JP2013140116A - 放射性物質除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 放射性セシウム等を含んだ液体の除染に好適な放射性物質除去方法を提供する。
【解決手段】 放射性物質除去装置1は、原水供給配管2から供給された原水がその下部に流入する第1処理槽3と、第1処理槽3の上部から排出された半処理水が半処理水配管4を介してその下部に流入する第2処理槽5と、第2処理槽5の上部に接続する処理済水配管6と、第2処理槽5の下部にスラッジ排出配管7を介して接続する沈殿槽8とを主要構成要素としている。第2処理槽5の中間部には、浮遊濾材31が適量装填された浮遊濾層32が形成されている。浮遊濾材31はプラスチック発泡体を所定の大きさに砕いたものであり、浮遊濾層32の上下には浮遊濾材31の流出を防止すべくスクリーン33,34が設置されている。
【選択図】 図2
【解決手段】 放射性物質除去装置1は、原水供給配管2から供給された原水がその下部に流入する第1処理槽3と、第1処理槽3の上部から排出された半処理水が半処理水配管4を介してその下部に流入する第2処理槽5と、第2処理槽5の上部に接続する処理済水配管6と、第2処理槽5の下部にスラッジ排出配管7を介して接続する沈殿槽8とを主要構成要素としている。第2処理槽5の中間部には、浮遊濾材31が適量装填された浮遊濾層32が形成されている。浮遊濾材31はプラスチック発泡体を所定の大きさに砕いたものであり、浮遊濾層32の上下には浮遊濾材31の流出を防止すべくスクリーン33,34が設置されている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、放射性セシウム等を含んだ液体の除染に好適な放射性物質除去方法に係り、詳しくは除去コストやスラッジの低減を実現する技術に関する。
原子力発電所では、濃縮ウラン燃料の核分裂反応に伴う熱エネルギを用いるため、原子炉内に核分裂生成物が生じることが避けられない。核分裂生成物の殆どは放射性核種(すなわち、放射性物質)であり、原子炉格納容器や各種配管の破損によって放射性物質が外部環境に放出された場合、住民や住居、農作物等が広範囲に放射線汚染されることになる。放射性物質のうち放射性汚染を起こす主要3核種はヨウ素131、セシウム134、セシウム137であるが、ヨウ素131およびセシウム134は半減期がごく短いことから(それぞれ、約8日、約数十分)、短期的な被曝予防対策(一時待避等)が効果的である。一方、セシウム137は、ベータ崩壊を起こしてバリウム137に壊変するが、その半減期が約30年と長く、ベータ粒子(電子、陽電子)を長期間にわたって放射し続けるため、その除去(除染)を速やかに行う必要がある。
原子力発電所で発生した廃液からセシウム137を除染する方法としては、ゼオライト等の吸着材を用いる旧来のものに加え、青色顔料であるプルシアンブルー(紺青)がセシウムと結合しやすいことに着目したものが提案されている(特許文献1,2参照)。特許文献1の方法は、プルシアンブルーの鉄原子の一部を銅に置換して得られる銅プルシアンブルー類似体を多孔性樹脂に担持させ、この多孔性樹脂に廃液を接触させて細孔内にセシウムを捕捉させるものである。また、特許文献2の方法は、プルシアンブルー型金属錯体を導電体上に配設した複合材料をイオン吸着材料として利用し、廃液をこの複合材料に接触させてセシウムを吸着させた後、外部で複合材料の陽イオンを脱離させるものである。
処理する廃液が多量に存在する場合、ゼオライトやプルシアンブルーによって放射性セシウムを吸着あるいは捕捉する方法では、放射性を有する大量のスラッジ(放射性二次廃棄物)が発生し、そのスラッジの保管や地中埋設処分等に広い土地と多大なコストとが必要となる。また、特許文献1,2の除去方法では、廃液中の放射性セシウムを高い除去率をもって除去できるものの、比較的高価なプルシアンブルーによってセシウムを捕捉あるいは吸着させることから、汚染された廃液が大量に存在する場合には莫大なコストが掛かることが避けられなかった。
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、放射性セシウム等を含んだ液体の除染に好適な放射性物質除去方法を提供することを目的とする。
本発明では、水中を浮遊可能なプラスチック発泡体からなる浮遊濾材を充填してなる浮遊濾層を含む処理槽を有する水処理装置を用い、放射性物質を含む原水に当該放射性物質の吸着に供される吸着材を添加し、前記吸着材が添加された水を前記処理槽に導入して前記浮遊濾層に流通させ、放射性物質を吸着した前記吸着材を前記浮遊濾材に捕捉させる。
また、本発明の第2の側面では、前記吸着材が泥土である。
また、本発明の第3の側面では、原水に凝集剤を添加する。
また、本発明の第4の側面では、前記処理槽が前記浮遊濾層を好気状態に維持する曝気手段を備え、原水中の前記放射性物質を前記浮遊濾層に保持された好気性微生物に吸着させる。
また、本発明の第5の側面では、前記水処理装置が前記処理槽の前段に前処理用の前処理槽を有し、当該前処理槽には水中を浮遊可能なプラスチック発泡体からなる親油性の浮遊濾材を充填してなる浮遊濾層が設けられ、前記前処理槽でコアレッシング濾過による油水分離を行う。
また、本発明の第6の側面では、放射性物質を含む土壌を弱酸性液に接触させることで当該土壌中の放射性物質を当該弱酸性液中に抽出させ、抽出された放射性物質を含む当該弱酸性液を原液とする。
本発明によれば、放射性物質を含む吸着材が広い面積を有する浮遊濾材の表面に膜状に捕捉されるため、放射性物質の除去に必要となる吸着材の量が少なくなり、生成されるスラッジの量も削減することができる。また、吸着材が泥土であるものでは、放射性物質の吸着に要するコストが非常に低く抑えられる。また、原水に凝集剤を添加するものでは、吸着材の凝集が促進されて浮遊濾材に捕捉されやすくなる。また、浮遊濾層に保持された好気性微生物に放射性物質を吸着させるものでは、放射性物質とともに有機物の除去効率も向上する。また、前処理槽の浮遊濾層でコアレッシング濾過による油水分離を行うものでは、原水に農薬等も含まれていた場合にも、放射性物質とともに農薬等も効果的に捕捉除去できる。また、放射性物質を含む土壌を接触させた弱酸性液を原液とするものでは、土壌からの放射性物質の抽出が効果的に行える。
以下、本発明を放射性セシウム等の除去に供される放射性物質除去装置に適用した一実施形態を、図面を参照して説明する。
≪実施形態の構成≫
図1に示すように、放射性物質除去装置1は、原水供給配管2から供給された原水がその下部に流入する第1処理槽3と、第1処理槽3の上部から排出された半処理水が半処理水配管4を介してその下部に流入する第2処理槽5と、第2処理槽5の上部に接続する処理済水配管6と、第2処理槽5の下部にスラッジ排出配管7を介して接続する沈殿槽8とを主要構成要素としている。
図1に示すように、放射性物質除去装置1は、原水供給配管2から供給された原水がその下部に流入する第1処理槽3と、第1処理槽3の上部から排出された半処理水が半処理水配管4を介してその下部に流入する第2処理槽5と、第2処理槽5の上部に接続する処理済水配管6と、第2処理槽5の下部にスラッジ排出配管7を介して接続する沈殿槽8とを主要構成要素としている。
本実施形態の原水は、放射性セシウムを含む海水や田水、放射性セシウムを含む土壌を溶かし込んだ弱酸性液等であり、図示しない原水貯留タンクに併設されたポンプによって第1処理槽3に圧送される。放射性セシウムを含む土壌としては、畑の土や学校校庭の土、家庭の庭土等が挙げられ、畑の土の場合には農薬等の化学物質も含まれる。
第1処理槽3は、上下端が閉塞された円筒形状を呈する上向流形式のものであり、その中間部に適量(例えば、容積の2/3〜3/4)の浮遊濾材11が装填された浮遊濾層12が形成されている。浮遊濾材11はプラスチック発泡体(例えば、発泡ポリプロピレン)を所定の大きさに砕いたものであり、浮遊濾層12の上下には浮遊濾材11の流出を防止すべく網材(例えば、ステンレス鋼製の金網)からなるスクリーン13,14が設置されている。浮遊濾材11には、コアレッシング処理を実現すべく、予め所定量の油分が含浸処理されている。
半処理水配管4には、吸着材供給配管21と凝集剤供給配管22とが接続しており、第1処理槽3から排出された半処理水にこれら配管21,22を介して吸着材(本実施形態では、泥土と凝集剤(例えば、PAC(ポリ塩化アルミニウム))とが供給される。更に、半処理水配管4には、第1処理槽3から排出された半処理水に窒素(N)および燐(P)を添加する窒素・燐添加配管23が接続している。
第2処理槽5も、第1処理槽3と同様に上下端が閉塞された円筒形状を呈する上向流形式のものであり、その中間部に適量の浮遊濾材31が装填された浮遊濾層32が形成されている。浮遊濾材31はプラスチック発泡体を所定の大きさに砕いたものであり、浮遊濾層32の上下には浮遊濾材31の流出を防止すべくスクリーン33,34が設置されている。なお、浮遊濾材31の表面には、ズーグレア等の好気性細菌が付着している。また、第2処理槽5の下部にはブロア36からのエア(外気)が送給される曝気管37が設置されており、この曝気管37を介して第2処理槽5内にエアが噴出される。処理済水配管6は、第2処理槽5で除染処理された処理済水を公共水域に放流する。
沈殿槽8は、後述する逆洗作業時に、第2処理槽5から排出された処理済水に対し、沈殿および脱水を行うことによってスラッジ(すなわち、放射性物質を吸着した吸着材)を生成する。
≪実施形態の作用≫
図2に示すように、原水供給配管2から第1処理槽3に供給された原水は、第1処理槽3内を上昇して浮遊濾材11が装填された浮遊濾層12を通過する。浮遊濾材11の表面には油分が含浸されているため、原水は、放射性セシウムや農薬等の一部が疎水性相互作用によって油分に会合して粗粒化された後に浮遊濾材11の間隙に絡め取られることで(すなわち、コアレッシング濾過されることで)、半処理水となって半処理水配管4に流入する。
図2に示すように、原水供給配管2から第1処理槽3に供給された原水は、第1処理槽3内を上昇して浮遊濾材11が装填された浮遊濾層12を通過する。浮遊濾材11の表面には油分が含浸されているため、原水は、放射性セシウムや農薬等の一部が疎水性相互作用によって油分に会合して粗粒化された後に浮遊濾材11の間隙に絡め取られることで(すなわち、コアレッシング濾過されることで)、半処理水となって半処理水配管4に流入する。
半処理水配管4に流入した半処理水には、吸着材供給配管21から吸着材が供給されるとともに、凝集剤供給配管22から凝集剤が供給され、更に、原水が有機物を多量に含む水(湖沼水や下水等)の場合には窒素・燐添加配管23からバクテリアの繁殖を促進する窒素および燐が添加される。半処理水内の吸着材は、放射性セシウムや有機物を吸着するとともに、凝集剤によって凝集しながら第2処理槽5に流入する。
第2処理槽5に流入した半処理水は、第2処理槽5を上昇して浮遊濾材31が装填された浮遊濾層32を通過する。半処理水は、浮遊濾層32内で吸着材の大部分が浮遊濾材31の表面に付着することで、処理済水となって処理済水配管6を介して沈殿槽8に流入する。この際、原水が有機物を多量に含む場合には、曝気管37から第2処理槽5内にエアが噴出され、浮遊濾材31の表面に付着した好気性細菌によって有機物が分解される。
第2処理槽5では、処理が継続されることで浮遊濾材31が目詰まりし、浮遊濾層32による除去処理が円滑に行えなくなる。そのため、図3に示すように、所定の運転時間ごとに半処理水の一部をスラッジ排出配管7から沈殿槽8に排出した後、曝気管37からエアを第2処理槽5の内部に噴出させる。噴出されたエアは、第2処理槽5内を上昇して浮遊濾材31を攪拌し(すなわち、浮遊濾層32を逆洗し)、浮遊濾材31の表面に付着したスラッジを第2処理槽5の下部に沈降させる。沈降したスラッジはスラッジ排出配管7から沈殿槽8に排出され、脱水された後に図示しない焼却炉で焼却され、放射性廃棄物として保管施設に保管される。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれら実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、吸着材として泥土やPACを採用したが、プルシアンブルー等を吸着材として用いてもよい。また、上記実施形態では、第1処理槽でコアレッシング濾過を行うようにしたが、これを省いて原水を直接第2処理槽に供給するようにしてもよい。その他、処理槽や配管類の具体的構成やレイアウト等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設定可能である。
1 放射性物質除去装置
2 原水供給配管
3 第1処理槽
4 半処理水配管
5 第2処理槽
6 処理済水配管
7 スラッジ排出配管
8 沈殿槽
11 浮遊濾材
12 浮遊濾層
13,14 スクリーン
21 吸着材供給配管
22 凝集剤供給配管
23 窒素・燐添加配管
31 浮遊濾材
32 浮遊濾層
33,34 スクリーン
37 曝気管
2 原水供給配管
3 第1処理槽
4 半処理水配管
5 第2処理槽
6 処理済水配管
7 スラッジ排出配管
8 沈殿槽
11 浮遊濾材
12 浮遊濾層
13,14 スクリーン
21 吸着材供給配管
22 凝集剤供給配管
23 窒素・燐添加配管
31 浮遊濾材
32 浮遊濾層
33,34 スクリーン
37 曝気管
Claims (6)
- 水中を浮遊可能なプラスチック発泡体からなる浮遊濾材を充填してなる浮遊濾層を含む処理槽を有する水処理装置を用い、
放射性物質を含む原水に当該放射性物質の吸着に供される吸着材を添加し、
前記吸着材が添加された水を前記処理槽に導入して前記浮遊濾層に流通させ、
放射性物質を吸着した前記吸着材を前記浮遊濾材に捕捉させることを特徴とする放射性物質除去方法。 - 前記吸着材が泥土であることを特徴とする、請求項1に記載された放射性物質除去方法。
- 原水に凝集剤を添加することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載された放射性物質除去方法。
- 前記処理槽が前記浮遊濾層を好気状態に維持する曝気手段を備え、
原水中の前記放射性物質を前記浮遊濾層に保持された好気性微生物に吸着させることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された放射性物質除去方法。 - 前記水処理装置が前記処理槽の前段に前処理用の前処理槽を有し、
当該前処理槽には水中を浮遊可能なプラスチック発泡体からなる親油性の浮遊濾材を充填してなる浮遊濾層が設けられ、
前記前処理槽でコアレッシング濾過による油水分離を行うことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載された放射性物質除去方法。 - 放射性物質を含む土壌を弱酸性液に接触させることで当該土壌中の放射性物質を当該弱酸性液中に抽出させ、抽出された放射性物質を含む当該弱酸性液を原液とすることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載された放射性物質除去方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012001011A JP2013140116A (ja) | 2012-01-06 | 2012-01-06 | 放射性物質除去方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012001011A JP2013140116A (ja) | 2012-01-06 | 2012-01-06 | 放射性物質除去方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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---|---|---|---|
JP2012001011A Pending JP2013140116A (ja) | 2012-01-06 | 2012-01-06 | 放射性物質除去方法 |
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JP (1) | JP2013140116A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015075338A (ja) * | 2013-10-05 | 2015-04-20 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | 濁水中セシウム除去装置および方法 |
JP2018025464A (ja) * | 2016-08-10 | 2018-02-15 | ダイワ工業株式会社 | 放射性物質除去システム及び放射性物質除去方法 |
-
2012
- 2012-01-06 JP JP2012001011A patent/JP2013140116A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018025464A (ja) * | 2016-08-10 | 2018-02-15 | ダイワ工業株式会社 | 放射性物質除去システム及び放射性物質除去方法 |
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