように構成することができる。ECU2は、バッテリ3から電源供給を受けることで所定の制御を実行し、さらに電源スイッチ4の操作状態に対応した所定の制御を実行するように構成することができる。電源スイッチ4は、車両のイグニッションスイッチ(IGSW)とも呼ばれることがある。
センサ群5は、ひとつ以上のセンサを含む。センサは、検出対象の状態を示す電気信号を出力する。電子制御システム1がエンジン制御システムの場合、センサ群5は、例えば、以下に列挙するセンサの少なくともひとつを含むことができる。(1)車両の走行速度を示す信号Vwを出力する車速センサ。(2)エンジンの回転数を示す信号Neを出力する回転角センサ。(3)エンジンの冷却水の温度を示す信号Twを出力する水温センサ。(4)燃料の圧力を示す信号Pfを出力する圧力センサ。(5)吸入空気の圧力を示す信号Pbを示す圧力センサ。
アクチュエータ群6は、ひとつ以上のアクチュエータを含む。アクチュエータは、指令信号に応答して物理的な作用を発生する。アクチュエータは、例えば、電気モータ、電磁ソレノイド、電球などによって提供することができる。電子制御システム1がエンジン制御システムの場合、アクチュエータ群6は、例えば、以下に列挙するアクチュエータの少なくともひとつを含むことができる。(1)エンジンに燃料を供給するための電動型の燃料ポンプ。(2)燃料を噴霧するための電磁弁型の燃料噴射装置。(3)エンジンの吸入空気量を調節する電動型のスロットル装置。(4)システムの故障を示すために点灯される表示ランプ。
ECU2は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納している。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクによって提供されうる。プログラムは、ECU2によって実行されることによって、ECU2をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される制御方法を実行するようにECU2を機能させる。ECU2が提供する手段は、所定の機能を達成する機能的ブロック、またはモジュールとも呼ぶことができる。
ECU2は、中央演算装置(CPU)11、入出力回路(I/O)12、ROM13、RAM14、バックアップRAM(BU−RAM)15、およびEEPROM16を備える。ROM13は、CPU11が実行するプログラムを格納する。RAM14は、CPU11が利用するデータを一時的に記憶する。バックアップRAM15は、電源が常時供給されデータの保存が可能なRAMである。バックアップRAM15は、保存が必要なデータを記録する。EEPROM16は、書き換え可能な不揮発性メモリである。EEPROM16は、履歴情報を記録する不揮発性メモリを提供する。CPU11、ROM13、およびRAM14は、それらを一体化したマイクロコンピュータによって提供することができる。
CPU11は、所定のプログラムを実行することにより、入出力回路12を介して入力されたセンサ群5からの信号に基づいて、アクチュエータ群6を制御する。この結果、ECU2は、エンジン制御装置として機能する。
さらに、CPU11は、エンジン制御に加え、異常診断処理を実行する。このような機能は自己診断機能とも呼ばれる。異常診断処理においては、CPU11は、複数の項目に関して故障、すなわち異常の有無を診断する。CPU11は、入出力回路12に入力される各種信号のデータの値や、システムの状態に基づいて、センサ群5およびアクチュエータ群6に関して、複数の項目の異常診断を実行する。異常診断の対象となる項目には、例えば、以下に列挙する項目を含むことができる。
(1)製造時診断項目
製造時診断項目は、車両の製造ラインにおいて診断が可能な項目である。この項目には、製造ラインにおける制限された条件下で正確に異常と正常とを診断できる項目が含まれる。
(1a)第1診断項目
第1診断項目は、車両の動力装置を活性化させることなく診断可能な項目である。例えば、第1診断項目には、センサ群5に含まれるセンサの接続状態を含むことができる。例えば、CPU11は、複数のセンサのそれぞれに関して、接続、または非接続を判定する。具体的には、水温センサの接続の有無を判定することができる。
第1診断項目には、アクチュエータ群6に含まれるアクチュエータの接続状態を含むことができる。例えば、CPU11は、複数のアクチュエータのそれぞれに関して、接続、または非接続すなわち断線を判定する。具体的には、冷却ファンの駆動リレーの接続の有無を判定することができる。また、スロットル装置の電動モータの接続状態を含むことができる。
ECU2は、複数の第1診断項目に関して診断処理を実行する。第1診断項目は、車両の駆動装置を活性化することなく、ECU2を作動させるだけで、異常または正常を確定することができる項目である。ECU2が複数の第1診断項目の診断を完了するまでに要する期間を第1検査期間と呼ぶことができる。第1検査期間は、ECU2に起動信号を与えてから、停止信号を与えるまでの期間によって定義される。複数の第1診断項目は、例えば、電源スイッチ4、すなわちイグニッションスイッチをON状態に操作して、ECU2を機能させた後に、再びOFF状態に戻すまでの期間に、異常または正常を確定することが可能な項目である。
複数の第1診断項目は、車両の製造工程の初期段階、すなわち電子制御システム1の構成部品を互いに電気的に接続した状態で診断が可能な項目でもある。よって、第1診断項目は、初期診断項目とも呼ぶことができる。この実施形態は、複数の第1診断項目に加えて、さらに下記の追加的な項目を含む。これら追加的な項目は、異常または正常を確定するために所定の追加的な条件を必要とする。追加的な項目は、上記第1検査期間においては、診断結果が不定状態となる項目である。
(1b)第2診断項目
第2診断項目は、車両を走行させることなく、車両の動力装置を活性化させた状態で診断可能な項目である。例えば、第2診断項目には、動力装置としてエンジンが採用される場合、エンジンを作動させた状態で診断可能な項目が含まれる。具体的には、第2診断項目には、エンジンを始動させるためのスタータモータの状態、スタータモータを起動させるためのスタータスイッチの状態、またはスタータモータに通電するためのスタータリレーの状態などを含むことができる。
ECU2は、複数の第2診断項目に関して診断処理を実行する。第2診断項目は、ECU2を作動させ、かつ車両の駆動装置を活性化した状態で、異常または正常を確定することができる項目である。ECU2が複数の第2診断項目の診断を完了するまでに要する期間を第2検査期間と呼ぶことができる。第2検査期間は、エンジンの始動から停止までの期間によって定義される。複数の第2診断項目は、例えば、電源スイッチ4、すなわちイグニッションスイッチをON状態に操作して、エンジンを始動させた後に、再び電源スイッチ4をOFF状態に戻すまでの期間に、異常または正常を確定することが可能な項目である。
複数の第2診断項目は、車両の動力装置を試運転することによって診断が可能な項目でもある。よって、第2診断項目は、試運転診断項目とも呼ぶことができる。この実施形態は、複数の第2診断項目に加えて、さらに下記の追加的な項目を含む。これら追加的な項目は、異常または正常を確定するために、動力装置の試運転を上回る追加的な条件を必要とする。追加的な項目は、上記第2検査期間においては、診断結果が不定状態となる項目である。
(1c)第3診断項目
第3診断項目は、車両の動力装置を活性化させ、かつ車両を走行させた状態で診断可能な項目である。例えば、第3診断項目には、車両が走行したときにのみ機能する車速センサの状態を含むことができる。
ECU2は、複数の第3診断項目に関して診断処理を実行する。第3診断項目は、ECU2を作動させ、かつ車両の駆動装置を活性化させ、さらに車両を走行させた状態で、異常または正常を確定することができる項目である。車両の走行状態は、車両の製造工程における短距離の走行、またはテストベンチにおける走行で提供することができる。ECU2が複数の第3診断項目の診断を完了するまでに要する期間を第3検査期間と呼ぶことができる。第3検査期間は、車両の走行開始から停車までの期間によって定義される。複数の第3診断項目は、例えば、車両が所定の短距離を走行する間に、異常または正常を確定することが可能な項目である。
複数の第3診断項目は、車両を試走することによって診断が可能な項目でもある。よって、第3診断項目は、試走診断項目とも呼ぶことができる。この実施形態は、複数の第3診断項目に加えて、さらに下記の実使用下診断項目を含む。実使用下診断項目は、異常または正常を確定するために、車両の試走を上回る追加的な条件を必要とする。実使用下診断項目は、上記第3検査期間においては、診断結果が不定状態となる項目である。
(2)実使用下診断項目。
実使用下診断項目は、車両の製造ラインでは実現困難な状況において診断可能な項目である。例えば、製造ラインでは、長時間にわたる高速走行、または急ハンドルと急ブレーキとの同時操作といった実使用に相当する条件を実現することは困難である。実使用下診断項目には、このような条件下だけで、正確に異常と正常とを診断できる項目が含まれる。例えば、実使用下診断項目のひとつは、吸気圧特性の診断である。吸気圧特性を計測するためには、エンジンの回転数を高回転とし、エンジンに負荷をかける必要がある、このため、吸気圧特性の診断は、車両の製造ラインにおいて実現することは困難であった。実使用下診断項目のひとつは、燃料タンク内の燃料量が満タンから0(ゼロ)まで変化した状況において診断可能な燃料ゲージの診断である。ECU2は、複数の実使用下診断項目に関して診断処理を実行する。
さらに、CPU11は、電子制御システム1の作動状態の履歴を示す履歴情報を記録するための記録処理を実行する。履歴情報には、異常診断の結果、すなわち故障履歴情報を含むことができる。また、履歴情報には、異常診断によって何らかの異常が検出されたときの車両の使用状態を示す分析用履歴情報を含むことができる。さらに、履歴情報には、電子制御システム1の使用環境、例えば供給電圧、環境温度、車両の走行距離などの使用履歴情報を含むことができる。この実施形態では、履歴情報を確実に記録するために、履歴情報は、不揮発性メモリであるEEPROM16に記録される。
さらに、CPU11は、履歴情報の記録を開始する時期を判定するための開始判定処理を実行する。この実施形態では、複数の項目に関して実行される異常診断処理の結果に基づいて、記録開始の可否が判定される。具体的には、CPU11は、所定の期間の間に、すべての項目について一度も異常が検出されなかった場合に、記録開始を許可する。なお、EEPROM16には、履歴情報を記録するための記録領域を含む複数の記録領域が設定されている。例えば、EEPROM16は、電子制御システム1の固有の識別情報を記録するための記録領域も含むことができる。開始判定処理は、履歴情報を記録するための記録領域への記録の開始を判定する。
図2は、記録開始を判定するための開始判定処理120を示す。開始判定処理120では、所定の期間に、すべての項目に関して異常が検出されなかった場合にのみ、それ以後におけるEEPROM16への記録を許可する。
開始判定処理120は、ECU2へ電源が供給され、さらに電源スイッチ4がON状態に操作されると開始される。ステップ121では、CPU11は、フラグなどを初期設定するための初期化処理を実行する。
ステップ122では、CPU11は、複数の項目に関する診断処理130を実行する。CPU11は、ECU2へ電源が供給され、さらに起動信号が与えられた後、停止信号が与えられるまでの活性化期間の間中、複数の診断処理130を繰り返して実行する。ステップ122と複数の診断処理130とは、複数の項目について異常を検出する診断部を提供している。
それぞれの診断処理130は、診断許可条件の成立を判定する許可手段と、項目に関する異常または正常を判定する診断手段とを提供している。診断許可条件が成立しない場合には、診断結果は不定とされる。また、項目が異常であっても、所定の確定条件が成立していない場合には、診断結果は不定とされる。同様に、項目が正常であっても、確定条件が成立していない場合には、診断結果は不定とされる。項目が異常であって、かつ確定条件が成立すると、診断結果は異常となる。また、項目が正常であって、かつ確定条件が成立すると、診断結果は正常となる。確定条件としては、例えば、同じ診断が所定回数連続して繰り返されるという条件を用いることができる。
図3は、特定の項目に関して異常診断を実行するための診断処理130を示す。診断処理130は、複数の項目のそれぞれに対して実行される。この結果、複数の項目のそれぞれに関して、診断結果が得られる。診断結果は、一時的な結果と、確定的な結果とによって与えられる。一時的な結果は、1回の異常診断における結果であり、正常または異常で示される。ただし、一時的な結果は、不定状態として扱われる。確定的な結果は、一時的な結果が所定の期間にわたって継続した場合に与えられる。確定的な結果は、異常フラグFGabまたは正常フラグFGnrによって示される。さらに、複数の項目のひとつでも確定的な異常が検出されると、禁止フラグFGstが設定状態、すなわちON状態に操作される。
ステップ131では、CPU11は、ひとつの項目についての診断許可条件が成立したか否かを判定する。診断許可条件が非成立の場合、診断処理を終了する。診断許可条件が成立すると、ステップ132に進む。ステップ132では、CPU11は、ステップ132の実行時点において項目が正常か異常かを診断する。ステップ133では、CPU11は、ステップ132での診断結果が正常な否かを判定する。
ステップ133における判定結果が正常、すなわちYESである場合、ステップ134へ進む。ステップ134では、CPU11は、正常カウンタCNnrに1を加える。ステップ135では、CPU11は、異常カウンタCNabの値をリセットする。ステップ136では、CPU11は、正常カウンタCNnrが所定の閾値回数Cthを上回ったか否かを判定する。閾値回数Cthは、同じ診断結果の継続期間を規定する。閾値回数Cthは、例えば、3回とすることができる。正常カウンタCNnrが閾値回数Cthを上回らない場合、処理を終了する。正常カウンタCNnrが閾値回数Cthを上回ると、ステップ137へ進む。ステップ137では、正常フラグFGnrをON状態に操作する。ステップ138では、異常フラグFGabをOFF状態に操作する。
ステップ133における判定結果が異常、すなわちNOである場合、ステップ139へ進む。ステップ139では、CPU11は、異常カウンタCNabに1を加える。ステップ140では、CPU11は、正常カウンタCNnrの値をリセットする。ステップ141では、CPU11は、異常カウンタCNabが所定の閾値回数Cthを上回ったか否かを判定する。異常カウンタCNabが閾値回数Cthを上回らない場合、処理を終了する。異常カウンタCNabが閾値回数Cthを上回ると、ステップ142へ進む。ステップ142では、異常フラグFGabをON状態に操作する。ステップ143では、正常フラグFGnrをOFF状態に操作する。
さらに、ステップ144では、CPU11は、禁止フラグFGstをON状態に操作する。ステップ144が実行される場合は、少なくともひとつの項目において異常が確定した場合である。
禁止フラグFGstは、複数の項目に対して共通に設けられたフラグである。禁止フラグFGstは、複数の診断処理130によって共通的に操作されるフラグである。禁止フラグFGstは、EEPROM16への記録の開始を禁止するために利用される。禁止フラグFGstは、EEPROM16への記録開始の可否を判定するための条件が満たされたか否かを示すフラグでもある。
禁止フラグFGstは、診断処理130の中ではOFF状態に操作されることはない。禁止フラグFGstは、ECU2への最初の電源投入時にはOFF状態に設定されている。禁止フラグFGstは、前図に示したステップ123によって規定される所定期間の間に、ON状態に操作される。禁止フラグFGstは、一旦、ON状態に操作されると、ECU2がリセットされるまでON状態を維持する。よって、所定期間の経過後における禁止フラグFGstのON状態は、少なくともひとつの項目について、確定的な異常が少なくとも一回は検出されたことを示す。例えば、ひとつの項目について確定的な異常が検出された後に、その項目が正常に復帰し、確定的な正常が再検出された場合でも、禁止フラグFGstは、ON状態を維持する。このような場合は、電子制御システム1の構築がまだ完了していない、すなわち車両はまだ製造ラインにあると考えることができる。逆に、所定期間の経過後における禁止フラグFGstのOFF状態は、すべての項目について、確定的な異常がまだ一回も検出されていないことを示す。
図2に戻り、ステップ123では、CPU11は、所定の期間が終了したか否かを判定する。ステップ123の判定は、所定の検査期間が完了したか否かの判定でもある。この実施形態では、すべての初期診断項目を完了するために必要な期間が経過したか否かを判定する。よって、ステップ123の処理は、少なくともすべての初期診断項目が完了したか否かの判定でもある。所定期間を終了するまで、ステップ122を繰り返す。一方、所定の期間を終了すると、ステップ124へ進む。よって、ステップ123は、所定期間を計測する手段を提供する。所定期間を終了する前に電源スイッチ4がOFF状態に操作された場合、ステップ124へ進むことはない。ステップ122を実行中に電源スイッチ4がOFF状態に操作された場合、電源スイッチ4が再びON状態に操作されると、処理120は再度実行される。よって、ステップ123は、ECU2の起動信号が入力されてから、ECU2の停止信号が入力されるまでの期間が所定期間を上回ることを判定する手段を提供する。
ステップ124では、CPU11は、禁止フラグFGstがON状態か否かを判定する。禁止フラグFGstは、複数の診断処理130のいずれかひとつにおいて異常が確定すると、ON状態に設定される。ステップ124は、ステップ123の後に設けられている。よって、ステップ124は、ステップ123によって計測される所定期間が経過した後に、複数の診断処理130の結果を検証する処理を提供する。
禁止フラグFGstがON状態の場合、処理を終了する。この場合は、ステップ122において少なくともひとつの項目に異常が確定的に検出された場合に相当する。この場合、車両の製造ラインにおいて何らかの不具合が生じているものと考えられる。よって、EEPROM16への記録を開始することは妥当ではない。この場合、ECU2は、EEPROM16への記録を開始することなく、開始判定処理120の再度の最初からの実行を待つ。
禁止フラグFGstがOFF状態の場合、ステップ125へ進む。この場合は、所定の検査期間の間に、すべての項目について一度も異常が検出されなかった場合に相当する。言い換えると、この場合は、すべての項目が、確定的な正常、または不定であった場合に相当する。ステップ125では、EEPROM16への記録を許可する。記録の許可は、許可フラグFGenをON状態に操作することによって記憶される。
許可フラグFGenは、OFF状態に操作されることはない。許可フラグFGenは、ECU2への最初の電源投入時にはOFF状態に設定されている。禁止フラグFGstは、一旦、ON状態に操作されると、ECU2がリセットされるまでON状態を維持する。
この実施形態では、ステップ144、ステップ123-125によって、許可部が提供されている。許可部は、所定の期間の間中に、診断部122、130が、すべての項目について異常を検出しない場合、EEPROM16への履歴情報の記録を許可する。許可部は、異常記憶部と、期間判定部と、記憶判定部とを備える。異常記憶部は、ステップ144と禁止フラグFGstとによって提供されている。異常記憶部は、すべての項目について共通的に設けられ、診断部によって少なくとも一つの項目について異常が検出されたことを記憶する。期間判定部は、ステップ123によって提供されている。期間判定部は、所定の期間の経過を判定する。ステップ124およびステップ125は、記憶判定部を提供している。記憶判定部は、所定の期間の経過後に、少なくとも一つの項目について異常が検出されたことを異常記憶部が示す場合、EEPROM16への履歴情報の記録を禁止する。また、記憶判定部は、所定の期間の経過後に、すべての項目について異常が検出されていないことを異常記憶部が示す場合、EEPROM16への履歴情報の記録を許可する。
この構成によると、すべての診断の項目について共通的に設けられた異常記憶部によって、少なくとも一つの項目について異常が検出されたことが記憶される。この結果、少なくとも一つの項目について異常が検出された場合と、すべての項目について異常が検出されていない場合、すなわちすべての項目が正常または不定の場合とに分岐して、記録の禁止と許可とを制御することができる。
図4は、車両の組立てが完了し、電子制御システム1が通常の使用下におかれているときに実行される履歴情報のための記録処理150を示す。記録処理150は、EEPROM16の所定の領域に履歴情報を記録するために実行される。記録処理150は、許可部に応答してEEPROM16への履歴情報の記録を制御する記録制御部を提供する。ステップ151では、CPU11は、EEPROM16への記録要求があるか否かを判定する。記録要求がない場合、処理を終了する。記録要求がある場合、ステップ152へ進む。この実施形態では、記録するべき履歴情報があるときに、記録要求が設定される。
例えば、CPU11は、故障履歴情報があるときに、記録要求を設定する。CPU11は、複数の診断処理130のいずれかにおいて異常フラグFGabがON状態に操作されると、その項目に関連する情報をEEPROM16に記録するための要求を設定する。
また、CPU11は、使用履歴情報があるときに、記録要求を設定する。例えば、CPU11は、バッテリ3の電圧が最大値または最小値になると、バッテリ電圧の最大値および/または最小値を記録するために、記録要求を設定する。これにより、電子制御システム1が搭載された車両の電源電圧を記録することができる。例えば、ECU2が12Vまたは24Vに共通に使用できる場合に、誤った車両への組付けの検出、またはバッテリ電圧への適合を図ることができる。しかも、所定期間の経過後に記録が開始されるから、車両の組立て工程において供給される不安定な電圧、または過大あるいは過小な電圧を記録することが回避される。
例えば、CPU11は、車両の積算的な走行距離の記録タイミングが到来すると記録要求を設定する。例えば、CPU11は、電源スイッチ4がOFF操作されたときに、記録要求を設定する。これにより、車両の積算走行距離を記録することができる。しかも、車両の組立て工程における検査、例えば車速表示検査で発生する不要な走行距離を記録することが回避される。
例えば、CPU11は、車両の使用環境を示す情報の記録タイミングが到来すると記録要求を設定する。例えば、CPU11は、環境温度が最大値または最小値になると、環境温度の最大値および/または最小値を記録するために、記録要求を設定する。これにより、環境温度の最大値または最小値を記録することができる。環境温度として、大気温度Ta、エンジンの冷却水温度Twなどを利用することができる。しかも、車両組立て工程における検査で発生する不要な環境温度を記録することが回避される。
ステップ152では、CPU11は、許可フラグFGenがON状態であるか否かを判定する。許可フラグFGenがOFF状態である場合、処理を終了する。許可フラグFGenがON状態である場合、ステップ153へ進む。ステップ153では、CPU11は、履歴情報をEEPROM16に記録する。上述のように、ステップ153では、CPU11は、異常履歴情報(DIAG−DATA)、バッテリ電圧(Vb)、走行距離(TRIP)、および/または温度情報(TEMP)を記録する。
図5は、水温センサの故障を判定するための診断処理130が実行された場合の信号波形を示すタイムチャートである。図中には、水温センサの確定的な異常が検出された場合が図示されている。時刻t11において電源スイッチ4がON状態に操作されるとイグニッションスイッチ信号IGSWがON状態になる。さらに、時刻t12において診断許可条件が成立すると、水温センサのための診断処理130が開始され診断信号DIAGがON状態になる。水温センサのための診断許可条件として、電源スイッチ4による起動信号がON状態であることと、バッテリ電圧値が正常範囲内であることとを用いることができる。
水温センサが未組み付けの場合、水温センサの電圧値VSが正常範囲外となる。正常範囲は、上限値Uthと下限値Lthとの間である。時刻t12においては、水温センサの電圧値VSは、異常である。このため、時刻t12から時刻t13までの期間に、異常カウンタCNabが上昇する。時刻t13において異常カウンタCNabが閾値Cthに到達すると、確定的な異常が判定される。この結果、時刻t13において異常フラグFGabがON状態になり、さらに禁止フラグFGstがON状態になる。
時刻t13と時刻t14との間において水温センサが正常に組み付けられると、時刻t14において水温センサの電圧値VSは正常範囲内となる。この結果、水温センサは正常であると判定される。時刻t14から時刻t15までの期間に正常カウンタCNnrが上昇する。時刻t15において正常カウンタCNnrが閾値Cthに到達すると、確定的な正常が判定される。この結果、時刻t15において異常フラグFGabはOFF状態になり、正常フラグFGnrがON状態になる。しかし、禁止フラグFGstはON状態に維持される。禁止フラグFGstは、電源スイッチ4の再投入時にOFF状態に初期化操作することができる。
この例では、信号IGSWがON状態にある期間中に、禁止フラグFGstがON状態に操作されている。すなわち、所定の検査期間中に、少なくともひとつの項目に関して確定的な異常が少なくとも一度は検出されている。このような場合、車両はまだ製造ラインにあり、電子制御システム1の構築は完了していないと考えられる。このため、図示の例では、許可フラグFGenはON状態になることはない。よって、CPU11は、EEPROM16への記録を許可しない。
図6は、水温センサの故障を判定するための診断処理130が実行された場合の信号波形を示すタイムチャートである。図中には、水温センサの確定的な異常が検出されなかった場合が図示されている。時刻t21において電源スイッチ4がON状態に操作される。時刻t22において診断許可条件が成立する。水温センサの電圧値VSは、時刻t20から継続的に正常範囲内にある。よって、時刻t22において水温センサは正常であると判定される。時刻t22から時刻t23までの期間に正常カウンタCNnrが上昇する。時刻t23において正常カウンタCNnrが閾値Cthに到達すると、確定的な正常が判定される。この結果、時刻t23において正常フラグFGnrがON状態になる。この場合、禁止フラグFGstはOFF状態に維持される。
時刻t24において電源スイッチ4がOFF状態に操作されると、ステップ123、ステップ124、およびステップ125が実行される。ここでは、禁止フラグFGstがOFF状態であることに応答して、許可フラグFGenがON状態に操作される。この結果、以後、EEPROM16への記録が許可される。許可フラグFGenは、例えば、バックアップRAM15に格納することによって記憶される。
この例では、信号IGSWがON状態にある期間中に、禁止フラグFGstがOFF状態に維持される。すなわち、所定の検査期間中に、すべての項目について一度も異常が検出されていない。このため、図示の例では、許可フラグFGenはON状態に操作される。よって、CPU11は、EEPROM16への記録を許可する。
以上に述べたように、この実施形態によると、所定の期間の間中に、すべての項目について一度も異常が検出されていない場合に、EEPROM16への履歴情報の記録が許可され、それ以後、履歴情報の記録が開始される。所定の期間の間中に、すべての項目に一つも異常がない場合に、EEPROM16への履歴情報の記録が許可されるともいえる。言い換えると、すべての項目が不定または正常である場合に不揮発性メモリへの記憶を開始することができる。つまり、複数の項目に正常だけでなく、不定が含まれている場合であっても、EEPROM16への履歴情報の記録が許可される。よって、電子制御システム1が正常に構築されていない製造工程においては、履歴情報の記録が許可されない。しかし、電子制御システム1が正常に構築された後は、履歴情報の記録が許可される。したがって、電子制御システム1が完全に構築されるまでの製造工程における不要な情報がEEPROM16に記録されることを抑制することができる。この結果、EEPROM16への記録を適切な時期に自動的に開始することができる。
すべての項目が正常の場合に記録を許可する構成では、診断許可条件が成立しない項目は長期間にわたって正常であると判定されない。このため、記録許可に使用するため、項目を車両ごとに選定する必要がある。また、記録許可を外部装置から与える構成では、外部装置から記憶許可指示を与える工程を追加する必要がある。
しかし、この実施形態によると、ECU2の製造者、または車両の製造者は、項目を選定する必要がない。このため、これらの製造者は、記録開始の調節のために車両情報を把握したり、外部装置を操作したりするといった工程から解放される。よって、EEPROM16への記録の開始を判定するための項目の選定や、外部装置からの記録許可信号を要することなく、上記記録開始の判定を実行することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
例えば、制御装置が提供する手段と機能は、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置をアナログ回路によって構成してもよい。
また、上記実施形態では、EEPROM16を不揮発性メモリとして使用した。これに代えて、バッテリによってバックアップされたバックアップRAM、フラッシュメモリ、磁気的記憶装置などによって不揮発性メモリを提供してもよい。
また、上記実施形態では、検査期間中に全く異常が検出されない場合にだけ、記録を許可した。これに代えて、検査期間中に一度は異常が検出された後に、検査期間中に再び正常または不定に変化した場合には、記録を許可してもよい。例えば、図5の例において、時刻t15において禁止フラグFGstをOFF状態に操作するステップを設けることができる。また、複数の項目毎に設けられた異常フラグFGabを使用してもよい。例えば、検査期間の終了時に、すべての異常フラグFGabがOFF状態であることを判定することによって、すべての項目について異常が検出されていないことを判定することができる。
また、上記実施形態では、複数の診断処理によって共通的に操作される禁止フラグFGstを記憶部として設けることにより、すべての項目について一度も異常が診断されていないことを示した。これに代えて、複数の項目毎に設けられた異常フラグFGabを使用して、すべての項目について異常が診断されていないことを判定してもよい。
また、上記実施形態では、検査期間は、センサ群5およびアクチュエータ群6を含む電子制御システムを構築した後の検査のための検査期間である。しかも、検査期間は、ECU2に起動信号が与えられてから、停止信号が与えられるまでの期間とした。これに代えて、エンジンが始動されてから、エンジンが停止されるまでの期間を検査期間としてもよい。また、車両の走行開始から、車両の停止までの期間を検査期間としてもよい。
また、上記実施形態では、履歴情報には、診断部によって検出された異常に関連する異常履歴情報と、ECU2の使用状態を示す使用履歴情報との両方を含めた。これに代えて、異常履歴情報と使用履歴情報との少なくとも一方だけを履歴情報としてもよい。この構成によると、電子制御システムが異常なく構築されている場合に、不揮発性メモリへの履歴情報の記録が許可されるから、製造工程における不要な履歴情報の記録を抑制することができる。
また、上記実施形態では、使用履歴情報には、電源電圧、使用期間、および使用環境の温度を含めた。これに代えて、電源電圧、使用期間、および使用環境の温度の少なくともひとつを使用履歴情報としてもよい。電源電圧は、その最大値および/または最小値を含むことができる。例えば、車両の電源としては、12Vまたは24Vが広く普及している。この構成によると、電子制御装置に供給された電源電圧を認識することができる。例えば、誤った電源電圧の供給を知ることができる。また、使用期間は、使用時間、または車両用の電子制御装置においては車両の走行距離とすることができる。また、使用環境の温度は、その最大値および/または最小値を含むことができる。温度は、大気の温度、エンジンの冷却水温度などを用いることができる。
1 電子制御システム、 2 ECU(電子制御装置)、 3 バッテリ、 4 電源スイッチ、 5 センサ群、 6 アクチュエータ群、 11 CPU、 12 I/O、 13 ROM、 14 RAM、 15 バックアップRAM、 16 EEPROM。

Claims (9)

  1. 履歴情報を記録する不揮発性メモリ(16)と、
    複数の項目について異常を検出する診断部(122、130)と、
    所定の期間の間中に、前記診断部が、すべての前記項目について異常を検出しない場合、前記不揮発性メモリへの前記履歴情報の記録を許可する許可部(123、124、125、144)と、
    前記許可部に応答して前記不揮発性メモリへの前記履歴情報の記録を制御する記録制御部(150)と、を備えることを特徴とする電子制御装置。
  2. 前記許可部は、
    すべての前記項目について共通的に設けられ、前記診断部によって少なくとも一つの前記項目について異常が検出されたことを記憶する異常記憶部(144、FGst)と、
    前記期間の経過を判定する期間判定部(123)と、
    前記期間の経過後に、少なくとも一つの前記項目について異常が検出されたことを前記異常記憶部が示す場合、前記不揮発性メモリへの前記履歴情報の記録を禁止し、
    前記期間の経過後に、すべての前記項目について異常が検出されていないことを前記異常記憶部が示す場合、前記不揮発性メモリへの前記履歴情報の記録を許可する記憶判定部(124、125)と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
  3. 前記期間は、センサ群(5)およびアクチュエータ群(6)を含む電子制御システムを構築した後の検査のための検査期間であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子制御装置。
  4. 前記検査期間は、起動信号が与えられてから、停止信号が与えられるまでの期間であることを特徴とする請求項3に記載の電子制御装置。
  5. 前記電子制御装置は、エンジンを備える車両のための電子制御装置であって、
    前記検査期間は、前記エンジンが始動されてから、前記エンジンが停止されるまでの期間であることを特徴とする請求項3に記載の電子制御装置。
  6. 前記電子制御装置は、走行可能な車両のための電子制御装置であって、
    前記検査期間は、前記車両の走行開始から、前記車両の停止までの期間であることを特徴とする請求項3に記載の電子制御装置。
  7. 前記履歴情報は、前記診断部によって検出された異常に関連する異常履歴情報を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の電子制御装置。
  8. 前記履歴情報は、電子制御装置の使用状態を示す使用履歴情報を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の電子制御装置。
  9. 前記使用履歴情報は、電源電圧、使用期間、または使用環境の温度を含むことを特徴とする請求項8に記載の電子制御装置。
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