JP2013138703A - ゴルフクラブシャフト及びゴルフクラブ - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴルフクラブの重心位置を最適化して振り易さを向上させるとともに、シャフト強度や剛性を高める。
【解決手段】ゴルフクラブ1に用いられるゴルフクラブシャフト2である。繊維強化樹脂からなり筒状で軸方向にのびるシャフト本体5と、該シャフト本体5よりも比重が大きい高比重材料からなりかつ前記シャフト本体5と同軸状に配され一体化された円管状の補強部材6とを含む。しかも前記補強部材6の外周面7b及び/又は内周面7aには、小高さで突出するリブ9が形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ゴルフクラブの重心位置を最適化して振り易さを向上させるとともに、シャフト強度や剛性を高め得るゴルフクラブシャフト及びゴルフクラブに関する。
近年、ゴルフクラブシャフトの主要部をなすシャフト本体に、前記シャフト本体よりも比重の大きい高比重部材を取り付けたゴルフクラブシャフトが開発されている(例えば、下記特許文献1及び2参照)。このようなゴルフクラブシャフトは、高比重部材の質量や配設位置を調節することにより、ゴルフクラブの重心位置を容易に変化させることができる。
特開平07−116289号公報 特開平10−309334号公報
しかしながら、上述のゴルフクラブシャフトは、シャフト本体と高比重部材との材質が異なるため、両者の接合強度が確保され難かった。また従来の高比重部材では、限られた重量の中で、ゴルフクラブシャフトの強度や剛性を高めるには不十分であった。
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、シャフト本体と、該シャフト本体よりも比重が大きくかつ前記シャフト本体と一体化された補強部材とを含むとともに、前記補強部材の外周面又は内周面にリブを形成することを基本として、ゴルフクラブの重心位置を最適化してゴルフクラブの振り易さを向上させるとともに、ゴルフクラブシャフトの強度や剛性を高めて、耐久性を向上させ得るゴルフクラブシャフト及びゴルフクラブを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、ゴルフクラブに用いられるゴルフクラブシャフトであって、繊維強化樹脂からなり筒状で軸方向にのびるシャフト本体と、該シャフト本体よりも比重が大きい高比重材料からなりかつ前記シャフト本体と同軸状に配され一体化された円管状の補強部材とを含み、しかも前記補強部材の外周面及び/又は内周面には、小高さで突出するリブが形成されていることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記補強部材は、前記シャフト本体に外挿されている請求項1記載のゴルフクラブシャフトである。
また請求項3記載の発明は、前記補強部材は、前記シャフト本体からはみ出すことなく埋設されている請求項1記載のゴルフクラブシャフトである。
また請求項4記載の発明は、前記リブは、前記補強部材の内周面及び外周面に形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフクラブシャフトである。
また請求項5記載の発明は、前記内周面に形成された内側リブのシャフト本体の軸方向に対する角度θ1は、前記外周面に形成された外側リブのシャフト本体の軸方向に対する角度θ2と異なる請求項1乃至4のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフトである。
また請求項6記載の発明は、前記リブは、シャフト本体の軸方向に対して40〜50゜の角度で傾斜する第1傾斜リブと、前記第1傾斜リブと逆方向かつシャフト本体の軸方向に対して40〜50゜の角度で傾斜して前記第1傾斜リブと交差する第2傾斜リブとからなる交差リブを含み、前記内側面又は前記外側面の一方に前記交差リブ部が形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載のゴルフクラブシャフトである。
また請求項7記載の発明は、前記リブは、シャフト本体の軸方向との角度の絶対値が10゜以下でのびるストレートリブを含み、前記内側面又は前記外側面の一方に前記ストレートリブが形成されている請求項1乃至6のいずれかに記載のゴルフクラブシャフトである。
また請求項8記載の発明は、前記リブは、シャフト本体の軸方向との角度の絶対値が80゜以上のラジアルリブを含み、前記内側面又は前記外側面の一方に前記ラジアルリブが形成されている請求項1乃至7のいずれかに記載のゴルフクラブシャフトである。
また請求項9記載の発明は、前記補強部材は、樹脂又は金属材料からなり、軸方向に沿った割面で分割された一対の縦割管を接合することにより円管状に形成される請求項1乃至8のいずれかに記載のゴルフクラブシャフトである。
また請求項10記載の発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載のゴルフクラブシャフトと、該ゴルフクラブシャフトの一端部に固着されたゴルフクラブヘッドとを含むゴルフクラブである。
本発明のゴルフクラブシャフトは、繊維強化樹脂からなり筒状で軸方向にのびるシャフト本体と、該シャフト本体よりも比重が大きい高比重材料からなりかつ前記シャフト本体と同軸状に配され一体化された円管状の補強部材とを含む。このようなゴルフクラブシャフトは、高比重材料の配設位置や質量を調節することによりゴルフクラブの重心位置を最適化することができる。従って、本発明のゴルフクラブシャフトは、使用者に応じてゴルフクラブの振り易さを向上させる。
また、前記補強部材の外周面及び/又は内周面には、小高さで突出するリブが形成される。このようなリブが形成された補強部材は、曲げ及び/又はねじり剛性が高いため、シャフトの強度及び剛性を少ない重量で高め得る。また、リブはシャフト本体と接触することによって、接合強度を高めるため、シャフトの耐久性が向上する。
(a)は、本発明の一実施形態のゴルフクラブの正面図、(b)は、(a)のX−X部の断面拡大図である。 一実施形態の補強部材の斜視図である。 (a)乃至(c)は、リブの形状を説明する円管部の展開図である。 他の実施形態の補強部材の斜視図である。 (a)は、本発明の他の実施形態のゴルフクラブの正面図、(b)は、(a)のY−Y部の断面拡大図である。 本実施形態のシャフトを構成するプリプレグの展開図である。 (a)乃至(c)は、本実施形態のシャフトの製造方法を説明する概略図である。 (a)は、本実施形態のシャフトの製造方法を説明する概略図、(b)は、他の実施形態のシャフトの製造方法を説明する概略図である。 シャフトの3点曲げ強度の測定方法を説明する線図である。 シャフトのねじり剛性値の測定方法を説明する線図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1(a)には、本実施形態のゴルフクラブシャフト(以下、単に「シャフト」又は「クラブシャフト」ということがある。)2を装着した、例えばウッド型ゴルフクラブ(以下、単に「ゴルフクラブ」又は「クラブ」ということがある。)1の正面図を示す。なお、本実施形態のシャフト2は、ウッド型ゴルフクラブのみに用いられるものではなく、アイアン型ゴルフクラブやユーティリティー型ゴルフクラブなどに用いられる。
前記ゴルフクラブ1は、シャフト2と、その先端2a側(TIP側)に装着されたゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」又は「クラブヘッド」ということがある。)3と、前記シャフト2の後端2b側(BUTT側)に装着されたグリップ4とから構成されている。
前記ヘッド3は、ウッド型の場合、その主要部が例えばアルミニウム合金、チタン、チタン合金又はステンレスのような金属材料で作られた中空構造をなし、例えば150〜470cm3 の体積と、180〜250g程度の重量とを有するものが好ましい。なおヘッド3の一部が、繊維強化樹脂などの非金属材料で構成されても良いのは言うまでもない。
前記グリップ4は、ラバーグリップ、樹脂グリップ又はレザーグリップなど慣例に従い各種のものが採用される。
前記シャフト2は、前記後端2bから前記先端2aに向かって外径が減じられたテーパ状でかつ断面円形のパイプ体として形成される。
シャフト2の質量Wは、ゴルフクラブ1としての振り易さを確保する観点から、55〜120gに設定されるのが望ましい。同様に、シャフト2の長さL1は、30〜50インチに設定されるのが望ましい。
本実施形態のシャフト2は、図1(a)及びそのX−X断面である図1(b)に示されるように、繊維強化樹脂からなり筒状で軸方向にのびるシャフト本体5と、該シャフト本体5よりも比重が大きい高比重材料からなりかつシャフト本体5と同軸状に配され一体化された補強部材6とを含んで構成される。このようなゴルフクラブシャフトは、補強部材6の配設位置や質量を調節することによって、ゴルフクラブの重心位置を使用者に応じて最適化でき、振り易さを向上させる。なお、前記「同軸状に配され」とは、シャフト本体5の中心軸5cと補強部材6の長手方向の中心軸6cとが完全に一致して配される場合は勿論、両者が偏心しつつも前記中心軸5cと補強部材6の中心軸6cとの最短距離(図示せず)が2mm以内で配される態様を少なくとも含む。
繊維強化樹脂のシャフト本体5は、スチール製のシャフトに比べて軽量であり、補強部材6の配設位置や質量を変化させることにより容易にゴルフクラブの重心位置を変化させることができる。このような繊維強化樹脂からなるシャフト2は、例えばシートワインディング製法、フィラメントワインディング製法又は内圧成型法等、慣例に従って各種の製造方法にて容易に成形される。
繊維強化樹脂に用いられる強化繊維としては、例えば炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維又はアルミナ繊維等の無機繊維、ポリエチレン又はポリアミド等の有機繊維、さらには金属繊維が挙げられ、これらの1種又は複数種類の繊維を用いることができる。とりわけ、シャフトの軽量化や強度向上の観点より、引張弾性率が235GPa以上の炭素繊維が好ましい。
また、繊維強化樹脂に用いられる樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂又はケイ素樹脂等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂又はフッ素樹脂が挙げられる。
図1及び2に示されるように、前記補強部材6は、前記シャフト本体5の長手方向に円管状にのびかつ中心軸6c方向を向く内周面7aと、シャフト外側を向く外周面7bとを有する円管部7、及び、前記内周面7a及び/又は外周面7bから小高さで突出するリブ9を含んで形成される。このような補強部材6は、リブ9が形成されることにより、曲げ及び/又はねじり剛性が高くなるため、シャフト2の強度及び剛性を少ない重量で高め得る。また、リブ9は、シャフト本体5と接触することによって、接合強度を高めるためシャフト2の耐久性を向上させる。
前記円管部7は、本実施形態では、均一な厚さt1で形成され、かつ前記内周面7a及び外周面7bは、滑らかな曲面で形成されている。これにより、補強部材6の剛性がさらにバランス良く高められる。円管部7の厚さt1は、補強部材6の剛性とシャフト本体5の剛性とをバランス良く確保する観点より、シャフト2の厚さt2(図1(b)に示す)の好ましくは10〜80%が望ましい。
本実施形態の補強部材6は、内周面7aには、補強部材6の中心軸6c方向に小高さで突出する内側リブ10が形成される。また、外周面7bには、外側に小高さで突出する外側リブ11が形成される。このような補強部材6は、剛性や強度が一層高められ、シャフト2の耐久性を向上し得る他、シャフト本体5との接合強度を高める。
なお、前記「小高さ」としては、内周面7a又は外周面7bからリブ9の最大高さH1が、円管部7の前記厚さt1の10〜100%の範囲のものが好ましい。即ち、リブ9の前記最大高さH1が小さくなると、シャフト本体5との接合強度を高める効果が低下するおそれがあり、逆に大きくなると、補強部材6の剛性が小さくなり、シャフト2の強度が低下するおそれがある。
図3(a)及び(b)には、補強部材6の軸方向を上下にした部分展開図である。補強部材6は、内側リブ10のシャフト本体5の軸方向に対する角度θ1が、前記外周面7bに形成された外側リブ11のシャフト本体5の軸方向に対する角度θ2と異なるのが望ましい。これにより、シャフト2の異なる方向からの負荷に対する強度や剛性が高められ、耐久性がバランス良く向上する。なお、角度θ1とθ2との差の絶対値|θ1−θ2|が小さいと上述の作用が発揮できない。このため、前記絶対値|θ1−θ2|は、少なくとも30°以上が望ましい。
本実施形態の内側リブ10は、図3(a)に示されるように、シャフト本体5の軸方向の角度θ1の絶対値が10゜以下でのびるストレートリブSrとして形成される。このようなストレートリブSrは、曲げ剛性が高いため、ゴルフクラブの振り遅れを抑制して、振り易ささらにを向上させる。
また、本実施形態の外側リブ11は、図3(b)に示されるように、シャフト本体5の軸方向に対して40〜50゜の角度θ2aで傾斜する第1傾斜リブKr1と、該第1傾斜リブKr1と逆方向かつシャフト本体5の軸方向に対して40〜50゜の角度θ2bで傾斜して前記第1傾斜リブKr1と交差する第2傾斜リブKr2とが等ピッチで設けられ、これにより略網目状の交差リブ部Krが形成される。このような交差リブ部Krは、シャフト2のねじり剛性や曲げ剛性が効果的に高められ、バランス良く耐久性が向上する。また、交差リブ部Krは、シャフト本体5との接触面積が大きいため、シャフト本体5と補強部材6との接合強度をさらに高める。
図4には、補強部材6の他の実施形態が示される。この補強部材6では、外側リブ11は、交差リブ部Krとして形成されている。他方、内側リブ10は、補強部材6の円周方向にのびるラジアルリブRrとして形成される。このようなラジアルリブRrは、補強部材6のラジアル方向の剛性を高めるため、シャフト2のねじれ剛性を高める。このため、本実施形態のラジアルリブRrは、図3(c)に示されるように、シャフト本体5の軸方向との角度θ3の絶対値が80゜以上で形成されるのが望ましい。
なお、本実施形態の補強部材6の内側リブ10、外側リブ11は、このような態様に限定されるものではなく、交差リブ部Kr、ストレートリブSr及びラジアルリブRrが夫々内側リブ10及び外側リブ11を構成するものでもよい。なお、上述の通り、補強部材6は、内側リブ10及び外側リブ11の形状が異なるのが望ましい。
本実施形態の補強部材6は、図1(b)に示されるように、シャフト本体5からはみ出すことなく埋設されている。即ち、補強部材6の表面6eは、シャフト本体5によって、完全に被覆されている。これにより、補強部材6とシャフト本体5との界面摩擦が大きく作用し接合強度が高められ、シャフト2の強度や剛性が向上する。このように、シャフト2の強度や剛性が向上すると、打撃時のゴルフクラブヘッド3の向きが安定するため、打球の方向安定性や飛距離の低下が抑制される。
また、図5(a)及びそのY−Y断面である図5(b)には、他の実施形態のゴルフクラブシャフト2が示される。この実施形態では、補強部材6がシャフト本体5に外挿され、補強部材6の外周面7bとシャフト本体5の表面5aとが面一に仕上げられている。また、本実施形態では、シャフト2の美感を確保するため、外側リブ11を設けずに、内側リブ10のみ設けられている。なお、内側リブ10は、上述の交差リブ部Kr、ストレートリブSr及びラジアルリブRrのいずれをも採用することができるが、シャフト2のねじり剛性や曲げ剛性を効果的に高めるため、交差リブ部Krであるのが望ましい。なお、補強部材6は、図5の態様とは逆に、シャフト本体5に内挿される態様でも良い(図示せず)。
本実施形態のリブ9は、断面略矩形状に形成される。このようなリブ9は、シャフト本体5との接触面積や界面摩擦を大きく確保して、接合強度を高め得る。また、同様の観点より、図3に示されるように、リブ9の幅W1は、0.1〜2.0mmが望ましく、リブ9の配設ピッチPrは、0.2〜5.0mmが望ましい。なお、リブ9の形状は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、断面略三角状や、断面略半円状に形成されるものでも良い。
以上のような補強部材6は、シャフト本体5との接合強度を確保する他、ゴルフクラブの重心位置を大きく変化させる観点から、樹脂又は金属材料、とりわけ金属材料からなるの望ましい。このような補強部材6として、金属材料では、例えばタングステン、タングステン合金、銅合金、ニッケル合金などが望ましく、とりわけ、比重調整性に優れるタングステン合金が望ましい。また、樹脂では、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート等が望ましい。
本実施形態では、補強部材6の円管部7とリブ9とが、同一の材料かつ一体に成形されている。これにより、さらに補強部材6の曲げやねじり剛性が大きく確保される。このような補強部材6は、例えば鋳造、インジェクション成型、又は、削り出し加工によって製造される。
また、補強部材6の比重S1は、1.5〜15が望ましい。即ち、前記比重S1が小さくなると、シャフト本体5の比重S2との差が小さくなり、ゴルフクラブの重心位置を変化が小さくなるため、振り易さを向上できないおそれがある。逆に、前記比重S1が大きくなると、製造コストが高くなる他、重量調整やシャフト本体5との接合が困難になるというおそれがある。このため、より好ましくは、比重S1と比重S2との比S1/S2が10〜15であるのが望ましい。
同様の観点より、補強部材6の質量は、3〜20gが望ましく、補強部材6のシャフト2方向の長さLaは、15〜200mmが望ましい。また、図1(a)に示されるように、補強部材6の配設位置は、ゴルフクラブの振り易さを向上するために、シャフト2の後端2bと補強部材6の後端6bとの距離L2が、400mm以内の手元側領域に設けられるのが望ましい。
次に、補強部材6が一体化された本実施形態のシャフト2の製造方法が説明される。図6に示されるように、シャフト2は、例えば複数種類のプリプレグP1〜P2(これらを総称するとき、単に「プリプレグP」と呼ぶ。)を用いて製造される。前記プリプレグPは、平行に引き揃えられた強化繊維fを未硬化樹脂に含浸させて固めたシート状の複合材である。また、補強部材6は、予め各製造方法によって準備されている。
まず、図7(a)に示されるように、芯材となるマンドレル15に例えば膨張可能なブラダ16を被せ、そのブラダ16の外側に、複数層のプリプレグP1を巻つける。
次に、巻つけられたプリプレグP1の補強部材6を固定する所定位置に接着剤を塗布、又は補強部材6を固定するための接着用プリブレグ(図示せず)をプリプレグP1の外側に配置し、補強部材6をマンドレル15の軸方向の一方側から挿入するとともに、補強部材6をプリプレグP1又は接着用プリプレグに固着させて予備成形体N1を形成する(図7(b))。なお、このとき、図7(c)に示されるように、軸方向に沿った割面6pで分割(本実施形態では2分割)された一対の縦割管6t、6tからなる補強部材6をプリプレグP1上にて嵌合して接着剤によって固着する態様でも良い。このような縦割管6tは、インジェクション形成により製造される樹脂からなるものが望ましい。また、補強部材6の剛性を確保する観点から、割面6pは、ストレートリブSr上又はリブ9が形成されていない外周面7b上に設けるのが望ましい。
次に、図8(a)に示されるように、この予備成形体N1の外側に、さらに複数層のプリプレグP2を巻付ける。このようにしてプリプレグPと補強部材6とからなる成形体N2がマンドリル15上に成形される。
次いで、図8(b)に示されるように成形体N2をモールド金型17のキャビティ17k内に装着し、その後、ブラダ16の内部に高圧流体を充填するとともに、圧力と熱を作用させながら所定形状に硬化させることにより、シャフト本体5と補強部材6が一体化される。最後に、ブラダ16を減圧してマンドレル15とブラダ16を抜き取り、ゴルフシャフト2の成形品が完成する。
なお、図1(a)に示されるように、シャフト2の美感上、補強部材6が設けられるシャフト2の表面2dと、補強部材6が設けられないシャフト2の表面2eとを段差なく滑らかに接続するため、例えば、補強部材6が設けられる領域を切欠いたプリプレグ(図示せず)を用いてシャフト2が製造されても良いのは言うまでもない。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定させることなく、必要に応じて種々の態様に変更しうる。
本発明の効果を確認するために、図1乃至5に基づいたゴルフクラブシャフトが試作され、3点曲げ強度及びねじり剛性値GIについてテストがされた。次に、このシャフトの一端部に同一形状のゴルフクラブヘッドを固着したゴルフクラブ(ドライバー)が製造され、そして、このゴルフクラブについて、打球の方向安定性、飛距離及び振り易さについてテストされた。ヘッドの質量、グリップの質量及びゴルフクラブの総質量など、表1に示すパラメータ以外はすべて同一である。主な共通仕様は次の通りである。
シャフト質量:60g
シャフト長さ:45インチ
シャフト本体の強化繊維:カーボン
シャフト本体の樹脂:エポキシ
シャフトの厚さt2:2.0mm
補強部材の材料:タングステン合金
円管部の厚さt1/t2:50%
リブの高さH1/t1:35%
リブのピッチPr:2.0mm
リブの幅W1:0.5mm
ヘッド質量:195g
テスト方法は、次の通りである。
<3点曲げ強度>
図9には、製品安全協会が定めるSG式3点曲げ試験の概要が示される。本図に示されるように、2つの支持点e1、e2においてシャフトを下方から支持しつつ、測定点である荷重点e3において、圧子Uを20mm/minの速さで下降させ、シャフトが破損したときの荷重Fの値(ピーク値)が測定された。なお、2つの支持点e1、e2間の距離Tは、300mmである。荷重点e3と後端2bとの距離L3は、175mmであって、支持点e1と支持点e2とを二等分する位置である。数値が大きいほど曲げ剛性が高く良好である。
<ねじり剛性値GI>
図10には、シャフトのねじり剛性値GIの測定方法が示される。先ず、シャフトが第1治具M1と第2治具M2とで把持される。この際、ねじり剛性測定位置P1が、第1治具M1と第2治具M2との中間位置となるようにセットされる。次に、第2治具M2に、13.9kgf ・cmのトルクTrを作用させてシャフト3が捻られ、このときのシャフト3の捻れ角θが測定される。そして、GI=Tr/(θ/L)にてねじり剛性値が測定される。ここで、θは捻れ角(rad)、Lは第1、第2治具M1、M2の間隔である。また、把持圧力は、それぞれ2.0kgf/cm2及び1.5kgf/cm2、前記測定位置P1は、シャフトの後端2bから300mmである。本テストでは数値が小さい程良好である。
<打球の方向安定性及び飛距離>
ハンディキャップ4〜15の右打ちゴルファ20名が、各クラブで20球ずつゴルフボールを打球した。打球の方向安定性は、上記20名のテスターによる官能により評価された。基準は以下の通りである。また、打球の飛距離の平均値が計算され、以下の評価基準で評価された。表1には20名の平均値が四捨五入して示される。数値が大きいほど良好である。
〈打球の方向安定性の評価基準〉
5:非常に方向安定性が良い
4:やや方向安定性が良い
3:普通
2:やや方向安定性が悪い
1:方向安定性が悪い
〈打球の飛距離の評価基準〉
5:比較例1の飛距離の3%を超えて増加
4:比較例1の飛距離の1〜3%増加
3:比較例1の飛距離の±1%増加
2:比較例1の飛距離の1〜3%減少
1:比較例1の飛距離の3%を超えて減少
<操作性(振り易さ)>
上記20名のゴルファの官能により、以下の評価基準で評価された。その平均点が四捨五入して示される。数値が大きいほうが良好である。
〈操作性の評価基準〉
5:非常に振り易い
4:やや振り易い
3:普通
2:やや振り難い
1:非常に振り難い
テストの結果などを表1に示す。
Figure 2013138703
Figure 2013138703
テストの結果、実施例は、比較例に比して各テスト結果がバランス良く向上していることが理解できる。
1 ゴルフクラブ
2 ゴルフクラブシャフト
5 シャフト本体
6 補強部材
7a 内周面
7b 外周面
9 リブ

Claims (10)

  1. ゴルフクラブに用いられるゴルフクラブシャフトであって、
    繊維強化樹脂からなり筒状で軸方向にのびるシャフト本体と、該シャフト本体よりも比重が大きい高比重材料からなりかつ前記シャフト本体と同軸状に配され一体化された円管状の補強部材とを含み、
    しかも前記補強部材の外周面及び/又は内周面には、小高さで突出するリブが形成されていることを特徴とするゴルフクラブシャフト。
  2. 前記補強部材は、前記シャフト本体に外挿されている請求項1記載のゴルフクラブシャフト。
  3. 前記補強部材は、前記シャフト本体からはみ出すことなく埋設されている請求項1記載のゴルフクラブシャフト。
  4. 前記リブは、前記補強部材の内周面及び外周面に形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフクラブシャフト。
  5. 前記内周面に形成された内側リブのシャフト本体の軸方向に対する角度θ1は、前記外周面に形成された外側リブのシャフト本体の軸方向に対する角度θ2と異なる請求項1乃至4のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフト。
  6. 前記リブは、シャフト本体の軸方向に対して40〜50゜の角度で傾斜する第1傾斜リブと、前記第1傾斜リブと逆方向かつシャフト本体の軸方向に対して40〜50゜の角度で傾斜して前記第1傾斜リブと交差する第2傾斜リブとからなる交差リブを含み、
    前記内側面又は前記外側面の一方に前記交差リブ部が形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載のゴルフクラブシャフト。
  7. 前記リブは、シャフト本体の軸方向との角度の絶対値が10゜以下でのびるストレートリブを含み、
    前記内側面又は前記外側面の一方に前記ストレートリブが形成されている請求項1乃至6のいずれかに記載のゴルフクラブシャフト。
  8. 前記リブは、シャフト本体の軸方向との角度の絶対値が80゜以上のラジアルリブを含み、
    前記内側面又は前記外側面の一方に前記ラジアルリブが形成されている請求項1乃至7のいずれかに記載のゴルフクラブシャフト。
  9. 前記補強部材は、樹脂又は金属材料からなり、軸方向に沿った割面で分割された一対の縦割管を接合することにより円管状に形成される請求項1乃至8のいずれかに記載のゴルフクラブシャフト。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載のゴルフクラブシャフトと、該ゴルフクラブシャフトの一端部に固着されたゴルフクラブヘッドとを含むゴルフクラブ。
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