JP2013137179A - 全熱交換素子及び全熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】高湿度な環境下であっても、高い全熱交換効率の実現と吸排気混合の抑制を実現しつつ、低い通風抵抗を維持する全熱交換素子を提供する。
【解決手段】全熱交換素子10は、熱交換する第一の流路4及び第二の流路5と、それら流路を仕切る仕切部材1と、それら流路を形成する間隔保持部材2とを備える。間隔保持部材は、仕切部材を樹脂と一体成形することにより形成される。仕切部材には、間隔保持部材に対して良接着性を有し且つ水で伸びない補強部材3が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】全熱交換素子10は、熱交換する第一の流路4及び第二の流路5と、それら流路を仕切る仕切部材1と、それら流路を形成する間隔保持部材2とを備える。間隔保持部材は、仕切部材を樹脂と一体成形することにより形成される。仕切部材には、間隔保持部材に対して良接着性を有し且つ水で伸びない補強部材3が設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば室外から室内への吸気と、室内から室外への排気とを同時に行う換気装置等に用いられる全熱交換素子及び全熱交換器に関するものである。
近年、暖房及び冷房などの空調機器が発達かつ普及し、空調装置を用いた居住区域が拡大するにつれて換気において温度及び湿度が回収できる空調用の全熱交換器に対する重要性も高まっている。こうした全熱交換器には全熱交換する要素部品として全熱交換素子が搭載されている。全熱交換素子としては、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているようなものが広く採用されている。これらのいずれもが、伝熱性及び透湿性の仕切部材を、間隔保持部材を挟んで所定の間隔で複数層に重ね合わせた積層構造を採っている。このような構成を、図9を用いて説明すると、全熱交換素子110の仕切部材101は、方形の平板で、間隔保持部材102は、投影平面が仕切部材に一致する鋸波状、正弦波状又は概三角形断面の波状に成形された波形板となっており、間隔保持部材を仕切部材の間にその波形の方向を交互に90度又はそれに近い角度を持たせて挟着し、一次気流と二次気流を通す二系統の流体通路をこれらの各層間に一層おきに構成している。例えば、吸気として冬期の戸外の空気(新鮮であるが冷たく乾燥した空気)を、吸気のための流路104に、排気として暖房された室内の空気(汚れているが暖かくて湿気の高い空気)を排気のための流路105にそれぞれ通風すると、仕切部材101を介して吸気と排気との間で温度と湿度の交換が行なわれ、吸気は暖められ加湿されて室内へ供給される。また、排気は冷され減湿されて屋外へ排気される。
全熱交換素子に要求される特性としては、一次気流と二次気流間で顕熱と同時に潜熱を交換する性能(全熱交換効率)が高いことが求められる。また、全熱交換素子に要求される特性としては、屋外から屋内に吸込まれる新鮮な外気と屋内から屋外へ排気される汚れた空気とが混合しないこと(換気性)も求められる。更に、全熱交換素子に要求される特性としては、換気を行なうために気流を流通させるためのファンやブロワ等の送風装置における消費電力を抑え、全熱交換器の運転音を低く抑えるために、各気流が流通する際の通風抵抗(圧力損失、静圧損失とも言う)が極力低いことも求められる。近年、空調機器の省エネルギー化の要求の高まりと伴に、これら全熱交換素子に要求される特性の向上が益々求められている。
全熱交換素子に要求される特性は第一義的には仕切部材が担っている。全熱交換素子の全熱交換効率の観点から、仕切部材には伝熱性と透湿性が求められる。全熱交換素子の換気性の観点から、仕切部材には気体遮蔽性が求められる。また、全熱交換素子の全熱交換効率を高めるためには、全熱交換素子の単位体積あたり全熱交換できる面積を向上すれば良い。すなわち、仕切部材の積層数は極力多い方が望ましい。一方、全熱交換素子の低い通風抵抗を実現するためには、流路の高さを広めれば良いので単位体積あたりの仕切部材の積層数は極力少ない方が望ましい。したがって、単位体積あたりの仕切部材の積層数(流路高さ)について全熱交換効率と通風抵抗とのトレード・オフ関係が生じる。
これらの要求される特性を満たすための試みの1つとして、特許文献3では、射出成形技術を応用し、間隔保持部材を樹脂でインサート成形することにより、仕切部材に対する間隔保持部材の面積比率を小さくすることにより熱交換効率を確保しながら、同時に流路断面を矩形形状にした全熱交換素子が知られている。射出成形技術による樹脂製の間隔保持部材は剛性が高く、流路高さを精度良く製造できるため、全熱交換器の全熱交換効率を高めるための低い流路高さを実現することができる。
しかし、前述の通り、低い流路高さの全熱交換素子は、通風抵抗の観点では不利である。更に、吸気流と排気流との温度差が大きく、結露が生じ易い高湿度の環境では、仕切部材が空気中の水分を吸湿することで伸びるため、仕切部材に撓みが生じる。この撓みにより流路が閉塞され、高湿度環境で通風抵抗が増大する問題が深刻となる。通風抵抗の増大は、流路高さが低いほど厳しい問題となってくることは明らかである。
高湿度環境での通風抵抗増大の解決策として、射出成形技術による樹脂製の間隔保持部材に対する工夫としては、特許文献4では、成形した間隔保持部材の剛性を高めるために、間隔保持部材を成形する樹脂に既存の無機充填剤、例えば、ガラス繊維や炭素繊維などを添加すること、もしくは他の成形分野で用いられている高圧流体や超臨界流体を物理発泡剤に用いて樹脂内で微細に発泡させる発泡成形を用いることが述べられている。特許文献5では、間隔保持部材を先に射出成形し十分収縮させた後に仕切部材を貼り合せる方法を提案している。一方、仕切部材に対する工夫として、特許文献6では、結晶性の高く多湿条件下における良寸法安定性の透湿性ポリエチレン系フィルム及び同樹脂を混抄した紙を仕切部材として用いている。特許文献7では、寸法安定性を高めるためにエンボス処理を施した仕切部材を用いている。
しかし、高湿度環境で通風抵抗が増大する問題に対する上記の従来技術には、以下のような課題がある。まず、特許文献4で開示された成形樹脂に無機充填剤を添加する方法では、
1) 溶融樹脂の流動性の低下により成形サイクルが遅くなり量産性が低下する問題、
2) 樹脂量は減るが添加物の分材料コストが高くなる問題、
3) 仕切部材と間隔保持部材の樹脂との接触面が減少するため、それらの間の密着性が悪化し吸排気の混合が起こる問題、
4) 超臨界流体を注入するものなどは特殊な付帯設備を必要とする問題、及び、
5) 拡大伝熱面(フィン)として機能している樹脂成形部分の熱伝達率が低下し温度交換効率が低下する問題、
が生じる。
1) 溶融樹脂の流動性の低下により成形サイクルが遅くなり量産性が低下する問題、
2) 樹脂量は減るが添加物の分材料コストが高くなる問題、
3) 仕切部材と間隔保持部材の樹脂との接触面が減少するため、それらの間の密着性が悪化し吸排気の混合が起こる問題、
4) 超臨界流体を注入するものなどは特殊な付帯設備を必要とする問題、及び、
5) 拡大伝熱面(フィン)として機能している樹脂成形部分の熱伝達率が低下し温度交換効率が低下する問題、
が生じる。
また、特許文献5で開示された間隔保持部材を先に射出成形し十分収縮させた後に仕切部材を貼り合せる方法では、貼り合せる際に仕切部材を十分に張って接着もしくは溶着を行なわなければならず、複雑な貼り合せの工程が増えてしまう問題が生じる。
特許文献6で開示された良寸法安定性である結晶性の透湿性ポリエチレン系フィルム及び同樹脂を混抄した紙では、フィルムを構成するポリマー間、もしくは紙の繊維間に水分子が浸入し難い特性を有するため、原理的に仕切部材の透湿性が低い。そのため、これらの仕切部材を用いた全熱交換素子では全熱交換効率が低いという問題が生じる。
さらに、特許文献7で開示されたエンボス処理を施した仕切部材では、仕切部材の表面にエンボス処理による凹凸が多数あるため、仕切部材と間隔保持部材の樹脂との接触面積が減少する。そのため、仕切部材と間隔保持部材間の密着性が悪化し、全熱交換素子において吸排気の混合が起こる問題が生じる。また、熱的にフィルムの伸びを固定化できる厚膜の樹脂フィルムや紙では有効だが、薄膜の仕切部材では、エンボス処理を施すときに仕切部材の気体遮蔽性を維持することが困難である。また、複数のエンボス間が固定化されていないため、仕切部材の水分による伸びを抑制する効果が小さい。
全熱交換素子の全熱交換効率を高めるためには、射出成形技術の高精度な樹脂構造体を作製できる特徴を活かして流路高さを低下させる方策、仕切部材の薄膜化の方策、および仕切部材の高透湿化が有効である。しかし、流路高さの低下を進めると、従来の方法では、高湿度環境下における、全熱交換素子の通風抵抗が増大する課題を解決することが益々困難となる。特に、射出成形技術に用いた間隔保持部材の樹脂は一般に吸湿量が小さいことから、水による伸びは殆ど無い。一方、高透湿性を発現する仕切部材ほど水の透過量が多くなるため、仕切部材の水による伸びが大きくなる傾向を有する。そのため、間隔保持部材と高透湿性の仕切部材による全熱交換素子では、間隔保持部材と仕切部材の水による寸法変化の差異が大きくなるため、高湿度環境下における全熱交換素子の通風抵抗増大の課題が更に困難な問題となってくる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、射出成形技術を応用した低流路高さの間隔保持部材及び高透湿性の仕切部材を備えた全熱交換素子であって、高湿度な環境下においても通風抵抗の増大を抑えることができると共に、全熱交換効率の向上、吸排気間の隔絶を図ることができる全熱交換素子及びこれを用いた全熱交換器を得ることを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明の全熱交換素子は、熱交換する第一の流路及び第二の流路と、それら第一の流路及び第二の流路を仕切る仕切部材と、前記流路を形成する間隔保持部材とを備え、前記間隔保持部材は、前記仕切部材を樹脂と一体成形することにより形成される、全熱交換素子であって、前記仕切部材には、前記間隔保持部材に対して接着性を有し且つ水で伸びない補強部材が設けられている。
本発明によれば、高湿度な環境下であっても、高い全熱交換効率の実現と吸排気混合の抑制を実現しつつ、低い通風抵抗を維持することができる。
以下、本発明に係る実施の形態について添付図面に基づいて説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
実施の形態1.
図1は、本発明における全熱交換素子の斜視図である。全熱交換素子10は、層状に設けられた少なくとも一つの第一の空気流路(第一の流路)4と、層状に設けられた少なくとも一つの第二の空気流路(第二の流路)5と、補強部材3を有し且つ各流路4,5間を少なくとも一つの仕切る仕切部材1と、対応する流路4,5を形成する間隔保持部材2とを備える。なお、本発明の全熱交換素子は、一つの第1の流路と、一つの第2の流路5と、それら流路間を仕切る一つの仕切部材とを含むことで最小単位での構成が可能であるが、以下の実施の形態の説明及びそれに関する図示例では、複数の第1の流路及び第2の流路を備えたものを対象に行う。間隔保持部材2は、積層方向に隣り合う複数の仕切部材1がある場合、それら仕切部材1同士の間隔を保持する。また、全熱交換器は、そのような全熱交換素子を備えている。
図1は、本発明における全熱交換素子の斜視図である。全熱交換素子10は、層状に設けられた少なくとも一つの第一の空気流路(第一の流路)4と、層状に設けられた少なくとも一つの第二の空気流路(第二の流路)5と、補強部材3を有し且つ各流路4,5間を少なくとも一つの仕切る仕切部材1と、対応する流路4,5を形成する間隔保持部材2とを備える。なお、本発明の全熱交換素子は、一つの第1の流路と、一つの第2の流路5と、それら流路間を仕切る一つの仕切部材とを含むことで最小単位での構成が可能であるが、以下の実施の形態の説明及びそれに関する図示例では、複数の第1の流路及び第2の流路を備えたものを対象に行う。間隔保持部材2は、積層方向に隣り合う複数の仕切部材1がある場合、それら仕切部材1同士の間隔を保持する。また、全熱交換器は、そのような全熱交換素子を備えている。
全熱交換素子10は、平らな仕切部材1と間隔保持部材2とで形成された積層構造をなし、第1の流路4と第2の流路5とは平面視において互いに直交する向きに延びている。また、第1の流路4及び第2の流路5はそれぞれ、対応する仕切部材1及び間隔保持部材2によって独立した流路として構成されている。
図2は、説明を容易にすべく、一の仕切部材と、その上下にある一の第一流路及び第二流路とを抜き出して示す斜視図である。間隔保持部材2は、平面視矩形の仕切部材1の両面すなわち上面及び下面に接して設けられている。間隔保持部材2は、間隔リブ2aと、遮蔽リブ2bとに区分けされる。遮蔽リブ2bは、全熱交換素子の端面(対応する仕切部材1の端辺)に沿って配置されており、各流路4,5を独立させるために、全熱交換素子10の流路方向について、連続して形成されている。間隔リブ2aは、図2の図示例では、各対応する層での流路方向に長い直方体形状を有した複数の構造物が流路方向及び流路と直交する方向のそれぞれに一定間隔で離隔して配置されており、全熱交換素子の強度を保つ役割及び射出成形時の仕切部材の初期撓みを抑制する役割がある。全熱交換素子の端面以外の間隔リブ2aは、各流路4,5の内部に位置しており各流路4,5の独立性とは無関係であることから、遮蔽リブ2bと異なり流路方向に対して連続的に形成されなくても良い。
本発明では、全熱交換素子10の端面以外の間隔リブ2aの流路方向に対する連続性の有無や複数の間隔リブ2aの配置には限定されない。間隔リブ2aは、仕切部材の伝熱面積及び透湿面積の向上の観点からできるだけ少ない方が良いため、流路方向について連続して形成されない方が望ましく、その数も少ない方が良い。一方、全熱交換素子の強度の観点からは、間隔リブ2aは、流路方向について連続して形成された方が望ましく、不連続であれば間隔リブ2aの数が多い方が望ましい。そのため、間隔リブ2aの配置は、流路方向について一定間隔である必要もない。間隔リブ2aの流路方向に対する連続性や配置は、これら所望の性質が得られるように調整される。
補強部材3は、仕切部材に設けられて間隔保持部材に対して良接着性を有し且つ水で伸びないものであり、接着剤が塗布された高弾性な繊維集合体である。本実施の形態では、補強部材3は、流路4,5に対して平面視、平行方向及び直交方向に連続して形成されている線状の部材である。すなわち、補強部材3は、仕切部材1おいて平面視、直交する2軸に延びる線からなる格子状のパターンを成し、格子の一辺が流路に沿った方向を向いている。なお、本実施の形態では、仕切部材1に形成される補強部材3は格子状のパターンを有しているが、特に格子状のパターンであることに限定されない。本発明の範囲に含まれる補強部材3の構成パターンは、三角形、六角形等でも良く、幾つかの多角形が混合したパターンでも良く、あるいは、平行線や曲線だけで構成された線状のパターンでも良い。また、補強部材3で構成されるパターンの全体の向きも限定されない。よって、例えば、後述する図5に示すような補強部材の向きで実施することもできる。
図3は、一の仕切部材と、その上下にある一の第一流路及び第二流路とを抜き出して示した縦断面図である。図3において、仕切部材1の上面の流路は紙面に垂直方向であり、仕切部材1の下面の流路は紙面に平行な方向である。仕切部材1は、全熱交換素子10において高い全熱交換効率を実現するために、水蒸気を通す性質(透湿性)と、吸気流と排気流との隔絶による換気性(気体遮蔽性)を併せ持つ。また、仕切部材1は、結露が起こる高湿度環境においても気体遮蔽性を満足するために、水に溶けない性質(防水性)を有する。間隔リブ2a及び遮蔽リブ2bは、流路構造を保持できる強度や結露が起こる高湿度環境においても構造を保つこと必要があり、水蒸気による可塑化を防止するために低吸湿性及び防水性を有する。本実施の形態における補強部材3は流路4に平行な方向と流路5に平行な方向に連続して形成された格子状のパターンを成し、仕切部材1の片面だけに形成されており、断面図では模式的に図3のように示される。補強部材3と、間隔リブ2a及び2bとが重なる部分は、補強部材3の一部が間隔リブ2aおよび遮蔽リブ2bの内部に入り込んでいる。補強部材3は、高湿度環境における仕切板の撓みを抑制するために、水蒸気や結露による水分で伸びない性質を有する。
仕切部材1の透湿性は、相対湿度100%、温度30℃における赤外センサー法(モコン法)による透湿度測定において透湿度12kg/m2/day以上、好ましくは14kg/m2/day以上である。透湿性が14kg/m2/day未満となれば、全熱交換素子として必要な全熱交換効率が得られ難くなる。仕切部材1の気体遮蔽性は、ガーレ法による透気度測定において透気度が1000秒/100cc以上、好ましくは5000秒/100cc以上である。透気度が5000秒/100cc未満となれば、全熱交換素子として必要な換気性(吸排気の隔絶)が得られ難くなる。仕切部材1の膜厚は5〜50μm、好ましくは10〜40μmである。膜厚が10μm未満となれば、仕切部材1として必要な強度が得られ難くなる。膜厚が10μm以上となれば、仕切部材1として必要な透湿性能が得られ難くなる。なお、前記膜厚の仕切部材1では、吸排気間の熱交換において、空気の境界層における伝熱抵抗が主要因になるため、仕切部材1の素材の伝熱性にほぼ依存しない。そのため、仕切部材1の伝熱性は、全熱交換素子の全熱交換効率に殆ど影響しない。
仕切部材1は、高透湿性及び気体遮蔽性の膜であれば特に素材には限定されないが、前記透湿性を実現するために、潮解性無機塩を添加した紙材料、透湿性ウレタンが含まれる膜材料、極性基が含まれる電解質膜材料等が望ましい。
間隔保持部材2は、流路形状を規定している。間隔リブ2a及び遮蔽リブ2bの高さは一致しており、間隔保持部材2で規定される流路の高さは0.4mmから3.0mmであり、好ましくは0.6mmから2.0mmである。流路の高さが0.5mm以下となれば全熱交換素子として必要以上に通風抵抗が大きくなり、2.0mmより大きければ全熱交換素子の単位体積あたりの積層枚数、すなわち総伝熱面積と総透湿面積が減じるために、全熱交換素子として必要な全熱交換効率が得られ難くなる。また、間隔保持部材の樹脂使用量も増加するため、全熱交換素子のコストアップにも繋がる。
流路に平行に延びて隣り合う間隔リブ2a同士の流路と直交する方向の間隔、及び、流路に平行に延びる遮蔽リブ2bとそれに隣り合う流路に平行に延びた間隔リブ2aとの流路と直交する方向の間隔のうちで、最小のものを、リブ間隔とする。本リブ間隔は3mmから20mm、好ましくは5mmから15mmである。本リブ間隔が5mm未満となれば、各流路4,5内における内部流路数が増えるため断面が矩形形状となる内部流路における四隅部分(角部)の数も大きくなる。角部は空気流の流体抵抗となり易いため、全熱交換素子10として必要以上に通風抵抗が増大する。また、間隔保持部材2の樹脂使用量も増加するため、全熱交換素子10のコストアップにも繋がる。本リブ間隔が15mmより大きくなれば全熱交換素子に必要な強度が低下する。
間隔保持部材2の幅は0.4mmから2.8mm、好ましくは0.5mmから1.5mmである。間隔保持部材の幅が0.5mm未満であれば間隔保持部材の強度が低下するため、全熱交換素子全体の強度が低下する。間隔保持部材2の幅が1.5mmより大きければ、流路の断面積が減じるため、全熱交換素子として必要な通風抵抗が得られ難くなる。また、伝熱面積及び透湿面積が減じられるため全熱交換素子として必要な全熱交換効率が得られ難くなる。更に、間隔保持部材の樹脂使用量も増加するため、全熱交換素子のコストアップにも繋がる。
間隔保持部材2は、射出成形またはインサート成形が可能な樹脂であれば、特に素材には限定されないが、具体例としては、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン、ポリカーボネート等、その他汎用的な熱可塑性樹脂のような所望の形状に成形可能なものを挙げることができる。このような間隔保持部材の樹脂は、一般的に疎水性の性質を有するため、間隔保持部材2の湿度による変形を抑えることができ、安定した流路構造の形成に寄与している。また、これら樹脂は難燃剤を添加して難燃化したり、無機分を添加して寸法安定性や強度の向上を図ったり、もしくは目的によっては発泡剤(物理発泡剤・化学発泡剤)を添加して樹脂を発泡させ、樹脂量の削減を図ったりすることも可能である。なお、本発明では、例えば遮蔽リブ及び間隔リブの成形順序など、射出成形またはインサート成形に関する詳細な製造方法は、特に限定されるものではない。
仕切部材1自体は、高い透湿性を有する素材であり、絶乾時を基準として相対湿度100%時の寸法変化は最大10%程度となる。そして、この寸法変化に基づき仕切部材1の撓みが発生し、この撓みが高湿度環境における全熱交換素子の通風抵抗増大の原因となりうる。そこで、本発明の重要な特徴として、湿度による仕切部材1の撓みを抑制するための部材として上記の補強部材3が設けられている。このような本発明の要点をなす補強部材3の詳細について以下にさらに説明する。
補強部材3は、繊維の集合体であり、繊維表面には接着剤が塗布されている。図2のように補強部材3は格子状のパターンを形成している。補強部材3は、高強度な繊維の集合体であれば、特に素材には限定されないが、ガラス、炭素繊維、ポリエステル、ビニロン、アラミド、ポリエチレン、その他汎用的な繊維であれば良く、これらの繊維を組み合わせた集合体でも良い。また、本発明は、繊維の集合体で構成される格子状の繊維の編み方には特に限定されない。
また、本発明では、補強部材3の一部が、前述したように射出成形またはインサート成形により設けられる間隔リブ2aおよび遮蔽リブ2bの内部に入り込んでいる。補強部材3は繊維の集合体のため、射出成形またはインサート成形の樹脂が成型時の圧力により繊維間に浸入するため、間隔リブ2aおよび遮蔽リブ2bと補強部材3はアンカー効果により強固に接着される。また、仕切部材1と間隔リブ2aおよび遮蔽リブ2bとの界面は、射出成形またはインサート成形の樹脂が繊維間に浸入するため、接着面積の殆どが間隔リブ2aおよび遮蔽リブ2bと仕切部材で占められる。したがって、本発明は、前記のように有用な補強部材3を備えておりながらも、間隔リブ2aおよび遮蔽リブ2bと仕切部材1との接着性も確保されている。
補強部材3の厚み(高さ)、すなわち、繊維の集合体の厚みは、間隔保持部材の高さの1/4以下である。これは、補強部材3の厚みが間隔保持部材の高さの1/4よりも大きくなると、全熱交換素子に必要な通風抵抗が得られ難くなる恐れがあることによる。すなわち、繊維の集合体である補強部材3は厚みが小さく、補強部材の厚みが間隔保持部材の高さの1/4以下(より好適には1/5以下)であれば、補強部材の存在による流路高さの狭窄を加味した流速が、補強部材が無いとした場合の平均的な流速を少なくとも下回ることがないと評価でき、通風抵抗に影響しないと考えることができる。
図4は、一の仕切部材とその上下の流路を抜き出して投影的に示す平面図である。隣り合う間隔保持部材2、すなわち、リブで区切られた領域(平面視、投影的にみてリブで囲まれた領域)のうち、面積最小の領域2c(図4に点線部で示された領域)に関して考え、この領域2cにおいて、領域の内部で定義できる最も長い線分を間隔保持部材間隔6とする。図4では、間隔保持部材間隔6は、図4の点線部で記された長方形の領域2cの対角線にあたる。そして、補強部材3の間隔の中で最小のものを補強部材間隔7とすれば、補強部材間隔7は、間隔保持部材間隔6の1/2以下である。補強部材間隔7が間隔保持部材間隔6の1/2より大きくなれば、補強部材3による仕切部材1の変形の抑制効果が発現できなくなる恐れがある。また、補強部材3が平面視、仕切部材1上を占める面積は5%から40%であり、好ましくは10%から30%である。当該面積が10%未満であれば、補強部材3による仕切部材1の変形の抑制効果が発現されない恐れがあり、30%より大きければ透湿面積が十分に確保できないため全熱交換素子に必要な全熱交換効率が得られ難くなる恐れがある。
図2に示す格子状の補強部材3では、流路方向とその垂直方向との二種類の間隔が定義できる。本発明では、二つの間隔が同一である必要はない。仕切部材1は透湿性の高い紙もしくは樹脂フィルムである。一般に、紙やフィルムの成型時には、延伸工程が入るため、仕切部材1の湿度に対する伸び量は、延伸方向とそれに垂直方向とで同一では無く、伸び量に異方性がある。そのため、仕切部材1の流路方向とその垂直方向とに対する湿度に対する伸び量は一般に異なる。本発明では、補強部材3の流路方向とその垂直方向とに関するそれぞれの間隔は、仕切部材1の湿度による伸び量の異方性に応じて適切にかつ容易に設定できることを特徴とする。効率的に仕切部材1の変形を抑制するためには、湿度により伸び易い方向の間隔は、補強部材3間の間隔を狭く設定し、湿度により伸び難い方向の間隔は、相対的に広く設定した方が望ましい。また、補強部材3の二軸が交わる角度も紙の変形に応じて設定できるため、更に紙の異方性に対応しやすい。すなわち、補強部材3は、間隔等を適切かつ容易に設定できることから、不必要に補強部材や間隔保持部材を使用することなく、仕切部材1の異方的変形を抑制できることも本発明の利点である。すなわち、仕切部材をその都度、作り直すことなく、補強部材の間隔や交差角度等を適切にすることで、共通の仕切部材を用いながら、あたかも変形に対する特性が異なる仕切部材を用いているかのように機能させることができる。
以上のように構成された本発明の全熱交換素子では、次のような優れた利点がある。従来技術では、射出成形またはインモールド成形による間隔保持部材102の間隔が狭く、間隔保持部材102による流路高さが低い場合、前述の通り、全熱交換素子に必要な通風抵抗や全熱交換効率が得られ難かった。これに対し、補強部材3を備えた本発明の全熱交換素子では、細く高強度な繊維の特徴を利用した補強部材3の特性により、全熱交換素子の流路を通る空気の流れに殆ど影響を与えず、かつ仕切部材の透湿面積に殆ど影響を与えずに、かつ湿度による仕切部材の変形を抑制できることが実現できる。更に、補強部材3が間隔保持部材2に埋め込まれた構造なので、間隔保持部材2と仕切部材1の接着性の向上を図ることができる。更に、仕切部材1の湿度による伸び量の異方性に応じて、補強部材3間の補強部材間隔7を適切かつ容易に設定できるため、必要十分な補強部材量だけで仕切部材1の湿度による伸び量を抑えることができることから、低コストな全熱交換素子を実現できる。
実施の形態2.
次に、図5及び図6を用いて、本発明の実施の形態2について説明する。図5及び図6はそれぞれ、本実施の形態2に関する図2及び図3と同態様の図である。なお、図6は、図5のVI−VI線の向きから見た状態を示すものである。本実施の形態2は、補強部材3が仕切部材1の両面に形成されている点が実施の形態1と異なる特徴である。
次に、図5及び図6を用いて、本発明の実施の形態2について説明する。図5及び図6はそれぞれ、本実施の形態2に関する図2及び図3と同態様の図である。なお、図6は、図5のVI−VI線の向きから見た状態を示すものである。本実施の形態2は、補強部材3が仕切部材1の両面に形成されている点が実施の形態1と異なる特徴である。
図6において、仕切部材1の上面の流路は紙面に垂直方向であり、仕切部材1の下面の流路は紙面に平行な方向である。仕切部材1の両面に形成された補強部材3は、平面視、投影的に重ねてみたときに、格子状のパターンを形成している。図5の図示例では、仕切部材1の上面に配置された補強部材3も、仕切部材1の下面に配置された補強部材3も、仕切部材1の上面の流路と、仕切部材1の下面の流路との双方に対して、傾いている(交差している)方向に延びている。一例であるが、仕切部材1の上面に配置された補強部材3と、仕切部材1の下面に配置された補強部材3とは、平面視、投影的に重ねてみたときに、相互に90度傾いている向きに延びている。換言すると、図5の両面の補強部材3は平面視、投影的に重ねてみたときに、上記実施の形態1の図2の補強部材3を、45度回転させた(傾けた)態様で設けられている。
その他、仕切部材1及び間隔保持部材2、及び補強部材3の素材、厚み、間隔、形成面積の特徴は、実施の形態1と同一である。本発明の範囲に含まれる補強部材3の構成パターンは、三角形、六角形等でも良く、幾つかの多角形が混合したパターンでも良く、あるいは、平行線や曲線だけで構成された線状のパターンでも良い。さらに、本実施の形態2でも、補強部材は、平面視、投影的にみたときに、格子状のパターンではない態様で構成されていてもよい。
以上のように構成された本実施の形態2の全熱交換素子においても、上述した実施の形態1と同様な優れた作用効果が得られる。さらに加えて、一軸を仕切部材1の表面に、もう一方の一軸を仕切部材1の裏面に配し、平面視、投影的に重ねてみたときに格子をなす二軸で構成された本実施の形態2の補強部材3では、格子を形成する二軸の補強部材3の交点において補強部材の繊維が重なら無いため、仕切部材1の平面に対して補強部材3の厚みを精度良く一定に保つことができる。このため、間隔保持部材2形成のための射出成形またはインモールド成形において、間隔保持部材2の樹脂の流れを制御する上で有利な構造である。また、補強部材3による交点部分が無く、流路方向に沿っているため、実施の形態1よりも交点部分による通風抵抗が小さいことが特徴となる。なお、実施の形態2では、仕切板の両面に補強部材3を配するために、製造コストの観点では、実施の形態1が有利である。
実施の形態3.
次に、本実施の形態3は、補強部材3が仕切部材1に形成され、補強部材3が疎水性の樹脂組成物で構成されている点が、実施の形態1及び実施の形態2と異なる特徴である。
次に、本実施の形態3は、補強部材3が仕切部材1に形成され、補強部材3が疎水性の樹脂組成物で構成されている点が、実施の形態1及び実施の形態2と異なる特徴である。
本実施の形態3における、補強部材3が疎水性樹脂組成物で構成されており、疎水性樹脂組成物で水で伸びない樹脂であれば、特に素材には限定されないが、具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリル系樹脂等を主成分としてあれば良い。その他、仕切部材1及び間隔保持部材2、及び補強部材3の厚み、間隔、形成面積の特徴は、実施の形態1及び実施の形態2と同一である。また、本実施の形態3は、実施の形態1のように片面に補強部材3を配しても良く、実施の形態2のように両面に補強部材3を配しても良い。
本実施の形態における補強部材3の構成パターンは、三角形、六角形等でも良く、幾つかの多角形が混合したパターンでも良く、あるいは、平行線や曲線だけで構成された線状のパターンでも良い。さらに、本実施の形態3でも、補強部材は、平面視、投影的にみたときに、格子状のパターンではない態様で構成されていてもよい。
以上のように構成された実施の形態3では、特に製造方法には限定されないが、補強部材3の厚みの観点から、補強部材3はスクリーン印刷などの印刷技術で製造することが望ましい。印刷技術で製造された補強部材3は、補強部材3の間隔や形成面積などのサイズが印刷版で精度良くコントロールできることが特徴であり、また、補強部材3の樹脂材料が印刷時に溶融または溶剤に溶解した状態で仕切部材1へ浸透するため、仕切部材1と補強部材3とのアンカー効果が強いことから、仕切部材1と補強部材3との接着性に優れることが特徴となる。なお、本実施の形態による補強部材3は樹脂組成物であるため、繊維集合体と比べて弾性の点で劣ることから、湿度による仕切部材1の変形を抑制する効果は、実施の形態1および2が有利である。
続いて、本発明の実施の形態1に関する実施例1〜7及び実施の形態2に関する実施例8〜10と、実施の形態3に関する実施例11〜12と、比較例1〜15との比較を通して、本実施の形態1,2及び3の有効性について説明する。まずは、以下に、各実施例と各比較例の説明を行い、その後、比較結果について説明する。
実施例1.
実施例1では、透湿性及び気体遮蔽性を有する仕切部材として、膜厚25μmの高叩解した紙へ潮解性無機塩である塩化リチウムを添加したフィルム状の材料を用いた。本仕切部材の透湿度は相対湿度100%、温度30℃において18kg/m2/dayであり、透気度はガーレ法で5000秒/100cc以上であり、絶乾に対して相対湿度100%RHにおける仕切部材の伸び量はフィルムの巻き取り方向で4%、それと垂直方向で8%であった。なお、透湿度はJIS K 7129Bに準拠したモコン法による評価方法、透気度はJIS P 8117に準拠したガーレ法による評価方法を用いた。
実施例1では、透湿性及び気体遮蔽性を有する仕切部材として、膜厚25μmの高叩解した紙へ潮解性無機塩である塩化リチウムを添加したフィルム状の材料を用いた。本仕切部材の透湿度は相対湿度100%、温度30℃において18kg/m2/dayであり、透気度はガーレ法で5000秒/100cc以上であり、絶乾に対して相対湿度100%RHにおける仕切部材の伸び量はフィルムの巻き取り方向で4%、それと垂直方向で8%であった。なお、透湿度はJIS K 7129Bに準拠したモコン法による評価方法、透気度はJIS P 8117に準拠したガーレ法による評価方法を用いた。
また、補強部材は、厚み100μmのポリエステル繊維の集合体を10mm間隔で格子状に配し、繊維間を接着したネットを用いた。補強部材には、熱融着可能なバインダが塗布されており、格子状の補強部材を仕切部材の片面に熱接着した。補強部材は、格子の一軸方向を仕切部材の巻き取り方向と平行に配置し、もう一軸方向を仕切部材の巻き取り方向と垂直に配置した。
間隔保持部材は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンを主成分とした樹脂を用いた。前記補強部材を形成した仕切部材をインモールド成形することで間隔保持部材を成形した。インモールド成形において、流路と平行方向の仕切部材の端部二辺にそれぞれ遮蔽リブを成形し、仕切部材の両面に所定の間隔及び位置へ間隔リブを複数成形した。この時、仕切部材のそれぞれの面において、遮蔽リブによる流路と間隔リブによる流路は平行となるように成形した。すなわち、本実施例の間隔リブは仕切部材を介してそれぞれ直行したリブ形状を成す。このようにして、前記補強部材を形成した仕切部材へ遮蔽リブと間隔リブが成形された積層の単位となる部材を得た。
前記仕切部材にそれぞれ成形された遮蔽リブと間隔リブは、流路に対して平行な形状を有し、仕切部材の表面と裏面間でその流路は直行している。流路を形成する遮蔽リブと間隔リブの幅は1.0mm、遮蔽リブと間隔リブの高さは1.2mmで成形した。流路と垂直方向の隣り合う遮蔽リブ及び間隔リブ(間隔リブは短尺リブと長尺リブの構成)の間隔は10mmとした。流路と平行方向に長さ10mmとし、流路と平行方向に10mm毎の間隔で飛び飛びに間隔リブを成形した。ただし、これらの間隔リブの中で、間隔リブの5本に2本の割合で、流路と平行方向に長さを100mmで成形した。すなわち、間隔リブの5本に2本は、流路方向に長い形状を有している。また、これらの間隔リブと遮蔽リブと仕切部材の巻き取り方向の関係は、仕切部材の片面において仕切部材の巻き取り方向と平行方向に成形し、その裏面おいて仕切部材の巻き取り方向と垂直に成形した。
このようにして得られた積層単位を間隔保持部材により形成された流体通路が一層おきに交差するように積層した積層後の全熱交換素子の高さが30cmとなるようにした。積層する際、積層単位の外周四辺について積層時に接触する部分にメチルエチルケトンを塗布して溶着し、全熱交換素子を得た。
実施例2.
実施例2は、格子状の補強部材の間隔を仕切部材の巻き取り方向に10mm、それと垂直方向に5mmとしたものを用いた。それ以外は実施例1と同様である。
実施例2は、格子状の補強部材の間隔を仕切部材の巻き取り方向に10mm、それと垂直方向に5mmとしたものを用いた。それ以外は実施例1と同様である。
実施例3.
実施例3は、補強部材にガラス繊維集合体を用いた。それ以外は実施例1と同様である。
実施例3は、補強部材にガラス繊維集合体を用いた。それ以外は実施例1と同様である。
実施例4.
実施例4は、格子状の補強部材において、フィルムの巻き取り方向をポリエステル繊維集合体、その垂直方向をガラス繊維集合体とした格子状のネットを用いた。それ以外は実施例1と同様である。
実施例4は、格子状の補強部材において、フィルムの巻き取り方向をポリエステル繊維集合体、その垂直方向をガラス繊維集合体とした格子状のネットを用いた。それ以外は実施例1と同様である。
実施例5.
実施例5は、格子状の補強部材の中で一軸方向を仕切部材の巻き取り方向に対して45度方向、格子状の補強部材のもう一軸方向は仕切部材の巻き取り方向に対してマイナス45度方向へ配置した全熱交換素子である。すなわち、実施例5は、実施例1の格子状の補強部材全体を仕切部材に対して45度回転した配置のものである。それ以外は実施例1と同様である。
実施例5は、格子状の補強部材の中で一軸方向を仕切部材の巻き取り方向に対して45度方向、格子状の補強部材のもう一軸方向は仕切部材の巻き取り方向に対してマイナス45度方向へ配置した全熱交換素子である。すなわち、実施例5は、実施例1の格子状の補強部材全体を仕切部材に対して45度回転した配置のものである。それ以外は実施例1と同様である。
実施例6.
実施例6は、補強部材を仕切部材の巻き取り方向に対して平行方向だけに配した全熱交換素子である。すなわち、補強部材は、実施例1から5とは異なり、格子状のパターンを形成してない。それ以外は実施例1と同様である。
実施例6は、補強部材を仕切部材の巻き取り方向に対して平行方向だけに配した全熱交換素子である。すなわち、補強部材は、実施例1から5とは異なり、格子状のパターンを形成してない。それ以外は実施例1と同様である。
実施例7.
実施例7は、補強部材を仕切部材の巻き取り方向に対して垂直方向だけに配した全熱交換素子である。すなわち、補強部材は、実施例1から5とは異なり、格子状のパターンを形成してない。それ以外は実施例1と同様である。
実施例7は、補強部材を仕切部材の巻き取り方向に対して垂直方向だけに配した全熱交換素子である。すなわち、補強部材は、実施例1から5とは異なり、格子状のパターンを形成してない。それ以外は実施例1と同様である。
実施例8.
実施例8では、補強部材の一軸を仕切部材の片面に配し、補強部材のもう一軸方向をその裏面に配した。遮蔽リブと間隔リブによる流路方向が成形された仕切部材の面と補強部材の延びる方向が接着された面とを一致させてインモールド成形し、全熱交換素子を得た。仕切部材の両面で流路は直行しているため、補強部材は仕切部材を介して格子状のパターンを有し、補強部材の延びる方向と流路方向はそれぞれ平行となる。それ以外は、実施例1と同様である。
実施例8では、補強部材の一軸を仕切部材の片面に配し、補強部材のもう一軸方向をその裏面に配した。遮蔽リブと間隔リブによる流路方向が成形された仕切部材の面と補強部材の延びる方向が接着された面とを一致させてインモールド成形し、全熱交換素子を得た。仕切部材の両面で流路は直行しているため、補強部材は仕切部材を介して格子状のパターンを有し、補強部材の延びる方向と流路方向はそれぞれ平行となる。それ以外は、実施例1と同様である。
実施例9.
実施例9では、補強部材の一軸を仕切部材の片面に配し、補強部材のもう一軸方向をその裏面に配した。遮蔽リブと間隔リブによる流路方向が成形された仕切部材の面と補強部材の延びる方向が接着された面の逆面とを一致させてインモールド成形し、全熱交換素子を得た。仕切部材の両面で流路は直行しているため、補強部材は仕切部材を介して格子状のパターンを有し、補強部材の延びる方向と流路方向はそれぞれ垂直となる。それ以外は、実施例8と同様である。
実施例9では、補強部材の一軸を仕切部材の片面に配し、補強部材のもう一軸方向をその裏面に配した。遮蔽リブと間隔リブによる流路方向が成形された仕切部材の面と補強部材の延びる方向が接着された面の逆面とを一致させてインモールド成形し、全熱交換素子を得た。仕切部材の両面で流路は直行しているため、補強部材は仕切部材を介して格子状のパターンを有し、補強部材の延びる方向と流路方向はそれぞれ垂直となる。それ以外は、実施例8と同様である。
実施例10.
実施例10では、補強部材の一軸方向については、仕切部材の表面に巻き取り方向と平行に配置し、もう一軸方向をその裏面に巻き取り方向と垂直に配置した。遮蔽リブと間隔リブによる流路方向が形成された仕切部材の面と補強部材の延びる方向が接着された面を一致させてインモールド成形し、全熱交換素子を得た。仕切部材の両面で流路は互いに直行しているため、補強部材は仕切部材を介して格子状のパターンを有し、補強部材の延びる方向と流路方向は平行となる。仕切部材の巻き取り方向と垂直方向の補強部材間の間隔を5mm、仕切部材の巻き取り方向と垂直方向の間隔を10mmとした。それ以外は、実施例1と同様である。
実施例10では、補強部材の一軸方向については、仕切部材の表面に巻き取り方向と平行に配置し、もう一軸方向をその裏面に巻き取り方向と垂直に配置した。遮蔽リブと間隔リブによる流路方向が形成された仕切部材の面と補強部材の延びる方向が接着された面を一致させてインモールド成形し、全熱交換素子を得た。仕切部材の両面で流路は互いに直行しているため、補強部材は仕切部材を介して格子状のパターンを有し、補強部材の延びる方向と流路方向は平行となる。仕切部材の巻き取り方向と垂直方向の補強部材間の間隔を5mm、仕切部材の巻き取り方向と垂直方向の間隔を10mmとした。それ以外は、実施例1と同様である。
実施例11.
実施例11では、補強部材3にポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、補強部材3をスクリーン印刷により仕切部材上に成形した。スクリーン印刷に用いたインクは、ポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分として、溶剤としてメチルエチルケトン、バインダ樹脂としてエチルセルロース、揺変剤としてアマイドワックスを用いて調整した。印刷成形した補強部材3の厚みは90μmであった。それ以外は、実施例1と同様である。
実施例11では、補強部材3にポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、補強部材3をスクリーン印刷により仕切部材上に成形した。スクリーン印刷に用いたインクは、ポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分として、溶剤としてメチルエチルケトン、バインダ樹脂としてエチルセルロース、揺変剤としてアマイドワックスを用いて調整した。印刷成形した補強部材3の厚みは90μmであった。それ以外は、実施例1と同様である。
実施例12.
実施例12では、補強部材の一軸を仕切部材の片面に配し、補強部材のもう一軸方向をその裏面に配した。補強部材3にポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、補強部材3をスクリーン印刷により仕切部材上に片面ずつ成形した。スクリーン印刷に用いたインクおよび補強部材の厚みは実施例11と同様である。それ以外は、実施例1と同様である。
実施例12では、補強部材の一軸を仕切部材の片面に配し、補強部材のもう一軸方向をその裏面に配した。補強部材3にポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、補強部材3をスクリーン印刷により仕切部材上に片面ずつ成形した。スクリーン印刷に用いたインクおよび補強部材の厚みは実施例11と同様である。それ以外は、実施例1と同様である。
比較例1.
比較例1〜5は、仕切部材の特徴を実施例1とは異ならせたものである。まず、比較例1は、補強部材を用いなかった全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例1〜5は、仕切部材の特徴を実施例1とは異ならせたものである。まず、比較例1は、補強部材を用いなかった全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例2.
比較例2は、補強部材の厚みを50μmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例2は、補強部材の厚みを50μmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例3.
比較例3は、補強部材の厚みを510μmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例3は、補強部材の厚みを510μmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例4
比較例4は、格子状の補強部材間の間隔を15mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例4は、格子状の補強部材間の間隔を15mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例5
比較例5は、格子状の補強部材間の間隔を5.0mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例5は、格子状の補強部材間の間隔を5.0mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例6.
比較例6〜9は、仕切部材の特徴を実施例1とは異ならせたものである。まず、比較例6では、仕切部材に透湿度10kg/m2/dayの紙を用いた全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例6〜9は、仕切部材の特徴を実施例1とは異ならせたものである。まず、比較例6では、仕切部材に透湿度10kg/m2/dayの紙を用いた全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例7.
比較例7では、仕切部材に透気度が200秒/100cc以上の紙を用いた全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例7では、仕切部材に透気度が200秒/100cc以上の紙を用いた全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例8.
比較例8では、仕切部材の膜厚が4μmの紙を用いた全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例8では、仕切部材の膜厚が4μmの紙を用いた全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例9.
比較例9では、仕切部材の膜厚が100μmの紙を用いた全熱交換素子である。ただし、紙の膜厚が大きいため透湿度が8kg/m2/day程度であった。それ以外は実施例1と同様である。
比較例9では、仕切部材の膜厚が100μmの紙を用いた全熱交換素子である。ただし、紙の膜厚が大きいため透湿度が8kg/m2/day程度であった。それ以外は実施例1と同様である。
比較例10.
比較例10〜15は、間隔保持部材の特徴を実施例1とは異ならせたものである。比較例10では、間隔保持部材で規定される流路高さを4.0mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例10〜15は、間隔保持部材の特徴を実施例1とは異ならせたものである。比較例10では、間隔保持部材で規定される流路高さを4.0mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例11.
比較例11では、間隔保持部材で規定される流路高さを0.3mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例11では、間隔保持部材で規定される流路高さを0.3mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例12.
比較例12では、間隔保持部材で規定されるリブ間隔を2.0mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例12では、間隔保持部材で規定されるリブ間隔を2.0mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例13.
比較例13では、間隔保持部材で規定されるリブ間隔を40mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例13では、間隔保持部材で規定されるリブ間隔を40mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例14.
比較例14では、間隔保持部材の幅を0.3mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例14では、間隔保持部材の幅を0.3mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例15.
比較例15では、間隔保持部材の幅を3.0mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
比較例15では、間隔保持部材の幅を3.0mmとした全熱交換素子である。それ以外は実施例1と同様である。
続いて、実施例1〜12および比較例1〜15に示した各全熱交換素子の性能評価について図7及び図8をもとに説明する。各全熱交換素子の性能評価は、全熱交換効率、圧力損失、及び空気漏れ率で行った。全熱交換素子の高湿度環境試験は、全熱交換素子を水中に浸漬した後乾燥させることを数度繰り返して、高湿度環境を模擬することで行う。高湿度環境試験の前後の評価結果を比較することにより行った。即ち、全熱交換素子の全熱交換効率を評価した後、全熱交換器の高湿度環境試験を行い、高湿度環境試験後の全熱交換素子について、全熱交換効率の評価を再度行う。
全熱交換素子の圧力損失は、JIS B 8330に準じた方式で評価した。高湿度環境試験は、初期状態で測定した圧力損失と、高湿度試験後に測定した圧力損失とを比較し、全熱交換器における吸気および排気の通気性の変動を圧力損失の観点から評価した。圧力損失の測定結果では、初期状態の圧力損失に対して、高湿度環境試験後の圧力損失が105%未満であるときに全熱交換器は、高湿度環境試験後によって圧力損失はほぼ増大されないものとして優判定(◎)、初期の圧力損失に対して、高湿度環境試験後の圧力損失が105%以上120%未満であるときには、高湿度環境試験後によって圧力損失はやや増大されるものの、実用上問題ないものとして良判定(○)、さらに、高湿度環境試験後の圧力損失が初期の圧力損失の120%以上であるときには、圧力損失が増大しすぎて、吸気流路および排気流路の通気が阻害され、実用上の信頼性が損なわれるレベルと判断して不可判定(×)とした。
全熱交換素子の全熱交換効率は、JIS B 8628(全熱交換器)の付属書4内の2室法に準じた方式で評価した。全熱交換効率の評価では、一次気流(吸気流、第1の気流)の条件が温度27℃、相対湿度52.7%RHとされ、二次気流(排気流、第2の気流)の条件が温度35℃、相対湿度64.3%RHとされている。高湿度環境試験は、高湿度環境試験前から高湿度環境試験後への全熱交換効率の低下率が10%未満であれば、高湿度時の耐性が良いとの良判定(○)を行い、10%以上であれば、高湿度時の耐性が悪いとの不良判定(×)を行った。
全熱交換素子の空気漏れ率は、JIS B 8330に準じた方式で評価した。高湿度環境試験は、高湿度環境試験前から高湿度環境試験後への空気漏れ率の低下率が10%未満であれば、高湿度時の耐性が良いとの良判定(○)を行い、10%以上であれば、高湿度時の耐性が悪いとの不良判定(×)を行った。
図7は、全熱交換素子の高湿度試験前の性能(初期性能)の評価結果を実施例1〜12および比較例1〜15ごとに示す表である。図8は、全熱交換素子の高湿度環境試験前後の性能変化の判定結果を実施例1〜12および比較例1〜15ごとに示す表である。図7と図8に示すように、実施例1〜12の全熱交換素子は、全熱交換効率、圧力損失および空気漏れ率において、初期性能及び高湿度環境試験前について良好な結果を示している。また、実施例1〜12の全熱交換素子は、高湿度環境試験後においても、全熱交換素子の性能指標である全熱交換効率を維持しており、更に圧力損失および空気漏れを維持しており、高湿度環境下においても優れた性能を発揮することが分かる。
次に、比較例1〜15で評価が不良となった要因の解釈について説明する。比較例1では、圧力損失が初期圧力損失に比べて高湿度環境試験後の圧力損失が300%以上(測定限界値以上)に増大した。補強部材を用いなかったために、湿度による仕切部材の撓みが大きく、ほぼ全ての流路が閉塞されたためである。高湿度試験後の圧力損失が非常に大きかったために、全熱交換効率および漏れ率の測定は出来なかった。また、初期の空気漏れ率が大きく、所望の空気漏れ率を達成できなかった。遮蔽リブの仕切部材の接着性が悪く、吸気と排気が混合したためと考えられる。
比較例2では、高湿度環境試験後の圧力損失が初期圧力損失に比べて15%増大した。補強部材の繊維集合体の直径が小さいために、強度不足のために湿度による仕切部材の撓みによる流路閉塞を十分には抑えきれなかったと考えられる。比較例2では、高湿度環境試験後の空気漏れ率が不可判定であった。繊維集合体の直径が小さいため紙と繊維集合体の接着面積が小さく、紙と繊維集合体の接着面で剥がれが発生したことから、紙と繊維集合体の接着面で剥がれにより、高湿度により遮蔽リブと紙の接着面において密着性が低下し、吸排気の混合がおこり空気の漏れ率が上昇したと考えられる。
比較例3では、補強部材の厚みが大きいため、補強部材の強度が向上し、高湿度環境試験後の圧力損失の変化は小さい。しかし、補強部材自体が通風抵抗になって初期性能の圧力損失値が実施例と比べて80%程度も大きく、所望の圧力損失を実現できなかったと考えられる。
比較例4では、高湿度環境試験後の圧力損失が初期の圧力損失に比べて190%増大した。補強部材間の間隔が広いため、仕切部材が撓む間隔が実施例と比べて大きい。そのため、比較例4では、比較例2では、高湿度環境試験後の空気漏れ率が不可判定であった。比較例4では、仕切部材が撓む間隔が実施例と比べて大きいため、紙と繊維集合体の接着面および繊維集合体と間隔保持部材の接着面に掛かる剪断力が大きくなり、紙と繊維集合体の接着面および繊維集合体と間隔保持部材の間で剥がれが発生したため、空気漏れ率を抑えきれなかったと考えられる。
比較例5では、初期の全熱交換効率が実施例と比べて15%程度低く、所望の全熱交換効率が得られなかった。補強部材で緻密に覆われた面積が大きく、透湿面積が減少したため低い全熱交換効率となったと考えられる。なお、圧力損失、全熱交換効率、および空気の漏れ率の高湿度試験による性能変化は優判定であった。補強部材の間隔が狭いため、十分に紙の撓みを抑えることができたからと考えられる。
比較例6では、初期の全熱交換効率が実施例と比べて15%程度低く、所望の全熱交換効率が得られなかった。仕切部材の透湿性が低いために、全熱交換効率における湿度交換効率が悪く、所望の全熱交換効率が達成できなかったと考えられる。
比較例7では、初期の空気漏れ率が実施例と比べて5倍程度悪化しており、所望の空気漏れ率が得られなかった。仕切部材の透気度が低いために、仕切部材を介して吸気と排気が混合したためと考えられる。
比較例8では、間隔保持部材をインサート成形するときに仕切部材が破裂した。仕切部材が薄膜であるため、十分な強度がなかったと考えられる。なお、仕切部材が破損したため、各種性能試験ができなかった。
比較例9では、仕切部材の膜厚が厚いため、仕切部材に必要な十分な透湿度が得られなかった。そのため、初期性能の全熱交換効率が実施例と比べて30%程度低く、所望の全熱交換効率が得られなかった。
比較例10では、初期の全熱交換効率が実施例と比べて15%程度低く、所望の全熱交換効率が得られなかった。流路高さが高いため積層数が減少し、そのため、全熱交換素子の全熱交換する総面積が減少する。
比較例11では、初期の圧力損失が実施例と比べて10%程度高く、所望の圧力損失が得られなかった。流路高さが小さいため流路の断面積が小さく、空気の通風性が悪化したためと考えられる。比較例11では、高湿度環境試験後の圧力損失が初期の圧力損失に比べて300%以上(測定限界値以上)に増大し不可判定となった。流路高さが低すぎるため、補強部材の効果が不足したためと考えられる。高湿度試験後の圧力損失が非常に大きかったために、全熱交換効率および漏れ率の測定は出来なかった。
比較例12では、初期の圧力損失が実施例と比べて20%程度高く、所望の圧力損失が得られなかった。また、初期の全熱交換効率が実施例と比べて10%程度低く、所望の全熱交換効率が得られなかった。圧力損失の初期性能は、流路高さが小さいため流路の断面積が小さいため、および小さな流路が多数形成されるため、空気の抵抗となる角部が大きいため、圧力損失が悪化したためと考えられる。全熱交換効率の初期性能は、全熱交換する仕切部材において透湿性のほぼ無い間隔保持部材で覆われる面積が増大したためと考えられる。
比較例13では、仕切部材の単位面積あたりの間隔保持部材量が少ないため、全熱交換素子の積層単位の強度が不十分であり、積層単位を積層することができなかった。そのため、各種性能試験はできなかった。
比較例14では、仕切部材の単位面積あたりの間隔保持部材量が少ないため、全熱交換素子の積層単位の強度が不十分であり、積層単位を積層することができなかった。そのため、各種性能試験はできなかった。
比較例15では、初期の圧力損失が実施例と比べて10%程度高く、所望の圧力損失が得られなかった。また、初期の全熱交換効率が実施例と比べて10%程度低く、所望の全熱交換効率が得られなかった。圧力損失の初期性能は、流路の断面積が小さく、空気の通風性が悪化したためと考えられる。全熱交換効率の初期性能は、全熱交換する仕切部材において透湿性のほぼ無い間隔保持部材で覆われる面積が増大したためと考えられる。
全熱交換素子及びそれを備えた全熱交換器によれば、高湿度な環境下であっても、高い全熱交換効率の実現と吸排気混合の抑制を実現しつつ、低い通風抵抗を維持することができる。
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。
1 仕切部材、2 間隔保持部材、3 補強部材、4 第1の流路、5 第2の流路、6 間隔保持部材間隔、7 補強部材間隔、10 全熱交換素子。
Claims (10)
- 熱交換する第一の流路及び第二の流路と、
それら第一の流路及び第二の流路を仕切る仕切部材と、
前記流路を形成する間隔保持部材とを備え、
前記間隔保持部材は、前記仕切部材を樹脂と一体成形することにより形成される、全熱交換素子であって、
前記仕切部材には、前記間隔保持部材に対して接着性を有し且つ水で伸びない補強部材が設けられている、
全熱交換素子。 - 前記補強部材は、接着剤が塗布された弾性な繊維集合体である、請求項1の全熱交換素子。
- 前記補強部材は、疎水性樹脂を主成分とする組成物である、請求項1の全熱交換素子。
- 前記間隔保持部材で区切られた領域のうち、面積最小の領域を考え、その領域の内部で定義できる最も長い線分を間隔保持部材間隔とし、且つ、前記補強部材の間隔の中で最小のものを補強部材間隔としたとき、
前記補強部材間隔は、前記間隔保持部材間隔の1/2以下である、
請求項1乃至3の何れか一項の全熱交換素子。 - 前記補強部材の厚みは、前記間隔保持部材の高さの1/4以下である、
請求項1乃至4の何れか一項の全熱交換素子。 - 前記補強部材が占める面積は、平面視、前記仕切部材の5%から40%である、
請求項1乃至5の何れか一項の全熱交換素子。 - 前記補強部材の一部が前記間隔保持部材の内部に入り込んでいる、
請求項1乃至6の何れか一項の全熱交換素子。 - 前記補強部材は、前記仕切部材の片面だけに設けられ格子状に構成されている、
請求項1乃至7の何れか一項の全熱交換素子。 - 前記補強部材は、前記仕切部材の両面に設けられ、平面視、投影的にみて格子状をなしている、
請求項1乃至7の何れか一項の全熱交換素子。 - 請求項1乃至9の何れか一項の全熱交換素子を搭載したことを特徴とする全熱交換器。
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