JP2013141694A - 加圧鋳造方法及び鋳造用金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】金型鋳造において、湯境欠陥を発生させず、少ない押湯で引巣や外引けの引け欠陥を発生させない加圧鋳造方法及びその際用いられる鋳造用金型を提供する。
【解決手段】加圧ピンにより所定速度で押湯を加圧し、その後、上記加圧の圧力を低下させて、凝固完了まで押湯を加圧し続ける。また、製品キャビティ、押湯キャビティ、及び加圧ピンを備え、上記加圧ピンにより押湯キャビティ内の溶湯を加圧して製品キャビティへ溶湯を補給する鋳造用金型において、製品キャビティと押湯キャビティとの連結部を、押湯キャビティの断面形状よりも小さくする。
【選択図】図1
【解決手段】加圧ピンにより所定速度で押湯を加圧し、その後、上記加圧の圧力を低下させて、凝固完了まで押湯を加圧し続ける。また、製品キャビティ、押湯キャビティ、及び加圧ピンを備え、上記加圧ピンにより押湯キャビティ内の溶湯を加圧して製品キャビティへ溶湯を補給する鋳造用金型において、製品キャビティと押湯キャビティとの連結部を、押湯キャビティの断面形状よりも小さくする。
【選択図】図1
Description
本発明は、金型鋳造において加圧ピンにより溶湯を加圧する加圧鋳造方法及びその際用いられる鋳造用金型に関するものである。
金型鋳造においては、溶湯の凝固収縮に伴って引巣、外引け等の欠陥が発生することがある。このような欠陥を防ぐ方法としては、鋳造品を鋳造する製品キャビティ内における引巣等の発生し易い領域の近傍に押湯キャビティを設け、製品キャビティ内に充填された溶湯が凝固する際に押湯キャビティから製品キャビティ内へ溶湯を補給することにより、引巣の発生を抑制する対策がなされている。また、押湯キャビティからの溶湯補給だけでは、抑制効果が低く、引巣の発生を防ぐことができない場合には、加圧ピン等により押湯を加圧し、引巣への溶湯補給量を増加させている。さらに、製品キャビティ及び押湯キャビティの溶湯温度を測定し、押湯キャビティを加圧するタイミングを制御することにより、引巣発生の抑制効果をさらに高める技術も開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、鋳鉄の金型鋳造では、製品キャビティ及び押湯キャビティが同一の材質の鋳型の場合、いずれのキャビティにおいても鋳型壁面から一様に溶湯が凝固していく。そのため、押湯キャビティが製品キャビティより小さい構成では、加圧ピンにより押湯を加圧すると、押湯キャビティの鋳型壁面に沿って凝固した部分、いわゆる凝固層が製品キャビティ内に押し込まれ、これが製品鋳物内で完全に接合されず、湯境欠陥が生じる。一方、製品キャビティが押湯キャビティより凝固されにくい形状である場合は、製品キャビティに、最初に凝固した凝固層が凝固収縮で凹み、外引けが発生することがある。このような外引けが発生した時に加圧すると、溶湯圧力によって面引けしている部分に溶湯が噴出し、すでに凝固している部分と接合されず、湯境欠陥が生じる。
したがって、本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであって、金型鋳造において、上記のような湯境欠陥を発生させず、少ない押湯で引巣や外引けの引け欠陥を発生させない加圧鋳造方法及びその際用いられる鋳造用金型を提供することを目的としている。
本発明の加圧鋳造方法は、加圧ピンにより所定速度で押湯を加圧し、その後、上記加圧の圧力を低下させて、凝固完了まで押湯を加圧し続けることを特徴としている。また、本発明の鋳造用金型は、製品キャビティ、押湯キャビティ、及び加圧ピンを備え、上記加圧ピンにより上記押湯キャビティ内の溶湯を加圧して上記製品キャビティへ溶湯を補給する鋳造用金型であって、上記製品キャビティと押湯キャビティとの連結部は、押湯キャビティの断面形状よりも小さいことを特徴としている。
本発明の加圧鋳造方法によれば、加圧開始から製品キャビティ壁面に沿った凝固層が外引けを生じない程度に強固に成長するまでは、製品キャビティ内への十分な量の溶湯を補給し続け、製品キャビティの壁面における外引けの発生を防ぎ、その後、凝固完了までは、製品キャビティ内の引巣を生じない程度に加圧の圧力を低下させて、溶湯の加圧を継続することにより、少ない押湯で引巣や外引けの生じていない健全な鋳物品を製造することができ、これに伴い、鋳込み重量、製造コスト及び溶解エネルギーを低減することができる。
また、本発明の鋳造用金型によれば、製品キャビティと押湯キャビティとの連結部を、押湯キャビティの断面形状よりも小さくすることにより、加圧ピンによって押圧されても、押湯キャビティ壁面に沿って形成された凝固層が製品キャビティ内へ押し込まれることを防止することができる。
さらに、本発明の鋳造用金型においては、加圧ピンは、溶湯を加圧する先端に凝固層破断構造を有していることが好ましい。このような構成によれば、加圧ピンの先端に接する凝固層を選択的に破断することにより、凝固していない溶湯のみを加圧することができる。
また、本発明の鋳造用金型においては、加圧ピンは、溶湯を加圧する先端にカバー部材を設けることが好ましい。このような態様によれば、溶湯と加圧ピンとの接触を間接的にすることにより、加圧ピンを介した放熱が妨げられ、カバー部材に接する凝固層の形成を抑制し、このカバー部材に接する凝固層を選択的に破断することにより、凝固していない溶湯のみを加圧することができる。
本発明によれば、金型鋳造において、湯境欠陥を発生させず、少ない押湯で引巣や外引けの引け欠陥を発生させない加圧鋳造方法及びその際用いられる鋳造用金型を提供することができる。
以下、図面を用いて本発明の加圧鋳造方法及び鋳造用金型について具体的に説明する。図1は本発明の鋳造用金型の一実施形態を示した断面図であり、図5は従来の鋳造用金型における外引け発生工程を示した断面図である。
図5(a)及び(b)に示されているように、金型用鋳造1では、製品キャビティ2及び押湯キャビティ3内に溶湯5が注湯されると、注湯された溶湯5が徐々に冷却され、鋳型壁面に沿って薄い凝固層6が形成される。その後、鋳造品全体の温度が下がるにつれ、収縮していき、内部に引巣が発生する場合と、外部の凝固層が凹む、すなわち外引けが発生する場合がある。図5(c)に示されているような外引けが発生した場合、凝固層6が凹んだ状態で加圧ピン4により押湯が加圧されると、まだ凝固していない溶湯5は、最も弱い凹んでいる凝固層6が破って、金型と凝固層の間に生じた隙間に噴き出し、すでに凝固している部分と接合されずに、湯境欠陥が生じる。
そのため、本発明の加圧鋳造方法においては、外側の凝固層6が凹む前に加圧する必要があり、注湯後、すぐに加圧ピン4による加圧を開始し、加圧開始から製品キャビティ壁面に沿った凝固層が外引けを生じない程度に強固に成長するまでは、製品キャビティ内への十分な量の溶湯を補給し続け、製品キャビティの壁面における外引けの発生を防ぐこととした。
一方、凝固完了後まで、加圧しないと引巣は無くせないが、凝固完了まで加圧しつづけるには、加圧ピンが動くストロークを長くしなければならず、押湯キャビティを大きくする必要があり、金型が大きくなってしまうといった問題がある。そこで、本発明の加圧鋳造方法においては、凝固層が外引けを生じない程度に強固に成長した後、凝固完了までは、製品キャビティ内の引巣を生じない程度に加圧の圧力を低下させて、溶湯の加圧を継続することとした。
したがって、本発明の加圧鋳造方法は、加圧ピンにより所定速度で押湯を加圧し、その後、上記加圧の圧力を低下させて、凝固完了まで押湯を加圧し続けることを特徴としており、本発明によれば、少ない押湯で引巣や外引けの生じていない健全な鋳物品を製造することができ、これに伴い、鋳込み重量、製造コスト及び溶解エネルギーを低減することができる。なお、本発明における加圧ピンの作動は、注湯からの時間及び鋳造品や金型の温度に基づいて適宜制御される。
また、本発明の鋳造用金型1は、図1に示されたように、製品キャビティ2、押湯キャビティ3、及び加圧ピン4を備え、加圧ピン4により押湯キャビティ3内の溶湯5を加圧して製品キャビティ2へ溶湯5を補給する構成であるが、最大の特徴としては、製品キャビティ2と押湯キャビティ3との連結部が、押湯キャビティ3の断面形状よりも小さいことである。このような構成とすることにより、加圧ピン4によって押圧されても、押湯キャビティ3壁面に沿って形成された凝固層6が連結部に引っ掛かり、その後、さらなる加圧ピン4の押圧により、加圧ピン4と接する凝固層6が破断され、凝固層6が製品キャビティ2内へ押し込まれることなく、押湯キャビティ3内の溶湯を製品キャビティ2へ供給することができる。
なお、図1においては、押湯キャビティ3の断面形状よりも小さな開口部を備えた連結部材7を、製品キャビティ2と押湯キャビティ3との間に設けているが、本発明における連結部は、このような連結部材7に限定されるものではなく、押湯キャビティ3側面の凝固層6が製品キャビティ2に向かって動かないように、製品キャビティ2と押湯キャビティ3との連結部を鋳造品側に一部でも出っ張らせる形状としているものであればいずれのものであってもよい。
さらに、本発明の鋳造用金型1においては、加圧ピン4に接する凝固層6をさらに容易に破断し得る構成が好ましく、具体的には、溶湯を加圧する加圧ピンの先端に、凝固層破断構造を有している態様やカバー部材を設ける態様が好ましい。溶湯を加圧する加圧ピンの先端に凝固層破断構造を有している態様としては、図2に示されているように、加圧ピンの溶湯を加圧する先端の周りに環状の突起構造を設けた態様、加圧ピンの溶湯を加圧する先端面上に複数の円錐状の突起構造を設けた態様等が挙げられる。このような態様によれば、図3に示されているように、加圧ピンの先端に接する凝固層を選択的に破断することにより、凝固していない溶湯のみを押圧することができる。
また、溶湯を加圧する加圧ピンの先端にカバー部材を設ける態様としては、図4に示されているように、加圧ピンの溶湯を加圧する先端部を覆う構造を有するプレス品等の部材を設ける態様が挙げられる。このような態様によれば、溶湯と加圧ピンとの接触を間接的にし、加圧ピンを介した放熱を妨げることができ、これにより、カバー部材に接する凝固層の形成を抑制して、凝固層の厚さを低減することができる。さらに、このカバー部材は、溶湯を加圧する面を、上記の加圧ピン先端の構造と同一にすることが好ましく、この態様によれば、上記の凝固層破断の効果も兼ね備えることができる。また、このような加圧ピン先端のカバー部材は、工程の煩雑さやコストの観点から、使い捨て式であることが好ましい。
次に、本発明の加圧鋳造方法について、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
<実施例1>
縦、横、奥行きのそれぞれが約40cmの製品キャビティ、直径30cmの押湯キャビティ及び直径20cmの加圧ピンを備えた銅金型に、CE3.0〜3.4%の鋳鉄溶湯を注湯し、加圧ピンにより油圧15MPaで2秒間押湯を加圧し、その後、油圧を5MPaにして10秒間加圧し続けて、溶湯を押湯キャビティから製品キャビティに補給しつつ鋳鉄を凝固させた。このようにして実施例の加圧鋳造方法を用いて鋳造品を製造した。得られた鋳造品を図6に示した。
<実施例1>
縦、横、奥行きのそれぞれが約40cmの製品キャビティ、直径30cmの押湯キャビティ及び直径20cmの加圧ピンを備えた銅金型に、CE3.0〜3.4%の鋳鉄溶湯を注湯し、加圧ピンにより油圧15MPaで2秒間押湯を加圧し、その後、油圧を5MPaにして10秒間加圧し続けて、溶湯を押湯キャビティから製品キャビティに補給しつつ鋳鉄を凝固させた。このようにして実施例の加圧鋳造方法を用いて鋳造品を製造した。得られた鋳造品を図6に示した。
<比較例1>
実施例1の鋳造方法において加圧ピンによる押湯の加圧を行わない以外は、実施例1と同様にして比較例1の鋳造方法を用いて鋳造品を製造した。得られた鋳造品を図7に示した。
実施例1の鋳造方法において加圧ピンによる押湯の加圧を行わない以外は、実施例1と同様にして比較例1の鋳造方法を用いて鋳造品を製造した。得られた鋳造品を図7に示した。
上記のようにして実施例1の加圧鋳造方法を用いて鋳造された鋳造品では、図6に示されたように、引巣や外引けの発生がなく、健全な製品が得られることが確認された。これに対し、比較例1の鋳造方法を用いて鋳造された鋳造品では、図7に示されたように、引巣及び外引けの引け欠陥が生じることが確認された。
1…鋳造用金型、2…製品キャビティ、3…押湯キャビティ、4…加圧ピン、5…溶湯、6…凝固層、7…連結部材、8…カバー部材
Claims (4)
- 加圧ピンにより所定速度で押湯を加圧し、その後、上記加圧の圧力を低下させて、凝固完了まで押湯を加圧し続けることを特徴とする加圧鋳造方法。
- 製品キャビティ、押湯キャビティ、及び加圧ピンを備え、
上記加圧ピンにより上記押湯キャビティ内の溶湯を加圧して上記製品キャビティへ溶湯を補給する鋳造用金型であって、
上記製品キャビティと押湯キャビティとの連結部は、押湯キャビティの断面形状よりも小さいことを特徴とする鋳造用金型。 - 前記加圧ピンは、溶湯を加圧する先端に凝固層破断構造を有していることを特徴とする請求項2に記載の鋳造用金型。
- 前記加圧ピンは、溶湯を加圧する先端にカバー部材を設けることを特徴とする請求項2に記載の鋳造用金型。
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JP2012003445A JP2013141694A (ja) | 2012-01-11 | 2012-01-11 | 加圧鋳造方法及び鋳造用金型 |
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CN103567387A (zh) * | 2013-11-08 | 2014-02-12 | 中国航空工业集团公司北京航空材料研究院 | 某型飞机舱门铸件的整体浇注系统 |
KR20150095518A (ko) * | 2014-02-13 | 2015-08-21 | (주)한국알앤드디 | 금형장치 및 금형방법 |
CN107598121A (zh) * | 2017-09-04 | 2018-01-19 | 宁波博大机械有限公司 | 一种压铸件铝的补偿结构 |
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