JP2013138694A - 放射線照射装置、プログラム及び放射線照射方法 - Google Patents

放射線照射装置、プログラム及び放射線照射方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013138694A
JP2013138694A JP2011289468A JP2011289468A JP2013138694A JP 2013138694 A JP2013138694 A JP 2013138694A JP 2011289468 A JP2011289468 A JP 2011289468A JP 2011289468 A JP2011289468 A JP 2011289468A JP 2013138694 A JP2013138694 A JP 2013138694A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
radiation
region
radiation beam
irradiation
ray
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2011289468A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013138694A5 (ja
Inventor
Takao Kuwabara
孝夫 桑原
Hitoshi Shimizu
清水  仁
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2011289468A priority Critical patent/JP2013138694A/ja
Priority to PCT/JP2012/078244 priority patent/WO2013065762A1/ja
Priority to EP12845991.4A priority patent/EP2775804A4/en
Priority to CN201280053957.1A priority patent/CN103907402A/zh
Publication of JP2013138694A publication Critical patent/JP2013138694A/ja
Priority to US14/266,220 priority patent/US9079027B2/en
Publication of JP2013138694A5 publication Critical patent/JP2013138694A5/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Radiation-Therapy Devices (AREA)

Abstract

【課題】正常細胞の破壊を軽減しつつ、治療効果の高い放射線ビームを広範囲に照射することができる放射線照射装置、プログラム及び放射線照射方法を提供する。
【解決手段】放射線ビームを出射する放射線出射装置と、放射線出射装置に対して放射線ビームの出射方向下流側に配置され、入射した放射線ビームを通過させる複数のスリットを有するとともに複数のスリット以外に入射した放射線ビームを遮蔽する放射線遮蔽体と、放射線ビームの照射対象である第1領域に対して、放射線遮蔽体を通過した放射線ビームの照射領域である第2領域が相対的に移動するように第1領域及び第2領域の少なくとも一方を移動させる制御を行うと共に、移動前後でスリットを通過した放射線ビームの一部が重なるように放射線ビームを照射する制御を行う制御手段(S115)とを具備する。
【選択図】図6

Description

本発明は、放射線を照射する放射線照射装置、当該放射線照射装置により実行されるプログラム、及び当該放射線照射装置における放射線照射方法に関する。
放射線を用いた治療法として、特許文献1には、多葉コリメータを用いた粒子線治療装置において、多葉コリメータのリーフ開口部の形状を容易に精度良く確認することが可能な粒子線治療装置が開示されている(特許文献1参照)。この粒子線治療装置は、粒子線の照射方向に対して多葉コリメータの上流側に第一照明手段と第二照明手段及び撮影手段を設け、回転角度検出手段により検出された多葉コリメータの回転角度情報をもとに2つの照明手段の入り切りを照明制御手段により制御することにより、リーフによる照明光の強い乱反射を抑制することができるようにしている。
ところで、近年、がんの治療法として、X線ビームを幅がμm単位のスリットを通過させて得られるマイクロビームを生成し、このマイクロビームを腫瘍に対して照射する治療法(所謂MRT;Microbeam Radiation Therapy)が提案されている。このMRTでは、正常細胞をほとんど破壊せずにがん細胞を破壊することができるという優れた治療効果が得られることが様々な実験により報告されている。
このMRTに関する技術として、非特許文献1及び2には、高エネルギーの電子等の荷電粒子が磁場中でローレンツ力により曲がるときに電磁波を放射する現象を利用し、この放射された電磁波である放射光(X線ビーム)を複数の線状の放射線遮蔽スリットを通過させることで、MRT用のX線ビームを生成する手法が開示されている。
特開2010−68908号公報
"スリット状マイクロビームに対する細胞致死効果とその回復現象におけるがん抑制遺伝子p53正常型がん細胞と異常型がん細胞の違い"、[online]、平成22年、[平成23年9月30日検索]、インターネット< URL :http://www.spring8.or.jp/pdf/ja/MBTU/H20/14.pdf> " マイクロビーム治療に関する基礎研究"、放医研ニュース, No. 134、[online]、平成20年、[平成23年9月30日検索]、インターネット< URL :http://www.nirs.go.jp/report/nirs_news/200801/hik10p.htm>
上記非特許文献1及び2に開示されているMRTの技術では、上述したように正常細胞をほとんど破壊せずにがん細胞を破壊することはできるが、生成可能なX線ビームの進行方向に対して垂直な方向における断面視形状の大きさには制限がある。よって、MRTによる放射線治療を行う場合に、腫瘍の大きさが上記断面視形状よりも広範囲である状況が考えられ、このような状況では、腫瘍全体に対する放射線治療を行うことができない、という問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、正常細胞の破壊を軽減しつつ、治療効果の高い放射線ビームを広範囲に照射することができる放射線照射装置、プログラム及び放射線照射方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の放射線照射装置は、放射線ビームを出射する放射線出射装置と、前記放射線出射装置に対して前記放射線ビームの出射方向下流側に配置され、入射した放射線ビームを通過させる複数のスリットを有するとともに前記複数のスリット以外に入射した放射線ビームを遮蔽する放射線遮蔽体と、前記放射線ビームの照射対象である第1領域に対して、前記放射線遮蔽体を通過した前記放射線ビームの照射領域である第2領域が相対的に移動し、かつ移動前後で前記スリットを通過した放射線ビームの一部が重なるように前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方を移動させる制御を行う制御手段と、を具備している。
請求項1に記載の放射線照射装置によれば、放射線出射装置により、放射線ビームが出射される。また、前記放射線出射装置に対して前記放射線ビームの出射方向下流側に配置され、入射した放射線ビームを通過させる複数のスリットを有する放射線遮蔽体により、入射した前記放射線ビームのうち、前記複数のスリットに入射した放射線ビームが通過されるとともに前記複数のスリット以外に入射した放射線ビームが遮蔽される。
ここで、本発明では、制御手段により、前記放射線ビームの照射対象である第1領域に対して、前記放射線遮蔽体を通過した前記放射線ビームの照射領域である第2領域が相対的に移動し、かつ移動前後で前記スリットを通過した放射線ビームの一部が重なるように前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方を移動させる制御が行われる。
すなわち、MRT用の放射線ビームは、複数のスリットを通過することにより複数の面状の放射線ビームにより構成されるため、当該放射線ビームのビームプロファイルにおいて山(放射線遮蔽体のスリットの部分に相当し、入射した放射線ビームが複数のスリットを通過することにより相対放射線強度が高い部分;以下、ピーク部分ともいう。)と谷(放射線遮蔽体のスリット以外の部分に相当し、入射したX線ビームが遮蔽されることにより相対放射線強度が低い部分;以下、バレイ部分ともいう。)が複数形成され、この山と谷との比(以下、PV比という。)が大きいほど治療効果が高いことが近年のMRT技術の研究により見出されている。そこで、本発明では、前記放射線ビームの照射対象である第1領域に対して、前記放射線遮蔽体を通過した前記放射線ビームの照射領域である第2領域が相対的に移動し、かつ、移動前後で前記スリットを通過した放射線ビームの一部が重なるように前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方を移動させる制御が行われ、この制御によって複数の第2領域が重なり合った領域においてもPV比が大きくなるようにしている。
このように、請求項1記載の放射線照射装置によれば、複数の第2領域が重なり合った領域においてもPV比を大きくすることができる結果、正常細胞の破壊を軽減しつつ、治療効果の高い放射線ビームを広範囲に照射することができる。
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記制御手段が、前記移動する制御を行う際に、当該移動の前後で前記スリットを通過した放射線ビームの一部が前記スリットの長手方向に重なるように制御を行うようにしても良い。これにより、治療対象領域における放射線ビームの非照射領域の発生を防止することができる結果、治療効果をより高めることができる。
ところで、第2領域の位置を移動する際、上述したように、PV比を大きくするために、各分割領域に対して連続的かつスリットを通過した放射線ビームの当該スリットの長手方向に対する位置が重なるように、正確に移動させることが望ましい
しかし、機械的な誤差や患者の体動等により必ずしもスリットを通過した放射線ビームの当該スリットの長手方向に対する位置が重なるように移動できるとは限らない。位置がずれた場合には第2領域が重なり合う領域においてピークが分散してしまい、位置がずれない場合と比較して、ピーク部分の放射線強度が低くなりバレイ部分の放射線強度が高くなることによりPV比が低下してしまう、という問題があった。
そこで、本発明は、請求項3に記載の発明のように、前記制御手段が、前記移動する制御を行う際に、当該移動の前後で前記第2領域を前記放射線ビームの出射方向を中心として90度ずつ回転させるように制御を行うようにしても良い。これにより、隣接する第2領域間でスリットの長手方向に対する位置がずれた場合であっても、ピーク部分の放射線強度を高くしバレイ部分の放射線強度を低くすることができるため、より確実に治療効果の高い治療用放射線ビームを照射することができる。
特に、請求項3に記載の発明は、請求項4に記載の発明のように、前記制御手段が、前記放射線遮蔽体を回転させることにより前記第2領域の回転の制御を行うようにしても良い。これにより、放射線ビームの被照射体を回転させる場合と比較して、より簡易に第2領域を回転させることができる。
また、本発明は、請求項5に記載の発明のように、前記制御手段が、前記放射線ビームの照射対象者が保持される保持体を移動させることにより前記第2領域の移動の制御を行うようにしても良い。これにより、放射線ビームの位置を移動させる場合と比較して、より簡易に第2領域を移動させることができる。
また、本発明は、請求項6に記載の発明のように、前記複数のスリットが、当該スリット面の延長面上に前記放射線ビームの焦点が位置するように前記放射線遮蔽体に形成されているようにしても良い。これにより、スリット面の延長面上に放射線ビームの焦点が位置しない場合と比較して、出射された放射線ビームをより有効に利用することができる。
また、本発明は、請求項7に記載の発明のように、前記放射線遮蔽体が、前記第2領域を矩形状の領域となるように形成するようにしても良い。これにより、第2領域が重なり合う領域を小さくすることができる。
また、本発明は、請求項8に記載の発明のように、前記第1領域が前記第2領域より広いか否かを判定する判定手段をさらに備え、前記制御手段が、前記判定手段により前記第1領域が前記第2領域より広いと判定された場合、前記第1領域を、前記第2領域に対応する大きさの複数の領域に、隣接する当該複数の領域が各々重なり合うように分割した各分割領域が前記第2領域となるように、前記移動する制御を行うようにしても良い。これにより、治療対象領域における放射線ビームの非照射領域の発生を防止することができる結果、治療効果をより高めることができる。
一方、上記目的を達成するために、請求項9に記載のプログラムは、コンピュータを、放射線出射装置から出射された放射線ビームの照射対象とする第1領域が、前記放射線出射装置に対して前記放射線ビームの出射方向下流側に配置され、入射した放射線ビームを通過させる複数のスリットを有するとともに前記複数のスリット以外に入射した放射線ビームを遮蔽する放射線遮蔽体を通過した前記放射線ビームの照射領域である第2領域が相対的に移動し、かつ移動前後で前記スリットを通過した放射線ビームの一部が重なるように前記第1領域及び第2領域の少なくとも一方を移動させる制御を行う制御手段と、として機能させる。
従って、請求項9に記載のプログラムによれば、コンピュータを請求項1に記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項1に記載の発明と同様に、正常細胞の破壊を軽減しつつ、治療効果の高い放射線ビームを広範囲に照射することができる。
なお、請求項9に記載の発明は、請求項10に記載の発明のようには、コンピュータを、前記制御手段による移動の際、前記第2領域の位置の移動前後で前記放射線遮蔽体を前記放射線ビームの出射方向を中心として90°ずつ回転させる回転制御手段としてさらに機能させるようにしても良い。これにより、請求項3に記載の発明と同様に、より確実に治療効果の高い治療用放射線ビームを照射することができる。
一方、上記目的を達成するために、請求項11に記載の放射線照射方法は、放射線出射装置から出射された放射線ビームの照射対象とする第1領域が、前記放射線出射装置に対して前記放射線ビームの出射方向下流側に配置され、入射した放射線ビームを通過させる複数のスリットを有するとともに前記複数のスリット以外に入射した放射線ビームを遮蔽する放射線遮蔽体を通過した前記放射線ビームの照射領域である第2領域が相対的に移動し、かつ移動前後で前記スリットを通過した放射線ビームの一部が重なるように前記第1領域及び第2領域の少なくとも一方を移動させる制御を行う制御ステップを備えている。
従って、請求項11に記載の放射線照射方法によれば、請求項1に記載の発明と同様に作用するので、請求項1に記載の発明と同様に、正常細胞の破壊を軽減しつつ、治療効果の高い放射線ビームを広範囲に照射することができる。
なお、請求項11に記載の発明は、請求項12に記載の発明のように、前記制御ステップによる移動の際、前記第2領域の位置の移動前後で前記放射線遮蔽体を前記放射線ビームの出射方向を中心として90°ずつ回転させる回転制御ステップをさらに備えるようにしても良い。これにより、請求項3に記載の発明と同様に、より確実に治療効果の高い治療用放射線ビームを照射することができる。
本発明によれば、正常細胞の破壊を軽減しつつ、治療効果の高い放射線ビームを広範囲に照射することができる、という効果を奏する。
実施形態に係るX線照射装置の全体の構成を示す構成図である。 実施形態に係る遮蔽体の外観を示す斜視図である。 実施形態に係るX線照射装置において、電子ビームがターゲットに衝突して生成されたX線ビームが遮蔽体の複数のスリットを通過する様子を示す図であり、(A)は、概略上面図であり、(B)は、概略側面図である。 (A)は、実施形態に係るX線照射装置において、遮蔽体の複数のスリットを通過したX線ビームの進行方向に対して垂直な方向における断面視形状の一例を示す図であり、(B)は、実施形態に係るX線照射装置において、遮蔽体の複数のスリットを通過したX線ビームのx軸方向における位置と相対X線強度との関係を示すグラフである。 実施形態に係るX線照射装置において、遮蔽体の複数のスリットを通過したX線ビームのビームプロファイルの一例を示す図である。 第1実施形態に係るX線照射処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 第1実施形態に係るX線照射処理の説明に供する概略上面図である。 第1実施形態に係るX線照射装置において、腫瘍においてX線ビームが複数回に分割して照射される様子を示す正面図である。 第1実施形態に係るX線照射装置において、一例として複数回に(照射対象領域を縦2回×横2回に)分割して面状のX線ビームの位置が各々重なるように照射を行った場合の重なり部分のx軸方向における相対X線強度を示す図である。 実施形態に係るX線照射装置において、一例として複数回に(照射対象領域を縦2回×横2回の4回に)分割して面状のX線ビームの位置が各々スリット間ピッチの半分の距離だけずれるように照射を行った場合の重なり部分のx軸方向における相対X線強度を示す図である。 第2実施形態に係るX線照射処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 第2実施形態に係るX線照射処理の説明に供する概略上面図である。 第2実施形態に係るX線照射装置において、腫瘍に対してX線ビームが複数回に分割されて照射される様子を示す図である。 第2実施形態に係るX線照射装置において、一例として複数回に(照射対象領域を縦2回×横2回の4回に)分割して面状のX線ビームの位置が各々重なるように照射を行った場合の重なり部分のx軸方向における相対X線強度を示す図である。 第2実施形態に係るX線照射装置において、一例として複数回に(照射対象領域を縦2回×横2回の4回に)分割して面状のX線ビームの位置が各々スリット間ピッチの半分の距離だけずれるように照射を行った場合の重なり部分のx軸方向における相対X線強度を示す図である。 (A)は、実施形態に係るX線照射装置において、腫瘍に対してX線ビームXが照射される様子の別例を示す正面図であり、(B)は、当該別例において使用される遮蔽体の外観の一例を示す斜視図である。
〔第1実施形態〕
以下、第1実施形態に係る放射線照射装置について添付図面を用いて詳細に説明する。なお、第1実施形態に係る放射線照射装置は、電子ビームを金属ターゲットに衝突させることにより発生する制動X線を放射線ビームとして照射するX線照射装置1であるが、これに限定されず、他の方法で生成したX線ビームを照射するX線照射装置であっても、X線ビーム以外の他の放射線ビームを照射する放射線照射装置であっても良い。
図1は、第1実施形態に係るX線照射装置1の全体の構成を示す構成図である。図1に示すように、X線照射装置1は、電子ビームeを生成する電子銃2a、生成した電子ビームeを加速させる加速器2b、及び、加速させた電子ビームeを外部に誘導するビームダクト2を備えている。
また、X線照射装置1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を有する制御装置3を備えている。制御装置3は、CPUの制御により、電子銃2aによる電子ビームeの生成、加速器2bにより加速される電子ビームeのビーム電流、ビーム速度及びビーム径の測定、及びそれらの測定値に応じたソレノイドコイルによる磁場調整等の制御を行うとともに、後述する遮蔽体6の回転の制御、寝台7の移動の制御を行う。なお、電子銃2a及び加速器2bに関する制御は一般的な電子銃及び加速器において現在行われている制御であるため、説明を省略する。
ビームダクト2の電子ビームeの出口付近には、Ti、Be等の薄い金属板で形成された電子出射窓4が設けられている。ビームダクト2の内部は真空に保たれており、電子出射窓4は、ビームダクト2の内部に空気が進入して電子の動きが妨げられることを防止するためにビームダクト2の内部と外界とを仕切っている。そして、ビームダクト2の内部に到達した電子ビームeは、電子出射窓4を介して外部に出射される。
ビームダクト2の電子ビームeの出射方向(以下、z軸方向ともいう。)の下流側には、ターゲット5が設けられている。ターゲット5は、W、Ta等の重金属で形成され、電子出射窓4を介して照射された電子ビームeとターゲット5とが衝突した際に、当該衝突に応じて制動X線が発生する。発生した制動X線は、衝突点の前方(電子ビームeの出射方向において上流から下流に向かう方向)に円錐状に広がってX線ビームとして放射される。
ターゲット5のX線ビームXの出射方向の下流側には、X線ビームXの一部を通過させる複数のスリット6aを有する遮蔽体6が設けられている。複数のスリット6aは、各々のスリット6aの入口部の幅(短手方向の長さ)が、X線ビームXのビーム径より小さく、複数のスリット6a全体としてX線ビームのビーム径より大きくなり、かつ各々がX線ビームXの出射方向に対して略平行になるように形成されている。
また、遮蔽体6は、遮蔽体6をX線ビームXの出射方向の中心線を中心軸として回転駆動させる、モータを主構成とする回転駆動装置6bを備えており、回転駆動装置6bは制御装置3により制御される。
図2は、第1実施形態に係る遮蔽体6の外観を示す斜視図である。図2に示すように、本実施形態に係る遮蔽体6は、全体として概略直方体とされ、X線ビームXを遮蔽する能力が高い重金属(本実施形態では、W)で構成された複数の遮蔽ユニット6cが複数組み合わされて構成されている。本実施形態に係る遮蔽体6では、複数の遮蔽ユニット6cが、相互間の隙間によりスリット状の間隙が設けられるように配置されており、当該間隙によってX線ビームXを通過させるスリット6aが形成されている。遮蔽体6に入射したX線ビームXのうちのスリット6aに入射したX線ビームXは、遮蔽体6のスリット6aを通過して遮蔽体6の背部に到達するが、遮蔽ユニット6cに入射したX線ビームXは、当該遮蔽ユニット6cに遮蔽されて遮蔽体6の背部まで到達しない。
また、遮蔽体6の複数のスリット6aの各々は、スリット面の延長面上にX線ビームXの焦点が位置するとともに各々スリット面が異なる方向となるように設けられている。このようにX線ビームXの放射方向に合わせてスリット6aが設けられることにより、X線ビームXがコーン状に拡がっていても、平行ビームと同等の面状ビーム変換効率が得られる。
なお、本実施形態に係るX線照射装置1では、複数のスリット6aが、各々隣接する遮蔽ユニット6c間の間隙である例を示したが、これに限定されず、X線透過性を有する素材をストライプ状に設けることにより形成されていても良い。この場合には、隣接する遮蔽ユニット6c間に、上記間隙の代わりに当該素材が配置される。
X線ビームを人のがん治療に用いる場合には高エネルギーのX線ビームが必要となるが、放射されたX線ビームをMRT用の面状ビームとするためにはタングステンなどの重金属を用いても厚さ(X線ビームXの出射方向における長さ)10cm程度の遮蔽体が必要となる。その厚みの遮蔽体にμm単位の幅(短手方向における長さ)で通り抜けるスリットを製作することは現在の技術では非常に難しい。そこで、この問題を解決するために、遮蔽体6を、平板状の遮蔽ユニットと平板状の補助部材とを複数組み合わせることで形成しても良い。当該補助部材は、ポリイミドフィルム等のX線に対する遮蔽効果が低い素材で形成されていて、遮蔽体6のうちの補助部材が設けられた領域に入射したX線ビームXは、遮蔽されずに遮蔽体6の背部に到達する。これにより、遮蔽体6に間隙を設ける場合と比較して、より簡易に遮蔽体6を製作することができる。
遮蔽体6のX線ビームXの出射方向の下流側には、X線ビームXによる放射線治療を受ける患者Kを横たわらせるための寝台7(照射対象者を保持する保持体に対応)が設置されている。また、寝台7は、X線ビームXの出射方向に対して垂直な平面上において寝台7を移動させるためのモータを主構成とする移動駆動装置7aを備えていて、移動駆動装置7aは制御装置3により制御される。本実施形態に係るX線照射装置1では、移動駆動装置7aは、寝台7を、X線ビームXの出射方向に対して垂直な予め定められた方向(以下、x軸方向という。)、及びX線ビームXの出射方向に対して垂直でかつ当該予め定められた方向に対して垂直な方向(以下、y軸方向という。)に移動させることができる。
なお、本実施形態に係るX線照射装置1では、X線ビームXの出射方向が重力方向であり、寝台7の移動方向が寝台7が設けられた床面に対して平行な方向(水平方向)であるものとする。本実施形態に係るX線照射装置1では、患者Kが寝台7に載置された状態で寝台7を移動させながら患者Kの腫瘍Cに対してX線ビームXを照射することにより、腫瘍Cの全体領域に対するMRTが行われる。
このように、本実施形態に係るX線照射装置1では、X線ビームXをスリット6aを有する遮蔽体6に照射し、照射されたX線ビームXのうちのスリット6aを通過した面状のX線ビームXを患者Kに照射することにより、MRTによる放射線治療を行うことができる。
本発明者らの鋭意検討の結果、X線ビームXを用いてMRTを行う場合、照射する面状のX線ビームの厚さが20μm以上1mm以下とするとほとんどの組織に破壊を発生させることなく細胞の核のみが消失する現象が発生することが判明しているので、スリット6aの幅を20μm以上1mm以下とすることが好ましい。
また同様に、本発明者らの鋭意検討の結果、MRTを行う場合には、電子ビームeの線量は、スリット6aを通過したX線ビームXの線量が1Gy以上1000Gy以下になるとともに、遮蔽体6のスリット6a以外の領域で完全に遮蔽されずに一部分透過したX線ビームXの線量がスリット6aを通過したX線ビームXの線量の1/1000以上1/10以下となるように決定されると優れた治療効果が得られることが判明しているため、この条件を満足していることが望ましい。
図3は、第1実施形態に係るX線照射装置1において、電子ビームeがターゲット5に衝突して生成されたX線ビームXが遮蔽体6の複数のスリット6aを通過する様子を示す図であり、図3(A)は、概略上面図であり、図3(B)は、概略側面図である。図3(A)及び(B)に示すように、遮蔽体6に入射したX線ビームXは、複数のスリット6aを通過することにより、y軸方向及びz軸方向に伸びた面状のX線ビームXとして、遮蔽体6のX線ビームXの下流側に照射される。
図4(A)は、第1実施形態に係るX線照射装置1において、遮蔽体6の複数のスリット6aを通過したX線ビームXの当該X線ビームXの進行方向に対して垂直な方向における断面視形状の一例を示す図であり、図4(B)は、第1実施形態に係るX線照射装置1において、遮蔽体6の複数のスリット6aを通過したX線ビームXのx軸方向における位置と相対X線強度との関係を示すグラフである。
図4(A)に示すように、遮蔽体6に入射したX線ビームXは、当該X線ビームXのうちスリット6aに入射したX線ビームXのみが遮蔽体6を通過するため、断面形状がスリット6aの入口部の形状に略合致した形状である面状のX線ビームXが形成される。また、図4(B)に示すように、遮蔽体6に入射したX線ビームXは、x軸方向において、スリット6aが設けられている位置において鋭いピークを有する。さらに、X線ビームXは、コーン状に拡がる際にビームの断面視中央側に多く放射されるため、図4(B)に示すように、断面視中央部のピーク部分における相対X線強度が高くなり、断面視端部側に向かってピーク部分における相対X線強度が低くなる。
図5は、第1実施形態に係るX線照射装置1において、遮蔽体6の複数のスリット6aを通過したX線ビームXのビームプロファイルの一例を示す図である。なお、図5に示した例では、遮蔽体6の複数のスリット6aを通過した後の複数の面状のX線ビームXが、各ピークの半値幅が25μm、各ピーク間のピッチが200μm、遮蔽体6により遮蔽された位置における相対X線強度が相対X線強度のピーク値の1%となっている。
MRTを行う場合には、通常の放射線治療と異なり、治療に使用されるX線ビームが予め定められた要件を満たす必要がある。当該予め定められた要件は、具体的には、ピーク部分とバレイ部分との比であるPV比が10:1以上であることである。
この予め定められた要件を満たすようなX線ビームを照射することにより、腫瘍細胞はバイスタンダー(bystander)効果(低線量の放射線を照射した場合に、放射線が直接当たっていない細胞にも影響が現れる効果)によりバレイ部分を含めて死滅し、正常細胞はピーク部分の死滅を除き、正常機能を保つような放射線治療を行うことができる。
また、MRT用のX線ビームを生成する際、X線ビームの上記断面視形状には制限があるため、腫瘍細胞が上記断面視形状より大きい場合には、X線ビームXを腫瘍細胞の全体に対して一度に照射することは困難であるが、照射対象とする領域(以下、「第1領域」ともいう。)を分割して複数回に分けて照射を行うことで、腫瘍細胞の全体に対して照射を行うことができる。そこで、本実施形態に係るX線照射装置1では、遮蔽体6のスリット6aを通過したX線ビームXの照射領域(以下、「第2領域」ともいう。)の位置をずらしながら複数回に分割して照射を行うこと(以下、「分割照射」ともいう。)で、腫瘍Cの全体にX線ビームXを照射する。
この分割照射を行う際、隣接する各々の第2領域の間に隙間があった場合には、当該隙間にはX線ビームXが照射されないため当該隙間部分においては治療効果が得られないこと、及び上述したように遮蔽体6の複数のスリット6aを通過したX線ビームXは、ビームの断面視端部側に向かってピーク部分におけるX線強度が低くなっていくことを考慮し、互いに隣接する第2領域の端部の一部領域を部分的に重ねることにより、照射ムラ(治療対象領域における非照射領域の発生や、上述したMRTの要件を満たさない照射領域の発生)を低減することができる。
次に、本実施形態の作用を説明する。
図6は、第1実施形態に係るX線照射処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは制御装置3に備えられた記録媒体であるROMの所定領域に予め記憶されている。また、図7は、第1実施形態に係るX線照射処理の説明に供する概略上面図である。図7において、第2領域R1、R2、R3…の位置の移動をわかりやすくするため、患者K及び腫瘍Cの描画を省略している。
制御装置3のCPUは、予め定められたタイミング(本実施形態では、実行する旨の指示入力が行なわれたタイミング)で、当該X線照射処理プログラムを実行する。なお、ここでは、錯綜を回避するために、患者Kを寝台7の上部に横たわらせた状態で治療を行う場合について説明する。
X線照射処理の実行に先立ち、放射線技師、医師等のX線照射装置1の操作者は、患者Kを寝台7の上で、かつ寝台7の移動駆動装置7aによる移動可能範囲で寝台7を移動することにより、治療対象とする腫瘍Cの全域にX線ビームXが照射可能な位置に横たわらせる。その後、操作者は、X線照射処理の実行を指示する指示情報を制御装置3に入力する。これにより、X線照射処理プログラムの実行が開始される。
X線照射処理プログラムの実行が開始されると、ステップS101において、CPUは、X線ビームXの照射対象とする第1領域(本実施形態では、腫瘍Cの全体の領域)が、第2領域より広いか否かを判定する。この際、CPUは、患者Kの治療対象とする腫瘍Cの平面視外接矩形枠を第1領域とし、遮蔽体6のスリット6aを通過したX線ビームXの照射領域の平面視外接矩形枠を第2領域として相互に比較し、第2領域の少なくとも一つの辺が、当該辺に対応する第2領域の辺よりも長い場合には、第1領域が第2領域より狭いと判定する。
ステップS101において第1領域が第2領域より広くないと判定された場合、ステップS103において、CPUは、患者Kの治療対象とする腫瘍Cに対して通常のMRTのX線照射を行って、X線照射処理を終了する。
ステップS101において第1領域が第2領域より広いと判定された場合、分割照射を行うために、ステップS105において、CPUは、寝台7の位置が予め定められた基準位置(以下、「ホームポジション」という。)に位置されるように移動駆動装置7aを制御する。なお、本実施の形態に係るX線照射装置1では、上記ホームポジションとして、患者Kの治療対象とする腫瘍Cの平面視外接矩形枠の左上角点がX線照射装置1によって照射されたX線ビームXの照射領域に含む位置を適用しているが、これに限るものではない。
ステップS107において、CPUは、MRTのX線照射を開始するようにX線照射装置1を制御し、次のステップS109において、腫瘍Cの種類や形状に応じて予め定められた1照射単位の照射が終了するまで待機する。この待機している間、図7(A)に示すように、寝台7に横たえられている患者Kの腫瘍Cに対するホームポジションにおける第2領域R1にX線ビームXが照射される。
1照射単位の照射が終了すると、次のステップS111において、CPUは、ステップS107にて開始させたX線照射を停止させる。X線照射を停止させる方法は、電子出射窓4から出射されるX線ビームXを停止させる方法でも良く、あるいは、電子出射窓4とターゲット5との間に電子ビームeを遮蔽する遮蔽体を一時的に設けたり、ターゲット5と遮蔽体6との間または遮蔽体6と患者Kとの間にX線ビームXを遮蔽する遮蔽体を一時的に設けたりする方法でも良い。
ステップS113において、CPUは、患者Kの腫瘍Cの全体の領域においてX線ビームXの照射が終了したか否かを判定する。この際、CPUは、制御装置3の入力装置により終了指示が入力されたことに基づいて照射が終了したものと判定する。あるいは、第2領域の形状に基づいて予め計算されて記憶されている照射回数と、その時点における照射回数と比較することで、照射が終了したものと判定しても良い。
ステップS113において照射が終了していないと判定された場合、ステップS115において、CPUは、寝台7の位置が移動するように移動駆動装置7aを制御した上で、ステップS107に移行する。この際、CPUは、第2領域の位置を、第1領域を複数の領域に分割した各分割領域に対して、連続的かつ遮蔽体6の複数のスリット6aを通過したX線ビームXの当該スリットの長手方向に対応する位置が重なるように移動する。すなわち、前回のステップS107における第2領域と今回の第2領域とにおいて端部の一部分が重なり、かつ腫瘍Cの一部が今回の第2領域に含まれ、かつ各々の第2領域における面状のX線ビームXが重なるように、寝台7の位置を移動させる。ステップS107において、CPUは、再びX線ビームXの照射を行うことで、図7(B)に示すように、今回の第2領域R2が前回の第2領域R1と一部重なるようにX線ビームXが照射される。
ステップS113において照射が終了するまでステップS107乃至S115の処理を繰り返すことで、図7(C)に示すように、互いに隣接する第2領域R1、R2、R3…が各々重なるようにX線ビームXの照射が順次行われる。
そして、ステップS113において照射が終了したと判定された場合、CPUは、X線照射処理プログラムの実行を終了する。
図8は、腫瘍CにおいてX線ビームXが複数回に分割して照射される様子を示す正面図である。図8に示すように、各々の第2領域R1、R2、R3…において互いに隣接する第2領域の一部が各々重なるようにして第2領域R1、R2、R3…の位置をずらしながら複数回に分割して照射を行うことで、腫瘍Cの全体についてX線ビームXの照射が行われる。また、各々の第2領域R1、R2、R3…間で、スリット6aを通過することにより面状に形成された各々のX線ビームXがそれぞれ重なって一つの面状のX線ビームXとなるようにX線ビームXが照射される。
図9は、一例として複数回に(照射対象領域を縦2回×横2回に)分割して面状のX線ビームXの位置が各々重なるように照射を行った場合の重なり部分のx軸方向における相対X線強度を示す図である。図9に示すように、複数の第2領域が重なり合った領域において、スリット6aを通過することにより面状に形成された各々のX線ビームXが各々繋がって一つの面状のX線ビームXとなるようにして照射された場合、図9に示すグラフにおいて、当該複数の第2領域が重なり合った領域において、各々の第2領域におけるX線ビームXのピークに対応する位置に、それぞれピーク部分が表れ、隣接する各々のピーク部分の間にバレイ部分が表れている。
MRTにおいて、X線ビームXの相対X線強度は、ピーク部分のX線強度が適切で、かつバレイ部分のX線強度が低ければ低いほど優れた治療効果が得られる。よって、X線ビームXの照射を分割して行う際に、各々の第2領域R1、R2、R3…間で、スリット6aを通過することにより面状に形成された各々のX線ビームXがそれぞれ重なって一つの面状のX線ビームXとなるようにX線ビームXが照射されることにより、正常細胞の破壊を軽減しつつ、MRTの優れた治療効果を得ることができる。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係るX線照射装置1について添付図面を用いて詳細に説明する。第2実施形態に係るX線照射装置1は、第1実施形態に係るX線照射装置1と同様に図1及び図2に示す構成を有している。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図10は、第1実施形態に係るX線照射装置において、一例として複数回に(照射対象領域を縦2回×横2回の4回に)分割して面状のX線ビームXの位置が各々スリット間ピッチの半分の距離だけずれるように照射を行った場合の重なり部分のx軸方向における相対X線強度を示す図である。X線ビームXの照射を分割して行う際に、図10に示すように、隣接する第2領域が重なり合った領域において、スリット6aを通過することにより面状に形成された各々のX線ビームXがそれぞれ重ならずに複数の面状のX線ビームXとなった場合には、当該第2領域が重なり合った位置において、面状のX線ビームXが重なり合った場合と比較して、ピーク部分の相対X線強度が低くなると共にバレイ部分の相対X線強度が高くなってしまう可能性がある。上述したように、MRTを行う際には、X線ビームのPV比が10:1以上であることが好ましいが、図10に示す例では3:1程度となっている。また、隣接する第2領域間において面状のX線ビームXが重なっていないために、各々の第2領域における各々の面状のX線ビームXによりそれぞれピーク部分が形成されるために、各ピーク部分間の間隔が狭くなってしまう。
そこで、第2実施形態では、複数回に分割してX線ビームXの照射を行う際に第2領域の位置を移動する場合に、X線ビームXの出射方向の中心線を回転軸として遮蔽体6を所定角度(本実施形態では、90°または略90°)回転させて、隣接する第2領域において、X線ビームXがスリット6aを通過することにより面状に形成されるX線ビームXの方向を変更させている。なお、ここでいう略90°とは、回転駆動装置6bの機械的なあそびや誤差を含めた形での90°を意味する。
次に、本実施形態の作用を説明する。
図11は、第1実施形態に係るX線照射処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは制御装置3に備えられた記録媒体であるROMの所定領域に予め記憶されている。また、図12は、第1実施形態に係るX線照射処理の説明に供する概略上面図である。なお、図12において、第2領域の位置の移動をわかりやすくするため、患者K及び腫瘍Cの描画を省略している。
制御装置3のCPUは、予め定められたタイミング(本実施形態では、実行する旨の指示入力が行なわれたタイミング)で、当該X線照射処理プログラムを実行する。なお、第2実施形態と同様に、患者Kを寝台7の上部に横たわらせた状態で治療を行う場合について説明する。
CPUは、ステップS201乃至S209において、第1実施形態のステップS101乃至S109と同様の処理を行う。ステップS209において待機している間、図12(A)に示すように、寝台7に横たえられている患者Kの腫瘍Cに対するホームポジションにおける第2領域R1にX線ビームXが照射される。
そして、CPUは、ステップS211及びS213において、第1実施形態のステップS111及びS113と同様の処理を行う。
ステップS213において照射が終了していないと判定された場合、ステップS215において、CPUは、遮蔽体6をX線ビームXの出射方向における中心線を回転軸として回転させるように回転駆動装置6bを制御する。この際、CPUは、前回の第2領域における面状のX線ビームXと次回の第2領域における面状のX線ビームXとの角度とが略90°になるように遮蔽体6を回転させるように回転駆動装置6bを制御する。
ステップS217において、CPUは、寝台7の位置が移動するように移動駆動装置7aを制御した上で、ステップS107に移行する。この際、CPUは、第2領域の位置を、第1領域を複数の領域に分割した各分割領域に対して連続的になるように移動させる。すなわち、前回のステップS207における第2領域と次回の第2領域とにおいて端部の一部分が重なり、かつ腫瘍Cの一部が今回の第2領域に含まれるように、寝台7の位置を移動させる。ステップS207において、CPUは、再びX線ビームXの照射を行うことで、図12(B)に示すように、今回の第2領域R2が前回の第2領域R1と一部重なり、かつ第2領域R1における面状のX線ビームXと第2領域R2における面状のX線ビームXとが相互に90°の角度をなすようにX線ビームXが照射される。
ステップS213において照射が終了するまでステップS207乃至S217の処理を繰り返すことで、図12(C)に示すように、互いに隣接する第2領域R1、R2、R3…が各々重なり、かつ隣接する第2領域間において各々面状のX線ビームXとが相互に90°の角度をなすようにX線ビームXの照射が順次行われる。
そして、ステップS213において照射が終了したと判定された場合、CPUは、X線照射処理プログラムの実行を終了する。
図13は、腫瘍Cに対してX線ビームXが複数回に分割されて照射される様子を示す図である。図13に示すように、複数回に分割してX線ビームXを照射する際に、各々の第2領域R1、R2、R3…が一部重なるように第2領域R1、R2、R3…の位置をずらしながら、かつ隣接する第2領域R1、R2、R3…間において、X線ビームXが遮蔽体6の複数のスリット6aと通過することにより面状に形成されたX線ビームXの各々の向きが相互に90°となるように遮蔽体6をX線ビームXの出射方向における中心線を回転軸として回転させながら照射することで、腫瘍Cの全体に対するX線ビームXの照射が行われる。
図14は、一例として複数回に(照射対象領域を縦2回×横2回の4回に)分割して面状のX線ビームXの位置が各々重なるように照射を行った場合の重なり部分のx軸方向における相対X線強度を示す図である。図14に示すように、複数の第2領域が重なり合った領域における面状のX線ビームXが、各々の第2領域において繋がって一つの面状のX線ビームXとなるようにして照射された場合、図14のグラフに示すように、複数の第2領域が重なり合った位置において、各々の第2領域におけるX線ビームXのピークに対応する位置に相対X線強度のピークが表れている。
X線ビームXの照射を分割して行う際に、複数の第2領域が重なり合っている領域で、各々の第2領域における面状のX線ビームXがそれぞれ繋がって一つの面状のX線ビームXとなるようにX線ビームXの第2領域の位置を調節して照射することにより、MRTの優れた治療効果を得ることができる。
また、図15は、一例として複数回に(照射対象領域を縦2回×横2回の4回に)分割して面状のX線ビームXの位置が各々スリット間ピッチの半分の距離だけずれるように照射を行った場合の重なり部分のx軸方向における相対X線強度を示す図である。X線ビームXの照射を分割して行う際に、図15に示すように、複数の第2領域が重なり合った領域において各々の第2領域における面状のX線ビームXの位置がずれて重ならない場合であっても、複数の第2領域が重なり合った領域において、ピーク部分の相対X線強度が一定以上の値で確保できると共にバレイ部分についても相対X線強度が一定以下の値で抑えることが可能性となる。
なお、第1実施形態及び第2実施形態では、電子ビームeとターゲット5とが衝突することにより生成されたX線ビームXを、そのまま遮蔽体6の複数のスリット6aを通過させた状態で腫瘍Cに照射しているので、第2領域の形状はX線ビームXの出射方向に対して垂直な面における断面視形状すなわち円状となるが、第2領域の形状は、これに限定されない。
図16(A)は、第1実施形態及び第2実施形態において、腫瘍Cに対してX線ビームXが照射される様子の別例を示す正面図であり、図16(B)は、当該別例において使用される遮蔽体の外観の一例を示す斜視図である。図16では、上記別例の形態を第2実施形態に適用した場合について描画している。第2領域の形状は、図16(A)に示すように、矩形状に形成されても良い。この場合には、遮蔽体6とは別個に設けられた図16(B)に示す遮蔽体6Aが、遮蔽体6のX線ビームXの出射方向に対する上流側あるいは下流側に配置される。遮蔽体6Aは、X線ビームXを通過させる矩形状のX線通過部6dが設けられていて、遮蔽体6Aに入射したX線ビームXは、上記断面視形状を矩形状にコリメートされて遮蔽体6Aから出射される。
なお、遮蔽体6Aを遮蔽体6とは別個に設ける形態に限定されず、遮蔽体6において矩形状の領域のみにスリット6aを設けることで、遮蔽体6に入射するX線ビームXを矩形状にコリメートした上で複数のスリット6aにより面状のX線ビームXを形成するようにしても良い。この場合、複数のスリット6aに入射し、かつ予め定められた矩形状の領域に入射したX線ビームXのみを通過させることで、患者Kに照射するX線ビームXの出射方向に対して垂直な面における断面視形状が矩形状となり、複数の第2領域が重なり合う領域を狭くしつつ隙間なくX線ビームXを照射することができる。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、遮蔽体6を回転させることによりX線ビームXをX線ビームXの出射方向における中心線を回転軸として回転させるが、これに限定されず、寝台7を移動駆動させる際に併せて回転駆動させるようにしても良い。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、寝台7を移動させることにより第2領域の位置を移動させるが、これに限定されず、電子出射窓4から出射される電子ビームeの出射位置や出射方向を変更することで第2領域の位置を移動させても良い。または、遮蔽体6の複数のスリット6aの位置や角度を変更することで、第2領域の位置を移動させても良い。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、電子ビームeをターゲット5に衝突させて制動X線を発生させ、この制動X線をMRT用のX線ビームXとして使用するが、これに限定されず、上述した放射光や、ガンマ線であっても良い。
1…X線照射装置,2…ビームダクト,2a…電子銃,2b…加速器,3…制御装置,4…電子出射窓,5…ターゲット,6…遮蔽体,6a…スリット,6b…回転駆動装置,6c…遮蔽ユニット,7…寝台,7a…移動駆動装置,C…腫瘍,K…患者,e…電子ビーム,X…X線ビーム。

Claims (12)

  1. 放射線ビームを出射する放射線出射装置と、
    前記放射線出射装置に対して前記放射線ビームの出射方向下流側に配置され、入射した放射線ビームを通過させる複数のスリットを有するとともに前記複数のスリット以外に入射した放射線ビームを遮蔽する放射線遮蔽体と、
    前記放射線ビームの照射対象である第1領域に対して、前記放射線遮蔽体を通過した前記放射線ビームの照射領域である第2領域が相対的に移動し、かつ移動前後で前記スリットを通過した放射線ビームの一部が重なるように前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方を移動させる制御を行う制御手段と、
    を具備する放射線照射装置。
  2. 前記制御手段は、前記移動する制御を行う際に、当該移動の前後で前記スリットを通過した放射線ビームの一部が前記スリットの長手方向に重なるように制御を行う
    請求項1記載の放射線照射装置。
  3. 前記制御手段は、前記移動する制御を行う際に、当該移動の前後で前記第2領域を前記放射線ビームの出射方向を中心として90度ずつ回転させるように制御を行う
    請求項1記載の放射線照射装置。
  4. 前記制御手段は、前記放射線遮蔽体を回転させることにより前記第2領域の回転の制御を行う
    請求項3記載の放射線照射装置。
  5. 前記制御手段は、前記放射線ビームの照射対象者が保持される保持体を移動させることにより前記第2領域の移動の制御を行う
    請求項1乃至4のいずれか1項記載の放射線照射装置。
  6. 前記複数のスリットは、当該スリット面の延長面上に前記放射線ビームの焦点が位置するように前記放射線遮蔽体に形成されている
    請求項1乃至5の何れか1項記載の放射線照射装置。
  7. 前記放射線遮蔽体は、前記第2領域を矩形状の領域となるように形成する
    請求項1乃至6の何れか1項記載の放射線照射装置。
  8. 前記第1領域が前記第2領域より広いか否かを判定する判定手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記判定手段により前記第1領域が前記第2領域より広いと判定された場合、前記第1領域を、前記第2領域に対応する大きさの複数の領域に、隣接する当該複数の領域が各々重なり合うように分割した各分割領域が前記第2領域となるように、前記移動する制御を行う
    請求項1乃至7の何れか1項記載の放射線照射装置。
  9. コンピュータを、
    放射線出射装置から出射された放射線ビームの照射対象とする第1領域が、前記放射線出射装置に対して前記放射線ビームの出射方向下流側に配置され、入射した放射線ビームを通過させる複数のスリットを有するとともに前記複数のスリット以外に入射した放射線ビームを遮蔽する放射線遮蔽体を通過した前記放射線ビームの照射領域である第2領域が相対的に移動し、かつ移動前後で前記スリットを通過した放射線ビームの一部が重なるように前記第1領域及び第2領域の少なくとも一方を移動させる制御を行う制御手段、
    として機能させるためのプログラム。
  10. コンピュータを、
    前記制御手段による移動の際、前記第2領域の位置の移動前後で前記放射線遮蔽体を前記放射線ビームの出射方向を中心として90°ずつ回転させる回転制御手段
    としてさらに機能させる請求項9記載のプログラム。
  11. 放射線出射装置から出射された放射線ビームの照射対象とする第1領域が、前記放射線出射装置に対して前記放射線ビームの出射方向下流側に配置され、入射した放射線ビームを通過させる複数のスリットを有するとともに前記複数のスリット以外に入射した放射線ビームを遮蔽する放射線遮蔽体を通過した前記放射線ビームの照射領域である第2領域が相対的に移動し、かつ移動前後で前記スリットを通過した放射線ビームの一部が重なるように前記第1領域及び第2領域の少なくとも一方を移動させる制御を行う制御ステップ
    を備えた放射線照射方法。
  12. 前記制御ステップによる移動の際、前記第2領域の位置の移動前後で前記放射線遮蔽体を前記放射線ビームの出射方向を中心として90°ずつ回転させる回転制御ステップ
    をさらに備えた請求項11記載の放射線照射方法。
JP2011289468A 2011-11-02 2011-12-28 放射線照射装置、プログラム及び放射線照射方法 Withdrawn JP2013138694A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011289468A JP2013138694A (ja) 2011-12-28 2011-12-28 放射線照射装置、プログラム及び放射線照射方法
PCT/JP2012/078244 WO2013065762A1 (ja) 2011-11-02 2012-10-31 放射線照射装置、放射線照射方法、及びプログラム記憶媒体
EP12845991.4A EP2775804A4 (en) 2011-11-02 2012-10-31 RADIATION EMISSION DEVICE, RADIATION EMISSION METHOD, AND PROGRAM STORAGE MEDIUM
CN201280053957.1A CN103907402A (zh) 2011-11-02 2012-10-31 放射线照射装置、放射线照射方法及程序存储介质
US14/266,220 US9079027B2 (en) 2011-11-02 2014-04-30 Radiation irradiation device, radiation irradiation method and program storage medium

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011289468A JP2013138694A (ja) 2011-12-28 2011-12-28 放射線照射装置、プログラム及び放射線照射方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013138694A true JP2013138694A (ja) 2013-07-18
JP2013138694A5 JP2013138694A5 (ja) 2014-06-19

Family

ID=49036776

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011289468A Withdrawn JP2013138694A (ja) 2011-11-02 2011-12-28 放射線照射装置、プログラム及び放射線照射方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013138694A (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008531172A (ja) * 2005-02-28 2008-08-14 パトリック・エフ・キャドマン 放射線ビームを変調する方法および装置
JP2011071101A (ja) * 2009-08-31 2011-04-07 Hamamatsu Photonics Kk X線発生装置
JP2012138203A (ja) * 2010-12-24 2012-07-19 Aet Inc X線発生装置とx線発生装置群を用いたx線照射装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008531172A (ja) * 2005-02-28 2008-08-14 パトリック・エフ・キャドマン 放射線ビームを変調する方法および装置
JP2011071101A (ja) * 2009-08-31 2011-04-07 Hamamatsu Photonics Kk X線発生装置
JP2012138203A (ja) * 2010-12-24 2012-07-19 Aet Inc X線発生装置とx線発生装置群を用いたx線照射装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2013065762A1 (ja) 放射線照射装置、放射線照射方法、及びプログラム記憶媒体
JP5143606B2 (ja) 荷電粒子線照射装置
US7763873B2 (en) Ion radiation therapy system with variable beam resolution
US8674318B2 (en) Particle beam irradiation apparatus and particle beam therapy system
WO2014119050A1 (ja) 粒子線治療システム
JP2004321830A (ja) 粒子線照射装置及び照射野形成装置の調整方法
JP2005124852A (ja) 粒子線治療装置
US9795805B2 (en) Proton therapy multi-leaf collimator beam shaping
JP2000214298A (ja) 荷電粒子線照射装置及びその装置に用いるエネルギ―コンペンセ―タ、並びに荷電粒子線照射方法
JP4452848B2 (ja) 荷電粒子線照射装置および回転ガントリ
TWI771964B (zh) 帶電粒子線照射裝置
JP6076470B2 (ja) 粒子線照射室
JP5130175B2 (ja) 粒子線照射システム及びこの制御方法
JP2007175540A (ja) 粒子線照射装置の制御システム及びその制御方法
JP5619462B2 (ja) 治療計画装置及び治療計画装置の治療計画を用いた粒子線治療装置
JP2009072287A (ja) 粒子線照射装置
JP2013138694A (ja) 放射線照射装置、プログラム及び放射線照射方法
JP2009039353A (ja) 荷電粒子照射装置とその制御方法
JP5784808B2 (ja) 粒子線治療装置
JP6755208B2 (ja) 荷電粒子線治療装置
JP2011050660A (ja) 粒子線治療システム及び粒子線照射方法
JP4348470B2 (ja) 粒子線照射装置
JP7165499B2 (ja) 荷電粒子線治療装置
TWI659763B (zh) 粒子線照射裝置
TWI622418B (zh) 粒子射線治療裝置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140428

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140428

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150407

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150602

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20150611