WO2017006881A1 - ヒューズ付き気密端子 - Google Patents

Abstract

ヒューズ付き気密端子（１０）は、中空部（１１）と、中空部（１１）を挟んで位置する一対の貫通孔（１２ａ，１２ｂ）とが設けられた筐体と、一対の貫通孔（１２ａ，１２ｂ）および中空部（１１）を通って筐体を貫通する導電ピンと、一対の貫通孔（１２ａ，１２ｂ）および導電ピンの各々の隙間を密閉封着する一対の絶縁シール材（１６）とを備えている。導電ピンは各々、インナーピン（１５２）と、アウターピン（１５１）と、インナーピン（１５２）およびアウターピン（１５１）の間を架橋し中空部（１１）に位置するヒューズエレメント（１７）とを備えている。

Description

ヒューズ付き気密端子

　本発明はヒューズ付き気密端子に関する。

　密閉容器に収められた電気機器に信号や電源を供給する目的で、該容器に設けた装着孔に固定できるように構成した気密端子が使用されてきた。たとえば、空調機器や冷凍機などに使用されるコンプレッサにおいては、モータユニットの容器に密閉固定した気密端子を介して、電源から容器内のモータに電力が供給されている。

　空調機器や冷凍機などのコンプレッサは内部にモータを有するので、軸受など摺動部の磨耗によって生じた導電性の微粒子が徐々に冷媒および冷凍機油の中に蓄積する。この導電性微粒子が気密端子の金属ステムと電極棒とを絶縁封止するガラスの表面に付着していくと、金属ステムと電極棒との間の絶縁抵抗が次第に低下し、甚だしい場合は短絡する可能性がある。

　金属ステムと電極棒が短絡すると、過電流が流れて温度が上昇し封着ガラスが溶融して、電極棒が金属ステムから抜け落ち、コンプレッサ内部のオイルが外部へ漏れ出す可能性がある。こうした事象を防止するために、従来から気密端子の導電ピンに通電により自己発熱する部位を設けて、過電流が流れた場合に発熱部位が溶断してモータへの通電を遮断できるようにしたヒューズ領域付き気密端子が用いられている。

　たとえば、特許文献１に記載された気密端子は、気密端子の導電ピンの軸中間部に断面積の小さいネック部からなるヒューズ領域を設けている。導電ピン自体に電流ヒューズ機能を持たせることで、過電流が負荷されたときにヒューズ領域が溶断して通電を遮断し、モータの焼損を防止している。

　特許文献２には、導電ピンにヒューズ領域を設けるために、ピン素材をロール成形している。ロール成形によりピン素材にフランジを形成し、ヒューズ領域を確定する小径の溝を成形している。

　しかしながら、従来のヒューズ領域付き気密端子においては、導電ピンの一部を細径化し通電容量を小さくしたヒューズ領域を形成している。過電流が印加されたときには、このヒューズ領域が抵抗発熱による赤熱状態を経て溶融し断線に至る。従って、従来のヒューズ領域付き気密端子は、鋼材や銅材製の導電ピンが過電流によって赤熱して断線するまで長時間を要し、溶断温度も１０００℃を越える高温となる。また、都合よく導電ピンのヒューズ領域で断線するとは限らず、実際には導電ピンに配線された配線接合部などが先に断線することもある。そのため断線部位が定まらないという問題があった。

　さらに、ヒューズ溶断に一定以上の時間を要すると、ヒューズ領域に近い絶縁シール材のガラスが先に溶融し冷媒内圧により導電ピンが抜けてしまう可能性があった。このため、特許文献２の気密端子においては、導電ピンに抜け防止のフランジを設けている。

　特許文献３の気密端子においては、絶縁シール材に高融点ガラス材を用いることで溶融し難くしている。しかしながら、特殊な高融点ガラス材を用いると材料費が上昇し、またガラス封着工程の作業温度をより高温に変更する必要があった。これらは製品コストや生産エネルギー効率の観点で必ずしも好ましいものではなかった。

特開昭６１－１３５０７４号公報 特開昭６３－０２１７７４号公報 特開平０６－０６０９２８号公報

　本発明は、安全性を高めたヒューズ付き気密端子を提供することを目的とする。

　本発明の一実施形態に係るヒューズ付き気密端子に従えば、中空部と、上記中空部を挟んで位置する一対の貫通孔とが設けられた筐体と、上記一対の貫通孔および上記中空部を通って上記筐体を貫通する導電ピンと、上記一対の貫通孔および上記導電ピンの各々の隙間を密閉封着する一対の絶縁シール材とを備えている。上記導電ピンは、インナーピンと、アウターピンと、上記インナーピンおよび上記アウターピンの間を架橋し上記中空部に位置するヒューズエレメントとを備えている。

　上記ヒューズ付き気密端子において、上記筐体は、上記中空部の少なくとも一部が内部に設けられた第１アイレットと、該第１アイレットに封着された第２アイレットとを備えてもよい。上記第１アイレットには、上記一対の貫通孔の一方の上記貫通孔が設けられており、上記第２アイレットには、上記一対の貫通孔の他方の上記貫通孔が設けられていてもよい。

　上記ヒューズ付き気密端子において、上記中空部の一部は上記第１アイレットの内部に設けられ、上記中空部の他部は上記第２アイレットの内部に設けられていてもよい。

　上記ヒューズ付き気密端子において、上記導電ピンの少なくとも一部は、芯材とジャケット材からなる複合金属材で構成されていてもよい。

　上記ヒューズ付き気密端子において、上記芯材は可溶性金属材からなり、上記導電ピンの上記ヒューズエレメントは、上記ジャケット材から露出させた上記芯材により形成されていてもよい。

　上記ヒューズ付き気密端子において、上記アウターピンの電気抵抗と上記インナーピンの電気抵抗とは互いに異なっていてもよい。

　上記ヒューズ付き気密端子において、上記一対の貫通孔の中心軸は互いにずれていてもよい。

　上記ヒューズ付き気密端子において、上記ヒューズエレメントは、はんだ合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銀および銀合金の群から選択された可溶性金属材で構成してもよい。

　本発明の一実施形態に係るヒューズ付き気密端子によると、安全性を高めたヒューズ付き気密端子を提供することができる。

本発明の実施の形態１に係るヒューズ付き気密端子を示す平面図である。 本発明の実施の形態１に係るヒューズ付き気密端子を示す、図１のＩＩ－ＩＩ線で一部を切断した正面部分断面図である。 本発明の実施の形態１に係るヒューズ付き気密端子を示す下面図である。 本発明の実施の形態２に係るヒューズ付き気密端子を示す、図１のＩＩ－ＩＩ線に対応する位置で一部を切断した正面部分断面図である。 本発明の実施の形態３に係るヒューズ付き気密端子を示す、図１のＩＩ－ＩＩ線に対応する位置で一部を切断した正面部分断面図である。

　本発明の一実施形態に係るヒューズ付き気密端子は、中空部と、中空部を挟んで位置する一対の貫通孔とが設けられた筐体と、一対の貫通孔および中空部を通って筐体を貫通する導電ピンと、一対の貫通孔および導電ピンの各々の隙間を密閉封着する一対の絶縁シール材とを備えている。導電ピンは各々、インナーピンと、アウターピンと、インナーピンおよびアウターピンの間を架橋し中空部に位置するヒューズエレメントとを備えている。

　たとえば、図１ないし図３に示される気密端子１０は、第１アイレット１３と、第２アイレット１４と、導電ピンと、絶縁シール材１６とを含む。第１アイレットは、内部に中空部１１の一部を有し、３つの貫通孔１２ａが設けられている。第２アイレット１４は、第１アイレット１３に係合して筐体を形成し、３つの貫通孔１２ｂが設けられている。導電ピンは、第１アイレット１３の貫通孔１２ａおよび第２アイレット１４の貫通孔１２ｂに挿通されて筐体の内側および外側に延在する。絶縁シール材１６は、導電ピンを第１アイレット１３および第２アイレット１４に密閉封着する。導電ピンは、アウターピン１５１と、インナーピン１５２と、アウターピン１５１およびインナーピン１５２の間を架橋したヒューズエレメント１７とを有する。ヒューズエレメント１７は筐体内に収容される。中空部１１は、第１アイレット１３および第２アイレット１４のうち、少なくとも片側に設けられるが、図２に示すように両方のアイレットに設けてもよい。

　ヒューズエレメント１７は、可溶性金属材であればよく特に限定されないが、一例として、はんだ合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金などが好適である。第１アイレット１３および第２アイレット１４は、炭素鋼、ステンレス鋼、Ｆｅ－Ｎｉ合金などのＦｅ系金属材が好適である。

　導電ピンのアウターピン１５１およびインナーピン１５２は、Ｆｅ－Ｃｒ合金、Ｆｅ－Ｎｉ合金などの合金材が好適である。アウターピン１５１およびインナーピン１５２を芯材と芯材１５１ａ，１５２ａを被覆するジャケット材１５１ｂ，１５２ｂからなる複合金属材で構成する場合には、芯材１５１ａ，１５２ａとして銅、ジャケット材１５１ｂ，１５２ｂとして鋼材、Ｆｅ－Ｃｒ合金、Ｆｅ－Ｎｉ合金などが好適である。

　この導電ピンを第１アイレット１３または第２アイレット１４に密閉封着する絶縁シール材１６は、耐熱性絶縁材であればよく特に限定されない。絶縁シール材１６としては、たとえばソーダライムガラス、ソーダバリウムガラス、ホウ珪酸ガラスなどのガラス材またはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が好適である。

　ヒューズ付き気密端子は、ヒューズエレメント内蔵導電ピンを用いてもよい。すなわち、導電ピンのアウターピン１５１およびインナーピン１５２を、可溶性金属の芯材とその表面を覆ったジャケット材で構成する。所定部位で芯材を露出させることでヒューズエレメントとし、このヒューズエレメントを筐体内に収容させてもよい。

　一実施形態に係るヒューズ付き気密端子は、導電ピンに設けられたヒューズエレメント１７を筐体の内部に設けている。ヒューズエレメント１７が異常過熱や過電流に感応して溶断し速やかに通電回路を遮断できる。ヒューズエレメント１７を速断性とすることで、絶縁シール材１６に高融点ガラスを用いることなく導電ピンを封止する絶縁シール材１６の溶融抜けを防止することができる。溶断動作を行うヒューズエレメント１７は、筐体内に配置されるため、外気や水分の侵入を防いでヒューズエレメント１７を保持でき、かつ溶断部を筐体内に限定できるので安全である。

　導電ピンを構成するアウターピン１５１およびインナーピン１５２を互いに異なる構成にすることができる。たとえば、アウターピンとインナーピンの電気抵抗を互いに違ったものにすることができる。アウターピンの電気抵抗値＜インナーピンの電気抵抗値とすると、インナーピン１５２側をアウターピン１５１側より常に通電熱量が多くなるようにすることが可能となる。これにより絶縁シール材１６の溶融抜けをインナーピン１５２の側のみに限定することが可能となる。インナーピン１５２の側で溶融抜けが発生しても気密端子１０が２重構造（ダブルシール構造）であるので、気密端子１０を取り付けた容器内の気密性は損なわれない。その結果、配線部が容器外に抜け落ちたり、内圧で端子ピン、冷媒、油脂類が外部に飛び出たりしないため安全である。

　本明細書において、アウターピンとは、ヒューズ付き気密端子が取り付けられる容器の外側に配置されて電源装置などの外部装置に接続されるピンを意味する。インナーピンとは、気密端子が取り付けられる容器の内部に配置されるモータや制御装置などの内部装置に接続されるピンを意味する。なお、気密端子１０に含まれる筐体は上記容器とは異なる。

　（実施の形態１）
　実施の形態１のヒューズ付き気密端子１０は、図１ないし図３に示されるように、コンプレッサのモータユニットの容器に設けられた装着孔に固定できるように片方のアイレットにフランジを設けた気密端子である。

　気密端子１０は、第１アイレット１３と、第２アイレット１４と、導電ピンと、絶縁シール材１６とを含む。第１アイレット１３は、中空部１１および３つの貫通孔１２ａが設けられており、炭素鋼からなる。第２アイレット１４は、３つの貫通孔１２ｂが設けられ、第１アイレット１３と接合することで筐体を形成する。貫通孔１２ａと貫通孔１２ｂとは中空部１１を挟んで位置する。貫通孔１２ａ，１２ｂの数は、１個または２個でもよいし、４個以上でもよい。

　導電ピンは、貫通孔１２ａを貫通するアウターピン１５１と貫通孔１２ｂを貫通するインナーピン１５２とを有する。導電ピンは筐体の内側および外側に延在する。絶縁シール材１６は、アウターピン１５１を第１アイレット１３に、インナーピン１５２を第２アイレット１４に、それぞれ密閉封着する。絶縁シール材１６は、ホウ珪酸ガラスからなる。アウターピン１５１とインナーピン１５２との間は可溶性金属材からなるヒューズエレメント１７により架橋されている。ヒューズエレメント１７は筐体内に収容されている。

　中空部１１は、図２に示すように第１アイレット１３および第２アイレット１４の両方に各々形成する。第１アイレット１３および第２アイレット１４はその外周部で互いに封着されており、中空部１１の気密性が確保されている。具体的には、第１アイレット１３の外周壁の先端部の内周側にリブを設け、逆に第２アイレット１４の外周壁の先端部の外周側にリブを設けている。第１アイレット１３の外周壁の先端部と第２アイレットの外周壁の先端部とを係合させることで、気密性を確保している。気密性を確保する形状はこれに限られず、種々の構成を採用することができる。

　導電ピンは、第１アイレット１３に封着されるアウターピン１５１と第２アイレット１４に封着されるインナーピン１５２とで１対をなす。アウターピン１５１とインナーピン１５２とは、気密性の筐体内に配置されたヒューズエレメント１７によって導通される。

　アウターピン１５１およびインナーピン１５２としては、銅の芯材１５１ａ，１５２ａとＦｅ－Ｃｒ合金製のジャケット材１５１ｂ，１５２ｂからなる複合金属ピンを用いる。第１アイレット１３に封着するアウターピン１５１の銅芯径を太くし、第２アイレット１４に封着するインナーピン１５２の銅芯径を細くする。これによりアウターピンの電気抵抗値＜インナーピンの電気抵抗値とし、インナーピン側の通電熱量がアウターピン側より大きくなるよう構成する。これにより、万一、絶縁シール材１６が溶融する場合でも、そのタイミングを常にインナーピン側の絶縁シール材の溶融が先になる。これにより、シール抜けをケース内に止めることができる。

　アウターピン１５１とインナーピン１５２とは同一の構造とすることもできる。アウターピン１５１およびインナーピン１５２は各々、複合金属材ではなく、単一の金属材料で構成することもできる。

　本実施の形態では、芯材１５１ａ，１５２ａとヒューズエレメント１７とを異なる材料で構成することができる。ジャケット材１５１ｂ，１５２ｂとヒューズエレメント１７とも異なる材料で構成することができる。

　インナーピン側の絶縁シール材１６が溶融しても気密端子１０が２重構造（ダブルシール構造）であるので、気密端子１０を取り付けた容器内の気密性は損なわれない。これにより、配線コードや導電ピンが、冷媒、油脂類と共に容器外に抜け落ちたりしないため安全である。導電ピンには、端部の側面に図１ないし図３に示すような配線接続のための端子板１８を接合してもよい。

　（実施の形態２）
　実施の形態２のヒューズ付き気密端子２０は、上述のヒューズ付き気密端子１０の変形例である。第１アイレット１３の貫通孔１２ａと第２アイレット１４の貫通孔１２ｂの中心軸の位置をずらして、封着されるアウターピン２５１とインナーピン２５２とが互いに突き当らない様にしている。

　図４に示されるように、気密端子２０は、第１アイレット２３と、第２アイレット２４と、導電ピンと、絶縁シール材２６とを含む。第１アイレット２３は、中空部２１および３つの貫通孔２２ａが設けられており、炭素鋼からなる。第２アイレット２４は、３つの貫通孔２２ｂが設けられ、第１アイレット２３と接合することで筐体を形成する。貫通孔２２ａと貫通孔２２ｂとは中空部２１を挟んで位置する。

　導電ピンは、貫通孔２２ａを貫通するアウターピン２５１と貫通孔２２ｂを貫通するインナーピン２５２とを有する。導電ピンは筐体の内側および外側に延在する。絶縁シール材２６は、アウターピン２５１を第１アイレット２３に、インナーピン２５２を第２アイレット２４に、それぞれ密閉封着する。絶縁シール材２６は、ソーダバリウムガラスからなる。アウターピン２５１とインナーピン２５２との間は可溶性金属材からなるヒューズエレメント２７により架橋されている。ヒューズエレメント２７は筐体内に収容されている。

　中空部２１は、図４に示すように第１アイレット２３および第２アイレット２４の両方に各々形成する。導電ピンは、第１アイレット２３に封着されるアウターピン２５１と第２アイレット２４に封着されるインナーピン２５２とで１対をなす。アウターピン２５１とインナーピン２５２とは、気密性の筐体内に配置されたヒューズエレメント２７によって導通される。

　アウターピン１５１およびインナーピン１５２としては、銅の芯材１５２ａ，１５２ｂとＦｅ－Ｃｒ合金製のジャケット材１５１ｂ，１５２ｂからなる複合金属ピンを用いる。第１アイレット２３に封着するアウターピン２５１の銅芯径を太くし、第２アイレット２４に封着するインナーピン２５２の銅芯径を細くする。これによりアウターピンの電気抵抗値＜インナーピンの電気抵抗値とし、インナーピン側の通電熱量がアウターピン側より大きくなるよう構成する。これにより、万一、絶縁シール材２６が溶融する場合でも、そのタイミングを常にインナーピン側の絶縁シール材の溶融が先になる。これにより、シール抜けをケース内に止めることができる。

　第１アイレット２３の貫通孔２２ａの中心軸と、第２アイレット２４の貫通孔２２ｂの中心軸とは、第１アイレット２３および第２アイレット２４の回転方向にずれている。第１アイレット２３の貫通孔２２ａの中心軸と、第２アイレット２４の貫通孔２２ｂの中心軸とを、第１アイレット２３および第２アイレット２４の径方向にずらすようにしてもよい。

　第１アイレット２３の貫通孔２２ａを貫通するアウターピン２５１と、第２アイレット２４の貫通孔２２ｂを貫通するインナーピン２５２とは軸がずれて上下方向に重ならないようにしている。具体的には、第１アイレットの貫通孔２２ａと第２アイレットの貫通孔２２ｂとは回転方向に６０度ずれるように構成している。これによりインナーピン２５２の側で溶融抜けが発生しても、突き上げて来たインナーピン２５２がアウターピン２５１に接触しない。これによりインナーピン２５２とアウターピン２５１とが再導通するのを防ぐことができる。

　インナーピン側の絶縁シール材２６が溶融しても気密端子２０が２重構造（ダブルシール構造）であるので、気密端子２０を取り付けた容器内の気密性は損なわれない。これにより、配線コードや導電ピンが、冷媒、油脂類と共に容器外に抜け落ちたりしないため安全である。導電ピンには、端部の側面に図４に示すような配線接続のための端子板２８を接合してもよい。

　（実施の形態３）
　実施の形態３のヒューズ付き気密端子３０は、ヒューズエレメント内蔵導電ピンを用いたものである。

　図５に示されるように、気密端子３０は、第１アイレット３３と、第２アイレット３４と、導電ピンと、絶縁シール材３６とを含む。第１アイレット３３は、中空部３１および３つの貫通孔３２ａが設けられており、炭素鋼からなる。第２アイレット３４は、３つの貫通孔３２ｂが設けられ、第１アイレット３３と接合することで筐体を形成する。貫通孔３２ａと貫通孔３２ｂとは中空部３１を挟んで位置する。

　導電ピンは、貫通孔３２ａを貫通するアウターピン３５１と貫通孔３２ｂを貫通するインナーピン３５２とを有する。導電ピンは筐体の内側および外側に延在する。絶縁シール材３６は、アウターピン３５１を第１アイレット３３に、インナーピン３５２を第２アイレット３４に、それぞれ密閉封着する。絶縁シール材３６は、ホウ珪酸ガラスからなる。アウターピン３５１およびインナーピン３５２は、銅の芯材３５ａとＦｅ－Ｃｒ合金製のジャケット材３５ｂからなる複合金属材である。所定部位で銅の芯材３５ａを露出させてヒューズエレメント３７としている。ヒューズエレメント３７は筐体内に収容されている。アウターピン３５１とインナーピン３５２とは、気密性の筐体内に配置されたヒューズエレメント３７によって導通される。

　中空部３１は、図５に示すように第１アイレット３３および第２アイレット３４の両方に各々形成する。導電ピンは、第１アイレット３３に封着されるアウターピン３５１と第２アイレット３４に封着されるインナーピン３５２とで１対をなす。

　導電ピンには、端部の側面に図５に示すような配線接続のための端子板３８を接合してもよい。第１アイレット３３の貫通孔３２ａの中心軸と、第２アイレット３４の貫通孔３２ｂの中心軸とをずらしてもよい。第１アイレット３３の貫通孔３２ａを貫通するアウターピン３５１と、第２アイレット３４の貫通孔３２ｂを貫通するインナーピン３５２とは軸がずれて上下方向に重ならないようにしてもよい。これによりインナーピン３５２の側で溶融抜けが発生しても、突き上げて来たインナーピン３５２がアウターピン３５１に接触しない。これによりインナーピン３５２とアウターピン３５１とが再導通するのを防ぐことができる。

　今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

　本発明に係るヒューズ付き気密端子は大電流対応型の気密端子として有用である。特に密閉した容器内に収められた電気機器に信号や電源を供給する気密端子として好適である。たとえば、冷凍機、空調機器などコンプレッサのモータユニットの気密端子に用いることができる。

１０，２０，３０　気密端子、１１，２１，３１　中空部、１２ａ，１２ｂ，２２ａ，２２ｂ，３２ａ，３２ｂ　貫通孔、１５１，２５１，３５１　アウターピン、１３，２３，３３　第１アイレット、１５２，２５２，３５２　インナーピン、１４，２４，３４　第２アイレット、１５１ａ，１５２ａ，２５１ａ，２５２ａ，３５１ａ，３５２ａ　芯材、１５１ｂ，１５２ｂ，２５１ｂ，２５２ｂ，３５１ｂ，３５２ｂ　ジャケット材、１６，２６，３６　絶縁シール材、１７，２７，３７　ヒューズエレメント、１８，２８，３８　端子板。

Claims (8)

1. 　中空部と、前記中空部を挟んで位置する一対の貫通孔とが設けられた筐体と、
   　前記一対の貫通孔および前記中空部を通って前記筐体を貫通する導電ピンと、
   　前記一対の貫通孔および前記導電ピンの各々の隙間を密閉封着する一対の絶縁シール材とを備え、
   　前記導電ピンは、インナーピンと、アウターピンと、前記インナーピンおよび前記アウターピンの間を架橋し前記中空部に位置するヒューズエレメントと、を備えた、ヒューズ付き気密端子。
2. 　前記筐体は、前記中空部の少なくとも一部が内部に設けられた第１アイレットと、該第１アイレットに封着された第２アイレットとを備え、
   　前記第１アイレットには、前記一対の貫通孔の一方の前記貫通孔が設けられており、
   　前記第２アイレットには、前記一対の貫通孔の他方の前記貫通孔が設けられている、請求項１に記載のヒューズ付き気密端子。
3. 　前記中空部の一部は前記第１アイレットの内部に設けられ、前記中空部の他部は前記第２アイレットの内部に設けられている、請求項２に記載のヒューズ付き気密端子。
4. 　前記導電ピンの少なくとも一部は、芯材とジャケット材からなる複合金属材で構成される、請求項１から請求項３のいずれか１項に記載のヒューズ付き気密端子。
5. 　前記芯材は可溶性金属材からなり、
   　前記導電ピンの前記ヒューズエレメントは、前記ジャケット材から露出させた前記芯材により形成されている、請求項４に記載のヒューズ付き気密端子。
6. 　前記アウターピンの電気抵抗と前記インナーピンの電気抵抗とは互いに異なる、請求項１から請求項５のいずれか１項に記載のヒューズ付き気密端子。
7. 　前記一対の貫通孔の中心軸は互いにずれている、請求項１から請求項６のいずれか１項に記載のヒューズ付き気密端子。
8. 　前記ヒューズエレメントは、はんだ合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銀および銀合金の群から選択された可溶性金属材からなる、請求項１から請求項７のいずれか１項に記載のヒューズ付き気密端子。

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