JP2013140746A - 過電流遮断機能付き電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】作製コストが安価で、加工性に優れる過電流遮断機能付き電線を提供する。
【解決手段】過電流によって溶断する太さで長尺の金属導体12の軸方向に、金属導体12の外周が導電性高分子組成物14で覆われて通電される断面積が増大された部分と、金属導体12の外周が導電性高分子組成物14で覆われないで通電される断面積が増大されていない部分とが設けられており、通電される断面積が増大されていない部分の金属導体12が過電流によって溶断されるようにした。
【選択図】図1
【解決手段】過電流によって溶断する太さで長尺の金属導体12の軸方向に、金属導体12の外周が導電性高分子組成物14で覆われて通電される断面積が増大された部分と、金属導体12の外周が導電性高分子組成物14で覆われないで通電される断面積が増大されていない部分とが設けられており、通電される断面積が増大されていない部分の金属導体12が過電流によって溶断されるようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、過電流遮断機能付き電線に関し、さらに詳しくは、自動車等の車両や電気・電子機器などに好適に用いられる過電流遮断機能付き電線に関するものである。
過電流に対する回路保護のため、電気回路には通常、ヒューズが挿入されている。また、ヒューズの挿入に代えて、特許文献1には、フラット電線における導体上に、プレス成形によって断面積減少部を形成することにより、過電流によって溶断する可溶部を形成することが記載されている。
特許文献1に記載のヒュージブルリンクでは、絶縁性被覆の一部を皮むきして導体を露出させた後、露出させた導体の断面積を減少させるプレス成形を行う必要がある。このため、加工に時間がかかり、加工コストが高いという問題がある。また、作製した電線に対して加工を行うため、加工性が悪いという問題がある。
本発明の解決しようとする課題は、作製コストが安価で、加工性に優れる過電流遮断機能付き電線を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る過電流遮断機能付き電線は、過電流によって溶断する太さで長尺の金属導体の軸方向に、金属導体の外周が導電性高分子組成物で覆われて通電される断面積が増大された部分と、金属導体の外周が導電性高分子組成物で覆われないで通電される断面積が増大されていない部分とが設けられており、前記通電される断面積が増大されていない部分の金属導体が過電流によって溶断されるようにしたことを要旨とするものである。
導電性高分子組成物の導電性高分子は導電性ゴムであることが好ましい。導電性ゴムは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、イソプレンゴムのうち少なくとも1種のゴムに導電性フィラーが分散されたものであることが好ましい。導電性フィラーは、カーボンブラック、黒鉛粉末、炭素繊維、黒鉛繊維、金属粉末のうち少なくとも1種であることが好ましい。
導電性フィラーは表面処理剤によって表面処理されていることが好ましい。表面処理剤は、シランカップリング剤、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびこれらの誘導体のうち少なくとも1種であることが好ましい。導電性フィラー100質量部に対し、表面処理剤のコート量は0.1〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
本発明に係る過電流遮断機能付き電線によれば、金属導体を過電流によって溶断する太さとし、このような金属導体の軸方向に、金属導体の外周が導電性高分子組成物で覆われて通電される断面積が増大された部分と、金属導体の外周が導電性高分子組成物で覆われないで通電される断面積が増大されていない部分とを形成して、通電される断面積が増大されていない部分の金属導体が過電流によって溶断されるようにしたので、過電流が流れたときに金属導体を溶断させて過電流が回路に流れないようにすることができる。また、溶断される位置が、通電される断面積が増大されていない部分に決まるので、溶断される位置が明確である。
そして、このような構成の過電流遮断機能付き電線の作製は、一度作製された電線に対して絶縁性被覆の皮むきなどの加工を行うものではなく、電線作製時に、絶縁性被覆の形成と同様にして行われる、金属導体の軸方向に導電性高分子組成物を非連続的に覆う工程を追加するだけで行うことができるので、電線作製に時間がかかりすぎることもなく、作製コストが安価で、加工性にも優れる。
このとき、導電性高分子組成物の導電性高分子が、ゴム材料に導電性フィラーが分散されたものであれば、常温で混合できるため、導電性高分子組成物の調製に際し、導電性フィラーの熱劣化が生じにくい。そして、導電性フィラーが表面処理剤によって表面処理されていれば、導電性フィラーの分散性に優れる。
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る過電流遮断機能付き電線10は、長尺の金属導体12と、金属導体12の外周を層状に覆っている導電性高分子組成物14と、金属導体12および導電性高分子組成物14の外周を層状に覆っている絶縁性被覆16と、を備えている。
金属導体12は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの電線導体として通常用いられる導電性金属材料によって線状に成形された金属線で構成される。金属導体12は、1本の金属線で構成される単線であっても良いし、2本以上の金属線が撚り合わされて構成される撚線であっても良い。1本の金属線は径方向の断面形状が円形であり、単線よりなる金属導体12は径方向の断面形状が円形であり、撚線よりなる金属導体12は2本以上の金属線が撚り合わされて径方向の断面形状が略円形状にされる。撚線よりなる金属導体12は、さらに円形圧縮成形されても良い。
導電性高分子組成物14は、導電性有機高分子に必要に応じて各種の添加剤を配合したものからなる。導電性有機高分子としては、導電性樹脂や導電性ゴムなどが挙げられる。導電性樹脂あるいは導電性ゴムは、樹脂あるいはゴム自体が導電性を有するものであっても良いし、絶縁性樹脂あるいは絶縁性ゴムに導電性フィラーを分散させたことによって導電性が付与されたものであっても良い。
絶縁性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩化ビニル樹脂(PVC)などが挙げられる。また、絶縁性ゴムとしては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、イソプレンゴムなどが挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
導電性フィラーとしては、カーボンブラック、黒鉛粉末、炭素繊維、黒鉛繊維、金属粉末などが挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、導電性有機高分子に必要に応じて配合される添加剤は、電線被覆材料に配合される添加剤であり、難燃剤、架橋剤、充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、銅害防止剤、顔料などが挙げられる。
カーボンブラックとしては、具体的には、電気化学工業社のデンカブラック、東海カーボン社のシースト、ライオン社のケンチェンブラック、三菱化学社の三菱カーボンブラックなどが挙げられる。金属粉末としては、金粉、銀粉、銅粉、ニッケル粉、アルミニウム粉などが挙げられる。なかでも、導電性やコストを考慮すると、銅粉が使用しやすく、例えば同和鉱業社のPCT−9、住友金属鉱山社のUCP−030、福田金属社のFCC−115、CE−25、三井金属社の1020Y、1500Y、1110などが挙げられる。
導電性フィラーは、表面処理剤によって表面処理されていても良い。表面処理されることにより、絶縁性樹脂あるいは絶縁性ゴムと混ざりやすくなるため、分散性が向上する。表面処理剤としては、シランカップリング剤、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびこれらの誘導体などが挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。表面処理剤の導電性フィラーへのコート量(使用量)は、導電性フィラー100質量部に対し、0.1〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
表面処理剤は、有機酸によって酸変性されていても良い。酸変性されることによって導電性フィラーに対する親和性が向上するため、導電性フィラーへの密着性、塗工性などが高まる。これにより、表面処理による導電性フィラーの分散効果が発揮されやすくなる。有機酸によって酸変性される表面処理剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびこれらの誘導体などが挙げられる。
表面処理剤に用いる有機酸としては、不飽和カルボン酸やその誘導体が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、無水マレイン酸(MAH)、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステルなどが挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。このうちで好ましいのは、マレイン酸、無水マレイン酸などである。
表面処理剤に有機酸を導入する方法としては、グラフト法や直接法などが挙げられる。有機酸による変性量は、酸変性された表面処理剤全体を100としたときに、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.2〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜5質量%である。
表面処理剤による表面処理方法としては特に限定されるものではない。表面処理方法としては、溶媒を用いた湿式処理でもよいし、溶媒を用いない乾式処理でもよい。湿式処理の際、好適な溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒などを用いることができる。また、表面処理剤による表面処理は、表面処理前の導電性フィラーと、絶縁性樹脂あるいは絶縁性ゴムと、必要に応じて配合される添加剤と、を混練して導電性高分子組成物14を調製する際に、これらと一緒に表面処理剤を配合して同時に混練することによって行っても良い。
シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。上記各化合物に対応する具体的な製品としては、順に、KBM−1003、KBM−403、KBM−503、KBM−903、KBM−803、KBE−846、KBM−7103が挙げられる。これらはいずれも信越化学社製の製品である。
導電性高分子組成物14の調製は、導電性有機高分子と必要に応じて配合される各種の添加剤を混練することにより行うことができる。導電性有機高分子が導電性フィラーと、絶縁性樹脂あるいは絶縁性ゴムと、からなる場合には、導電性フィラーと、絶縁性樹脂あるいは絶縁性ゴムと、必要に応じて配合される各種の添加剤と、を混練することにより行うことができる。導電性高分子組成物14の調製は、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸混練押出機、ロールなどの通常の混練機を用いて行うことができる。
導電性高分子組成物14は、導電性を有する観点から、体積固有抵抗が10−1Ω・cm以下であることが好ましい。より好ましくは10−2Ω・cm以下である。導電性フィラーによって導電性が発現される場合には、導電性を発現させる観点から、導電性フィラーの配合量としては、絶縁性樹脂あるいは絶縁性ゴム100質量部に対して500質量部以上とすることが好ましい。より好ましくは800質量部以上である。一方、ゴム弾性の低下を抑えるなどの観点から、導電性フィラーの配合量としては、絶縁性樹脂あるいは絶縁性ゴム100質量部に対して2000質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは1800質量部以下である。
絶縁性被覆16は、絶縁性有機高分子組成物により形成される。絶縁性有機高分子組成物は、絶縁性有機高分子に必要に応じて各種の添加剤を配合したものからなる。絶縁性有機高分子としては、絶縁性樹脂や絶縁性ゴムなどが挙げられる。絶縁性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩化ビニル樹脂(PVC)などが挙げられる。また、絶縁性ゴムとしては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、イソプレンゴムなどが挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。絶縁性有機高分子に必要に応じて配合される添加剤は、電線被覆材料に配合される添加剤であり、難燃剤、架橋剤、充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、銅害防止剤、顔料などが挙げられる。
絶縁性被覆16の絶縁性有機高分子組成物の調製は、絶縁性有機高分子と必要に応じて配合される各種の添加剤を混練することにより行うことができる。絶縁性高分子組成物の調製は、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸混練押出機、ロールなどの通常の混練機を用いて行うことができる。絶縁性被覆16の厚さは、適宜定めればよい。
上記構成の金属導体12は、過電流遮断機能付き電線10に通電される過電流によって溶断する太さとされている。金属導体12は、金属導体12の太さと材質によって定格電流(導体が溶断して過電流を遮断する電流値、溶断電流)が定まる。金属導体12の太さは、単線の場合には外径(mm)で表され、撚線の場合には断面積(mm2)で表される。過電流によって金属導体12を溶断させるという特性から、金属導体12の温度上昇による絶縁性被覆16の損傷や劣化が生じる許容電流未満で金属導体12を溶断させることが好ましい。すなわち、定格電流が許容電流よりも小さいことが好ましい。このような観点から、金属導体12の太さとしては、5mm以下、あるいは15mm2以下であることが好ましい。より好ましくは4mm以下、あるいは8mm2以下である。金属導体12の太さの上限がこのような範囲に設定されていれば、金属導体12の温度上昇による絶縁性被覆16の損傷や劣化が生じる許容電流未満で金属導体12を溶断させることが可能であり、過電流遮断機能付き電線10自体にいわゆるヒューズとしての機能を発揮させやすい。
導電性高分子組成物14は、その内周面が金属導体12の外周面に接するように金属導体12の外周に層状に配置されている。これにより、金属導体12と導電性高分子組成物14との間では導通が図られている。このため、金属導体12が導電性高分子組成物14に覆われている部分では、通電される断面積が増大されて、過電流によっても溶断されないようにされている。
そして、過電流遮断機能付き電線10においては、金属導体12の軸方向に見て、金属導体12が導電性高分子組成物14に覆われていない部分Xも存在している。すなわち、過電流遮断機能付き電線10には、金属導体12の軸方向に見て、金属導体12が導電性高分子組成物14に覆われている部分と、導電性高分子組成物14に覆われていない部分とが設けられている。金属導体12が導電性高分子組成物14に覆われていない部分では、通電される断面積が増大されていない。したがって、通電される断面積が増大されていない部分では、金属導体12が過電流によって溶断される。
図2(a)に示すように、金属導体12が導電性高分子組成物14に覆われている部分における径方向の断面(A−A線の位置での断面)を見ると、金属導体12の外周に金属導体12に接して導電性高分子組成物14が層状に覆っており、導電性高分子組成物14の外周に導電性高分子組成物14に接して絶縁性被覆16が層状に覆っている3層構造になっている。一方、図2(b)に示すように、金属導体12が導電性高分子組成物14に覆われていない部分における径方向の断面(B−B線の位置での断面)を見ると、金属導体12の外周に金属導体12に接して絶縁性被覆16が層状に覆っている2層構造になっている。図からわかるように、金属導体12が導電性高分子組成物14に覆われていない部分では、導電性高分子組成物14に覆われている部分よりも絶縁性被覆16の厚さが厚くなっており、導電性高分子組成物14に覆われている部分と覆われていない部分とは、外径の大きさが同じになっている。
導電性高分子組成物14の厚さは、特に限定されるものではなく、導電性高分子組成物14の導電性に応じて適宜定めればよい。例えば金属導体12の外径の1/2以上の厚さにすると、金属導体12が導電性高分子組成物14に覆われている部分と金属導体12が導電性高分子組成物14に覆われていない部分の通電量の差を大きくすることができるので、金属導体12が導電性高分子組成物14に覆われていない部分で確実に溶断させることができる。また、例えば金属導体12の外径の1/20以下の厚さにすると、溶断させることが難しくなる。
過電流遮断機能付き電線10は、例えば図3(a)〜(c)に示すようにして製造することができる。まず、図3(a)に示すように、長尺の金属導体12を準備する。金属導体12は過電流によって溶断する太さとする。次に、図3(b)に示すように、金属導体12の外周に導電性高分子組成物14を間欠的に押出あるいは塗工することによって、金属導体12の軸方向に金属導体12が導電性高分子組成物14に覆われた部分と金属導体12が導電性高分子組成物14に覆われていない部分とを作る。金属導体12が導電性高分子組成物14に覆われていない部分は、配線1つ当たりに少なくとも1カ所存在していれば十分である。すなわち、過電流遮断機能付き電線10においては、金属導体12の軸方向の大部分が導電性高分子組成物14に覆われるようにする。導電性高分子組成物14は、金属導体12の外周に直接押出あるいは塗工されるので、金属導体12との密着性に優れる。したがって、導電性高分子組成物14と金属導体12の接触抵抗は小さく、これらの間では導通性に優れる。次に、図3(c)に示すように、導電性高分子組成物14および金属導体12の外周に絶縁性有機高分子組成物を連続的に押出あるいは塗工することによって、導電性高分子組成物14および金属導体12の外周に絶縁性被覆16を形成する。
導電性高分子組成物14の導電性有機高分子が架橋性の導電性樹脂あるいは導電性ゴムである場合には、金属導体12の外周に導電性高分子組成物14を押出あるいは塗工した後、絶縁性被覆16の絶縁性有機高分子組成物を押出あるいは塗工する前に、導電性有機高分子を架橋あるいは加硫させても良いし、絶縁性被覆16の絶縁性有機高分子組成物を押出あるいは塗工した後に、導電性有機高分子を架橋あるいは加硫させても良い。さらに絶縁性被覆16の絶縁性有機高分子組成物が架橋性の絶縁性樹脂あるいは絶縁性ゴムである場合には、絶縁性被覆16の絶縁性有機高分子組成物を押出あるいは塗工した後に、導電性有機高分子と絶縁性有機高分子を同時に架橋あるいは加硫しても良い。これらを同時に行うことで、製造工程が短縮される。
導電性高分子組成物14の導電性有機高分子と絶縁性被覆16の絶縁性有機高分子は同種の有機高分子であることが好ましい。これにより、導電性高分子組成物14と絶縁性被覆16の密着性が向上する。同種の有機高分子とは、例えばポリエチレンとポリエチレン、ポリプロピレンとポリプロピレン、シリコーンゴムとシリコーンゴムといった材料関係である。そして、導電性高分子組成物14の導電性有機高分子と絶縁性被覆16の絶縁性有機高分子が同種の架橋性樹脂あるいは同種のゴムであると、導電性有機高分子と絶縁性有機高分子を同時に架橋あるいは加硫させることができるし、同時に架橋あるいは加硫させることで接着力を向上させて導電性高分子組成物14と絶縁性被覆16の密着性をさらに向上させることができる。
過電流遮断機能付き電線10は、配線自体がヒューズ機能を備える思想よりなるものであり、別途作製したヒューズを配線内に挿入するものとは異なる。過電流遮断機能付き電線10は、金属導体12の太さや材質により、定格電流を設計することができる。また、金属導体12の太さや材質、導電性高分子組成物14の導電性や厚さにより、溶断電流の設計を行うことができる。よって、溶断電流の設計を行いやすい。
以上の構成の過電流遮断機能付き電線10によれば、金属導体12を過電流によって溶断する太さとし、このような金属導体12の軸方向に、金属導体12の外周が導電性高分子組成物14で覆われて通電される断面積が増大された部分と、金属導体12の外周が導電性高分子組成物14で覆われないで通電される断面積が増大されていない部分とを形成して、通電される断面積が増大されていない部分の金属導体12が過電流によって溶断されるようにしたので、過電流が流れたときに金属導体12を溶断させて過電流が回路に流れないようにすることができる。また、溶断される位置が、通電される断面積が増大されていない部分に決まるので、溶断される位置が明確である。
そして、このような構成の過電流遮断機能付き電線10の作製は、一度作製された電線に対して絶縁性被覆16の皮むきなどの加工を行うものではなく、電線作製時に、絶縁性被覆16の形成と同様にして行われる、金属導体12の軸方向に導電性高分子組成物14を非連続的に覆う工程を追加するだけで行うことができるので、電線作製に時間がかかりすぎることもなく、作製コストが安価で、加工性にも優れる。
このとき、導電性高分子組成物14の導電性高分子が、ゴム材料に導電性フィラーが分散されたものであれば、常温で混合できるため、導電性高分子組成物14の調製に際し、導電性フィラーの熱劣化が生じにくい。そして、導電性フィラーが表面処理剤によって表面処理されていれば、導電性フィラーの分散性に優れる。
以下、本発明の実施例、比較例を示す。
(実施例)
図3(a)〜(c)に示すように、0.5mmφの金属導体12の外周にカーボンブラックを分散させたシリコーンゴム14(カーボンブラック:シリコーンゴム=200質量部:100質量部)を250μm厚で間欠的に押出することによって、金属導体12の軸方向に金属導体12が導電性シリコーンゴム14に覆われた部分と覆われていない部分とを形成した。次いで、導電性シリコーンゴム14の外周には250μm厚で、導電性シリコーンゴム14に覆われないで露出している金属導体12の外周には500μm厚で、カーボンブラックを分散させていない非導電性のシリコーンゴム16を押出した。金属導体12が導電性シリコーンゴム14に覆われている部分の導電部分は1.0mmφ、金属導体12が導電性シリコーンゴム14に覆われていない部分の導電部分は0.5mmφとなっている。次いで、200℃×4時間の条件でシリコーンゴムに熱処理を行うことにより、未架橋のシリコーンゴムを架橋させた。以上により、実施例に係る外径1.5mmの被覆電線10を作製した。
カーボンブラック:(東海カーボン社製「シースト9」)
シリコーンゴム:(旭化成ワッカーシリコーン社製「R401−30」)
図3(a)〜(c)に示すように、0.5mmφの金属導体12の外周にカーボンブラックを分散させたシリコーンゴム14(カーボンブラック:シリコーンゴム=200質量部:100質量部)を250μm厚で間欠的に押出することによって、金属導体12の軸方向に金属導体12が導電性シリコーンゴム14に覆われた部分と覆われていない部分とを形成した。次いで、導電性シリコーンゴム14の外周には250μm厚で、導電性シリコーンゴム14に覆われないで露出している金属導体12の外周には500μm厚で、カーボンブラックを分散させていない非導電性のシリコーンゴム16を押出した。金属導体12が導電性シリコーンゴム14に覆われている部分の導電部分は1.0mmφ、金属導体12が導電性シリコーンゴム14に覆われていない部分の導電部分は0.5mmφとなっている。次いで、200℃×4時間の条件でシリコーンゴムに熱処理を行うことにより、未架橋のシリコーンゴムを架橋させた。以上により、実施例に係る外径1.5mmの被覆電線10を作製した。
カーボンブラック:(東海カーボン社製「シースト9」)
シリコーンゴム:(旭化成ワッカーシリコーン社製「R401−30」)
(比較例)
図4(a)に示すように、1.0mmφの金属導体22の外周にカーボンブラックを分散させていない非導電性のシリコーンゴム26を250μm厚で押出した後、200℃×4時間の条件でシリコーンゴムの熱処理を行い、未架橋のシリコーンゴムを架橋させた。得られた被覆電線20の絶縁性被覆26を図4(b)に示すように部分的に剥離し、露出させた金属導体22aを図4(c)に示すようにプレス成形した。細くされた露出の金属導体22aを図4(d)に示すように非導電性のシリコーンゴム28で覆い、200℃×4時間の条件で架橋させた。以上により、比較例に係る外径1.5mmの被覆電線30を作製した。
図4(a)に示すように、1.0mmφの金属導体22の外周にカーボンブラックを分散させていない非導電性のシリコーンゴム26を250μm厚で押出した後、200℃×4時間の条件でシリコーンゴムの熱処理を行い、未架橋のシリコーンゴムを架橋させた。得られた被覆電線20の絶縁性被覆26を図4(b)に示すように部分的に剥離し、露出させた金属導体22aを図4(c)に示すようにプレス成形した。細くされた露出の金属導体22aを図4(d)に示すように非導電性のシリコーンゴム28で覆い、200℃×4時間の条件で架橋させた。以上により、比較例に係る外径1.5mmの被覆電線30を作製した。
実施例の被覆電線10と比較例の被覆電線30について、一定電流(1000A)で溶断時間を測定したところ、ともに同じ時間(1秒)であった。また、実施例の被覆電線10に対して比較例の被覆電線30の作製時間は2倍であった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
10 過電流遮断機能付き電線
12 金属導体
14 導電性高分子組成物
16 絶縁性被覆
12 金属導体
14 導電性高分子組成物
16 絶縁性被覆
Claims (7)
- 過電流によって溶断する太さで長尺の金属導体の軸方向に、金属導体の外周が導電性高分子組成物で覆われて通電される断面積が増大された部分と、金属導体の外周が導電性高分子組成物で覆われないで通電される断面積が増大されていない部分とが設けられており、前記通電される断面積が増大されていない部分の金属導体が過電流によって溶断されるようにしたことを特徴とする過電流遮断機能付き電線。
- 前記導電性高分子組成物の導電性高分子が導電性ゴムであることを特徴とする請求項1に記載の過電流遮断機能付き電線。
- 前記導電性ゴムが、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、イソプレンゴムのうち少なくとも1種のゴムに導電性フィラーが分散されたものであることを特徴とする請求項2に記載の過電流遮断機能付き電線。
- 前記導電性フィラーが、カーボンブラック、黒鉛粉末、炭素繊維、黒鉛繊維、金属粉末のうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の過電流遮断機能付き電線。
- 前記導電性フィラーが表面処理剤によって表面処理されていることを特徴とする請求項3または4に記載の過電流遮断機能付き電線。
- 前記表面処理剤がシランカップリング剤、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびこれらの誘導体のうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載の過電流遮断機能付き電線。
- 前記導電性フィラー100質量部に対し、前記表面処理剤のコート量が0.1〜10質量部の範囲内であることを特徴とする請求項5または6に記載の過電流遮断機能付き電線。
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