JP2013139393A - カルボキシペプチダーゼ2b遺伝子活性化剤及びその利用 - Google Patents
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Abstract
【課題】天然物由来で安全性が高く、飲食品としても使用でき、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子に対する優れた活性化作用を有するカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、該カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を含有し、神経細胞死に対する優れた抑制作用を有する神経細胞死抑制剤、該カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を含有し、アルツハイマー病の予防又は治療に使用でき、副作用がなく安全性の高い、アミロイドβタンパク質分解促進剤及びアルツハイマー病の予防剤又は治療剤の提供。
【解決手段】田七人参の酸処理物を有効成分として含有し、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子を活性化するカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤である。
【選択図】なし
【解決手段】田七人参の酸処理物を有効成分として含有し、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子を活性化するカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤である。
【選択図】なし
Description
本発明は、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、該カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子を含有する、神経細胞死抑制剤、アミロイドβタンパク質分解促進剤、及びアルツハイマー病の予防剤又は治療剤に関する。
認知症(非特許文献1参照)のうち5割弱は、アルツハイマー型認知症であるといわれている。現在日本においてアルツハイマー病患者は、約200万人程度であり、2045年には400万人まで増えると予想されており、高齢化が進む日本においては極めて大きな社会的問題である。
アルツハイマー病の原因は、定かではないが、その病理学的な特徴としては、大脳皮質や海馬を中心とする神経細胞の脱落、細胞外における老人斑や脳血管アミロイドの沈着、細胞内に蓄積する神経原繊維変化などがあげられる。前記老人斑及び前記脳血管アミロイドの主要構成成分は、アミロイドβタンパク質(Aβ)が同定されており(非特許文献2〜4参照)、前記神経原繊維変化の主要構成成分は、微小管結合タンパク質のひとつであるタウタンパク質が同定されている(非特許文献5参照)。これらの中でも、アルツハイマー病の原因としては、Aβが特に重要であると考えられている。
その理由としては、(1)主に非繊維性のAβの沈着によるびまん性老人斑が、アルツハイマー病の脳における最も初期の病変であること、(2)早期発症・常染色体優性遺伝の家族性アルツハイマー病の家系の中に、Aβの前駆体であるβアミロイド前駆体タンパク質(APP)の点突然変異が疾患と連鎖して見出されていること、(3)Aβ、特に凝集したAβは、神経毒性を有すること、(4)Aβの脳内への蓄積は、アルツハイマー病の病理カスケードの中で、神経原繊維変化より上流に位置すること、(5)Aβの蓄積による老人斑は、神経原繊維変化に比べてアルツハイマー病に対する疾患特異性が高いこと、などが挙げられる(非特許文献1参照)。
その理由としては、(1)主に非繊維性のAβの沈着によるびまん性老人斑が、アルツハイマー病の脳における最も初期の病変であること、(2)早期発症・常染色体優性遺伝の家族性アルツハイマー病の家系の中に、Aβの前駆体であるβアミロイド前駆体タンパク質(APP)の点突然変異が疾患と連鎖して見出されていること、(3)Aβ、特に凝集したAβは、神経毒性を有すること、(4)Aβの脳内への蓄積は、アルツハイマー病の病理カスケードの中で、神経原繊維変化より上流に位置すること、(5)Aβの蓄積による老人斑は、神経原繊維変化に比べてアルツハイマー病に対する疾患特異性が高いこと、などが挙げられる(非特許文献1参照)。
前記Aβは、膜貫通型の前記APPが、β−セクレターゼ及びγ−セクレターゼによって切断されることにより産生される(非特許文献1参照)。そのため、これらの酵素活性を阻害し、Aβの産生を抑制することも試みられているが、γ−セクレターゼは、前記APPだけでなく、生体にとって重要なNotchタンパク質も切断してしまい、該γ−セクレターゼを阻害すると、腸管上皮形成障害や免疫細胞の分化障害を引き起こす可能性があり、重篤な副作用の懸念がある。
アルツハイマー病の治療としては、塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)、ガランタミン(商品名:レミニール)、リバスチグミン(商品名:リバスタッチパッチ、イクセロンパッチ)などが知られているが、心不全、消化性潰瘍、肝炎等の種々の副作用の問題がある。
また、洞不全症候群、消化性潰瘍の既往歴のある患者、非ステロイド性消炎鎮痛剤投与中の患者、気管支喘息又は閉塞性肺疾患の既往歴のある患者、錐体外路障害のある患者には慎重投与とされているなど、投与対象に制限があるという問題もある。
また、洞不全症候群、消化性潰瘍の既往歴のある患者、非ステロイド性消炎鎮痛剤投与中の患者、気管支喘息又は閉塞性肺疾患の既往歴のある患者、錐体外路障害のある患者には慎重投与とされているなど、投与対象に制限があるという問題もある。
投与対象に制限がないものとしては、人参の熱水抽出物が神経細胞保護効果を有すること(特許文献1参照)、人参の熱水抽出物が神経回路網再構築剤として使用できること(特許文献2参照)、人参のサポニンがアルツハイマー病の治療に有効であること(特許文献3及び4参照)などが開示されている。しかし、これらのアルツハイマー病に対する効果は十分満足できるものではないという問題がある。
また、前記Aβは、ネプリライシンやインスリン分解酵素などにより分解されることも知られている(非特許文献1参照)。しかし、これらの酵素は、脳内で適用しないと、非特異的な組織に作用することや、生体に必須な物質を分解してしまうことなどがあり、重大な副作用が生じる恐れがある。また、ネプリライシンの活性化剤として、ソマトスタチンという物質が見出されているが、一般的には、消化器障害、肝障害、糖代謝障害、無症候性胆石等の副作用が知られており、また、ソマトスタチンを直接投与すると、心臓等に存在するソマトスタチン受容体と結合し、重大な副作用が生じることが知られている。
このように、アルツハイマー病の予防又は治療、特にAβの産生抑制については、種々の機構を利用した方法が試みられているものの、根本的な予防又は治療の方法は未だ見出されておらず、新たな予防剤又は治療剤の提供が強く求められているのが現状である。
「認知症テキストブック」,日本認知症学会編,中外医学社刊
Glennner GG et al., Biochem Biophys Res Commun, 1984, 122(3), 1131−1135
Glennner GG et al., Biochem Biophys Res Commun, 1984, 120(3), 885−890
Masters CL et al., Proc Natl Acad USA, 1985, 82(12), 4245−4249
Nakita et al., J Biochem, 1986, 99(5), 1541−1544
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、天然物由来で安全性が高く、飲食品としても使用でき、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子に対する優れた活性化作用を有するカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、該カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を含有し、神経細胞死に対する優れた抑制作用を有する神経細胞死抑制剤、該カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を含有し、アルツハイマー病の予防又は治療に使用でき、副作用がなく安全性の高い、アミロイドβタンパク質分解促進剤及びアルツハイマー病の予防剤又は治療剤を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 田七人参の酸処理物を有効成分として含有し、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子を活性化することを特徴とするカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤である。
<2> 前記<1>に記載のカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、神経細胞死を抑制することを特徴とする神経細胞死抑制剤である。
<3> 前記<1>に記載のカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、アミロイドβタンパク質の分解を促進することを特徴とするアミロイドβタンパク質分解促進剤である。
<4> 前記<1>に記載のカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、アルツハイマー病を予防又は治療することを特徴とするアルツハイマー病の予防剤又は治療剤である。
<5> 前記<1>に記載のカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を含有することを特徴とする飲食品である。
<1> 田七人参の酸処理物を有効成分として含有し、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子を活性化することを特徴とするカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤である。
<2> 前記<1>に記載のカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、神経細胞死を抑制することを特徴とする神経細胞死抑制剤である。
<3> 前記<1>に記載のカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、アミロイドβタンパク質の分解を促進することを特徴とするアミロイドβタンパク質分解促進剤である。
<4> 前記<1>に記載のカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、アルツハイマー病を予防又は治療することを特徴とするアルツハイマー病の予防剤又は治療剤である。
<5> 前記<1>に記載のカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を含有することを特徴とする飲食品である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、天然物由来で安全性が高く、飲食品としても使用でき、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子に対する優れた活性化作用を有するカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、該カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を含有し、神経細胞死に対する優れた抑制作用を有する神経細胞死抑制剤、該カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を含有し、アルツハイマー病の予防又は治療に使用でき、副作用がなく安全性の高い、アミロイドβタンパク質分解促進剤及びアルツハイマー病の予防剤又は治療剤を提供することができる。
(カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤)
本発明のカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤は、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子を活性化するものであり、少なくとも田七人参の酸処理物(以下、「田七人参酸処理物」と称することがある)を有効成分として含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
本発明のカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤は、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子を活性化するものであり、少なくとも田七人参の酸処理物(以下、「田七人参酸処理物」と称することがある)を有効成分として含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
前記カルボキシペプチダーゼ2Bは、アミロイドβタンパク質(Aβ)、特にアルツハイマー病において病原性を示すといわれているAβ1−42を分解することが知られている(Matsumoto A et al., European Journal of Neuroscience, 2001, 13(9), 1653−1657、Matsumoto A et al., Neuroscience Research 2001, 39(3), 313−317、Papp H et ao., Acta Biologica Hungarica, 2003, 54(1), 55−62など参照)。したがって、前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子を活性化させることは、アルツハイマー病の予防又は治療に応用され得る。
<田七人参酸処理物>
前記田七人参(デンシチニンジン、別名:三七人参(サンシチニンジン))は、ウコギ科トチバニンジン属に属する植物である。前記田七人参酸処理物に用いる前記田七人参の部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、根、根茎、葉、茎、花などが挙げられるが、根や根茎が特に有効成分を多く含んでいる点で好ましい。
前記田七人参(デンシチニンジン、別名:三七人参(サンシチニンジン))は、ウコギ科トチバニンジン属に属する植物である。前記田七人参酸処理物に用いる前記田七人参の部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、根、根茎、葉、茎、花などが挙げられるが、根や根茎が特に有効成分を多く含んでいる点で好ましい。
前記田七人参は、天然から採取されたそのままの状態で使用してもよいが、例えば、洗浄、乾燥、裁断、破砕、粉砕等を適宜組み合わせた処理を施してもよく、これらの処理を施したものに、更に抽出、精製、発酵させたものを使用してもよい。
また、前記田七人参は、市販品を用いることもできる。前記市販品の具体例としては、田七人参粉末、田七人参水抽出エキス末(共に、松浦薬業株式会社製)などが挙げられる。
また、前記田七人参は、市販品を用いることもできる。前記市販品の具体例としては、田七人参粉末、田七人参水抽出エキス末(共に、松浦薬業株式会社製)などが挙げられる。
前記田七人参酸処理物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化作用の点で、粉末状の田七人参を、酸を含む溶媒を用いて抽出した田七人参酸処理物が好ましく、パナキサトリオール(以下、「PT」と略記することがある)及びパナキサジオール(以下、「PD」と略記することがある)の少なくともいずれかを高濃度含有する田七人参酸処理物が特に好ましい。
前記田七人参酸処理物が、前記PT及び前記PDの少なくともいずれかを高濃度含有すると、優れたカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化作用を奏することができる点で有利である。
前記田七人参酸処理物が、前記PT及び前記PDの少なくともいずれかを高濃度含有すると、優れたカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化作用を奏することができる点で有利である。
−パナキサトリオール、パナキサジオール−
前記PT及び前記PDは、ダンマラン系トリテルペン類に属する化合物であり、田七人参由来のサポニン(配糖体)から糖がはずれ、側鎖が閉環したアグリコン体(サポゲニン)であり、前記田七人参に酸処理を施すことにより生成される。
前記PT及び前記PDは、ダンマラン系トリテルペン類に属する化合物であり、田七人参由来のサポニン(配糖体)から糖がはずれ、側鎖が閉環したアグリコン体(サポゲニン)であり、前記田七人参に酸処理を施すことにより生成される。
前記田七人参酸処理物は、前記PT及び前記PDの少なくともいずれかを含有することが好ましく、前記PT及び前記PDの少なくともいずれかの合計含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%以上が好ましく、0.1質量%〜50質量%がより好ましく、1質量%〜50質量%が更に好ましく、10質量%〜30質量%が特に好ましい。
前記合計含有量は、市販品のPT又はPDを標準物質として用い、ガスクロマトグラフィー法により測定することができる。
前記合計含有量は、市販品のPT又はPDを標準物質として用い、ガスクロマトグラフィー法により測定することができる。
<<田七人参酸処理物の製造方法>>
前記田七人参酸処理物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記田七人参に、所定濃度の酸水溶液を作用させて加水分解処理を施し(以下、「加水分解処理工程」と称することがある。)、得られた加水分解処理後の液を中和後(以下、「中和工程」と称することがある。)、濾過し(以下、「濾過工程」と称することがある。)、残渣を乾燥する(以下、「乾燥工程」と称することがある。)方法が、前記PT及び/又は前記PDを多く抽出でき、簡便に製造できる点でより好ましい。また、前記田七人参酸処理物の製造方法としては、国際公開第2010/029915号パンフレットに記載の製造方法を採用してもよい。
前記田七人参酸処理物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記田七人参に、所定濃度の酸水溶液を作用させて加水分解処理を施し(以下、「加水分解処理工程」と称することがある。)、得られた加水分解処理後の液を中和後(以下、「中和工程」と称することがある。)、濾過し(以下、「濾過工程」と称することがある。)、残渣を乾燥する(以下、「乾燥工程」と称することがある。)方法が、前記PT及び/又は前記PDを多く抽出でき、簡便に製造できる点でより好ましい。また、前記田七人参酸処理物の製造方法としては、国際公開第2010/029915号パンフレットに記載の製造方法を採用してもよい。
−加水分解処理工程−
前記加水分解処理工程は、前記田七人参に所定の濃度の酸水溶液を作用させて加水分解処理を施す工程であり、好ましくは、前記田七人参中のサポニンを加水分解し、前記PT及び/又は前記PDを生成させる工程である。前記加水分解処理工程は、低級アルコールの存在下で行われることが好ましい。
前記加水分解処理工程は、前記田七人参に所定の濃度の酸水溶液を作用させて加水分解処理を施す工程であり、好ましくは、前記田七人参中のサポニンを加水分解し、前記PT及び/又は前記PDを生成させる工程である。前記加水分解処理工程は、低級アルコールの存在下で行われることが好ましい。
−−酸水溶液−−
前記酸水溶液としては、酸を含む水溶液であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸等の無機酸を含む水溶液などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塩酸を含む水溶液が好ましい。
前記酸水溶液としては、酸を含む水溶液であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸等の無機酸を含む水溶液などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塩酸を含む水溶液が好ましい。
前記酸水溶液における酸の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mol/L〜4mol/Lが好ましく、0.5mol/L〜3mol/Lがより好ましい。前記酸の濃度が、0.01mol/L未満であると、加水分解が不十分で前記PT及び/又は前記PDを効率よく生成することができないことがあり、4mol/Lを超えると、加水分解が進み過ぎることや、コスト的に不利になることがある。一方、前記酸の濃度が前記好ましい範囲内であると、十分な加水分解により前記PT及び/又は前記PDを効率よく生成することができる。
前記酸水溶液の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記田七人参に対して、2倍容量〜20倍容量を使用することが好ましい。前記酸水溶液の使用量が、前記田七人参に対して、2倍容量未満であると、田七人参が十分に浸らず加水分解処理が不十分になることがあり、20倍容量を超えると、コスト的に不利になることがある。
−−低級アルコール−−
前記加水分解処理は、低級アルコールの存在下で行うことがより好ましい。前記加水分解処理工程において低級アルコールを使用することにより、前記田七人参と、前記酸水溶液との親和性を向上させ、効率よく加水分解を進めることが可能となる。また、前記低級アルコールを使用することにより、生成される前記PT及び/又は前記PDの味や取り扱い性を向上させることができる点でも有利である。
前記加水分解処理は、低級アルコールの存在下で行うことがより好ましい。前記加水分解処理工程において低級アルコールを使用することにより、前記田七人参と、前記酸水溶液との親和性を向上させ、効率よく加水分解を進めることが可能となる。また、前記低級アルコールを使用することにより、生成される前記PT及び/又は前記PDの味や取り扱い性を向上させることができる点でも有利である。
前記低級アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数が1〜5のアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、メタノール、エタノール、プロパノールが好ましく、安全性の点からエタノールが特に好ましい。
前記低級アルコールを、該低級アルコールを含む水溶液として使用する場合、水と低級アルコールとの混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、体積比で、水:低級アルコールが、9:1〜2:1が好ましく、3:1がより好ましい。
前記低級アルコールの使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加水分解液総量に対して、1容量%〜80容量%が好ましく、10容量%〜50容量%がより好ましく、20容量%〜40容量%が特に好ましい。前記低級アルコールの使用量が、前記加水分解液総量に対して、1容量%未満であると、前記PT及び/又は前記PDが効率よく生成されないことなどがあり、80容量%を超えると、前記PT及び/又は前記PDが効率よく生成されないことや、コスト的に不利になることなどがある。
なお、前記「加水分解液総量」とは、前記酸水溶液及び前記低級アルコールを含めた全反応液量のことをいう。
なお、前記「加水分解液総量」とは、前記酸水溶液及び前記低級アルコールを含めた全反応液量のことをいう。
前記酸水溶液、及び、前記低級アルコールを含めた全反応液量(加水分解液総量)は、前記田七人参に対し、2倍容量〜20倍容量とすることが好ましい。全反応液量が、前記田七人参に対して、2倍容量未満であると、前記田七人参が十分に浸らず加水分解処理が不十分になることがあり、20倍容量を超えると、反応が飽和し、コスト的に不利になることがある。
前記加水分解処理における処理温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃〜100℃が好ましく、70℃〜90℃がより好ましい。前記処理温度が、60℃未満であると、加水分解が不十分で前記PT及び/又は前記PDを効率よく生成することができないことがあり、100℃を超えると、特殊な製造設備が必要となり、コスト的に不利になることがある。一方、前記処理温度が、前記より好ましい範囲内であると、前記PT及び/又は前記PDを効率よく生成することができる点で有利である。
前記加水分解処理における処理時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30分間〜24時間が好ましく、2時間〜8時間がより好ましい。前記処理時間が、30分間未満であると、加水分解が不十分となり前記PT及び/又は前記PDを効率よく生成することができないことがあり、24時間を超えると、反応が進み過ぎることや、コスト的に不利になることがある。一方、前記処理時間が、前記より好ましい範囲内であると、前記PT及び/又は前記PDを効率よく生成することができる点で有利である。
−中和工程−
前記中和工程は、前記加水分解処理工程で得られた加水分解後の液を中和する工程である。
前記中和を行う方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記加水分解後の液に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強塩基水溶液を適宜添加することにより行うことができる。
前記中和後のpHとしては、中性であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5〜8が好ましい。
前記中和工程は、前記加水分解処理工程で得られた加水分解後の液を中和する工程である。
前記中和を行う方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記加水分解後の液に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強塩基水溶液を適宜添加することにより行うことができる。
前記中和後のpHとしては、中性であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5〜8が好ましい。
−濾過工程−
前記濾過工程は、前記中和工程で中和した後の加水分解処理後の液を濾過し、濾液と、残渣とに分離する工程である。
前記濾過の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。なお、濾過後は、更に塩がなくなるまで水洗を繰り返してもよい。前記水洗は、アルコール濃度を低下させることができる点でも好ましい。
前記濾過工程は、前記中和工程で中和した後の加水分解処理後の液を濾過し、濾液と、残渣とに分離する工程である。
前記濾過の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。なお、濾過後は、更に塩がなくなるまで水洗を繰り返してもよい。前記水洗は、アルコール濃度を低下させることができる点でも好ましい。
−−加水濾過−−
前記加水分解処理工程で低級アルコールを使用しなかった場合は、中和後、そのまま前記濾過工程に進むことができるが、低級アルコールを使用した場合は、濾過前に、生成された前記PT及び/又は前記PDの残渣への残留を促す目的で、水を加えて加水分解処理後の液中の低級アルコール濃度を下げることが好ましい。
前記加水分解処理工程で低級アルコールを使用しなかった場合は、中和後、そのまま前記濾過工程に進むことができるが、低級アルコールを使用した場合は、濾過前に、生成された前記PT及び/又は前記PDの残渣への残留を促す目的で、水を加えて加水分解処理後の液中の低級アルコール濃度を下げることが好ましい。
この場合に添加する水の量は多いほどよいが、加水分解処理後の液における低級アルコール濃度は、低いほど好ましく、具体的には50容量%以下となるように添加することが好ましく、30容量%以下となるように添加することがより好ましく、10容量%以下となるように添加することが特に好ましい。前記加水分解処理後の液における低級アルコール濃度が、50容量%を超えたまま濾過に供すると、生成された前記PT及び/又は前記PDが低級アルコールに溶解して濾液として排出されてしまい、残渣における前記PT及び/又は前記PDの含有量が減少してしまうことがある。一方、前記加水分解処理後の液における低級アルコール濃度を、前記特に好ましい範囲内とすると、より残渣における前記PT及び/又は前記PDの含有率を高めることができる点で有利である。
−−減圧濃縮後濾過−−
また、濾過前に、生成された前記PT及び/又は前記PDの残渣への残留を促す目的で、減圧濃縮により低級アルコールを留去することで、加水分解処理後の液における低級アルコール濃度を下げることができる。
また、濾過前に、生成された前記PT及び/又は前記PDの残渣への残留を促す目的で、減圧濃縮により低級アルコールを留去することで、加水分解処理後の液における低級アルコール濃度を下げることができる。
この場合、濃縮温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70℃以下が好ましく、40℃〜50℃がより好ましい。
前記減圧濃縮後の低級アルコール濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50容量%以下となるように留去することが好ましく、30容量%以下となるように留去することがより好ましく、10容量%以下となるように留去することが特に好ましい。前記加水分解処理後の液における低級アルコール濃度が、50容量%を超えたまま濾過に供すると、生成された前記PT及び/又は前記PDが低級アルコールに溶解して濾液として排出されてしまい、残渣における前記PT及び/又は前記PDの含有量が減少してしまう点で不利となる。一方、前記加水分解処理後の液における低級アルコール濃度を、前記特に好ましい範囲内とすると、より残渣における前記PT及び/又は前記PDの含有率を高めることができる点で、有利である。
また、前記減圧濃縮と、前記加水濾過とは、それぞれ単独の工程として行ってもよいが、一連の工程として行ってもよい。この場合、前記減圧濃縮後の液に対して水を加え、前記加水濾過を行う。
−乾燥工程−
前記乾燥工程は、前記濾過工程後の残渣を乾燥し、好ましくは、前記PT及び/又は前記PDの乾燥物を得る工程である。
前記乾燥する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、凍結乾燥法、通風乾燥法、減圧乾燥法、噴霧乾燥法、加熱乾燥法などが挙げられる。
前記乾燥工程は、前記濾過工程後の残渣を乾燥し、好ましくは、前記PT及び/又は前記PDの乾燥物を得る工程である。
前記乾燥する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、凍結乾燥法、通風乾燥法、減圧乾燥法、噴霧乾燥法、加熱乾燥法などが挙げられる。
前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤における前記田七人参酸処理物の含有量としては、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化作用を奏することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤は、前記田七人参酸処理物そのものであってもよい。
<その他の成分>
前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤における前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、添加剤、補助剤、水などが挙げられる。
前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤における前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、添加剤、補助剤、水などが挙げられる。
前記添加剤又は前記補助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、殺菌剤、保存剤、粘結剤、増粘剤、固着剤、結合剤、着色剤、安定化剤、pH調整剤、緩衝剤、等張化剤、溶剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤、消泡剤、物性向上剤、防腐剤、ビタミン類、アミノ酸類、香料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記殺菌剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等のカチオン性界面活性剤などが挙げられる。
前記保存剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、クレゾールなどが挙げられる。
前記粘結剤、増粘剤、固着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、澱粉、デキストリン、マルチトール、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、キサンタンガム、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、エチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
前記結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸モノグリセリドなどが挙げられる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。
前記安定化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラガント、アラビアゴム、カンテン、ゼラチン、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、チオグリコール酸、チオ乳酸などが挙げられる。
前記pH調整剤及び前記緩衝剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
前記等張化剤としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが挙げられる。
前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<用途>
本発明の前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤は、天然物由来で安全性が高く、優れたカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化作用を有するため、アルツハイマー病の予防又は治療に好適に利用可能である。
また、後述する本発明の神経細胞死抑制剤、アミロイドβタンパク質分解促進剤、アルツハイマー病の予防剤又は治療剤などにも好適に利用可能である。
本発明の前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤は、天然物由来で安全性が高く、優れたカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化作用を有するため、アルツハイマー病の予防又は治療に好適に利用可能である。
また、後述する本発明の神経細胞死抑制剤、アミロイドβタンパク質分解促進剤、アルツハイマー病の予防剤又は治療剤などにも好適に利用可能である。
(神経細胞死抑制剤)
本発明の神経細胞死抑制剤は、本発明の前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。前記神経細胞死抑制剤は、神経細胞死に対して優れた抑制作用を有する。また、前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤は、田七人参由来であるため、副作用がなく安全性の高いものである点で有利である。
本発明の神経細胞死抑制剤は、本発明の前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。前記神経細胞死抑制剤は、神経細胞死に対して優れた抑制作用を有する。また、前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤は、田七人参由来であるため、副作用がなく安全性の高いものである点で有利である。
前記神経細胞死抑制剤における前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記神経細胞死抑制剤は、前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤そのものであってもよい。
前記神経細胞死抑制剤における前記その他成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤における前記その他の成分と同様のものなどが挙げられる。
前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
(アミロイドβタンパク質分解促進剤)
本発明のアミロイドβタンパク質分解促進剤は、本発明の前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。前記アミロイドβタンパク質分解促進剤は、優れたアミロイドβタンパク質の分解作用を有するため、アルツハイマー病の予防又は治療に使用できる。また、前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤は、田七人参由来であるため、副作用がなく安全性の高いものである点で有利である。
本発明のアミロイドβタンパク質分解促進剤は、本発明の前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。前記アミロイドβタンパク質分解促進剤は、優れたアミロイドβタンパク質の分解作用を有するため、アルツハイマー病の予防又は治療に使用できる。また、前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤は、田七人参由来であるため、副作用がなく安全性の高いものである点で有利である。
前記アミロイドβタンパク質分解促進剤における前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記アミロイドβタンパク質分解促進剤は、前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤そのものであってもよい。
前記アミロイドβタンパク質分解促進剤における前記その他成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤における前記その他の成分と同様のものなどが挙げられる。
前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
(アルツハイマー病の予防剤又は治療剤)
本発明のアルツハイマー病の予防剤又は治療剤は、本発明の前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。前記アルツハイマー病の予防剤又は治療剤は、優れたアミロイドβタンパク質の分解作用を有するため、アルツハイマー病の予防又は治療に使用できる。また、前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤は、田七人参由来であるため、副作用がなく安全性の高いものである点で有利である。
本発明のアルツハイマー病の予防剤又は治療剤は、本発明の前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。前記アルツハイマー病の予防剤又は治療剤は、優れたアミロイドβタンパク質の分解作用を有するため、アルツハイマー病の予防又は治療に使用できる。また、前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤は、田七人参由来であるため、副作用がなく安全性の高いものである点で有利である。
前記アルツハイマー病の予防剤又は治療剤における前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記アルツハイマー病の予防剤又は治療剤は、前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤そのものであってもよい。
前記アルツハイマー病の予防剤又は治療剤における前記その他成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤における前記その他の成分と同様のものなどが挙げられる。
前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<剤型>
前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、前記神経細胞死抑制剤、前記アミロイドβタンパク質分解促進剤、前記アルツハイマー病の予防剤又は治療剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口固形剤、経口半固形剤、経口液剤などが挙げられる。
前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、前記神経細胞死抑制剤、前記アミロイドβタンパク質分解促進剤、前記アルツハイマー病の予防剤又は治療剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口固形剤、経口半固形剤、経口液剤などが挙げられる。
−経口固形剤−
前記経口固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤、タブレット剤などが挙げられる。
前記経口固形剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記田七人参酸処理物又はカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、更に必要に応じて、前記その他の成分を加えることにより製造することができる。
前記経口固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤、タブレット剤などが挙げられる。
前記経口固形剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記田七人参酸処理物又はカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、更に必要に応じて、前記その他の成分を加えることにより製造することができる。
−経口半固形剤−
前記経口半分固形剤としては、液剤と固形剤の中間に位置するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、舐剤、チューインガム剤、ホイップ剤、ゼリー剤などが挙げられる。
前記経口半固形剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記田七人参酸処理物又はカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、更に必要に応じて、前記その他の成分を加えることにより製造することができる。
前記経口半分固形剤としては、液剤と固形剤の中間に位置するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、舐剤、チューインガム剤、ホイップ剤、ゼリー剤などが挙げられる。
前記経口半固形剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記田七人参酸処理物又はカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、更に必要に応じて、前記その他の成分を加えることにより製造することができる。
−経口液剤−
前記経口液剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤などが挙げられる。
前記経口液剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記田七人参酸処理物又はカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、更に必要に応じて、前記その他の成分を加えることにより製造することができる。
前記経口液剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤などが挙げられる。
前記経口液剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記田七人参酸処理物又はカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、更に必要に応じて、前記その他の成分を加えることにより製造することができる。
<飲食品>
前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、前記神経細胞死抑制剤、前記アミロイドβタンパク質分解促進剤、前記アルツハイマー病の予防剤又は治療剤は、飲食品として摂取されてもよい。
本発明において、前記飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品などの区分に制限されるものではなく、例えば、経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものを意味する。
前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、前記神経細胞死抑制剤、前記アミロイドβタンパク質分解促進剤、前記アルツハイマー病の予防剤又は治療剤は、飲食品として摂取されてもよい。
本発明において、前記飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品などの区分に制限されるものではなく、例えば、経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものを意味する。
前記飲食品における前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、前記神経細胞死抑制剤、前記アミロイドβタンパク質分解促進剤、前記アルツハイマー病の予防剤又は治療剤の配合量としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、対象となる飲食品の種類に応じて適宜配合することができる。また、前記飲食品は、前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、前記神経細胞死抑制剤、前記アミロイドβタンパク質分解促進剤、前記アルツハイマー病の予防剤又は治療剤そのものであってもよい。
前記飲食品の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、餃子の皮、シュウマイの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、鰻丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;種々の形態の健康食品、栄養補助食品、医薬品、医薬部外品などが挙げられる。
<摂取>
前記前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、前記神経細胞死抑制剤、前記アミロイドβタンパク質分解促進剤、前記アルツハイマー病の予防剤又は治療剤の摂取方法、摂取量、摂取回数、摂取時期、及び摂取対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記摂取方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、経口で摂取する方法が、容易に摂取でき継続して摂取しやすい点で好ましい。
前記摂取量としては、特に制限はなく、摂取対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
前記摂取対象となる動物種としては、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター、トリ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタ、サルなどに対して適用することも可能である。
前記前記カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤、前記神経細胞死抑制剤、前記アミロイドβタンパク質分解促進剤、前記アルツハイマー病の予防剤又は治療剤の摂取方法、摂取量、摂取回数、摂取時期、及び摂取対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記摂取方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、経口で摂取する方法が、容易に摂取でき継続して摂取しやすい点で好ましい。
前記摂取量としては、特に制限はなく、摂取対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
前記摂取対象となる動物種としては、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター、トリ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタ、サルなどに対して適用することも可能である。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
<田七人参酸処理物の製造>
田七人参粉末(松浦薬業株式会社製)1kgを、5.9質量%塩酸(2mol/L塩酸)を含む25質量%エタノール水溶液10Lに懸濁し、ゆっくり攪拌しながら80℃にて6時間反応させた。次いで、この反応液を氷上で冷却した後、5mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH7.0に調整した。次いで、前記pH調整後の溶液を蒸留水で10倍に希釈し、吸引濾過し、濾液と残渣に濾別した。得られた残渣を凍結乾燥し、180gの田七人参酸処理物を得た。
得られた田七人参酸処理物におけるパナキサトリオール(PT)及びパナキサジオール(PD)の含有量を以下の方法で測定したところ、PTは、5.0質量%であり、PDは、5.5質量%であった。
<田七人参酸処理物の製造>
田七人参粉末(松浦薬業株式会社製)1kgを、5.9質量%塩酸(2mol/L塩酸)を含む25質量%エタノール水溶液10Lに懸濁し、ゆっくり攪拌しながら80℃にて6時間反応させた。次いで、この反応液を氷上で冷却した後、5mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH7.0に調整した。次いで、前記pH調整後の溶液を蒸留水で10倍に希釈し、吸引濾過し、濾液と残渣に濾別した。得られた残渣を凍結乾燥し、180gの田七人参酸処理物を得た。
得られた田七人参酸処理物におけるパナキサトリオール(PT)及びパナキサジオール(PD)の含有量を以下の方法で測定したところ、PTは、5.0質量%であり、PDは、5.5質量%であった。
<<PT及びPDの分析>>
田七人参酸処理物約0.1gを精密に量り、エタノール(純度99.5容量%)約8mLを加え、超音波槽を用いて15分間懸濁した。約700×gで10分間遠心分離した後、上清にエタノール(純度99.5容量%)を加えて正確に10mLとした。この液につき、下記の条件でガスクロマトグラフィーにより測定した。なお、下記条件におけるPTの保持時間は約29分間であり、PDの保持時間は約18分間であった。
[分析条件]
ガスクロマトグラフ : GC353B(GLサイエンス社製)
検出器 : 水素炎イオン化検出器(FID)
注入法 : スプリット注入法(スプリット比 1:50)
カラム : DB−17MS(長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm、アジレント・テクノロジー株式会社製)
カラム温度 : 初期温度:310℃
初期温度保持時間:20分間
昇温速度:10℃/分間
到達温度:320℃
到達温度保持時間:14分間
キャリヤーガス : ヘリウム
流量 : 1.5mL/分間
注入口温度 : 320℃
検出器温度 : 320℃
注入量 : 1μL
田七人参酸処理物約0.1gを精密に量り、エタノール(純度99.5容量%)約8mLを加え、超音波槽を用いて15分間懸濁した。約700×gで10分間遠心分離した後、上清にエタノール(純度99.5容量%)を加えて正確に10mLとした。この液につき、下記の条件でガスクロマトグラフィーにより測定した。なお、下記条件におけるPTの保持時間は約29分間であり、PDの保持時間は約18分間であった。
[分析条件]
ガスクロマトグラフ : GC353B(GLサイエンス社製)
検出器 : 水素炎イオン化検出器(FID)
注入法 : スプリット注入法(スプリット比 1:50)
カラム : DB−17MS(長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm、アジレント・テクノロジー株式会社製)
カラム温度 : 初期温度:310℃
初期温度保持時間:20分間
昇温速度:10℃/分間
到達温度:320℃
到達温度保持時間:14分間
キャリヤーガス : ヘリウム
流量 : 1.5mL/分間
注入口温度 : 320℃
検出器温度 : 320℃
注入量 : 1μL
パナキサトリオールの標準品(LKTラボラトリーズ社製)及びパナキサジオールの標準品(LKTラボラトリーズ社製)を、それぞれ1mg/mL、0.5mg/mL、及び0.1mg/mLに調製し、検量線用標準溶液を作製した。この検量線用標準溶液をそれぞれ1μL用いて前記同様の分析条件でガスクロマトグラフィーにより測定した。それぞれのピーク面積を測定し、各検量線用標準溶液のピーク面積及び濃度から検量線を作成した。この検量線を用いて、前記田七人参酸処理物におけるPT及びPDの含有量を測定した。
(比較製造例1)
<田七人参非酸処理物の製造>
田七人参粉末(松浦薬業株式会社製)1kgを、25質量%エタノール水溶液10Lに懸濁し、ゆっくり攪拌しながら80℃にて6時間反応させた。次いで、この反応液を蒸留水で10倍に希釈し、吸引濾過し、濾液と残渣に濾別した。得られた残渣を凍結乾燥し、約180gのサポニンを含む田七人参非酸処理物を得た。
得られた田七人参非酸処理物におけるパナキサトリオール(PT)及びパナキサジオール(PD)の含有量を製造例1と同様の方法で測定したところ、PT及びPDは、いずれも検出されなかった。
<田七人参非酸処理物の製造>
田七人参粉末(松浦薬業株式会社製)1kgを、25質量%エタノール水溶液10Lに懸濁し、ゆっくり攪拌しながら80℃にて6時間反応させた。次いで、この反応液を蒸留水で10倍に希釈し、吸引濾過し、濾液と残渣に濾別した。得られた残渣を凍結乾燥し、約180gのサポニンを含む田七人参非酸処理物を得た。
得られた田七人参非酸処理物におけるパナキサトリオール(PT)及びパナキサジオール(PD)の含有量を製造例1と同様の方法で測定したところ、PT及びPDは、いずれも検出されなかった。
(実施例1)
<酸処理物投与群>
高脂肪食(QuickFat、日本クレア株式会社製)に、製造例1で製造した田七人参酸処理物を1質量%含有する混餌を作製した。これを5日間予備飼育したKK−Ay/TaJc1マウス(5週齢、オス、n=3、日本クレア株式会社より入手)に6ヶ月間自由摂取させた(以下、「酸処理物投与群」と称することがある)。なお、この際、水も自由摂取させた。
<酸処理物投与群>
高脂肪食(QuickFat、日本クレア株式会社製)に、製造例1で製造した田七人参酸処理物を1質量%含有する混餌を作製した。これを5日間予備飼育したKK−Ay/TaJc1マウス(5週齢、オス、n=3、日本クレア株式会社より入手)に6ヶ月間自由摂取させた(以下、「酸処理物投与群」と称することがある)。なお、この際、水も自由摂取させた。
(比較例1)
<非酸処理物投与群>
高脂肪食(QuickFat、日本クレア株式会社製)に、比較製造例1で製造した田七人参非酸処理物を1質量%含有する混餌を作製した。これを5日間予備飼育したKK−Ay/TaJc1マウス(5週齢、オス、n=3、日本クレア株式会社より入手)に6ヶ月間自由摂取させた(以下、「非酸処理物投与群」と称することがある)。なお、この際、水も自由摂取させた。
<非酸処理物投与群>
高脂肪食(QuickFat、日本クレア株式会社製)に、比較製造例1で製造した田七人参非酸処理物を1質量%含有する混餌を作製した。これを5日間予備飼育したKK−Ay/TaJc1マウス(5週齢、オス、n=3、日本クレア株式会社より入手)に6ヶ月間自由摂取させた(以下、「非酸処理物投与群」と称することがある)。なお、この際、水も自由摂取させた。
(比較例2)
<対照群>
高脂肪食(QuickFat、日本クレア株式会社製)を、5日間予備飼育したKK−Ay/TaJc1マウス(5週齢、オス、n=3、日本クレア株式会社より入手)に6ヶ月間自由摂取させた(以下、「対照群」と称することがある)。なお、この際、水も自由摂取させた。
<対照群>
高脂肪食(QuickFat、日本クレア株式会社製)を、5日間予備飼育したKK−Ay/TaJc1マウス(5週齢、オス、n=3、日本クレア株式会社より入手)に6ヶ月間自由摂取させた(以下、「対照群」と称することがある)。なお、この際、水も自由摂取させた。
(試験例1)
実施例1、比較例1及び2について、6ヶ月間経過後、各投与群のマウスの脳を摘出し、摘出脳を速やかにRNAlater(Ambion社製)に浸漬し、RNeasy(QIAGEN社製)を用いてmRNAを抽出した。1群(n=3)のmRNAを集め、以下の条件でDNAアレイ(GeneChip(登録商標)miRNA Array、Affymetrix社製)による解析を行った。
DNAアレイは、Affymetrix社のプロトコルに従ってGeneChip工程及びArrayのスキャンを実施した。Chipは、Mouse genome Array 430 2.0を用いた。また、スキャンの際は、GeneChip 3000 Scannerを用いて画像データを取得し、GeneChipデータ解析システムGCOS(GeneChip Operating Software)を用いて、取得した各サンプルのArray画像データを確認した。また、GeneChipデータ解析ソフトウェアExpression Consoleを用いて遺伝子発現量を数値として抽出した。更に、GCOSを用いて、酸処理物投与群と対照群、又は非酸処理物投与群と対照群とでComparison Analysisを実施し、下記式(1)又は(2)により変動倍率を算出した。
変動倍率=log2〔酸処理物投与群(実施例1)のシグナル/対照群(比較例2)のシグナル〕 ・・・式(1)
変動倍率=log2〔非酸処理物投与群(比較例1)のシグナル/対照群(比較例2)のシグナル〕 ・・・式(2)
実施例1、比較例1及び2について、6ヶ月間経過後、各投与群のマウスの脳を摘出し、摘出脳を速やかにRNAlater(Ambion社製)に浸漬し、RNeasy(QIAGEN社製)を用いてmRNAを抽出した。1群(n=3)のmRNAを集め、以下の条件でDNAアレイ(GeneChip(登録商標)miRNA Array、Affymetrix社製)による解析を行った。
DNAアレイは、Affymetrix社のプロトコルに従ってGeneChip工程及びArrayのスキャンを実施した。Chipは、Mouse genome Array 430 2.0を用いた。また、スキャンの際は、GeneChip 3000 Scannerを用いて画像データを取得し、GeneChipデータ解析システムGCOS(GeneChip Operating Software)を用いて、取得した各サンプルのArray画像データを確認した。また、GeneChipデータ解析ソフトウェアExpression Consoleを用いて遺伝子発現量を数値として抽出した。更に、GCOSを用いて、酸処理物投与群と対照群、又は非酸処理物投与群と対照群とでComparison Analysisを実施し、下記式(1)又は(2)により変動倍率を算出した。
変動倍率=log2〔酸処理物投与群(実施例1)のシグナル/対照群(比較例2)のシグナル〕 ・・・式(1)
変動倍率=log2〔非酸処理物投与群(比較例1)のシグナル/対照群(比較例2)のシグナル〕 ・・・式(2)
試験例1の結果、酸処理物投与群(実施例1)において、DNAアレイ中の3万〜4万の遺伝子の中で、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子のみに変動が認められ、前記式(1)で算出した変動倍率は4.8であった。即ち、酸処理物投与群におけるカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子の発現量は、対照群と比較して28倍に増加していた。一方、非酸処理物投与群では、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子及びその他の遺伝子に変動は認められなかった。結果を下記表1にまとめて示す。
この結果は、田七人参酸処理物が、アルツハイマー病発症、特に糖尿病乃至高血糖によるアルツハイマー病発症のリスクを低減する作用を有することを強く示唆している。
この結果は、田七人参酸処理物が、アルツハイマー病発症、特に糖尿病乃至高血糖によるアルツハイマー病発症のリスクを低減する作用を有することを強く示唆している。
本発明のカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤は、天然物由来で安全性が高く、飲食品としても使用でき、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子に対して優れた活性化作用を有する。そのため、アルツハイマー病の予防又は治療に好適に利用できる。
Claims (4)
- 田七人参の酸処理物を有効成分として含有し、カルボキシペプチダーゼ2B遺伝子を活性化することを特徴とするカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤。
- 請求項1に記載のカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、神経細胞死を抑制することを特徴とする神経細胞死抑制剤。
- 請求項1に記載のカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、アミロイドβタンパク質の分解を促進することを特徴とするアミロイドβタンパク質分解促進剤。
- 請求項1に記載のカルボキシペプチダーゼ2B遺伝子活性化剤を有効成分として含有し、アルツハイマー病を予防又は治療することを特徴とするアルツハイマー病の予防剤又は治療剤。
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JP2011256187A (ja) * | 2009-06-30 | 2011-12-22 | Lion Corp | 糖代謝改善組成物 |
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2011
- 2011-12-28 JP JP2011289470A patent/JP2013139393A/ja active Pending
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