JP2013134147A - 補正装置、測定システムおよび補正方法 - Google Patents

補正装置、測定システムおよび補正方法 Download PDF

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章平 福本
Yukio Yamazaki
幸生 山崎
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星司 高見
Mikihiro Yamanaka
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Abstract

【課題】補正の精度を高めることができる補正方法等を提供する。
【解決手段】判定装置20は、1種類以上の参照光を測定部位に照射することによって生体から放射される放射光の測定結果を用いて、測定部位に含まれる複数種類の影響物質の、蛍光の強度に及ぼす影響を示す複数の影響度を算出する影響度算出部24と、複数の影響度を用いて、蛍光データを補正する蛍光強度補正部25とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体内に存在する測定対象物質の測定値を補正する補正方法、当該補正を行う補正装置、および当該補正装置を含む測定システムに関する。
従来、抗糖化(抗加齢)化粧品として、肌に蓄積したAGEs(Advanced Glycation Endproducts;後期糖化反応生成物)の低減を目的としたものが商品化されている。このAGEsは、タンパク質と、糖質や脂質との非酵素的糖付加反応(メイラード反応)により形成される最終生成物であり、黄褐色を呈し、その一部は蛍光を発する物質である。また、AGEsは、近くに存在する構造蛋白質と結合して架橋を形成する性質を有している。特にAGEsと真皮を構成しているコラーゲンとの架橋は、皮膚の弾力性を低下させるとともに、くすみの原因となることで問題となっている。
このようなAGEsをモニタリングすることで、肌の健康状態、老化を評価することができる。生体を侵襲することなく手軽にAGEsのデータを取得する方法として、皮膚コラーゲンに結合したAGEsからの蛍光スペクトルを測定し、測定した蛍光強度から肌に蓄積したAGEsの量を求める方法が知られている。
この方法では、メラニンなど皮膚中に存在する吸光物質が検出結果に影響を及ぼすことが知られている。つまり、メラニンなどの吸光物質が、入射する励起光の一部を吸収する、あるいは発生する蛍光の一部を吸収することで、AGEsを正確に測定することを阻害するという問題点がある。
上記課題の対策として、皮膚中の、特に表皮中の吸光物質などの阻害要因の影響を除く方法として特許文献1や非特許文献1に記載の方法が報告されている。
特許文献1に記載の方法では、肌に励起光を照射することで発生する蛍光を測定するとともに、上記蛍光の波長を含む検査光を肌に照射し、その反射光を測定した結果を示す反射光データにより蛍光データを補正している。
非特許文献1に記載の方法では、メラニンやヘモグロビンに関する情報を、一波長による反射光データにより取得し、当該情報を用いて蛍光データを補正している。
特開2004−290234号公報(2004年10月21日公開) Renhua Na. et al, The Journal of Investigative Dermatology, Vol. 116, No.4, p536-540, APRIL 2001
ところが、上記特許文献1のおよび非特許文献1の方法では、1波長の光による反射光データにより蛍光データを補正しているため、補正の精度が低いという問題が生じる。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、蛍光強度の補正の精度を高めることができる補正方法および当該補正を行う補正装置等を提供することにある。
本発明に係る補正装置は、上記の課題を解決するために、
410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位に照射することによって生じる、測定対象物質の蛍光の強度を示す蛍光データを補正する補正装置であって、
500nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する1種類以上の参照光を上記測定部位に照射することによって上記生体から放射される放射光の測定結果を用いて、上記測定部位に含まれると推定される複数種類の影響物質の、上記蛍光の強度に及ぼす影響を示す複数の影響度を算出する影響度算出部と、
上記影響度算出部が算出した複数の影響度を用いて、上記蛍光データを補正する蛍光強度補正部とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位(例えば、腕の皮膚表面)に照射することによって、当該励起光を受けて蛍光を発する測定対象物質の蛍光が発生し、その蛍光の強度を測定することにより、当該測定対象物質の蓄積量を測定することができる。
このようにして得られた蛍光の強度は、測定部位に含まれる影響物質(例えば、吸光物質)の影響により、真の値よりも低い値となっている可能性が高い。
そこで、影響度算出部は、1種類以上の参照光を測定部位に個別に照射することによって生じる放射光(反射光、散乱光または蛍光)の測定結果をそれぞれ用いて、複数種類の影響物質の、上記蛍光の強度に及ぼす影響を示す影響度を算出する。上記参照光は、500nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する光である。
参照光の波長範囲が励起光の波長範囲と異なっていることにより、測定対象物質以外の影響物質の影響をより正確に測定することができる。例えば、影響物質の一例として想定されるメラニンは、660nmの波長の光を用いて吸収量を算出することができる。
そして、蛍光強度補正部は、算出された複数の影響度を用いて蛍光データを補正する。複数の影響度を用いて補正を行うことにより、1つの影響度を用いて補正を行う場合よりも補正の精度を高めることができる。
なお、励起光の照射位置と参照光の照射位置とを一致させることが好ましいが、完全に一致させる必要は必ずしもなく、参照光の照射位置は、励起光の照射位置の近傍であればよい。
本発明の一実施形態において、上記蛍光強度補正部は、各影響物質の影響度に対応する蛍光強度減衰量を、上記蛍光データが示す蛍光の強度に加算することにより当該蛍光データを補正することが好ましい。
上記の構成によれば、複数種類の影響物質の存在によって真値よりも低く検出される測定対象物質の蛍光強度を、複数の影響度を用いて補うことができ、測定対象物質の蛍光強度を真値に近づけることができる。
本発明の一実施形態において、上記影響度算出部は、上記測定部位に上記参照光を照射したときの放射光の強度または当該強度に基づいて算出される算出値を、予め放射光の強度または上記算出値と上記影響物質による蛍光強度の減衰量との関係から算出した数式に代入することで、上記影響度を算出することが好ましい。
上記の構成によれば、予め検量線を示す数式を算出しておくことで、測定時に精度良く影響度を算出することができる。なお、放射光の強度に基づいて算出される算出値とは、例えば、参照光の反射率または吸光度である。
本発明の一実施形態において、上記影響度算出部は、上記複数種類の影響物質の少なくとも1つについて、2種類以上の上記参照光を上記測定部位に照射することによって生じる2種類以上の放射光の測定結果を用いて当該影響物質の影響度を算出することが好ましい。
上記の構成によれば、1種類の影響物質の影響度を算出するために2種類以上の参照光が用いられるため、影響度の算出精度を高めることができる。
本発明の一実施形態において、上記励起光は、AGEs(Advanced Glycation Endproducts)の検出に適した波長を有している。
上記の構成により、測定部位におけるAGEsの蓄積量を測定することができる。
本発明に係る測定システムは、上記の課題を解決するために、
上記補正装置と、
410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位に照射する励起光照射部と、
上記励起光が上記測定部位に照射されることによって生じる蛍光の強度を測定する蛍光測定部と、
500nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する1種類以上の参照光を上記測定部位に照射する参照光照射部と、
上記1種類以上の参照光を上記測定部位に照射することによって上記生体から放射される放射光の強度を測定する放射光測定部とを含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、励起光照射部によって励起光が測定部位に照射され、これによって生じた蛍光の強度を蛍光測定部が測定する。また、参照光照射部によって1種類以上の参照光が測定部位に照射され、これによって生じた放射光の強度を放射光測定部が測定する。これらの測定結果を用いて、補正装置が影響度を算出し、算出した影響度を用いて、蛍光データを補正する。
それゆえ、1つの影響度を用いて補正を行う場合よりも補正の精度を高めることができる。
本発明に係る補正方法は、上記の課題を解決するために、
410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位に照射することによって生じる、測定対象物質の蛍光の強度を示す蛍光データを補正する補正方法であって、
500nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する1種類以上の参照光を上記測定部位に照射することによって上記生体から放射される放射光の測定結果を用いて、上記測定部位に含まれると推定される複数種類の影響物質の、上記蛍光の強度に及ぼす影響を示す複数の影響度を算出する影響度算出工程と、
上記影響度算出工程において算出した複数の影響度を用いて、上記蛍光データを補正する補正工程とを含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位に照射することによって、当該励起光を受けて蛍光を発する測定対象物質の蛍光が発生し、その蛍光の強度を測定することにより、当該測定対象物質の蓄積量を測定することができる。
このようにして得られた蛍光の強度は、測定部位に含まれる影響物質の影響により、真の値よりも低い値となっている可能性が高い。
そこで、1種類以上の参照光を測定部位に個別に照射することによって生じる放射光の測定結果をそれぞれ用いて、複数種類の影響物質の、上記蛍光の強度に及ぼす影響を示す影響度を算出する。上記参照光は、500nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する光である。
参照光の波長範囲が励起光の波長範囲と異なっていることにより、測定対象物質以外の影響物質の影響をより正確に測定することができる。
そして、算出された複数の影響度を用いて蛍光データを補正することにより、1つの影響度を用いて補正を行う場合よりも補正の精度を高めることができる。
本発明の一実施形態において、上記補正方法は、標準となる蛍光を受光し、その蛍光の強度を測定する標準蛍光測定工程と、
上記標準蛍光測定工程において測定した蛍光の強度に基づいて、上記蛍光データが示す蛍光の強度を補正する第2補正工程とをさらに含むことが好ましい。
上記の構成によれば、標準となる蛍光を受光することによって得られた測定値に基づいて、上記蛍光データが示す蛍光の強度が補正される。
それゆえ、何らかの原因により、蛍光を検出する検出器の感度が変化するなど、蛍光の検出に関わる部材に異常が生した場合に、その異常によって影響を受けた蛍光データを補正することができ、測定対象物質の測定精度を高めることができる。
なお、第2補正工程は、蛍光の検出器などの測定装置が測定値に対して与える影響を除くためのものであるため、吸光物質の影響を除くための第1補正工程における補正には影響を及ぼさない。そのため、第2補正工程は、第1補正工程より先に行われても、第1補正工程の後に行われてもよい。
本発明の一実施形態において、上記参照光を所定の反射板に照射することにより生じた反射光を受光する基準反射光受光工程と、
上記基準反射光受光工程において受光した反射光の強度に基づいて、上記影響度算出工程において用いる上記放射光の強度を補正する第3補正工程とをさらに含むことが好ましい。
上記の構成によれば、参照光を所定の反射板(例えば、白色板)に照射することにより生じた反射光の強度に基づいて、反射光の強度が補正される。
それゆえ、何らかの原因により参照光の光出力が所定の強度から変化した場合や反射光を検出する検出器の感度が変化した場合に、その変化に応じて、影響度算出工程において用いる放射光の強度を補正することができ、測定対象物質の測定精度を高めることができる。
本発明は、複数の影響度を用いて補正を行うことにより、1つの影響度を用いて補正を行う場合よりも蛍光強度の補正の精度を高めることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る肌状態判定システムの構成を示す図である。 上記肌状態判定システムに含まれる測定装置の第1実施例を示す概略図である。 上記肌状態判定システムに含まれる測定装置の第2実施例を示す概略図である。 上記肌状態判定システムに含まれる測定装置の第3実施例を示す概略図である。 上記肌状態判定システムにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。 皮膚ファントムモデルを用いたメラニン量依存AGEs測定実験の方法を説明するための図である。 人工的に合成した糖化コラーゲン(AGEs)を用いた蛍光スペクトルを示す図である。 図6に示す皮膚ファントムモデルを用いたメラニン量依存AGEs測定実験における蛍光強度の補正前後の値を示すグラフである。 図8に示すグラフの部分拡大図である。 皮膚ファントムモデルを用いたヘモグロビン量依存AGEs測定実験の方法を説明するための図である。 図10に示す皮膚ファントムモデルを用いたヘモグロビン量依存AGEs測定実験における蛍光強度の補正前後の値を示すグラフである。 図11に示すグラフの部分拡大図である。 皮膚ファントムモデルを用いたメラニンおよびヘモグロビン量依存AGEs測定実験の方法を説明するための図である。 皮膚ファントムモデルを用いたメラニン量およびヘモグロビン量依存AGEs測定実験における蛍光強度の補正前後の値を示すグラフである。
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。図1は、肌状態判定システム(測定システム)100の構成を示す図である。図1に示すように、肌状態判定システム100は、測定装置(測定部)10および判定装置(判定部)20を備えている。
この肌状態判定システム100では、測定装置10において測定対象物質である肌内蛍光物質を検出するための励起光が照射されるとともに、当該蛍光強度に影響を及ぼす可能性のある影響物質を検出するための参照光が照射される。そして、測定装置10は、励起光の照射によって発生した蛍光および参照光の照射によって発生した放射光の強度を測定する。判定装置20は、放射光の強度に基づいて蛍光の強度を補正し、補正した蛍光強度に基づいて肌状態を判定する。
<測定装置10の概要>
測定装置10は、測定対象の個体(生体)の肌(皮膚)における測定部位70に対して励起光を照射し、当該照射によって生じる、測定対象物質の蛍光強度を測定する。また、測定装置10は、上記蛍光強度を示す蛍光データを補正するための1種類以上の参照光を測定部位70に照射し、当該照射によって生体から放射される放射光(反射光、蛍光など)の強度を測定する。
しかしながら、測定装置10が取得するデータは、このような蛍光や放射光のデータのみに限られず、その他の物性情報(または物理量)を取得するようにしてもよい。
例えば、一般に、肌の一部に光が照射されることにより生じる光としては、照射した光が反射した反射光、反射した光が肌を透過した透過光、または、励起光を照射することによって生じた蛍光(肌に含まれる物質に由来する蛍光)などを挙示できる。
よって、測定装置10は、本実施形態において示す光の強度の他、例えば、その半値幅、検出された光の波長、肌の透過率などといった、肌の一部に含まれる物質などに由来する物性情報(または物理量)のいずれかを特定するものであればよい。
測定装置10の測定対象となる測定部位70は、例えば、腕、手首、指、手のひら、頬、耳等であり、これらの測定部位70に対して励起光および参照光が照射される。
励起光の照射位置と参照光の照射位置とを一致させることが好ましいが、完全に一致させる必要は必ずしもなく、参照光の照射位置は、励起光の照射位置の近傍であればよい。
<測定装置10の構成>
測定装置10は、励起光源(励起光照射部)11、検出器(蛍光測定部、放射光測定部)12、第1参照光源(参照光照射部)13および第2参照光源(参照光照射部)14を備えている。
(励起光源11)
励起光源11は、410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を測定部位70に照射するための光源である。励起光源11として、ハロゲンやキセノン光源のような管球タイプのものや、LED(発光ダイオード)、LD(レーザダイオード)等が利用可能である。
励起光の波長範囲は、測定対象物質の種類に応じて設定されればよい。例えば、励起光は、後期糖化反応生成物(AGEs(Advanced Glycation Endproducts))の検出することが可能な波長範囲を有していてもよい。
AGEsには、現在構造が明らかになったものだけでも20ほどの種類があり、その中で励起光を照射すると蛍光を発するものがいくつかある。例えば、ペントシジンおよびベスパーリジンはAGEsの代表的な例である。
ペントシジンはペントースと等モルのリジンとアルギニンとが架橋した構造を有し、酸加水分解後に安定な蛍光性物質である。このペントシジンは、特に糖尿病の発症や末期の腎症において増加することが報告されている。ペントシジンは、328〜335nmの波長の励起光を受けて378〜385nmの蛍光を発する。
ベスパーリジンはAGE化ウシ血清アルブミン(BSA)を酸加水分解した後、主要な蛍光性物質として単離され、2分子のリジンを架橋した構造を有している。ベスパーリジンは、370nmの波長の励起光を受けて440nmの蛍光を発する。
これらのAGEsを検出するための励起光の波長としては、370nmまたはその近傍の波長(315〜400nm)が適している。AGEsの種類によって適応する励起光の幅としては、近紫外領域である315〜400nmから可視光領域である315〜600nmのものが適している。すなわち、AGEsを検出するための励起光の波長範囲として315nm以上、600nm以下の範囲を設定することができる。
しかしながら、本実施形態では、励起光の波長範囲と参照光の波長範囲とを分けるために、励起光の波長範囲は、410nm以下であることが好ましい。
本実施形態では、励起光の波長は、近紫外領域の230nm以上、365nm以下の波長か、青紫領域の405nmの波長となっている。このような波長の光を測定部位70の特定部位(例えば、真皮など)に照射することにより、照射位置の真皮に蓄積している測定対象物質(例えば、AGEs)からの蛍光が得られる。
励起光源11から出射される励起光は、直接、測定部位70に照射されてもよく、入射用光ファイバーや光学ロッド等の導光部材(プローブ)によって測定部位70まで導光されてもよい。このような導光部材も励起光照射部に含めることができる。
励起光の照射および蛍光の受光のために光ファイバーを用いる場合には、励起光出射用ファイバーと蛍光受光用ファイバーとが束ねられたバンドルファイバーを用いてもよい。励起光出射用ファイバーおよび励起光源11、ならびに、蛍光受光用ファイバーおよび検出器12はSMA(Sma[Sab Miniature Type A])コネクタを通して結合されればよい。プローブとして光ファイバを用いることにより、励起光をできるだけロス無く測定部位70まで導くことができる。
また、測定装置10は、据え置き型の装置であっても、ユーザが保持するタイプのものであってもよい。
(第1参照光源13・第2参照光源14)
第1参照光源13および第2参照光源14は、500nm以上、900nm以下の波長範囲(赤色光の波長範囲)にピークを有する1種類以上の参照光を測定部位70に照射するための光源である。第1参照光源13および第2参照光源14として、ハロゲンやキセノン光源のような管球タイプのものや、LED、LD等が利用可能である。
測定装置10が備える参照光源は、2種類に限定されず、3種類以上であってもよい。また、1種類の参照光を用いて複数種類の影響物質を検出できる場合には、当該1種類の参照光を出射する参照光源を設けてもよい。つまり、測定装置10が検出可能な影響物質の種類が2種類以上であればよく、参照光の種類が2種類以上である必要はない。
1種類の参照光を用いて複数種類の影響物質を検出する方法として、例えば、568nmの参照光を用いる場合が挙げられる。検出対象の影響物質はメラニンおよびヘモグロビンである。
メラニンは紫外から可視領域にかけて吸収を示す。一方でヘモグロビンは568nmに吸収のピークを示す。したがって、568nmの光を照射したとき、上記各物質は吸収を示す。各物質の吸収率データ(例えば、メラニンがX%、ヘモグロビンがY%)からそれぞれの物質の影響度を求めることができる。
また、2種類以上の参照光を用いる場合には、そのうちの1つが500nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する参照光であればよく、他の参照光が上記波長範囲以外の範囲にピークを有していてもよい。例えば、2種類の参照光を用いる場合に、一方が励起光と同様のピーク波長を有するものであり、他方が500nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有するものであってもよい。
説明を簡単にするために以下では、影響物質の種類が2つの場合の構成について説明する。
第1参照光源13および第2参照光源14は、互いに異なるピーク波長を有する参照光を出射する。第1参照光源13から出射される参照光を第1参照光と称し、第2参照光源14から出射される参照光を第2参照光と称する。
第1参照光は、第1影響物質を検出するための光であり、第1影響物質を検出するために好ましいピーク波長を有している。
第2参照光は、第2影響物質を検出するための光であり、第2影響物質を検出するために好ましいピーク波長を有している。
上記影響物質とは、測定部位70に含まれると推定される物質であり、上記蛍光の強度に影響を及ぼす可能性のある物質である。例えば、上記影響物質とは、励起光源11が出射する励起光を吸収する物質、または励起光の照射によって生じる蛍光を吸収する物質である。
参照光のピーク波長は、500nm以上、900nm以下であることが好ましい。本実施形態で検出対象としているAGEsは、主に紫外光〜可視光領域の波長の光を吸収するため、このような波長の光を用いることで、AGEs由来の吸光の影響が低減された肌内吸光物質(影響物質)の情報(物理量)を得ることができる。
上記影響物質としての肌内吸光物質の一例として、メラニンおよびヘモグロビンを挙げることができる。メラニン量測定には、660nmと880nmとの2種類の波長の光を用いることが望ましい。また、ヘモグロビン量測定には568nmと660nmとの2種類の波長の光を用いることが望ましい。このように1種類の影響物質を検出するために2種類の参照光を照射する構成については、後述する。
また、参照光のピーク波長と励起光のピーク波長とが異なっていることにより、測定対象物質以外の影響物質の影響をより正確に測定することができる。
第1参照光源13および第2参照光源14から出射される参照光は、直接、測定部位70に照射されてもよく、光ファイバー等の導光部材によって測定部位70まで導光されてもよい。このような導光部材も参照光照射部に含めることができる。
参照光の照射および放射光の受光のために光ファイバーを用いる場合には、参照光出射用ファイバーと放射光受光用ファイバーとが束ねられているバンドルファイバーを用いてもよい。第1参照光出射用ファイバーと第1参照光源13、および、第2参照光出射用ファイバーと第2参照光源14とはSMAコネクタを通して結合されればよい。蛍光を検出する検出器と放射光を検出する検出器とが同一である場合には、放射光受光用ファイバーを、蛍光受光用ファイバーと兼用してもよい。
プローブとして光ファイバを用いることにより、放射光をできるだけロス無く検出器12まで導くことができる。
励起光と参照光とは、測定部位70における概ね同一の位置に照射されることが好ましい。そのため、励起光出射用ファイバーの励起光出射端部と、参照光出射用ファイバーの参照光出射端部とは、近接した位置に配置されていることが好ましい。受光用ファイバーを蛍光受光用と放射光受光用とで兼用する場合には、励起光出射用ファイバー、参照光出射用ファイバーおよび受光用ファイバーをバンドルファイバーとして形成してもよい。
蛍光を検出する場合、蛍光収率を高めるために、受光用ファイバーを測定対象に対して垂直に配置することが望ましい。
一方、反射光を検出する場合は、参照光出射用ファイバーから出射される参照光の入射角と受光用ファイバーが受ける反射光の反射角とが等しい位置に各ファイバーを配置することが望ましい。この場合に、反射光の収率が高くなる。
したがって、蛍光と反射光とを同一の受光ファイバーで受ける場合は、全てのファイバーが測定対象に対して垂直に配置されていることが望ましい。
(検出器12)
検出器12は、上記励起光が測定部位70の表面(肌)に照射されることによって発生した蛍光を、反射用光ファイバー等の光学部材を通して受光し、その蛍光の波長ごとの強度を測定する。すなわち、検出器12は、どの波長の蛍光がどの程度の強さで検出されたのかを測定する。
なお、反射用光ファイバーを用いることは必須ではなく、検出器12が上記蛍光を直接受光してもよい。
検出器12としてはCCD(charge-coupled device)アレイやCMOS(c metal-oxide semiconductor)イメージセンサといった半導体検出器、光電子倍増管(PMT)やチャンネルトロン検出器等が利用可能である。ただし、測定装置10の可搬性を高める上では、半導体検出器を用いるほうが有利である。
蛍光は励起光よりも波長が長いため、検出器12としては、320〜500nmの範囲の光が検出できるものであればよいが、蛍光についても、AGEsの種類によって検出される波長に幅があるため、320〜900nmの範囲が検出できるものであれば利用可能である。
一方で、検出器12は、1種類以上の参照光を測定部位70に照射することによって生体から放射される放射光(反射光、蛍光など)を、反射用光ファイバー等の光学部材を通して受光し、その強度を測定する。すなわち、検出器12は、蛍光測定部と放射光測定部との2つの測定部の機能を兼ね備えている。
放射光測定部としての検出器12は、第1参照光源13および第2参照光源14から発せられる参照光の波長範囲と同範囲の波長を検出できるものであればよい。具体的には、320〜900nmの範囲が検出できるものであれば利用可能である。
励起光源11と検出器12との組を測定対象物質測定部15として捉え、第1参照光源13、第2参照光源14および検出器12の組を影響物質測定部16として捉えることもできる。また、蛍光測定部としての検出器12と、放射光測定部としての検出器12とを別々に設けてもよい。
励起光源11と検出器12と、第1参照光源13と検出器12、および第2参照光源14と検出器12とは、同期しており、検出器12が受光した光が、どの光源からの光を照射することによって得られたものであるかが判別可能になっている。
各光源から励起光または参照光を出射するタイミングは、ユーザが決定してもよいが、利便性を考慮して、測定装置10が備える制御部(不図示)によって制御されることが好ましい。励起光を出射するタイミングと、参照光を出射するタイミングとの間に大きな時間差があった場合には、その間にプローブの先端と測定部位70との位置関係がずれる可能性がある。そのため、励起光を出射するタイミングと、参照光を出射するタイミングとの時間間隔は短い方が好ましい。また、励起光と参照光とを出射する順序は特に限定されず、どちらを先に出射してもよい。
検出器12は、励起光源11から励起光が出射された後に蛍光を受光すると、当該蛍光の波長ごとの蛍光強度を測定し、その測定結果を示す蛍光データを判定装置20のデータ取得部23へ出力する。
また、検出器12は、第1参照光源13から第1参照光が出射された後に、当該第1参照光の照射によって発生した第1放射光の強度を測定し、その放射光の強度と、第1参照光源13から出射された第1参照光そのものの強度(反射率100%のときの強度)とから第1参照光の反射率を算出する。そして、検出器12は、当該反射率を示す第1放射光データをデータ取得部23へ出力する。
反射率100%の参照光の強度は、予め測定されており、記憶部29に記憶されていることが好ましい。ただし、この測定のタイミングは、放射光の強度を測定した後でもよく、影響度算出部24において影響度が算出される前に行われればよい。
検出器12は、第2参照光についても同様の処理を行い、第2参照光の反射率を示す第2放射光データをデータ取得部23へ出力する。
蛍光データ、第1放射光データおよび第2放射光データは、互いに対応付けられてデータ取得部23へ出力される。
なお、第1および第2放射光が蛍光であり、その蛍光強度を用いて影響度を算出する場合には、第1および第2放射光データに蛍光強度を示す情報を含める。
<測定装置10の第1実施例>
図2は、測定装置10の第1実施例を示す概略図である。この実施例は、図1に示したものと同じ構成を有するものである。
本実施例においては、励起光源11および、第1参照光源13、第2参照光源14として、LED、LD等が利用可能である。また、上述のように参照光源の数は、3つ以上であってもよい。
また、検出器12として、上述のCCDアレイ等を用いることができる。
本実施例では、LEDまたはLD光源を用いて異なる波長の光を照射しているため、ハロゲンやキセノン光源のような管球タイプのものを用いて、分光して、異なる波長の光を照射する特許文献1の手法と比較して、装置の安価、小型化を実現できる。
図2に示すように、励起光源11から出射された励起光が測定部位70(肌)に照射され、この照射によって発生した励起光は、検出器12によって受光される。検出器12は、分光器であり、蛍光の波長ごとの強度を測定する。
一方、第1参照光源13から出射された第1参照光が測定部位70に照射され、この照射によって発生した第1放射光は、検出器12によって受光される。検出器12は、放射光の波長ごとの強度を測定する。
また、第2参照光源14から出射された第2参照光も同様に測定部位70に照射され、この照射によって発生した第2放射光は、検出器12によって受光され、その強度が波長ごとに測定される。
上記構成により、肌内蛍光物質の蛍光強度を測定できるとともに、参照光を測定部位70に照射することで発生する複数種類の放射光の強度を測定することができる。
<測定装置10の第2実施例>
図3は、測定装置10の第2実施例示す概略図である。第2実施例では、検出器12a〜cの3つの検出器を備えている点において第1実施例と異なっている。
検出器12aは、励起光の照射により発生した蛍光の強度を測定するための検出器である。検出器12aとして、肌内蛍光物質(好ましくはAGEs)の蛍光波長ピークの強度を選択的に検出できる波長範囲のフィルタとPD(フォトダイオード)とを組み合わせた検出器が利用可能である。
例えば、AGEsを検出する場合のフィルタは、320〜500nmの範囲の波長を検出できるものが適しており、400nm〜500nmの範囲の波長を検出できるものがより望ましい。
検出器12bは、第1参照光を測定部位70に照射することによって生じる第1放射光の強度を測定するための検出器であり、検出器12cは、第2参照光を測定部位70に照射することによって生じる第2放射光の強度を測定するための検出器である。
検出器12b、12cとしては、影響物質(肌内吸光物質)の放射光の波長を選択的に検出できる範囲のフィルタとPD(フォトダイオード)とを組み合わせた検出器が利用可能である。例えば、メラニンを検出する場合のフィルタは、568nm付近の波長と660nm付近の波長とを検出できるものが望ましい。
検出器12a〜cは、所望の波長に応じた光強度を選択的に取りだすためのもので、フィルタを複数用意して、それらを切り替えて、フォトダイオードで検出することも可能である。ゆえに、検出器12a〜cは一体化可能である。
上記フォトダイオードとしては、励起光源11を用いて励起して得られる肌内蛍光物質の蛍光の波長範囲と、第1参照光源13および第2参照光源14を用いて得られる放射光の波長範囲と同範囲の波長を検出できるものであればよい。具体的には、320〜900nmの範囲が検出できるものであれば利用可能である。
上記構成により、肌内蛍光物質の蛍光強度を測定できるとともに、複数種類の参照光を測定部位70に照射することで発生する複数種類の放射光の強度を測定することができる。
また、上記構成では、フィルタとフォトダイオードとにより必要な波長の光を検出できるため、分光器を用い、光をグレーティングして検出している特許文献1の手法と比較して、装置の安価、小型化を実現できる。
<測定装置10の第3実施例>
図4は、測定装置10の第3実施例示す概略図である。第3実施例では、測定装置10は、光源17および検出器12dを備えている。
光源17は、ハロゲンやキセノン光源のような管球タイプのものを用いて、分光して、異なる波長の光を照射する光源であり、励起光源11、第1参照光源13および第2参照光源14の機能を兼ね備えたものである。
検出器12dは、光源17から出射される励起光によって励起して得られる肌内蛍光物質の蛍光の波長範囲と、光源17から出射される参照光を照射することによって得られる放射光の波長範囲と同範囲の波長を検出できるものであればよい。具体的には、320〜900nmの範囲が検出できるものであれば利用可能である。
上記構成により、肌内蛍光物質の蛍光強度を測定できるとともに、複数種類の参照光を測定部位70に照射することで発生する複数種類の放射光の強度を測定することができる。
以上のような測定装置10を用いて、測定対象の個体の肌から得られた肌内蛍光物質(好ましくはAGEs)の蛍光データを測定するとともに、肌内吸光物質(メラニン、ヘモグロビンなど)に関する複数の放射光データを得ることができ、蛍光データを、放射光データを用いて補正することで、精度良く肌内蛍光物質(好ましくはAGEs)を検出することができる。
<判定装置20の構成>
図1に示すように、判定装置20は、測定装置10が測定した蛍光強度を示す蛍光データと参照光の照射により得られた放射光データとを用いて、上記蛍光強度を補正し、補正した蛍光強度を用いて、測定対象の個体の肌の状態を判定する。
判定装置20と測定装置10とは、物理的に分離された個別の装置として実現されており、有線または無線により互いに通信可能に接続されている。判定装置20は、パーソナルコンピュータであってもよい。なお、測定装置10と判定装置20とを一体として実現してもよい。
この判定装置20は、主制御部21、表示部27、操作部28および記憶部29を備えている。
(表示部27)
表示部27は、判定部26の判定結果を表示する表示装置であり、例えば、液晶ディスプレイである。
(操作部28)
操作部28は、ユーザからの入力操作を受け付ける入力装置であり、例えば、キーボード、マウス、入力ボタン等を含んでいる。
(記憶部29)
記憶部29は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置であり、測定データ、参照蛍光強度、ユーザ設定情報などの各種の情報を記憶する。
(主制御部21)
主制御部21は、制御プログラムを実行することにより、判定装置20の各部を制御するものである。主制御部21は、記憶部29に格納されている制御プログラムを、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される一次記憶部(不図示)に読み出して実行することにより、各種処理を実行する。
この主制御部21は、データ解析部(補正装置)22および判定部26を備えている。
(データ解析部22)
データ解析部22は、検出器12から出力された蛍光データを、第1放射光データおよび第2放射光データに基づいて補正する。このデータ解析部22は、データ取得部23、影響度算出部24および蛍光強度補正部25を備えている。
(データ取得部23)
データ取得部23は、検出器12から出力された蛍光データ、第1放射光データおよび第2放射光データを取得する。蛍光データは、励起光を測定部位70に照射することで発生する蛍光の測定結果を示すデータである。第1放射光データは、第1参照光を測定部位70に照射することで発生する放射光の測定結果(放射光の強度または反射率)を示すデータである。第2放射光データは、第2参照光を測定部位70に照射することで発生する放射光の測定結果(放射光の強度または反射率)を示すデータである。
上述のように、想定される影響物質は2種類であるとの前提に立っているため、データ取得部23が取得する放射光データは2種類であるが、想定される影響物質が3種類以上であれば、データ取得部23が取得する放射光データも3種類以上となる。
データ取得部23は、受信した蛍光データが示す蛍光スペクトルに対してピークの分離・抽出などの解析を行い、特定のピーク波長における肌内蛍光物質(好ましくはAGEs)の蛍光強度を抽出する。そして、データ取得部23は、抽出した蛍光強度を示す抽出蛍光データを蛍光強度補正部25へ出力する。
また、データ取得部23は、受信した第1放射光データおよび第2放射光データを影響度算出部24へ出力する。
(影響度算出部24)
影響度算出部24は、1種類以上の参照光を測定部位70に照射することによって生体から放射される放射光の測定結果(放射光の強度、反射率または吸光度)を用いて、測定部位70に含まれると推定される複数種類の影響物質の、測定対象物質の蛍光強度に及ぼす影響を示す複数の影響度を算出する。
具体的には、影響度算出部24は、第1放射光データが示す、測定部位70に第1参照光を照射したときの第1放射光の強度または当該強度に基づいて算出される算出値(反射率または吸光度)を、検量線を示す数式に代入することで、第1影響物質による第1影響度を算出する。上記検量線を示す数式は、予め第1放射光の強度または算出値と、第1影響物質による蛍光強度の減衰量(どれだけ蛍光強度が減衰したかを示す値)との関係から算出された式である。
上記検量線を示す式は、予め記憶部29に格納されており、影響度算出部24は、記憶部29から上記検量線の式を取得する。
影響度算出部24は、第2放射光データについても同様の処理を行い、第2影響物質による第2影響度を算出する。
そのために、影響度算出部24は、例えば、第1放射光データが示す第1参照光の反射率より当該第1参照光の吸光度を算出する。
第1参照光の吸光度は、下記(1)式により算出できる。
(吸光度)=log10(l/l)・・・(1)
(1)式において、lは、反射率100%の場合の第1参照光の光強度であり、lは、第1参照光を測定部位70に照射することで発生した第1放射光(反射光)の光強度である。それゆえ、l/lは、反射率の逆数である。第2参照光の吸光度についても同様に算出できる。
また、各影響物質の影響度をより精度良く求めるために影響度算出部24は、複数種類の影響物質の少なくとも1つについて、2種類以上の参照光を用いて当該影響物質の影響度を算出することが好ましい。
1種類の影響物質(例えば、第1影響物質)を、2種類の参照光を用いて算出する場合には、第1参照光源13から互いにピーク波長が異なる2種類の第1参照光(第1参照光A、第1参照光Bと称する)を測定部位70に対して照射する。または、第1参照光Aを出射する第1参照光源13Aと、第1参照光Bを出射する第1参照光源13Bとを設ける。
検出器12は、第1参照光Aを照射したときに得られた第1放射光Aの反射率と、第1参照光Bを照射したときに得られた第1放射光Bの反射率とを算出し、これらの反射率を示す第1放射光データを判定装置20へ出力する。
影響度算出部24は、このようにして得られた第1放射光データから、第1参照光Aおよび第1参照光Bの吸光度を上述のように算出し、これらの吸光度の差をとることで第1影響物質の吸光度を算出する。
第2影響物質の吸光度を算出する場合も同様に算出することができる。
例えば、影響物質としてメラニンやヘモグロビンが挙げられる。上記2種類の物質が主に肌色を決定し、特に肌のAGEs蛍光測定に影響を及ぼす。メラニンは、紫外〜近赤外領域の光を吸収する。一方、ヘモグロビンは568nm付近の緑色領域に吸光のピークを持ち、660nm付近の赤色領域の光をほとんど吸収しない。また、ヘモグロビンは660nm〜880nmの範囲の光をほとんど吸収しない。
したがって、メラニン量(メラニンの吸光度)は、660nmにおける反射率から求めた吸光度より880nmにおける反射率から求めた吸光度を差し引くことにより求められる。
また、ヘモグロビン量(ヘモグロビンの吸光度)は、568nmにおける反射率から求めた吸光度より660nmにおける反射率から求めた吸光度を差し引くことにより求められる。
各影響物質の影響度の算出方法として、多変量解析により影響度を算出する方法が考えられる。その一例として、濃度既知の影響物質および測定対象物質を用いた実験において、重回帰分析の一種である最小二乗法を用いた検量線の数式を算出する方法を挙げる。
具体的には、同一濃度の測定対象物質および互いに異なる濃度の第1影響物質を含む、複数種類の生体組織モデル(皮膚ファントムモデル)に対して励起光をそれぞれ照射したときに、第1影響物質の濃度に依存して、測定対象物質からの蛍光の強度がどれだけ減衰するかを示す減衰量と、各生体組織モデルに対して第1参照光を照射したときの当該第1参照光の吸光度との関係を示す検量線を予め作成しておく。
第1参照光を測定部位70に照射したときの吸光度を上記検量線を示す数式に代入することにより、第1影響物質によって測定対象物質からの蛍光の強度がどれだけ低下するかを示す影響度を算出することができる。
例えば、生体組織モデルに含まれるメラニン量を変化させたときのメラニン吸光度と、蛍光の(真値 ― 実測値)の間で検量線を引き、吸光度に応じた補正係数を得る。
ここでは一例として、線形近似で、近似曲線を引き、近似曲線の傾きaおよび切片bの値を用いて補正する例を示す。
つまり、メラニンの影響度に関する蛍光の補正を、下記(2)式を用いて行う。
(補正強度)=(実測値)+{(メラニン吸光度)×a+b} ・・・(2)
この方法以外にも、指数近似、対数近似、多項式近似などを用いてもよい。
上述のようにメラニン吸光度を、2波長の参照光を用いて測定することで、上記補正式の精度が高まる。
第2、第3の影響物質の吸光度に基づく補正も同様に行うことができる。
影響度算出部24は、各影響物質の影響度、すなわち、{(影響物質の吸光度)×a+b}の値を算出し、算出した影響度をそれぞれ蛍光強度補正部25へ出力する。
なお、影響度算出部24を影響物質ごとに設け、影響度の算出を並行して行ってもよい。すなわち、第1影響物質の影響度を算出する第1影響度算出部、第2影響物質の影響度を算出する第2影響度算出部、…第n影響物質の影響度を算出する第n影響度算出部を設けてもよい。
(蛍光強度補正部25)
蛍光強度補正部25は、影響度算出部24が算出した複数の影響度を用いて、データ取得部23から出力された抽出蛍光データが示す蛍光強度を補正する。
蛍光強度補正部25における蛍光強度の補正方法として、各影響物質の蓄積量に応じて、影響度を規格化(特定の値を基準とした相対値として表現)し、蛍光データが示す蛍光強度と規格化した影響度との和や差をとる、あるいは積や商をとることが挙げられる。
蛍光強度補正部25における補正の一例として、下記(3)式に示すように、実際に測定した蛍光強度(実測値)に各影響物質によって減衰した蛍光強度の値(影響度算出部24が算出した影響度)を加算することで、測定値を真値に近づける方法が挙げられる。なお、(3)式においてnは3以上の自然数である。
(補正強度)=(実測値)+(メラニンの影響度)+(ヘモグロビンの影響度)+・・・+(第n影響物質の影響度) ・・・(3)
蛍光強度補正部25は、補正した蛍光強度(補正後蛍光強度と称する)を示す補正後蛍光データを記憶部29に格納するとともに、肌状態を判定することを命じる判定命令を判定部26へ出力する。
(判定部26)
判定部26は、蛍光強度補正部25が算出した補正後蛍光強度と、所定の参照値(参照蛍光強度と称する)とを比較した結果に基づいて肌の状態を判定する。
参照蛍光強度は、補正後蛍光強度を評価するための基準となる値である。例えば、参照蛍光強度は、予め年齢層ごとに算出された健常者の補正後蛍光強度の統計値(例えば、平均値)に基づいて算出された少なくとも1段階の値である。また、参照蛍光強度は、健常者の補正後蛍光強度の範囲であってもよい。
判定部26は、補正後蛍光強度が、参照蛍光強度よりも高い場合に、肌の状態は正常状態から外れていると判定する。参照蛍光強度を複数段階設け、正常、やや悪化、著しく悪化など、判定結果を複数段階出力してもよい。このような判定結果は、表示部27に表示される。
<肌状態判定システム100における処理の流れ>
次に、肌状態判定システム100における処理の流れの一例について説明する。図5は、肌状態判定システム100(特に、判定装置20)における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、ユーザ(測定対象者)は、出射用光ファイバーおよび受光用光ファイバーで構成されるプローブの先端を、測定を所望する肌の箇所にあてる。励起光源11から肌内蛍光物質(好ましくは肌内AGEs)の測定に適した波長の励起光が出射されると、その励起光は、励起光出射用光ファイバーの先端から肌に出射される(励起光出射工程)。
肌に含まれる蛍光物質(好ましくはAGEs)に励起光が照射されることによって、蛍光が放射される。この蛍光は、受光用光ファイバーの先端から入射し、検出器12へと導かれる。
検出器12は、蛍光を受光すると(蛍光受光工程)、当該蛍光の波長ごとの蛍光強度を測定し、その測定結果を示す蛍光データを判定装置20のデータ取得部23へ出力する。
また、続いて、第1参照光源13から第1影響物質の測定に適した第1参照光が出射されると、その第1参照光は、第1参照光出射用光ファイバーの先端から肌に出射される(照射光出射工程)。
肌に含まれる第1影響物質(メラニン、ヘモグロビンなど)に第1参照光が照射されることによって、当該第1参照光が反射されるか、または蛍光が発せられる。この反射光または蛍光(第1放射光)は、受光用光ファイバーの先端から入射し、検出器12へと導かれる。
第1参照光源13からの第1参照光の出射が終了した後、続いて、第2参照光源14から第2参照光の出射が行われ、同様に第2放射光が検出器12へと導かれる。
検出器12は、複数種類の放射光を受光すると(放射光受光工程)、各放射光の波長に応じた反射率を測定し、その測定結果を示す第1および第2放射光データを判定装置20のデータ取得部23へ出力する。
データ取得部23は、蛍光データ、第1および第2放射光データを受け取ると(S1)、受信した蛍光データが示す蛍光スペクトルに対してピークの分離・抽出などの解析を行い、特定のピーク波長における肌内蛍光物質(好ましくはAGEs)の蛍光強度を抽出する(S2)。そして、データ取得部23は、抽出した蛍光強度を示す抽出蛍光データを蛍光強度補正部25へ出力する。
また、データ取得部23は、受信した第1放射光データおよび第2放射光データを影響度算出部24へ出力する。
影響度算出部24は、第1放射光データおよび第2放射光データを受信すると、第1および第2放射光データが示す反射率を用いて、各放射光の波長の吸光度を算出し、算出した吸光度から第1影響物質および第2影響物質の影響度をそれぞれ算出する(S3)(影響度算出工程)。そして、影響度算出部24は、算出した影響度を蛍光強度補正部25へ出力する。
ステップS2とステップS3との順序は、逆でもよく、ステップS2とステップS3とを同時に行ってもよい。
蛍光強度補正部25は、データ取得部23から受信した抽出蛍光データが示す蛍光強度を、影響度算出部24から受信した影響度を用いて補正する(S4)。
蛍光強度補正部25は、補正した蛍光強度を示す補正後蛍光データを記憶部29に格納するとともに、肌状態を判定することを命じる判定命令を判定部26に出力する。
判定部26は、記憶部29に格納された補正後蛍光データから肌内蛍光物質(好ましくはAGEs)の補正後蛍光強度を抽出する。
そして、判定部26は、抽出した補正後蛍光強度と、記憶部29に予め格納されている参照蛍光強度とを比較することにより肌状態の悪化の程度を判定する(判定工程)(S5)。
参照蛍光強度として、例えば、10代、20代といった年齢層ごとに、肌内蛍光物質(好ましくはAGEs)の補正蛍光強度の平均値が求められ、予め記憶部29に格納されている。測定対象のユーザの年齢は、予め記憶部29に格納されているか、または、測定時にユーザによって操作部28を介して入力される。
判定部26は、測定対象のユーザの年齢に対応する参照蛍光強度を記憶部29から読み出し、実測蛍光強度と比較する。例えば、判定部26は、実測蛍光強度が参照蛍光強度よりも高い場合、ユーザの肌の状態は悪いと判定する。
肌状態の判定を終えると、判定部26は、判定結果を表示部27へ出力し、表示部27にて表示させる(S6)。
(第2蛍光強度補正工程)
上述の蛍光測定において、蛍光強度をより正確に測定するために、特定の基準物質に対して励起光を照射し、その蛍光を基準として蛍光強度を補正することが好ましい。
すなわち、本発明の測定方法に、基準物質から出射される標準となる蛍光を受光し、その蛍光の強度(リファレンス)を測定する標準蛍光測定工程と、上記標準蛍光測定工程において測定した蛍光の強度と所定の蛍光強度とを比較した結果に基づいて、上記蛍光データが示す蛍光の強度を補正する第2蛍光強度補正工程とを含めてもよい。所定の蛍光強度は、記憶部29に予め記憶されていればよい。
このような蛍光強度の補正を行うことにより、何らかの原因により、励起光源11の出力が低下したり、検出器12の検出感度が変化したりするなど、蛍光の検出に関わる部材に異常が生した場合に、その異常によって影響を受けた蛍光データを補正することができ、測定対象物質の測定精度(測定値の信頼性)を高めることができる。
リファレンスを用いて蛍光強度の補正を行う場合の計算例の一例として、例えば、所定の強度とリファレンスとの比を算出し、当該比を実測値(励起光の照射によって発生した蛍光の強度)または補正後蛍光強度にかけることが挙げられる。測定装置10が正常であれば、上記比が1となるように所定の強度が設定されており、その場合、上記演算によって実測値は変化しない。しかし、例えば、励起光源11の出力または検出器12の検出感度が低下した場合には、リファレンスが小さくなり、上記比は1より大きくなる。それゆえ、当該比を実測値にかけることによって実測値が増加し、励起光源11の出力等が低下した影響を打ち消すことができる。
第2蛍光強度補正工程における上述の演算は、蛍光強度補正部25に行わせてもよく、データ解析部22のその他の機能ブロック(図示しない第2蛍光強度補正部)に行わせてもよい。
第2蛍光強度補正工程は、検出器12が蛍光データに対して与える影響を除くためのものであるため、蛍光強度補正部25における蛍光強度の補正には影響を及ぼさない。そのため、第2蛍光強度補正工程は、蛍光強度補正部25における蛍光強度の補正より先に行われても、その後に行われてもよい。
また、上記基準物質として、励起光を長時間照射しても蛍光強度が低下しにくい物質を選択することが好ましい。このような基準物質として、ナノメータサイズの粒子を用いたナノ粒子蛍光体を用いることが好ましい。ナノ粒子蛍光体は、励起光を連続的に照射しても発生する蛍光の強度が低下しにくい。上記基準物質として蛍光ビーズを用いた場合には、励起光を連続的に照射すると次第に蛍光強度が低下していくという問題がある。
なお、ナノ粒子蛍光体は、ナノ粒子のサイズを調整することによって蛍光波長を調整できるものである。
また、上述のように基準物質に対して励起光を照射することで発生した蛍光の強度(リファレンス)を測定し、当該蛍光強度に基づいて励起光源11の出力または検出器12の感度を調整してもよい。この場合、例えば、リファレンスが基準値から低下した分だけ励起光源11の出力または検出器12の感度を上げることにより、リファレンスが基準値を示すように調整すればよい。この調整は、ユーザが手動で行ってもよく、判定装置20が自動的に行ってもよい。
(放射光強度補正工程)
また、第1または第2参照光を所定の反射板(例えば、白色板)に照射することにより生じた反射光(リファレンス)を受光し(基準反射光受光工程)、受光した反射光の強度と所定の強度とを比較した結果に基づいて、第1または第2放射光の強度を補正してもよい(放射光強度補正工程、第3補正工程)。
放射光強度補正工程では、第1または第2参照光を所定の反射板に照射することにより生じた反射光をリファレンスとして利用して、第2蛍光強度補正工程における上述の演算と同様の方法で第1または第2放射光データが示す放射光強度を補正する。
すなわち、例えば、所定の強度とリファレンスとの比を算出し、当該比を実測値(第1または第2放射光の照射によって発生した放射光の強度)にかける。測定装置10が正常であれば、上記比が1となるように設定されている。第1参照光源13および第2参照光源14の出力や、検出器12の検出感度に異常がなければ、上記比は1となり、実測値は変化しない。逆に、例えば、第1参照光源13の出力が低下した場合には、リファレンスが小さくなり、上記比は1より大きくなる。それゆえ、当該比を実測値にかけることによって実測値が増加し、第1参照光源13の出力が低下した影響を打ち消すことができる。
放射光強度補正工程における上述の演算は、蛍光強度補正部25に行わせてもよく、データ解析部22のその他の機能ブロック(図示しない放射光強度補正部)に行わせてもよい。
また、上述のように第1または第2参照光を所定の反射板に照射することにより生じた反射光の強度(リファレンス)を測定し、当該強度に基づいて第1参照光源13または第2参照光源14の出力、または検出器12の感度を調整してもよい。この場合、例えば、リファレンスが基準値から低下した分だけ第1・第2参照光源13・14の出力または検出器12の感度を上げることにより、リファレンスが基準値を示すように調整すればよい。この調整は、ユーザが手動で行ってもよく、判定装置20が自動的に行ってもよい。
(付記事項)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上述した判定装置20の各ブロック、特に主制御部21は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、判定装置20は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである主制御部21の制御プログラム(認証プログラム)のプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記主制御部21に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、主制御部21を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
〔実験例1〕
次に、肌内蛍光物質(特にAGEs)の蛍光測定において、1種類の影響物質の吸光度を複数種類の参照光を用いて算出し、算出した吸光度を用いて蛍光強度の補正を行うことの有用性について説明する。本実験例では、皮膚ファントムモデルを用いた、メラニン量に依存したAGEs測定の実験結果について説明する。
<皮膚ファントムモデルの調製>
放射光データによる蛍光強度の補正が有用であることを示すために、皮膚ファントムモデルを作製し、蛍光強度測定および反射率測定を行った。図6は、皮膚ファントムモデルを用いたメラニン量依存AGEs測定実験の方法を説明するための図である。
図6に示すように、カップAに濃度既知のメラニンを、カップBに濃度既知の糖化コラーゲン(AGEs)を調製し、カップAの上面から励起光および参照光を照射し、蛍光および複数の反射率データを取得した。
(カップAの調製)
皮膚ファントムモデルとしてのカップAは、寒天溶液(1.5g/100ml)にユーメラニンを所定量添加することで調製した。なお、寒天はキシダ化学(株)の1級寒天末を用いた。また、ユーメラニンは、和光純薬工業(株)のユーメラニン,100%を用いた。
ユーメラニンは、主にチロシンやジヒドロキシフェニルアラニンから合成されるメラニン系色素の一種である。
上記試薬を用いて、メラニン量を0.05,0.10,0.15,0.20,0.25,0.30mg/mlの6種類の濃度に調整したものを用意した。
(カップBの調製)
糖化コラーゲン(AGEs)は、1/15Mリン酸緩衝液にコラーゲン(4.5g/dl)とグルコース(0.5M)とを混合させ、40℃に設定したインキュベータ内で60日間反応させることで調製した。
上記60日反応させた濃度固定の糖化コラーゲンAGEs(カップB)に対して、カップAのメラニン量を変化させることで、メラニン量依存AGEs測定実験を行った。
<測定装置>
測定装置10を用いて、上記皮膚ファントムモデルに対して、蛍光測定および反射率測定を行った。
(光源)
AGEs蛍光測定用の励起光源として、365nmのLED光源を用いた。また、反射率測定用の参照光源として、568nm,660nm,880nmの3種類のLED光源を用いた。
(分光器)
検出器12としての分光器は、市販の小型の分光器を用いた。
<測定結果>
図7は、人工的に合成した糖化コラーゲン(AGEs)を用いた蛍光スペクトルを示す図である。すなわち、上記カップBに、365nmの光を照射したときに得られた蛍光スペクトルである。
同図では横軸に波長(nm)、縦軸に蛍光の強度(a.u.)を示している。波長460nmあたりの蛍光強度が、5100a.u.の値を示していることがわかる。この値を、AGEsの蛍光強度の真値とする。
図8は、図6に示した皮膚ファントムモデルを用いたメラニン量依存AGEs測定実験における蛍光強度の補正前後の値を示すグラフである。図9は、図8に示すグラフの部分拡大図である。図8および図9に示すように、補正しない場合には、メラニン量の増加に伴い蛍光強度が減少し、真値と異なる結果が得られることがわかる。
そこで、660nmおよび880nmの波長の参照光を照射したときの反射率よりメラニンの吸光度を算出し、当該メラニンの吸光度を用いて蛍光強度を補正した。
上記各波長の光における反射率のリファレンスとして、白色校正板を用意し、白色校正板に参照光を照射したときの反射光の光強度を反射率100%の光強度とした。
図8には、660nmの参照光を用いて補正した場合の結果と、660nmの参照光の吸光度と880nmの参照光の吸光度との差を用いて補正した場合の結果とが示されている。
660nmの参照光を用いた補正は、下記(4)式に基づくものである。aおよびbは、上記(2)式と同様の算出方法で、660nmの吸光度について検量線を作成することで求まる係数である。
(補正強度)=(実測値)+{(660nmの吸光度)×a+b} ・・・(4)
660nmの参照光の吸光度と880nmの参照光の吸光度との差を用いた補正は、下記(5)式に基づくものである。cおよびdは、上記(2)式と同様の算出方法で、660nmの吸光度と880nmの吸光度との差について検量線を作成することで求まる係数である。
(補正強度)=(実測値)+{(660nmの吸光度−880nmの吸光度)×c+d} ・・・(5)
メラニンの吸光度を1波長の参照光を用いて算出し、蛍光強度を補正した場合には、真値からの標準偏差は238.4であり、2波長の参照光を用いた場合には、真値からの標準偏差は112.9であった。この結果から、メラニンの吸光度を1波長の参照光を用いて算出するよりも、2波長の参照光を用いて算出する方が補正の精度が高まることが分かる。
〔実験例2〕
次に、実験例1と同様の実験を、影響物質をヘモグロビンに変更して行った結果について説明する。ただし、実験例1と同様の試薬についてはその説明を省略する。また、測定装置は、実験例1と同様のものを用いた。
図10は、皮膚ファントムモデルを用いたヘモグロビン量依存AGEs測定実験の方法を説明するための図である。図10に示すように、カップAに濃度既知のヘモグロビンを、カップB(実験例1と同様)に濃度既知の糖化コラーゲン(AGEs)を調製し、カップAの上面から励起光および参照光を照射し、蛍光および複数の反射率データを取得した。
(カップAの調製)
皮膚ファントムモデルとしてのカップAは、寒天溶液(1.5g/100ml)にヘモグロビンを所定量添加することで調製した。ヘモグロビンは、京都和光純薬社製のものを使用した。
上記試薬を用いて、メラニン量を0.05,0.10,0.15,0.20,0.25,0.30mg/mlの6種類の濃度に調整したものを用意した。
<測定結果>
図11は、図10に示した皮膚ファントムモデルを用いたヘモグロビン量依存AGEs測定実験における蛍光強度の補正前後の値を示すグラフである。図12は、図11に示すグラフの部分拡大図である。図11および図12に示すように、補正しない場合には、ヘモグロビン量の増加に伴い蛍光強度が減少し、真値と異なる結果が得られることがわかる。
そこで、568nmおよび660nmの波長の参照光を照射したときの反射率よりメヘモグロビンの吸光度を算出し、当該ヘモグロビンの吸光度を用いて蛍光強度を補正した。
上記各波長の光における反射率のリファレンスとして、白色校正板を用意し、白色校正板に参照光を照射したときの反射光の光強度を反射率100%の光強度とした。
図11には、568nmの参照光を用いて補正した場合の結果と、568nmの参照光の吸光度と660nmの参照光の吸光度との差を用いて補正した場合の結果とが示されている。
568nmの参照光を用いた補正は、下記(6)式に基づくものである。eおよびfは、上記(2)式と同様の算出方法で、568nmの吸光度について検量線を作成することで求まる係数である。
(補正強度)=(実測値)+{(568nmの吸光度)×e+f} ・・・(6)
568nmの参照光の吸光度と660nmの参照光の吸光度との差を用いた補正は、下記(7)式に基づくものである。gおよびhは、上記(2)式と同様の算出方法で、568nmの吸光度と660nmの吸光度との差について検量線を作成することで求まる係数である。
(補正強度)=(実測値)+{(568nmの吸光度−660nmの吸光度)×g+h} ・・・(7)
ヘモグロビンの吸光度を1波長の参照光を用いて算出し、蛍光強度を補正した場合には、真値からの標準偏差は64.9であり、2波長の参照光を用いた場合には、真値からの標準偏差は23.6であった。この結果から、ヘモグロビンの吸光度を1波長の参照光を用いて算出するよりも、2波長の参照光を用いて算出する方が補正の精度が高まることが分かる。
〔実験例3〕
次に、実験例1の補正と、実験例2の補正とを組み合わせて補正した場合の実験結果について説明する。すなわち、本実験例は、複数の影響物質の影響度を用いて、蛍光強度を補正する場合の例である。実験例1と同様の試薬についてはその説明を省略する。また、測定装置は、実験例1と同様のものを用いた。
図13は、皮膚ファントムモデルを用いたメラニン量およびヘモグロビン量依存AGEs測定実験の方法を説明するための図である。
図13に示すように、カップAに濃度既知のメラニンおよびヘモグロビンを、カップB(実験例1と同様)に濃度既知の糖化コラーゲン(AGEs)を調製し、カップAの上面から励起光および参照光を照射し、蛍光および複数の反射率データを取得した。
(カップAの調製)
カップAは、寒天溶液(1.5g/100ml)にユーメラニンを0.20/mlおよびヘモグロビンを0.20/ml添加することで調製した。
図14は、皮膚ファントムモデルを用いたメラニン量およびヘモグロビン量依存AGEs測定実験における蛍光強度の補正前後の値を示すグラフである。
2波長による補正では、660nmの参照光を照射したときの吸光度による蛍光強度の補正(メラニンの影響を除くための補正)に加え、568nmの参照光を照射したときの吸光度による蛍光強度の補正(ヘモグロビンの影響を除くための補正)を行っている。この補正に用いた式は、上記(4)式および(6)式である。
3波長による補正では、660nmの吸光度と880nmの吸光度との差による蛍光強度の補正(メラニンの影響を除くための補正)に加え、568nmの吸光度と660nmの吸光度との差による蛍光強度の補正(ヘモグロビンの影響を除くための補正)を行っている。この補正に用いた式は、上記(5)式および(7)式である。
図14に示すように、メラニンの影響を除く補正に加え、ヘモグロビンの影響を除く補正を行うことにより、一方だけの場合よりも補正の精度が高まることが分かる。
<その他の変更例>
1種類の影響物質の吸光度を3種類以上の参照光を用いて算出してもよい。
また、測定部位70における影響物質の濃度を、当該影響物質を検出するための参照光の吸光度から算出し、影響物質の濃度と蛍光強度の減衰量との関係を示す検量線の式を用いて、当該影響物質による蛍光強度の減衰量を算出してもよい。
また、参照光を照射することによって影響物質から放射される蛍光の強度と、測定対象物質の蛍光強度の減衰量あるいは増大量との関係を示す検量線の式を用いて、影響物質の蛍光強度から測定対象物質の蛍光強度の減衰量あるいは増大量を算出してもよい。
測定対象物質の蛍光スペクトルに影響物質のスペクトルが重なることにより、真値より蛍光強度が高くなる可能性がある。それゆえ、測定対象物質の蛍光強度の減衰量のみならず、蛍光強度の増大量についても考慮することが好ましい。
なお、本発明の実施形態は、以下のようにも表現できる。
すなわち、本発明の一実施形態に係る肌状態判定方法は、測定対象の個体の肌に対して、励起光を照射し、該測定部の蛍光データを測定するとともに、該励起光を含む複数の波長の光を、該測定部に照射したときの複数の反射光データを用いて、該蛍光データを補正するものである。
上記の判定方法によれば、個体の肌における蛍光データと複数の反射光データとが得られる。複数の反射光データを用いて、該蛍光データを補正することで、AGEsの検出結果に影響を及ぼす阻害物質の影響を低減することができる。よって、肌の状態を精度よく測定することができる。
測定対象部として、個体の腕、手首、耳朶、指尖、掌、頬、二の腕の内側などを例示することができる。
また、上記肌状態判定方法において、上記複数の反射光データより、少なくとも1種類の肌内吸光物質量を算出し、該吸光物質量を用いて、上記蛍光データを補正することが好ましい。
また、上記肌状態判定方法において、上記複数の反射光データにより得られた吸光度の差から、皮膚の表皮に含まれるメラニンやヘモグロビンなどの吸光物質量を算出し、上記蛍光データを補正することが好ましい。
上記の判定方法によれば、複数の反射光データから阻害要因の吸光度を算出している。各反射光データにAGEs由来の吸光の影響が含まれるが、各反射光データの差を用いて、阻害要因の吸光物質量を算出するため、AGEs由来の吸光の影響を低減することが可能となる。よって、肌内阻害要因の吸光物質量を精度よく検出することができる。
なお、肌内阻害要因の吸光物質としては、ヒトの皮膚色に影響があるとされているメラニンや血色素(ヘモグロビン)などを例示することができる。
また、上記肌状態判定方法において、上記反射光データを得るための照射光は、AGEs(Advanced Glycation Endproducts)由来の吸光の影響が少ない波長を有していることが好ましい。
上記の判定方法によれば、AGEs由来の吸光の影響の少ない波長の光を用いて、反射光データが得られる。肌内阻害物質の吸光物質量は、該反射光データを用いて算出するため、該波長の光を用いることで、AGEs由来の吸光の影響を低減することが可能となる。よって、肌内阻害要因の吸光物質量を精度よく検出することができる。
また、上記肌状態判定方法において、上記反射光データを得るための複数の照射光の中の一つは、550nm以上900nm以下の波長範囲に含まれていることが好ましい。
上記の判定方法によれば、550nm以上900nm以下の波長範囲の照射光を用いて、反射光データを測定している。AGEsは、主に紫外光〜可視光領域の波長の光を吸収するため、該波長の光を用いることで、AGEs由来の吸光の影響を低減することが可能となる。よって、肌内阻害要因の吸光物質量を精度よく検出することができる。
たとえば、肌内阻害要因の吸光物質の一つとして挙げられるメラニン量の算出には、660nmと880nmの2波長の照射光を用いて得られる反射光データの差を用いることが望ましい。
また、肌内阻害要因の吸光物質の一つとして挙げられるヘモグロビン量の算出には、568nmと660nmの2波長の照射光を用いて得られる反射光データの差を用いることが望ましい。
また、上記肌状態判定方法において、上記蛍光データの測定の標準となる蛍光の強度を用いて、肌内蛍光物質の蛍光の強度を補正する補正工程をさらに含むことが好ましい。
上記の判定方法によれば、標準となる蛍光(リファレンス)に基づいて、蛍光データを補正するため、測定値の信頼性を高めることができる。
また、上記肌状態判定方法において、上記蛍光データは、肌内のAGEs(Advanced Glycation Endproducts)に由来するものであることが好ましい。
上記の判定方法によれば、肌内のAGEsを検知することができる。なお、本願発明者は、これまでに、糖化が進んだ肌において、AGEs由来の蛍光強度が増加することを見出している。よって、AGEs由来の蛍光強度を測定することで、肌の糖化の進み具合を確認できるので、AGEsを検出する判定方法を実現することは有用である。
また、上記判定法は、化粧品の効果を確認するなど、カウンセリングの現場での利用が可能となる。
本発明の一実施形態に係る肌状態判定装置は、測定対象の個体の肌に対して、励起光を照射したときに得られる、肌内物質の蛍光強度を測定する測定部aと、上記肌内物質を除く少なくとも1種類の肌内吸光物質を測定する測定部bを備え、上記測定部aで得られた蛍光データを、測定部bで得られた複数の反射光データを用いて補正するデータ解析部と、上記解析部により算出されたデータを用いて、上記肌の状態を判定する判定部を備えている。
上記の構成によれば、測定部aにおいて、肌内物質の蛍光強度が測定され、測定部bにおいて、肌内阻害要因の吸光物質量を算出するための複数の反射光データが測定される。そして、データ解析部において、測定された複数の反射光データを用いて、肌内阻害要因の吸光物質量を求め、該吸光物質量より、測定された蛍光強度を補正する。そして、補正された蛍光強度を用いて、肌の状態が判定部に置いて判定される。
複数の反射光データを用いて、蛍光データを補正するため、AGEsの検出結果に影響を及ぼす阻害物質の影響を低減することができる。よって、肌の状態を精度よく判定することができる。
また、上記測定部bは、上記肌に対して、上記励起光波長を含む複数の波長の光を照射したときの複数の反射光強度を測定することが好ましい。
上記の構成によれば、複数の反射光データを用いて阻害要因の吸光度を算出可能となる。各反射光データには、AGEs由来の吸光の影響が含まれるが、各反射光データの差を用いて、阻害要因の吸光物質量を算出するため、AGEs由来の吸光の影響を低減することが可能となる。よって、肌内阻害要因の吸光物質量を精度よく検出することができる。
また、上記測定部aは、上記肌に対して励起光を照射し、当該励起光の照射によって発生した蛍光の強度を測定することが好ましい。
また、上記励起光の波長は、肌内のAGEs(Advanced Glycation Endproducts)を検知することが可能な範囲内の波長であることが好ましい。
上記の構成によれば、肌内のAGEsを検知することができる。なお、本願発明者は、これまでに、糖化が進んだ肌において、AGEs由来の蛍光強度が増加することを見出している。よって、AGEs由来の蛍光強度を測定することで、肌の糖化の進み具合を確認できるので、AGEsを検出する判定装置を実現することは有用である。
また、化粧品の効果を確認するなど、カウンセリングの現場での判定装置の利用が可能となる。
また、上記判定部は、上記データ解析部により算出された蛍光補正データと、所定の参照値とを比較した結果に基づいて上記肌の状態を判定することが好ましい。
また、上記測定により得られた蛍光補正データが、上記所定の参照値よりも高い場合に、上記判定部は、上記肌の状態は正常状態から外れていると判定することが好ましい。
上記の構成により、実測値と予め用意された参照値とを比較することにより、実測値が参照値とどれだけ異なっているかを求め、その結果から肌の状態を判定することができる。
また、上記所定の参照値は、上記個体が属する年齢層における肌内蛍光物質の蛍光強度の統計値に基づく値であることが好ましい。
上記の構成により、測定対象の個体の年齢に見合った参照値を用いて肌状態の判定を行うことができ、判定の信頼性を高めることができる。
また、上記測定部と上記データ解析部及び上記判定部とは、物理的に分離でき、通信可能に接続できるものであることが好ましい。
上記の構成によれば、測定部とデータ解析部及び判定部とを別々の装置として実現でき、例えば、測定装置と、判定装置としてのパソコンとの組み合わせとして発明を実現できる。なお、データ解析部は、判定装置に含まれる。
上記肌状態判定装置が備える判定部としてコンピュータを機能させるための肌状態判定プログラムおよび当該肌状態判定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、肌状態に適した抗老化や抗糖化効果等の化粧品・医薬品の選択、肌のカウンセリング、あるいは化粧品・医薬品の有効性評価・モニタリング等、多面的に利用できる。
10 測定装置
11 励起光源(励起光照射部)
12 検出器(蛍光測定部、放射光測定部)
12a 検出器(蛍光測定部、放射光測定部)
12b 検出器(蛍光測定部、放射光測定部)
12c 検出器(蛍光測定部、放射光測定部)
12d 検出器(蛍光測定部、放射光測定部)
13 第1参照光源(参照光照射部)
14 第2参照光源(参照光照射部)
17 光源
21 主制御部(補正装置)
22 データ解析部(補正装置)
24 影響度算出部
25 蛍光強度補正部
70 測定部位
100 肌状態判定システム(測定システム)

Claims (9)

  1. 410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位に照射することによって生じる、測定対象物質の蛍光の強度を示す蛍光データを補正する補正装置であって、
    500nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する1種類以上の参照光を上記測定部位に照射することによって上記生体から放射される放射光の測定結果を用いて、上記測定部位に含まれると推定される複数種類の影響物質の、上記蛍光の強度に及ぼす影響を示す複数の影響度を算出する影響度算出部と、
    上記影響度算出部が算出した複数の影響度を用いて、上記蛍光データを補正する蛍光強度補正部とを備えることを特徴とする補正装置。
  2. 上記蛍光強度補正部は、各影響物質の影響度に対応する蛍光強度減衰量を、上記蛍光データが示す蛍光の強度に加算することにより当該蛍光データを補正することを特徴とする請求項1に記載の補正装置。
  3. 上記影響度算出部は、上記測定部位に上記参照光を照射したときの放射光の強度または当該強度に基づいて算出される算出値を、予め放射光の強度または上記算出値と上記影響物質による蛍光強度の減衰量との関係から算出した数式に代入することで、上記影響度を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の補正装置。
  4. 上記影響度算出部は、上記複数種類の影響物質の少なくとも1つについて、2種類以上の上記参照光を上記測定部位に照射することによって生じる2種類以上の放射光の測定結果を用いて当該影響物質の影響度を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の補正装置。
  5. 上記励起光は、AGEs(Advanced Glycation Endproducts)の検出に適した波長を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の補正装置。
  6. 請求項1に記載の補正装置と、
    410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位に照射する励起光照射部と、
    上記励起光が上記測定部位に照射されることによって生じる蛍光の強度を測定する蛍光測定部と、
    500nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する1種類以上の参照光を上記測定部位に照射する参照光照射部と、
    上記1種類以上の参照光を上記測定部位に照射することによって上記生体から放射される放射光の強度を測定する放射光測定部とを含むことを特徴とする測定システム。
  7. 410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位に照射することによって生じる、測定対象物質の蛍光の強度を示す蛍光データを補正する補正方法であって、
    500nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する1種類以上の参照光を上記測定部位に照射することによって上記生体から放射される放射光の測定結果を用いて、上記測定部位に含まれると推定される複数種類の影響物質の、上記蛍光の強度に及ぼす影響を示す複数の影響度を算出する影響度算出工程と、
    上記影響度算出工程において算出した複数の影響度を用いて、上記蛍光データを補正する補正工程とを含むことを特徴とする補正方法。
  8. 標準となる蛍光を受光し、その蛍光の強度を測定する標準蛍光測定工程と、
    上記標準蛍光測定工程において測定した蛍光の強度に基づいて、上記蛍光データが示す蛍光の強度を補正する第2補正工程とをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の補正方法。
  9. 上記参照光を所定の反射板に照射することにより生じた反射光を受光する基準反射光受光工程と、
    上記基準反射光受光工程において受光した反射光の強度に基づいて、上記影響度算出工程において用いる上記放射光の強度を補正する第3補正工程とをさらに含むことを特徴とする請求項7または8に記載の補正方法。
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